JP2002272193A - 磁気回路の切換機構及び該機構を使用した渦電流式減速装置 - Google Patents

磁気回路の切換機構及び該機構を使用した渦電流式減速装置

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JP2002272193A
JP2002272193A JP2001073981A JP2001073981A JP2002272193A JP 2002272193 A JP2002272193 A JP 2002272193A JP 2001073981 A JP2001073981 A JP 2001073981A JP 2001073981 A JP2001073981 A JP 2001073981A JP 2002272193 A JP2002272193 A JP 2002272193A
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Japan
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magnetic
circuit
permanent magnet
magnetic circuit
magnetic flux
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JP2001073981A
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Makoto Ogawa
誠 小川
Noritoshi Narumi
礼斗史 鳴海
Masaki Asano
雅樹 浅野
Susumu Kobayashi
晋 小林
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Isuzu Motors Ltd
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Isuzu Motors Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 短絡磁気回路Xに流れる、永久磁石120の
磁束を、磁気回路Yに選択的にかつ増幅して供給するこ
とを可能にすること。 【解決手段】 近接して配置された強磁性部材200と
協働して形成される磁気回路Yに選択的に磁束を供給す
ることができる磁気回路の切換機構及びそれを使用した
渦電流式減速装置。ヨーク110と、ヨーク110の対
向部114、116間に配設された永久磁石120と、
ヨーク110の一部領域を囲むよう配設された電磁コイ
ル130とを備えている。永久磁石120とヨーク11
0との間には短絡磁気回路Xが形成されている。電磁コ
イル130に通電することにより、短絡磁気回路Xに流
れる磁束を磁気回路Yに流すよう構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気回路の切換機
構、及び該機構を使用した渦電流式減速装置であって、
車両、特にトラック等の大型車両のメインブレーキであ
るフットブレーキを補助するために適用される渦電流式
減速装置に関する。
【0002】
【従来の技術】本出願人であるいすゞ自動車株式会社が
開発し、そして同社から出願された特開平11−004
572号公報に開示された渦電流式減速装置は、回転軸
に連結された制動ドラムと、制動ドラムの内側に同軸に
配設された環状のケースとを備えている。ケースは、制
動ドラムの内周面に近接した外周壁と、外周壁よりも小
径の内周壁とを備えている。ケース内の内周壁には、強
磁性材からなる支持筒が軸方向に摺動自在に支持されて
いる。支持筒の外周部には周方向に等間隔をおいて複数
の永久磁石が配設されている。磁石の各々は、半径方向
両端に磁極面を有すると共に磁極面同士が周方向に交互
に異極となるよう配列されている。ケースの上記外周壁
の、磁石の各々の外面を覆う部分は磁性材の薄板から構
成され、また磁石の各々間の空隙を覆う部分は非磁性材
の薄板から構成されている。支持筒は、アクチュエータ
であるエアシリンダ機構によって、磁石の各々における
磁極面の外面が磁性材の薄板を挟んで制動ドラムの内周
面と対向する制動位置と、制動ドラムの内側から軸方向
外側に退避する非制動位置とに軸方向に往復移動させら
れる。制動時には、磁石、磁性材の薄板、制動ドラム、
前記磁性材の薄板に対し非磁性材の薄板を挟んで周方向
に隣接する他の磁性材の薄板、前記磁石に対し上記空隙
を挟んで周方向に隣接する他の磁石、及び支持筒の間に
磁気回路が形成され、制動ドラムに渦電流に基づく制動
トルクが発生する。非制動時には、磁石の各々の磁界は
制動ドラムに及ばなくなり、制動が解除される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来の渦電流
式減速装置においては、制動と非制動との切換は、エア
シリンダ機構によって支持筒をケース内の内周壁に沿っ
て軸方向に往復移動(摺動)させることにより行なわれ
るよう構成されている。すなわち、上記した従来の渦電
流式減速装置においては、制動と非制動とを切り換える
ための機構として可動部(具体的には摺動部)を必要と
するので、可動不良(具体的には摺動不良)が発生する
おそれがある。また、支持筒をケース内の内周壁に沿っ
て軸方向に所定のストロークだけ往復移動させる必要が
あること、そのためのアクチュエータとして軸方向に延
在するエアシリンダ機構が適用されること、などによ
り、軸方向寸法が大きくなるので、構成が大型化する。
なお、上記した問題は、制御ドラムを備えた渦電流式減
速装置に限定して存在するものではなく、制動ディスク
を備えた渦電流式減速装置においても、共通して存在す
るものである。上記した問題を解決するためには、可動
部を設けることなく、制動と非制動との切り換えを可能
とする新規な機構の開発が要請されるところである。
【0004】本発明の目的は、可動部を設けることな
く、永久磁石とヨークとの間に形成される短絡磁気回路
に流れる永久磁石からの磁束を、近接して配置された強
磁性部材との間に協働して形成される磁気回路に選択的
にかつ増幅して供給することを可能にする、新規な磁気
回路の切換機構を提供することである。
【0005】本発明の他の目的は、可動部を設けること
なく、永久磁石とヨークとの間に形成される短絡磁気回
路に流れる永久磁石からの磁束を、近接して配置された
ロータとの間に協働して形成される磁気回路に選択的に
かつ増幅して供給できるようにして、非制動と制動との
切り換えを可能にする、新規な渦電流式減速装置を提供
することである。
【0006】本発明の更に他の目的は、可動部を設ける
ことなく、永久磁石とヨークとの間に形成される短絡磁
気回路に流れる永久磁石からの磁束を、近接して配置さ
れたロータとの間に協働して形成される磁気回路に選択
的にかつ増幅して供給できるようにして、非制動と制動
との切り換えを可能にすると共に、制動トルクの制御が
自在である、新規な渦電流式減速装置を提供することで
ある。
【0007】本発明の更に他の目的は、電磁石のみを使
用した渦電流式減速装置に較べて、電磁石の構成を従来
よりも小型化することを可能にし、しかも従来よりも大
きな制動トルクを得ることを可能にする、新規な渦電流
式減速装置を提供することである。
【0008】本発明の更に他の目的は、永久磁石のみを
使用した渦電流式減速装置に較べて、永久磁石の磁力を
従来よりも少なくすることを可能にし、しかも従来より
も大きな制動トルクを制御自在に得ることを可能にす
る、新規な渦電流式減速装置を提供することである。
【0009】本発明のその他の目的及び特徴は、本発明
に従って構成された磁気回路の切換機構及び該機構を使
用した渦電流式減速装置の実施形態について、添付図面
を参照して詳細に説明する後の記載から明らかになるで
あろう。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の一局面によれ
ば、近接して配置された強磁性部材と協働して形成され
る磁気回路に選択的に磁束を供給することができる磁気
回路の切換機構であって、基部の両端から延び出して相
互に間隔をおいて対向する一対の対向部を含む強磁性材
からなるヨークと、該対向部間に磁極面が密着して配設
された永久磁石と、ヨークの一部領域を囲むよう配設さ
れた電磁コイルとを備え、該強磁性部材は、該対向部
の、相互に対向しない一対の外側面に対し隙間をおいて
かつ該外側面の各々に跨がって延在するよう配置され、
永久磁石とヨークとの間にはループ状の短絡磁気回路が
形成され、永久磁石と該対向部の各々と該強磁性部材と
の間には該隙間を介してループ状の該磁気回路が形成さ
れ、短絡磁気回路に、永久磁石から発生して短絡磁気回
路を流れる磁束の向きと逆向きに流れる磁束が発生する
よう電磁コイルに通電して永久磁石からの該磁束の流量
を規制することにより、規制された永久磁石からの該磁
束及び電磁コイルの通電によって発生する該磁束を、該
強磁性部材と協働して形成される該磁気回路に流すこと
ができるよう構成されている、ことを特徴とする磁気回
路の切換機構、が提供される。電磁コイルは、ヨーク
の、永久磁石の磁極面におけるN極とS極との間に存在
する中央部領域よりもN極寄りの領域を囲むよう配設さ
れる、ことが好ましい。
【0011】本発明の他の局面によれば、制動ドラム
と、制動ドラムの半径方向内側に配設された支持筒と、
支持筒の外周部に周方向に間隔をおいて配設されかつ制
動ドラムと協働して形成される磁気回路に選択的に磁束
を供給することができる複数の磁気回路の切換機構とを
備え、該切換機構の各々は、基部の両端から延び出して
相互に間隔をおいて対向する一対の対向部を含む強磁性
材からなるヨークと、該対向部間に磁極面が密着して配
設された永久磁石と、ヨークの一部領域を囲むよう配設
された電磁コイルとを備え、制動ドラムは、該対向部
の、相互に対向しない一対の外側面に対し隙間をおいて
かつ該外側面の各々に跨がって延在するよう配置され、
永久磁石とヨークとの間にはループ状の短絡磁気回路が
形成され、永久磁石と該対向部の各々と制動ドラムとの
間には該隙間を介してループ状の該磁気回路が形成さ
れ、短絡磁気回路に、永久磁石から発生して短絡磁気回
路を流れる磁束の向きと逆向きに流れる磁束が発生する
よう電磁コイルに通電して永久磁石からの該磁束の流量
を規制することにより、規制された永久磁石からの該磁
束及び電磁コイルの通電によって発生する該磁束を、制
動ドラムと協働して形成される該磁気回路に流すことが
できるよう構成されている、ことを特徴とする渦電流式
減速装置、が提供される。
【0012】本発明の更に他の局面によれば、制動ドラ
ムと、制動ドラムの半径方向内側に配設された環状のケ
ースであって、制動ドラムの内周面に近接して配置され
かつ薄板から構成された外周壁、を含む環状のケース
と、ケース内に周方向に間隔をおいて配設されかつ制動
ドラムと協働して形成される磁気回路に選択的に磁束を
供給することができる複数の磁気回路の切換機構とを備
え、該切換機構の各々は、基部の両端から延び出して相
互に間隔をおいて対向する一対の対向部を含む強磁性材
からなるヨークと、該対向部間に磁極面が密着して配設
された永久磁石と、ヨークの一部領域を囲むよう配設さ
れた電磁コイルとを備え、制動ドラムは、該対向部の、
相互に対向しない一対の外側面に対し該外周壁を介して
隙間をおいてかつ該外側面の各々に跨がって延在するよ
う配置され、永久磁石とヨークとの間にはループ状の短
絡磁気回路が形成され、永久磁石と該対向部の各々と制
動ドラムとの間には該外周壁及び該隙間を介してループ
状の該磁気回路が形成され、短絡磁気回路に、永久磁石
から発生して短絡磁気回路を流れる磁束の向きと逆向き
に流れる磁束が発生するよう電磁コイルに通電して永久
磁石からの該磁束の流量を規制することにより、規制さ
れた永久磁石からの該磁束及び電磁コイルの通電によっ
て発生する該磁束を、制動ドラムと協働して形成される
該磁気回路に流すことができるよう構成されている、こ
とを特徴とする渦電流式減速装置、が提供される。
【0013】本発明の更に他の局面によれば、制動ディ
スクと、制動ディスクの軸方向片側に配設された環状の
支持体と、支持体の外周部に周方向に間隔をおいて配設
されかつ制動ディスクと協働して形成される磁気回路に
選択的に磁束を供給することができる複数の磁気回路の
切換機構とを備え、該切換機構の各々は、基部の両端か
ら延び出して相互に間隔をおいて対向する一対の対向部
を含む強磁性材からなるヨークと、該対向部間に磁極面
が密着して配設された永久磁石と、ヨークの一部領域を
囲むよう配設された電磁コイルとを備え、制動ディスク
は、該対向部の、相互に対向しない一対の外側面に対し
隙間をおいてかつ該外側面の各々に跨がって延在するよ
う配置され、永久磁石とヨークとの間にはループ状の短
絡磁気回路が形成され、永久磁石と該対向部の各々と制
動ディスクとの間には該隙間を介してループ状の該磁気
回路が形成され、短絡磁気回路に、永久磁石から発生し
て短絡磁気回路を流れる磁束の向きと逆向きに流れる磁
束が発生するよう電磁コイルに通電して永久磁石からの
該磁束の流量を規制することにより、規制された永久磁
石からの該磁束及び電磁コイルの通電によって発生する
該磁束を、制動ディスクと協働して形成される該磁気回
路に流すことができるよう構成されている、ことを特徴
とする渦電流式減速装置、が提供される。
【0014】本発明の更に他の局面によれば、制動ディ
スクと、制動ディスクの軸方向片側に配設された環状の
ケースであって、制動ディスクの片面に近接して配置さ
れかつ薄板から構成された環状の端壁を含む環状のケー
スと、ケース内に周方向に間隔をおいて配設されかつ制
動ディスクと協働して形成される磁気回路に選択的に磁
束を供給することができる複数の磁気回路の切換機構と
を備え、該切換機構の各々は、基部の両端から延び出し
て相互に間隔をおいて対向する一対の対向部を含む強磁
性材からなるヨークと、該対向部間に磁極面が密着して
配設された永久磁石と、ヨークの一部領域を囲むよう配
設された電磁コイルとを備え、制動ディスクは、該対向
部の、相互に対向しない一対の外側面に対し該端壁を介
して隙間をおいてかつ該外側面の各々に跨がって延在す
るよう配置され、永久磁石とヨークとの間にはループ状
の短絡磁気回路が形成され、永久磁石と該対向部の各々
と制動ディスクとの間には該端壁及び該隙間を介してル
ープ状の該磁気回路が形成され、短絡磁気回路に、永久
磁石から発生して短絡磁気回路を流れる磁束の向きと逆
向きに流れる磁束が発生するよう電磁コイルに通電して
永久磁石からの該磁束の流量を規制することにより、規
制された永久磁石からの該磁束及び電磁コイルの通電に
よって発生する該磁束を、制動ディスクと協働して形成
される該磁気回路に流すことができるよう構成されてい
る、ことを特徴とする渦電流式減速装置、が提供され
る。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適実施形態を添
付図面を参照して更に詳細に説明する。先ず図1〜図3
を参照して、本発明に従って構成された磁気回路の切換
機構の実施形態を説明する。磁気回路の切換機構100
は、ヨーク110と、永久磁石120と、電磁コイル1
30とを備えている。鉄等の強磁性材から好適に形成す
ることができるヨーク110は、基部112と、基部1
12と一体に形成されかつ基部112の両端から平行に
延び出して相互に間隔をおいて対向する一対の対向部1
14及び116とから構成され、全体としてほぼU形状
ないしチャンネル形状をなすよう形成されている。基部
112は、所定の長さだけ軸方向(対向部114及び1
16が一体に形成される両端方向)に直線状に延在する
よう形成され、かつ矩形状の横断面(該軸方向に直交す
る横断面)を有するよう形成されている。相互に実質上
同じ構成及び大きさを有する対向部114及び116
は、縦長の矩形状及び横断面を有するように形成され、
全体として細長い直方体形状をなしている。対向部11
4及び116は、面積の大きな表面が基部112を長手
方向の両端から挟んで平行に対向しかつ該軸方向に見
て、相互に整合するよう位置付けられている。
【0016】ヨーク110の対向部114及び116間
には直方体形状に形成された永久磁石120が配設され
ている。永久磁石120は、その軸方向(基部112に
平行な軸方向)の両端面が磁極面をなすよう着磁されて
おり、一方の磁極面(実施形態においてはN極)が対向
部114の内側面に密着し、他方の磁極面(実施形態に
おいてはS極)が対向部116の内側面に密着するよ
う、例えば接着剤により固着されることにより配設され
ている。切換機構100を上記軸方向に見て、基部11
2は、対向部114及び116の長手方向(上記軸方向
に直交する方向)の一端寄りの中央部位置に配置され、
永久磁石120は、対向部114及び116の長手方向
の他端寄り(先端寄り)の中央部位置に配置されてい
る。上記軸方向に見て、基部112及び永久磁石120
の各々の外周面は、ヨーク110の外側面に対しそれぞ
れ所定の距離だけ内側に位置付けられるよう、その大き
さが規定されている。電磁コイル130は、ヨーク11
0の一部領域、図示の実施形態においては基部112を
囲むよう配設されている。このような構成に起因して、
電磁コイル130の外周面(巻線の束の外周面)が、ヨ
ーク110の側面から外方に突出しないよう位置付ける
ことが可能になるので、切換機構100の構成が全体と
してコンパクトとなる。なお、ヨーク110の一部領域
である基部112は、ヨーク110の、永久磁石120
の磁極面におけるN極とS極との間に存在する中央部領
域に位置付けられている。電磁コイル130の一端は、
図示しない開閉スイッチを含む磁気回路切換制御手段1
32を介して電源134に接続され、他端はアースされ
ている。
【0017】上記のように構成された切換機構100
は、近接して配置された強磁性部材200と協動して形
成される磁気回路に選択的に磁束を供給するこができる
よう構成されている。強磁性部材200は、切換機構1
00のヨーク110の対向部114及び116の、相互
に対向しない一対の外側面114a及び116aに対し
隙間をおいてかつ該外側面114a及び116aの各々
に跨がって延在するよう配置される。強磁性部材200
の具体例としては、例えば、渦電流式減速装置のロータ
(制動ドラム又は制動ディスク)を挙げることができ
る。永久磁石120とヨーク110との間にはループ状
の短絡磁気回路Xが形成される(図3参照)。また、永
久磁石120とヨーク110と強磁性部材200との間
には該隙間を介してループ状の磁気回路Yが形成され
る。磁気回路Yには該隙間が存在し、短絡磁気回路Xに
は隙間が存在しないので、磁気回路Yの磁気抵抗は短絡
磁気回路Xの磁気抵抗に比較して著しく大きくなるの
で、永久磁石120から発生する磁束は、強磁性部材2
00にはほとんど流れず、ほとんどの磁束が短絡磁気回
路Xを流れることになる。
【0018】磁気回路切換制御手段132における開閉
スイッチをONし、ヨーク110の該一部領域である基
部112に、短絡磁気回路Xを流れる磁束の向き(図1
において、短絡磁気回路Xに記されている矢印参照)と
逆向きに流れる磁束(図1において、ヨーク110に記
されている白地の矢印x参照)が発生するよう電磁コイ
ル130に通電すると、それに対応して短絡磁気回路X
の磁気抵抗が増加し、永久磁石120から発生して短絡
磁気回路Xを流れる磁束の流量が規制される。短絡磁気
回路Xの磁気抵抗が磁気回路Yの磁気抵抗よりも大きく
なると、磁気回路Yへ流れる磁束が増加する。その結
果、電磁コイル130の該通電によって短絡磁気回路X
への流れが規制された永久磁石120からの磁束と、電
磁コイル130の通電によって発生する該磁束が共に磁
気回路Yに流れることになる(図3において、白地の矢
印は電磁コイル130からの磁束を示している)。すな
わち、電磁コイル130の通電によって発生する磁束量
と、短絡磁気回路Xへの流れが規制された、永久磁石1
20の磁束量はほぼ等しいので、磁気回路Yには、電磁
コイル130の該通電によって短絡磁気回路Xへの流れ
が規制された永久磁石120からの磁束量のほぼ2倍の
磁束が流れることになる。したがって、永久磁石120
から発生する全磁束量と実質上同じ磁束量を電磁コイル
130の通電によって発生させると、磁気回路Yに流れ
る磁束量は、永久磁石120から発生する全磁束量のほ
ぼ2倍に増幅されることになる。電磁コイル130を含
む電気回路に流れる電流は、磁気回路切換制御手段13
2に含まれる図示しない電流制御手段により自由に制御
できるので、磁気回路Yに流れる磁束量を自由に制御す
ることが可能になる。なお、磁気回路切換制御手段13
2における開閉スイッチをOFFして、電磁コイル13
0への通電をOFFすることにより、短絡磁気回路X
の、電磁コイル130の作動に起因する磁気抵抗がゼロ
となり、短絡磁気回路Xの磁気抵抗が磁気回路Yよりも
著しく小さい、元の状態に復帰させられるので、永久磁
石20の磁束のほとんどが短絡磁気回路Xに流れ、磁気
回路Yにはほとんど流れなくなる。
【0019】上記説明から明らかなように、上記切換機
構100によれば、特別に可動部を設けることなく、永
久磁石120とヨーク110との間に形成される短絡磁
気回路Xに流れる永久磁石120からの磁束を、近接し
て配置された強磁性部材200との間に協働して形成さ
れる磁気回路Yに、選択的にかつ増幅して供給すること
が可能になる。強磁性部材200を、切換機構100に
対して相対的に回転する、渦電流式減速装置のロータ
(制動ドラム又は制動ディスク)に置き換えた場合に
は、従来装置におけるような可動部を設けることなく、
永久磁石120とヨーク110との間に形成される短絡
磁気回路Xに流れる永久磁石120からの磁束を、近接
して配置されたロータとの間に協働して形成される磁気
回路Yに選択的にかつ増幅して供給できるようにして、
非制動と制動との切り換えを容易に可能にするものであ
る。また、磁気回路Yへの磁束量の制御は、電磁コイル
130の該通電量を制御することにより自由に制御しう
るので、制動トルクの制御は自由にかつ容易に可能とな
る。更にはまた、電磁石のみを使用した従来の渦電流式
減速装置に較べて、電磁石の構成を従来よりも小型化す
ることを可能にし、しかも従来よりも大きな制動トルク
を得ることを可能にするものである。更にはまた、永久
磁石のみを使用した渦電流式減速装置に較べて、永久磁
石の磁力を従来よりも少なくすることを可能にし、従来
よりも大きな制動トルクを制御自在に得ることを可能に
するものである。
【0020】なお、上記実施形態において、強磁性部材
200(一例としてはロータ)は、ヨーク110の対向
部114及び116の、相互に対向しない外側面114
a及び116aに対し隙間をおいてかつ該外側面114
a及び116aの各々に跨がって延在するよう配置され
ているが、これに代えて、対向部114及び116の、
相互に対向しない他の外側面114b及び116bに対
し隙間をおいてかつ他の外側面114b及び116bの
各々に跨がって延在するよう配置する他の実施形態、あ
るいは、対向部114及び116の、相互に対向しない
更に他の外側面114c及び116cに対し隙間をおい
てかつ他の外側面114c及び116cの各々に跨がっ
て延在するよう配置する更に他の実施形態、もそれぞれ
成立する。これらの実施形態においても、先の実施形態
におけると実質上同じ作用効果が達成される。
【0021】図4には切換機構100の他の実施形態が
示されている。図4に示す切換機構100において、ヨ
ーク110は一端から他端まで実質上同じ矩形状の横断
面形状をもって連続するよう構成され、全体としてほぼ
U形状ないしチャンネル形状をなすよう形成されてい
る。そしてヨーク110の基部112には、基部112
を囲むよう電磁コイル130が配設されている。その他
の構成は、図1〜図3を参照して説明した先の実施形態
と実質上同じであるので、実質上同一部分には同一符号
を付し、説明は省略する。この実施形態は、先の実施形
態よりも低コストで製造可能であることに加えて更に、
先の実施形態におけると実質上同じ特徴ある構成を備え
ているので、実質上同じ作用効果を得ることができる。
【0022】図5には切換機構100の更に他の実施形
態が示されている。図5に示す切換機構100におい
て、電磁コイル130は、ヨーク110の、永久磁石1
20の磁極面におけるN極とS極との間の中央部領域
(基部112)よりもN極寄りの領域である対向部11
4の一部領域を囲むよう配設されている。その他の構成
は、図1〜図3を参照して説明した先の実施形態と実質
上同じであるので、実質上同一部分には同一符号を付
し、説明は省略する。この実施形態においては、電磁コ
イル130に囲まれる一部領域が、先の実施形態におけ
るよりも、永久磁石120のN極に近いので、短絡磁気
回路Xから磁気回路Yへの磁束の流れの切換動作がより
迅速に行なわれ、制動操作における応答性が向上する。
この実施形態においても、先の実施形態におけると実質
上同じ特徴ある構成を備えているので、実質上同じ作用
効果を得ることができる。
【0023】上記切換機構100において、ヨーク11
0の対向部114及び116の横断面は矩形状をなして
いるが、これに限定されるものではなく、適宜の変更は
可能である。例えば、図1に示す実施形態において、対
向部114及び116の、相互に対向しない更に他の外
側面114d及び116dが、外側面114a及び11
6aからそれらに対向する他の外側面114c及び11
6cに向かうに従って、相互に接近する方向に延びる傾
斜面から形成されるような構成(図3において、2点鎖
線で示されているように、外側面114c及び116c
の左右方向の幅が外側面114a及び116aの同方向
幅よりも狭くなるような構成)を、一例として挙げるこ
とができる。この構成により、所定の磁束量を確保しな
がら切換機構100の軽量化を図ることができる。ま
た、図1に示す実施形態において、基部112及び永久
磁石120の横断面形状(図2に示される面上の断面形
状)も、矩形状に限定されるものではなく、例えば、円
形状、多角形状、その他の形状への変形は可能である。
【0024】次に、本発明による切換機構100の実施
形態を使用した渦電流式減速装置の実施形態について説
明する。図6及び図7を参照して、図示しないトラック
におけるトランスミッションの出力軸(回転軸)2に
は、半径方向外方に延びるフランジ部4が取り付けられ
ている。フランジ部4には、パーキングブレーキ用の制
動ドラム6と、渦電流式減速装置用のロータである制動
ドラム7とが複数のボルト8により共締めされている。
以上の構成により制動ドラム7は出力軸2に連結され
る。制動ドラム7は鉄などの透磁率の大なる強磁性材か
ら形成されている。制動ドラム7の半径方向外側及び軸
方向の外側には複数の冷却フィン9が一体に設けられて
いる。制動ドラム7の内側(環状空間の内側)には、中
空円環状のケース10が同軸に配設されている。図示し
ないミッションケースに装着されたケース10は、全体
がほぼ円筒形状をなす外周壁12と、外周壁12よりも
小径の内周壁14と、外周壁12及び内周壁14の軸方
向両端においてそれらを連結するように配設された円環
状の端壁16及び18とから構成されている。ケース1
0の軸方向のほぼ半分は、制動ドラム7の内側(開放端
を除く内周面の内側)に配置されている。ケース10
は、全体が例えばアルミニウムなどの非磁性材から構成
されている。
【0025】ケース10における外周壁12の、制動ド
ラム7の軸方向の外側に位置付けられた軸方向の一部分
である外側部分12aと、外側部分12aの軸方向の一
端から半径方向内側に延びる端壁16と、端壁16の半
径方向内端から軸方向の他端に向かって制動ドラム7の
内側まで延びる内周壁14とは、縦断面において、水平
方向に向けられたほぼチャンネル形状(外周壁12の外
側部分12aよりも内周壁14の方が長いので、長さ違
いのチャンネル形状)をなすよう、例えばアルミニウム
などの非磁性材から一体に形成されている。また、外周
壁12の、制動ドラム7の内側において制動ドラム7の
内周面に近接して位置付けられた内側近接部分12bを
含む軸方向の他の部分は、例えばアルミニウムなどの非
磁性材からなる薄板から筒状体をなすように一体に形成
されている。半径方向に延在する端壁18はアルミニウ
ムなどの非磁性材からなるリング形状に形成されてい
る。ケース10はこれら三つの環状部材から構成されて
いる。
【0026】ケース10における外周壁12の外側部分
12aの、制動ドラム7側の他端には、半径方向外方に
延びる環状のフランジ部12cが形成されている。外周
壁12の、薄板からなる内側近接部分12bの軸方向の
一端部は制動ドラム7の開放端の外側に突出し、該突出
部には半径方向外方に延びる環状のフランジ部12dが
形成されている。また、内側近接部分12bの軸方向の
他端には、半径方向内側に延びるフランジ部12eが形
成されている。ケース10における内周壁14の、制動
ドラム7の内側に位置する軸方向の他端には、半径方向
内方に延びる環状のフランジ部12fが形成されてい
る。端壁18は内周壁14にフランジ部12fを介して
ボルト12gにより結合され、外周壁12の、内側近接
部分12bは、そのフランジ部12dを外側部分12a
のフランジ部12cにボルト12hにより締結すること
により外側部分12aに結合されると共に、そのフラン
ジ部12eを端壁18の外周縁部の外側にボルト12i
により締結することにより端壁18に結合される。ケー
ス10の円環状の中空部は、図1に示すように縦断面が
ほぼ矩形状をなしている。
【0027】ケース10の上記中空部内には、先に述べ
た切換機構100が周方向に間隔をおいて複数個配設さ
れている。この実施形態において、切換機構100のヨ
ーク110における対向部114及び116は、各々
の、相互に対向しない外側面114d及び116dが、
外側面114a及び116aからそれらに対向する他の
外側面114c及び116cに向かうに従って、相互に
接近する方向に延びる傾斜面から形成されるような構成
(図7において、外側面114c及び116cの左右方
向の幅が外側面114a及び116aの同方向幅よりも
狭くなるような構成)とされている。切換機構100の
その他の構成は、図1〜図3を参照して説明した実施形
態と実質上同一であるので、実質上同一部分には同一符
号を付し、説明は省略する。ヨーク110における対向
部114及び116の外側面114a及び116aは、
ケース10の内周壁14(切換機構100の支持筒を構
成する)の外周面に適宜の固着手段、例えば接着により
固着され、対向部114及び116の外側面114c及
び116cは、外周壁12の内側近接部分12bに隙間
をおいて対向するよう配置されている。切換機構100
の各々において、永久磁石120とヨーク110と制動
ドラム7との間には、外周壁12の内側近接部分12b
及び該隙間を介して磁気回路Yが形成される(図7参
照)。磁気回路Yの磁気抵抗は、該隙間(対向部114
及び116の外側面114c及び116cと外周壁12
の内側近接部分12bとの間の隙間及び外周壁12の内
側近接部分12bと制動ドラム7との間の隙間)が、外
周壁12の内側近接部分12bを介在する分、図1〜図
3に示す切換機構100におけるよりも、短絡磁気回路
Xに対し磁気抵抗はより大きくなり、後述する非制動時
における磁気漏れに起因する引きずりトルクは更に低く
なるので、引きずりトルクは実質上発生しない。永久磁
石120の磁極面は周方向に向けられて配置される。相
互に周方向に隣接する切換機構100において、各永久
磁石120の磁極は相互に異極(N−N、S−S)とな
るよう配置される。なお、図6及び図7に示す渦電流式
減速装置に備えられた切換機構100の各々において、
電磁コイル130の一端は、図1に示す実施形態と同様
に、図示しない開閉スイッチを含む共通の磁気回路切換
制御手段を介して電源に接続され、他端はアースされて
いる(いずれも図示せず)。
【0028】以上のように構成された渦電流式減速装置
を作動させて、走行中のトラックに制動(補助制動)を
作用させる(制動ONとする)場合には、共通の磁気回
路切換制御手段における開閉スイッチをONして、切換
機構100の各々の電磁コイル130に所定の電流を流
す。その結果、磁気回路Yには、先に述べたとおりにし
て、電磁コイル130の通電量に対応して増幅された磁
束が流れるので、制動ドラム7には渦電流が発生し、制
動ドラム7に対する制動が作動させられる(図7におい
て、白地の矢印は電磁コイル130からの磁束を示して
いる)。したがって、上記渦電流式減速装置において
は、従来装置におけるような可動部を設けることなく、
永久磁石120とヨーク110との間に形成される短絡
磁気回路Xに流れる永久磁石120からの磁束を、近接
して配置された制動ドラム7との間に協働して形成され
る磁気回路Yに選択的にかつ増幅して供給することがで
きるので、非制動と制動との切り換えはきわめて容易で
ある。また、磁気回路Yへの磁束量の制御は、電磁コイ
ル130の該通電量を制御することにより自由に制御し
うるので、制動ドラム7に作用させる制動トルクの制御
は自由にかつ容易に可能となる。更にはまた、電磁石の
みを使用した従来の渦電流式減速装置に較べて、電磁石
の構成を従来よりも小型化することを可能にし、しかも
従来よりも大きな制動トルクを得ることを可能にするも
のである。更にはまた、永久磁石のみを使用した渦電流
式減速装置に較べて、永久磁石の磁力を従来よりも少な
くすることを可能にし、しかも、従来よりも大きな制動
トルクを制御自在に得ることを可能にするものである。
【0029】上記渦電流式減速装置において、制動を解
除させて非制動に切り換える(制動をOFFに切り換え
る)場合には、共通の磁気回路切換制御手段における開
閉スイッチをOFFして、切換機構100の各々の電磁
コイル130への通電をOFFすることにより、永久磁
石20の磁束のほとんどが短絡磁気回路Xに流れ、磁気
回路Yにはほとんど流れなくなる。その結果、制動ドラ
ム7には渦電流が実質上発生しなくなるので、制動が実
質上完全に解除され、引きずりトルクは実質上発生しな
い。
【0030】次に本発明による切換機構100の実施形
態を使用した渦電流式減速装置の他の実施形態について
説明する。図6及び図7を参照して説明した渦電流式減
速装置においては、渦電流式減速装置用のロータとして
制動ドラム7が使用されているが、図8〜図10に示す
渦電流式減速装置においては、制動ドラム7に代えて、
制動ディスク30が使用されている。図8〜図10を参
照して、図示しない車両であるトラックにおけるトラン
スミッションの出力軸(回転軸)には、渦電流式減速装
置用のロータである制動ディスク30がそれと一体に回
転しうるよう装着されている。制動ディスク30の軸方
向片側には中空円環状のケース40が同軸に配設されて
いる。
【0031】図示しないトランスミッションケースに装
着されたケース30は、全体がほぼ円筒形状をなす外周
壁42と、全体がほぼ円筒形状をなす内周壁44であっ
て、外周壁42よりも小径の内周壁44と、外周壁42
及び内周壁44の軸方向一端においてそれらを連結する
よう一体に形成された円環状の一端壁46とを備え、縦
断面が実質上チャンネル形状をなすよう形成されてい
る。ケース40の上記部分は、例えばアルミニウムなど
の非磁性材から一体に形成されており、そのチャンネル
形状の開放端は、制動ディスク30の該片側の片面に近
接した位置において、制動ディスク30の該片面に対向
するよう位置付けられている。ケース40の外周壁42
の上記開放側の他端には、半径方向外側に延びるフラン
ジ部42aが形成され、また内周壁44の上記開放側の
他端には、半径方向内側に延びるフランジ部44aが形
成されている。ケース40の外周壁42及び内周壁44
の上記開放側の他端には、例えば、アルミニウム等の非
磁性材からなる薄板により構成された環状の他端壁48
が、フランジ部42a及び44aの各々にボルト49に
よって締結されることにより装着されている。ケース4
0のチャンネル形状の開放端は、他端壁48によって閉
塞され、ケース40内には、ほぼ矩形状の縦断面を有す
る円環状の中空部が形成される。他端壁48は、制動デ
ィスク30の片面に近接して配置されている。ケース4
0はこれら三つの環状部材から構成されている。
【0032】ケース40の上記中空部内には、先に述べ
た切換機構100が周方向に間隔をおいて複数個配設さ
れている。切換機構100の構成は、図1〜図3を参照
して説明した実施形態と実質上同一であるので、実質上
同一部分には同一符号を付し、説明は省略する。ヨーク
110における対向部114及び116の外側面114
c及び116cは、ケース10の内周壁14(切換機構
100の支持体を構成する)の外周面に適宜の固着手
段、例えば接着により固着され、対向部114及び11
6の外側面114b及び116bは、端壁48に隙間を
おいて対向するよう配置されている。先の渦電流式減速
装置における実施形態におけると同様に、切換機構10
0の各々において、永久磁石120とヨーク110と制
動ディスク30との間には、端壁48及び該隙間を介し
て磁気回路Yが形成される(図10参照)。磁気回路Y
の磁気抵抗は、該隙間(対向部114及び116の外側
面114b及び116bと端壁48との間の隙間及び端
壁48と制動ディスク30との間の隙間)が、端壁48
を介在する分、図1〜図3に示す切換機構100におけ
るよりも、短絡磁気回路Xに対し磁気抵抗はより大きく
なり、後述する非制動時における磁気漏れに起因する引
きずりトルクは更に低くなるので、引きずりトルクは実
質上発生しない。永久磁石120の磁極面は周方向に向
けられて配置される。相互に周方向に隣接する切換機構
100において、各永久磁石120の磁極は相互に異極
(N−N、S−S)となるよう配置される。
【0033】以上のように構成された渦電流式減速装置
を作動させて、走行中のトラックに制動(補助制動)を
作用させる(制動ONとする)場合には、共通の磁気回
路切換制御手段における開閉スイッチをONして、切換
機構100の各々の電磁コイル130に所定の電流を流
す。その結果、磁気回路Yには、先に述べたとおりにし
て、電磁コイル130の通電量に対応して増幅された磁
束が流れるので、制動ディスク30には渦電流が発生
し、制動ディスク30に対する制動が作動させられる
(図10において、白地の矢印は電磁コイル130から
の磁束を示している)。したがって、上記渦電流式減速
装置においては、従来装置におけるような可動部を設け
ることなく、永久磁石120とヨーク110との間に形
成される短絡磁気回路Xに流れる永久磁石120からの
磁束を、近接して配置された制動ディスク30との間に
協働して形成される磁気回路Yに選択的にかつ増幅して
供給することができるので、非制動と制動との切り換え
はきわめて容易である。また、磁気回路Yへの磁束量の
制御は、電磁コイル130の該通電量を制御することに
より自由に制御しうるので、制動ディスク30に作用さ
せる制動トルクの制御は自由にかつ容易に可能となる。
更にはまた、電磁石のみを使用した従来の渦電流式減速
装置に較べて、電磁石の構成を従来よりも小型化するこ
とを可能にし、しかも従来よりも大きな制動トルクを得
ることを可能にするものである。更にはまた、永久磁石
のみを使用した渦電流式減速装置に較べて、永久磁石の
磁力を従来よりも小さくすることを可能にし、しかも従
来よりも大きな制動トルクを制御自在に得ることを可能
にするものである。
【0034】上記渦電流式減速装置において、制動を解
除させて非制動に切り換える(制動をOFFに切り換え
る)場合には、先に述べたように、共通の磁気回路切換
制御手段における開閉スイッチをOFFして、切換機構
100の各々の電磁コイル130への通電をOFFする
ことにより、永久磁石20の磁束のほとんどが短絡磁気
回路Xに流れ、磁気回路Yにはほとんど流れなくなる。
その結果、制動ディスク30には渦電流が実質上発生し
なくなるので、制動が実質上完全に解除され、引きずり
トルクは実質上発生しない。
【0035】以上、本発明を実施形態に基づいて添付図
面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は上記実施
形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱す
ることなく、更に他の種々の変形あるいは修正が可能で
ある。例えば、図6及び図7に示す渦電流式減速装置の
実施形態において、切換機構100はケース10内に配
設され、また図8〜図10に示す渦電流式減速装置の実
施形態において、切換機構100はケース40内に配設
されているが、それぞれケース10、ケース40内に配
設しない実施形態もありうる。すなわち本発明は、車両
以外の渦電流式減速装置にも適用可能であるので、塵埃
の少ない場所、例えばクリーン度が厳しく管理されてい
る室内の機械装置に適用された場合には、切換機構10
0の各々を上記ケース10、ケース40で覆わなくと
も、異物の吸着による影響を受けないこともありうるか
らである。
【0036】図8〜図10に示す実施形態において、切
換機構100は、制動ディスク30の軸方向の片側に配
設されているが、両側に配設する他の実施形態もある。
この実施形態によれば、制動トルクを倍増することが可
能になる。
【0037】
【発明の効果】本発明による磁気回路の切換機構によれ
ば、可動部を設けることなく、永久磁石とヨークとの間
に形成される短絡磁気回路に流れる永久磁石からの磁束
を、近接して配置された強磁性部材との間に協働して形
成される磁気回路に選択的にかつ増幅して供給すること
を可能にする。また、本発明による渦電流式減速装置に
よれば、可動部を設けることなく、永久磁石とヨークと
の間に形成される短絡磁気回路に流れる永久磁石からの
磁束を、近接して配置されたロータとの間に協働して形
成される磁気回路に選択的にかつ増幅して供給できるよ
うにして、非制動と制動との切り換えを可能にする。更
にはまた、可動部を設けることなく、永久磁石とヨーク
との間に形成される短絡磁気回路に流れる永久磁石から
の磁束を、近接して配置されたロータとの間に協働して
形成される磁気回路に選択的にかつ増幅して供給できる
ようにして、非制動と制動との切り換えを可能にすると
共に、制動トルクの制御が自在である。更にはまた、電
磁石のみを使用した渦電流式減速装置に較べて、電磁石
の構成を従来よりも小型化することを可能にし、しかも
従来よりも大きな制動トルクを得ることを可能にする。
更にはまた、永久磁石のみを使用した渦電流式減速装置
に較べて、永久磁石の磁力を従来よりも少なくすること
を可能にし、しかも従来よりも大きな制動トルクを制御
自在に得ることを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による磁気回路の切換機構の実施形態の
構成を示す平面図。
【図2】図1に示す切換機構を図1において下方から見
た側面図であって、一部を省略しかつ一部を断面にして
示す側面図。
【図3】図1に示す切換機構を図1において右方から見
た側面図。
【図4】本発明による磁気回路の切換機構の他の実施形
態の斜視図。
【図5】本発明による磁気回路の切換機構の更に他の実
施形態の斜視図。
【図6】本発明による磁気回路の切換機構の実施形態を
備えた渦電流式減速装置の実施形態の要部を示す縦断面
図であって、制動状態を示す縦断面図。
【図7】図6に示す渦電流式減速装置の要部横断面図。
【図8】本発明による磁気回路の切換機構の実施形態を
備えた渦電流式減速装置の他の実施形態の要部を示す縦
断面図であって、制動状態を示す縦断面図。
【図9】図8に示す渦電流式減速装置の要部を示す横断
面図であって、図8において左方から見た横断面図。
【図10】図8に示す渦電流式減速装置の要部を展開し
て示しかつ一部を断面で示す平面概略図。
【符号の説明】
7 制動ドラム 10、40 ケース 12 外周壁 30 制動ディスク 48 端壁 100 磁気回路の切換機構 110 ヨーク 112 基部 114、116 対向部 114a、116a 一側面 114b、114c、116b、116c 他側面 120 永久磁石 130 電磁コイル 200 強磁性部材 X 短絡磁気回路 Y 磁気回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浅野 雅樹 神奈川県藤沢市土棚8番地 株式会社い すゞ中央研究所内 (72)発明者 小林 晋 神奈川県藤沢市土棚8番地 株式会社い すゞ中央研究所内 Fターム(参考) 5H649 AA01 BB02 GG05 GG09 GG13 GG15 HH05 HH06 HH16 JK03 PP13

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 近接して配置された強磁性部材と協働し
    て形成される磁気回路に選択的に磁束を供給することが
    できる磁気回路の切換機構であって、基部の両端から延
    び出して相互に間隔をおいて対向する一対の対向部を含
    む強磁性材からなるヨークと、該対向部間に磁極面が密
    着して配設された永久磁石と、ヨークの一部領域を囲む
    よう配設された電磁コイルとを備え、該強磁性部材は、
    該対向部の、相互に対向しない一対の外側面に対し隙間
    をおいてかつ該外側面の各々に跨がって延在するよう配
    置され、永久磁石とヨークとの間にはループ状の短絡磁
    気回路が形成され、永久磁石と該対向部の各々と該強磁
    性部材との間には該隙間を介してループ状の該磁気回路
    が形成され、短絡磁気回路に、永久磁石から発生して短
    絡磁気回路を流れる磁束の向きと逆向きに流れる磁束が
    発生するよう電磁コイルに通電して永久磁石からの該磁
    束の流量を規制することにより、規制された永久磁石か
    らの該磁束及び電磁コイルの通電によって発生する該磁
    束を、該強磁性部材と協働して形成される該磁気回路に
    流すことができるよう構成されている、ことを特徴とす
    る磁気回路の切換機構。
  2. 【請求項2】 電磁コイルは、ヨークの、永久磁石の磁
    極面におけるN極とS極との間に存在する中央部領域よ
    りもN極寄りの領域を囲むよう配設される、請求項1記
    載の磁気回路の切換機構。
  3. 【請求項3】 制動ドラムと、制動ドラムの半径方向内
    側に配設された支持筒と、支持筒の外周部に周方向に間
    隔をおいて配設されかつ制動ドラムと協働して形成され
    る磁気回路に選択的に磁束を供給することができる複数
    の磁気回路の切換機構とを備え、該切換機構の各々は、
    基部の両端から延び出して相互に間隔をおいて対向する
    一対の対向部を含む強磁性材からなるヨークと、該対向
    部間に磁極面が密着して配設された永久磁石と、ヨーク
    の一部領域を囲むよう配設された電磁コイルとを備え、
    制動ドラムは、該対向部の、相互に対向しない一対の外
    側面に対し隙間をおいてかつ該外側面の各々に跨がって
    延在するよう配置され、永久磁石とヨークとの間にはル
    ープ状の短絡磁気回路が形成され、永久磁石と該対向部
    の各々と制動ドラムとの間には該隙間を介してループ状
    の該磁気回路が形成され、短絡磁気回路に、永久磁石か
    ら発生して短絡磁気回路を流れる磁束の向きと逆向きに
    流れる磁束が発生するよう電磁コイルに通電して永久磁
    石からの該磁束の流量を規制することにより、規制され
    た永久磁石からの該磁束及び電磁コイルの通電によって
    発生する該磁束を、制動ドラムと協働して形成される該
    磁気回路に流すことができるよう構成されている、こと
    を特徴とする渦電流式減速装置。
  4. 【請求項4】 制動ドラムと、制動ドラムの半径方向内
    側に配設された環状のケースであって、制動ドラムの内
    周面に近接して配置されかつ薄板から構成された外周
    壁、を含む環状のケースと、ケース内に周方向に間隔を
    おいて配設されかつ制動ドラムと協働して形成される磁
    気回路に選択的に磁束を供給することができる複数の磁
    気回路の切換機構とを備え、該切換機構の各々は、基部
    の両端から延び出して相互に間隔をおいて対向する一対
    の対向部を含む強磁性材からなるヨークと、該対向部間
    に磁極面が密着して配設された永久磁石と、ヨークの一
    部領域を囲むよう配設された電磁コイルとを備え、制動
    ドラムは、該対向部の、相互に対向しない一対の外側面
    に対し隙間をおいてかつ該外側面の各々に跨がって延在
    するよう配置され、永久磁石とヨークとの間にはループ
    状の短絡磁気回路が形成され、永久磁石と該対向部の各
    々と制動ドラムとの間には該外周壁及び該隙間を介して
    ループ状の該磁気回路が形成され、短絡磁気回路に、永
    久磁石から発生して短絡磁気回路を流れる磁束の向きと
    逆向きに流れる磁束が発生するよう電磁コイルに通電し
    て永久磁石からの該磁束の流量を規制することにより、
    規制された永久磁石からの該磁束及び電磁コイルの通電
    によって発生する該磁束を、制動ドラムと協働して形成
    される該磁気回路に流すことができるよう構成されてい
    る、ことを特徴とする渦電流式減速装置。
  5. 【請求項5】 制動ディスクと、制動ディスクの軸方向
    片側に配設された環状の支持体と、支持体の外周部に周
    方向に間隔をおいて配設されかつ制動ディスクと協働し
    て形成される磁気回路に選択的に磁束を供給することが
    できる複数の磁気回路の切換機構とを備え、該切換機構
    の各々は、基部の両端から延び出して相互に間隔をおい
    て対向する一対の対向部を含む強磁性材からなるヨーク
    と、該対向部間に磁極面が密着して配設された永久磁石
    と、ヨークの一部領域を囲むよう配設された電磁コイル
    とを備え、制動ディスクは、該対向部の、相互に対向し
    ない一対の外側面に対し隙間をおいてかつ該外側面の各
    々に跨がって延在するよう配置され、永久磁石とヨーク
    との間にはループ状の短絡磁気回路が形成され、永久磁
    石と該対向部の各々と制動ディスクとの間には該隙間を
    介してループ状の該磁気回路が形成され、短絡磁気回路
    に、永久磁石から発生して短絡磁気回路を流れる磁束の
    向きと逆向きに流れる磁束が発生するよう電磁コイルに
    通電して永久磁石からの該磁束の流量を規制することに
    より、規制された永久磁石からの該磁束及び電磁コイル
    の通電によって発生する該磁束を、制動ディスクと協働
    して形成される該磁気回路に流すことができるよう構成
    されている、ことを特徴とする渦電流式減速装置。
  6. 【請求項6】 制動ディスクと、制動ディスクの軸方向
    片側に配設された環状のケースであって、制動ディスク
    の片面に近接して配置されかつ薄板から構成された環状
    の端壁を含む環状のケースと、ケース内に周方向に間隔
    をおいて配設されかつ制動ディスクと協働して形成され
    る磁気回路に選択的に磁束を供給することができる複数
    の磁気回路の切換機構とを備え、該切換機構の各々は、
    基部の両端から延び出して相互に間隔をおいて対向する
    一対の対向部を含む強磁性材からなるヨークと、該対向
    部間に磁極面が密着して配設された永久磁石と、ヨーク
    の一部領域を囲むよう配設された電磁コイルとを備え、
    制動ディスクは、該対向部の、相互に対向しない一対の
    外側面に対し隙間をおいてかつ該外側面の各々に跨がっ
    て延在するよう配置され、永久磁石とヨークとの間には
    ループ状の短絡磁気回路が形成され、永久磁石と該対向
    部の各々と制動ディスクとの間には該端壁及び該隙間を
    介してループ状の該磁気回路が形成され、短絡磁気回路
    に、永久磁石から発生して短絡磁気回路を流れる磁束の
    向きと逆向きに流れる磁束が発生するよう電磁コイルに
    通電して永久磁石からの該磁束の流量を規制することに
    より、規制された永久磁石からの該磁束及び電磁コイル
    の通電によって発生する該磁束を、制動ディスクと協働
    して形成される該磁気回路に流すことができるよう構成
    されている、ことを特徴とする渦電流式減速装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008500800A (ja) * 2004-05-19 2008-01-10 ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト 可変バルブタイミングシステム用のブレーキ装置
JP2015171319A (ja) * 2014-03-05 2015-09-28 グッドリッチ アクチュエーション システムズ エスアーエス 空気力学的移動面を有する装置に用いるためのダンピングアッセンブリ

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