JP2001119924A - 渦電流式減速装置 - Google Patents
渦電流式減速装置Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 制動OFF時の引きずりトルクを抑制する。
【解決手段】 回転軸1に取付けたロータ8に対向支持
され、ロータ8の周方向に沿って互いに逆向きの磁極と
なるよう所要角度旋回可能な支持リング4に一定間隔を
存して配置した永久磁石6群と、永久磁石6群とロータ
8との間に、各永久磁石6と基本的に同じ角度位置に介
設したスイッチ板7群と、各スイッチ板7の間に介設し
た支持体3部分を備えた単列旋回方式の渦電流式減速装
置である。隣合うスイッチ板7は15mm以上の内周面
側間隔δを存して配置し、スイッチ板7の厚みTと隣合
うスイッチ板7の内周面側間隔δの関係δ/Tを1.6
以下とする。 【効果】 制動ON時の制動力を損なわずに、制動OF
F時の引きずりトルクを大幅に減少させ、非制動時の動
力損失を抑制する。
され、ロータ8の周方向に沿って互いに逆向きの磁極と
なるよう所要角度旋回可能な支持リング4に一定間隔を
存して配置した永久磁石6群と、永久磁石6群とロータ
8との間に、各永久磁石6と基本的に同じ角度位置に介
設したスイッチ板7群と、各スイッチ板7の間に介設し
た支持体3部分を備えた単列旋回方式の渦電流式減速装
置である。隣合うスイッチ板7は15mm以上の内周面
側間隔δを存して配置し、スイッチ板7の厚みTと隣合
うスイッチ板7の内周面側間隔δの関係δ/Tを1.6
以下とする。 【効果】 制動ON時の制動力を損なわずに、制動OF
F時の引きずりトルクを大幅に減少させ、非制動時の動
力損失を抑制する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、制動補助装置とし
てバスやトラック等の大型自動車に取付けられる渦電流
式減速装置に関するものである。
てバスやトラック等の大型自動車に取付けられる渦電流
式減速装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、バスやトラック等の大型自動車に
は、長い降坂時等において、安定した減速を行い、フッ
トブレーキの使用回数を減少させて、ライニングの異常
摩耗やフェード現象を防止すると共に、制動停止距離を
短縮することを目的として、主ブレーキであるフットブ
レーキや補助ブレーキである排気ブレーキの他に渦電流
式減速装置が取付けられるようになってきた。この渦電
流式減速装置には、磁石として、電磁石を使用するもの
と、永久磁石を使用するものがあるが、最近では、制動
時に通電を必要としない永久磁石を使用したものが多く
なってきている。
は、長い降坂時等において、安定した減速を行い、フッ
トブレーキの使用回数を減少させて、ライニングの異常
摩耗やフェード現象を防止すると共に、制動停止距離を
短縮することを目的として、主ブレーキであるフットブ
レーキや補助ブレーキである排気ブレーキの他に渦電流
式減速装置が取付けられるようになってきた。この渦電
流式減速装置には、磁石として、電磁石を使用するもの
と、永久磁石を使用するものがあるが、最近では、制動
時に通電を必要としない永久磁石を使用したものが多く
なってきている。
【0003】この永久磁石を使用した渦電流式減速装置
の一例である特開平1−298948号で提案されたも
のは、図6に示すように、回転軸1に軸受2を介して軸
支された非磁性体の支持体3に、ヨーク用の支持リング
4を、軸受5を介して回動自在に軸支し、この支持リン
グ4に複数の永久磁石6を互いに極性を逆向きにして周
設すると共に、これら永久磁石6群の外周面に対向する
ように、上記支持体3に互いに磁気的に絶縁した強磁性
体の複数のスイッチ板7を周設し、回転軸1に固着した
ロータ8の円筒部8aの内周面を、所定の間隙を存して
前記スイッチ板7に対向せしめ、上記支持リング4を支
持体3に対して所定角度回動可能に構成したものであ
る。なお、図6中の3aは支持体3の取付け部、8bは
冷却フィンを示す。
の一例である特開平1−298948号で提案されたも
のは、図6に示すように、回転軸1に軸受2を介して軸
支された非磁性体の支持体3に、ヨーク用の支持リング
4を、軸受5を介して回動自在に軸支し、この支持リン
グ4に複数の永久磁石6を互いに極性を逆向きにして周
設すると共に、これら永久磁石6群の外周面に対向する
ように、上記支持体3に互いに磁気的に絶縁した強磁性
体の複数のスイッチ板7を周設し、回転軸1に固着した
ロータ8の円筒部8aの内周面を、所定の間隙を存して
前記スイッチ板7に対向せしめ、上記支持リング4を支
持体3に対して所定角度回動可能に構成したものであ
る。なお、図6中の3aは支持体3の取付け部、8bは
冷却フィンを示す。
【0004】この特開平1−298948号で提案され
た単列旋回方式の渦電流式減速装置は、例えば特公平7
−118901号で提案されたような、図7に示す、回
転軸1に設けられたロータ8と、このロータ8に対向し
て固定側から支持され、その周方向に沿って所定間隔で
N極、S極が交互に配置された永久磁石11群を有する
固定支持リング12と、この固定支持リング12と同様
の永久磁石13群を有し、かつ、固定支持リング12に
対して回動自在な可動支持リング14と、上記ロータ8
と永久磁石11,13群との間に介設され、固定支持リ
ング12の各永久磁石11の上方から可動支持リング1
4の上方へ延出された強磁性体の複数のスイッチ板7
と、これらスイッチ板7間に介設された非磁性体の支持
体3を備えた二列旋回方式の渦電流式減速装置に比べ
て、制動OFF時における引きずりトルクが高いという
欠点を有するものの、反面、部品点数を大幅に減らすこ
とができるので、耐久信頼性が向上すると共に、低コス
ト化が図れ、また、永久磁石13の旋回角度が半分にな
るので、シリンダーの小型化や消費エアーの節減が図れ
るという長所がある。
た単列旋回方式の渦電流式減速装置は、例えば特公平7
−118901号で提案されたような、図7に示す、回
転軸1に設けられたロータ8と、このロータ8に対向し
て固定側から支持され、その周方向に沿って所定間隔で
N極、S極が交互に配置された永久磁石11群を有する
固定支持リング12と、この固定支持リング12と同様
の永久磁石13群を有し、かつ、固定支持リング12に
対して回動自在な可動支持リング14と、上記ロータ8
と永久磁石11,13群との間に介設され、固定支持リ
ング12の各永久磁石11の上方から可動支持リング1
4の上方へ延出された強磁性体の複数のスイッチ板7
と、これらスイッチ板7間に介設された非磁性体の支持
体3を備えた二列旋回方式の渦電流式減速装置に比べ
て、制動OFF時における引きずりトルクが高いという
欠点を有するものの、反面、部品点数を大幅に減らすこ
とができるので、耐久信頼性が向上すると共に、低コス
ト化が図れ、また、永久磁石13の旋回角度が半分にな
るので、シリンダーの小型化や消費エアーの節減が図れ
るという長所がある。
【0005】前記特公平7−118901号で提案され
た方式の場合、外径を大きくしないで(車両制限よ
り)、制動トルクを向上しようとすれば、図7における
紙面の左右方向に11を付した永久磁石の寸法を大きく
することになるが、その場合には、制動OFF時の磁気
漏れを抑えるためにスイッチ板7の厚さを同時に厚くし
てゆく必要が生じる。スイッチ板7の厚さを厚くしてゆ
くと、制動ON時のスイッチ板7周りからの磁気漏れ
ロスが増大し、ロータ8に届く磁束数が減少し、制動ト
ルクが十分にでないことになってくる。当然、スイッ
チ板7の厚さ増大分だけ装置の外径が順次大きくなって
くる。等の問題を有している。
た方式の場合、外径を大きくしないで(車両制限よ
り)、制動トルクを向上しようとすれば、図7における
紙面の左右方向に11を付した永久磁石の寸法を大きく
することになるが、その場合には、制動OFF時の磁気
漏れを抑えるためにスイッチ板7の厚さを同時に厚くし
てゆく必要が生じる。スイッチ板7の厚さを厚くしてゆ
くと、制動ON時のスイッチ板7周りからの磁気漏れ
ロスが増大し、ロータ8に届く磁束数が減少し、制動ト
ルクが十分にでないことになってくる。当然、スイッ
チ板7の厚さ増大分だけ装置の外径が順次大きくなって
くる。等の問題を有している。
【0006】また、特開平1−298948号で提案さ
れた渦電流式減速装置では、図8(a)に示すように、
永久磁石6がスイッチ板7と重なり合うように支持リン
グ4を回動させると、支持リング4と、隣接する永久磁
石6及び隣接するスイッチ板7と、ロータ8の円筒部8
aで、矢印で示すように磁気回路が形成されて、いわゆ
る制動ONの状態となり、前記した円筒部8aには永久
磁石6からの磁束が作用して渦電流が発生し、制動トル
クが発生する。
れた渦電流式減速装置では、図8(a)に示すように、
永久磁石6がスイッチ板7と重なり合うように支持リン
グ4を回動させると、支持リング4と、隣接する永久磁
石6及び隣接するスイッチ板7と、ロータ8の円筒部8
aで、矢印で示すように磁気回路が形成されて、いわゆ
る制動ONの状態となり、前記した円筒部8aには永久
磁石6からの磁束が作用して渦電流が発生し、制動トル
クが発生する。
【0007】上記した制動ONの位置から支持リング4
を回し、図8(b)に示すように、一つの永久磁石6が
隣接するスイッチ板7を跨いで半分ずつ重なり合った状
態となすと、支持リング4と、隣接する永久磁石6と、
一つのスイッチ板7で、矢印で示すように短絡的磁気回
路が形成されて、いわゆる制動OFFの状態となる。
を回し、図8(b)に示すように、一つの永久磁石6が
隣接するスイッチ板7を跨いで半分ずつ重なり合った状
態となすと、支持リング4と、隣接する永久磁石6と、
一つのスイッチ板7で、矢印で示すように短絡的磁気回
路が形成されて、いわゆる制動OFFの状態となる。
【0008】この状態では、前記した円筒部8aに渦電
流が流れず、制動トルクが発生しないのが理想である
が、現実には、図8(b)に破線で示す、永久磁石6上
でスイッチ板7に覆われない部分からの漏れ磁束がロー
タ8の円筒部8aに作用するため、円筒部8aに引きず
りトルクが発生するという問題が生じる。
流が流れず、制動トルクが発生しないのが理想である
が、現実には、図8(b)に破線で示す、永久磁石6上
でスイッチ板7に覆われない部分からの漏れ磁束がロー
タ8の円筒部8aに作用するため、円筒部8aに引きず
りトルクが発生するという問題が生じる。
【0009】そこで、この引きずりトルクの発生を防止
するために、例えば特開平5−211761号、特開平
6−165477号、特開平6−189522号、特開
平6−86534号が提案されている。
するために、例えば特開平5−211761号、特開平
6−165477号、特開平6−189522号、特開
平6−86534号が提案されている。
【0010】例えば特開平5−211761号では、図
9に示すように、制動OFF時にスイッチ板(7)に覆
われない部分となる永久磁石6の周方向中央部分に開口
部6aを設けたり(図9(a))、また、周方向中央両
側に切欠き6bを設ける(図9(b))ことで、スイッ
チ板(7)に覆われない部分の永久磁石面積を縮小し、
制動OFF時、スイッチ板(7)に覆われない部分から
の漏れ磁束を低減しようとしている。
9に示すように、制動OFF時にスイッチ板(7)に覆
われない部分となる永久磁石6の周方向中央部分に開口
部6aを設けたり(図9(a))、また、周方向中央両
側に切欠き6bを設ける(図9(b))ことで、スイッ
チ板(7)に覆われない部分の永久磁石面積を縮小し、
制動OFF時、スイッチ板(7)に覆われない部分から
の漏れ磁束を低減しようとしている。
【0011】また、特開平6−165477号では、図
10に示すように、制動OFF時にスイッチ板7に覆わ
れない部分となる永久磁石6の周方向中央部分に、極性
が逆の磁石9を設け、制動OFF時、永久磁石6と磁石
9とで短絡的磁気回路を形成させるようにしている。
10に示すように、制動OFF時にスイッチ板7に覆わ
れない部分となる永久磁石6の周方向中央部分に、極性
が逆の磁石9を設け、制動OFF時、永久磁石6と磁石
9とで短絡的磁気回路を形成させるようにしている。
【0012】また、特開平6−189522号では、図
11に示すように、制動OFF時にスイッチ板に覆われ
ない部分となる永久磁石6の周方向中央部分に凹部6c
を設けて、スイッチ板に覆われない部分の永久磁石体積
を縮小し、制動OFF時、スイッチ板に覆われない部分
からの漏れ磁束を低減しようとしている。
11に示すように、制動OFF時にスイッチ板に覆われ
ない部分となる永久磁石6の周方向中央部分に凹部6c
を設けて、スイッチ板に覆われない部分の永久磁石体積
を縮小し、制動OFF時、スイッチ板に覆われない部分
からの漏れ磁束を低減しようとしている。
【0013】また、特開平6−86534号では、図1
2に示すように、各永久磁石6の外周面の周方向両端側
に、スイッチ板7の方向に突出する強磁性体からなる磁
極材10を設けることで、制動OFF時、スイッチ板7
に覆われない部分からの漏れ磁束を低減しようとしてい
る。
2に示すように、各永久磁石6の外周面の周方向両端側
に、スイッチ板7の方向に突出する強磁性体からなる磁
極材10を設けることで、制動OFF時、スイッチ板7
に覆われない部分からの漏れ磁束を低減しようとしてい
る。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た特開平5−211761号、特開平6−165477
号、特開平6−189522号で提案されたものは、い
ずれも、制動OFF時にスイッチ板に覆われない部分と
なる、永久磁石における周方向中央部分の磁力を弱める
ものであるから、制動OFF時の漏れ磁束は低減できる
ものの、同時に制動ON時の制動トルクも低下するとい
う問題がある。また、難加工材である永久磁石の形状を
複雑にすることにより、コスト高を招く。
た特開平5−211761号、特開平6−165477
号、特開平6−189522号で提案されたものは、い
ずれも、制動OFF時にスイッチ板に覆われない部分と
なる、永久磁石における周方向中央部分の磁力を弱める
ものであるから、制動OFF時の漏れ磁束は低減できる
ものの、同時に制動ON時の制動トルクも低下するとい
う問題がある。また、難加工材である永久磁石の形状を
複雑にすることにより、コスト高を招く。
【0015】また、特開平6−86534号で提案され
たものでは、スイッチ板と永久磁石間の間隔が大きくな
るので、必然的に永久磁石とロータの円筒部との距離も
大きくなって、制動ON時にロータの円筒部に到達して
作用する磁束密度が低減する。特に、永久磁石の周方向
中央部で、スイッチ板との間に空隙が形成されるので、
永久磁石の周方向中央部から生じる磁束の減衰が大きく
なる結果、制動ON時の制動トルクが低下するという問
題がある。
たものでは、スイッチ板と永久磁石間の間隔が大きくな
るので、必然的に永久磁石とロータの円筒部との距離も
大きくなって、制動ON時にロータの円筒部に到達して
作用する磁束密度が低減する。特に、永久磁石の周方向
中央部で、スイッチ板との間に空隙が形成されるので、
永久磁石の周方向中央部から生じる磁束の減衰が大きく
なる結果、制動ON時の制動トルクが低下するという問
題がある。
【0016】本発明は、上記した従来の問題点に鑑みて
なされたものであり、スイッチ板の厚さを制動トルクの
増大にあわせて厚くする必要がなく、制動ON時の制動
力を可及的に損なわないで、制動OFF時に、周方向に
隣接するスイッチ板間からロータの円筒部に漏れる磁束
を抑え、引きずりトルクを抑制することができる渦電流
式減速装置を提供することを目的としている。
なされたものであり、スイッチ板の厚さを制動トルクの
増大にあわせて厚くする必要がなく、制動ON時の制動
力を可及的に損なわないで、制動OFF時に、周方向に
隣接するスイッチ板間からロータの円筒部に漏れる磁束
を抑え、引きずりトルクを抑制することができる渦電流
式減速装置を提供することを目的としている。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明の渦電流式減速装置は、周方向に隣合う
スイッチ板は15mm以上の内周面側間隔δを存して配
置され、かつ、このスイッチ板の厚みTと隣合うスイッ
チ板の内周面側間隔δの関係δ/Tを、高速車両用の渦
電流式減速装置では1.6以下と、また、低中速車両用
の渦電流式減速装置では2.6以下となすこととしてい
る。そして、このように周方向に隣合うスイッチ板の内
周面側の間隔と、スイッチ板の厚みと前記内周面側の間
隔の関係を規定することで、制動ON時の制動力を可及
的に損なわないで、制動OFF時、車両に応じてロータ
の円筒部への磁気漏れを効果的に低減することができ
る。
ために、本発明の渦電流式減速装置は、周方向に隣合う
スイッチ板は15mm以上の内周面側間隔δを存して配
置され、かつ、このスイッチ板の厚みTと隣合うスイッ
チ板の内周面側間隔δの関係δ/Tを、高速車両用の渦
電流式減速装置では1.6以下と、また、低中速車両用
の渦電流式減速装置では2.6以下となすこととしてい
る。そして、このように周方向に隣合うスイッチ板の内
周面側の間隔と、スイッチ板の厚みと前記内周面側の間
隔の関係を規定することで、制動ON時の制動力を可及
的に損なわないで、制動OFF時、車両に応じてロータ
の円筒部への磁気漏れを効果的に低減することができ
る。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の渦電流式減速装置は、回
転軸に一体的に取り付けられたロータと、このロータに
対向して支持され、ロータの周方向に沿って磁極の向き
を互いに逆向きとなるよう、所要角度旋回可能な強磁性
体の支持リングに一定の間隔を存して配置された永久磁
石群と、この永久磁石群と前記ロータとの間に、前記永
久磁石群の各永久磁石と基本的には同じ角度位置に介設
された強磁性体のスイッチ板群と、このスイッチ板群の
各スイッチ板の間に介設された非磁性体の支持体部分を
備えた単列旋回方式の渦電流式減速装置、或いは、回転
軸に一体的に取り付けられたロータと、このロータに対
向して支持され、ロータの周方向に沿って磁極の向きを
互いに逆向きとなるよう、強磁性体の固定支持リングに
一定の間隔を存して配置された永久磁石群と、この永久
磁石群を配置した固定支持リングに隣接すると共に前記
ロータに対向して設けられ、固定支持リングと同様に、
ロータの周方向に沿って磁極の向きを互いに逆向きとな
るように永久磁石群を配置した所要角度旋回可能な可動
支持リングと、これら両永久磁石群と前記ロータとの間
に、これら両永久磁石群の各永久磁石と基本的には同じ
角度位置に介設された強磁性体のスイッチ板群と、この
スイッチ板群の各スイッチ板の間に介設された非磁性体
の支持体部分を備えた二列旋回方式の渦電流式減速装置
において、周方向に隣合うスイッチ板は15mm以上の
内周面側間隔δを存して配置され、かつ、このスイッチ
板の厚みTと周方向に隣合うスイッチ板の内周面側間隔
δの関係δ/Tが、高速車両用の渦電流式減速装置では
1.6以下、低中速車両用の渦電流式減速装置では2.
6以下であることを要旨としている。
転軸に一体的に取り付けられたロータと、このロータに
対向して支持され、ロータの周方向に沿って磁極の向き
を互いに逆向きとなるよう、所要角度旋回可能な強磁性
体の支持リングに一定の間隔を存して配置された永久磁
石群と、この永久磁石群と前記ロータとの間に、前記永
久磁石群の各永久磁石と基本的には同じ角度位置に介設
された強磁性体のスイッチ板群と、このスイッチ板群の
各スイッチ板の間に介設された非磁性体の支持体部分を
備えた単列旋回方式の渦電流式減速装置、或いは、回転
軸に一体的に取り付けられたロータと、このロータに対
向して支持され、ロータの周方向に沿って磁極の向きを
互いに逆向きとなるよう、強磁性体の固定支持リングに
一定の間隔を存して配置された永久磁石群と、この永久
磁石群を配置した固定支持リングに隣接すると共に前記
ロータに対向して設けられ、固定支持リングと同様に、
ロータの周方向に沿って磁極の向きを互いに逆向きとな
るように永久磁石群を配置した所要角度旋回可能な可動
支持リングと、これら両永久磁石群と前記ロータとの間
に、これら両永久磁石群の各永久磁石と基本的には同じ
角度位置に介設された強磁性体のスイッチ板群と、この
スイッチ板群の各スイッチ板の間に介設された非磁性体
の支持体部分を備えた二列旋回方式の渦電流式減速装置
において、周方向に隣合うスイッチ板は15mm以上の
内周面側間隔δを存して配置され、かつ、このスイッチ
板の厚みTと周方向に隣合うスイッチ板の内周面側間隔
δの関係δ/Tが、高速車両用の渦電流式減速装置では
1.6以下、低中速車両用の渦電流式減速装置では2.
6以下であることを要旨としている。
【0019】本発明の渦電流式減速装置において、周方
向に隣合うスイッチ板の内周面側間隔δを15mm以上
としたのは、制動ONの状態の時に、制動トルクの減少
を可及的に抑制するためである。すなわち、本発明者ら
の研究、実験によれば、周方向に隣合うスイッチ板の内
周面側間隔δが15mm未満になると急激に制動トルク
が減少することが判明したからである。なお、内周面側
間隔δの上限は特に限定するものではないが、あまり大
きくなると、制動OFFの状態の時に漏れ磁束が多くな
ると共に、制動ON時にスイッチ板の厚さTが大きくな
ると、ロータに到達する磁束が減少(スイッチ板の周辺
での漏れ磁束が増大)するため、制動トルクが低下す
る。本発明者らの研究、実験によれば、周方向に隣合う
スイッチ板の内周面側間隔δは25mm以下が望ましい
事が判明している。
向に隣合うスイッチ板の内周面側間隔δを15mm以上
としたのは、制動ONの状態の時に、制動トルクの減少
を可及的に抑制するためである。すなわち、本発明者ら
の研究、実験によれば、周方向に隣合うスイッチ板の内
周面側間隔δが15mm未満になると急激に制動トルク
が減少することが判明したからである。なお、内周面側
間隔δの上限は特に限定するものではないが、あまり大
きくなると、制動OFFの状態の時に漏れ磁束が多くな
ると共に、制動ON時にスイッチ板の厚さTが大きくな
ると、ロータに到達する磁束が減少(スイッチ板の周辺
での漏れ磁束が増大)するため、制動トルクが低下す
る。本発明者らの研究、実験によれば、周方向に隣合う
スイッチ板の内周面側間隔δは25mm以下が望ましい
事が判明している。
【0020】また、本発明の渦電流式減速装置におい
て、スイッチ板の厚みTと周方向に隣合うスイッチ板の
内周面側間隔δの関係δ/Tを高速車両用(駆動系がオ
ーバードライブ系のものを含む)の渦電流式減速装置で
は1.6以下としたのは、制動OFFの状態の時に、周
方向に隣合うスイッチ板の内周面側間隔δを貫通してロ
ータの円筒部まで到達する漏れ磁束を低レベルに抑える
ためである。すなわち、本発明者らの研究、実験によれ
ば、スイッチ板の厚みTと周方向に隣合うスイッチ板の
内周面側間隔δの関係δ/Tを1.6以下とした場合に
は、周方向に隣合うスイッチ板の内周面側間隔δを貫通
してロータの円筒部まで到達する磁気漏れ量は、燃費に
影響を与えることのない300×10-4T以内に抑える
ことができることが判明している。本発明の渦電流式減
速装置において、高速車両用とは、例えば大型トラック
の場合には、終減速比が3.3を超えるものを言う。
て、スイッチ板の厚みTと周方向に隣合うスイッチ板の
内周面側間隔δの関係δ/Tを高速車両用(駆動系がオ
ーバードライブ系のものを含む)の渦電流式減速装置で
は1.6以下としたのは、制動OFFの状態の時に、周
方向に隣合うスイッチ板の内周面側間隔δを貫通してロ
ータの円筒部まで到達する漏れ磁束を低レベルに抑える
ためである。すなわち、本発明者らの研究、実験によれ
ば、スイッチ板の厚みTと周方向に隣合うスイッチ板の
内周面側間隔δの関係δ/Tを1.6以下とした場合に
は、周方向に隣合うスイッチ板の内周面側間隔δを貫通
してロータの円筒部まで到達する磁気漏れ量は、燃費に
影響を与えることのない300×10-4T以内に抑える
ことができることが判明している。本発明の渦電流式減
速装置において、高速車両用とは、例えば大型トラック
の場合には、終減速比が3.3を超えるものを言う。
【0021】ところで、最近では、低中速走行用の車両
や駆動系がダイレクトドライブ系の車両にも渦電流式減
速装置が装着されるようになってきている。この低中速
車両用渦電流式減速装置の場合には、周方向に隣合うス
イッチ板の内周面側間隔δを貫通してロータの円筒部ま
で到達する磁気漏れ量が900×10-4T以内では燃費
に影響を与えることはなく、本発明者らの研究、実験に
よれば、スイッチ板の厚みTと周方向に隣合うスイッチ
板の内周面側間隔δの関係δ/Tを2.6以下とした場
合には、周方向に隣合うスイッチ板の内周面側間隔δを
貫通してロータの円筒部まで到達する磁気漏れ量は、燃
費に影響を与えることのない900×10-4T以内に抑
えることができることが判明した。そこで、低中速車両
用の渦電流式減速装置ではスイッチ板の厚みTと周方向
に隣合うスイッチ板の内周面側間隔δの関係δ/Tを
2.6以下とした。本発明の渦電流式減速装置におい
て、低中速車両用とは、例えば大型トラックの場合に
は、終減速比が3.3以下のものを言う。
や駆動系がダイレクトドライブ系の車両にも渦電流式減
速装置が装着されるようになってきている。この低中速
車両用渦電流式減速装置の場合には、周方向に隣合うス
イッチ板の内周面側間隔δを貫通してロータの円筒部ま
で到達する磁気漏れ量が900×10-4T以内では燃費
に影響を与えることはなく、本発明者らの研究、実験に
よれば、スイッチ板の厚みTと周方向に隣合うスイッチ
板の内周面側間隔δの関係δ/Tを2.6以下とした場
合には、周方向に隣合うスイッチ板の内周面側間隔δを
貫通してロータの円筒部まで到達する磁気漏れ量は、燃
費に影響を与えることのない900×10-4T以内に抑
えることができることが判明した。そこで、低中速車両
用の渦電流式減速装置ではスイッチ板の厚みTと周方向
に隣合うスイッチ板の内周面側間隔δの関係δ/Tを
2.6以下とした。本発明の渦電流式減速装置におい
て、低中速車両用とは、例えば大型トラックの場合に
は、終減速比が3.3以下のものを言う。
【0022】本発明の渦電流式減速装置のうち単列旋回
方式のものでは、スイッチ板と永久磁石が重なり合う
と、支持リングと、隣接する永久磁石及び隣接するスイ
ッチ板と、ロータの円筒部で磁気回路が形成されて、ま
た、二列旋回方式のものでは、一つのスイッチ板に対向
する固定側と回動側の2つの永久磁石の極性が同一とな
ると、支持リングと、周方向に隣接する永久磁石及びス
イッチ板と、ロータの円筒部で磁気回路が形成されて、
いわゆる制動ONの状態となり、回転するロータの円筒
部が永久磁石からの磁界を横切る時にロータの円筒部に
生じる渦電流と磁界の作用により、ロータの円筒部に制
動トルクが発生する。この制動ONの状態の時、本発明
の渦電流式減速装置では、周方向に隣合うスイッチ板は
15mm以上の内周面側間隔δを存して配置しているの
で、十分な制動トルクを得ることができる。
方式のものでは、スイッチ板と永久磁石が重なり合う
と、支持リングと、隣接する永久磁石及び隣接するスイ
ッチ板と、ロータの円筒部で磁気回路が形成されて、ま
た、二列旋回方式のものでは、一つのスイッチ板に対向
する固定側と回動側の2つの永久磁石の極性が同一とな
ると、支持リングと、周方向に隣接する永久磁石及びス
イッチ板と、ロータの円筒部で磁気回路が形成されて、
いわゆる制動ONの状態となり、回転するロータの円筒
部が永久磁石からの磁界を横切る時にロータの円筒部に
生じる渦電流と磁界の作用により、ロータの円筒部に制
動トルクが発生する。この制動ONの状態の時、本発明
の渦電流式減速装置では、周方向に隣合うスイッチ板は
15mm以上の内周面側間隔δを存して配置しているの
で、十分な制動トルクを得ることができる。
【0023】また、上記した制動ONの位置から、単列
旋回方式のものでは、一つの永久磁石が、隣接するスイ
ッチ板を跨いで半分ずつ重なり合った制動OFFの状態
となすと、支持リングと、隣接する永久磁石と、これら
永久磁石を跨いだスイッチ板で短絡的磁気回路が形成さ
れる。また、二列旋回方式のものでは、一つのスイッチ
板に対向する固定側と回動側の2つの永久磁石の極性が
互いに逆となる位置となった制動OFFの状態となす
と、支持リングと、一つのスイッチ板と、これに対向す
る二つの永久磁石間で短絡的磁気回路が形成される。こ
のため、ロータの円筒部には磁界がほとんど作用しなく
なるので、制動力は極めて小さくなる。この制動OFF
の状態の時、本発明の渦電流式減速装置では、スイッチ
板の厚みTと周方向に隣合うスイッチ板の内周面側間隔
δの関係δ/Tを、高速車両用の渦電流式減速装置では
1.6以下、低中速車両用の渦電流式減速装置では2.
6以下としたので、ロータの円筒部への磁気漏れ量は高
速車両用の渦電流式減速装置では300×10-4T以
内、また、低中速車両用の渦電流式減速装置では900
×10-4T以内となり、ロータの円筒部に発生する制動
トルクが大幅に減少して引きずりトルクが低減する。
旋回方式のものでは、一つの永久磁石が、隣接するスイ
ッチ板を跨いで半分ずつ重なり合った制動OFFの状態
となすと、支持リングと、隣接する永久磁石と、これら
永久磁石を跨いだスイッチ板で短絡的磁気回路が形成さ
れる。また、二列旋回方式のものでは、一つのスイッチ
板に対向する固定側と回動側の2つの永久磁石の極性が
互いに逆となる位置となった制動OFFの状態となす
と、支持リングと、一つのスイッチ板と、これに対向す
る二つの永久磁石間で短絡的磁気回路が形成される。こ
のため、ロータの円筒部には磁界がほとんど作用しなく
なるので、制動力は極めて小さくなる。この制動OFF
の状態の時、本発明の渦電流式減速装置では、スイッチ
板の厚みTと周方向に隣合うスイッチ板の内周面側間隔
δの関係δ/Tを、高速車両用の渦電流式減速装置では
1.6以下、低中速車両用の渦電流式減速装置では2.
6以下としたので、ロータの円筒部への磁気漏れ量は高
速車両用の渦電流式減速装置では300×10-4T以
内、また、低中速車両用の渦電流式減速装置では900
×10-4T以内となり、ロータの円筒部に発生する制動
トルクが大幅に減少して引きずりトルクが低減する。
【0024】
【実施例】以下、本発明の渦電流式減速装置を図1〜図
3に示す実施例に基づいて説明する。なお、図1〜図3
中、図6〜図12と同一符号は同一部分或いは相当部分
を示し、詳細な説明を省略する。図1〜図3は単列旋回
方式における本発明の渦電流式減速装置の説明図で、図
1は制動ONの状態の磁気回路構成を示す説明図、図2
は制動OFFの状態の短絡的磁気回路構成を示す説明
図、図3は渦電流式減速装置の回転軸方向の断面図であ
る。
3に示す実施例に基づいて説明する。なお、図1〜図3
中、図6〜図12と同一符号は同一部分或いは相当部分
を示し、詳細な説明を省略する。図1〜図3は単列旋回
方式における本発明の渦電流式減速装置の説明図で、図
1は制動ONの状態の磁気回路構成を示す説明図、図2
は制動OFFの状態の短絡的磁気回路構成を示す説明
図、図3は渦電流式減速装置の回転軸方向の断面図であ
る。
【0025】図1〜図3は単列旋回方式における本発明
の渦電流式減速装置を示したもので、図6を用いて説明
した特開平1−298948号で提案されたものと同様
の、回転軸(1)に一体的に取り付けられたロータ8
と、このロータ8に対向して支持され、ロータ8の周方
向に沿って磁極の向きを互いに逆向きとなるよう、所要
角度旋回可能な強磁性体の支持リング4に一定の間隔を
存して配置された永久磁石6群と、この永久磁石6群と
前記ロータ8との間に、前記永久磁石6群の各永久磁石
6と基本的には同じ角度位置に介設された強磁性体のス
イッチ板7群と、このスイッチ板7群の各スイッチ板7
の間に介設された非磁性体の支持体3部分を備えた構造
である。
の渦電流式減速装置を示したもので、図6を用いて説明
した特開平1−298948号で提案されたものと同様
の、回転軸(1)に一体的に取り付けられたロータ8
と、このロータ8に対向して支持され、ロータ8の周方
向に沿って磁極の向きを互いに逆向きとなるよう、所要
角度旋回可能な強磁性体の支持リング4に一定の間隔を
存して配置された永久磁石6群と、この永久磁石6群と
前記ロータ8との間に、前記永久磁石6群の各永久磁石
6と基本的には同じ角度位置に介設された強磁性体のス
イッチ板7群と、このスイッチ板7群の各スイッチ板7
の間に介設された非磁性体の支持体3部分を備えた構造
である。
【0026】単列旋回方式における本発明の渦電流式減
速装置は、上記した構造において、隣合うスイッチ板
7,7の内周面側の間隔δを15mm以上となるように
している。そして、加えて、このスイッチ板7の厚みT
と隣合うスイッチ板7,7の内周面側の間隔δの関係δ
/Tが、高速走行用の車両や、駆動系がオーバードライ
ブ系の車両では1.6以下となるように、また、低中速
走行用の車両や駆動系がダイレクトドライブ系の車両で
は2.6以下となるようにしているのである。
速装置は、上記した構造において、隣合うスイッチ板
7,7の内周面側の間隔δを15mm以上となるように
している。そして、加えて、このスイッチ板7の厚みT
と隣合うスイッチ板7,7の内周面側の間隔δの関係δ
/Tが、高速走行用の車両や、駆動系がオーバードライ
ブ系の車両では1.6以下となるように、また、低中速
走行用の車両や駆動系がダイレクトドライブ系の車両で
は2.6以下となるようにしているのである。
【0027】このような図1〜図3に示した渦電流式減
速装置では、支持リング4を回動させて、図1に示すよ
うに、永久磁石6がスイッチ板7と重なり合うと、支持
リング4と、隣接する永久磁石6及び隣接するスイッチ
板7と、ロータ(8)の円筒部8aで磁気回路が形成さ
れて、いわゆる制動ONの状態となり、回転する前記円
筒部8aが永久磁石6からの磁界を横切る時に、円筒部
8aに生じる渦電流と磁界の作用により、円筒部8aに
制動トルクが発生する。
速装置では、支持リング4を回動させて、図1に示すよ
うに、永久磁石6がスイッチ板7と重なり合うと、支持
リング4と、隣接する永久磁石6及び隣接するスイッチ
板7と、ロータ(8)の円筒部8aで磁気回路が形成さ
れて、いわゆる制動ONの状態となり、回転する前記円
筒部8aが永久磁石6からの磁界を横切る時に、円筒部
8aに生じる渦電流と磁界の作用により、円筒部8aに
制動トルクが発生する。
【0028】また、上記した制動ONの位置から、支持
リング4を回動させて永久磁石6列を磁石の半配列ピッ
チ分だけ旋回させた状態では、図2に示すように、一つ
の永久磁石6が、隣接するスイッチ板7を跨いで半分ず
つ重なった状態となって、支持リング4と、隣接する永
久磁石6及びスイッチ板7で短絡的磁気回路が形成され
て、いわゆる制動OFFの状態となる。
リング4を回動させて永久磁石6列を磁石の半配列ピッ
チ分だけ旋回させた状態では、図2に示すように、一つ
の永久磁石6が、隣接するスイッチ板7を跨いで半分ず
つ重なった状態となって、支持リング4と、隣接する永
久磁石6及びスイッチ板7で短絡的磁気回路が形成され
て、いわゆる制動OFFの状態となる。
【0029】ちなみに、本発明の効果を確認するため
に、単列旋回方式における本発明の渦電流式減速装置の
試験体(以下、「本発明試験体」という)を作製して性
能試験を行ったところ、図4に示すように、隣合うスイ
ッチ板7,7の内周面側の間隔δが15mm以上の本発
明試験体では、制動ON時における制動トルクの大幅な
低下は認められず、有効に制動力を発揮することが判明
した。なお、図4の縦軸は制動トルクが294N・mの
場合を100%とした時の比率で示している。
に、単列旋回方式における本発明の渦電流式減速装置の
試験体(以下、「本発明試験体」という)を作製して性
能試験を行ったところ、図4に示すように、隣合うスイ
ッチ板7,7の内周面側の間隔δが15mm以上の本発
明試験体では、制動ON時における制動トルクの大幅な
低下は認められず、有効に制動力を発揮することが判明
した。なお、図4の縦軸は制動トルクが294N・mの
場合を100%とした時の比率で示している。
【0030】また、隣合うスイッチ板7,7の内周面側
の間隔δを15mm以上として、厚みTと間隔δの関係
δ/Tが0.7〜2.75の範囲となるように厚みTと
間隔δを各種変化させた本発明試験体では、図5に示す
ように、δ/Tが1.6以下ではロータ8の円筒部8a
への磁気漏れ量が300×10-4T以内に、また、δ/
Tが2.6以下ではロータ8の円筒部8aへの磁気漏れ
量が900×10-4T以内となって、ロータ8の円筒部
8aに発生する制動トルクが大幅に減少し、引きずりト
ルクが低減することが判明した。
の間隔δを15mm以上として、厚みTと間隔δの関係
δ/Tが0.7〜2.75の範囲となるように厚みTと
間隔δを各種変化させた本発明試験体では、図5に示す
ように、δ/Tが1.6以下ではロータ8の円筒部8a
への磁気漏れ量が300×10-4T以内に、また、δ/
Tが2.6以下ではロータ8の円筒部8aへの磁気漏れ
量が900×10-4T以内となって、ロータ8の円筒部
8aに発生する制動トルクが大幅に減少し、引きずりト
ルクが低減することが判明した。
【0031】なお、図4における制動トルクは、回転軸
を連結しているプロペラシャフトの回転速度が2000
rpmの時点で、制動のON,OFFを切換えて測定し
たものであるが、他の回転速度の場合にも同様の傾向が
得られることは言うまでもない。
を連結しているプロペラシャフトの回転速度が2000
rpmの時点で、制動のON,OFFを切換えて測定し
たものであるが、他の回転速度の場合にも同様の傾向が
得られることは言うまでもない。
【0032】図4及び図5より明らかなように、本発明
試験体では、制動トルクがあまり減少することなく、ロ
ータ8の円筒部8aへの磁気漏れ量(引きずりトルク)
は大幅に減少している。つまり、隣合うスイッチ板7,
7の内周面側の間隔δと、スイッチ板7の厚みTと隣合
うスイッチ板7,7の内周面側の間隔δの関係δ/Tを
適正範囲に規定することで、制動ON時の制動力を損な
わないで、制動OFF時の引きずりトルクを大幅に減少
させられることが判る。
試験体では、制動トルクがあまり減少することなく、ロ
ータ8の円筒部8aへの磁気漏れ量(引きずりトルク)
は大幅に減少している。つまり、隣合うスイッチ板7,
7の内周面側の間隔δと、スイッチ板7の厚みTと隣合
うスイッチ板7,7の内周面側の間隔δの関係δ/Tを
適正範囲に規定することで、制動ON時の制動力を損な
わないで、制動OFF時の引きずりトルクを大幅に減少
させられることが判る。
【0033】図1〜図3に示した実施例では、ポールピ
ースを省略したものを示しているが、永久磁石6(,1
1,13)の外周にポールピースを取付けたものであっ
ても良い。
ースを省略したものを示しているが、永久磁石6(,1
1,13)の外周にポールピースを取付けたものであっ
ても良い。
【0034】なお、図1〜図3に示す実施例では、単列
旋回方式のものについて説明したが、二列旋回方式にも
適用可能であることは勿論、例えば特開平1−2989
47号で提案されているような、ディスクタイプの渦電
流式減速装置にも適用できることは言うまでもない。そ
して、ディスクタイプも、永久磁石群の両側をディスク
で挟むものに限らず、一枚のディスクの両側を永久磁石
群で挟むものでも良い。
旋回方式のものについて説明したが、二列旋回方式にも
適用可能であることは勿論、例えば特開平1−2989
47号で提案されているような、ディスクタイプの渦電
流式減速装置にも適用できることは言うまでもない。そ
して、ディスクタイプも、永久磁石群の両側をディスク
で挟むものに限らず、一枚のディスクの両側を永久磁石
群で挟むものでも良い。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の渦電流式
減速装置によれば、隣合うスイッチ板の内周面側間隔δ
と、スイッチ板の厚みTと隣合うスイッチ板の内周面側
間隔δの関係δ/Tを適正範囲に規定することで、制動
ON時の制動力を損なわないで、制動OFF時の引きず
りトルクを大幅に減少させることができ、その結果、非
制動時の動力損失を抑制することができる。また、本発
明の渦電流式減速装置では、特公平7−118901号
で提案された方式のように、スイッチ板の厚さを、制動
トルクの増大にあわせて厚くする必要がなく、コンパク
ト、軽量化が図れる利点も有する。更に、単列旋回方式
に適用した場合には、部品点数を大幅に減らすことによ
る耐久信頼性の向上と低コスト化が図れ、また、永久磁
石の旋回角度が半分になることによるシリンダーの小型
化や消費エアーの節減が図れるという効果も有する。
減速装置によれば、隣合うスイッチ板の内周面側間隔δ
と、スイッチ板の厚みTと隣合うスイッチ板の内周面側
間隔δの関係δ/Tを適正範囲に規定することで、制動
ON時の制動力を損なわないで、制動OFF時の引きず
りトルクを大幅に減少させることができ、その結果、非
制動時の動力損失を抑制することができる。また、本発
明の渦電流式減速装置では、特公平7−118901号
で提案された方式のように、スイッチ板の厚さを、制動
トルクの増大にあわせて厚くする必要がなく、コンパク
ト、軽量化が図れる利点も有する。更に、単列旋回方式
に適用した場合には、部品点数を大幅に減らすことによ
る耐久信頼性の向上と低コスト化が図れ、また、永久磁
石の旋回角度が半分になることによるシリンダーの小型
化や消費エアーの節減が図れるという効果も有する。
【図1】単列旋回方式における本発明の渦電流式減速装
置の説明図で、制動ONの状態の磁気回路構成を示す説
明図である。
置の説明図で、制動ONの状態の磁気回路構成を示す説
明図である。
【図2】単列旋回方式における本発明の渦電流式減速装
置の説明図で、制動OFFの状態の短絡的磁気回路構成
を示す説明図である。
置の説明図で、制動OFFの状態の短絡的磁気回路構成
を示す説明図である。
【図3】単列旋回方式における本発明の渦電流式減速装
置の回転軸方向の断面図である。
置の回転軸方向の断面図である。
【図4】隣合うスイッチ板の内周面側の間隔δと制動ト
ルクの関係を示した図である。
ルクの関係を示した図である。
【図5】スイッチ板の厚みTと隣合うスイッチ板の内周
面側の間隔δの関係δ/Tと、隣合うスイッチ板の間隔
δを貫通してロータの円筒部まで到達する磁気漏れ量の
関係を示した図である。
面側の間隔δの関係δ/Tと、隣合うスイッチ板の間隔
δを貫通してロータの円筒部まで到達する磁気漏れ量の
関係を示した図である。
【図6】特開平1−298948号で提案された渦電流
式減速装置の側面図で、上半分を断面して示した図であ
る。
式減速装置の側面図で、上半分を断面して示した図であ
る。
【図7】特開平4−12659号で提案された渦電流式
減速装置の側面図で、上半分を断面して示した図であ
る。
減速装置の側面図で、上半分を断面して示した図であ
る。
【図8】図6の渦電流式減速装置における磁気回路構成
を示す説明図で、(a)は制動ONの状態、(b)は制
動OFFの状態を示す図である。
を示す説明図で、(a)は制動ONの状態、(b)は制
動OFFの状態を示す図である。
【図9】(a)(b)は共に特開平5−211761号
で提案された永久磁石の形状を説明する斜視図である。
で提案された永久磁石の形状を説明する斜視図である。
【図10】特開平6−165477号で提案された渦電
流式減速装置における制動OFF時の短絡磁気回路構成
を示す説明図である。
流式減速装置における制動OFF時の短絡磁気回路構成
を示す説明図である。
【図11】特開平6−189522号で提案された永久
磁石の形状を説明する断面図である。
磁石の形状を説明する断面図である。
【図12】特開平6−86534号で提案された渦電流
式減速装置における制動OFF時の短絡磁気回路構成を
示す説明図である。
式減速装置における制動OFF時の短絡磁気回路構成を
示す説明図である。
3 支持体 4 支持リング 6 永久磁石 7 スイッチ板 8 ロータ 11 永久磁石 12 固定支持リング 13 永久磁石 14 可動支持リング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 今西 憲治 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内
Claims (4)
- 【請求項1】 回転軸に一体的に取り付けられたロータ
と、このロータに対向して支持され、ロータの周方向に
沿って磁極の向きを互いに逆向きとなるよう、所要角度
旋回可能な強磁性体の支持リングに一定の間隔を存して
配置された永久磁石群と、この永久磁石群と前記ロータ
との間に、前記永久磁石群の各永久磁石と基本的には同
じ角度位置に介設された強磁性体のスイッチ板群と、こ
のスイッチ板群の各スイッチ板の間に介設された非磁性
体の支持体部分を備えた単列旋回方式の渦電流式減速装
置において、隣合うスイッチ板は15mm以上の内周面
側間隔δを存して配置され、かつ、このスイッチ板の厚
みTと隣合うスイッチ板の内周面側間隔δの関係δ/T
が1.6以下であることを特徴とする高速車両用の渦電
流式減速装置。 - 【請求項2】 請求項1記載の渦電流式減速装置におい
て、スイッチ板の厚みTと隣合うスイッチ板の内周面側
間隔δの関係δ/Tが2.6以下であることを特徴とす
る低中速車両用の渦電流式減速装置。 - 【請求項3】 回転軸に一体的に取り付けられたロータ
と、このロータに対向して支持され、ロータの周方向に
沿って磁極の向きを互いに逆向きとなるよう、強磁性体
の固定支持リングに一定の間隔を存して配置された永久
磁石群と、この永久磁石群を配置した固定支持リングに
隣接すると共に前記ロータに対向して設けられ、固定支
持リングと同様に、ロータの周方向に沿って磁極の向き
を互いに逆向きとなるように永久磁石群を配置した所要
角度旋回可能な可動支持リングと、これら両永久磁石群
と前記ロータとの間に、これら両永久磁石群の各永久磁
石と基本的には同じ角度位置に介設された強磁性体のス
イッチ板群と、このスイッチ板群の各スイッチ板の間に
介設された非磁性体の支持体部分を備えた二列旋回方式
の渦電流式減速装置において、周方向に隣合うスイッチ
板は15mm以上の内周面側間隔δを存して配置され、
かつ、このスイッチ板の厚みTと周方向に隣合うスイッ
チ板の内周面側間隔δの関係δ/Tが1.6以下である
ことを特徴とする高速車両用の渦電流式減速装置。 - 【請求項4】 請求項3記載の渦電流式減速装置におい
て、スイッチ板の厚みTと周方向に隣合うスイッチ板の
内周面側間隔δの関係δ/Tが2.6以下であることを
特徴とする低中速車両用の渦電流式減速装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000235684A JP2001119924A (ja) | 1999-08-12 | 2000-08-03 | 渦電流式減速装置 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22826799 | 1999-08-12 | ||
JP11-228267 | 1999-08-12 | ||
JP2000235684A JP2001119924A (ja) | 1999-08-12 | 2000-08-03 | 渦電流式減速装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001119924A true JP2001119924A (ja) | 2001-04-27 |
Family
ID=26528150
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000235684A Pending JP2001119924A (ja) | 1999-08-12 | 2000-08-03 | 渦電流式減速装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001119924A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104779775A (zh) * | 2015-05-04 | 2015-07-15 | 马鞍山蓝信环保科技有限公司 | 一种高效率非接触传递扭矩的装置 |
CN109412381A (zh) * | 2018-12-20 | 2019-03-01 | 中国铁道科学研究院集团有限公司 | 线性涡流制动装置 |
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2000
- 2000-08-03 JP JP2000235684A patent/JP2001119924A/ja active Pending
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