JP4600156B2 - 渦電流式減速装置 - Google Patents

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Description

本発明は、永久磁石を用いた渦電流式減速装置に関する。
トラックやバス等の自動車用の制動装置には、主ブレーキであるフットブレーキや補助ブレーキである排気ブレーキの他に、長い坂道の降坂等において安定した減速を行い、さらにフットブレーキの焼損を防止するために、渦電流式減速装置が使用される。
渦電流式減速装置としては、制動部材として、円盤状の制動ディスクを用いたディスクタイプと、円筒状の制動ドラムを用いたドラムタイプとがある。ディスクタイプの渦電流式減速装置としては、特開平1−298947号に開示されたものがある。一方、ドラムタイプの渦電流式減速装置としては、特開平1−298948号、特開平1−234043号に開示されたものがある。これらの装置では、制動部材として強磁性材が用いられている。
特開平1−298947号 特開平1−298948号 特開平1−234043号
渦電流式減速装置においては、制動時(制動状態)と非制動時(非制動状態)との間のスイッチング時に必要な力(以下、スイッチング力と呼ぶ)の低減と、その際に回転軸に加わるスラスト荷重の低減が大きな課題の1つである。また、渦電流式減速装置においては、装置の小型化や軽量化も重要である。
制動時における永久磁石による制動部材の吸引力を低減できれば、スイッチング力や、スイッチング時や制動時の回転軸へのスラスト荷重を減少させることができる。また、スイッチング力が小さければ、永久磁石を駆動する機構(エアシリンダ等)を小型化することができ、減速装置全体として小型化や軽量化を図ることが可能となる。
本発明は上記のような課題に鑑みてなされたものであり、スイッチング時及び制動時の回転軸へのスラスト荷重の低減やスイッチング力の低減を図り得る渦電流式減速装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る渦電流式減速装置は、回転軸に連結された制動部材と、制動時に磁極面が前記制動部材の制動面に対向し渦電流が前記制動部材に発生するように配置された永久磁石と、非回転部分に固定され、前記永久磁石を保持する保持部材と、前記永久磁石を制動時と非制動時とに切り替えるスイッチング機構とを備え、前記制動部材の作用部が非磁性材または弱磁性材を備えることを特徴としている。
制動部材の作用部に、非磁性材や弱磁性材を用いることにより、制動時の永久磁石による制動部材への吸引力を抑制し、さらには殆ど生じさせなくすることができる。従って、スイッチング力、さらにはスイッチング時及び制動時の回転軸に働くスラスト荷重を小さくすることができる。
ここで、「回転軸」は、機関に接続されるものに限定されず、自動車や鉄道車両などの回転軸であれば何処でも設置可能である。例えば、動輪ではない輪軸などに設置することも可能である。なお、「機関」とは、一般のエンジンや鉄道車両の電動モータ等の動力機関などであり、トランスミッションなどの変速機や減速機等まで含める概念と考えることができる。例えば、自動車のエンジンとトランスミッションを介して連結されるドライブシャフトなどの場合、トランスミッションまでを機関とし、ドライブシャフトを回転軸と考えてよい。
「非回転部分」とは、車両等の中で相対的に固定されている部分、例えば、自動車のシャーシやボディー、鉄道車両の台車などの部分である。
「制動部材の作用部」とは、磁力が作用して渦電流が発生し制動力が発生することに主に関わる領域をいい、「制動面」とは、磁力が作用して渦電流が発生する領域を含む曲面または平面を特に意味する。「対向し」とは、平面同士が向き合う状態、または曲面同士が向き合う状態をいう。
本発明における「非磁性材」は、磁気を帯びても磁化されない材料のことをいい、例えば、アルミニウム、銅およびそれらの合金、オーステナイト系ステンレスなどが挙げられる。特にアルミニウムや銅等は、電気伝導性(導電性)に優れ、制動特性が良好で好ましい材料である。さらに、アルミニウムは軽量化の点で好ましく、銅とその合金は熱伝導性がよく冷却性能の点で好ましい。また、オーステナイト系のステンレスは、耐食性に優れるという利点がある。
本発明における「弱磁性材」は、磁気を帯びた際に弱く磁化される材料のこと、鉄ほど強磁性ではなく、例えば、磁界強度が10000A/mのときの比透磁率が10〜70程度のものをいう。本発明における「弱磁性材」としては、例えばフェライト系ステンレスが挙げられる。フェライト系ステンレスは、オーステナイト相とマルテンサイト相の析出程度の調節により比透磁率を適度に制御でき、好ましい材料である。
さらに、本発明における「弱磁性材」として、非磁性材に鉄などの強磁性体の粉末、粒子、小片等を混ぜて適度に分散させたものを用いることができる。このような材とすることにより、比透磁率を適度に調節することができ、制動部材の設計に有用である。
本発明に係る渦電流式減速装置は、ディスクタイプおよびドラムタイプに適用可能である。特に、ディスクタイプの装置では、制動時における永久磁石による制動部材の吸引力が回転軸へのスラスト荷重に直接影響するので、ディスクタイプのスラスト荷重低減により効果を発揮する。
永久磁石を制動時と非制動時とに切り替えるスイッチング機構としては、例えば、永久磁石を制動部材に近づく方向と離れる方向とに移動させるべく保持部材を駆動する駆動機構を採用することができる。
本発明に係る他の渦電流式減速装置は、回転軸に連結された制動部材と、制動時に磁極面が前記制動部材の制動面に対向し渦電流が前記制動部材に発生するように配置された永久磁石と、非回転部分に固定され、前記永久磁石を保持する保持部材と、前記永久磁石を制動時と非制動時とに切り替えるスイッチング機構とを備え、前記制動部材は、非磁性材または弱磁性材からなる第1層と強磁性材からなる第2層を有することを特徴としている。
すなわち、制動部材は、永久磁石に対向し主な制動トルクを生ずる非磁性材または弱磁性材からなる第1層に加え、永久磁石側から見て第1層の反対側に強磁性材からなる第2層を備えてもよい。強磁性材の第2層を設けることにより、永久磁石からの磁束を確実に第1層に貫通させる磁気回路を形成することができる。こうすることにより、非磁性材または弱磁性材の第1層で発生する制動トルクとして働く力を有効に活用することができる。また、非磁性材または弱磁性材からなる第1層及び強磁性材からなる第2層の厚みなどの組み合わせにより、スイッチング力の低減あるいはスラスト加重の低減を図ることができる。
例えば、第1層と第2層は密着させた状態でボルト等により機械的に結合締結するなどすればよい。また、第1層や第2層は皮膜としてもよい。例えば、第1層として鍍金等による銅などの皮膜を用いてもよい。第2層として、鍍金等によるニッケルなどの皮膜を用いてもよい。皮膜を用いることにより、第1層と第2層の様々な構成を可能としたり、種々の製造プロセスが可能になる。
第1層及び第2層として非磁性材または弱磁性材と強磁性材を備えるクラッド鋼板を用いてもよい。例えば、アルミニウムや銅またはそれらの合金と、熱間圧延鋼板や冷間圧延鋼板、それらの中でも好ましくは耐熱性に優れる鋼板やマルテンサイト系のステンレスのクラッド鋼板を用いてもよい。また、オーステナイト相(非磁性相)の第1層とマルテンサイト相(強磁性相)の第2層とからなるクラッド鋼板を用いればよい。このクラッド鋼板は、オーステナイト系ステンレスの金属板の片側のみに冷間加工を施しマルテンサイト相を誘起することにより、製造することができる。クラッド鋼板とすることで非磁性材と強磁性材との接合が良好となり、耐久性が向上し、制動特性も向上することが期待される
非磁性材または弱磁性材からなる第1層と強磁性材からなる第2層を有する制動部材は、ディスクタイプおよびドラムタイプに適用可能である。ディスクタイプの装置に適用する場合は、例えば、非磁性材または弱磁性材からなる第1ディスクと強磁性材からなる第2ディスクとを結合させて円盤状の制動ディスクとするなどすればよい。
本発明の渦電流式減速装置においては、永久磁石は20極以上の構成とすることが好ましい。永久磁石を20極以上の構成とすることにより、制動トルクの向上とスイッチング力の低減を図ることができる。「極」とは、制動時の永久磁石配置におけるN極またはS極の個数のことである。複数個の磁石がひとかたまりでN極(あるいはS極)を構成しているとみなせる場合、それは1極と考える。例えば、複列式のように2つ以上の磁石列で構成され、制動時に磁石列の隣合う磁石がN極やS極に揃って一体の磁石のように機能するような磁石群(組)も、その磁石群(組)が1極を構成すると考えればよい。
永久磁石は、保持部材の周方向に等間隔に配置することができる。この「等間隔」は、隣り合う磁石の同じ部分を見たとき、その同じ部分同士の周方向の長さが等しいことを言う。あるいは、永久磁石が保持部材の円周に沿って一定のピッチで配列されていると言うこともできる。永久磁石の極を複数とし、保持部材の円周方向に沿って永久磁石が複数層環状に配置することもできる。
本発明の渦電流式減速装置の構成を、以下、図面に基づいて説明する。
図1及び図2は、本発明の第1実施例に係るディスクタイプの渦電流式減速装置の構成を示す断面図である。図1は制動時の状態を示し、図2は非制動時の状態を示す。
本実施例の渦電流式減速装置では、回転軸1に取り付けられた円盤状の制動ディスク2に対面する、環状の強磁性体からなる保持リング4上に、永久磁石7が固定されている。永久磁石7の磁極面(N極面またはS極面)は、制動ディスク2の制動面に対向するように配置される。永久磁石7が固定された保持リング4は、非磁性体からなるケーシング3内に収容されており、エアシリンダ5のピストン6により制動ディスク2の制動面に対し垂直方向に前後進可能に、つまり制動ディスク2に近づく方向と離れる方向とに移動可能に構成されている。ケーシング3は、車両等の非回転部分に支持される。ケーシングカバー3aとしてはオーステナイト系ステンレス鋼、樹脂、アルミニウム合金などを用いるようにすればよい。
制動ディスク2は、例えば、アルミニウム、銅、黄銅などの非磁性材、フェライト系ステンレスの弱磁性材、アルミニウムに鉄を分散させた材などで構成される。
図3は、本発明の第1の実施例に係る永久磁石の配置を示す平面図である。保持リング4の制動ディスク2と向き合う面には、20個(極)の永久磁石7が周方向に等間隔で磁極面(N極面またはS極面)を上にして配置され接着剤等で固定されている。また、隣接する永久磁石は上側の磁極(極性)が互いに逆になるように配置されている。すなわち、N極、S極、N極、S極、・・・・となるように配置される。
保持リング4上の永久磁石7の極数は、制動力とスイッチング力(スラスト荷重)を考慮すると、20以上が好ましく、30〜60がより好ましく、40〜60がさらに好ましい。極数40〜60の場合、制動力を高めるとともにスイッチング力(スラスト荷重)を低減することができる。なお、状況に応じ、永久磁石7を等間隔ではなく、不等間隔に配置してもよい
永久磁石7の形状は、必要とする制動力、制動時と非制動時のスイッチング力等を考慮して設計すればよい。
弱磁性材としては、上述の通り、アルミニウムなどの非磁性材または弱磁性材を基材としてニッケルなどの強磁性粉末を分散させたものを用いることができる。制動ディスクを鋳込む際に、例えばアルミニウムにニッケル粉末を混ぜて行うなどすればよい。ニッケル粉末の大きさ、形状、分散させる密度は制動力やスラスト加重などを考慮し決定すればよい。
なお、弱磁性材による制動ディスクは、上述した非磁性材の特徴を有しながら、少しではあるが永久磁石により磁化されるので、制動力やスラスト加重の適正化の設計の際に有用である。
次に、図1および図2に基づき、本実施例の渦電流式減速装置の動作について説明する。永久磁石7の制動時と非制動時のスイッチング機構は、エアシリンダ5及びピストン6で構成される。制動時には、図1の矢印で示すように、ピストン6により保持リング4を制動ディスク2の方に移動させ、永久磁石7を制動ディスク2に近づける。
この接近状態(制動時)において、永久磁石7の磁束が制動ディスク2を貫く。制動ディスク2が非磁性材の場合、制動ディスク2が回転していなければ、制動ディスク2にはなんら力は作用しない。制動ディスク2が非磁性であっても、制動ディスク2が回転している(動いている)場合、制動ディスク2が永久磁石7による磁束を横切ることにより、制動ディスク2に誘導電流(渦電流)が流れ、制動力(制動トルク)が発生する。
制動ディスク2が弱磁性材の場合も同様である。制動ディスク2が回転していなければ、制動ディスク2にはほとんど力は働かず、制動ディスク2が回転している(動いている)とき、制動力(制動トルク)が発生する。
制動ディスク2が強磁性材の場合は、制動ディスク2が回転していなくても、制動ディスク2が磁化されるため、制動ディスク2と永久磁石の間には吸引力が働く。非磁性および弱磁性の制動ディスク2の場合、回転している状態で初めて永久磁石との間で相互作用が起きるという点において、強磁性材の制動ディスク2と明確に異なる。
非制動時には、エアシリンダ5の作動を切り替えて、図2の矢印で示すように、ピストン6により保持リング4を制動ディスク2から離す方に移動させ、永久磁石7を制動ディスク2から遠ざける。制動ディスク2へ及ぼされる磁束は極めて少なくなる。
図1及び図2に示す実施例では、保持リング4をエアシリンダで移動させる構造としたが、本発明の装置はこれに限定されるものではなく、他の駆動装置によって保持リング4を駆動してもよい。
図4は、本発明の第2実施例に係るディスクタイプの渦電流式減速装置の構成を示す模式的断面図である。図4は、制動時の状態を示している。基本構成は前述の第1実施例と同様であるので、説明は省略する。
制動ディスク2は、非磁性ディスク2aと強磁性ディスク2bを密着させた状態でボルト2cにより機械的に締結したものである。非磁性ディスク2aが永久磁石7側に配置されている。この構成とすることにより、制動時、永久磁石7から出る磁束は、強磁性ディスク2bの存在により、非磁性の制動用ディスク2aを安定して(垂直に)貫く。
非磁性ディスク2aの代わりに弱磁性ディスク2aを用いる構成としてもよい。非磁性材としては、例えば、アルミニウム、銅、黄銅など、弱磁性材としては、フェライト系ステンレスや、アルミニウムに鉄を分散させた材など、強磁性材としては鉄(SS400やより耐熱性に優れるクロムモリブデン鋼などの合金鋼)などを用いればよい。
非磁性ディスクおよび弱磁性ディスク2aや強磁性ディスク2bの代わりに、それぞれ鍍金等の皮膜によるもので構成することもできる。例えば、非磁性ディスク2aとして銅めっきや強磁性ディスク2bとしてニッケルめっき等の皮膜を用いる事ができる。これらの皮膜は、その皮膜厚みの制御により最適なスイッチング力を設計することできる。
非磁性ディスクおよび弱磁性ディスク2aや強磁性ディスク2bとしてクラッド鋼板を用いても良い。例えば、アルミニウムや銅またはそれらの合金とSS400(鋼)やマルテンサイト系のステンレスのクラッド鋼板やオーステナイト系とマルテンサイト系の2層を有するステンレス鋼などを用いてもよい。
図5は、渦電流式減速装置におけるディスクと永久磁石との間に働く力のディスクの回転数との関係のシミュレーション結果を示す図である。本シミュレーションは、図3のディスクタイプ(Al:3mm、SS400:15mm)の60極永久磁石配置、図1のディスクタイプ(Al:18mm)の40極永久磁石配置、図1のディスクタイプ(SS400:18mm)の40極永久磁石配置および図1のディスクタイプ(SS400:18mm)の16極永久磁石配置に対して行った。図中の+(プラス)は、制動ディスクから永久磁石に向かう力(吸引力)を示し、−(マイナス)はその逆向きの力(反発力)を示す。
図5から分かるように、制動ディスクと永久磁石との間に働く力は、永久磁石の極数が多い方が相対的に小さいことが分かる。制動時(ON)から非制動時(OFF)へのスイッチング力は、これらの力に抗して行うため、これらの力に等しい力が必要になる。すなわち、制動時(ON)から非制動時(OFF)へのスイッチング力は、永久磁石の極数が多い方が相対的に小さくなる。
アルミニウム製の制動ディスクの場合、回転数が上がるに従って、力(反発力)が働く。また、回転数が低下するに従い、力(反発力)は働かなくなる。一方、SS400(鋼)製の制動ディスクは、回転数が少なくなるに従い急激に力(吸引力)が働くようになる。
渦電流式減速装置は、通常、回転軸(制動ディスク)が回転中に作動させるために、作動開始時には回転数が高く、作動終了時には回転数が低下している。SS400(鋼)製の制動ディスクは、作動終了時には、低下している回転数のためにきわめて高いスイッチング力を必要とする。一方、アルミニウム製の制動ディスクでは、きわめて小さなスイッチング力でよいことがわかる。すなわち、非磁性または弱磁性の制動ディスクを用いることにより、制動時(ON)から非制動時(OFF)へのスイッチング力を小さくすることができる。
非磁性材と強磁性材を組み合わせた制動ディスクとすることにより、働く力を低減でき、さらには、ある回転数においてディスクと永久磁石との間に働く力を0(ゼロ)とすることができることがわかる。ディスクと永久磁石との間に働く力を0(ゼロ)とするこの回転数は、非磁性材と強磁性材の材料や厚みの組合せおよび永久磁石の極数に依存する。アルミニウムとSS400の2層の制動ディスクを使用し、永久磁石が60極の場合、回転数1500rpmでディスクと永久磁石との間に働く力(スイッチング力)がほぼ0(ゼロ)であった。
このように、非磁性材または弱磁性材と強磁性材を組み合わせた制動部材とし、さらに永久磁石の極数を検討することにより、制動時(ON)から非制動時(OFF)へのスイッチング力および非制動時(OFF)から制動時(ON)へのスイッチング力の双方を所定範囲に抑え、最適なスイッチング力と制動トルクを設計が可能となる。
制動部材として、非磁性材または弱磁性材を用いる場合、強磁性材を用いる場合に比べ、制動力(制動トルク)が小さくなる傾向がある。
本発明の渦電流式減速装置においては、さらに、永久磁石の多極化と組み合わせることにより、制動力(制動トルク)を向上させられることを確認した。
図6(a)は、図1のディスクタイプの渦電流式減速装置における永久磁石の磁極数と制動力との関係についてのシミュレーション結果であり、図6(b)は、永久磁石の磁極数とディスクと永久磁石との間に働く力(スイッチング力(スラスト荷重))の関係についてのシミュレーション結果である。制動ディスクは、アルミニウムA1100(導電率:3.67×10S/m)、厚み10mm。制動ディスクの回転数は1500rpm。装置1台当たりの永久磁石使用量を一定として、シミュレーションを行なった。
図6(a)の制動力比は、永久磁石が16極のときに得られる制動力(制動トルク)を「1」として規格化したものである。図6(b)の反発力比は、同じく永久磁石が16極のときにディスクと永久磁石との間に働く力(反発力)を「1」として規格化したものである。
図6(a)から分かるように、永久磁石7の多極化により、制動力(制動トルク)を向上することができる。制動力向上により、例えば、従来と同等の制動力を得るための永久磁石の使用量を減らすことができる。その結果、装置全体の軽量化が可能となる。
図6(b)から分かるように、永久磁石7の多極化により、ディスクと永久磁石との間に働く力を低減することができる。結果、スイッチング力が小さくて済むことにより、永久磁石7の駆動機構であるエアシリンダ等を小型化でき、装置全体の小型、軽量化が可能となる。
図6(a)および図6(b)から分かるように、制動力とスイッチング力(スラスト荷重)を考慮すると、20極以上が好ましく、30極〜70極がより好ましく、40極〜60極がさらに好ましい。40極〜60極の場合、制動力を高めるとともにスイッチング力(スラスト荷重)を低減することができる。スイッチング力を重視する場合には、50極〜70極が好ましい。
更に、永久磁石7の多極化により、個々の永久磁石7が小さくなり、永久磁石7の保持リング4への固定作業が容易となる。すなわち、1つ1つの永久磁石7の重量が軽くなるため、接着剤等によって永久磁石7を固定することが可能となる。
図7は、本発明の第3実施例に係るドラムタイプの渦電流式減速装置の構成を示す断面図である。図7は、制動時の状態を示している。本実施例の渦電流式減速装置は、回転軸15に支持部材16および取り付け円板17等を介して取り付けられた制動ドラム11に、永久磁石7の磁極面を対向させることにより、制動力を発生させるものである。そして、永久磁石7が取り付けられた保持リング4を、制動ドラム11の内周面に対して、近づく方向と離れる方向に移動することにより、制動時と非制動時をスイッチングするものである。
永久磁石7は、隣接する永久磁石の極性が互いに逆向きとなるようにして環状に、保持リング4上に接着剤等により固定される。永久磁石7の極数は例えば24極である。
制動ドラム11の制動面を含む部分である外筒11aを、例えば、アルミニウム、銅、黄銅などの非磁性材、フェライト系ステンレスの弱磁性材、アルミニウムに鉄を分散させた材などで構成する。本実施例では、制動ドラム11は、外筒11aと内筒11bをアーム11cで接続して構成され、外筒11aには冷却フィン11eが取り付けられている。
永久磁石7及び保持リング4が収納されるケーシング14は、例えば非磁性材料のケーシングカバー14a、強磁性材料のケーシング外筒14bおよびケーシング内筒14cで構成される。ケーシングカバー14aとしてはオーステナイト系ステンレス鋼、樹脂、アルミニウム合金などを用いるようにすればよい。
本実施例の装置では、エアシリンダ18により制動ドラム11の制動面(内周面)に永久磁石7を近づけると、回転する制動面に磁束が作用し、渦電流が発生して制動力(制動トルク)を得ることが出来る。一方、エアシリンダ18により制動ドラム11から永久磁石7を離れる方向に移動させると、制動力は発生しなくなる。
非磁性および弱磁性の制動ドラム11の場合、回転している状態で初めて永久磁石との間で相互作用が起きるという点において、強磁性材の制動ドラム11と明確に異なる。
以上、本発明の実施例(実施形態、実施態様)について説明したが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではないことは言うまでもない。
本発明の第1の実施例に係る渦電流式減速装置の構成を示す模式的断面図であり、制動時の状態を示す。 本発明の第1の実施例に係る渦電流式減速装置の構成を示す模式的断面図であり、非制動時の状態を示す。 本発明の第1の実施例に係る永久磁石の配置を示す説明図(平面図)である。 本発明の第2の実施例に係る渦電流式減速装置の構成を示す模式的断面図であり、制動時の状態を示す。 渦電流式減速装置におけるディスクと永久磁石との間に働く力のディスクの回転数との関係のシミュレーション結果を示す図である。 図6(a)は、図1のディスクタイプの渦電流式減速装置における永久磁石の磁極数と制動力との関係についてのシミュレーション結果である。 図6(b)は、永久磁石の磁極数とディスクと永久磁石との間に働く力(スイッチング力(スラスト荷重))の関係についてのシミュレーション結果である。 本発明の第3の実施例に係る渦電流式減速装置の構成を示す模式的断面図であり、制動時の状態を示す。
符号の説明
1,15:回転軸
2:制動ディスク
2a:制動面
3、14:ケーシング
4:保持リング
5,18:エアシリンダ、駆動装置(アクチュエータ)
6:ピストン
7:永久磁石
11:制動ドラム

Claims (6)

  1. 回転軸に連結された円板状の制動ディスクと、
    制動時に磁極面が前記制動ディスクの制動面に対向し渦電流が前記制動ディスクに発生するように配置された40〜60極の永久磁石と、
    非回転部分に固定され、前記永久磁石を円周状に保持する円環状の保持部材と、
    前記永久磁石を制動ディスクに近づく方向と離れる方向とに移動させるべく保持部材を駆動する駆動機構とを備え、
    前記制動ディスクの作用部に非磁性材を備えることを特徴とする渦電流式減速装置。
  2. 回転軸に連結された円板状の制動ディスクと、
    制動時に磁極面が前記制動ディスクの制動面に対向し渦電流が前記制動ディスクに発生するように配置された40〜60極の永久磁石と、
    非回転部分に固定され、前記永久磁石を円周状に保持する円環状の保持部材と、
    前記永久磁石を制動ディスクに近づく方向と離れる方向とに移動させるべく保持部材を駆動する駆動機構とを備え、
    前記制動ディスクの作用部に弱磁性材を備えることを特徴とする渦電流式減速装置。
  3. 回転軸に連結された円板状の制動ディスクと、
    制動時に磁極面が前記制動ディスクの制動面に対向し渦電流が前記制動ディスクに発生するように配置された40〜60極の永久磁石と、
    非回転部分に固定され、前記永久磁石を円周状に保持する円環状の保持部材と、
    前記永久磁石を制動ディスクに近づく方向と離れる方向とに移動させるべく保持部材を駆動する駆動機構とを備え、
    前記制動ディスクの作用部に非磁性材に強磁性材を分散させた材を備えることを特徴とする渦電流式減速装置。
  4. 回転軸に連結された円板状の制動ディスクと、
    制動時に磁極面が前記制動ディスクの制動面に対向し渦電流が前記制動ディスクに発生するように配置された40〜60極の永久磁石と、
    非回転部分に固定され、前記永久磁石を円周状に保持する円環状の保持部材と、
    前記永久磁石を制動ディスクに近づく方向と離れる方向とに移動させるべく保持部材を駆動する駆動機構とを備え、
    前記制動ディスクは、非磁性材または弱磁性材からなる第1層と強磁性材からなる第2層とを有することを特徴とする渦電流式減速装置。
  5. 前記第1層は、作用部に非磁性材に強磁性材を分散させた材を備えることを特徴とする請求項4に記載の渦電流式減速装置。
  6. 前記制動部材の第1層及び第2層がクラッド鋼板で構成されることを特徴とする請求項4又は5に記載の渦電流式減速装置。
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