JP2008040099A - 定着方法、定着装置、及び画像形成装置 - Google Patents

定着方法、定着装置、及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】適正量の定着液を用いてトナーの定着を行うことが可能で、かつ、その適正量を容易に規定することができ、定着性の良い画像を得ることが可能な定着方法、定着装置等を提供する。
【解決手段】記録媒体46上に転写され、樹脂を含有する未定着トナー48に対して、樹脂を溶解又は膨潤させる軟化剤が含まれる定着液47を、スプレーガン41により噴射して付着させ、定着トナー50として記録媒体に定着させる。定着液47は、樹脂の溶解又は膨潤に必要な熱量を下げる働きを有する物質を含有し、該物質は、溶解又は膨潤に必要な熱量を略ゼロとする量のうち最も少ない量であってもよい。
【選択図】図4

Description

本発明は、定着方法、定着装置、及び画像形成装置に関し、特に、トナーを形成する樹脂粒子を軟化させる軟化剤をトナーに付着させることでトナーを軟化させ、記録媒体上にトナーを定着させる定着方法等に関するものである。
従来、記録媒体上のトナーを加熱して融解し、これを加圧することでトナーを記録媒体上に定着させる熱定着方式を採用した画像形成装置が知られている。この種の画像形成装置では、その消費電力の多くが定着部での加熱処理のために消費される。このため、定着部での電力消費を抑えることは、画像形成装置全体の省エネ対策として有効な手段となる。
一方、熱定着方式を採用しない定着方式として、トナーを形成する樹脂粒子を軟化させる軟化剤を用いて定着処理を行うケミカル定着方式が知られている。このケミカル定着方式は、トナーに少なくとも軟化剤を含む定着液を付着させてこれを軟化することで、トナーを記録媒体上に定着させるものである。
このようなケミカル定着方式においては、熱定着方式のような大量の電力消費を伴う加熱処理が不要となるため、省エネ対策として優れた定着方式であるといえる。また、熱定着方式のようなウォームアップ時間も不要であるため、クイックスタートが可能である。
例えば特許文献1では、軟化剤を含有する定着液を用いた湿式定着方式の画像形成装置であって、中間転写ベルト上のトナーに定着液を付与した後に、そのトナーを転写紙上に転写することで、トナーに付与する定着液の量を少なくして画像形成装置の小型化を図るものが提案されている。
また、例えば特許文献2では、軟化剤を含有する定着液を用いた湿式定着方式の画像形成装置であって、予備定着部でトナーの付着力を増大させた後に、定着液付与部により定着液を付与し加圧して定着させることで、安定した定着品質を実現するものが開示されている。
特開2004−109749号公報 特開2004−294847号公報
軟化剤を選択するにあたり候補となる物質は、軟化剤として機能するものと機能しないものに分けられ、軟化剤として機能するものの中でも、定着性の良い(強い)ものと定着性の悪い(弱い)ものに分類される。大前提として、軟化剤として機能するものを選択しなくては定着液として用いることができないため、軟化剤として機能するものを選ぶ必要がある。定着性の強弱については以下の点を考慮する必要がある。
すなわち、使用する軟化剤の量についてである。軟化剤の定着性により、定着性の強いものと弱いものとでは、軟化剤の適正量が違う。例えば、軟化剤が少な過ぎると、軟化程度が弱く、トナー同士あるいはトナーと記録体との付着力が弱く定着性が悪くなる。逆に、軟化剤が多過ぎると、ベタベタしたままでトナーが固化しにくく定着性が悪くなる。
さらに、例えば軟化剤を希釈して用いるような場合、希釈剤が樹脂の軟化に関わらない物質であれば、軟化剤の量を決めてその任意な量で希釈できるが、希釈剤が樹脂の軟化に影響する物質である場合には、軟化剤や希釈剤それぞれの適正量を規定するのが困難となる。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、適正量の定着液を用いてトナーの定着を行うことが可能で、かつ、その適正量を容易に規定することができ、定着性の良い画像を得ることが可能な定着方法、定着装置等を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために、請求項1記載の発明は、樹脂を含有する現像剤が転写された記録媒体上のトナー像に対して、前記樹脂を溶解又は膨潤させる軟化剤が含まれる定着液を付着し、前記現像剤を前記記録媒体に定着させる定着方法であって、前記定着液は、示差走査熱量測定にて測定される熱量で、前記樹脂の溶解又は膨潤に必要な熱量を下げる働きを有する物質を含有して構成される前記軟化剤が含まれることを特徴とする。
また、請求項2記載の発明は、請求項1に記載の定着方法において、前記定着液は、前記溶解又は膨潤に必要な熱量を略ゼロとするための量の前記物質を含有する前記軟化剤が含まれることを特徴とする。
また、請求項3記載の発明は、請求項2に記載の定着方法において、前記定着液は、前記略ゼロとするための量のうち、最も少ない量の前記物質を含有する前記軟化剤が含まれることを特徴とする。
また、請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の定着方法において、前記定着液は、前記樹脂の溶解又は膨潤に影響しない物質を含有する希釈剤を含んで構成されることを特徴とする。
また、請求項5記載の発明は、樹脂を含有する現像剤が転写された記録媒体上のトナー像に対して、前記樹脂を溶解又は膨潤させる軟化剤が含まれる定着液を付着する定着液付着手段を備える定着装置であって、前記定着液付着手段は、示差走査熱量測定にて測定される熱量で、前記樹脂の溶解又は膨潤に必要な熱量を下げる働きを有する物質を含有して構成される前記軟化剤が含まれる前記定着液を付着することを特徴とする。
また、請求項6記載の発明は、請求項5に記載の定着装置において、前記定着液付着手段は、前記溶解又は膨潤に必要な熱量を略ゼロとするための量の前記物質を含有する前記軟化剤が含まれる前記定着液を付着することを特徴とする。
また、請求項7記載の発明は、請求項6に記載の定着装置において、前記定着液付着手段は、前記略ゼロとするための量のうち、最も少ない量の前記物質を含有する前記軟化剤が含まれる前記定着液を付着することを特徴とする。
また、請求項8記載の発明は、請求項5から7のいずれか1項に記載の定着装置において、前記定着液付着手段は、前記樹脂の溶解又は膨潤に影響しない物質を含有する希釈剤を含んで構成される前記定着液を付着することを特徴とする。
また、請求項9記載の発明は、請求項5から8のいずれか1項に記載の定着装置において、前記定着液付着手段は、前記定着液が付着したトナー像を加圧する加圧手段に対向して設けられたローラ状の部材からなり、前記加圧手段との接触部において前記定着液を前記記録媒体上のトナー像に対して付着することを特徴とする。
また、請求項10記載の発明は、請求項5から8のいずれか1項に記載の定着装置において、前記定着液付着手段は、非接触の液滴飛翔手段を備え、前記液滴飛翔手段により前記定着液を前記記録媒体上のトナー像に対して付着することを特徴とする。
また、請求項11記載の発明は、画像形成装置において、像担持体上の静電潜像へ樹脂を含有する現像剤によりトナー像を現像する現像手段と、前記現像手段により現像されたトナー像を記録媒体へ転写する転写手段と、請求項5から10のいずれか1項に記載の定着装置とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、適正量の定着液を用いてトナーの定着を行うことが可能で、かつ、その適正量を容易に規定することができ、定着性の良い画像を得ることが可能となる定着方法、定着装置等が実現される。
[実施形態1]
図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。まず、第1の実施形態として、複写機やプリンタとして利用されるカラー電子写真のタンデム方式の画像形成装置について述べる。
図1は、本実施形態の画像形成装置の要部の概略構成を示した図である。当該画像形成装置の画像形成部には、トナー像担持体として中間転写ベルト11が設けられ、この中間転写ベルト11は、3つの支持ローラ12、13及び14に張架されており、時計方向に回転するよう構成されている。
また、中間転写ベルト11の搬送方向には、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各画像形成ユニット15BK、15Y、15M及び15Cが配列されている。そして、これら画像形成ユニットの上方には、不図示の露光装置が配置されている。例えば、複写機の場合、スキャナで原稿の画像情報を読み込み、この画像情報に応じて、感光体ドラム16上に静電潜像を書き込むためのレーザ光Lが露光装置により照射される(図2参照)。
中間転写ベルト11の支持ローラ14に対向する位置には、二次転写装置17が設けられている。二次転写装置17は、2つの支持ローラ18及び19、そしてこれらの間に張架された二次転写ベルト20で構成されている。なお、二次転写装置17は、転写ベルト以外に転写ローラを用いた構成としてもよい。また、中間転写ベルト11の支持ローラ12に対向する位置には、ベルトクリーニング装置21が配置されている。ベルトクリーニング装置21は、中間転写ベルト11上に残留するトナーを除去するために配置されている。
記録媒体(記録紙)22は、一対の給紙ローラ23で二次転写装置17へ導かれ、トナー像を記録媒体22に転写する際には、二次転写ベルト20を中間転写ベルト11に押し当てて転写を行う。トナー像が転写された記録媒体22は、定着装置30へ導かれ、定着液が付着させられる。
次に、画像形成ユニットについて説明する。図2は、本実施形態の画像形成装置における画像形成ユニットの概略構成を示した図である。当該画像形成ユニットには、感光体ドラム16の周辺に、帯電装置24、現像装置25、クリーニング装置26及び除電装置27が配置されている。また、感光体16に対して、中間転写ベルト11を介して対向する位置に、一次転写装置28が設けられている。
帯電装置24は、帯電ローラを採用した接触帯電方式であり、感光体ドラム16に接触して電圧を印加することにより、感光体ドラム16の表面を一様に帯電する。なお、帯電装置24は、非接触のスコロトロン帯電等を採用した非接触帯電方式の帯電装置を採用してもよい。
現像装置25は、現像剤中のトナーを感光体ドラム16上の静電潜像に付着させ、可視像化させる。ここで、各色に対応するトナーは、それぞれの色に着色された樹脂材料からなり、後述する定着液により溶解又は膨潤するように形成されている。なお、現像装置25には、不図示の攪拌部と現像部が構成されており、現像に使用されなかった現像剤は、攪拌部に戻され、再利用される。また、攪拌部のトナー濃度は、トナー濃度センサーで検出され、濃度が一定になるように制御されている。
一次転写装置28は、感光体ドラム16上で可視像化されたトナーを中間転写ベルト11に転写する。ここでは、一次転写装置28として、転写ローラ方式を採用しており、中間転写ベルト11を挟んで感光体ドラム16に押し当てるように配置されている。なお、一次転写装置28は、導電性ブラシ形状のもの、非接触のコロナチャージャー等を採用してもよい。
クリーニング装置26は、感光体ドラム16上の不要なトナーを除去する。クリーニング装置26としては、先端が感光体ドラム16に押し当てられるように構成されたブレードを用いることができる。ここで、回収されたトナーは、不図示の回収スクリュやトナーリサイクル装置で現像装置25に回収され、再利用することができる。
除電装置27は、ランプで構成されており、光を照射して感光体ドラム16の表面電位を初期状態とする。
次に、定着液をトナーに付着させる定着装置30について説明する。図3は、本実施形態の画像形成装置における定着装置の概略構成を示した図である。図3に示すように、定着液は、定着液充填タンク34に貯留されており、搬送パイプ33を通して定着液塗布パッド32に供給されている。
つまり、定着液を未定着トナー37へ付着させる手段である塗布ローラ31に対して、定着液を含有した定着液塗布パッド32から微小量の定着液が塗布ローラ31に供給され、塗布ローラ31と加圧ローラ35の接触部で記録媒体(記録紙)36上の未定着トナー37に定着液が付着させられる。ここで、記録媒体36は、上述の画像形成プロセスでトナーが転写されたものである。なお、塗布ローラ31は、ウレタンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム等の耐溶剤性に優れる部材が好ましい。
なお、定着液を付着させる手段としては、塗布ローラのほかに、エアースプレー、インクジェットノズル等の非接触の液滴飛翔手段により、定着液をトナーに付着させるように構成してもよい。図4は、その具体例として示した定着装置の概略構成図である。定着液充填タンク43から搬送パイプ42を通してスプレーガン41に定着液が供給される。スプレーガン41には図示していないエアー供給源があり、エアーにより霧化した定着液47が記録媒体(記録紙)46上の未定着トナー48に付着させられる。
さらに、図4に示すように、塗布工程後に、一対の平滑化ローラ45を付設することで、軟化したトナー層49の表面の平滑化による光沢付与や記録媒体46の繊維内への押込みによる定着性向上を図ることができる。また、塗布手段は、図4の非接触手段に限らず、上記図3の塗布ローラ手段のごとき接触塗布手段でも構わない。
上述したように、定着液を記録媒体上のトナー像に付着させて定着を行う定着方法は、熱定着方式のような大量の電力消費を伴う加熱処理が不要となるため、省エネ対策として優れた定着方式である。また、熱定着方式のようなウォームアップ時間も不要であるため、クイックスタートが可能である。
しかし、トナーを溶解又は膨潤させる定着液にもいろいろあり、また、その溶解又は膨潤させる力が強いものもあれば弱いものもあり、それぞれ違いがある。さらに、定着液の量によっても溶解又は膨潤させる力が異なる。
すなわち、樹脂を溶解又は膨潤させる程度は、定着液の溶解又は膨潤させる力と定着液の量との組合せによって決まり、樹脂を溶解又は膨潤させる程度が低すぎると、軟化程度が弱く、トナー同士・トナーと記録媒体との付着力が弱いため、定着性が悪くなる。逆に、樹脂を溶解又は膨潤させる程度が高すぎると、ベタベタしたままでトナーが固化しにくくなるため、これも定着性が悪くなる。
ここで、定着液による定着について説明する。定着液は、樹脂を主に溶解又は膨潤させる軟化剤、また、軟化剤の量を変えずに定着液の量を変えたい場合等に使用する希釈液、さらには、軟化剤と希釈剤との親和性が悪い場合等に用いる添加剤や分散剤等からなる。つまり、定着液は、軟化剤のみ、若しくは軟化剤+希釈剤、若しくは軟化剤+希釈剤+α(添加剤や分散剤等)を指す。
図5は、本実施形態において、トナーに定着液を付着させた際の、定着液とトナーとの経時的な状態変化を示す図である。図5(a)は、樹脂を含む物質であるトナー52を、定着させる部材である記録媒体51上に載せた状態を示しており、図5(b)は、トナー52に定着液53を付着させた状態を示している。トナー52中の樹脂は定着液53に軟化されて粘着性を有した状態となり、定着液53が樹脂から吐き出され、樹脂はフィルム状に変化する。図5(c)は、樹脂がフィルム状54に変化した状態を示す。図5に示すように、記録媒体51上でトナー52をフィルム状54にすることにより、トナー52を転写媒体上51に定着させることができる。
樹脂を溶解又は膨潤させることのできる軟化剤を選択するにあたっては、その軟化剤を樹脂に付着させて樹脂のDSC曲線を測定したときの、樹脂の融解に必要な熱量を下げるような物質を選択することにより、樹脂を軟化させられる物質を選択することが可能となる。
また、樹脂を溶解又は膨潤させる力は、軟化剤によって違いがあるが、樹脂に軟化剤を付着させたときの、樹脂の融解に必要な熱量を測定することにより、定着性を満足する軟化剤の量を決めることができる。つまり、融解に必要な熱量と定着性との関係を前もって把握しておくことで、熱量測定値から所望の定着性を得ることが可能となる。
軟化のメカニズムを解析するため、乾式のトナーと軟化剤とを均一になるよう混合したものを、示差走査熱量計(DSC(Differential Scanning Calorimeter))を用いて融点やガラス転移点を測定した。その際、トナーに対する軟化剤の量の比を変えたもの数点について測定した。また、DSC装置は、Seiko Instruments DSC120Uを用い、測定温度は30〜120℃、昇温速度は1分間に2.5℃とした。
図6は、当該測定の結果で、トナーのみのDSCカーブを示したグラフである。横軸はトナーの温度、縦軸は吸熱量を表している。約60℃に見られる吸熱ピークはトナーを構成する主な樹脂であるポリエステル樹脂の融点におけるものであり、約80℃に見られる吸熱ピークはトナーに含まれるカルバナロウの融点におけるものである。ポリエステル樹脂の融点での吸熱量は約4.3mJ/mg(実線と点線とで囲まれた左側部分の面積)だった。
図7は、当該測定の結果で、トナーの3%の量となる軟化剤コハク酸ジエトキシエチル(DES)をトナーに混合した場合のDSCカーブを示したグラフである。トナーに軟化剤を混合することによって、樹脂の融点での吸熱量が低下し、吸熱量は約0.4mJ/mg(実線と点線とで囲まれた左側部分の面積)となった。
融点で測定される吸熱量は、結晶が融解するときの熱の吸収量であり、軟化剤を混合することにより吸熱量が低下する現象は、結晶性の樹脂で見られる現象である。一般に、可塑剤は熱可塑性ポリマーに添加することにより、その材料のガラス転移点を低下させることが知られている。このため、トナーに軟化剤を混合することにより、樹脂のガラス転移点や融点が低下すると推測したが、ガラス転移点は観察されず、融点も変化することはなく、融点における吸熱量の低下が結果として得られた。
また、軟化剤の量を変えたときの樹脂の融点での吸熱量の変化を図8に示した。図8には3種類の軟化剤について示し、DiOSはコハク酸ジ2−エチルヘキシルを、DiBAはアジピン酸ジイソブチルを、DESはコハク酸ジエトキシエチルを示す。横軸はトナーに対する軟化剤の含有量を示し、縦軸には融点での吸熱量を示した。各軟化剤の種類によってその程度は違うが、各軟化剤とも量が多くなるにつれて吸熱量が減少する傾向が見られた。
この結果から、トナーに軟化剤を混合することにより、トナーの樹脂の結晶化度が低下することがわかった。そして、融点で測定される吸熱量は、結晶が融解する際の熱の吸収量であり、その吸熱量が下がるということは、結晶化度が下がるということである。つまり、吸熱量が減るにつれて結晶化度が下がり、樹脂の軟化度合いが増加しているといえる。
ここで、示差走査熱量測定をしたトナーに対する軟化剤の量の比率で、トナーに軟化剤を付着させた画像のスミア値を測定した。スミア値とは定着性の指標の一つである。図9に融点での吸熱量とスミア値との関係を示した。吸熱量の少ないものほどスミア値が低くなる(定着性が良い)結果となった。吸熱量が低いということは、軟化剤によって樹脂がより軟化しているということなので、より定着しやすい状態になっていると考えられ、スミア値が低い(良い)ということと合致している。
スミア法について説明する。クロックメータ先端に5mm厚の弾性材をクッション材として付設し、そこに布を被せる。下の式に示すように、ベタ画像上を10往復擦った後の布上の濃度(4点平均)を測定し(Dcrk)、そこから布濃度(Dcls)を差し引いた値を元の画像濃度(Dinit)で除した値Dsmrをスミア法における評価値、スミア値とする。Dsmrの値は小さいほど定着性が良く、現状の目標値は0.1以下である。
Dsmr=(Dcrk−Dcls)/Dinit
図9に示すように、樹脂の融解に必要な熱量が0mJ/mgのときに、最もスミアが良い。これは、吸熱量が0mJ/mgということは樹脂の融解に熱量が不要ということであり、十分に樹脂が軟化して定着できる状態と考えられ、そのためスミアもよいと考えられる。このように、樹脂の融解に必要な熱量は0mJ/mgとなるのが良好である。
ここで、吸熱量が若干でも存在するということは、結晶が一部残っているということであり、軟化程度(定着性に影響)が不十分であることを表している。ただし、必要とする定着性は、場合によって異なるので、必ずしも吸熱量がゼロである必要はない。やや定着性が甘い状態でもよい場合は、その定着性が得られる吸熱量となるような軟化剤の量とするとよい。
また、図8のように、軟化剤の種類によってその量は変わるが、軟化剤の量がある量以上では吸熱量は0mJ/mgとなる。吸熱量がちょうど0mJ/mgとなる量以上の場合は、樹脂を十分に溶解又は膨潤させることができ、樹脂を溶解又は膨潤させた後に、軟化剤を適当に除去することができれば問題はない。しかしながら、軟化剤の除去のためには、積極的な軟化剤除去手段等が必要となる場合がある。
このため、最も簡便なのは、樹脂を溶解又は膨潤させた後の軟化剤は、樹脂中にとどまることのできる量とするか、あるいは紙等の基材に浸透させることと考えられる。そのためには、軟化剤量は、樹脂を軟化できる量であり、かつ、なるべく少ない量が望ましく、図8の吸熱量が0mJ/mgとなる軟化剤の量の中で、なるべく少ない軟化剤の量を選択することが望ましい。
次に、軟化剤の例を示す。定着液に含有される軟化剤は、トナーを構成する樹脂成分を溶解又は膨潤させる材料である。軟化剤としては、脂肪族エステルを用いることができる。
本実施形態において、脂肪族エステルは、飽和脂肪族エステルを含有することが好ましい。これにより、保存安定性(酸化や加水分解に対する耐性)を向上させることができ、また、人体に対する安全性が高く、トナーに含まれる樹脂を1秒以内で溶解又は膨潤させることができる。さらに、飽和脂肪族エステルは、溶媒が蒸発した後のトナー層における粘着感が少ない。これは、飽和脂肪族エステルが軟化したトナー層の表面に油膜を形成するためであると考えられる。
また、飽和脂肪族エステルは、一般式R1COOR2で示される化合物であり、R1は炭素数が11以上14以下のアルキル基、R2は炭素数が1以上3以下のアルキル基であることが好ましい。これにより、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性を向上させることができる。また、臭気指数が10以下であり、不快臭や刺激臭を有さない。
また、脂肪族モノカルボン酸エステルとしては、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、トリデシル酸エチル、トリデシル酸イソプロピル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル等が挙げられる。トナーに含まれる樹脂としては、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、ポリエステル樹脂が適する。また、トナー中にポリエチレン等のワックス成分を有していても構わない。
本実施形態において、脂肪族エステルは、脂肪族ジカルボン酸エステルを含有することが好ましい。また、脂肪族ジカルボン酸エステルは、一般式R3(COOR42で示される化合物であり、R3は炭素数が3以上8以下のアルキレン基で、R4は炭素数が2以上5以下のアルキル基であることが好ましい。これにより、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性を向上させることができる。また、臭気指数が10以下であり、不快臭や刺激臭を有さない。
また、脂肪族ジカルボン酸エステルとしては、コハク酸ジエチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソデシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。トナーに含まれる樹脂は、上記と同様である。
本実施形態において、脂肪族エステルは、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを含有することが好ましい。これにより、トナーの定着性を向上させることができる。脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルは、水に若干溶解するため、溶媒として水を用いる場合に、可溶な状態で保持しやすい。
また、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルは、一般式R5(COOR6−O−R72で示される化合物であり、R5は炭素数が2以上8以下のアルキレン基、R6は炭素数が2以上4以下のアルキレン基、R7は炭素数が1以上4以下のアルキル基であることが好ましい。これにより、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性を向上させることができる。また、臭気指数が10以下であり、不快臭や刺激臭を有さない。
また、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルとしては、コハク酸ジエトキシエチル、コハク酸ジブトキシエチル、アジピン酸ジエトキシエチル、アジピン酸ジブトキシエチル、セバシン酸ジエトキシエチル等が挙げられる。
本発明において、脂肪族エステルの臭気指数は、10以下であることが好ましい。これにより、通常のオフィス環境では不快感がなくなる。脂肪族エステル及び溶媒が不快臭や刺激臭を有していると、オフィス環境等での使用に適さない。特に、脂肪族エステルは、トナーが定着した後もトナー中に残留しているため、不快臭や刺激臭を有することは使用上好ましくない。なお、精度が高く、オフィス環境等における実用的な臭気の測定尺度として、官能測定である三点比較式臭袋法による臭気指数(10log(臭わなくなるまでの希釈倍率))を臭気の指標として用いている。
また、溶媒が不快臭や刺激臭を帯びていると、定着時に装置から臭気が発生する。溶媒は、定着液中の含有量が多いため、臭気指数は、7以下であることが好ましく、3以下であることがさらに好ましい。
次に、軟化剤を希釈する希釈液、あるいは軟化剤を分散する分散液について説明する。定着液として軟化剤を用いる際に、希釈剤を必要とする場合がある。溶解又は膨潤後の軟化剤の行き場を考えると、軟化剤は薄く少量を供給できることが望ましいが、軟化剤を少量かつ均一に供給することは極めて困難である。そこで、このような少量の軟化剤を供給する方法として、一般に、軟化剤を何らかの液体によって希釈する方法が利用される。
このとき、希釈剤を樹脂に付着させた際に、希釈剤は樹脂の融解に必要な熱量を下げない物質を含有することが望ましい。樹脂の融解に必要な熱量を下げない物質とは、該熱量の変化に影響を与えない物質である。そして、可能であれば、樹脂の融解に必要な熱量を下げない物質のみで希釈剤を構成するのが最も良い。
上記のように、軟化剤を樹脂に付着させたときの、樹脂の融解に必要な熱量を測定することによって軟化剤の適正量を把握し、適正量の軟化剤を使用するにあたり樹脂の融解に必要な熱量を下げるような希釈剤を用いる場合には、軟化剤が見かけ上増えることになってしまう。つまり、軟化力が強すぎる状態となり、樹脂の軟化又は膨潤には有利だが、その後の固化に時間がかかるといった不利な条件となる。
また、軟化剤と希釈剤、あるいは軟化剤と希釈剤とその他の成分を併せた定着液として樹脂に付着させたものの融解に必要な熱量が、ゼロあるいは望みの定着性を得られる熱量となる条件にする方法もあるが、樹脂の融解に必要な熱量から軟化剤の量を決め、樹脂の融解に必要な熱量には影響しない希釈剤を用い、使用上の便宜だけから希釈率を決める方が、簡便である。
本実施形態で乾式トナーに用いる場合、定着液が希釈溶媒を含有する構成において、希釈溶媒として水を含有することが好ましい。これにより、定着液の臭気を大幅に減少させることができる。また、水は、揮発性有機化合物(VOC(Volatile Organic Compounds))には該当せず、オフィス環境に対して極めて有利である。
しかし、脂肪族エステルの水に対する溶解度は一般に低いため、脂肪族エステルを水中で可溶な状態で保持する、あるいは微粒子状に分散した状態で保持する必要がある。このような方法としては、HLB(Hydrophile-Lipophile Balance)値が5〜16程度の界面活性剤を水に添加し、脂肪族エステルを添加した後、加熱しながら長時間攪拌する方法が挙げられる。
HLB値が5〜16程度の界面活性剤としては、ショ糖脂肪酸エステル、例えば、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステルといったショ糖クエン酸エステル類や、ソルビタン脂肪酸エステル類、例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、グリセリン脂肪酸エステル類等が挙げられる。
また、希釈溶媒として、水と水溶性の溶媒との混合溶媒を用いることもできる。水溶性の溶媒としては、エタノール、イソプロパノール等の単価のアルコール類や、プロピレングリコール、1,3ブチレングリコール、グリセリンのごとき多価アルコール類が挙げられる。
また、本実施形態において、脂肪族エステルの良溶媒としては、疎水性溶媒も可能である。このような溶媒としては、シリコーンオイル類、オレフィン系溶媒、パラフィン系溶媒、フッ素系溶媒等が挙げられ、LD50が3g/kgより大きい溶媒の中から選択することが好ましい。
シリコーンオイル類としては、粘度が1〜10mPa・s程度のポリジメチルシロキサン、メチルシクロシロキサンの4量体、5量体等が適する。パラフィン系溶媒としては、n−デカン、n−ドデカン、n−ウンデカン等が適する。オレフィン系溶媒としては、ポリαオキシエチレン等が適する。フッ素系溶媒としては、ハイドロフルオロエーテル等が適する。なお、これらの疎水性溶媒は、不揮発性であることが望ましく、沸点としては大気圧下で260℃以上であることが望ましい。
また、本実施形態において、トナー等に含有される樹脂の軟化剤である脂肪族エステルとしては、流動性を有する液体の他に、ゲル状の液体やワックスのような半固体でも構わない。脂肪族エステルの粘度は、1mPa・s以上100Pa・s以下であることが好ましい。
以下、実施例を用いてさらに詳細に説明するが、これらは本発明を例示したものに過ぎず、これら実施例により本発明は限定されない。
まず、リコー製カラープリンタ用トナー(Ipsio Color用トナー 9800、樹脂:ポリエステル樹脂)の示差走査熱量測定(DSC)を行い、60℃付近に樹脂の融点があり、5mJ/mg程度の吸熱量が測定された。次に、軟化剤としてアジピン酸ジイソブチルを用い、トナーと混合した後にDSCにて測定し、トナーと軟化剤の総量に対して軟化剤が約9wt%の比率以上の範囲で、上記の吸熱量がゼロとなった。ただし、水、プロピレングリコール、ポリエーテル変性シリコーンのみを樹脂に混合しても、DSC測定での樹脂の吸熱量変化は測定されなかった。そこで、下記のごとく、定着液の処方とトナー層への塗布を行い、定着液塗布時に、定着液中の希釈溶媒が蒸発又は紙内に拡散後、紙上のトナーに対して軟化剤の比率9〜10wt%となるように定着を行った。
■定着液処方
軟化剤:アジピン酸ジイソブチル(高級アルコール工業) 5wt%
希釈溶媒
水 19wt%
プロピレングリコール 75wt%
浸透剤:ポリエーテル変性シリコーン(東レダウコーニング) 1wt%
上記希釈溶媒に軟化剤を滴下しながら攪拌し、軟化剤を希釈溶媒に混合した。混合状態はマイクロエマルジョン状態であった。
■定着液塗布方法
塗布ユニット:エアーブラシ(タミヤ模型社 ノズル径Φ2mm)
塗布量:0.5g〜0.6g/A4
■定着テスト
画像出力:リコー製カラープリンタ(CX8800)
出力画像:黒ベタ(紙上のトナー量:0.2g/A4)
定着評価:塗布10秒後にウエスでトナー面を擦り、画像劣化の有無で判定
■テスト結果
塗布10秒後にトナー面をウエスで擦り、画像の乱れが発生せず、良好な定着が行われたことを確認した。また、定着液の臭気指数は1以下であり、ほぼ無臭でかつ定着時に水のみ蒸発し、大気汚染の原因物質の蒸発は認められなかった(重量変化測定及びガスクロマトグラフィー測定より)。
まず、リコー製カラープリンタ用トナー(Ipsio Color用トナー 9800、樹脂:ポリエステル樹脂)の示差走査熱量測定(DSC)を行い、60℃付近に樹脂の融点があり、5mJ/mg程度の吸熱量が測定された。次に、軟化剤としてコハク酸ジエトキシエチルを用い、トナーと混合した後にDSCにて測定し、トナーと軟化剤の総量に対して軟化剤が約6wt%の比率以上の範囲で、上記の吸熱量がゼロとなった。そこで、下記のごとく、定着液の処方とトナー層への塗布を行い、定着液塗布時に、定着液中の希釈溶媒が蒸発又は紙内に拡散後、紙上のトナーに対して軟化剤の比率6〜7wt%となるように定着を行った。
■定着液処方
軟化剤:コハク酸ジエトキシエチル(クローダ社) 10wt%
希釈溶媒
水 54wt%
プロピレングリコール 35wt%
浸透剤:ポリエーテル変性シリコーン(東レダウコーニング) 1wt%
上記希釈溶媒に軟化剤を滴下しながら攪拌し、軟化剤を希釈溶媒に混合した。混合状態は溶解状態であった。
■定着液塗布方法
塗布ユニット:エアーブラシ(タミヤ模型社 ノズル径Φ2mm)
塗布量:0.15g〜0.2g/A4
■定着テスト
画像出力:リコー製カラープリンタ(CX8800)
出力画像:黒ベタ(紙上のトナー量:0.2g/A4)
定着評価:塗布10秒後にウエスでトナー面を擦り、画像劣化の有無で判定
■テスト結果
塗布10秒後にトナー面をウエスで擦り、画像の乱れが発生せず、良好な定着が行われたことを確認した。また、定着液の臭気指数は1以下であり、ほぼ無臭でかつ定着時に水のみ蒸発し、大気汚染の原因物質の蒸発は認められなかった(重量変化測定及びガスクロマトグラフィー測定より)。
まず、リコー製カラープリンタ用トナー(Ipsio Color用トナー 9800、樹脂:ポリエステル樹脂)の示差走査熱量測定(DSC)を行い、60℃付近に樹脂の融点があり、5mJ/mg程度の吸熱量が測定された。次に、軟化剤としてコハク酸ジエチルヘキシルを用い、トナーと混合した後にDSCにて測定し、トナーと軟化剤の総量に対して軟化剤が約11wt%の比率以上の範囲で、上記の吸熱量がゼロとなった。そこで、下記のごとく、定着液の処方とトナー層への塗布を行い、定着液塗布時に、定着液中の希釈溶媒が蒸発又は紙内に拡散後、紙上のトナーに対して軟化剤の比率11〜12wt%となるように定着を行った。
■定着液処方
軟化剤:コハク酸ジエチルヘキシル(高級アルコール工業) 5wt%
希釈溶媒
水 19wt%
プロピレングリコール 75wt%
浸透剤:ポリエーテル変性シリコーン(東レダウコーニング) 1wt%
上記希釈溶媒に軟化剤を滴下しながら攪拌し、軟化剤を希釈溶媒に混合した。混合状態はマイクロエマルジョン状態であった。
■定着液塗布方法
塗布ユニット:エアーブラシ(タミヤ模型社 ノズル径Φ2mm)
塗布量:0.6g〜0.7g/A4
■定着テスト
画像出力:リコー製カラープリンタ(CX8800)
出力画像:黒ベタ(紙上のトナー量:0.2g/A4)
定着評価:塗布10秒後にウエスでトナー面を擦り、画像劣化の有無で判定
■テスト結果
塗布10秒後にトナー面をウエスで擦り、画像の乱れが発生せず、良好な定着が行われたことを確認した。また、定着液の臭気指数は1以下であり、ほぼ無臭でかつ定着時に水のみ蒸発し、大気汚染の原因物質の蒸発は認められなかった(重量変化測定及びガスクロマトグラフィー測定より)。
[実施形態2]
本発明は、液体現像剤を用いた電子写真画像形成装置にも適用可能である。以下、本発明の第2の実施形態として、液体現像剤を用いた電子写真画像形成装置について説明する。
図10は、本実施形態の画像形成装置の要部の概略構成を示した図である。本実施形態の画像形成装置であるプリンタ100は、潜像担持体である感光体ドラム101の周囲に、帯電装置120、レーザ光Lを照射する図示しない露光装置、現像装置140、転写装置150、ドラムクリーニング装置160等を配設している。
感光体ドラム101は、その表面がアモルファスシリコン(a−Si)によって形成される。あるいは、感光体ドラム101の材質としては、有機感光体(OPC(Organic Photo Conductor))等も使用することできる。なお、感光体ドラム101として、アモルファスシリコン層を有する感光体ドラムを用いることで、OPCのように軟化剤に溶解又は膨潤するおそれもなく、有機感光体よりも優れた機械的強度を発揮し、その寿命を長くすることができる。
露光装置としては、LEDやレーザ走査光学系等が使用できる。また、転写装置150は、記録媒体である記録紙Pにトナー像を転写するものであり、感光体101から転写されたトナー像を担持する中間転写ローラ151と、中間転写ローラ151と対向して設けられ中間転写ローラ151上のトナー像を記録紙Pへ転写する二次転写ローラ155とを有する。
定着装置190は、転写装置150から記録紙Pが搬送される下流方向に設けられ、定着ローラ191、供給ローラ192、及び対向ローラ194を有する。定着ローラ191は、供給ローラ192から供給された定着液193を、記録紙P上のトナー像中の樹脂へ付着させる。供給ローラ192は、定着ローラ191へ定着液193を供給する。対抗ローラ194は、定着ローラ191と対向して設けられ、定着液193の付着により融解した樹脂を加圧して定着させる。
現像装置140は、現像部141とスイープ部147とから構成される。現像部141は、感光体101へ液体現像剤130を供給する現像ローラ142と、塗布ローラ144からの液体現像剤130を現像ローラ142へ供給する中間ローラ143と、中間ローラ143をクリーニングするクリーニングブレード145と、液体現像剤130を中間ローラへ塗布する塗布ローラ144と、液体現像剤130を攪拌及び搬送する攪拌・搬送スクリュ146とを有する。
次に、プリンタ100での画像形成動作について説明する。感光体ドラム101は、図示しないモータ等の駆動手段により、複写時に一定速度で矢印方向に回転駆動される。感光体ドラム101表面は、その回転移動に伴い、帯電装置120のコロナ放電によって一様に帯電される。なお、帯電装置120としては、このようなコロナ放電による帯電を実現するもののほか、感光体ドラム101に接触させた帯電ローラ等の帯電部材によって所定の帯電バイアスを印加する方式のものを用いてもよい。
帯電装置120により一様に帯電された感光体ドラム101の表面は、画像情報に基づいて、露光装置からレーザ光Lが照射されて静電潜像を担持する。これら静電潜像は、液体現像剤130を供給する現像装置140の現像ローラ142と対向する領域を通過する間に現像される。
静電潜像に現像されたトナー像は、感光体ドラム101の回転に伴い、転写装置150と対向する位置に達する。転写装置150は、中間転写ローラ151によって感光体ドラム101に向けて押圧して一次転写ニップを形成している。また、転写装置150は、トナーの帯電極性とは逆極性の転写バイアスを中間転写ローラ151に印加する図示しない電源等を備えており、プリント時には中間転写ローラ151を図中矢印方向に回転移動させる。一次転写ニップには、転写バイアスが印加される中間転写ローラ151と感光体ドラム101の表面との電位差によって転写電界が形成される。感光体ドラム101の回転に伴って一次転写ニップに進入したトナー像は、この転写電界やニップ圧の作用を受けて中間転写ローラ151上に一次転写される。
このようにして一次転写されたトナー像は、中間転写ローラ151と二次転写ローラ155とによって形成される二次転写ニップや転写電界によって、不図示の記録媒体搬送部材によって搬送された記録紙Pに二次転写される。トナー像が転写された記録紙Pは、後述する定着装置190で軟化剤を含む定着剤としての定着液が供給され定着せしめられる。トナー像が定着した記録紙Pは、定着装置190から排紙経路を経て機外へと排出される。
一次転写ニップを通過した感光体ドラム101の表面は、除電ランプ170により残留電荷が除電される。除電ランプ170により除電された感光体ドラム101の表面は、ドラムクリーニング装置160のクリーニングブレードにより、残留している液体現像剤が掻き取り除去される。この除去により、感光体ドラム101の表面は、初期状態となり、次の作像を実現することが可能になる。
現像装置140は、キャリア液として50mPa・sの粘度のジメチルポリシロキサンオイル中にトナーが分散された液体現像剤を用いて、感光体ドラム101表面上の静電潜像をトナー像に可視像化する。この現像剤の粘度及びトナー固形分率の範囲としては、例えば粘度が50〜5,000mPa・s、トナー固形分率が5〜40%のものを用いる。また、キャリア液としては、シリコーンオイル、ノルマルパラフィン、IsoparV(商品名:エクソンモービル社製)、植物油、鉱物油等の絶縁性が高いものを使用する。揮発性、不揮発性については、目的に合わせて選択することができる。
有色粒子であるトナーは、主に、スチレンアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系等の樹脂と、有色微粒子である着色顔料(ジスアゾイエロー、キナクリドン、銅フタロシアニン、カーボンブラック等)とからなり、さらに電荷制御剤及び分散剤が配合されてもよい。その平均粒径は、約3μmに調整されているが、サブミクロンから6μm程度まで目的に合わせて選択してもよい。
二次転写ニップを通過しトナー画像の転写を受けた記録紙Pは、定着装置190へ搬送され、軟化剤を希釈液で希釈した定着液193が塗布され、定着された後に機外へと排出される。また、定着液193は、液体成分に難溶性を有する軟化剤をこの液体成分に分散させたものにより用いてもよい。以下、軟化剤を分散させる分散剤である液体成分を分散液と呼ぶ。
液体現像剤のトナー用軟化剤としても、実施形態1の上記乾式トナーに用いた脂肪酸エステルを用いることができる。液体現像剤のトナー用軟化剤の希釈液(あるいは分散液)としては、キャリア液と同じもの、若しくはキャリア液と親和性のあるものを用いることが望ましい。
ただし、水は、安全性の点で好ましいが、液体現像剤のキャリア液と親和性が悪いので、液体現像剤の場合には不適であることが多い。そこで、キャリア液と同じもの若しくは親和性のあるものを用いることで、希釈液(あるいは分散液)とキャリア液とが混ざりやすく、定着液中の軟化剤が液体現像剤中のトナーの樹脂粒子に到達するまでの時間を短縮できるので、定着速度の高速化を図ることが可能となる。
さらに、定着液193は、トナー粒子間に存在するキャリア液を流し出す働きも有するため、トナー粒子同士の結着を促進する。よって、その軟化時間を短縮でき、キャリア液が除去されないまま熱定着される場合に比べて、定着性も向上することとなる。
以上、樹脂を含有するトナー像を記録媒体に定着させる定着方法において、樹脂に付着させることで、トナーに含有される樹脂のDSC曲線を測定したときの、樹脂の融解に必要な熱量を下げるような軟化剤を用いることにより、樹脂を軟化させられる物質として選択できる。
また、軟化剤を付着させたトナーのDSC曲線を測定した際、トナーに含有される剤で、樹脂の融解に必要な熱量がほとんどゼロとなるような量の軟化剤を樹脂粒子に付着させることで、軟化剤の量が十分になり、定着性の良好な画像が得られる。
また、軟化剤を付着させたトナーのDSC曲線を測定した際、トナーに含有される剤で、樹脂の融解に必要な熱量がほとんどゼロとなるような量の中でも最も少量な軟化剤を樹脂粒子に付着させることで、軟化剤の量が適正な量となり、定着性の良好な画像が得られる。
また、軟化剤を希釈して定着液に用いる場合、希釈剤として、トナーに含有される剤で、樹脂の融解に必要な熱量を減少させない物質を用いることで、軟化剤の量が規定しやすくなり、定着性の良好な画像が得られる。
なお、上述する実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
本発明の実施形態に係る画像形成装置の要部の概略構成を示した図である。 本発明の実施形態に係る画像形成装置における画像形成ユニットの概略構成を示した図である。 本発明の実施形態に係る画像形成装置における定着装置の概略構成を示した図である。 本発明の実施形態に係る画像形成装置における定着装置の概略構成を示した図である。 本発明の実施形態において、トナーに定着液を付着させたときの、定着液とトナーとの経時的な状態変化を示した図である。 本発明の実施形態において、示差走査熱量計を用いた融点やガラス転移点の測定結果を示したグラフである。 本発明の実施形態において、示差走査熱量計を用いた融点やガラス転移点の測定結果を示したグラフである。 本発明の実施形態において、軟化剤の量を変えたときの樹脂の融点での吸熱量の変化を示したグラフである。 本発明の実施形態において、樹脂の融点での吸熱量とスミア値との関係を示したグラフである。 本発明の実施形態に係る画像形成装置の要部の概略構成を示した図である。
符号の説明
11 中間転写ベルト
15 画像形成ユニット
16 感光体ドラム
17 二次転写装置
22,36,46,51 記録媒体(記録紙)
24 帯電装置
25 現像装置
26 クリーニング装置
27 除電装置
28 一次転写装置
30 定着装置
31 塗布ローラ
32 定着液塗布パッド
33,42 搬送パイプ
34,43 定着液充填タンク
35 加圧ローラ
37,48,52 未定着トナー
38,50 定着トナー
41 スプレーガン
44 紙搬送ローラ
45 平滑化ローラ
47,53 定着液
49,54 軟化したトナー層

Claims (11)

  1. 樹脂を含有する現像剤が転写された記録媒体上のトナー像に対して、前記樹脂を溶解又は膨潤させる軟化剤が含まれる定着液を付着し、前記現像剤を前記記録媒体に定着させる定着方法であって、
    前記定着液は、示差走査熱量測定にて測定される熱量で、前記樹脂の溶解又は膨潤に必要な熱量を下げる働きを有する物質を含有して構成される前記軟化剤が含まれることを特徴とする定着方法。
  2. 前記定着液は、前記溶解又は膨潤に必要な熱量を略ゼロとするための量の前記物質を含有する前記軟化剤が含まれることを特徴とする請求項1に記載の定着方法。
  3. 前記定着液は、前記略ゼロとするための量のうち、最も少ない量の前記物質を含有する前記軟化剤が含まれることを特徴とする請求項2に記載の定着方法。
  4. 前記定着液は、前記樹脂の溶解又は膨潤に影響しない物質を含有する希釈剤を含んで構成されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の定着方法。
  5. 樹脂を含有する現像剤が転写された記録媒体上のトナー像に対して、前記樹脂を溶解又は膨潤させる軟化剤が含まれる定着液を付着する定着液付着手段を備える定着装置であって、
    前記定着液付着手段は、示差走査熱量測定にて測定される熱量で、前記樹脂の溶解又は膨潤に必要な熱量を下げる働きを有する物質を含有して構成される前記軟化剤が含まれる前記定着液を付着することを特徴とする定着装置。
  6. 前記定着液付着手段は、前記溶解又は膨潤に必要な熱量を略ゼロとするための量の前記物質を含有する前記軟化剤が含まれる前記定着液を付着することを特徴とする請求項5に記載の定着装置。
  7. 前記定着液付着手段は、前記略ゼロとするための量のうち、最も少ない量の前記物質を含有する前記軟化剤が含まれる前記定着液を付着することを特徴とする請求項6に記載の定着装置。
  8. 前記定着液付着手段は、前記樹脂の溶解又は膨潤に影響しない物質を含有する希釈剤を含んで構成される前記定着液を付着することを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載の定着装置。
  9. 前記定着液付着手段は、前記定着液が付着したトナー像を加圧する加圧手段に対向して設けられたローラ状の部材からなり、前記加圧手段との接触部において前記定着液を前記記録媒体上のトナー像に対して付着することを特徴とする請求項5から8のいずれか1項に記載の定着装置。
  10. 前記定着液付着手段は、非接触の液滴飛翔手段を備え、前記液滴飛翔手段により前記定着液を前記記録媒体上のトナー像に対して付着することを特徴とする請求項5から8のいずれか1項に記載の定着装置。
  11. 像担持体上の静電潜像へ樹脂を含有する現像剤によりトナー像を現像する現像手段と、
    前記現像手段により現像されたトナー像を記録媒体へ転写する転写手段と、
    請求項5から10のいずれか1項に記載の定着装置とを備えることを特徴とする画像形成装置。
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