JP4668032B2 - 定着装置、及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
熱定着方式を採用しない定着方式として、トナーを形成する樹脂粒子を軟化させる軟化剤を用いて定着処理を行うケミカル定着方式が知られている。このケミカル定着方式は、トナーに定着液を付与してこれを軟化することで、トナーを記録材上に定着させるものである。この方式においては、熱定着方式のような大量の電力消費を伴う加熱処理が不要となるため、省エネ対策として優れた定着方式であると言える。また、熱定着方式のようなウォームアップ時間も不要であるため、クイックスタートが可能である。ケミカル定着方式を採用する画像形成装置としては、特許文献1及び特許文献2に開示された軟化剤を含有する定着液を用いた湿式定着方式の画像形成装置がある。
また、請求項2の発明は、潜像担持体と、該潜像担持体上に潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像担持体上の潜像を現像しトナー像を形成する現像手段と、該潜像担持体上のトナー像を転写材上に転写する転写手段と、該転写手段により転写材に転写されたトナー像を定着する定着手段とを備える画像形成装置において、該定着手段として、請求項1の定着装置を用いることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2の画像形成装置において、上記定着装置は、上記トナー像が転写された後の上記記録体に上記軟化剤を供給することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項2の画像形成装置において、上記定着装置は、上記トナー像が転写される前に上記記録体に上記軟化剤を供給することを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項2の画像形成装置において、上記定着装置は、上記記録体に転写される前の上記潜像担持体上の上記トナー像に上記軟化剤を供給することを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項2の画像形成装置において、上記転写手段は、その表面に上記潜像担持体から上記トナー像が転写され、転写された該トナー像を上記転写材上に転写する中間転写体を備え、上記定着装置は、該潜像担持体から転写され、該記録体に転写される前の該中間転写体上の該トナー像に上記軟化剤を供給することを特徴とするものである。
以下、本発明を液体現像剤を用いた電子写真画像形成装置(以下、画像形成装置という)に適用した場合の実施形態1について説明する。
図1は、実施形態1に係る画像形成装置としてのプリンタ100の要部概略構成図である。プリンタ100は、潜像担持体として感光体ドラム1のまわりに、帯電装置20、レーザー光Lを感光体ドラム1に照射する図示しない露光装置、現像装置40、転写装置50、ドラムクリーニング装置60等が配設されている。感光体ドラム1はその表面がアモルファスシリコン(a−Si)によって形成される。感光体ドラム1の材質としてはOPC等も使用することできる。また、露光装置としてはLEDやレーザー走査光学系等が使用できる。転写装置50は記録体である転写紙Pにトナー像を転写するものであり、転写装置50から転写紙Pの搬送方向下流側には定着装置90が設けられている。
なお、感光体ドラム1として、アモルファスシリコン層を有する感光体ドラムを用いることで、有機感光体(OPC)のように、軟化剤に溶解・膨潤するおそれもなく、有機感光体よりも優れた機械的強度を発揮し、その寿命を長くすることができる。
帯電装置20によって、一様帯電された感光体ドラム1の表面は画像情報に基づいて、露光装置からレーザー光Lが照射されて静電潜像を担持する。これら静電潜像は、液体現像剤を用いる現像装置40の現像ローラ42と対向する領域を通過する間に現像される。
一次転写ニップを通過した感光体ドラム1の表面は除電ランプ70により残留電荷が除電される。除電ランプ70により除電された感光体ドラム1の表面は、ドラムクリーニング装置60のクリーニングブレード61によって残留している液体現像剤が掻き取り除去される。この除去により、感光体ドラム1の表面は初期化せしめられ、次の作像を実現することが可能になる。
この現像剤の粘度及びトナー固形分率の範囲としては、例えば粘度が50[mPa・s]から5000[mPa・s]、トナー固形分率が5[%]から40[%]のものを用いる。キャリア液としては、シリコーンオイル、ノルマルパラフィン、IsoparV(エクソン商標)、植物油、鉱物油等の絶縁性が高いものを使用する。揮発性、不揮発性については、目的に合わせて選択することができる。
また、攪拌スクリュ46が互いに逆回転することで、両者の間で図示のように液体現像剤の液面が盛り上がり、その上方に配設されたアニロクスローラ44に付着する。
このアニロクスローラ44の表面にはステンレス等の金属で形成された規制ブレードとしてのドクターブレード49が当接しており、アニロクスローラ44上の余分な液体現像剤45を掻き取る。この掻き取りにより、アニロクスローラ44上の液体現像剤45の量が複数の凹部の容量に応じた値に正確に計量される。
なお、中間ローラ43を用いてアニロクスローラ44で汲み上げた液体現像剤45を現像ローラ42に供給する構成では、ドクターブレード49を省略してもよい。これは、アニロクスローラ44と中間ローラ43とが当接するニップ部を通過することにより、余分な液体現像剤45が規制されるためである。
また、ニップの出口側で現像ローラ42に対する液体現像剤の供給が開始される一方で、現像ローラ42上に移った液体現像剤45が供給方向とは逆方向に移動する。このような塗布により、現像ローラ42の表面には液体現像剤45からなる均一な厚みの現像剤薄層が形成される。
上述したように、現像ニップの現像ローラ42上の地肌部との間において、現像剤薄層中のトナーは、現像ローラの表面に向けて電気泳動して集結するため、理論的には地肌部には付着しない。しかし、通常よりも帯電量の少ないトナーが他のトナーよりも遅れて電気泳動するなどして、地肌部に付着していわゆるカブリ(地汚れともいう)という現象を引き起こす場合がある。
感光体スイープ装置30の機能のひとつとして、このようなカブリを引き起こしたカブリトナーを感光体ドラム1から除去する機能がある。具体的には、スイープローラ32は、感光体ドラム1と略等速に回転しながらこれに接触して除去ニップ部を形成し、この除去ニップ部には、図示しない電源からトナーの帯電極性と同極性の除去バイアスが印加され、感光体ドラム1との電位差によってスイープ電界が形成される。
転写装置50は、感光体ドラム1からトナー像を転写される中間転写体である中間転写ローラ51、中間転写ローラ51から転写紙Pにトナー像を転写する二次転写ローラ55とから主に構成されている。また、中間転写ローラ51には、中間転写体スイープローラを備えてもよい。
中間転写体スイープローラとしては中間転写体に現像剤を介して接触し、表面が中間転写ローラ51と対向する位置で同方向に移動するよう回転方向を制御する。中間転写体スイープローラには、トナーと同極性のバイアスを印加して、現像剤層に接触すると、キャリア液は付着するが、トナーは付着しないようにする(例えば、プラストナーの時、中間転写体に−300[V]、スイープローラには100[V])。トナーと同極性で放電する程度のバイアスを印加する方法もある。また、キャリア液が付着するので、中間転写ローラ51、二次転写ローラ55、及び中間転写体スイープローラにはそれぞれ金属ブレードもしくはゴムブレードからなるクリーニング部材が備えられており、それぞれのローラに付着したキャリア液を除去する。各クリーニング部材はブレードに限らずローラ式であってもよい。
中間転写ローラ51の電気抵抗は、体積抵抗率、1×107〜1×1011[Ω・cm]の範囲内にあれば、感光体ドラム1からの転写(一次転写)、転写紙Pへの転写(二次転写)ともに、良好だが、望ましくは1×108〜1×1010[Ω・cm]の範囲だと転写抜けが少なく、電力も少なくて済む。1×108[Ω・cm]以下では、湿度等の環境によって転写ぬけする場合があり、1×1010[Ω・cm]以上では、環境によって、異常放電を起こす場合や、電力的に無駄な場合がある。表面抵抗率は、1×109〜1×1012[Ω/□]、望ましくは1×1010〜1×1011[Ω/□]である。これらの体積抵抗率、表面抵抗率は、三菱化学、高抵抗計(ハイレスタUP MCP−HT450型、測定用プローブ:UR−SS)を用い、250[V]印加にて10秒後の値を測定した。
二次転写ローラ55に印加する二次転写電圧は、中間転写ローラ51に印加する電圧に対して、トナーと逆極性で、電位差が+200[V]〜+3000[V]となるように印加する。湿度などの環境や、転写紙P等の記録体の厚さや素材、含水量等の状態、トナーの電荷量、現像剤量、現像剤中のキャリア液量などのいろいろな条件によって適正値は変化する。各種記録体に対応できるように定電流制御するのもよい。定電流制御を行う際の電流の値は条件によって適正値は変わるが約100〜1000[μA]くらいで適正な転写が得られることが多い。実施形態1では、200〜300[μA]の定電流制御で作像した。転写紙Pへの画像転写終了後、中間転写ローラ51上の転写残トナーは、中間転写体クリーニングブレード52等が当接されることによりクリーニングされる。
二次転写ニップを通過し、トナー画像の転写を受けた転写紙Pは、定着装置90へ導入され、トナーを形成する樹脂粒子を軟化させる特性を備える軟化剤を希釈剤としての希釈液で希釈した定着液93を塗布され、定着された後、機外へと排出される。また、軟化剤が定着液93の液体成分に難溶性で、軟化剤をこの液体成分に分散させた定着液93を用いてもよい。以下、軟化剤を分散させる分散剤である液体成分を分散液と呼ぶ。
供給ローラ92は図2(a)に示すようにその表面には、均一パターンの微細な溝が形成されている。供給ローラ92の表面には、図2(b)に示すように掻き取りブレード94が接触している。この供給ローラ92は、定着液タンク95内の定着液93に浸った状態で、定着ローラ91の表面に接触するように配置されている。定着ローラ91と供給ローラ92とは、トナーに定着液93を付与する際には図中矢印の方向に回転駆動する。これにより、供給ローラ92の表面に定着液93が汲み上げられる。
このようにして汲み上げられた定着液93は、供給ローラ92の表面上の溝内部に入り込んだ状態で担持され、その溝外部に付着した定着液93は、掻き取りブレード94によって掻き取られる。そして、供給ローラ92上の定着液93は、供給ローラ92の回転に伴って定着ローラ91との接触位置まで搬送される。この接触位置では、供給ローラ92と定着ローラ91とがカウンター方向に表面移動しており、供給ローラ92の溝内部の定着液93が定着ローラ91の表面に付着することになる。したがって、供給ローラ92の表面に設けられる溝の内部容積を調節することで定着ローラ91上の定着液量を適量に調整することができる。
なお、図2(a)では供給ローラ92の微細な溝として斜線型のものを示したが、図2(c)に示すピラミッド型や図2(d)に示す格子型の溝を有するものであっても良い。
定着ローラ91、対向ローラ96として具体的には、ステンレス製の芯金に導電性のゴム層を形成し、その表面を絶縁性のPFAチューブで覆ったものを用いることができる。このような構成により、定着ローラ91と転写紙Pとの間には、トナーを対向ローラ96側に押し付ける方向の電界が形成される。
このような電界を形成することで、剤供給位置における転写紙P上のトナーの転写紙P側への拘束力を高めることができる。これにより、転写紙P上に担持されたトナー像を乱すことなく、そのトナーに対して定着液93を供給することができる。
しかし、トナーを溶解または膨潤させる定着液として、揮発性のものを使用すると、臭いや安全性が問題になることがある。さらに、安全性のため揮発物の機外への拡散を防ぐ場合、機械の密閉性が要求される。また、保存時の揮発性も問題となり、使用中も濃度変化が問題になることもある。なお、定着液として水性のものを用いると、転写紙に付着した時に、紙がシワになったり乾燥工程を要したりする問題もある。乾燥させると臭いや大気汚染の問題も生じる。
このとき、定着液93は転写紙Pに吸収されると考えられる。また、定着装置90で用いる定着液93は、目視では転写紙Pをほとんど膨潤させなかった。そして、転写紙Pに直接塗布しても、乾燥装置は不要であり、紙が膨潤しにくいためシワになりにくい。
一方、水などの揮発性の物質を含んだ定着液を用いる場合、転写紙が水で膨潤して乾燥すると、膨潤して延びた部分がそのままもしくはほとんど戻らないまま乾燥したり、あるいは、部分的に縮んで乾燥したりするため、転写紙はシワやウネリや凸凹のある状態になる。
また、図1のように定着装置90を二次転写ニップの下流側に設けた場合、二次転写ニップの上流側に定着装置90を設けた場合に比べて、転写紙等樹脂を定着させる媒体が軟化剤・定着液を吸収する素材の場合、より定着時間が早くなる。これは、軟化剤を含んだ定着液93が、液体現像剤との親和性があるので、転写紙等に染み込んでいる場合でも、樹脂を溶解・膨潤させるが、定着液93を塗布した後の転写紙等に樹脂を付着させると、定着液93中の軟化剤が樹脂に触れるのにやや時間を要する為である。
ここでキャリア液に対して親和性を有するとは、キャリア液と混合しても分離しない性質であることを意味する。
図3は、トナーに定着液93を付与した時の、定着液93とトナーとの経時的な状態変化を示す図である。図3(a)は、樹脂を含む物質を定着させる部材上に載せた状態を示しており、図3(b)は、樹脂に定着液93を付与した状態を示している。樹脂は定着液93に軟化され、粘着性を持った状態となり、定着液93が樹脂から吐き出され、樹脂はフィルム状に変化する。図3(c)は、樹脂がフィルム状に変化した状態を示す。
転写紙P上でトナーをフィルム状にすることにより、トナーを転写紙P上に定着することができる。
定着液93に含有される軟化剤は、トナーを構成する樹脂成分を溶解又は膨潤させる材料(以下、「軟化剤」という。)である。この軟化剤は揮発することなく、すなわち臭いもなく、液体現像剤を構成するキャリア液と親和性を有する材料であるのが望ましい。この溶解・膨潤成分の具体例としては、飽和脂肪族エステル、脂肪族ジカルボン酸エステル等がある。
飽和脂肪族エステルは、一般式「R1COOR2」で示される化合物であり、R1は、炭素数が11以上14以下のアルキル基であり、R2は、炭素数が1以上3以下のアルキル基である。
飽和脂肪族エステルである脂肪族モノカルボン酸エステルとしては、ラウリン酸エチル、トリデシル酸エチル、トリデシル酸イソプロピル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル等が挙げられる。これらは、ほとんど揮発することなく、シリコーンオイルやPAOなどの合成油や鉱物油、炭化水素系溶媒等に親和性を有し、キャリア液として用いられるジメチルシリコーン、ミネラルオイル、Isopar等に溶解する。水への溶解度は、0.1[g/100ml](25[℃])以下であり、難溶性である。
脂肪族ジカルボン酸エステルとしては、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。これらの部剤の多くは、ほとんど揮発することなく、シリコーンオイルやPAOなどの合成油や鉱物油、炭化水素系溶媒に溶解し、25[℃]での水への溶解度は、0.1[g/100ml]以下であり、難溶性である。
なお、上述した何れの飽和脂肪族エステルであっても、炭素数が多いほど、粘性が高く、不揮発性も高くなる傾向にある。また、精製すると臭いを減らすことができ、精製度の高いエステルでは、ほとんど無臭のものもある。
トナーを軟化させる溶解・膨潤成分を、定着させたい樹脂に対して、必要量以上に供給すると、樹脂の硬化が遅れ、定着に要する時間が長くなる。定着させたいトナーを形成する樹脂は、半溶解状態あるいは膨潤状態であることが望ましく、溶解・膨潤成分の種類にもよるが、溶解・膨潤成分はトナーに対して概ね半量以下で十分である。
なお、トナーに対して、半量以上供給しないと、トナーを軟化しないような溶解・膨潤成分では、トナーを軟化させた後の溶解・膨潤成分の処遇にも困るのでふさわしくない。例えば、感光体ドラム1上、中間転写ローラ51上、転写紙P上でトナー像を構成するトナーの量は、厚さにして数[μm]レベルであり、溶解・膨潤成分は、これよりも更に薄く少量で供給する方が望ましい。
溶解・膨潤成分は薄く少量を供給できることが望ましいが、少量の溶解・膨潤成分である軟化剤を均一に供給することは極めて困難である。
また、水と混ぜて水と親和性のよい、また水に易溶性の分散液・希釈液を用いると、水を吸着しやすいので、空気中の水分を吸着し、濃度変化しやすい。
さらに、後述する感光体や中間転写体、またはフィルム状記録体上において、その表面エネルギーのため、均一に塗布できないこともある。また転写紙を用いた場合、紙がコックリングする(シワになる)心配もある。
また、水以外の揮発性の希釈液を用いると、揮発して、臭いや大気汚染の問題も生じる。揮発しない、水に難溶性な、臭いのほとんどしない、分散液・希釈液の例としては、シリコーンオイルあるいはミネラルオイル等が挙げられる。両者とも、各種構造、グレード(粘性・分子量)がある。実施形態1では、主に、上述の軟化剤を50[%]、希釈液としてシリコーンオイル50cStを50[%]以下の割合で混合した液を定着液93として用いた。
シリコーンオイルの一例としてジメチルシリコーンの場合、例えば、東レダウコーニング株式会社製SH200(商品名)がある。カタログ値によると、動粘度100[mm 2 /s](25[℃])のSH200−100cs(商品名)であれば、150[℃]24[時間]での揮発分は、0.5[%]以下となり、ほとんど揮発しない。同様に、SH200−50cs(商品名)の150[℃]24[時間]での揮発分も、0.5[%]以下であり、希釈液(または分散液)として望ましい。またSH200−20cs(商品名)の150[℃]24[時間]での揮発分は6[%]だが、常温での揮発分は、気温約25[℃]、湿度約60[%]の実験室で測定したところ、120[時間]でも0.1[%]以下だったので、希釈液(または分散液)として使用できる。ジメチルシリコーンは、最も代表的なシリコーンオイルで、無色透明、無味無臭、低表面張力、展延性、化学的・熱的安定性、透湿性、撥水性、不揮発性を特徴としている。また、メチルフェニルシリコーンは、シリコーン特有の撥水性・潤滑性に加え、他の有機成分との相溶性がより高い。ジメチルシリコーンオイルと有機オイル・ワックス成分との相溶化剤的機能により、シリコーンオイルの配合安定化を向上させる働きもあるため、各種希釈液を複数用いる場合などにも有利である。
また、希釈液(または分散液)として水を用いた場合、キャリア液中に水分が混入すると、そのキャリア液の絶縁性が失われる結果、トナーの帯電特性が変化してしまい、現像電界や転写電界などの制御が困難となることもある。また、転写紙P上には水が付着しても特に問題はないが、感光体ドラム1上のトナー像を中間転写ローラ51上に転写した後、ドラムクリーニング装置60によるクリーニングが十分に行われないと、水分が付着した感光体ドラム1の表面部分が次の画像形成工程に使用されてしまう。これにより、画像形成自体が困難になるおそれもある。同様に、中間転写ローラ51に水が付着した場合も、中間転写体クリーニングブレード52によるクリーニングが十分に行われないと、水分が付着した中間転写ローラ51の表面部分が次の画像形成工程に使用されてしまう。これにより、正常な転写電界を形成できず、良好な転写ができないおそれもある。
また、溶解・膨潤成分で軟化剤の希釈液(または分散液)としては、液体現像剤のキャリア液と同じものを用いている。定着液93の希釈液(または分散液)として、液体現像剤のキャリア液と同じ物質のものを用いることによって、定着液93とキャリア液との親和性が良いため、定着液93中の軟化剤が速やかにトナーに接触・浸透させることができる。そして、速やかにトナーの樹脂成分を軟化させることができ、さらに定着液93はトナー粒子間に存在するキャリア液を流し出す働きもするため、トナー粒子同士の結着を促進する。よって、その軟化時間を短縮でき、キャリア液が除去されないまま熱定着される場合に比べて、定着性も向上する。
また、本発明者らは、軟化液がトナー樹脂の分子鎖の配列を変えることにより、樹脂とキャリア液との結合状態が変わり(弱まり)、キャリア液と定着液とが溶解することで、定着液とキャリア液とが溶解したものが紙に浸透すると考えている。定着装置90で用いる軟化剤はキャリア液(50[mPa・s])に対して粘性が低い(14[mPa・s]等)ので、定着液の粘性(未測定)もキャリア液に比べると低いと考えられる。そして、定着液の粘性の低さとキャリア液との親和性のよさにより、トナー粒子間のキャリア液を流しだしていると考えている。さらに、定着液とキャリア液とが親和性があることにより、トナー粒子間のキャリア液が除去され易いと考えられる。
特に、後述する感光体ドラム1上のトナー像に定着液93を付与する構成であれば、定着液供給位置から一次転写位置までの間の搬送時間を短縮できるので、定着液供給位置から一次転写ニップまでの感光体ドラム1の長さを短くすることができる。これにより、感光体ドラム1の小径化を測ることができ、画像形成装置全体の小型化を図ることが出来る。また、後述する中間転写ローラ51上のトナー像に定着液93を付与する構成であれば、定着液供給位置から二次転写位置までの間の搬送時間を短縮できるので、定着液供給位置から二次転写ニップまでの中間転写ローラ51の長さを短くすることができる。これにより、中間転写ローラ51の小径化を測ることができ、画像形成装置全体の小型化を図ることが出来る。
実施形態1のように、定着剤の希釈液(または分散液)として、液体現像剤のキャリア液と同じ物質を使用することで、トナーの帯電特性等に変化を与えることもない。
また、メチルフェニルシリコーンも同様にキャリア液として用いることができる。メチルフェニルシリコーンは、フェニル基があるため屈折率が高く、他の有機成分との相溶性が高いため、配合安定化を向上させ、トナーと混ぜて液体現像剤の製造に適している。また温度特性に優れていて、300[℃]で500[時間]でも酸化されにくい。さらに、フルオロシリコーンオイルもキャリア液として使用できる。フルオロシリコーンオイルは構造中にフルオロ基(CF3)を持ち、誘電率が他のシリコーンオイルと比較して大きく、50[HZz]である。他にも変性シリコーンオイルがあるが、側鎖や末端基に反応性がある場合がある。上記には比較的反応性の少ないシリコーンオイルを選択した。
また、定着液は不揮発なため、回収しない場合、いつまでもなくならない。よって、転写紙等、樹脂を定着させる媒体上に塗布する時は、定着液の塗布量は樹脂を定着させる媒体上に保持できる量である方がよい。例えば転写紙上のトナー層を定着する場合、転写紙の吸油性や厚みによってその量は違うが、転写紙が定着液を吸収できる量以下の量の定着液を塗布するようにするとよい。そのためには、軟化剤の樹脂を溶解・膨潤させる力にもよるが、軟化剤を分散・希釈して定着液として用いる場合、その割合を変え、樹脂を溶解・膨潤させるのに十分な軟化剤を含み、かつ定着液の量が多すぎないように調整する。定着液の量が紙に吸収できる量以下ならば、樹脂を溶解・膨潤した後に余剰液を回収する機構等が必要なくなる。定着液が多すぎると、樹脂を溶解・膨潤させた後も樹脂が固化しないため、定着せず、擦ると樹脂が擦り取られたり、広がってしまったりすることがある。
ここで、転写紙が吸収できる液量を測定する実験1を行った。
液としては、定着液の希釈液として用いることのあるシリコーン(50[mPa・s])、転写紙としては、リコー製T−6200を用いた。転写紙に付着する液量を変え、紙の濡れ具合を評価した。
実験1の結果を図4に示す。
図4において、横軸は転写紙の単位面積当たりのシリコーンオイルの付着量であり、縦軸は紙の濡れ具合を3段階で評価したものである。目視の3段階評価で、1は「不可:濡れが紙表面に見え、1分後でも濡れが見える。」、2は「可:直後に濡れは見えるが、液は数秒で紙に染み込み、乾燥は不必要と思われる。」、3は「量:直後からほとんど濡れが見られない。」としている。
実験1の結果、およそ0.7[mg/cm2]以下であれば濡れ具合が2以上となり、乾燥が不必要な程度であった。その他各紙を用い、液の付着量と紙の密度とから、単位面積当り、紙の質量に対する液の付着量の割合を換算したところ、現状では紙に対して定着液1[%]程度の付着量としており、ほとんど濡れた感じがない。定着液が約10[%]で濡れの限界であり、3[%]以下が望ましい。そのためには、市場で一般的な転写材のうち、最も薄いもので、濡れた感じにならないような定着剤量を塗布できる構成にすることと、その定着剤量で満足な定着性を得られる定着剤を選択する必要がある。
実施形態1では、定着剤として液体状の定着液を用いている。そして、上に挙げた軟化剤や分散・希釈する物質は、ほとんどが常温で液体である。定着剤としては、液体状のものに限るものではない。以下、ゲル状の定着剤を用いた変形例1について説明する。
液体の軟化剤や定着剤は、樹脂への塗布性・広がりがよいが、例えば樹脂が粒子の場合、樹脂粒子が液体に流されてしまい、動かされてしまう場合がある。転写紙上の画像を形成しているトナーやインクが動かされてしまうと、画像を乱すことになる。そこでこの場合、定着液をゲル化し、樹脂の粒子などを動かすことなく、画像を乱すことなく、樹脂に付着させ、定着するようにするとよい。定着液をゲル化するには、吸油性高分子(油性物質を吸収するか、あるいは油性物質に溶け込んでこれをゲル化させる高分子物質)を用いる方法がある。吸油性高分子としては、アルキルスチレン、アルキルメタアクリレート、ヒドロキシアルキルメタアクリレートなどの重合物の架橋物、ポリアルキルアクリレート、ポリイソブチレンなどがある。
ポリアルキルアクリレートを用いてゲル化した例を示す。100[ml]の定着液に対し、2[g]のポリアルキルアクリレートを混ぜ、約45[℃]に加温し、均一溶液になったら加温を止め、室温まで放冷する。ゲル化した定着剤は、実施形態1と同様に供給ローラと定着ローラを用いた塗布方法で感光体や中間転写体、転写紙等記録媒体に塗布することができる。
次に、実施形態1の定着装置で使用する定着液と、参考例の定着液と、従来の定着液とを比較する実験を行った。
実験装置としては図1で示した湿式のプリンタで、トナー像転写後の転写紙Pに定着液93を塗布する構成にて実験を行った。なお、ここで言う不揮発とは常温(20〜25[℃])・常圧下、48時間での減量分が2[%]以下を指す。
また、各参考例、実施例及び比較例におけるスミアテストでの評価は次の方法による。
クロックメータ先端に5[mm]厚の弾性材をクッション材として付設し、そこに布を被せる。ベタ画像上を10往復擦った後の布上の濃度(3点平均)を測定し(Dcrk)、そこから布濃度(Dcls)を差し引いた値を元の画像濃度(Dinit)で除した値Dsmrをスミア法における評価値とする。Dsmrの値は小さい程、定着性が良く、現状の目標値は0.2以下である。なお、評価値Dsmrは、次の式より求まる。
Dsmr=(Dcrk−Dcls)/Dinit
本参考例では、液体現像剤と親和性のよい定着液の処方を採用する。
・アジピン酸ジイソプロピル(軟化剤、LD50=5[g/kg]) 10[wt%]
・ジメチルシロキサン(50[mPa・s]、希釈液、LD50=15[g/kg]) 90[wt%]
図1にて示したプリンタ100で作像した転写紙上未定着画像に、上記定着液を定着装置で付着量300〜500[mg/A4]塗布してスミアテストで評価したところ、スミア目標値を満足するのに要した時間は、塗布後2[分]であった。また、揮発分測定の減量分は1[%]以下であり、臭気は全く感じられなかった。
本実施例では、液体現像剤と親和性のよい定着液の処方を採用する。
・アジピン酸ジイソブチル(軟化剤、LD50=12.3[g/kg]) 50[wt%]
・ジメチルシロキサン(50[mPa・s]、希釈液、LD50=15[g/kg]) 50[wt%]
図1にて示したプリンタ100で作像した転写紙上未定着画像に、上記定着液を定着装置で付着量50〜100[mg/A4]塗布してスミアテストで評価したところ、スミア目標値を満足するのに要した時間は、1[分]以内であった。また、揮発分測定の減量分は1[%]以下であり、臭気は全く感じられなかった。
本参考例では、液体現像剤と親和性のよい定着液の処方を採用する。
・アジピン酸ジイソブチル(軟化剤、LD50=12.3[g/kg]) 50[wt%]
・アイソパーV(14.8[mPa・s]、希釈液) 50[wt%]
図1にて示したプリンタ100で作像した転写紙上未定着画像に、上記定着液を定着装置で付着量40〜90[mg/A4]塗布してスミアテストで評価したところ、スミア目標値を満足するのに要した時間は、1[分]以内であった。また、揮発分測定の減量分は1[%]以下であり、臭気は全く感じられなかった。
本参考例では、液体現像剤と親和性のよい定着液の処方を採用する。
・セバシン酸ジ−n−ブチル(軟化剤、LD50=14.9[g/kg]) 20[wt%]
・ジメチルシロキサン(50[mPa・s]、希釈液、LD50=15[g/kg]) 80[wt%]
図1にて示したプリンタ100で作像した転写紙上未定着画像に、上記定着液を定着装置で付着量100〜300[mg/A4]塗布してスミアテストで評価したところ、スミア目標値を満足するのに要した時間は、3[分]以内であった。また、揮発分測定の減量分は1[%]以下であり、臭気は全く感じられなかった。
本参考例では、液体現像剤と親和性のよい定着液の処方を採用する。
・セバシン酸ジ−n−ブチル(軟化剤、LD50=14.9[g/kg]) 100[wt%]
図1にて示したプリンタ100で作像した転写紙上未定着画像に、上記定着液を定着装置で付着量20〜70[mg/A4]塗布してスミアテストで評価したところ、スミア目標値を満足するのに要した時間は、2[分]以内であった。また、揮発分測定の減量分は1[%]以下であり、臭気は全く感じられなかった。
本参考例では、液体現像剤と親和性のよいゲル状定着剤の処方を採用する。
・アジピン酸ジイソブチル(軟化剤、LD50=12.3[g/kg]) 50[wt%]
・ジメチルシロキサン(50[mPa・s]、希釈液、LD50=15[g/kg]) 48[wt%]
・ポリアルキルアクリレート(ゲル化剤) 2[wt%]
アジピン酸ジイソブチルとジメチルシロキサンを混合した後、全体を45〜50[℃]に加温してポリアルキルアクリレートを加え良く攪拌してから放冷することでゲル化した定着剤を得、図1にて示したプリンタで作像した転写紙上未定着画像に、上記定着剤を定着装置で付着量30〜90[mg/A4]塗布してスミアテストで評価したところ、スミア目標値を満足するのに要した時間は、3[分]以内であった。また、揮発分測定の減量分は1[%]以下であり、臭気は全く感じられなかった。
比較例1として、液体現像剤と親和性が比較的によくない定着液の処方を採用する。
・コハク酸ジエトキシエチル(軟化剤、LD50=5[g/kg]) 5[wt%]
・ジメチルシロキサン(50[mPa・s]、希釈液、LD50=15[g/kg]) 95[wt%]
図1にて示したプリンタ100で作像した転写紙上未定着画像に、定着液を定着装置で付着量300〜400[mg/A4]塗布してスミアテストで評価したところ、スミア目標値を満足するのに要した時間は、4[分]以内であった。また、揮発分測定の減量分は1[%]以下であり、臭気は全く感じられなかった。
比較例2として、液体現像剤と親和性が比較的によくない希釈液を用いた処方を採用する。
・コハク酸ジエトキシエチル(軟化剤、LD50=5[g/kg]) 4[wt%]
・エタノール(希釈液、LD50=20[g/kg]) 20[wt%]
・水 76[wt%]
図1にて示したプリンタ100で作像した転写紙上未定着画像に、上記定着液を定着装置で付着量55〜70[mg/A4]塗布してスミアテストで評価したところ、スミア目標値を満足するのに要した時間は、5[分]以内であった。ところで、揮発分測定の減量分は約10[%]程度、臭気も感じられた。なお、この比較例2では定着後のカールやコックリングが認められた。
図5に示すように、何れの定着液を用いた場合でも、経過時間とともにスミアの値が下がっているが、参考例2及び参考例5は二分後にスミアの値が目標値である0.2を下回っている。一方、比較例1の場合は、二分後でもスミアの値は0.3より大きい値を示し、4分後になって0.2を下回る状態である。スミアの値が低いほど定着性が良好であることを示しており、液体現像剤のキャリア液と親和性のあるものを用いることで、良好な定着状態になるまでの時間を短縮することができ、定着速度を速めることができることが確認された。
また、定着装置90を二次転写ニップの下流側に設け、軟化剤を含んだ定着液93をトナー像が転写された後の転写紙Pに供給している。これにより、二次転写ニップの上流側に定着装置90を設け、トナー像が転写される前の転写紙Pに定着液を供給する場合に比べて、定着時間が早くなる。
また、定着液93のように、軟化剤と軟化剤を希釈する希釈剤、または軟化剤を分散する分散剤とから成る定着剤として軟化剤をトナー像に供給することで、適切な量の軟化剤を均一に供給することができる。
また、軟化剤として不揮発性のものを使用することにより、軟化剤が蒸散することによる濃度低下がないため、定着液93中の軟化剤の濃度を一定にすることができる。さらに、軟化剤が蒸散しないため、定着液93の保存性もよく、大気汚染することがなく、略無臭であるという利点がある。なお、軟化剤を含んだ定着液93が蒸散しないため従来の揮発の早い定着液に比べ、軟化剤をトナーに確実に接触させることができ、効率的にトナーを軟化することができる。
また、希釈剤である希釈液(または、分散剤である分散液)が、キャリア液に対して親和性を有することにより、定着液がキャリア液にはじかれることなく、希釈液(または分散液)とキャリア液とが混ざりやすくなる。これにより、定着液93中の軟化剤が液体現像剤中のトナーの樹脂粒子に到達するまでの時間を短縮できるので、定着速度の高速化を図ることが出来る。
また、希釈剤である希釈液(または、分散剤である分散液)として不揮発性のものを使用することにより、希釈液(または分散液)が蒸散することによる濃度上昇がないため、定着液93中の軟化剤の濃度を一定にすることができる。さらに、希釈液が蒸散しないため、定着液93の保存性もよく、大気汚染することがなく、略無臭であるという利点がある。
また、定着剤として、希釈剤または分散剤が液体である定着液93を用いることにより、供給が容易であり、パイプやポンプを用いて供給できる。さらに、粉体のように舞い散らないなど、取り扱いが便利である。薄層形成等、量を規制しやすく、粉体に比べ、トナーを形成する樹脂粒子と接触し易いため、粉体の定着剤よりも定着速度の高速化を図ることができる。
また、定着液93に含まれる軟化剤として液体のものを用いることにより、軟化剤が固体やゲルの場合に比べ、キャリア液に対して浸透しやすく、トナーへの接触が早くなり、定着速度の高速化を図ることが出来る。
また、定着液93の希釈液(または分散液)として、液体現像剤のキャリア液と同じ物質のものを用いることによって、定着液93とキャリア液との親和性が良いため、定着液93中の軟化剤が速やかにトナーに接触・浸透させることができる。これにより、定着速度の高速化を図ることが出来る。
また、希釈液としてシリコーンオイルを用いることができる。シリコーンオイルは、原子と原子の結合角が大きく、間隔も広く、分子がらせん状で外側をメチル基が覆って分子同士お互い引き合う力が弱いことから、表面張力が低い。そのため、樹脂の固まりに塗布した時、濡れ性がよく、定着液93を均一に薄く塗ることができる。
また、プリンタ100の定着手段として、定着装置90を有することにより、定着速度の高速化を実現できる画像形成装置とすることができる。
また、変形例1のように、ゲル化した定着剤を用いることにより、樹脂の粒子などを動かさないため画像を乱すことなく、樹脂に軟化剤を付着させ、定着することができる。
実施形態1では、定着装置90を二次転写ニップの下流側に設け、軟化剤を含んだ定着液93をトナー像が転写された後の転写紙Pに供給している。トナー像に定着液を供給する定着装置90の位置としてはこれに限るものではない。
以下、定着装置90を転写紙Pの搬送方向において二次転写ニップの上流側に定着装置90を配置した参考構成例1について説明する。定着装置90の設置位置以外は実施形態1と同様の構成であり、共通する構成については説明を省略し、相違点のみについて説明する。
図6は、参考構成例1に係る画像形成装置としてのプリンタ100の要部概略構成図である。
図6に示すように、参考構成例1のプリンタ100は、転写紙Pの表面移動方向において二次転写部の上流側に定着装置90が配置されている。この定着装置90は、転写紙Pの表面に対し、定着液を介して接するように対向配置される定着液塗布手段としての定着ローラ91を備えている。定着装置90は、定着ローラ91が転写紙Pの表面に対して近接したり離間したりできるように、図示しない駆動機構によって移動可能な構成となっている。また、定着装置90の定着液タンク95の内部には定着液93が収容されており、この定着液93に、定着ローラ91に定着液93を供給する供給ローラ92が浸った状態で配置されている。なお、供給ローラ92としては、実施形態1と同様の物を用いることができる。
例えば、トナーが軟化するのに要する時間に比べ、転写紙Pの移動速度が遅ければ(ローラ塗布の場合、ローラと転写材が接触している時間が長いほど)、トナーは粘着性を増し、トナー同士が付着する力・トナーが転写紙Pに付着する力が増し、トナー像が乱されにくくなる。しかし、トナーが軟化するのに要する時間に比べ、転写紙Pの移動速度が早いほど(ローラ塗布の場合,ローラと転写材が接触している時間が短いほど)、トナー像は定着ローラ91に付着している定着液93に付着して転写紙Pから離されるおそれがある。これにより、転写紙P上で画像が乱されやすくなる。また、液状の定着液93を用いたインクジェットのような吹き付け塗布の場合、定着液の勢いによって、トナーが動かされてしまうことがある。
これらは共に、特に乾式トナーの場合で深刻である。トナーの紙への付着力は、乾式トナーに比べ液体現像剤中のトナーの方が強い。
実施形態1及び参考構成例1では、記録体である転写紙Pに定着液93を供給し、トナー像と軟化剤とを接触させるものであった。トナー像に定着液を供給するタイミングとしては転写紙P上に限るものではない。転写紙Pに転写される前の像担持体上のトナー像に定着液を供給するようにしてもよい。
以下、像担持体である感光体ドラム1上のトナー像に定着液を供給する参考構成例2について説明する。定着装置90の設置位置以外は実施形態1と同様の構成であり、共通する構成については説明を省略し、相違点のみについて説明する。
図7は参考構成例2に係る画像形成装置としてのプリンタ100の要部概略構成図である。
図7に示すように、参考構成例2のプリンタ100は、感光体ドラム1の表面移動方向において、現像装置40との対向部である現像領域の下流側に定着装置90が配置されている。この定着装置90は、感光体ドラム1の表面に対し、液体現像剤と定着液を介して接するように対向配置される定着剤塗布手段としての定着ローラ91を備えている。また、定着装置90の定着液タンク95の内部には、液状の定着剤である定着液93が収容されており、この定着液93に、定着ローラ91に対して定着液を供給する供給ローラ92が浸った状態で配置されている。なお、供給ローラ92としては、実施形態1と同様の物を用いることができる。
このようにフィルムに近い状態に変化したトナーは、感光体ドラム1の表面移動に伴い、一次転写ニップにおいて、中間転写ローラ51の表面に押しつけられることで、その粘着性により転写紙P上に転写されるとともに定着される。併せて、転写バイアスを加えてもよい。トナー粒子は、フィルムに近い状態になっているため、転写バイアス過多の部分ができた場合でもトナーが飛び散りにくくなる。感光体ドラム1上では、転写紙P上に比べ、定着液が揮発しやすいため、不揮発性の定着液が特に有効である。
参考構成例2では、像担持体上のトナー像に定着液93を供給する構成として、像担持体が感光体ドラム1である場合について説明した。その表面上のトナー像に定着液93を供給される構成としては感光体ドラム1に限るものではない。以下、その表面上のトナー像が定着液93の供給を受ける像担持体が中間転写ローラ51である場合の参考構成例3について説明する。定着装置90の設置位置以外は実施形態1と同様の構成であり、共通する構成については説明を省略し、相違点のみについて説明する。
図8は参考構成例3に係る画像形成装置としてのプリンタ100の要部概略構成図である。
図8に示すように、参考構成例3のプリンタ100は、中間転写ローラ51の表面移動方向において、感光体ドラム1との対向部である1次転写ニップの下流側、且つ、二次転写ニップの上流側に定着装置90が配置されている。この定着装置90は、中間転写ローラ51の表面に対し、液体現像剤と定着液を介して接するように対向配置される定着剤塗布手段としての定着ローラ91を備えている。定着装置90は、定着ローラ91が中間転写ローラ51の表面に対して近接したり離間したりできるように、図示しない駆動機構によって移動可能な構成となっている。
また、定着装置90の定着液タンク95の内部には定着液93が収容されており、この定着液93に、定着ローラ91に定着剤を供給する供給ローラ92が浸った状態で配置されている。なお、供給ローラ92としては、実施形態1と同様の物を用いることができる。
その後二次転写ニップまでの間において、トナーの樹脂成分は定着液93に軟化され、粘着性を持った状態となり、膨潤時に内部に含侵した定着液93の余剰分を表面に吐き出して、トナー粒子同士が付着し、フィルムに近い状態に変化する。このようにフィルムに近い状態に変化したトナーは、中間転写ローラ51の表面移動に伴い、二次転写ニップにおいて、転写紙Pの表面に押しつけられることで、その粘着性により転写紙P上に転写されるとともに定着される。併せて、転写バイアスを加えてもよい。トナー粒子は、フィルムに近い状態になっているため、転写バイアス過多の部分ができた場合でもトナーは飛び散りにくくなる。中間転写ローラ51上では参考構成例2の感光体ドラム1上と同様に、転写紙P上に比べて、定着液93が揮発しやすいため、不揮発性の定着液が特に有効である。
20 帯電装置
30 感光体スイープ装置
32 スイープローラ
33 イープクリーニングブレード
34 キャリア回収装置
40 現像装置
41 現像剤収容タンク
42 現像ローラ
43 中間ローラ
44 アニロクスローラ
45 液体現像剤
46 攪拌スクリュ
48 現像クリーニングブレード
49 ドクターブレード
50 転写装置
51 中間転写ローラ
52 中間転写体クリーニングブレード
55 二次転写ローラ
60 ドラムクリーニング装置
61 クリーニングブレード
70 除電ランプ
90 定着装置
91 定着ローラ
92 供給ローラ
93 定着液
94 掻き取りブレード
95 定着液タンク
96 対向ローラ
97 定着ローラ電源
98 対向ローラ電源
100 プリンタ
Claims (6)
- トナーとキャリア液とからなる液体現像剤を用いてトナー像が形成された記録体に定着液を供給することで、該記録体上に該トナー像を定着させる定着装置において、
上記定着液は、上記トナーを溶解または膨潤させる性質を有する軟化剤としてアジピン酸ジイソブチルを50[wt%]含有し、希釈液の成分としてジメチルシロキサンを50[wt%]含有することを特徴とする定着装置。 - 潜像担持体と、該潜像担持体上に潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像担持体上の潜像を現像しトナー像を形成する現像手段と、該潜像担持体上のトナー像を転写材上に転写する転写手段と、該転写手段により転写材に転写されたトナー像を定着する定着手段とを備える画像形成装置において、
該定着手段として、請求項1の定着装置を用いることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項2の画像形成装置において、
上記定着装置は、上記トナー像が転写された後の上記記録体に上記軟化剤を供給することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項2の画像形成装置において、
上記定着装置は、上記トナー像が転写される前に上記記録体に上記軟化剤を供給することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項2の画像形成装置において、
上記定着装置は、上記記録体に転写される前の上記潜像担持体上の上記トナー像に上記軟化剤を供給することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項2の画像形成装置において、
上記転写手段は、その表面に上記潜像担持体から上記トナー像が転写され、転写された該トナー像を上記転写材上に転写する中間転写体を備え、
上記定着装置は、該潜像担持体から転写され、該記録体に転写される前の該中間転写体上の該トナー像に上記軟化剤を供給することを特徴とする画像形成装置。
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