JP4541099B2 - 定着液、定着方法及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
さらに、溶質を溶液に溶かすために定着液に混入する界面活性剤や溶質として用いるものには人が臭いを感じるものが多く、大量に定着を行うと強い臭いによりユーザーが不快感を感じることがあるにも関わらず、臭いについての検討も十分にはなされていなかった。
このように、安全性及び臭いの両方についての検討が十分になされていなかったため、湿式定着方法を採用した画像形成装置はオフィスや住居等、人が近くにいる環境に設置することは不向きであった。
また、請求項2の発明は、トナーを溶解または膨潤させる定着液を記録体表面上に形成された未定着トナー像に供給することにより該未定着トナー像を該記録体表面上に定着する定着方法において、該定着液として請求項1に記載の定着液を用いることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2の定着方法において、上記記録体表面上に形成された未定着トナー像に上記定着液を供給した後に、該記録体に加圧することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、記録体上にトナー像を形成し、該トナー像を担持した該記録体上にトナーを溶解または膨潤させる定着液を供給して、該トナー像を記録体上に定着させる画像形成装置において、該定着液として請求項1に記載の定着液を用いることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4の画像形成装置において、上記トナーを構成する材料のうち着色剤が上記定着液に対して不溶であることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項4または5の画像形成装置において、上記定着液を薄層状態でその表面に担持し、薄層状態の該定着液を上記記録体に塗布する定着液塗布ローラによって上記トナー像を担持した該記録体に該定着液を供給することを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項4、5または6の画像形成装置において、上記定着液を供給された上記記録体を加圧する加圧ローラを有することを特徴とするものである。
また、上記請求項2乃至3の定着方法においては、定着液として上記請求項1に記載の定着液を用いることで、ユーザーに不快感を感じさせることなく、且つ安全性の高い湿式定着方法とすることができる。
また、上記請求項4乃至7の画像形成装置においては、熱定着ではなく定着液を用いた湿式定着方法を採用しているので省エネ対策に優れたものとなる。さらに、定着液として上記請求項1の定着液を用いることで、ユーザーに不快感を感じさせることなく、且つ安全性の高い定着を行うことができる。
また、請求項2乃至3の発明によれば、請求項1に記載の定着液を用いることにより、人が近くにいる環境に設置することに適した湿式定着方法を実現することができるという優れた効果がある。
また、請求項4乃至7の発明によれば、省エネ対策に優れた湿式定着方法を採用した画像形成装置で、請求項1に記載の定着液を用いることにより、人が近くにいる環境に設置することに適した画像形成装置を得ることができるという優れた効果がある。
図1は、本実施形態に係る複写機全体の概略構成図である。この複写機は、複写機本体100と、この複写機本体を載置する給紙テーブル200と、その複写機本体上に取り付けるスキャナ300と、このスキャナの上部に取り付けられる原稿自動搬送装置(ADF)400とから構成されている。
画像形成ユニット18には、感光体ドラム20の周囲に、帯電装置60、液体現像装置61、感光体クリーニング装置63及び除電装置64が設けられている。また、感光体ドラム20に対して中間転写ベルト10を介して対向する位置には、第1の転写手段としての1次転写装置62が設けられている。
そして、現像剤塗布ローラ66a上の液体現像剤は、現像剤塗布ローラ66aの回転に伴って現像ローラ65との接触位置まで搬送される。この接触位置では、現像ローラ65と現像剤塗布ローラ66aとがカウンター方向に表面移動しており、現像剤塗布ローラ66aの溝内部の液体現像剤が現像ローラ65の表面に付着することになる。したがって、現像剤塗布ローラ66aの表面に設けられる溝の内部容積を調節することで、現像ローラ65上の液体現像剤量を適量に調整することができる。
また、除電装置64は、除電ランプで構成されており、光を照射して感光体ドラム20の表面電位を初期化する。
上述の構成をもつ複写機を用いて原稿のコピーをとる場合、まず、原稿自動搬送装置400の原稿台30に原稿をセットする。または、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じてそれで押さえる。その後、ユーザーが図示しないスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットしたときには、原稿がコンタクトガラス32上に搬送される。そして、スキャナ300が駆動して第1走行体33および第2走行体34が走行を開始する。これにより、第1走行体33からの光がコンタクトガラス32上の原稿で反射し、その反射光が第2走行体34のミラーで反射されて、結像レンズ35を通じて読取センサ36に案内される。このようにして原稿の画像情報を読み取る。
なお、2次転写後の中間転写ベルト10上に残留した転写残トナーは、ベルトクリーニング装置17により除去される。
定着装置25は定着液を付与することにより転写紙上のトナー像を溶融または膨潤させ、転写紙上に定着させる湿式定着方法を用いた定着装置である。定着装置25は、定着液256を収容する定着液溜めタンク257と、定着液256を転写紙に塗布する塗布ローラ254と、定着液溜めタンク257から定着液256を汲み上げ、塗布ローラ254に定着液256を供給する汲み上げローラ255とを備えている。この汲み上げローラ255はワイヤーバーで構成されている。さらに、転写紙搬送経路230を挟んで塗布ローラ254と対向する位置に、定着液256を塗布する際に転写紙を抑える抑え加圧ローラ253と、抑え加圧ローラ253から転写紙搬送方向下流側に定着液256の供給を受けた転写紙を加圧する加圧ローラ対252とを備えている。定着液についての詳細は後述する。
1つ目は、定着液に用いられるものには人体に対して有害なものが多く、安全性について課題が残っていた。定着液の溶媒として人体に無害な水を用いたものもあるが、トナーを溶解または膨潤させる性質を有する溶質は安全性についての検討が十分にはなされていなかった。
2つ目は、溶質を溶液に溶かすために定着液に混入する界面活性剤や溶質として用いる軟化剤には人が臭いを感じるものが多く、大量に定着を行うと強い臭いによりユーザーが不快感を感じることがあるにも関わらず、臭いについての検討も十分にはなされていなかった。
よって、本実施形態で用いる定着液256としては、この2つの問題を解決することができるようにする。
そして、食塩のLD50の値は3.0[g/kg]であり、食塩より安全なものを用いれば人体に対して無害であると言うことができると判断し、本実施形態の定着液256としてはLD50の値が、定着溶媒及び定着溶質が共に3.0[g/kg]以上のものを用いた。また、より安全性の高いものを求めるとすると定着溶媒及び定着溶質共に5.0[g/kg]以上となる材料を用いることがより好ましい。
臭気指数=10×Log(臭気濃度)
例えば、臭いを含んだ気体や液体を、臭いのない気体または液体で100倍に希釈して、臭いが感じられなくなった場合、その臭気濃度は100であり、下記の式よりその臭気指数は20となる。
臭気指数=10×Log(100)=10×2=20
そして、臭いに対する規制基準として臭気指数を採用している多くの地方自治体では、工場や事業場の敷地境界線上の臭気指数を10以下にするように規制している。また、臭気指数10とは、異臭を持つ気体を10倍に薄めた気体を20人が嗅いで、18人は無臭と判定するレベルである。よって、臭気指数が10以下であれば無臭であるということができると判断し、本実施形態の定着液256としては臭気指数が10以下のものを用いた。
つまり、トナーを溶解・膨潤させるトルエンやベンゼンなどの滴、エマルジョンの粒子はかなり微小と言っても数μm〜数十μmの粒径を持っており、経時変化でさらに大粒子になる可能性もある。このような定着液が紙面上に塗布され、転写紙上のトナー層に付与されても上述の粒径が大きいエマルジョン粒子がトナー粒子に接触し、浸透するには時間がかかる。また、溶質を溶媒に分散させている状態なので、定着液中でトナーを溶解または膨潤させる性質を有する溶質の濃度が一定にならず、トナーを溶解または膨潤させる作用にもムラが出てしまう。これにより、転写紙上でのトナーの定着状態にもムラが生じ、定着品質を悪化させる恐れがあった。
このような着色剤としては、以下のようなものがある。
三菱化学社製のカーボンブラックとして、#2700、#2650、#2600、#2400、#2300、#2200、#1000、#990、#980、#970、#960、#950、#900、#750、#650、MA600、MA77、MA8、カラー用としてはMA11、MA100、MA100S、MA230、#50、#47、#32、#30、#25、#20、#5、#95及び#260などがある。また、オリエント化学工業社製のものとしては、SPIRIT BLACK SB、SSBB、ABやNIGROSINE BASE SA、SAP、SAP−L、EE、EEL、EX、EX−B、EBなどがある。これらは定着液に不溶であるので好適である。一方、オリエント化学工業の油溶性染料も多く使用できるが、定着液の溶媒を構成する溶媒に溶解するものは選択せずに構成する。例えば、WATEER YELLOW1、2,6,18やWATEER RED1,2,3,27、WATEER BLUE3,9,105,及び、WATEER BLACK100−L,187−LM,R−455,R−456などは定着液が水ベースの場合は確実に溶解して画像がにじんでしまう。
なお、以下の実施例及び参考例においては、食塩の50%致死量LD50=3.0[g/kg]よりもより安全性が高くなるように、定着溶質及び定着溶媒が共に、LD50=5.0[g/kg]以上の材料からなる定着液を採用した。
下記の処方にて定着液を作成し、既製のプリンタ(LaserJet3500:HP社製)の定着部を加熱せずに、PPC用紙上に未定着トナー画像を形成した印字サンプルに定着液をスプレー塗布した。塗布して1分間乾燥した後、画像表面をウェスで擦り、ウェスへのトナー付着の有無で定着度合いを判定した。
定着液の処方
・軟化剤 ラウリン酸ヘキシル(LD50=8.0[g/kg]) 7.0[wt%]
・溶媒 ジメチルシロキサン(粘度=1.0[mPa・s]、LD50=15[g/kg]) 93[wt%]
未定着画像に、上に示した定着液を塗布・乾燥後、ウェスにて擦ったところ、ウェスには全くトナーが付着せず、転写紙上にトナーが強固に定着されたことが確認できた。また、溶質である軟化剤の臭気指数は1であり、溶媒の臭気指数は0で、定着液としての臭気指数は0であった。
下記の処方にて定着液を作成し、既製のプリンタ(LaserJet3500:HP社製)の定着部を加熱せずに、PPC用紙上に未定着トナー画像を形成した印字サンプルに図4に記載の定着装置を用いて定着液を塗布した。塗布して1分間乾燥後、画像表面をウェスで擦り、ウェスへのトナー付着の有無で定着度合いを判定した。
定着液の処方
・軟化剤 ミリスチン酸イソプロピル(LD50=8.0[g/kg]) 8.0[wt%]
・溶媒 ジメチルシロキサン(粘度=1.0[mPa・s]、LD50=15[g/kg]) 92[wt%]
未定着画像に、上に示した定着液を塗布・乾燥後、ウェスにて擦ったところ、ウェスには全くトナーが付着せず、転写紙上にトナーが強固に定着されたことが確認できた。また、溶質である軟化剤の臭気指数は0であり、溶媒の臭気指数は0で、定着液としての臭気指数は0であった。
下記の処方にて定着液を作成し、既製のプリンタ(Ipsio CX6600:リコー社製)の定着部を加熱せずに、PPC用紙上に未定着トナー画像を形成した印字サンプルに定着液をスプレー塗布した。塗布して1分間乾燥後、画像表面をウェスで擦り、ウェスへのトナー付着の有無で定着度合いを判定した。
定着液の処方
・軟化剤 ラウリン酸エチル(LD50=3.0[g/kg]) 3.0[wt%]
・溶媒 水 96[wt%]
・可溶化促進剤 ショ糖ラウリン酸エステル(HLB値16) 1.0[wt%]
未定着画像に、上に示した定着液を塗布・乾燥後、ウェスにて擦ったところ、ウェスには全くトナーが付着せず、転写紙上にトナーが強固に定着されたことが確認できた。また、溶質である軟化剤の臭気指数は3であり、溶媒の臭気指数は0で、定着液としての臭気指数は0であった。
また、定着溶媒として水を用いることにより、臭気やコストの面で有利な定着液を作り出すことができた。またVOC(揮発性有機化合物)の問題も解決することができる。
<脂肪酸アルキルエステル>
ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸ビス(2−エチルヘキシル)
<飽和ニ塩基酸エステル>
アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジエチル、コハク酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ビス(2エチルヘキシル)
溶媒として水を採用した定着液256としては、溶解・膨潤成分と界面活性剤を水に対して20%以下(好ましくは5%以下)の濃度で混合して作成する。
下記の処方にて定着液を作成し、既製のプリンタ(Ipsio CX6600:リコー社製)の定着部を加熱せずに、PPC用紙上に未定着トナー画像を形成した印字サンプルに図4に記載の定着装置を用いて定着液を塗布した。塗布して1分間乾燥後、画像表面をウェスで擦り、ウェスへのトナー付着の有無で定着度合いを判定した。
定着液の処方
・軟化剤 アジピン酸ジイソブチル(LD50=12.3[g/kg]) 6.0[wt%]
・溶媒 ジメチルシロキサン(粘度[1.0mPa・s]、LD50=15[g/kg]) 94[wt%]
未定着画像に、上に示した定着液を塗布・乾燥後、ウェスにて擦ったところ、ウェスには全くトナーが付着せず、転写紙上にトナーが強固に定着されたことが確認できた。また、軟化剤の臭気指数は3であり、溶媒の臭気指数は0で、定着液として臭気指数は0であった。
下記の処方にて定着液を作成し、既製のプリンタ(Ipsio CX6600:リコー社製)の定着部を加熱せずに、PPC用紙上に未定着トナー画像を形成した印字サンプルに定着液をスプレー塗布した。塗布して1分間乾燥後、画像表面をウェスで擦り、ウェスへのトナー付着の有無で定着度合いを判定した。
定着液の処方
・軟化剤 コハク酸ジエトキシエチル(LD50=5.0[g/kg]) 6.0[wt%]
・溶媒 水 93[wt%]
・可溶化促進剤 ショ糖ラウリン酸エステル(HLB値16) 1.0[wt%]
未定着画像に、上に示した定着液を塗布・乾燥後、ウェスにて擦ったところ、ウェスには全くトナーが付着せず、転写紙上にトナーが強固に定着されたことが確認できた。また、軟化剤の臭気指数は1であり、溶媒の臭気指数は0で、定着液として臭気指数は0であった。
下記の処方にて定着液を作成し、特開2004−86158に開示された液体現像方式のトナーと複写装置で、参考例1のトナーと図4で開示されたシステムの複写装置で作像した。作像後、定着部を加熱せずにPPC用紙上に未定着トナー画像を形成した印字サンプルに定着液をスプレー塗布した。塗布して1分間乾燥後、画像表面をウェスで擦り、ウェスへのトナー付着の有無で定着度合いを判定した。
定着液の処方
・軟化剤 セバシン酸ジブチル(LD50=14.9[g/kg]) 4.0[wt%]
・溶媒 フッ素系溶剤(ハイドロフロロエーテル)(LD50>5.0[g/kg]) 96[wt%]
未定着画像に、上に示した定着液を塗布・乾燥後、ウェスにて擦ったところ、ウェスには全くトナーが付着せず、転写紙上にトナーが強固に定着されたことが確認できた。また、軟化剤の臭気指数は3であり、溶媒の臭気指数は2で、定着液として臭気指数は2であった。この時、トナー画像の定着時にオフィス内になんらの不快な臭いは発生しなかった。
このように、参考例1乃至5及び実施例で上げた定着液256は無害、且つ無臭であるので、人が近くにいる環境での使用に適した定着液であると言うことができる。
次に、上で述べた定着液256の特性のうち、いずれかを有さない定着液を作成し、既製のプリンタによって定着工程の前工程まで行い、転写紙上の未定着トナー像を定着液による湿式定着にて定着を行い、その定着度合いを評価した。
下記の処方にて定着液を作成し、特開2004−86158に開示された液体現像方式のトナーと複写装置で、参考例1のトナーと図4で開示されたシステムの複写装置で作像した。作像後、定着部を加熱せずにPPC用紙上に未定着トナー画像を形成した印字サンプルに定着液をスプレー塗布した。塗布して1分間乾燥後、画像表面をウェスで擦り、ウェスへのトナー付着の有無で定着度合いを判定した。
定着液の処方
・軟化剤 カプリル酸メチル(LD50=3.0[g/kg]) 30[wt%]
・溶媒 ジメチルシロキサン(粘度=1.0[mPa・s]、LD50=15[g/kg]) 70[wt%]
未定着画像に、上に示した定着液を塗布・乾燥後、ウェスにて擦ったところ、ウェスには全くトナーが付着せず、転写紙上にトナーの強固に定着されたことが確認できた。しかし、この軟化剤の臭気指数は13であり、溶媒の臭気指数は0で、定着液として臭気指数は11であった。このため、トナー画像の定着時に腐ったような酸臭がして不快な臭いがオフィス内に漂った。
よって、上に示した定着液は安全性及び定着度合いには問題はなかったが、定着時に発生する臭いが使用に耐えうるものではなかった。
下記の処方にて定着液を作成し、既製のプリンタ(Ipsio CX6600:リコー社製)の定着部を加熱せずに、PPC用紙上に未定着トナー画像を形成した印字サンプルに図4に記載の定着装置を用いて定着液を塗布した。塗布して1分間乾燥後、画像表面をウェスで擦り、ウェスへのトナー付着の有無で定着度合いを判定した。
定着液の処方
・軟化剤 ラウリン酸エチル(LD50=8.0[g/kg]) 2.0[wt%]
・溶媒 水 97[wt%]
・ノニオン系界面活性剤 1.0[wt%]
上に示した処方で液を攪拌すると軟化剤は水に乳化しO/W型のエマルジョン液となった。未定着画像に、上に示した定着液を塗布・乾燥後、ウェスにて擦ったところ、紙にトナーがある程度は定着したものの、ウェスにトナーが付着し、定着は完全ではなった。よって、上に示した定着液は安全性には問題はないが、定着度合いが使用に耐えうるものではなかった。
下記の処方にて定着液を作成し、既製のプリンタ(LaserJet3500:HP社製)の定着部を加熱せずに、PPC用紙上に未定着トナー画像を形成した印字サンプルに定着液をスプレー塗布した。塗布して1分間乾燥した後、画像表面をウェスで擦り、ウェスへのトナー付着の有無で定着度合いを判定した。
定着液の処方
・軟化剤 メチルイソブチルケトン(LD50=2.7[g/kg]) 15[wt%]
・溶媒 水 80[wt%]
・界面活性剤 5.0[wt%]
未定着画像に、上に示した定着液を塗布・乾燥後、ウェスにて擦ったところ、ウェスには全くトナーが付着せず、転写紙上にトナーの強固に定着されたことが確認できた。また、安全性については軟化材自体がLD50=2.7[g/kg]であり、十分な安全性とは言うことはできない。これを水と混合することによってできる定着液がLD50=18[g/kg]となりLD50=3.0[g/kg]以上となるので、定着安全性の問題はクリアできるものとなる。しかし、この軟化剤の臭気指数は30であり、溶媒の臭気指数は0で、定着液として臭気指数は20であった。このため、トナー画像の定着時にかなりの刺激臭がして不快な臭いがオフィス内に漂った。具体的には、コピーを開始して数枚で不快な臭気を感じ、50〜60枚で頭痛を感じる人もいた。
よって、上に示した定着液は安全性及び定着度合いには問題はなかったが、定着時に発生する臭いが使用に耐えうるものではなかった。
また、臭気指数が10以下の定着液を用いることにより、ユーザーに不快感を与えることがない。さらに、定着液溶質及び定着液溶媒として共にその50%致死量LD50の値が3.0[g/kg]以上となる材料を用いることにより、食塩よりも人体に害のない定着液256とすることができる。
また、定着溶質が定着溶媒に対して可溶な組み合わせの定着液256を用いることにより、定着液中でトナーを溶解または膨潤させる性質を有する溶質の濃度が一定となり、トナーを一様に溶解または膨潤させることができるものとり、安定した定着品質を得ることができる。さらに、溶質が溶媒に完全に溶解しているため、トナー層への浸透が容易でトナーを膨潤、溶解させる速度が速くなる。
また、定着液256を構成する溶媒として水を用いることにより、臭気やコストの面で有利な定着液を作り出すことができた。またVOC(揮発性有機化合物)の問題も解決することができる。
また、画像形成装置としての複写機100の定着方法として、湿式定着方法を採用することにより、省エネ対策に優れたものとなる。さらに、定着液256を用いることにより、ユーザーに不快感を感じさせることなく、且つ安全性の高い定着を行うことができ、人が近くにいる環境に設置することに適した複写機100とすることができる。
また、トナーを構成する材料のうち着色剤が定着液256に対して不溶なものを用いることにより、トナーの染料が定着液256に溶け出すことを防止し、染料が定着液に溶け出すことに起因する画像品質の低下を防止することができる。
また、定着装置25は、定着液256を薄層状態でその表面に担持搬送し、転写紙に博そう状態の定着液256を供給する定着液塗布ローラとしての塗布ローラ254を有している。定着液256を薄層化して転写紙に供給することにより、定着スピードの高速化を図ることができ、さらに、転写紙がロールすることなく定着液256を未定着画像に供給することができる。
また、定着装置25は、塗布ローラ254から転写紙搬送方向下流側に、定着液256を供給された転写紙を加圧する加圧ローラ対252を有する。定着液256が塗布された転写紙は加圧ローラ対252で加圧されながら搬送される。加圧ローラ対252では加圧することにより、溶解または膨潤したトナー層表面の平滑にすることができトナー画像に光沢を与えることができる。また、転写紙表面の凹凸の繊維間にトナーを押し込むことにより定着性の向上を図ることができる。なお、定着液塗布直後のトナー層表面はややタッキー性(粘着性)を帯びている。しかし、加圧ローラ対252を通過させるとそのタッキー性はなくなり、すべすべした感じになる。これにより、定着工程終了後に排紙トレイ57に排出され、スタックされることでその表面に画像が形成された転写紙が重ねられても転写紙同士がトナー像のタッキー性によって張り付くことを防止することができる。
なお、実施形態では金属製のハードローラの組み合わせを提示している。金属ローラだけでは汚れがつきやすいが、離型性の表面構造を有する、フッ素コーティングを施したローラを用いることで、トナー汚れを防止することができる。また、加圧ローラの片方のローラを弾性体のローラとしてもよい。さらに、ローラだけでなく、平滑ベルトにトナーを担持した転写紙を挟み込んで、ローラで加圧するようにしてもよい。
また、定着装置25の平滑ローラである加圧ローラ対252の表面にはクリーニング手段としての加圧ローラクリーニングブレード252bが当接してある。これにより、加圧ローラ対252にトナーが付着したとしても加圧ローラクリーニングブレード252bによって付着したトナーを除去することができ、加圧ローラ対252のトナー汚染に起因する異常画像が発生することを防止できる。また、加圧ローラ対252の表面にフッ素コーティングを施すことにより、表面エネルギーを小さくすることで、クリーニング装置は図4に示すように、簡単なブレードを当接するだけで十分なクリーニング性能を得ることができる。
14,15,16 支持ローラ
18Y,18C,18M,18BK 画像形成ユニット
20Y,20C,20M,20BK 感光体ドラム
21 露光装置
22 2次転写装置
25 定着装置
61 液体現像装置
230 転写紙搬送経路
252 加圧対ローラ
253 抑え加圧ローラ
254 塗布ローラ
255 汲み上げローラ
256 定着液
257 定着液溜めタンク
300 スキャナ
Claims (7)
- トナー像を担持した記録体上に供給され、該トナー像を形成するトナーを溶解または膨潤させ、該記録体上に定着させる定着液において、
上記トナーを溶解または膨潤させる性質を有するコハク酸ジエトキシエチルからなる定着液溶質と、
該定着液溶質を希釈する水からなる定着液溶媒と、
上記定着液溶質の上記定着液溶媒に対する可溶化を促進するショ糖ラウリン酸エステルからなる可溶化促進剤と、から構成され、臭気指数が0であることを特徴とする定着液。 - トナーを溶解または膨潤させる定着液を記録体表面上に形成された未定着トナー像に供給することにより該未定着トナー像を該記録体表面上に定着する定着方法において、
該定着液として請求項1に記載の定着液を用いることを特徴とする定着方法。 - 請求項2の定着方法において、
上記記録体表面上に形成された未定着トナー像に上記定着液を供給した後に、該記録体に加圧することを特徴とする定着方法。 - 記録体上にトナー像を形成し、
該トナー像を担持した該記録体上にトナーを溶解または膨潤させる定着液を供給して、該トナー像を記録体上に定着させる画像形成装置において、
該定着液として請求項1に記載の定着液を用いることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項4の画像形成装置において、
上記トナーを構成する材料のうち着色剤が上記定着液に対して不溶であることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項4または5の画像形成装置において、
上記定着液を薄層状態でその表面に担持し、薄層状態の該定着液を上記記録体に塗布する定着液塗布ローラによって上記トナー像を担持した該記録体に該定着液を供給することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項4、5または6の画像形成装置において、
上記定着液を供給された上記記録体を加圧する加圧ローラを有することを特徴とする画像形成装置。
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