JP4014773B2 - 画像記録方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像記録装置及び画像記録方法に関し、詳しくは、被記録材に画像を定着する技術の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、トナー像を被記録材に定着する方式としては、定着性や安全性を考慮して熱ローラ方式が広く採用されている。例えば、内部にハロゲンヒータを内蔵した加熱ローラとこれに圧接された加圧ローラとの間のニップ部で未定着のトナー像を担持した被記録材を挟持・搬送し、熱でトナーを溶融させるとともに圧力によりトナーを被記録材に密着させる構成となっている。
しかしながら、この熱ローラ方式では、画像記録装置の立ち上がり時間などを考慮して、待機時にもヒータへの通電を行う予熱制御が一般化しており、消費エネルギーの多さが問題となっている。
【0003】
近年においては、省エネルギーあるいはその他の観点から、熱ローラ方式以外の様々な定着方式が提案されるようになってきた。
例えば、特開平3−257473号公報には、粉体(トナー)像を低粘度化するための溶液を像担持体(感光体)上の粉体像に供給し、粉体を低粘度化した後紙に加圧ローラで圧着する技術が開示されている。トナーの主成分としてはポリビニルアルコールが、トナーを低粘度化するための溶液としては水が挙げられている。
特開平7−44034号公報には、トナーを溶解又は膨潤可能で水に不溶又は難溶な有機化合物(有機溶媒)が水に分散混合された定着剤を、未定着トナーに噴霧などしてトナーを溶解又は膨潤させ、紙表面に定着する湿式定着方法が記載されている。
【0004】
特開平7−324287号公報には、トナーの樹脂成分を可塑化する可塑剤を含有する溶剤を、記録体上に形成されたトナー画像に接触させてトナーを可塑化し、定着する技術が記載されている。
特開平8−194396号公報には、像担持体上に粉体よりなる第一の現像像を形成した後、第一の現像像と記録部材(紙)及び現像像の粉体同士を結着する結着剤を含有した第二の現像剤を像担持体上の第一の現像像に重ねて供給し、像担持体と記録部材とを圧着することで第一及び第二の現像像を記録部材に転写・定着する技術が記載されている。結着剤としては、圧力定着用カプセルトナーの芯物質として用いられている結着剤、接着剤、あるいは高沸点溶媒等が挙げられている。上記結着剤、接着剤の具体例としては、ゼラチン、アラビアゴムなどの天然樹脂やフェノール樹脂などが挙げられている。
特開平8−262789号公報には、架橋可能な官能基を含有するトナーで画像を形成し、形成後のトナー画像に上記官能基と反応可能な架橋剤を含有する定着溶剤を接触させて定着する技術が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
特開平3−257473号公報に記載された技術では、水溶性樹脂を主成分としたトナーを用いるため、トナーがトナーボトルやカートリッジ内で空気中の水分を吸収して互いに密着して凝集し、保存性が悪くなるという問題がある。
一般的に用いられているトナーの主成分はポリスチレンやアクリル樹脂など非水溶性の樹脂であり、これらのトナーを低粘度化するためには有機溶媒を使用する必要がある。しかしながら、有機溶媒は一般に引火性や毒性など安全上の問題が大きい。
特開平7−324287号公報に記載の技術では、低揮発性の溶剤を用いることを推奨しているが、この場合でも安全上の問題は完全に払拭できない。
【0006】
特開平7−44034号公報に記載の技術では、水に不溶又は難溶な有機溶媒を水に分散混合することにより安全性を高めているが、本質的に有機溶媒を使用していることに変わりはなく、安全性が十分とは言い難い。
特開平8−194396号公報に記載された技術では、ゼラチン、アラビアゴムなどの天然樹脂やフェノール樹脂などを結着剤として用いれば、溶媒の蒸発による安全性の低下を防ぐことができる。
【0007】
しかしながら、結着剤を含んだ第二の現像剤を第一の現像剤と同様に電子写真プロセスで感光体上に供給する必要があるため、実質的に2つの現像器を設ける必要があり、装置のコストアップを避けられない。
また、結着剤を含んだ第二の現像剤は圧力をかけることでその結着剤が流出するようになっているが、粒径が小さ過ぎると紙の凹凸の影響で潰れなくなるおそれがあり、その場合には結着機能が十分に発揮されないことになる。
また、感光体上に残存した現像剤は通常クリーニングブレードなどでクリーニングされるが、このクリーニングプロセス中の圧力で感光体上の残存現像剤が潰れてしまい、感光体表面が結着剤で汚染されるという問題も抱えている。
【0008】
特開平8−262789号公報に記載の技術では、架橋剤及び架橋剤を含有する定着剤は有機溶剤であり、安全性の問題がある。しかも、定着剤はトナー以外の部分にも付与されるため、トナー以外の部分に付与された定着剤は架橋反応せずに紙表面に残留する。定着剤が揮発性の場合には、揮発蒸気による環境汚染が問題になり、低揮発性の場合には手など紙に接触したものを汚染するおそれがある。
【0009】
そこで、本発明は、定着性が良好で上記汚染等の問題を引き起こさず、省エネルギーで安全性の高い画像記録方法及び画像記録装置の提供を、その主な目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明では、色材を含有した微粒子画像を形成し、該微粒子画像を被記録材に転写した後、転写された上記微粒子画像及び上記被記録材に定着材を付与し、付与された上記定着材の固化を固化促進手段により促進させる画像記録方法において、上記定着材は、不飽和ポリエステル樹脂からなる紫外線硬化樹脂をビニルモノマーに溶解した液体状態を具備したものに、上記被記録材への浸透を促進する界面活性剤が添加されたものを用い、上記定着材を複数のノズルにより滴下して上記微粒子画像及び上記被記録材に付与し、上記微粒子画像及び上記被記録材に上記定着材を浸透させ、上記固化促進手段の紫外線照射により上記定着材が硬化することで、上記定着材により、画像を形成している微粒子同士及び該微粒子と上記被記録材とを結着することを特徴とする。
【0026】
【実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態における画像記録装置は、像担持体としての感光体2と、転写手段としての転写ローラ4と、被記録材としての用紙Pが積載収容された給紙カセット6と、用紙Pを搬送する搬送手段8と、色材を含有した微粒子としてのトナー同士及び該トナーと用紙Pとを結着する紫外線硬化樹脂を主成分とした定着材を用紙P上に付与する定着材付与手段10と、紫外線硬化樹脂の固化を促進する固化促進手段としての紫外線ランプ12(紫外線源)等を有している。
【0027】
図示しないが、周知のように、感光体2の周囲には、感光体2の表面を一様に帯電する帯電手段、画像情報に基づいて露光する露光手段、露光により形成された静電潜像を色材を含有した微粒子としてのトナーにより可視像化する現像手段、転写後の感光体2上の残留トナーをクリーニングするクリーニング手段、感光体2の残留電位を除去する除電手段等が配置されている。これらの部材と感光体2により画像形成手段が構成されている。
【0028】
給紙カセット6に収容された用紙Pは、最上のものから順に給紙ローラ14等により一枚ずつ分離されてレジストローラ対16へ向けて送りだされる。送り出された用紙Pはレジストローラ対16で斜めずれ等を修正された後、感光体2上に形成されたトナー画像の先端と、用紙Pの搬送方向の画像形成位置先端とが一致するタイミングで感光体2と転写ローラ4の間の転写ニップ部に送られる。
転写ローラ4には所定の転写バイアスが印加され、これにより用紙P上に感光体2上のトナー画像が転写される。
【0029】
トナー画像を転写された用紙Pは、ベルト方式の搬送手段8により図示しない排紙トレイへ向けて搬送される。搬送手段8による搬送途中において、未定着のトナー画像を保持した用紙Pに、定着材付与手段10により紫外線硬化樹脂を主成分とし、あるいは紫外線硬化樹脂のみからなる定着材10Aが付与される。定着材付与手段10は、定着材10Aを滴下する複数のノズルを有する構成であり、ノズルが存在する領域の長さは、用紙Pの搬送方向と略直交する幅方向全体に亘っている。
定着材10Aの付与により、色材を含有した微粒子としてのトナー同士及び該トナーと用紙Pとが結着される。定着材10Aはそのまま放置しても時間の経過により硬化するが、本実施形態では、その硬化時間を短くすべく、紫外線ランプ12により紫外線を照射して短時間に固化させる。この紫外線照射により、紫外線硬化樹脂は硬化し、用紙Pに対するトナー画像の固定(定着)が完了する。
紫外線ランプ12による紫外線照射によって定着材10Aの固化を促進するので、搬送手段8の長さを短くして図示しない排紙トレイへ排出しても用紙Pの重なりによる画像ずれの心配がなく、よって固化促進手段を有しない構成に比べ、排出構成の小型化に寄与することができる。
【0030】
紫外線硬化樹脂としては、例えばフマル酸、マレイン酸の不飽和ポリエステル樹脂をスチレンなどビニルモノマーに溶解したものや、アクリル基又はメタクリル基など不飽和基を側鎖にもつアクリル樹脂などを用いることができる。また、反応性の向上のために増感剤を添加してもよい。増感剤としては、例えばベンゾイル及びその誘導体などを用いることができる。
【0031】
次に、図2に基づいて第1の参考例を説明する。なお上記実施形態と同一部分は同一符号で示し、特に必要がない限り重複説明は省略する。
本参考例では、搬送手段8による搬送途中において、未定着のトナー画像を保持した用紙P上に、定着材付与手段18により電子線硬化樹脂を主成分とし、あるいは電子線硬化樹脂のみからなる定着材18Aが付与される。定着材付与手段18は、定着材18Aを滴下する複数のノズルを有する構成であり、ノズルが存在する領域の長さは、用紙Pの搬送方向と略直交する幅方向全体に亘っている。
【0032】
定着材10Aの付与により、色材を含有した微粒子としてのトナー同士及び該トナーと用紙Pとが結着される。定着材10Aはそのまま放置しても時間の経過により硬化するが、本実施形態では、その硬化時間を短くすべく、電子線源20により電子線を照射して短時間に固化させる。この電子線照射により、電子線硬化樹脂は硬化し、用紙Pに対するトナー画像の固定(定着)が完了する。
電子線源20による電子線照射によって定着材18Aの固化を促進するので、搬送手段8の長さを短くして図示しない排紙トレイへ排出しても用紙Pの重なりによる画像ずれの心配がなく、よって排出構成の小型化に寄与することができる。
電子線で硬化する樹脂は、基本的には紫外線で硬化する樹脂と同じものを使うことができる。また、過酸化物やアミンを添加することで固化効率を向上させることができる。
【0033】
定着材としては、エポキシ樹脂を主成分としたものを用いてもよい。感光体2から未定着のトナー画像を用紙Pに転写した後、エポキシ樹脂を主成分とした定着材を、定着材付与手段10、18と同等の構成の定着材付与手段により付与する。
ここでいうエポキシ樹脂とは、分子内にエポキシ基を有する多分子性化合物を指す。エポキシ樹脂は脂肪族アミン、芳香族アミン、芳香族スルホン酸、カルボン酸無水物、チオコール、アルコール、フェノール性水酸基を2個以上含む化合物を硬化剤として添加することで硬化を促進させることができる。
【0034】
本実施形態の場合も、用紙Pに付与する直前のエポキシ樹脂に上記硬化剤を添加するか、用紙Pに付与したエポキシ樹脂に上記の硬化剤を付与することで速やかに硬化させることができる。
また、上記のような硬化剤をマイクロカプセル化してエポキシ樹脂に混練しておき、エポキシ樹脂を用紙Pに付与した後ローラなどで圧力をかけてマイクロカプセルを壊してエポキシ樹脂と硬化剤を混ぜるようにしてもよい。特に、硬化剤として芳香族スルホン酸を用いると、硬化時間を短縮できるので、定着を速やかに完了することができる。
【0035】
また、定着材としては、水を主成分とした液体に樹脂その他の凝固、接着成分が含有されているものを用いてもよい。
すなわち、未定着画像のトナー間及びトナーと用紙P間に、溶媒もしくは分散媒を水とした高分子水溶液もしくは分散液を主成分とする定着材を浸透させて、高分子樹脂でトナー間及びトナーと用紙P間を結着することで、画像を用紙Pに固定するものである。
これにより、有機溶剤などを使用しないので、人体に対する危険性や、引火などの危険性を排除できる。定着材に添加する高分子材料は特に限定はされない。
水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルメチルエーテル、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル/カルボン酸共重合体、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、アクリル酸エステル共重合体、ポリビニルピロリドン、澱粉、デキストリン、アラビアゴム、ゼラチン、アルギン酸ソーダなどが挙げられる。
分散系で用いることができる樹脂としては、酢酸ビニル、酢酸ビニル共重合体、合成ゴムラテックスなどが挙げられる。
【0036】
被記録材としては、複写機やプリンタなどで用いられる一般的な紙が挙げられる。また、定着材が浸透しないため乾燥まで時間がかかるが、OHPシートなどの樹脂フィルムも用いることができる。
被記録材が紙などの多孔質体の場合、定着材は被記録材に速やかに浸透した方が定着速度の向上や、画像乱れを防止することができる。
そこで、定着材の被記録材への浸透促進剤として浸透を促進する材料を定着材に添加することが有効である。
浸透促進剤としては、界面活性剤が挙げられる。界面活性剤は、定着材に含まれる成分と反応したり、凝固や析出をさせたりしないものならば一般的なものを用いることができ、アニオン系、カチオン系、ノニオン系などいずれのものでもよい。
【0037】
また、定着材の浸透を促進する方法としては、定着材付与後に加圧することも有効である。紙などの多孔質体に対する液体の浸透深さZは、一般に次式で表される。
【0038】
【数1】
【0039】
この式より、加圧力を高くすれば液体の浸透を促進できることがわかる。
加圧は定着材を付与しながら同時に行ってもよく、定着材を付与した直後(後)でも構わない。
図3は、定着材の付与と同時に加圧力によって被記録材に対する定着材の浸透を促進する第2の参考例を示している。なお、画像形成手段等は図1又は図2で示したものと同様であるので省略し、トナー画像を転写した後の構成のみについて説明する。
本参考例における定着材付与手段22は、定着材24が収容されたタンク26と、タンク26内の定着材24にその一部が浸された定着材付与ローラ28を有している。定着材付与ローラ28の対向位置には用紙Pの表面に圧力を印加する加圧手段としてのバックアップローラ30が設けられている。
【0040】
トナー画像を転写された用紙Pは、定着材付与ローラ28とバックアップローラ30の間のニップ部に進入し、加圧されながら搬送される。定着材付与ローラ28の表面に保持された定着材24は用紙Pの裏面(非画像面)に供給されるとともに、加圧力により用紙P内に浸透し、トナー画像が存在する表面側に滲み出る。これによりトナー同士及び該トナーと用紙Pとが結着される。加圧手段としてのバックアップローラ30の構成は、定着材付与手段22の構成に対応して任意に変化させることができる。
なお、画像面を下にした状態で用紙Pを定着材付与ローラ28とバックアップローラ30のニップ部に進入させても同様の定着機能を得ることができる。
【0041】
図4は、定着材の付与後に用紙Pの表面に圧力を印加する加圧手段を有する例(第3の参考例)を示している。本参考例においては、定着材付与手段22の用紙搬送方向下流に加圧手段32が設けられている。加圧手段32は、対向配置された一対の加圧ローラ34,34を有している。
トナー画像が転写された用紙Pの裏面に定着材付与手段22の定着材付与ローラ28により定着材24が供給される。その後、用紙Pは加圧手段32のニップ
部に進入し、ここ圧力を加えられる。この圧力付与により、用紙Pの裏面に付着していた定着材24は用紙P内に浸透し、トナー画像が存在する表面側に滲み出る。これによりトナー同士及び該トナーと用紙Pとが結着される。
加圧手段32の構成は、上記実施形態のように定着材付与手段22の構成に拘束されないので、種々の形態を採用できる。
なお、画像面を下にした状態で用紙Pを搬送して定着材2を供給し、その後加圧手段32のニップ部に進入させても同様の定着機能を得ることができる。
【0042】
上記のように、定着材24をローラ(定着材付与ローラ28)で付与する構成とすれば、簡易な構成で安定して定着材24を用紙Pに付与することができる。ローラの材質や表面構造などは様々なものが考えられるが、定着材24がローラ表面になじみやすいような材質や加工が好ましい。また、定着材24の付与に係る定量性を高めるために、ローラ表面に加工を施してもよい。加工の例としては、例えば図5に示すように、ローラ表面に周方向の溝28aを設けるグルーブローラ構成や、一定の深さの窪みを設けるグラビアローラ構成などが挙げられる。
【0043】
定着材24の付与量が多いと、用紙Pが波打ったり、乾燥(固化)に時間がかかったりするので、必要最小限の付与量にするこのが好ましい。具体的には、A4判のサイズの用紙Pに対して1.5g以下の付与量が望ましい。但し、十分な乾燥手段を有するなど、付与量が多いことによる不具合の発生がない場合にはそれ以上の付与量でも問題はない。
定着材付与ローラ28の構成も特に制限されない。図3及び図4で示したように1本のローラで汲み上げから用紙Pへの付与まで行ってもよいし、複数本のローラを組み合わせて定着材24の汲み上げと用紙Pへの付与を別々のローラで行っても構わない。
【0044】
定着材24(定着液)を付与された被記録材が紙の場合には、水分を吸収してコシがなくなったりするので、積極的に乾燥して紙の強度を回復させ、紙のハンドリング性を良好にして用紙ジャムなどの不具合を防ぐことが望ましい。
図6は、乾燥機能を有する一例を示すものである。なお、画像形成手段等は図1又は図2で示したものと同様であるので省略し、トナー画像を転写した後の構成のみについて説明する(以下の他の実施形態において同じ)。
トナー画像が転写された用紙Pの表面にノズル滴下構成の定着材付与手段36により定着材24が供給される。用紙Pの裏面側における定着材付与手段36の対向位置には、乾燥手段としてのヒータ38が設けられている。本実施形態では、ヒータ38の熱により定着材24の付与と同時に乾燥がなされる。ヒータ38としては、セラミックヒータ、ハロゲンヒータ、ラバーヒータなど各種のヒータを用いることができる。
【0045】
図7に示すように、ヒータ38を定着材24の付与位置から離れた用紙搬送方向下流に設け、定着材24を付与した後に乾燥するようにしてもよい。
また、図8に示すように、乾燥手段として温風を吹き付けるドライヤー40を用い、これを定着材24の付与位置から離れた用紙搬送方向下流に設けて定着材24を付与した後に温風により乾燥するようにしてもよい。
また、図示しないが、加熱された部材で用紙Pを挟み込むようにしながら搬送して乾燥するようにしてもよく、乾燥方式としては種々のものを採用できる。
【0046】
定着材付与手段が未定着の画像に接触すると、定着材の粘度や粘着力(タック力)によっては被記録材上の未定着画像が定着材付与手段側に転写してしまうおそれがある。定着材付与手段側への転写量が少なければ問題はないが、多い場合には定着画像が薄くなるなどの問題が生じるおそれがある。また、定着材付与手段にクリーニング機構を設ける必要が生じる。
被記録材への定着材の付与を非接触状態で行うことでこれらの問題の発生を防ぐことができる。図1及び図2で示した構成も定着材の付与を非接触状態で行う例であるが、図9以下にその他の例を示す。
【0047】
まず、図9に基づいて第4の参考例を説明する。
本参考例では、定着材付与手段としてインクジェットヘッド42を用いている。インクジェットヘッド42は、微小量の液体を付与するのに適した液体付与手段である。インクジェットヘッド42は定着材の液滴を飛ばしながら用紙Pの搬送方向と略直交する幅方向へ移動する。
インクジェットヘッド42における液滴を飛ばす方式としては、ピエゾ素子を使った方式、ヒータの加熱による液体の膜沸騰を利用したいわゆるバブルジェット(登録商標)方式、静電吸引による方式など様々な方式があり、そのどれを使ってもよい。
【0048】
次に、図10に基づいて第5の参考例を説明する。
本参考例では、図9で示したインクジェットヘッド42に比べてノズル数が多いインクジェットヘッド44を使用している。具体的には、インクジェットヘッド44の噴射幅を、用紙Pの搬送方向と略直交する方向の画像形成領域幅以上となるように設定している。
インクジェットヘッド44は定位置に固定された状態で定着材の噴射を行い、用紙Pの搬送のみによって定着材付与が進行する。インクジェットヘッド44の移動がないので、定着材付与を高速に行うことができる。
【0049】
次に、図11に基づいて第6の参考例を説明する。
本参考例では、定着材付与手段としてスプレー46を用いている。トナー画像を転写された用紙Pの表面にスプレー46により定着材が霧状態で高速に付与される。
スプレー方式によれば、用紙P上の定着材の膜厚を簡単に且つ迅速に均一にできるので、定着材の適量付与をより高速に付与することができる。
【0050】
実施例1
定着装置を除去した普通紙複写機imagioDA505(商品名、リコー製) を使って、複写機用紙であるマイペーパ(商品名、NBSリコー製) に未定着の画像を形成した。その後、図11で示したスプレー方式の定着材付与手段を使って未定着画像が形成された紙に定着材を付与した。定着材は、図12に示す構造のエポキシ樹脂を用いた。また、硬化剤としては、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン(芳香族アミン、構造式:図13)を用いた。その結果、少ない定着エネルギーで定着することができた。
【0051】
実施例2
定着装置を除去した普通紙複写機spirio7000( 商品名、リコー製) を使って、複写機用紙である紙源S(商品名、リコー製) に未定着の画像を形成した。その後、図3で示したローラ方式の定着材付与手段を使って未定着画像が形成された紙に定着材を付与した。
定着材は、図14に示す構造のアクリル樹脂に増感剤としてベンゾイル(構造式:図15)を添加したものを用いた。その後、紫外線ランプで紫外線を照射したところ、少ない定着エネルギーで定着することができた。
【0052】
実施例3
定着装置を除去した普通紙複写機spirio7000( 商品名、リコー製) を使って、複写機用紙であるTYPE6200(商品名、リコー製) に未定着の画像を形成した。その後、図3で示したローラ方式の定着材付与手段を使って未定着画像が形成された紙に定着材を付与した。
定着材は、図14に示す構造のアクリル樹脂にジ−n−ブチルアミンを添加したものを用いた。その後電子線を照射したところ、少ない定着エネルギーで定着することができた。
【0053】
実施例4
定着装置を除去した普通紙複写機spirio7000( 商品名、リコー製) を使って、複写機用紙である紙源S(商品名、リコー製) に未定着の画像を形成した。その後、図3で示したローラ方式の定着材付与手段を使って未定着画像が形成された紙に定着材を付与した。ローラは、その表面に深さ100μmの溝を有するグルーブローラとした。
定着材には、平均分子量2000のポリビニルアルコールの10wt%水溶液を用いた。また、定着材の浸透を促進するために界面活性剤MA80(商品名、三井サイテック製)を0.2wt%添加した。その結果、有害な蒸気などの発生が無く、少ない定着エネルギーで定着することができた。
【0054】
実施例5
定着装置を除去した普通紙複写機imagioDA505(商品名、リコー製) を使って、複写機用紙であるマイペーパ(商品名、NBSリコー製) に未定着の画像を形成した。その後、図3で示したローラ方式の定着材付与手段を使って未定着画像が形成された紙に定着材を付与し、図7で示したように、定着材付与後にセラミックヒータで乾燥した。ローラは、その表面に深さ70μmの窪みを有するグラビアローラとした。定着材には実施例4と同じものを用いた。
その結果、有害な蒸気などの発生が無く、少ない定着エネルギーで定着することができた。また、定着材付与後にセラミックヒータで乾燥したので、紙を早く乾燥することができた。
【0055】
実施例6
実施例4と同じ複写機で未定着画像を作製し、図9に示したようなインクジェットヘッドで定着材を付与した。
定着材には、平均分子量2000のポリビニルピロドリンの10wt%水溶液を用いた。また、定着材の浸透を促進するために界面活性剤MA80(商品名、三井サイテック製)を0.2wt%添加した。定着材付与後に図8に示したように温風を吹き付けて乾燥した。その結果、有害な蒸気などの発生が無く、少ない定着エネルギーで定着することができた。また、温風吹き付けにより紙を早く乾燥することができた。
【0056】
実施例7
実施例6と同様に未定着画像を作製し、図10で示したインクジェットヘッドで定着材を付与した。定着材や乾燥手段は実施例6と同じとした。その結果、有害な蒸気などの発生が無く、少ない定着エネルギーでの定着を実施例6よりも高速に行うことができた。
【0057】
実施例8
実施例5と同様に未定着画像を作製し、図11で示したスプレーで定着材を付与した。定着材は実施例4と同じとした。また、乾燥手段は実施例6と同じとした。その結果、有害な蒸気などの発生が無く、少ない定着エネルギーで定着を行うことができた。
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、定着における省エネルギー化を向上させることができる。
また、少ないエネルギーで短時間で確実に定着することができる。
また、少ないエネルギーで安全に定着することができる。
また、被記録材への定着材の浸透を促進でき、定着速度を速くすることができる。
また、少ないエネルギーで短時間で確実に定着することができるとともに、被記録材のハンドリング性を良好にできる。
また、簡易な構成で定着材を均一に付与することができる。
また、画像乱れを来すことなく定着することができる。
また、簡易な構成で良好な定着状態を得ることができる。
また、高速に定着を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態に係る画像記録装置の概要正面図である。
【図2】 第2の実施形態における画像記録装置の概要正面図である。
【図3】ローラタイプの定着材付与手段の概要正面図である。
【図4】ローラタイプの定着材付与手段の変形例を示す概要正面図である。
【図5】グルーブローラタイプの定着材付与ローラの斜視図である。
【図6】乾燥機能を有する定着材付与手段の概要正面図である。
【図7】乾燥機能を有する定着材付与手段の変形例を示す概要正面図である。
【図8】乾燥機能を有する定着材付与手段の他の変形例を示す概要正面図である。
【図9】非接触タイプの定着材付与手段の概要正面図である。
【図10】非接触タイプの定着材付与手段の変形例を示す概要正面図である。
【図11】スプレータイプの定着材付与手段の概要正面図である。
【図12】エポキシ樹脂の構造式を示す図である。
【図13】芳香族アミンの構造式を示す図である。
【図14】アクリル樹脂の構造式を示す図である。
【図15】ベンゾイルの構造式を示す図である。
【符号の説明】
4 転写手段としての転写ローラ
10,18,22 定着材付与手段
10A,18A,24 定着材
12 固化促進手段としての紫外線ランプ
20 固化促進手段としての電子線源
28 ローラとしての定着材付与ローラ
30 加圧手段としてのバックアップローラ
32 加圧手段
38 乾燥手段としてのヒータ
40 乾燥手段としてのドライヤー
42,44 インクジェットヘッド
46 定着材付与手段としてのスプレー
P 被記録材としての用紙
Claims (1)
- 色材を含有した微粒子画像を形成し、該微粒子画像を被記録材に転写した後、転写された上記微粒子画像及び上記被記録材に定着材を付与し、付与された上記定着材の固化を固化促進手段により促進させる画像記録方法において、
上記定着材は、不飽和ポリエステル樹脂からなる紫外線硬化樹脂をビニルモノマーに溶解した液体状態を具備したものに、上記被記録材への浸透を促進する界面活性剤が添加されたものを用い、
上記定着材を複数のノズルにより滴下して上記微粒子画像及び上記被記録材に付与し、
上記微粒子画像及び上記被記録材に上記定着材を浸透させ、
上記固化促進手段の紫外線照射により上記定着材が硬化することで、
上記定着材により、画像を形成している微粒子同士及び該微粒子と上記被記録材とを結着することを特徴とする画像記録方法。
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