しかしながら、上記従来技術では、複数の装置へ設定データを一括送信することはできるものの、設定データの送信が必要な装置と設定データの送信が不要な装置とが混在している場合、設定データの送信が必要な装置を利用者が選択した上で、設定データを送信せざるを得なかった。
そのため、例えば、設定データの送信を行う必要がある装置と必要がない装置、どちらもが多数存在するような場合、設定データの送信を行う必要がある装置のみを選択するような作業は、利用者にとってきわめて煩わしい作業であった。また、利用者が誤選択を行ってしまう可能性もあるため、誤って不適切な選択を行ってしまった場合には、設定データの送信を行う必要がある装置に設定データが送信されなかったり、逆に、設定データの送信を行う必要がない装置に設定データが送信されたりするおそれがあった。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、複数のデバイスに対して設定データの一括送信を行う際、設定データの送信が必要なデバイスを利用者が選択しなくてもよい設定データ伝送システムと、そのような設定データ伝送システムを構成するのに好適な設定データ伝送装置、デバイス、および設定データ伝送プログラムを提供することにある。
以下、本発明において採用した特徴的構成について説明する。
本発明の設定データ伝送システムは、ネットワークを構成するノードとして、単一の情報処理ノードまたは複数の情報処理ノードからなる情報処理ノード群のいずれかと、複数のデバイスとを備えてなるシステムであり、前記単一の情報処理ノードまたは前記情報処理ノード群が、前記複数のデバイスに一括して設定データを伝送可能な設定データ伝送処理を実行するように構成されている設定データ伝送システムであって、前記単一の情報処理ノードまたは前記情報処理ノード群は、前記複数のデバイスを対象に、各デバイスがあらかじめ定められた設定対象要件を満たすか否かを確認する設定対象要件確認手段と、前記設定対象要件確認手段によって前記設定対象要件を満たすことが確認されたデバイスを、設定対象デバイスとして選択する設定対象デバイス選択手段と、前記設定対象デバイスに対して伝送しようとする設定データを決定する設定データ決定手段と、前記設定データ決定手段によって決定された前記設定データを、前記設定対象デバイス選択手段によって選択された前記設定対象デバイスに一括して伝送する設定データ伝送手段とを備えることを特徴とする。
この設定データ伝送システムは、ネットワークを構成するノードとして、単一の情報処理ノードまたは複数の情報処理ノードからなる情報処理ノード群のいずれかと、複数のデバイスとを備えてなる。前記単一の情報処理ノードまたは前記情報処理ノード群は、複数のデバイスに一括して設定データを伝送可能な設定データ伝送処理を実行可能な機器、例えばコンピュータによって構成される。ただし、これらの情報処理ノードを構成する機器は、上記設定データ伝送処理に関連する処理のみを実行可能な専用の機器であってもよいし、上記設定データ伝送処理に関連する処理に加え、上記設定データ伝送処理には関連しない処理をも実行可能な汎用の機器であってもよい。
単一の情報処理ノードが設定データ伝送処理を実行する場合、設定データ伝送処理を実行するために採用した上記各手段は、すべて単一の情報処理ノードが備え、単一の情報処理ノードが集中処理にて設定データ伝送処理を実行することになる。一方、情報処理ノード群が設定データ伝送処理を実行する場合、設定データ伝送処理を実行するために採用した上記各手段は、情報処理ノード群に含まれる複数の情報処理ノードに分散配置される。そして、ある情報処理ノードに配された手段の出力データが別の情報処理ノードに配された手段の入力データとなるのであれば、ある情報処理ノードで得られた出力データをネットワークを介して別の情報処理ノードへと伝送して、情報処理ノード群全体が、集中処理を行う単一の情報処理ノードと同等に機能するように構成する。これにより、情報処理ノード群が分散処理にて設定データ伝送処理を実行することになる。
以下、前記単一の情報処理ノードまたは前記情報処理ノード群が備える各手段について説明する。
設定対象要件確認手段は、複数のデバイスを対象に、各デバイスが設定対象要件を満たすか否かを確認する。設定対象要件の具体例については後から詳述するが、この設定対象要件を満たすか否かにより、設定対象となるデバイスであるのか否かの判断が行われることになる。そして、設定対象要件確認手段によって設定対象要件を満たすことが確認されたデバイスを、設定対象デバイス選択手段は設定対象デバイスとして選択する。
設定データ決定手段は、設定対象デバイスに対して伝送しようとする設定データを決定する。設定データの決定方法は任意であるが、例えば、利用者が手入力した値を設定データと決定するといった方法でよく、この場合、あらかじめ設定データとなり得る初期値を用意しておいて、必要な場合のみ利用者に初期値を手入力で手直しさせ、初期値または手直しした値を設定データと決定するといった方法にしてもよい。また、設定データとなり得る複数の候補をあらかじめ用意しておいて、その複数の候補の中から1つ以上を利用者に選択させて、選択された候補を設定データと決定するといった方法でもよい。あるいは、設定データとしていくつかの項目がある場合、特定の項目については他の項目との関係で条件判定を行って最適な値や自己矛盾のない値を決定してもよい。設定データとしていくつかの項目がある場合、上記のような決定方法を任意に混在させても構わない。
こうして設定データ決定手段によって決定された設定データを、設定データ伝送手段が、設定対象デバイス選択手段によって選択された設定対象デバイスに一括して伝送する。
このように構成された設定データ伝送システムによれば、設定対象要件確認手段によって設定対象要件を満たすことが確認されたデバイスを、設定対象デバイス選択手段が設定対象デバイスとして選択するので、利用者は、設定対象デバイスを選択する作業を行わなくてもよい。
したがって、例えば、設定データの送信を行う必要があるデバイスと必要がないデバイス、どちらもが多数存在するような場合でも、利用者は、設定データの送信を行う必要があるデバイスのみを選択するような作業を行わずに済み、それ故、利用者が誤選択を行ってしまうおそれもない。
なお、本発明の設定データ伝送システムは、さらに次のような構成を備えていても望ましい。
まず、本発明の設定データ伝送システムにおいて、前記設定対象要件確認手段は、前記デバイスが初期状態であることを前記設定対象要件として、各デバイスが前記設定対象要件を満たすか否かを確認する手段であると望ましい。
デバイスが初期状態であることは、様々な方法によって確認可能であると考えられるが、例えば、ネットワークアドレスが未設定(初期値のまま)であること、初期状態であることを示すフラグがオンになっていること、印刷系デバイスであれば印刷枚数がゼロであることなどを条件に、初期状態であることを確認できる。
このような設定データ伝送システムであれば、例えば、初期状態ではない既設のデバイスが存在するネットワークに、初期状態にある新規なデバイスを増設したような場合、その増設されたデバイスだけが、設定対象要件確認手段によって設定対象要件を満たすデバイスであると確認されるので、増設されたデバイスだけを対象にして設定データの一括送信を行うことができる。また、初期状態ではない既設のデバイスであっても、その設定を一旦初期化してやれば、設定対象要件確認手段によって設定対象要件を満たすデバイスであると確認されるので、そのデバイスだけを対象にして設定データの一括送信を行うことができる。
また、本発明の設定データ伝送システムにおいて、前記設定対象要件確認手段は、特定のネットワークアドレスが前記デバイスに割り当てられていることを前記設定対象要件として、各デバイスが前記設定対象要件を満たすか否かを確認する手段であってもよい。
このような設定データ伝送システムであれば、特定のネットワークアドレスが割り当てられたデバイスだけが、設定対象要件確認手段によって設定対象要件を満たすデバイスであると確認されるので、特定のネットワークアドレスが割り当てられたデバイスだけを対象にして設定データの一括送信を行うことができる。
特に、本発明の設定データ伝送システムにおいて、デバイスにおける初期値に相当する特定のネットワークアドレスが決まっている場合、前記設定対象要件確認手段は、前記デバイスにおける初期値に相当する前記特定のネットワークアドレスが前記デバイスに割り当てられていることを前記設定対象要件として、各デバイスが前記設定対象要件を満たすか否かを確認する手段であると望ましい。このようにすれば、デバイスにおける初期値に相当するアドレスがデバイスに割り当てられている場合に、該当するデバイスに設定データを伝送することができる。
また、本発明の設定データ伝送システムにおいて、利用者やネットワーク上のDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバが特定のネットワークアドレスをデバイスに割り当てる場合、前記設定対象要件確認手段は、利用者によって指定された前記特定のネットワークアドレスが前記デバイスに割り当てられていることを前記設定対象要件として、各デバイスが前記設定対象要件を満たすか否かを確認する手段であると望ましい。このようにすれば、利用者やDHCPサーバが割り当てたアドレスを、利用者が指定することにより、該当するデバイスに設定データを伝送することができる。
さらに、本発明の設定データ伝送システムにおいて、前記デバイスは、前記情報処理ノードによる一括設定を有効とするか否かを任意に設定可能に構成されるとともに、その設定内容を示す一括設定可否情報を前記情報処理ノードに伝達可能な情報伝達手段を備えていてもよく、この場合、前記設定対象要件確認手段は、前記一括設定可否情報によって前記情報処理ノードによる一括設定を有効とする旨が伝達されたことを前記設定対象要件として、各デバイスが前記設定対象要件を満たすか否かを確認する手段であると望ましい。
このような設定データ伝送システムであれば、デバイス側において情報処理ノードによる一括設定を有効とする設定を行っておくことにより、その設定内容を示す一括設定可否情報が情報処理ノードに伝達され、そのような設定がなされているデバイスだけが、設定対象要件確認手段によって設定対象要件を満たすデバイスであると確認されるので、一括設定を有効とする設定がなされたデバイスだけを対象にして設定データの一括送信を行うことができる。
なお、本発明の設定データ伝送システムにおいて、情報処理ノードによる一括設定を有効とするか否かを任意に設定可能に構成されたデバイスを利用する場合、より具体的な構成としては、例えば、前記デバイスは、前記一括設定可否情報を記憶する情報記憶手段を備えており、前記情報伝達手段は、前記情報処理ノードからの要求を受けたときに、前記情報記憶手段から前記一括設定可否情報を読み出して、前記情報処理ノードに伝達する手段であることを特徴とするシステムを挙げることができる。この場合、上記情報記憶手段の記憶内容は、デバイス側でのパネル操作等により更新可能となっていてもよいし、他の機器での操作により、ネットワーク越しに更新可能となっていてもよい。
また、デバイスにスイッチを設けて、そのスイッチのオン/オフと一括設定を有効とするか否かとを対応づけることで、スイッチの状態を示す情報を一括設定可否情報として情報処理ノードに伝達する構成としてもよい。
さらに、本発明の設定データ伝送システムにおいて、情報処理ノードによる一括設定を有効とするか否かを任意に設定可能に構成されたデバイスを利用する場合、前記デバイスは、前記情報処理ノードによる一括設定を有効とする旨の設定がなされている状態において、前記情報処理ノードによる一括設定がなされたら、前記情報処理ノードによる一括設定を無効とする旨の設定に変更する設定変更手段を備えていてもよい。
このような設定データ伝送システムであれば、設定データを伝送する際には一括設定を有効とする旨の設定になっていても、情報処理ノードによる一括設定がなされた後は、設定変更手段により一括設定を無効とする旨の設定に変更されるので、例えば、常時は一括設定を無効とする旨の設定にておきたい場合に、設定データを伝送するため一時的に一括設定を有効とする旨の設定に変更したとしても、情報処理ノードによる一括設定がなされた後は、一括設定を無効とする旨の設定に変更する操作を利用者が実施しなくてもよい。
なお、上記設定変更手段は、情報処理ノードによる一括設定がなされたら、情報処理ノードによる一括設定を無効とする旨の設定に変更する手段であるが、さらに、情報処理ノードによる一括設定がなされなくても、あらかじめ定められたタイムアウト時間が経過したら、情報処理ノードによる一括設定を無効とする旨の設定に変更する機能を併せ持つ手段であってもよい。
また、このような設定変更手段を備えている場合、設定変更手段が情報処理ノードによる一括設定を無効とする旨の設定に変更する処理を実行するか否かを、利用者が任意に選択できるように構成されていてもよい。
また、本発明の設定データ伝送システムにおいて、情報処理ノードによる一括設定を有効とするか否かを任意に設定可能に構成されたデバイスを利用する場合、前記デバイスは、前記情報処理ノードによる一括設定を有効とする旨の設定がなされている状態にある場合に、前記情報処理ノードによる一括設定に関連する処理以外の処理を禁止する処理禁止手段を備えると望ましい。
このような設定データ伝送システムであれば、デバイスにおいて情報処理ノードによる一括設定を有効とする旨の設定がなされている状態にある場合、処理禁止手段が、情報処理ノードによる一括設定に関連する処理以外の処理を禁止するので、情報処理ノードによる一括設定が完了していない状態で他の装置から何らかの処理を要求されたとしても、その処理は実行されない。したがって、「情報処理ノードによる一括設定が完了していない状態であるにもかかわらず、他の装置から要求された処理を実行したことが原因で、デバイスが不正に作動する」といった問題を招くおそれがない。
また、本発明の設定データ伝送システムにおいて、前記単一の情報処理ノードまたは前記情報処理ノード群は、利用者からの指示に従って、前記複数のデバイスの中から1台の代表デバイスを選択する代表デバイス選択手段と、前記設定対象デバイス選択手段によって選択された前記設定対象デバイスが、前記代表デバイス選択手段によって選択された前記代表デバイスと互換機種か否かを判定する機種判定手段とを備えており、前記設定データ伝送手段は、前記設定対象デバイス選択手段によって選択された前記設定対象デバイスで、且つ、前記機種判定手段によって前記代表デバイスと互換機種であると判定された前記設定対象デバイスに、前記設定データ決定手段によって決定された前記設定データを一括して伝送する手段であると望ましい。
この設定データ伝送システムにおいて、機種判定手段は、設定対象デバイス選択手段によって選択された設定対象デバイスが、代表デバイス選択手段によって選択された代表デバイスと互換機種か否かを判定し、設定データ伝送手段は、設定対象デバイス選択手段によって選択された設定対象デバイスで、且つ、機種判定手段によって代表デバイスと互換機種であると判定された設定対象デバイスに対して、設定データ決定手段によって決定された設定データを一括して伝送する。
したがって、この設定データ伝送システムによれば、設定対象デバイスが代表デバイスと互換機種である場合に設定データを伝送するので、設定対象デバイスが代表デバイスと異機種であるにもかかわらず設定データが送信されてしまうことはない。より具体的には、例えば、誤ってプリンタに対してスキャナの設定を送信したり、誤ってモノクロプリンタに対してカラープリンタ専用の設定を送信したりすることを、未然に防ぐことができる。
なお、本発明でいう互換機種とは、同様の機能を有するとともに同様の設定項目を有するデバイスを意味する。よって、全くの同一機種はもちろんのこと、デザイン、サイズ、その他設定項目に関連しない細部の仕様が異なるデバイスであっても、それらが同様の機能を有するとともに同様の設定項目を有するデバイスであれば、本発明でいう互換機種に該当する。
また、前記代表デバイス選択手段を備える場合、本発明の設定データ伝送システムにおいて、前記単一の情報処理ノードまたは前記情報処理ノード群は、前記代表デバイス選択手段によって選択された前記代表デバイスから、前記代表デバイスに対して既に設定されている設定データを取得して、取得した設定データを代表設定データとする代表設定データ取得手段を備えていてもよく、この場合、前記設定データ決定手段は、前記代表設定データ取得手段によって取得された前記代表設定データを、そのまま前記設定データと決定するか、利用者からの指示に従って一部を変更して前記設定データと決定する手段であると望ましい。
この設定データ伝送システムにおいて、代表設定データ取得手段は、代表デバイス選択手段によって選択された代表デバイスから代表設定データを取得し、設定データ決定手段は、代表設定データ取得手段によって取得された代表設定データを、そのまま前記設定データと決定するか、利用者からの指示に従って一部を変更して前記設定データと決定する。
したがって、この設定データ伝送システムによれば、代表デバイスと同じ設定または代表デバイスの設定の一部を変更した設定データを設定対象デバイスに対して伝送したい場合に、そのような設定を手入力などで構成しなくても済むので、利便性が高い。
また、本発明の設定データ伝送システムにおいて、前記デバイスは、前記デバイスの作動に伴って増加方向または減少方向に変化する数値データが記憶される数値データ記憶手段を備えており、前記設定対象要件確認手段は、前記数値データ記憶手段に記憶された数値データが、あらかじめ定められた閾値を超えるほど増加方向または減少方向へ変化していないことを前記設定対象要件として、各デバイスが前記設定対象要件を満たすか否かを確認する手段であると望ましい。
この設定データ伝送システムにおいて、数値データ記憶手段は、デバイスの作動に伴って増加方向または減少方向に変化する数値データを記憶する手段である。デバイスの作動に伴って増加方向に変化する数値データとしては、例えば、デバイスの電源投入回数、デバイスへのアクセス回数、デバイスの作動に伴って消耗する消耗品の補充回数ないし交換回数などを考えることができ、さらに具体的な例として、印刷系デバイスであれば、印刷回数、印刷枚数などを考えることができる。また、デバイスの作動に伴って減少方向に変化する数値データとしては、例えば、メンテナンスが必要となるまでの残り時間(印刷系デバイスであれば、ドラム交換までの残り時間など)を考えることができる。
ネットワークに新たに導入されたデバイスは、通常、作動していないか、作動していてもその作動回数はネットワークに導入されてから相応の時間が経過したデバイスに比べて格段に少ないはずなので、適切な閾値をあらかじめ定めておけば、上記のような数値データが、その閾値を超えるほど増加方向または減少方向へ変化しているか否かにより、ネットワークに導入されてから相応の時間が経過したデバイスなのか、ネットワークに新たに導入されたデバイスなのかを判定できる。
したがって、このような設定データ伝送システムであれば、例えば、既設のデバイスが存在するネットワークに新規なデバイスを増設したような場合、その増設されたデバイスだけが、設定対象要件確認手段によって設定対象要件を満たすデバイスであると確認されるので、増設されたデバイスだけを対象にして設定データの一括送信を行うことができる。
加えて、本発明の設定データ伝送システムにおいて、前記設定対象デバイス選択手段は、前記設定対象要件確認手段によって前記設定対象要件を満たすことが確認されたデバイスに加え、利用者が任意に指定したデバイスを、前記設定対象デバイスとして選択する手段であると望ましい。
このような設定データ伝送システムであれば、設定対象要件確認手段によって設定対象要件を満たすことが確認されなかったデバイスについても、利用者の判断で任意に設定対象デバイスとして選択することができる。
次に、本発明の設定データ伝送装置について説明する。
本発明の設定データ伝送装置は、ネットワークに接続された複数のデバイスを対象にして、前記複数のデバイスに一括して設定データを伝送可能な設定データ伝送装置であって、前記複数のデバイスを対象に、各デバイスがあらかじめ定められた設定対象要件を満たすか否かを確認する設定対象要件確認手段と、前記設定対象要件確認手段によって前記設定対象要件を満たすことが確認されたデバイスを、設定対象デバイスとして選択する設定対象デバイス選択手段と、前記設定対象デバイスに対して伝送しようとする設定データを決定する設定データ決定手段と、前記設定データ決定手段によって決定された前記設定データを、前記設定対象デバイス選択手段によって選択された前記設定対象デバイスに一括して伝送する設定データ伝送手段とを備えることを特徴とする。
この設定データ伝送装置は、先に説明した設定データ伝送システムにおいて前記単一の情報処理ノードまたは前記情報処理ノード群が備えていた各手段を備えている。したがって、この設定データ伝送装置は、前記単一の情報処理ノードに相当する装置として利用でき、複数のデバイスとともに、先に説明した設定データ伝送システムを構成することができる。
なお、この設定データ伝送装置は、上述の通り、先に説明した設定データ伝送システムにおける単一の情報処理ノードと同等な装置となるので、この設定データ伝送装置においても、前記単一の情報処理ノードが備え得る望ましい構成(請求項2〜請求項13に記載の各構成)を備えることができる。
次に、本発明のデバイスについて説明する。
本発明のデバイスは、請求項6に記載の設定データ伝送システムを構成可能なデバイスであって、前記情報処理ノードによる一括設定を有効とするか否かを任意に設定可能に構成されるとともに、その設定内容を示す一括設定可否情報を前記情報処理ノードに伝達可能な情報伝達手段を備えていることを特徴とする。
このデバイスは、先に説明した請求項6に記載の設定データ伝送システムにおいて前記デバイスが備えていた各手段を備えている。したがって、このデバイスは、前記単一の情報処理ノードまたは前記情報処理ノード群とともに、先に説明した請求項6に記載の設定データ伝送システムを構成することができる。
なお、このデバイスは、上述の通り、先に説明した請求項6に記載の設定データ伝送システムにおけるデバイスに相当するので、このデバイスにおいても、請求項7〜請求項9に記載の設定データ伝送システムにおけるデバイスと同様な、望ましい構成を備えることができる。
次に、本発明の設定データ伝送プログラムについて説明する。
本発明の設定データ伝送プログラムは、ネットワークを介して接続されたデバイスを対象にして、前記複数のデバイスに一括して設定データを伝送可能な設定データ伝送処理を、コンピュータに実行させるための設定データ伝送プログラムであって、前記複数のデバイスを対象に、各デバイスがあらかじめ定められた設定対象要件を満たすか否かを確認する設定対象要件確認手順と、前記設定対象要件確認手順において前記設定対象要件を満たすことが確認されたデバイスを、設定対象デバイスとして選択する設定対象デバイス選択手順と、前記設定対象デバイスに対して伝送しようとする設定データを決定する設定データ決定手順と、前記設定データ決定手順において決定された前記設定データを、前記設定対象デバイス選択手順において選択された前記設定対象デバイスに一括して伝送する設定データ伝送手順とをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
この設定データ伝送プログラムに従った処理をコンピュータが実行すると、コンピュータは、まず、設定対象要件確認手順において、複数のデバイスを対象に、各デバイスが設定対象要件を満たすか否かを確認する。この設定対象要件を満たすか否かにより、設定対象となるデバイスであるのか否かの判断が行われることになる。そして、設定対象要件確認手順において設定対象要件を満たすことが確認されたデバイスを、設定対象デバイス選択手順において設定対象デバイスとして選択する。
また、設定データ決定手順において、設定対象デバイスに対して伝送しようとする設定データを決定する。設定データの決定方法は任意であるが、例えば、利用者が手入力した値を設定データと決定するといった方法でよく、この場合、あらかじめ設定データとなり得る初期値を用意しておいて、必要な場合のみ利用者に初期値を手入力で手直しさせ、初期値または手直しした値を設定データと決定するといった方法にしてもよい。また、設定データとなり得る複数の候補をあらかじめ用意しておいて、その複数の候補の中から1つ以上を利用者に選択させて、選択された候補を設定データと決定するといった方法でもよい。あるいは、設定データとしていくつかの項目がある場合、特定の項目については他の項目との関係で条件判定を行って最適な値や自己矛盾のない値を決定してもよい。設定データとしていくつかの項目がある場合、上記のような決定方法を任意に混在させても構わない。
こうして設定データ決定手順において決定された設定データを、設定データ伝送手順では、設定対象デバイス選択手順において選択された設定対象デバイスに一括して伝送する。
このような設定データ伝送プログラムに従った処理をコンピュータに実行させれば、設定対象要件確認手順において設定対象要件を満たすことが確認されたデバイスを、設定対象デバイス選択手順において設定対象デバイスとして選択するので、利用者は、設定対象デバイスを選択する作業を行わなくてもよい。
したがって、例えば、設定データの送信を行う必要がある装置と必要がない装置、どちらもが多数存在するような場合でも、利用者は、設定データの送信を行う必要がある装置のみを選択するような作業を行わずに済み、それ故、利用者が誤選択を行ってしまうおそれもない。
なお、本発明の設定データ伝送プログラムは、さらに次のような構成を備えていても望ましい。
まず、本発明の設定データ伝送プログラムにおいて、前記設定対象要件確認手順は、前記デバイスが初期状態であることを前記設定対象要件として、各デバイスが前記設定対象要件を満たすか否かを確認する手順であると望ましい。
デバイスが初期状態であることは、様々な方法によって確認可能であると考えられるが、例えば、ネットワークアドレスが未設定(初期値のまま)であること、初期状態であることを示すフラグがオンになっていること、印刷系デバイスであれば印刷枚数がゼロであることなどを条件に、初期状態であることを確認できる。
このような設定データ伝送プログラムに従った処理をコンピュータに実行させれば、例えば、初期状態ではない既設のデバイスが存在するネットワークに、初期状態にある新規なデバイスを増設したような場合、その増設されたデバイスだけが、設定対象要件確認手順において設定対象要件を満たすデバイスであると確認されるので、増設されたデバイスだけを対象にして設定データの一括送信を行うことができる。
また、本発明の設定データ伝送プログラムにおいて、前記設定対象要件確認手順は、特定のネットワークアドレスが前記デバイスに割り当てられていることを前記設定対象要件として、各デバイスが前記設定対象要件を満たすか否かを確認する手順であってもよい。
このような設定データ伝送プログラムに従った処理をコンピュータに実行させれば、特定のネットワークアドレスが割り当てられたデバイスだけが、設定対象要件確認手順において設定対象要件を満たすデバイスであると確認されるので、特定のネットワークアドレスが割り当てられたデバイスだけを対象にして設定データの一括送信を行うことができる。
特に、デバイスにおける初期値に相当する特定のネットワークアドレスが決まっている場合、本発明の設定データ伝送プログラムにおいて、前記設定対象要件確認手順は、前記デバイスにおける初期値に相当する前記特定のネットワークアドレスが前記デバイスに割り当てられていることを前記設定対象要件として、各デバイスが前記設定対象要件を満たすか否かを確認する手順であると望ましい。
また、利用者やネットワーク上のDHCPサーバが特定のネットワークアドレスをデバイスに割り当てる場合、本発明の設定データ伝送プログラムにおいて、前記設定対象要件確認手順は、利用者によって指定された前記特定のネットワークアドレスが前記デバイスに割り当てられていることを前記設定対象要件として、各デバイスが前記設定対象要件を満たすか否かを確認する手順であると望ましい。このようにすれば、利用者やDHCPサーバが割り当てるアドレスを利用者が指定することにより、該当するデバイスに設定データを伝送することができる。
さらに、前記デバイスは、前記情報処理ノードによる一括設定を有効とするか否かを任意に設定可能に構成されるとともに、その設定内容を示す一括設定可否情報を前記情報処理ノードに伝達可能な情報伝達手段を備えていてもよく、この場合、本発明の設定データ伝送プログラムにおいて、前記設定対象要件確認手順は、前記一括設定可否情報によって前記情報処理ノードによる一括設定を有効とする旨が伝達されたことを前記設定対象要件として、各デバイスが前記設定対象要件を満たすか否かを確認する手順であると望ましい。
このような設定データ伝送プログラムに従った処理をコンピュータに実行させれば、デバイス側において情報処理ノードによる一括設定を有効とする設定を行っておくことにより、その設定内容を示す一括設定可否情報が情報処理ノードに伝達され、そのような設定がなされているデバイスだけが、設定対象要件確認手順において設定対象要件を満たすデバイスであると確認されるので、一括設定を有効とする設定がなされたデバイスだけを対象にして設定データの一括送信を行うことができる。
また、本発明の設定データ伝送プログラムは、利用者からの指示に従って、前記複数のデバイスの中から1台の代表デバイスを選択する代表デバイス選択手順と、前記設定対象デバイス選択手順において選択された前記設定対象デバイスが、前記代表デバイス選択手順において選択された前記代表デバイスと互換機種か否かを判定する機種判定手順とを備えており、前記設定データ伝送手順は、前記設定対象デバイス選択手順において選択された前記設定対象デバイスで、且つ、前記機種判定手順において前記代表デバイスと互換機種であると判定された前記設定対象デバイスに、前記設定データ決定手順において決定された前記設定データを一括して伝送する手順であると望ましい。
この設定データ伝送プログラムに従った処理をコンピュータに実行させれば、機種判定手順においては、設定対象デバイス選択手順において選択された設定対象デバイスが、代表デバイス選択手順において選択された代表デバイスと互換機種か否かを判定し、設定データ伝送手順においては、設定対象デバイス選択手順において選択された設定対象デバイスで、且つ、機種判定手順において代表デバイスと互換機種であると判定された設定対象デバイスに対して、設定データ決定手順において決定された設定データを一括して伝送する。
したがって、この設定データ伝送プログラムに従った処理をコンピュータに実行させれば、設定対象デバイスが代表デバイスと互換機種である場合に設定データを伝送するので、設定対象デバイスが代表デバイスと異機種であるにもかかわらず設定データが送信されてしまうことはない。より具体的には、例えば、誤ってプリンタに対してスキャナの設定を送信したり、誤ってモノクロプリンタに対してカラープリンタ専用の設定を送信したりすることを、未然に防ぐことができる。
なお、本発明でいう互換機種とは、同様の機能を有するとともに同様の設定項目を有するデバイスを意味する。よって、全くの同一機種はもちろんのこと、デザイン、サイズ、その他設定項目に関連しない細部の仕様が異なるデバイスであっても、それらが同様の機能を有するとともに同様の設定項目を有するデバイスであれば、本発明でいう互換機種に該当する。
また、前記代表デバイス選択手順を設けた場合、本発明の設定データ伝送プログラムは、前記代表デバイス選択手順において選択された前記代表デバイスから、前記代表デバイスに対して既に設定されている設定データを取得して、取得した設定データを代表設定データとする代表設定データ取得手順を備えていてもよく、この場合、前記設定データ決定手順は、前記代表設定データ取得手順において取得された前記代表設定データを、そのまま前記設定データと決定するか、利用者からの指示に従って一部を変更して前記設定データと決定する手順であると望ましい。
この設定データ伝送プログラムに従った処理をコンピュータに実行させれば、代表設定データ取得手順においては、代表デバイス選択手順において選択された代表デバイスから代表設定データを取得し、設定データ決定手順においては、代表設定データ取得手順において取得された代表設定データを、そのまま前記設定データと決定するか、利用者からの指示に従って一部を変更して前記設定データと決定する。
したがって、この設定データ伝送プログラムに従った処理をコンピュータに実行させれば、代表デバイスと同じ設定または代表デバイスの設定の一部を変更した設定データを設定対象デバイスに対して伝送したい場合に、そのような設定を手入力などで構成しなくても済むので、利便性が高い。
また、前記デバイスが、前記デバイスの作動に伴って増加方向または減少方向に変化する数値データが記憶される数値データ記憶手順を備えている場合、本発明の設定データ伝送プログラムにおいて、前記設定対象要件確認手順は、前記数値データ記憶手順に記憶された数値データが、あらかじめ定められた閾値を超えるほど増加方向または減少方向へ変化していないことを前記設定対象要件として、各デバイスが前記設定対象要件を満たすか否かを確認する手順であると望ましい。
この設定データ伝送プログラムにおいて、数値データ記憶手順は、デバイスの作動に伴って増加方向または減少方向に変化する数値データを記憶する手順である。デバイスの作動に伴って増加方向に変化する数値データとしては、例えば、デバイスの電源投入回数、デバイスへのアクセス回数、印刷系デバイスであれば、印刷回数、印刷枚数などを考えることができる。また、デバイスの作動に伴って減少方向に変化する数値データとしては、例えば、メンテナンスが必要となるまでの残り時間(印刷系デバイスであれば、ドラム交換までの残り時間など)を考えることができる。
ネットワークに新たに導入されたデバイスは、通常、作動していないか、作動していてもその作動回数はネットワークに導入されてから相応の時間が経過したデバイスに比べて少ないはずなので、適切な閾値をあらかじめ定めておけば、上記のような数値データが、その閾値を超えるほど増加方向または減少方向へ変化しているか否かにより、ネットワークに導入されてから相応の時間が経過したデバイスなのか、ネットワークに新たに導入されたデバイスなのかを判定できる。
したがって、このような設定データ伝送プログラムに従った処理をコンピュータに実行させれば、例えば、既設のデバイスが存在するネットワークに新規なデバイスを増設したような場合、その増設されたデバイスだけが、設定対象要件確認手順において設定対象要件を満たすデバイスであると確認されるので、増設されたデバイスだけを対象にして設定データの一括送信を行うことができる。
加えて、本発明の設定データ伝送プログラムにおいて、前記設定対象デバイス選択手順は、前記設定対象要件確認手順において前記設定対象要件を満たすことが確認されたデバイスに加え、利用者が任意に指定したデバイスを、前記設定対象デバイスとして選択する手順であると望ましい。
このような設定データ伝送プログラムに従った処理をコンピュータに実行させれば、設定対象要件確認手順において設定対象要件を満たすことが確認されなかったデバイスについても、利用者の判断で任意に設定対象デバイスとして選択することができる。
なお、以上説明した設定データ伝送プログラムに従った処理をコンピュータに実行させれば、そのコンピュータを先に説明した設定データ伝送システムにおける単一の情報処理ノードとして機能させることができる。
次に、本発明の実施形態について一例を挙げて説明する。
図1は、本発明の設定データ伝送システムに相当する構成を含むネットワークシステムの概略構成図である。
このネットワークシステムは、複数のパーソナルコンピュータ(以下、PCと略称する)1,1’,1”と、ルータ2と、複数のプリンタ3,4,5と、これらの機器を含む複数のノードを相互に接続するLAN(Local Area Network)7とを備えてなる。
PC1,1’,1”は、本発明でいうコンピュータに相当し、PC1を例に挙げて内部構成を説明すると、周知の通り、CPU101、ROM102、RAM103、キーボードやマウス(ポインティングデバイス)などで構成される入力部105、表示部106、ハードディスクなどのストレージデバイス107、LAN7に接続するために利用されるネットワークI/F108等を備えている。また、これらのハードウェアを制御するため、PC1には、マルチタスク機能を有するOS(Operating System)が搭載されている。このようなOSの具体例としては、例えば、Windows(登録商標)、Linux(登録商標)、MacOS(登録商標)などを挙げることができる。これら各OSによって提供される各種機能は公知なので、ここでの詳細な説明は省略するが、以下の説明においては、PC1が、Windows(登録商標)によって提供される各種機能を有するとの前提で説明を続ける。PC1が備えるCPU101は、OSのマルチタスク機能により、複数のソフトウェアに基づく処理を時分割で並列に実行することができ、そのような処理の一つとして、後から詳述する設定データ伝送処理を実行するように構成されている。なお、PC1’,1”も、機能的にはPC1とほぼ同様に構成されているものなので、内部構成についての詳細な説明は省略する。
ルータ2は、ルータ2を介して接続された一方のネットワークから他方のネットワークへデータを中継する装置である。
プリンタ3〜5は、本発明でいうデバイスに相当し、プリンタ3を例に挙げて内部構成を説明すると、CPU301、ROM302、RAM303、NVRAM304(Non Volatile RAM)、各種メッセージ等を表示するための表示部306、記録媒体に対して画像を記録する印刷部307、LAN7に接続するために利用されるネットワークI/F308等を備えている。PC1において後述する設定データ伝送処理が実行された際には、PC1がプリンタ3〜5のいずれかから設定データを取得したり、PC1からプリンタ3〜5に対して設定データが伝送されたりする。
本実施形態において、PC1とプリンタ3〜5との間で設定データをやり取りする際には、簡易ネットワーク管理プロトコル(SNMP:Simple Network Management Protocol)が利用され、各プリンタ3〜5には、SNMPにおいて利用される管理情報ベース(MIB;Management Information Base)が設けられている(例えば、プリンタ3の場合は、NVRAM304内のMIB311)。PC1がプリンタ3〜5のいずれかから設定データを取得する際には、PC1がプリンタ3〜5に対してSNMPによるデータ取得要求を発行し、プリンタ3〜5は、PC1からのデータ取得要求に対する応答として、プリンタ3〜5内で管理しているMIB(例えば、プリンタ3の場合はMIB311)内に格納されている設定データをPC1に提供する。また、PC1がプリンタ3〜5のいずれかに対して設定データを送信する際には、PC1がプリンタ3〜5に対して設定データを含む、SNMPによるデータ設定要求を発行し、プリンタ3〜5は、PC1からのデータ設定要求に応じて、プリンタ3〜5内で管理しているMIB(例えば、プリンタ3の場合はMIB311)内に設定データを格納する。
次に、PC1が実行する処理について説明する。
まず、デバイス設定管理ツールのメイン処理について、図2に基づいて説明する。デバイス管理ツールは、PC1からデバイス(本実施形態ではプリンタ3〜5)を管理するために利用されるソフトウェアで、後述する設定データ伝送処理を開始したい場合、利用者は、まずPC1においてデバイス設定管理ツールを起動する。
このデバイス設定管理ツールを起動すると、PC1は、まず、ネット上のデバイスを検索し、結果を一覧表示する(S101)。より詳しくは、PC1は、ネットワーク上のデバイスに対し、SNMPを利用した問い合わせを行い、その問い合わせに対する応答を返したデバイスから、IPアドレス、MACアドレス、ノード名、ステータス、その他の情報を取得して、それらの情報をPC1の表示部106に表示する。これにより、PC1の表示部106には、図3に示すような、デバイス設定管理ツール初期画面11が表示される。このデバイス設定管理ツール初期画面11には、ネットワーク上で検出された印刷系デバイス(プリンタやMFP;本実施形態ではプリンタ3〜5など)が一覧表示される。
続いて、PC1は、マウスやキーボードによる入力その他を受け付ける状態なる(S103)。そして、S103の処理で何らかの入力操作がなされた場合、代表デバイスの選択が行われたか否かを判断する(S105)。このS105の処理では、利用者が、デバイス設定管理ツール初期画面11において、1つの印刷系デバイスを代表デバイスとして選択して、図4に示すように、デバイス設定管理ツール初期画面11内にあるメニューバー上で「Control」をクリック(=ポインティングデバイスを使って「Control」をポイントして、ポインティングデバイスが有するボタンを押す操作;以下、単にクリックという)し、そのクリックに伴って表示されるプルダウンメニューの中で、「Configure Printer」をクリックする操作を行っていた場合に、代表デバイスの選択が行われたと判断し(S105:YES)、設定ダイアログ処理を実行してから(S107)、S103の処理へと戻る。なお、この設定ダイアログ処理の詳細については、後から詳述する。
一方、S105の処理において、代表デバイスの選択が行われなかったと判断した場合(S105:NO)、終了指示がなされたか否かを判断し(S109)、終了指示がなされていなければ(S109:NO)、さらにその他の処理を実行してから(S111)、S103の処理へと戻る。その他の処理は、デバイス設定管理ツールが有する各種機能に対応する処理であるが、本発明の要部とは直接的な関連がない処理となるので詳細な説明については省略する。なお、S109の処理において、終了指示がなされていたと判断した場合(S109:YES)、デバイス設定管理ツールのメイン処理を終了する。
次に、上記S107の処理に相当する設定ダイアログ処理について、図5に基づいて説明する。
この設定ダイアログ処理を開始すると、PC1は、代表デバイスに対して設定値を問い合わせて、設定ダイアログを表示する(S131)。より詳しくは、PC1は、代表デバイスに対し、SNMPを利用した問い合わせを行い、その問い合わせに対する応答から、各種設定値、フラグなどの情報を取得して、それらの情報をPC1の表示部106に表示する。これにより、PC1の表示部106には、設定ダイアログとして、図6に示すような、プリンタ設定機能初期画面13が表示される。このプリンタ設定機能初期画面13は、印刷系デバイス(プリンタやMFP)の設定を行うための画面で、プリンタ設定機能初期画面13内には、デバイス設定管理ツール初期画面11において選択した1つの印刷系デバイスに関し、現在設定されている設定内容などが一覧表示される。
続いて、PC1は、マウスやキーボードによる入力その他を受け付ける状態なる(S133)。そして、S133の処理で何らかの入力操作がなされた場合、設定値やフラグを変更する入力操作が行われたか否かを判断する(S135)。S133の処理において、利用者が設定値やフラグを変更する入力操作を行っていた場合(S135:YES)、設定ダイアログ(プリンタ設定機能初期画面13)内の設定値やフラグとして変更後の内容を表示してから(S137)、S133へと戻る。
また、利用者が設定値やフラグを変更する入力操作を行っていなかった場合(S135:NO)、設定データ伝送指示がなされたか否かを判断する(S139)。このS139の処理では、利用者が、プリンタ設定機能初期画面13において、図7に示すように、画面内にあるメニューバー上で「Config」をクリックし、そのクリックに伴って表示されるプルダウンメニューの中で、「Send Settings to Printer(s)」をクリックする操作を行っていた場合に、設定データ伝送指示がなされたものと判断し(S139:YES)、設定データ伝送処理を実行してから(S141)、S133の処理へと戻る。なお、この設定データ伝送処理の詳細については後から詳述する。
一方、S139の処理において、設定データ伝送指示がなされなかったと判断した場合(S139:NO)、終了指示がなされたか否かを判断し(S143)、終了指示がなされていたと判断した場合(S143:YES)は、SNMPを利用して設定値・フラグを代表デバイスへと伝送することにより、設定値・フラグを代表デバイスに反映して(S145)、設定ダイアログ処理を終了する。また、終了指示がなされてなかった場合(S143:NO)、キャンセル指示がなされていた場合は(S147:YES)、上記S145の処理を実行することなく、設定ダイアログ処理を終了する。なお、キャンセル指示がなされていなければ(S147:NO)、さらにその他の処理を実行してから(S149)、S133の処理へと戻る。その他の処理は、デバイス設定管理ツールが有する各種機能に対応する処理であるが、本発明の要部とは直接的な関連がない処理となるので詳細な説明については省略する。
次に、PC1において実行される設定データ伝送処理について説明する。
本実施形態において、設定データ伝送処理としては、大別すると二種類の処理があり、一つは印刷系デバイス(=プリンタやプリンタ機能を有するMFP(Multi-Function Product;マルチファンクションプロダクト);本実施形態ではプリンタ3〜5など)自体の設定に関する処理(以下、第1の設定データ伝送処理という)、もう一つはその印刷系デバイスが備えるNIC(Network Interface Card;図1に例示したプリンタ3の場合、ネットワークI/F308)の設定に関する処理(以下、第2の設定データ伝送処理という)となっている。
先に説明した設定ダイアログ処理においてS141の処理を実行した場合は、上述した第1の設定データ伝送処理を開始することになる。上述した第2の設定データ伝送処理を開始したい場合は、第1の設定データ伝送処理を開始する場合とは別のUIを利用することになる。具体的には、第2の設定データ伝送処理を開始したい場合、利用者は、まず、PC1において上述のデバイス設定管理ツールを起動し、上述のデバイス設定管理ツール初期画面11を表示する。その後、デバイス設定管理ツール初期画面11(図3参照)において、1つの印刷系デバイスを代表デバイスとして、その代表デバイスをダブルクリックする。あるいは、その代表デバイスをクリックした上で、デバイス設定管理ツール初期画面11内にあるメニューバー上で「Control」をクリックし、そのクリックに伴って表示されるプルダウンメニューの中で、「Configure Print Server」をクリックする。すると、図8に示すような、NIC設定ダイアログ15が表示される。このNIC設定ダイアログ15において、画面内の「General」タブをクリックしたときに表示される画面内には、Sendボタン17が設けられており、このSendボタン17をクリックすると、PC1は、第2の設定データ伝送処理を開始することになる。
これら第1,第2の設定データ伝送処理を比較すると、起動のためのUI(ユーザーインターフェース)、設定対象、個々の設定項目などは、両処理で異なっているものの、処理全体の流れについては、一部を除き、両処理でほぼ同様の処理となっている。
そこで、以下の説明では、上記第1,第2の設定データ伝送処理で相違する箇所がある場合にのみ、その相違点について詳述することにし、相違点がない場合は、上記第1,第2の設定データ伝送処理を、特に区別することなく設定データ伝送処理として説明することにする。
設定データ伝送処理を開始すると、PC1は、図9に示すように、まず“Send Settings to Printer(s)”ダイアログ処理を実行する(S161)。この“Send Settings to Printer(s)”ダイアログ処理は、詳しくは図10に示すような処理となる。
“Send Settings to Printer(s)”ダイアログ処理を開始すると、PC1は、図10に示すように、“Send Settings to Printer(s)”ダイアログ21(図11参照)を表示する(S201)。“Send Settings to Printer(s)”ダイアログ21は、図11に示すように、送信対象選択用ラジオボタン23、設定送信種類切り替え指示欄25、デバイスリスト表示欄27、Searchボタン29、Removeボタン31、Addデバイス入力テキストボックス33、Addボタン35、OKボタン37、Cancelボタン39などを備えた画面である。初期表示状態では、送信対象選択用ラジオボタン23は“Current Printer”にセットされ、設定送信種類切り替え指示欄25、デバイスリスト表示欄27、Searchボタン29、Removeボタン31、Addデバイス入力テキストボックス33、Addボタン35は、全てグレーアウト表示(=利用者が操作できないことを示す表示状態;以下同様)となっている。また、処理内容の詳細については後述するが、利用者が送信対象選択用ラジオボタン23を“Multiple Printers”にした場合、図12に示すように、設定送信種類切り替え指示欄25、デバイスリスト表示欄27、Searchボタン29、Addデバイス入力テキストボックス33、Addボタン35のグレーアウト表示は解除される。グレーアウト表示が解除された場合、設定送信種類切り替え指示欄25においては、1:Send all Current Values、2:Send all Update Values、3:Send Current and Update Values、以上3つの選択肢のうち、いずれかを選択できるようになる。さらに、後述する処理の中で、デバイスリスト表示欄27に1以上の印刷系デバイス(以下、単にデバイスという)が表示された(選択状態とされた)場合に、Removeボタン31のグレーアウト表示は解除される。
以上のような“Send Settings to Printer(s)”ダイアログ21を表示したら、続いて、PC1は、“Send Settings to Printer(s)”のデバイスリスト(デバイスリスト表示欄27の内容)を表示する(S203)。初期表示状態では、上述の通り、デバイスリスト表示欄27はグレーアウト表示となっており、実際には表示を行わない(図11参照)。また、後述の処理で、利用者が送信対象選択用ラジオボタン23を“Multiple Printers”にした場合、グレーアウト表示は解除され、デバイスの検索が実施される。
ここで、デバイスの検索について説明する。
本実施形態において、デバイス設定管理ツールには、利用者が事前に設定対象条件を選択するためのUIが設けられており、このUIを利用して選択された設定対象条件が、システムで利用する記憶領域に記憶されている。具体的には、利用者が設定対象条件を選択したい場合、PC1においてデバイス設定管理ツールを起動して所定の操作を行うことにより、設定対象条件選択ダイアログ41(図13参照)をPC1の表示部106に表示する。この設定対象条件選択ダイアログ41には、設定対象条件を選択するためのラジオボタン42、OKボタン43、Cancelボタン44などが設けられ、ラジオボタン42で所望の検索条件を択一的に選択し、OKボタン43の押下操作を行うと、選択した設定対象条件が、システムで利用する記憶領域に記憶されるようになっている。
そして、上記S203の処理において、リスト(デバイスリスト表示欄27の内容)を表示する際には、上記事前に選択された設定対象条件を参照してリストが作成されることになる。具体的には、図14に示すように、上記事前に選択された設定対象条件がIPアドレスであれば(S241:YES)、IPアドレスによるリスト作成処理を行い(S243)、設定対象条件が設定用フラグであれば(S241:NO,S245:YES)、設定用フラグによるリスト作成処理を行い(S247)、設定対象条件が印字枚数であれば(S245:NO,S249:YES)、印字枚数によるリスト作成処理を行い(S251)、設定対象条件が印字枚数でなければ(S249:NO)、無条件でのリスト作成処理を行う(S253)。そして、S243,S247,S249,S253いずれかの処理で作成されたリストを表示して(S255)、これにより、上記S203の処理によるリスト(デバイスリスト表示欄27の内容)の表示が行われることになる。
上記S243のIPアドレスによるリスト作成処理は、詳しくは図15に示すような処理となり、PC1は、まず、入力ウィンドウ45(図16参照)を表示部106に表示して(S261)、IPアドレスの入力を受け付ける(S262)。入力ウィンドウ45には、第1チェックボックス46、IPアドレス入力欄47、第2チェックボックス48、IPアドレス範囲入力欄49、OKボタン50、Cancelボタン51などが設けられている。IPアドレスが初期値のデバイスを選択したい場合は、第1チェックボックス46にチェックを入れる。なお、IPアドレス入力欄47には、対象となるデバイスにおいて初期値として用いられていると想定されるIPアドレスがあらかじめデフォルト値として入力済みとなっているが、このデフォルト値については利用者が別のIPアドレスに変更することもできる。IPアドレスの範囲を指定したい場合、第2チェックボックス48にチェックを入れ、IPアドレス範囲入力欄49には、指定範囲の上限値と下限値を入れる。そして、OKボタン50の押下操作を行うとS262の処理を抜ける。続いて、PC1は、ブロードキャストによるIPアドレスの問い合わせを行う(S263)。そして、ブロードキャストによる問い合わせに対する返事のあったデバイスの数だけ、後述するS265〜S267の処理を繰り返す(S264)。すなわち、第1にIPアドレスが指定の条件を満たしているか否か(S265)、第2にデバイスが設定対象のモデルであるか否か(S266)をそれぞれ判断し、双方の条件を満足する場合(S265:YES、且つ、S266:YES)、デバイスをデバイスリストに追加する(S267)。一方、いずれかの条件を満足しない場合(S265:NO、または、S266:NO)、S267の処理は実行されない。このようなS265〜S267の処理を必要回数だけ繰り返したら、上記S243のIPアドレスによるリスト作成処理を終えることになる。なお、S266の処理において、デバイスが設定対象のモデルであるか否かは、S105の処理で判定された代表デバイスを基準にして、この代表デバイスと互換機種か否かを判定する処理となる。具体的な判定方法は任意であるが、例えば、このシステムにおいて対象とすることができるデバイスの一覧表をシステムの記憶領域に用意しておき、代表デバイスから取得した機種名ないし型番を示すMIBの値と、設定対象デバイスから取得した機種名ないし型番を示すMIBの値とが、互換機種に相当する関係にあるのか否かを、用意した一覧表を参照して特定する、といった判定方法を採用することができる。
また、上記S247の設定用フラグによるリスト作成処理は、詳しくは図17に示すような処理となり、PC1は、まず、ブロードキャストによる一括設定有効MIBの問い合わせを行う(S271)。この一括設定有効MIBは、MIBに格納されたフラグの一つであり、デバイスの工場出荷時にあらかじめONとされており、通常、デバイスの設定が完了したときにOFFとされる。デバイスには、OFFとなった一括設定有効MIBを再びONとするためのスイッチも設けられ、このスイッチ操作でONとすることもできる。S271を終えた後、PC1は、ブロードキャストによる問い合わせに対する返事のあったデバイスの数だけ、後述するS273〜S275の処理を繰り返す(S272)。すなわち、第1に一括設定有効MIBはONになっているか否か(S273)、第2にデバイスが設定対象のモデルであるか否か(S274)をそれぞれ判断し、双方の条件を満足する場合(S273:YES、且つ、S274:YES)、デバイスをデバイスリストに追加する(S275)。一方、いずれかの条件を満足しない場合(S273:NO、または、S274:NO)、S275の処理は実行されない。このようなS273〜S275の処理を必要回数だけ繰り返したら、上記S247の設定用フラグによるリスト作成処理を終えることになる。
また、上記S251の印字枚数によるリスト作成処理によるリスト作成処理は、詳しくは図18に示すような処理となり、PC1は、まず、入力ウィンドウ52(図19参照)を表示部106に表示して(S281)、印字枚数の入力を受け付ける(S282)。入力ウィンドウ52には、印字枚数入力欄53、OKボタン54、Cancelボタン55などが設けられている。ネットワーク系内に増設したばかりの印刷系デバイスを選択したい場合、数枚は試験印刷がなされている可能性も考慮し、例えば、印字枚数入力欄53に“10”と入力する。この場合、印字枚数10枚以下の印刷系デバイスが設定対象として検索されることになる。そして、OKボタン54の押下操作を行うとS282の処理を抜ける。続いて、PC1は、ブロードキャストによる印字枚数MIBの問い合わせを行う(S283)。そして、ブロードキャストによる問い合わせに対する返事のあったデバイスの数だけ、後述するS285〜S287の処理を繰り返す(S284)。すなわち、第1に印字枚数が指定の条件を満たしているか否か(S285)、第2にデバイスが設定対象のモデルであるか否か(S286)をそれぞれ判断し、双方の条件を満足する場合(S285:YES、且つ、S286:YES)、デバイスをデバイスリストに追加する(S287)。一方、いずれかの条件を満足しない場合(S285:NO、または、S286:NO)、S287の処理は実行されない。このようなS285〜S287の処理を必要回数だけ繰り返したら、上記S251の印字枚数によるリスト作成処理を終えることになる。
また、上記S253の無条件でのリスト作成処理は、詳しくは図20に示すような処理となり、PC1は、まず、ブロードキャストによるモデル名MIBの問い合わせを行う(S291)。そして、ブロードキャストによる問い合わせに対する返事のあったデバイスの数だけ、後述するS293〜S294の処理を繰り返す(S292)。すなわち、デバイスが設定対象のモデルであるか否かを判断し(S293)、設定対象のモデルである場合(S293:YES)、デバイスをデバイスリストに追加する(S294)。一方、設定対象のモデルでない場合(S293:NO)、S294の処理は実行されない。このようなS273〜S274の処理を必要回数だけ繰り返したら、上記S253の無条件でのリスト作成処理を終えることになる。
以上説明したような手順でデバイスの検索が実施された結果、検出されたデバイスに関する情報はデバイスリストに登録され、その情報が“Send Settings to Printer(s)”ダイアログ21のデバイスリスト表示欄27に表示されることになる。
図21〜図23は、上記S243のIPアドレスによるリスト作成処理で作成されたリストの表示例である。より詳しくは、図21は、先に説明したS262の処理において、図16に示した入力ウィンドウ45で、第1チェックボックス46にチェックを入れ、IPアドレス“192.0.0.192”が割り当てられたデバイスを、ネットワーク上から検索した場合の例である。IPアドレス“192.0.0.192”は、本実施形態において利用しているデバイスが初期値として採用しているIPアドレスであり、図21の例では、3台のデバイスが初期値を変更しないままネットワークに接続されていることになる。このように重複するIPアドレスを持つデバイスがネットワーク内に複数存在する場合、IPアドレスのみを頼りに通信を行うソフトウェア等では、適切な通信を実施することができなくなるおそれがあるが、このデバイス設定管理ツールでは、MACアドレスも併用して個々のデバイスを識別しているため、重複するIPアドレスを持つデバイスが複数あっても、それらを別々のデバイスであると識別し、図21に示すようなリストを表示する。図22は、先に説明したS262の処理において、図16に示した入力ウィンドウ45で、第2チェックボックス48にチェックを入れ、範囲指定入力でIPアドレス“192.168.1.1”〜“192.168.254.254”の範囲内のIPアドレスが割り当てられたデバイスを、ネットワーク上から検索した場合の例である。さらに、図23は、先に説明したS262の処理において、図16に示した入力ウィンドウ45で、第1チェックボックス46にチェックを入れるとともに、第2チェックボックス48にもチェックを入れ、IPアドレス“192.0.0.192”が割り当てられたデバイスと、“192.168.1.1”〜“192.168.254.254”の範囲内のIPアドレスが割り当てられたデバイスとを、ネットワーク上から検索した場合の例である。すなわち、第1チェックボックス46、第2チェックボックス48は、排他的な選択項目ではなく、両方を同時に選択することもできるのである。なお、検索条件の異なる上記S247,S249,S253の処理でも、上記S243の処理で作成されたリストと同様な形式のリストが作成されるが、形式には差異がないので表示例は省略する。
さて、以上説明したようなS203の処理により、PC1が、“Send Settings to Printer(s)”ダイアログ21のデバイスリスト表示欄27にデバイスリストを表示したら、その後、PC1は、“Send Settings to Printer(s)”ダイアログ21のボタンとキーの入力を受け付ける(S205)。ここで、利用者は、PC1の入力部を利用し、送信対象選択用ラジオボタン23の切り替え入力、設定送信種類切り替え指示欄25の切り替え入力、Addデバイス入力テキストボックス33へのアドレス入力、Searchボタン29、Removeボタン31、Addボタン35、OKボタン37、またはCancelボタン39の押下操作などを行うことができる。
そして、S205の処理において、Addデバイス入力テキストボックス33へのアドレス入力が行われていた場合(S207:YES)、Addデバイス入力テキストボックス33への文字列入力に関する処理を行い(S209)、S205の処理へと戻る。
また、S205の処理において、Addデバイス入力テキストボックス33へのアドレス入力ではなく(S207:NO)、Addボタン35が押されていた場合は(S211:YES)、S207の処理にてAddデバイス入力テキストボックス33にアドレスを入力することによって指定されたデバイスについて、デバイスリストに追加する処理を実行する(S213)。このS213の処理は、詳しくは図24に示すような処理となる。
すなわち、PC1は、図24に示すように、まず、Addデバイス入力テキストボックス33に入力されたアドレスを持つデバイスからノード名、ロケーション等の情報を取得する(S301)。ここで、情報の取得に成功した場合は(S303:YES)、デバイスリストにデバイスを追加する(S305)。その結果、デバイスリスト表示欄27には、Addデバイス入力テキストボックス33に入力されたアドレスを持つデバイスについての情報が追加表示される。一方、S301の処理で、情報の取得に失敗した場合は(S303:NO)、通信エラーのメッセージボックスを表示してRetry/Cancelボタンの入力を待つ(S307)。ここで、利用者がRetry/Cancelボタンのいずれかを押下するとS307の処理を抜け、Retryボタンが入力された場合は(S309:Retry)、S301の処理へと戻る。そして、S305の処理を終えるか、S307の処理においてCancelボタンが入力されていた場合は(S309:Cancel)、図24に示した処理を終了し、これにより、図10に示したS213の処理を終えることになるので、S203の処理へと戻る。
また、S205の処理において、Addボタン35が押されたのではなく(S211:NO)、Removeボタン31が押されていた場合は(S215:YES)、デバイスリストから指定デバイスを削除して(S217)、S203の処理へと戻る。削除するデバイスの指定は、Removeボタン31を押す前にデバイスリスト表示欄27において行われ、Removeボタン31を押すと、デバイスリスト表示欄27において指定されていたデバイスが、デバイスリスト表示欄27から削除される。
また、S205の処理において、Removeボタン31が押されたのではなく(S215:NO)、Searchボタン29が押されていた場合は(S219:YES)、ネットワーク上のデバイスの検索を実行し、デバイスリストを更新する(S221)。具体的なデバイスの検索方法は、既に説明した通りである。PC1は、デバイスからの応答を取得し、この応答に基づいて、設定対象となるデバイスと認識してデバイスリストを更新し、デバイスリスト表示欄27に追加表示する。そして、S221の処理を終えたら、S203の処理へと戻る。なお、このS221の処理では、利用者が望まないデバイスまで追加されることがあるが、その場合は、上述したRemoveボタン31を利用して不要なデバイスについて削除(選択の解除)を行えばよい。
また、S205の処理において、Searchボタン29が押されたのではなく(S215:NO)、送信対象選択用ラジオボタン23および設定送信種類切り替え指示欄25を利用して設定送信種類の切り替え操作が行われた場合は(S223:YES)、設定送信の種類を変更して、その変更に合わせてダイアログ21内のグレーアウト状態等も変更し、ダイアログ21内の再表示を行う(S225)。そして、必要に応じてデバイスの検索とデバイスリストの更新を行う(S227)。このS227の処理は、詳しくは図25に示すような処理となる。
すなわち、PC1は、図25に示すように、まず、送信対象選択用ラジオボタン23で、“Multiple Printers”が選択されていば(S401:YES)、デバイスリスト作成済みでない場合は(S403:NO)、デバイスの検索を行って、新たにデバイスリストを作成し(S405)、既にデバイスリスト作成済みである場合は(S403:YES)、S405の処理をスキップする。そして、設定送信種類切り替え指示欄25において“Send all Current Values”が指定されておらず(S407:NO)、且つ、“Send Current and Update Values”も指定されていない場合(S409:NO)、“Send all Update Values”が指定されていることになるので、デバイスリスト内のカレントデバイス(=第1,第2の設定データ伝送処理それぞれを開始するまでのUIで選択した代表デバイス)を示すエントリを有効とする(S411)。このS411の処理により、デバイスリスト内で有効とされたエントリは、以後、表示や設定送信などの処理を行う際に、処理対象とされることになる。また、設定送信種類切り替え指示欄25において“Send all Current Values”が指定されておらず(S407:NO)、且つ、“Send Current and Update Values”が指定されていた場合(S409:YES)、カレントデバイスに対して未反映の更新設定値があるかどうかをチェックする(S413)。ここで、未反映の更新設定値があれば(S413:YES)、デバイスリスト内のカレントデバイス(=代表デバイス)を示すエントリを有効とし(S411)、未反映の更新設定値がなければ(S413:NO)、デバイスリスト内のカレントデバイス(=代表デバイス)を示すエントリを無効とする(S415)。このS415の処理により、デバイスリスト内で無効とされたエントリは、以後、表示や設定送信などの処理を行う際に、処理対象から除外されることになる。また、設定送信種類切り替え指示欄25において“Send all Current Values”が指定されていれば(S407:YES)、デバイスリスト内のカレントデバイス(=代表デバイス)を示すエントリを無効とする(S415)。一方、S401の処理において、送信対象選択用ラジオボタン23で、“Multiple Printers”が選択されていなければ(S401:NO)、“Current Printer”が選択されていることになるので、デバイスリストを削除する(S417)。こうして図25中にあるS411,S415,S417の処理のいずれかを終えると、図25に示した処理を終え、その結果、図10に示したS227の処理を終えたことになるので、S203の処理へと戻る。
また、S205の処理において、設定送信種類の切り替え操作が行われておらず(S223:NO)、OKボタン37が押された場合(S229:YES)、あるいはCancelボタン39が押された場合は(S229:NO,S231:YES)、“Send Settings to Printer(s)”ダイアログ21の表示を消去する(S233)。OKボタン37は、処理の続行を指示するボタンであり、Cancelボタン39は、処理の中止を指示するボタンであるが、ここで処理続行を指示したか処理中止を指示したかは、後述するS163の処理で参照されることになる。なお、S205の処理において、Cancelボタン39が押されていない場合は(S231:NO)、有効な操作がなされていないことになるので、そのままS205の処理へと戻る。
こうして図10中にあるS233の処理を終えると、図10に示した“Send Settings to Printer(s)”ダイアログ処理を終了し、その結果、図9に示したS161の処理を終えたことになるので、続いて、PC1は、図9に示した通り、上述のS205の処理においてOKボタン37が押されたのか否かを判断する(S163)。ここで、OKボタン37が押されていなかった場合は(S163:NO)、Cancelボタン39が押されていたことになるので、以降の処理は中止して、そのまま設定データ伝送処理を終えることになる。
一方、OKボタン37が押されていた場合は(S163:YES)、送信実行確認ダイアログ処理を実行する(S165)。この送信実行確認ダイアログ処理は、詳しくは図26に示すような処理となる。
送信実行確認ダイアログ処理を開始すると、PC1は、図26に示すように、送信実行確認ダイアログ56(図27参照)を表示する(S501)。送信実行確認ダイアログ56は、デバイスへ設定データを送信した場合に設定変更がなされるか否かを示す情報や、デバイスが現在通信可能な状態にあるか否かを示す情報などを表示するためのダイアログで、図27に示すように、デバイスリスト表示欄57、Searchボタン58、Refreshボタン59、Removeボタン60、Cancelボタン61、Sendボタン62などを備えた画面となっている。ただし、図27中、デバイスリスト表示欄57内の個々の情報は、後述するS505の処理において表示されることになる。
送信実行確認ダイアログ56を表示したら、続いて、PC1は、デバイスの設定値取得処理を実行する(S503)。このS503の処理は、詳しくは図28に示すような処理となる。
すなわち、PC1は、図28に示すように、まず、設定値取得中デバイスを示す番号を初期化する(S601)。この設定値取得中デバイスを示す番号は、デバイスリスト(=初期値は、先に説明した“Send Settings to Printer(s)”ダイアログ処理にて生成されたデバイスリスト。ただし、後述の処理で更新されることもあり。)内のエントリを先頭から順に処理するための指標として用いられる変数であり、S601の処理では、例えば、デバイスリスト内の先頭エントリを指し示すため、設定値取得中デバイスを示す番号iがi=1として初期化される。続いて、PC1は、全デバイス処理済みか否かを判断する(S603)。ここでは、例えば、全デバイスがn台ある場合、上述の設定値取得中デバイスを示す番号iがi≦nか否かを判断すればよい。S603の処理で、全デバイス処理済みでないと判断された場合(S603:NO)、設定値取得中デバイスから設定値を取得する(S605)。ここで、設定値取得中デバイスとは、デバイスリスト内にあるn台のデバイスのうち、デバイスリスト中でi番目(iは設定値取得中デバイスを示す番号)のエントリに対応するデバイスのことである。設定値取得中デバイスからの設定値の取得は、具体的には、SNMPを利用し、PC1が設定値取得中デバイスに対してデータ取得要求を発行し、設定値取得中デバイスが、PC1からのデータ取得要求に対する応答として、設定値取得中デバイスが内部的に管理しているMIB(例えば、プリンタ3の場合はMIB311)内に格納されている設定データをPC1に提供する。また、各デバイスから設定値を取得する設定項目は、先に説明した“Send Settings to Printer(s)”ダイアログ21の設定送信種類切り替え指示欄25にて選択された設定送信の種類に応じて変わる。具体的には、設定送信の種類が“Send all Current Values”または“Send Current and Update Values”の場合は、全ての設定項目(但し、デバイスで設定可能な全項目ではなく、本設定データ伝送処理での設定対象としてデバイスのモデル毎にあらかじめ決められているいくつかの項目すべて)、“Send all Update Values”の場合は実際に更新する予定になっている設定項目、以上の設定項目について設定値が取得される。PC1では、設定値取得中デバイスから設定値を取得できたか否かを判断し(S607)、設定値を取得できた場合は(S607:YES)、設定値をデバイスリストに(=デバイスリスト内の該当デバイスエントリに)登録する(S609)。このとき、取得した設定値が送信しようとしている設定値と全て一致するなら“Identical”、一部でも相違するなら“Change”、以上いずれかの状態情報も併せてデバイスリストに登録する。また、設定値を取得できなかった場合は(S607:NO)、エラー情報をデバイスリストに(=デバイスリスト内の該当デバイスエントリに)書き込む(S611)。具体的には、上述の状態情報(“Identical”または“Change”)の代わりに、状態情報として“Connection Error”を登録する。そして、S609またはS611いずれかの処理を終えたら、設定取得中デバイスを示す番号を更新して(S613)、S603の処理へと戻る。S613の処理は、例えば、設定値取得中デバイスを示す番号iを1だけカウントアップする処理となる。こうしてS603〜S613の処理を繰り返すと、デバイスリスト内のエントリが順に処理されて最終的に全デバイスが処理されるので、S603の処理において全デバイス処理済みとの判断がなされ(S603:YES)、図28に示した処理を終了し、これにより、図26に示したS503の処理を終えることになる。なお、上記S603〜S613の処理では、1からnまでカウントアップされる変数iを指標として用いたが、デバイスリスト内のデバイスエントリを順に指定する方法は任意であり、たとえばリスト内の各デバイスエントリをメモリ上のアドレス値で指し示すポインタ変数等を使っても構わない。
こうしてS503の処理を終えたら、引き続いて、PC1は、図26に示すように、送信実行確認ダイアログ56のデバイスリストを表示する(S505)。このS505の処理により、図27中のデバイスリスト表示欄57内には、個々のデバイスに関する情報が表示され、各デバイス毎に上述のS609またはS611いずれかの処理でデバイスリストに登録された状態情報(“Identical”/“Change”/“Connection Error”)が表示される。
続いて、PC1は、送信実行確認ダイアログ56のボタン入力を受け付ける(S507)。ここで、利用者は、PC1の入力部を利用し、Searchボタン58、Refreshボタン59、Removeボタン60、Cancelボタン61、またはSendボタン62の押下操作などを行うことができる。
そして、S507の処理において、Removeボタン60が押されていた場合は(S509:YES)、デバイスリストから指定デバイスを削除して(S511)、S505の処理へと戻る。削除するデバイスの指定は、Removeボタン60を押す前にデバイスリスト表示欄57において行われ、Removeボタン60を押すと、デバイスリスト表示欄57において指定されていたデバイスが、デバイスリスト表示欄57から削除される。なお、Removeボタン60は初期表示状態でグレーアウト表示となっているが(図27参照)、図29に示すように、デバイスリスト表示欄57において削除するデバイスが指定された(選択状態とされた)場合に、Removeボタン60のグレーアウト表示は解除される。
また、S507の処理において、Removeボタン60が押されたのではなく(S509:NO)、Refreshボタン59が押されていた場合は(S513:YES)、S503の処理へと戻る。これにより、再びS503のデバイスの設定値取得処理が実行され、デバイスリスト表示欄57内の情報が最新の情報に更新される。
また、S507の処理において、Refreshボタン59が押されたのではなく(S513:NO)、Searchボタン58が押されていた場合は(S515:YES)、ネットワーク上のデバイスの検索を実行し、デバイスリストを作り直す(S517)。より具体的には、PC1は、SNMPを利用して、デバイスからの応答を要求するパケットをブロードキャストして、数秒間応答を待つ。ここで、ネットワーク上のデバイスの中に、上記パケットに対する応答を返すことができるデバイスが存在する場合、そのデバイスは応答を返す。また、上記パケットに対する応答を返すことができないデバイスは、受信したパケットを単に破棄する。したがって、PC1は、パケットに対する応答を取得し、この応答を返したデバイスについて、本システムによる設定対象となるデバイスと認識してデバイスリストを作り直し、デバイスリスト表示欄57内の情報を再表示する。このS517の処理を終えたら、S503の処理へと戻る。なお、このS517の処理では、利用者が望まないデバイスまで追加されることがあるが、その場合は、上述したRemoveボタン60を利用して不要なデバイスについて削除(選択の解除)を行えばよい。
また、S507の処理において、Searchボタン58が押されたのではなく(S515:NO)、Sendボタン62が押されていた場合は(S519:YES)、上述の状態情報(“Identical”/“Change”/“Connection Error”)を含むデバイスリストの内容を、ログファイルとして記録し(S521)、送信実行確認ダイアログ56の表示を消去して(S523)、送信実行確認ダイアログ処理を終了する。
また、S507の処理において、Sendボタン62が押されたのではなく(S519:NO)、Cancelボタン61が押されていた場合は(S527:YES)、送信実行確認ダイアログ56の表示を消去して(S523)、送信実行確認ダイアログ処理を終了する。
つまり、Sendボタン62が押されていた場合、Cancelボタン61が押されていた場合、いずれの場合とも、S523の処理を実行した上で、送信実行確認ダイアログ処理を終了することになるが、Sendボタン62が押されていた場合は、S521の処理が実行されるのに対し、Cancelボタン61が押されていた場合は、S521の処理が実行されないことになる。なお、Sendボタン62は、処理の続行を指示するボタンに相当し、Cancelボタン61は、処理の中止を指示するボタンであるが、ここで処理続行を指示したか処理中止を指示したかは、後述するS167の処理で参照されることになる。
ところで、S507の処理において、Cancelボタン61が押されてたのではなく(S527:NO)、デバイスリスト表示欄57内の1デバイスがダブルクリックされてもいない場合は(S529:NO)、有効な操作がなされていないことになるので、そのままS507の処理へと戻る。一方、デバイスリスト表示欄57内に表示されたデバイスのうち、いずれかがダブルクリックされていた場合(S529:YES)、PC1は、設定変更内容詳細ウィンドウ処理を実行する。
この設定変更内容詳細ウィンドウ処理は、ダブルクリックされた特定のデバイスについて個別設定を行うための処理であり、この設定変更内容詳細ウィンドウ処理の対象とされなかったデバイスについては、代表デバイスと同内容の設定データまたはこの設定データの一部を変更した設定データが、後述する処理の中で送信されるのに対し、この設定変更内容詳細ウィンドウ処理において個別設定が行われた個別設定対象デバイスについては、この設定変更内容詳細ウィンドウ処理内で設定された個別設定データが、後述する処理の中で送信されることになる。この設定変更内容詳細ウィンドウ処理は、詳しくは図30に示すような処理となる。
設定変更内容詳細ウィンドウ処理を開始すると、PC1は、図30に示すように、設定変更内容詳細ウィンドウを表示する(S701)。デバイス本体とデバイスが備えるNICとで設定項目が異なるため、デバイス本体の設定を行う第1の設定データ伝送処理と、デバイスが備えるNICの設定を行う第2の設定データ伝送処理とでは、設定変更内容詳細ウィンドウの表示内容に違いがあり、具体的には、第1の設定データ伝送処理の場合は図31に示すような設定変更内容詳細ウィンドウ63、第2の設定データ伝送処理の場合は図32に示すような設定変更内容詳細ウィンドウ64が表示される。
これら設定変更内容詳細ウィンドウ63,64において、“Item”は、設定値を送信する設定項目、“Current Value”は個別設定対象デバイスから取得した設定値、“Update Value”は設定送信により更新される設定値である。“Update Value”が空欄となっている項目は、“Current Value”と“Update Vaule”が同一であることを示している。また、デバイスリスト表示欄57において、“Connection Error”が表示されているデバイスをダブルクリックした場合も、設定変更内容詳細ウィンドウ63,64は表示されるが、その場合は、“Current Value”、“Update Vaule”ともに空欄となる。なお、これら二種類の設定変更内容詳細ウィンドウ63,64は、設定項目の内容に違いがあるだけで、機能的にはまったく同等なものである。
続いて、PC1は、マウス/キーの入力を受け付ける(S703)。このS703の処理において、設定変更内容詳細ウィンドウ63,64内にある個々の設定項目がダブルクリックされた場合、PC1は、設定値の変更が指示されたものと判断し(S705:YES)、設定値変更処理を実行する(S707)。この設定値変更処理は、詳しくは図33に示すような処理となる。
設定値変更処理を開始すると、PC1は、図33に示すように、設定値変更ダイアログを表示する(S801)。この設定値変更ダイアログは、設定変更内容詳細ウィンドウ63,64内にあるどの設定項目をダブルクリックしたかにより、表示内容の若干異なるものが表示されるが、例えば、設定変更内容詳細ウィンドウ63内にある設定項目“Paper Size”をダブルクリックした場合、図34に示すような、“Paper Size”設定用の設定値変更ダイアログ65が表示される。この設定値変更ダイアログ65は、図34に示すように、設定値選択欄66、OKボタン67、Cancelボタン68などを備えており、これらは設定項目によらず共通となっている。
このような設定値変更ダイアログを表示したら、続いて、PC1は、マウス/キーの入力を受け付ける(S803)。このS803の処理において、設定値選択欄66に表示された設定値のいずれかがクリックされたら、設定値変更入力がなされたと判断し(S805:YES)、その設定値の変更を設定値選択欄66の表示に反映させ(S807)、S803の処理へと戻る。
また、S803の処理において、設定値変更入力がなされたのではなく(S805:NO)、OKボタン67が押されていた場合は(S809:YES)、その設定値変更をデバイスリスト内の対象デバイスを示すエントリに反映する(S811)。これにより、デバイスリスト内にある個別設定対象デバイスのエントリには、個別設定データが登録されることになる。この個別設定データは、個別設定対象デバイス固有の設定であり、他の設定対象デバイスにおいて共通する設定値変更とは別に記憶される。そして、設定値変更ダイアログ65の表示を消去して(S813)、図33に示した設定値変更処理を終了する。
なお、S803の処理において、OKボタン67が押されたのではなく(S809:NO)、Cancelボタン68が押されていた場合は(S815:YES)、上述のS811の処理を実行することなく、上述のS813の処理を実行した上で、設定値変更処理を終了する。また、S803の処理において、Cancelボタン68が押されていない場合は(S815:NO)、有効な操作がなされていないことになるので、そのままS803の処理へと戻る。
以上のようにしてS801〜S813の処理を終えると、図30に示したS707の処理を終えたことになるので、引き続いて、PC1は、S707の処理において設定値が変更されたか否かを判断する(S709)。具体的には、S709の処理では、上述のS803の処理において、OKボタン67が押されたのかCancelボタン68が押されたのかを判断すればよい。そして、S707の処理において設定値が変更されていた場合は(S709:YES)、設定値変更を設定変更内容詳細ウィンドウ63,64に反映し(S711)、S703の処理へと戻り、S707の処理において設定値が変更されていなかった場合は(S709:NO)、上記S711の処理を実行することなく、S703の処理へと戻る。
一方、上記S703の処理において、設定変更内容詳細ウィンドウ63,64内にある個々の設定項目がダブルクリックされていない場合(すなわち、設定値の変更が指示されていない場合)は(S705:NO)、終了指示(例えば、ウィンドウ右上の×ボタンをクリック、Alt+F4キーの押下等)がなされたか否かを判断し(S713)、終了指示がなされていなければ(S713:NO)、有効な操作がなされていないことになるので、そのままS703の処理へと戻る。また、終了指示がなされていれば(S713:YES)、設定変更内容詳細ウィンドウ63,64を消去して(S715)、図30に示した設定変更内容詳細ウィンドウ処理を終了する。
このようにして設定変更内容詳細ウィンドウ処理を終了すると、図26に示したS531の処理を終えたことになるので、この場合、S507の処理へと戻る。
さて、以上説明したように、図26に示したS501〜S531の送信実行確認ダイアログ処理を実行し、その中でSendボタン62またはCancelボタン61が押されて、送信実行確認ダイアログ処理を終了すると、図9に示したS165の処理を終えたことになるので、引き続いてPC1は、上述のS507の処理においてSendボタン62が押されたのか否かを判断する(S167)。ここで、Sendボタン62が押されていなかった場合は(S167:NO)、Cancelボタン61が押されていたことになるので、S161の処理へと戻って、設定データ伝送処理を最初からやり直す。
一方、Sendボタン62が押されていた場合は(S167:YES)、複数デバイス設定一括送信処理を実行する(S169)。この複数デバイス設定一括送信処理は、詳しくは図35に示すような処理となる。
複数デバイス設定一括送信処理を開始すると、PC1は、図35に示すように、送信実行プログレスダイアログ71(図36参照)を表示する(S901)。送信実行プログレスダイアログ71は、処理の進捗状況を表示するためのダイアログで、図36(a)および同図(b)に示すように、プログレスバー表示欄73、Cancelボタン75などを備えた画面となっている。初期状態では、プログレスバー表示欄73は、図36(a)に示すように、プログレスバーが全く表示されていない状態になっている。
送信実行プログレスダイアログ71を表示したら、続いて、PC1は、設定値送信中デバイスを示す番号を初期化する(S903)。この設定値送信中デバイスを示す番号は、デバイスリスト内のエントリを先頭から順に処理するための指標として用いられる変数であり、S903の処理では、例えば、デバイスリスト内の先頭エントリを指し示すため、設定値送信中デバイスを示す番号iがi=1として初期化される。続いて、PC1は、全デバイス処理済みか否かを判断する(S905)。ここでは、例えば、全デバイスがn台(=デバイスリスト内のエントリがn個)ある場合、上述の設定値送信中デバイスを示す番号iがi≦nか否かを判断すればよい。S905の処理で、全デバイス処理済みでないと判断された場合(S905:NO)、上述の設定変更内容詳細ウィンドウ処理(図30参照)で、個別設定がなされたかどうかを判断する(S907)。
ここで、設定変更内容詳細ウィンドウ処理での設定変更がなされていない場合は(S907:NO)、設定送信中デバイス(デバイスリスト中のi番目のデバイス)に、全デバイス共通で更新する設定値(本発明でいう新設定データ)を送信する(S909)。具体的には、カレントデバイス(=第1,第2の設定データ伝送処理それぞれを開始するまでのUIで選択した代表デバイス)から取得した設置値をベースにして、先に説明した“Send Settings to Printer(s)”ダイアログ21の設定送信種類切り替え指示欄25にて選択された設定送信の種類が、“Send all Current Values”の場合は、カレントデバイスと同じ設定データを送信し、“Send all Update Values”の場合は、カレントデバイスの元の設定データに対して更新が加えられた設定データのみを送信し、“Send Current and Update Values”の場合は、カレントデバイスの元の設定データに対して更新が加えられていない項目はカレントデバイスと同じ設定データ、カレントデバイスの元の設定データに対して更新が加えられている項目は更新後の設定データ、双方を送信する。
一方、設定変更内容詳細ウィンドウ処理での設定変更がなされていた場合は(S907:YES)、設定送信中デバイス(デバイスリスト中のi番目のデバイス)に、設定変更内容詳細ウィンドウ処理で設定された固有の更新設定値(本発明でいう個別設定データ)を送信する(S911)。
S909,S911の処理は、双方ともSNMPを利用して実行される。具体的には、SNMPを利用し、PC1が設定値送信中デバイスに対してデータセット要求を発行し、設定値送信中デバイスが、PC1からのデータセット要求に応じて、設定値取得中デバイスが内部的に管理しているMIB(例えば、プリンタ3の場合はMIB311)内に設定値を格納する。ただし、デバイスリスト内には、図21または図23に例示したように、同じIPアドレスを持つデバイスが存在する場合があるため、上記S909,S911の処理では、より詳しくは、図37に示すようにプロトコルを使い分ける。
すなわち、設定値を送信する前に、まず、設定値送信中デバイス(デバイスリスト中のi番目のデバイス)と同じIPアドレスを持つデバイスがデバイスリスト中に存在するか否かを判断し(S951)、図21または図23に例示したIPアドレス“192.0.0.192”の如く、同じIPアドレスが存在する場合は(S951:YES)、ブロードキャストにて設定値とMACアドレス一致MIBを送信し(S953)、一方、図22または図23に例示したIPアドレス“192.168.1.6”の如く、同じIPアドレスが存在しない場合は(S951:YES)、ユニキャストにて設定値を送信する(S955)。
S953の処理でブロードキャストでの送信を行うのは、同じIPアドレスを持つデバイスが複数存在しても、それら複数のデバイスすべてにパケットを確実に到達させることができるからである。すなわち、同じIPアドレスを持つデバイスが複数存在する場合に、ユニキャストでの送信を行うと、同じIPアドレスを持つデバイスのいずれにパケットが到達するか保証がなく、確実に所期のデバイスにパケットを送信することができないためである。ただし、ブロードキャストでの送信を行うと、確実に所期のデバイスにパケットを送信することができるものの、所期のデバイス以外のデバイスにもパケットが届いてしまう。そこで、S953の処理では、MACアドレス一致MIBを送信し、そのパケットを受け取るべきデバイスを、そのデバイスのMACアドレスによって指定している。
デバイス側の処理については後から詳述するが、デバイスは、受け取ったパケット中に含まれるMACアドレス一致MIBの値と自己MACアドレス(デバイス自身が記憶しているMACアドレス)の値とに基づいて、自身に宛てて送られたパケットであるか否かを判断し、自身に宛てて送られたパケットであればMIB内に設定値を格納する一方、自身に宛てて送られたパケットでなければ、そのパケットを破棄する。これにより、PC1側で意図したデバイスにのみ設定値が格納されることになる。なお、このような仕組みを利用すれば、同じIPアドレスを持つデバイスがデバイスリスト中に存在しない場合でも、PC1側で意図したデバイスにのみ設定値を送信できるが、ブロードキャストを多用するとネットワーク内を流れるパケット数が増大する原因になるので、ユニキャストでの送信が可能な場合は、S955の処理へ移行するようにしているのである。
以上のようにしてS909またはS911の処理を終えたら、続いて、PC1は、設定値送信中デバイスがカレントデバイス(代表デバイス)であるかどうかを判断し(S913)、カレントデバイスである場合は(S913:YES)、カレントデバイスに対してのみ設定すべき設定項目について変更された設定値を送信する(S915)。カレントデバイスに対してのみ設定すべき設定項目は、あらかじめ決められており、例えば、NIC設定の場合であれば、Node Name(NICのノード名)、Password(アドミニストレーターパスワード)、サービスフィルタ設定、IP Address(NICのIPアドレス)、Subnet Mask(NICのサブネットマスク)、Gateway(ゲートウェイ(ルーター)アドレス設定)、IP Config(IP取得方法の設定)、Printer E-mail Address(プリンタ/MFPに割り当てるEメールアドレス)、POP3 Account Name(Eメールサーバーアクセス時のメールボックスアカウント名)、POP3 Account Password(メールボックスアカウントに対応するパスワード)などは、NIC毎に設定すべき設定項目となるので、カレントデバイスに対してのみ設定すべき設定項目と決められている。なお、S915の処理でも、図37に示したようにプロトコルを使い分けるが、ここでの説明は省略する。
続いて、PC1は、Cancelボタンが入力されたか否かを判断し(S917)、Cancelボタンが入力されていなければ(S917:NO)、設定送信が成功したか否かを判断して(S919)、成功していれば(S919:YES)、デバイスリストに設定送信中デバイスへの設定送信OKという情報を書き込み(S921)、成功していなければ(S919:NO)、デバイスリストに設定送信中デバイスへの設定送信NGという情報と失敗理由を書き込む(S923)。
成功/失敗いずれかの情報を書き込んだら、続いて、設定送信中デバイスを示す番号を更新する(S925)。S925の処理は、例えば、設定値送信中デバイスを示す番号iを1だけカウントアップする処理となる。そして、送信実行プログレスダイアログ71(図36参照)のプログレスバー表示欄73に表示されるプログレスバーを更新する(S927)。具体的には、プログレスバー表示欄73に表示されるプログレスバーの長さを、次の計算式:[プログレスバーの長さ]=[プログレスバー表示欄73に表示可能なプログレスバーの最大長]*[終了台数]/[全台数]から求め、求めた長さのプログレスバーをプログレスバー表示欄73に表示する。その結果、例えば、図36(b)に示すように、プログレスバー表示欄73に現在の進捗状況を表す長さのプログレスバーが表示されることになり、その後は、S905の処理へと戻る。こうしてS905〜S927の処理を繰り返すと、デバイスリスト内のエントリが順に処理されて最終的に全デバイスが処理されるので、S905の処理において全デバイス処理済みとの判断がなされることになる(S905:YES)。なお、上記S905〜S927の処理では、1からnまでカウントアップされる変数iを指標として用いたが、デバイスリスト内のデバイスエントリを順に指定する方法は任意であり、たとえばリスト内の各デバイスエントリをメモリ上のアドレス値で指し示すポインタ変数等を使っても構わない。
S905の処理において全デバイス処理済みとの判断がなされた場合(S905:YES)、続いて、PC1は、送信実行プログレスダイアログ71の表示を消去する(S931)。そして、送信実行結果ダイアログ77を表示し(図38参照)、OKボタン81の入力を待つ(S933)。送信実行結果ダイアログ77は、図38に示すように、送信結果表示欄79、OKボタン81などを備えた画面となっている。送信結果表示欄79には、先に説明したS921の処理でデバイスリストに書き込まれた“設定送信OKという情報”、もしくは、先に説明したS923の処理でデバイスリストに書き込まれた“設定送信NGという情報”および失敗理由が表示される。なお、失敗理由としては、例えば、“Connection Error”:デバイスへの接続に失敗し設定が未完了、“Password Incorrect”:パスワードが違うため設定不可能、といったものが表示される。利用者は、送信結果表示欄79の表示内容から更新状況を確認し、必要な対処を行うことができ、送信結果表示欄79の表示が不要となれば、OKボタン81を押すことになる。そして、OKボタン81が押された場合は、送信実行結果ダイアログ77の表示を消去し(S935)、図35に示した複数デバイス設定一括送信処理を終了し、これにより、図9に示したS169の処理を終えたことになるので、設定データ伝送処理全体を終了することになる。なお、上記S917の処理において、Cancelボタンが入力されていれば(S917:YES)、この場合も、送信実行結果ダイアログ77の表示を消去し(S935)、図35に示した複数デバイス設定一括送信処理を終了するので、これにより、図9に示したS169の処理を終えたことになり、設定データ伝送処理全体を終了することになる。
ところで、以上が設定データ伝送処理についての説明であるが、上述の通り、NIC設定の場合、NIC設定ダイアログ15(図8参照)において、画面内の「General」タブにあるSendボタン17をクリックすると、PC1は、第2の設定データ伝送処理を実行することになり、その結果、設定データが伝送されることになるが、NIC設定ダイアログ15自体にも各種設定データの入力欄があり、ここで利用者が設定値を入力すると、その前に第2の設定データ伝送処理で伝送した設定値とは異なる設定値が入力されることもある。そこで、NIC設定ダイアログ表示処理では、図39に示すような処理を行っている。
すなわち、PC1は、まず、NIC設定ダイアログを表示し(S1001)、マウス/キーの入力を受け付ける状態になる(S1003)。
そして、S1003の処理において、OKボタンが押されたか否か(S1005)、Cancelボタンが押されたか否か(S1007)、Sendボタンが押されたか否か(S1009)、以上を順に判断し、Sendボタンが押されていた場合には(S1005:NO,S1007:NO,S1009:YES)、先に説明した第2の設定データ伝送処理(複数デバイス一括設定処理)を実行して、S1003の処理へと戻る。
一方、S1009の処理において、Sendボタンが押されていなかった場合には(S1009:NO)、その他のボタン処理または設定値変更処理などがなされ(S1613)、S1003の処理へと戻る。
このようなS1613の処理が行われているため、S1003の処理において、OKボタンが押されていた場合は(S1005:YES)、NIC設定ダイアログ15自体が備える入力欄に利用者が設定値を入力している可能性があり、その場合は、その設定値についても、S1611の処理とは別に、設定データをカレントデバイス(代表デバイス)に伝送する必要がある。
そこで、PC1は、NIC設定ダイアログ15自体が備える入力欄を対象にして、未反映の設定変更があるか否かを判断し(S1615)、そのような設定変更があった場合は(S1615:YES)、未反映の設定変更をカレントデバイスに送信する(S1617)。そして、NIC設定ダイアログ15の表示を消去して(S1619)、NIC設定ダイアログ表示処理を終了する。なお、S1007の処理において、Cancelボタンが押されていた場合は(S1007:YES)、NIC設定ダイアログ15の表示を消去して(S1619)、NIC設定ダイアログ表示処理を終了する。
次に、上記PC1側での設定データ伝送処理を有効に機能させるために、デバイス(本実施形態ではプリンタ3〜5;以下、単にデバイスという。)側が実行する処理について説明する。
図40は、デバイス側で実行されるデータ受信時処理のフローチャートである。このデータ受信時処理は、PC1側から送信されたパケットをデバイス側で受信したときに実行される。
このデータ受信時処理を開始すると、デバイスは、設定命令であるか否かを判断し(S2001)、設定命令であると判断した場合(S2001:YES)、MACアドレス設定MIBの値と自己MACアドレスの値は一致するか否かを判断する(S2003)。ここで、MACアドレス設定MIBの値と自己MACアドレスの値が一致すると判断した場合(S2003:YES)、受信したパケット中の設定値を設定し(=MIBに格納し)(S2005)、MIB内にあるフラグの一つである設定用フラグをOFFにし(S2007)、同じくMIB内にあるフラグの一つである動作ブロックフラグをOFFにして(S2009)、設定OKの応答を設定ツール(PC1側)に返し(S2011)、データ受信時処理を終える。一方、MACアドレス設定MIBの値と自己MACアドレスの値が一致しないと判断した場合(S2003:NO)、設定NGの応答を設定ツール(PC1側)に返し(S2013)、データ受信時処理を終える。
設定用フラグは、初期状態であることを示すフラグであり、デバイスの工場出荷時にはあらかじめONとされており、通常、デバイスの設定が完了したときに(例えば、S2007の処理により)OFFとされる。この設定用フラグの内容が、上述したS271の処理による問い合わせを受けた場合に、一括設定有効MIBとして返されることになる。また、動作ブロックフラグは、PC1側からの一括設定を有効とする旨の設定がなされている状態にある場合に、その一括設定に関連する処理以外の処理を禁止する場合にONとされるフラグで、この動作ブロックフラグは、後述するデバイスの内部処理での判定(S2041)などにおいて利用される。この動作ブロックフラグは、デバイスの工場出荷時にはOFFとされており、その後、ONとされた場合も、通常、デバイスの設定が完了したときに(例えば、S2009の処理により)OFFとされる。デバイスには、OFFとなっている設定用フラグおよび動作ブロックフラグを再びONとするためのスイッチが設けられ、このスイッチを利用者が操作すると、デバイスは図41に示すフラグ設定処理を実行して、動作ブロックフラグをONにし(S2051)、設定用フラグをONにする(S2053)。
さて、上記S2001の処理で、設定命令ではないと判断した場合(S2001:NO)、続いて、検索への返答命令か否かを判断する(S2021)。ここで、検索への返答命令であった場合は(S2021:YES)、検索への返答を設定ツール(PC1側)に返し(S2023)、データ受信時処理を終える。
また、検索への返答命令ではないと判断した場合(S2021:NO)、続いて、設定値問合せへの返答命令か否かを判断する(S2031)。ここで、設定値問合せへの返答命令であった場合は(S2031:YES)、MACアドレス設定MIBの値と自己MACアドレスの値が一致するか否かを判断し(S2033)、一致すると判断した場合は(S2033:YES)、設定値・設定用フラグ・動作ブロックフラグを設定ツールに返して(S2035)、データ受信処理を終える一方、MACアドレス設定MIBの値と自己MACアドレスの値が一致しないと判断した場合は(S2033:NO)、S2035の処理を実行することなく、データ受信時処理を終える。
さらに、設定値問合せへの返答命令ではないと判断した場合(S2031:NO)、動作ブロックフラグがONであるか否かを判断し(S2041)、ONである場合は(S2041)、そのままデータ受信処理を終える一方、動作ブロックフラグがONでなかった場合は(S2041:NO)、受信したデータに応じた動作命令(例えば印字等)を実施してから(S2043)、データ受信時処理を終える。
以上のようなデータ受信時処理をデバイス側で実行することにより、上記PC1側において実行される設定データ伝送処理が有効に機能し、所期の設定データ伝送がなされることになる。
以上説明したように、上記設定データ伝送処理によれば、設定データをネットワーク上の複数のデバイスに対して一括送信することができる。しかも、S263〜S267、S271〜S275、S283〜S287、S291〜S294の処理のいずれかにより、設定対象要件を満たすデバイスであるか否かを確認し(本発明でいう設定対象要件確認手段に相当)、設定対象要件を満たすことが確認されたデバイスを、設定対象デバイスとして選択してデバイスリストに追加しているので(本発明でいう設定対象デバイス選択手段に相当)、利用者は、設定対象デバイスを選択する作業を行わなくてもよい。
したがって、例えば、設定データの送信を行う必要があるデバイスと必要がないデバイス、どちらもが多数存在するような場合でも、利用者は、その中から設定データの送信を行う必要があるデバイスのみを選択するような作業を行わずに済み、それ故、利用者が誤選択を行ってしまうおそれもない。
特に、S263〜S267の処理では、特定のIPアドレスを持つデバイスだけが選択されるので、設定対象としたいデバイスに割り当てられたIPアドレスを利用者が知っている場合、初期値として利用されるIPアドレスが決まっているデバイスを設定対象としたい場合、あるいは、DHCPサーバが特定のネットワークアドレスをデバイスに割り当てることが決まっている場合に便利である。
また、S271〜S275の処理では、設定用フラグ(本発明でいう一括設定可否情報)がONになっているデバイスだけが選択されるので、デバイス側の設定用フラグをONにできる構成をデバイスが備えている場合に便利であり、この場合、利用者がIPアドレス等を意識しなくても、設定対象としたいデバイスを簡単に選択することができる。
また、S283〜S287の処理では、デバイスの作動に伴って増加する数値パラメータの一つである印字枚数が所定の閾値(実施形態中で示した具体例の場合、利用者が入力した閾値:10枚)を超えるほど増加していない場合に、デバイスだけが選択されるので、作動実績のない新規なデバイスを対象としたい場合に便利である。特に、この構成であれば、利用者がIPアドレス等を意識しなくても、設定対象としたいデバイスを簡単に選択することができ、また、デバイス側の設定用フラグをONにできる構成をデバイスが備えていなくてもよい。
さらに、デバイスは、一括設定を有効とする旨の設定がなされている状態(設定用フラグがONになっている状態)において、一括設定がなされたら、S2005の処理で設定値を設定した後、S2007の処理により、設定用フラグをOFFとして一括設定を無効とする旨の設定に変更するので(本発明でいう設定変更手段に相当)、一括設定がなされた後は、一括設定を無効とする旨の設定に変更する操作を利用者が実施しなくてもよい。
また、デバイス側においては、デバイス側でのスイッチ操作がなされた際、S2051〜S2053の処理により、設定用フラグ(本発明でいう一括設定可否情報)をONにするに当たり、動作ブロックフラグもONとし、S2041の処理では、動作ブロックフラグONの場合、S2043の処理による動作命令実施を禁止しているので(本発明でいう処理禁止手段に相当)、一括設定が完了していない状態で他の装置から何らかの処理を要求されたとしても、その処理はデバイスにおいて実行されない。したがって、一括設定が完了していない状態であるにもかかわらず、他の装置から要求された処理を実行したことが原因で、デバイスが不正に作動する、といった問題を招くおそれがない。
また、上記設定データ伝送処理によれば、ネットワーク上の複数のデバイスに対して一括送信する設定データは、代表デバイスと同じデータもしくはそのデータの一部を変更したデータとすることができ、その際、S266、S274、S286、S293の処理により、設定対象のモデルであるか否かを判定しているので、設定対象デバイスが代表デバイスと異機種であるにもかかわらず設定データが送信されてしまうことはなく、例えば、誤ってプリンタに対してスキャナの設定を送信したり、誤ってモノクロプリンタに対してカラープリンタ専用の設定を送信したりすることを、未然に防ぐことができる。
加えて、上記設定データ伝送処理によれば、Addボタン35が押されていた場合は(S211:YES)、S207の処理にてAddデバイス入力テキストボックス33にアドレスを入力することによって指定されたデバイスについて、S213の処理でデバイスリストに追加する処理を実行するので、設定対象要件を満たすことが確認されなかったデバイスについても、利用者の判断で任意に設定対象デバイスとして選択することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の具体的な一実施形態に限定されず、この他にも種々の形態で実施することができる。
例えば、上記実施形態においては、一括送信する設定データの元になる設定データをカレントデバイス(代表デバイス)から取得した後、カレントデバイス自体も設定対象デバイスとして選択できるように構成されていたので、カレントデバイスへの設定データ送信が不要な場合には、カレントデバイスの選択をRemoveボタン等を使って解除する必要があったが、一括送信を行う場合に、カレントデバイスについては、あらかじめ設定対象デバイスから除外されるように構成されていてもよい。
具体的には、例えば、図28に示したデバイスの設定値取得処理に対し、図42に示したS604、S615の処理を追加することにより、S605の処理によって設定値取得中デバイスから設定値を取得する前に、設定値取得中デバイスがカレントデバイスであるか否かを判断し(S604)、カレントデバイスであれば(S604:YES)、デバイスリスト内の該当デバイスエントリを無効として(S611)、S605〜S611の処理を実行することなく、S613の処理へと移行する。これにより、デバイスリスト内のカレントデバイスに該当するエントリについては、無効である旨の情報が登録される。
そして、図35に示した複数デバイス設定一括送信処理に対し、図43に示したS906の処理を追加するとともに、S913,S915の処理については削除することにより、S907〜S911の処理によって新設定データないし個別設定データの送信を行う前に、設定値送信中デバイスに該当するデバイスリスト内のエントリが無効であるか否かを判断し(S906)、無効であった場合は(S906:YES)、S907〜S911の処理を実行することなく、S917の処理へと移行する。
その結果、カレントデバイスについては、既設定データの取得処理、および新設定データないし個別設定データの送信処理が、共にスキップされることになるので、カレントデバイスについては、あらかじめ設定対象デバイスから除外されることになる。
また、上記実施形態では、印刷系デバイスの設定を例に挙げて説明したが、本発明は印刷系以外のデバイスに対する設定、例えば、スキャナ、ネットワークカメラなどの画像入力系デバイス、ファクシミリなどの画像通信系デバイス、ネットワークルータ、ネットワークポイントなどの通信経路系デバイス、ネットワークストレージなどの情報サーバ系デバイスなど、複数の装置で共通する設定値が使われる構成であれば利用することができる。
さらに、上記実施形態では、PC1だけが単独で設定データ伝送装置として機能するように構成してあったが、設定データ伝送装置を構成するのに必要な各手段を、複数のノードに分散させて配置してもよい。すなわち、設定データ伝送処理は、上記実施形態の如く単一の情報処理ノードが実行してもよいし、複数の情報処理ノードが分散処理にて実行してもよい。その場合、あるノードに配された手段の出力データが別のノードに配された手段の入力データとなるのであれば、あるノードで得られた出力データをネットワークを介して別のノードへと伝送して、そのネットワークシステム全体が、上記設定データ伝送装置と同等に機能するように構成する。これにより、ネットワークシステム内に、本発明の設定データ伝送装置と同等に機能する分散処理システム(例えば、図1中のPC1’、PC1”とPC1が分散処理する分散処理システム)を構成することができる。
1,1’,1”・・・パーソナルコンピュータ(PC)、2・・・ルータ、3〜5…プリンタ、7・・・LAN、101,301・・・CPU、102,302・・・ROM、103,303・・・RAM、105・・・入力部、106,306・・・表示部、107・・・ストレージデバイス、304・・・NVRAM、307・・・印刷部、108,308・・・ネットワークI/F、311・・・MIB、11・・・デバイス設定管理ツール初期画面、13・・・プリンタ設定機能初期画面、15・・・NIC設定ダイアログ、21・・・“Send Settings to Printer(s)”ダイアログ、41・・・設定対象条件選択ダイアログ、45,52・・・入力ウィンドウ、56・・・送信実行確認ダイアログ、63,64・・・設定変更内容詳細ウィンドウ、65・・・設定値変更ダイアログ、71・・・送信実行プログレスダイアログ、77・・・送信実行結果ダイアログ。