しかしながら、上記従来技術では、複数の装置へ設定データを一括送信した際、送信エラーの発生した装置があっても、単にエラーメッセージ等を表示する程度の対処しかなされていなかったため、送信エラーの原因を除去した後にあらためて設定データを送信しようとすると、かなり面倒な手間がかかるという欠点があった。
より詳しくは、上記従来技術の場合、送信エラーの原因を取り除いた後、その装置へあらためて設定データを送信するには、どの装置へ設定データの送信が必要なのかを利用者が覚えておいて、その装置を選択するところから作業をやり直さなければならない。そのため、例えば、設定データの再送信を行う必要がある装置と必要がない装置、どちらもが多数存在するような場合、設定データの再送信を行う必要がある装置のみを間違いなく選択するような作業は、きわめて面倒であった。そして、誤って不適切な選択を行ってしまった場合には、設定データの再送信を行う必要がある装置に設定データが送信されなかったり、逆に、設定データの再送信を行う必要がない装置に再び設定データが送信されたりするおそれがあった。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、複数のデバイスに対して設定データの一括転送を行う際、送信エラーが発生したデバイスが存在する場合には、そのデバイスを対象にして簡単に設定データを再送信することができる設定データ伝送プログラム、設定データ伝送装置、および設定データ伝送システムを提供することにある。
以下、本発明において採用した特徴的構成について説明する。
本発明の設定データ伝送プログラムは、ネットワークを介して接続されたデバイスを設定対象デバイスとして、複数の前記設定対象デバイスに一括して設定データを伝送可能な設定データ伝送処理を、コンピュータに実行させるための設定データ伝送プログラムであって、ネットワークを介して接続された複数のデバイスの中から、1以上の前記設定対象デバイスを選択する設定対象デバイス選択手順と、前記設定対象デバイスに対して伝送しようとする設定データを決定する設定データ決定手順と、前記設定対象デバイス選択手順において選択された前記設定対象デバイスに対して、前記設定データ決定手順において決定された前記設定データを伝送する設定データ伝送手順と、前記設定データ伝送手順において前記設定データの伝送に成功したか失敗したかを判断する伝送結果判断手順と、前記伝送結果判断手順において前記設定データの伝送に失敗したと判断された場合に、前記設定データの伝送に失敗した旨を表示する伝送結果表示手順と、利用者から再送指令を受けた場合に、前記設定対象デバイス選択手順において選択された前記設定対象デバイスのうち、前記設定データの伝送に失敗した前記設定対象デバイスを対象にして、前記設定データ決定手順において決定された前記設定データを再送する設定データ再送手順とをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
この設定データ伝送プログラムに従った処理をコンピュータが実行すると、コンピュータは、まず、設定対象デバイス選択手順において、利用者からの指示に従って、ネットワークを介して接続された複数のデバイスの中から、1以上の設定対象デバイスを選択する。この手順において選択される設定対象デバイスは、利用者からの指示に従って選択されるものであるが、利用者からの指示としては、例えば「入力装置からの手入力で特定のデバイスを指定する指示」、「ネットワーク上に存在するデバイスをサーチするとともに、そのサーチ結果として検出されたデバイスを設定対象デバイスとすべき旨の指示」などを挙げることができ、これらの指示を併用することもできる。
また、コンピュータは、設定データ決定手順において、設定対象デバイスに対して伝送しようとする設定データを決定する。この手順における設定データの決定方法は任意であるが、例えば、利用者が手入力した値を設定データと決定するといった方法でよく、この場合、あらかじめ設定データとなり得る初期値を用意しておいて、必要な場合のみ利用者に初期値を手入力で手直しさせ、初期値または手直しした値を設定データと決定するといった方法にしてもよい。また、設定データとなり得る複数の候補をあらかじめ用意しておいて、その複数の候補の中から1つ以上を利用者に選択させて、選択された候補を設定データと決定するといった方法でもよい。あるいは、設定データとしていくつかの項目がある場合、特定の項目については他の項目との関係で条件判定を行って最適な値や自己矛盾のない値を決定してもよい。設定データとしていくつかの項目がある場合、上記のような決定方法を任意に混在させても構わない。なお、この設定データ決定手順は、上述の設定対象デバイス選択手順より先に実施しても後に実施しても構わない。
続いて、コンピュータは、設定データ伝送手順において、設定データを設定対象デバイスに対して伝送する。この設定データ伝送手順では、設定対象デバイスが複数存在する場合、同じ設定データを複数の設定対象デバイスに対して伝送する。そして、コンピュータは、伝送結果判断手順において、設定データ伝送手順における設定データの伝送に成功したか失敗したかを、すべての設定対象デバイスそれぞれについて判断し、設定データの伝送に失敗したと判断された設定対象デバイスが1つでも存在する場合は、伝送結果表示手順において、設定データの伝送に失敗した旨を表示する。
したがって、この表示内容を見た利用者は、設定データの伝送に失敗したデバイスが存在することを知ることができ、必要があれば、コンピュータに対し再送指令を与えることができる。再送指令を与えるための具体的な方法は任意であり、例えば、設定データ伝送プログラムに従った処理を実行するコンピュータが備える入力装置において所定の操作を行うと再送指令が与えられるようになっていればよく、あるいは、設定データ伝送プログラムに従った処理を実行するコンピュータとは別のコンピュータが備える入力装置において所定の操作を行うとネットワーク経由で再送指令が与えられるようになっていてもよい。
このような方法で利用者からの再送指令を受けた場合、コンピュータは、設定データ再送手順において、設定データの伝送に失敗した設定対象デバイスを対象にして、設定データ決定手順において決定された設定データを再送する。
したがって、この設定データ伝送プログラムを利用すれば、ネットワーク上の複数のデバイスに対して設定データを一括送信することができ、しかも、その一括送信の際、送信エラーの発生したデバイスがあっても、送信エラーの原因を取り除いた後、利用者が再送指令を与えるだけで、設定データ再送手順において設定データを再送することができる。
特に、送信エラーの原因を取り除いた後、そのデバイスへあらためて設定データを送信したい場合、どのデバイスへ設定データの送信が必要なのかを利用者が覚えていなくても、設定データの再送が必要なデバイスはコンピュータが選択するので、設定データの再送信を行う必要があるデバイスを一から選び直す必要はなく、設定データの再送信を行う必要があるデバイスのみを間違いなく選択でき、設定データの再送信を行う必要があるデバイスに設定データが送信されなかったり、逆に、設定データの再送信を行う必要がないデバイスに再び設定データが送信されたりするおそれがない。
なお、本発明の設定データ伝送プログラムは、さらに次のような構成を備えていても望ましい。
まず、前記伝送結果判断手順において前記設定データの伝送に失敗したと判断されるエラー原因には、利用者が除去可能なエラー原因と利用者が除去不能なエラー原因とがあり、前記設定データ再送手順は、前記伝送結果判断手順において、前記利用者が除去可能なエラー原因によって前記設定データの伝送に失敗したと判断された場合に、前記設定データを再送する手順であると望ましい。
すなわち、設定データの伝送に失敗したと判断されるエラー原因には、利用者が入力した各種データに誤りがあった場合、デバイスの電源がオフになっている場合、通信ケーブルが抜けている場合など、状況さえわかれば利用者が簡単に除去できるエラー原因がある。一方、そもそも設定不能な設定データを送信しようとしている場合(より具体的には、プリンタに対してスキャナの設定を送信しようとしている場合、モノクロプリンタに対してカラープリンタ専用の設定を送信しようとしている場合)や、デバイスのハードウェアが故障している場合など、設定データの再送を行うことが無意味な状況や、状況がわかっても一般の利用者では対処が困難で、専門家による対処がなされないと簡単には除去できないエラー原因もある。
そこで、伝送結果判断手順において設定データの伝送に失敗したと判断することになるエラー原因を、利用者が除去可能なエラー原因と利用者が除去不能なエラー原因とに、あらかじめ分類しておき、伝送結果判断手順においては、単に設定データの伝送に成功したか失敗したかのみではなく、利用者が除去可能なエラー原因によって設定データの伝送に失敗したのか否かを判断するようにし、設定データ再送手順では、利用者が除去可能なエラー原因によって設定データの伝送に失敗した場合に、設定データを再送するようにする。
このようにすれば、利用者が除去可能なエラー原因によって設定データの伝送に失敗している場合に、設定データ再送手順により設定データを再送することができる。したがって、利用者がエラー原因を除去した後で、再度設定データを伝送することができるとともに、除去できないエラーに対しては、設定データを再送せず終了するので、設定データを伝送できないにもかかわらず再送要求されるということも防ぐ。
また、本発明の設定データ伝送プログラムにおいて、前記伝送結果判断手順は、前記設定対象デバイス選択手順において選択された前記設定対象デバイス毎に、前記設定データの伝送に成功したか失敗したかを判断するとともに、その判断結果を、前記設定対象デバイス毎に、前記コンピュータが備える記憶手段に記憶させる手順であり、前記設定データ再送手順は、前記伝送結果判断手順において前記記憶手段に記憶された前記判断結果に基づいて、前記設定データの伝送に失敗した前記設定対象デバイスを特定し、特定した前記設定対象デバイスを対象にして、前記設定データ決定手順において決定された前記設定データを再送する手順であると望ましい。
伝送結果判断手順において記憶手段に記憶させる判断結果は、設定データ再送手順において参照することにより、設定データの伝送に失敗した設定対象デバイスを特定できるような形式で記憶手段に記憶させてあれば、その具体的なデータ形式は任意である。
具体例を挙げれば、例えば、伝送結果判断手順では、設定データの伝送に失敗した設定対象デバイスの情報のみを記憶手段に記憶させればよく、この場合、設定データ再送手順では、記憶手段に情報が記憶されている設定対象デバイスすべてを、設定データの伝送に失敗した設定対象デバイスであると特定することができる。
また、例えば、伝送結果判断手順では、設定データの伝送に失敗したか否かにかかわらず、すべての設定対象デバイスの情報を記憶手段に記憶させ、その際、設定データの伝送に失敗した設定対象デバイスについては、その旨を示す情報(例えばフラグ)を併せて記憶手段に記憶させてもよく、この場合、設定データ再送手順では、記憶手段に記憶されている情報の中から、設定データの伝送に失敗した設定対象デバイスであることを示す情報(例えばフラグ)をサーチし、そのような情報が付された設定対象デバイスについて、設定データの伝送に失敗した設定対象デバイスであると特定することができる。
また、本発明の設定データ伝送プログラムにおいて、前記伝送結果表示手順は、前記伝送結果判断手順による前記設定対象デバイス毎の判断結果を、前記設定対象デバイス選択手順において選択されたすべての前記設定対象デバイスについてリスト化して表示する手段であり、さらに、利用者から再送指令を受けた場合に、前記設定対象デバイス選択手順において選択された前記設定対象デバイスのうち、前記設定データの伝送に成功した前記設定対象デバイスについて、前記伝送結果表示手順において表示したリストから削除して、削除後のリストを再表示する再送対象表示手順を有するプログラムであると望ましい。
このような設定データ伝送プログラムに従った処理をコンピュータが実行すると、コンピュータは、伝送結果表示手順において、伝送結果判断手順による設定対象デバイス毎の判断結果を、設定対象デバイス選択手順において選択されたすべての設定対象デバイスについてリスト化して表示する。したがって、利用者は表示されたリストを見て、どの設定対象デバイスにデータを伝送できたのか、どの設定対象デバイスにデータを伝送できなかったのか、といった事項を知ることができる。また、利用者から再送指令を受けた場合、コンピュータは、再送対象表示手順において、設定対象デバイス選択手順において選択された設定対象デバイスのうち、設定データの伝送に成功した設定対象デバイスについて、伝送結果表示手順において表示したリストから削除して、削除後のリストを再表示する。したがって、利用者は再表示されたリストを見て、どの設定対象デバイスにデータが再送されるのかを知ることができ、特に、設定データの伝送に成功した設定対象デバイスは削除されたリストが再表示されるので、設定データの伝送に成功した設定対象デバイスが混在するリストが表示されるものとは異なり、設定データの伝送に成功した設定対象デバイスと設定データの伝送に失敗した設定対象デバイスとを見誤ることがない。
また、本発明の設定データ伝送プログラムにおいて、前記設定データ伝送手順は、前記設定データの伝送を行う前に、前記設定対象デバイスに対して認証を要求する認証要求手順を有する手順であり、前記伝送結果判断手順は、前記認証要求手順における認証要求に応じた認証がなされたか否かを判定条件の一つとして、前記設定データの伝送に成功したか失敗したかを判断する手順であると望ましい。
このような設定データ伝送プログラムに従った処理をコンピュータが実行すると、コンピュータは、設定データの伝送を行う前に、認証要求手順において、設定対象デバイスに対して認証を要求するので、認証が必要となるデバイスを対象にして設定データを伝送することができる。また、伝送結果判断手順においては、認証要求手順における認証要求に応じた認証がなされたか否かを判定条件の一つとして、設定データの伝送に成功したか失敗したかを判断するので、何らかの原因で認証がなされなかった場合には、設定データの伝送に失敗したと判断されることになる。したがって、既に説明した伝送結果表示手順において、設定データの伝送に失敗した旨が表示されることになり、この表示内容を見た利用者は、認証がなされなかった原因について適切な対処をした上で、設定データの再送指令を与えるなど、必要な対処を行うことができる。
また、本発明の設定データ伝送プログラムにおいて、前記設定データ再送手順は、前記設定データの再送を行う前に、前記設定対象デバイスに対して認証を要求する再送時認証要求手順を有する手順であると望ましい。
このような設定データ伝送プログラムに従った処理をコンピュータが実行すると、コンピュータは、設定データの再送を行う前に、再送時認証要求手順において、設定対象デバイスに対して認証を要求するので、認証が必要となるデバイスを対象にして設定データを再送することができる。
以上のような認証要求手順または再送時認証要求手順は、前記設定対象デバイスに対して認証を要求する際に、前記設定対象デバイスに対して伝送することになるパスワードを利用者に入力させるためのパスワード入力画面を表示するパスワード入力画面表示手順を有する手順であるとよく、この場合、認証を行う際にパスワードが必要となるデバイスを対象にして設定データを伝送または再送することができる。
また、本発明の設定データ伝送プログラムにおいて、前記設定データ伝送手順は、前記設定データの伝送を行う前に、ネットワークを介して前記設定対象デバイスと通信可能か否かを判断する通信可否判断手順を有する手順であり、前記伝送結果判断手順は、前記通信可否判断手順おける判断結果を判定条件の一つとして、前記設定データの伝送に成功したか失敗したかを判断する手順であると望ましい。
このような設定データ伝送プログラムに従った処理をコンピュータが実行すると、コンピュータは、設定データの伝送を行う前に、通信可否判断手順において、ネットワークを介して設定対象デバイスと通信可能か否かを判断し、伝送結果判断手順では、通信可否判断手順おける判断結果を判定条件の一つとして、設定データの伝送に成功したか失敗したかを判断する。したがって、ネットワークを介して設定対象デバイスと通信可能な状態にない場合には、設定データの伝送に失敗したと判断されることになる。その結果、既に説明した伝送結果表示手順において、設定データの伝送に失敗した旨が表示されることになり、この表示内容を見た利用者は、デバイスの電源をオンにしたり、デバイスとの接続状態を確認したりするなど、設定対象デバイスと通信できない原因について適切な対処をした上で、設定データの再送指令を与えるなど、必要な対処を行うことができる。
また、本発明の設定データ伝送プログラムにおいて、前記設定データ伝送手順は、前記設定データの伝送を行う前に、前記設定対象デバイスがネットワークを介した設定変更を許可しているか禁止しているかを判断する設定変更可否判断手順を有する手順であり、前記伝送結果判断手順は、前記設定変更可否判断手順おける判断結果を判定条件の一つとして、前記設定データの伝送に成功したか失敗したかを判断する手順であると望ましい。
このような設定データ伝送プログラムに従った処理をコンピュータが実行すると、コンピュータは、設定データの伝送を行う前に、設定変更可否判断手順において、設定対象デバイスがネットワークを介した設定変更を許可しているか禁止しているかを判断し、伝送結果判断手順では、設定変更可否判断手順おける判断結果を判定条件の一つとして、設定データの伝送に成功したか失敗したかを判断する。したがって、設定対象デバイスがネットワークを介した設定変更を禁止している場合には、設定データの伝送に失敗したと判断されることになる。その結果、既に説明した伝送結果表示手順において、設定データの伝送に失敗した旨が表示されることになり、この表示内容を見た利用者は、設定対象デバイスにおいてネットワークを介した設定変更を許可する設定に切り替えるなど、エラー原因について適切な対処をした上で、設定データの再送指令を与えるなど、必要な対処を行うことができる。
また、本発明の設定データ伝送プログラムにおいて、前記設定データ再送手順は、前記設定対象デバイス選択手順において選択された前記設定対象デバイスの中から、前記設定データの伝送に成功した前記設定対象デバイスを削除した上で、再び、前記設定データ伝送手順、前記伝送結果判断手順、および前記伝送結果表示手順を実行するように制御する手順であると望ましい。
このような設定データ伝送プログラムに従った処理をコンピュータが実行すると、コンピュータは、設定対象デバイス選択手順において選択された設定対象デバイスの中から、設定データの伝送に成功した設定対象デバイスを削除した上で、再び、設定データ伝送手順、伝送結果判断手順、および伝送結果表示手順を実行することにより、設定データ再送手順としての処理を実行する。したがって、設定データ伝送手順から伝送結果判断手順を経て伝送結果表示手順に至る一連の処理を繰り返すことで、設定データ再送手順としての処理も実現できる。
なお、以上説明した設定データ伝送プログラムは、上述した通りの処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであるが、ここでいうコンピュータは、利用者が任意に選んだ様々なプログラムに従った処理を実行可能な汎用のコンピュータ(例えば、パーソナルコンピュータ)であってもよいし、設定データ伝送プログラムを含むいくつかの特定のプログラムのみを実行するように設計されたマイクロコンピュータであってもよい。
次に、本発明の設定データ伝送装置について説明する。
本発明の設定データ伝送装置は、ネットワークを介して接続されたデバイスを設定対象デバイスとして、複数の前記設定対象デバイスに一括して設定データを伝送可能な設定データ伝送装置であって、ネットワークを介して接続された複数のデバイスの中から、1以上の前記設定対象デバイスを選択する設定対象デバイス選択手段と、前記設定対象デバイスに対して伝送しようとする設定データを決定する設定データ決定手段と、前記設定対象デバイス選択手段によって選択された前記設定対象デバイスに対して、前記設定データ決定手段によって決定された前記設定データを伝送する設定データ伝送手段と、前記設定データ伝送手段による前記設定データの伝送に成功したか失敗したかを判断する伝送結果判断手段と、前記伝送結果判断手段によって前記設定データの伝送に失敗したと判断された場合に、前記設定データの伝送に失敗した旨を表示する伝送結果表示手段と、利用者から再送指令を受けた場合に、前記設定対象デバイス選択手段によって選択された前記設定対象デバイスのうち、前記設定データの伝送に失敗した前記設定対象デバイスを対象にして、前記設定データ決定手段によって決定された前記設定データを再送する設定データ再送手段とを備えたことを特徴とする。
この設定データ伝送装置において、設定対象デバイス選択手段は、利用者からの指示に従って、ネットワークを介して接続された複数のデバイスの中から、1以上の設定対象デバイスを選択する手段である。利用者からの指示としては、例えば「入力装置からの手入力で特定のデバイスを指定する指示」、「ネットワーク上に存在するデバイスをサーチするとともに、そのサーチ結果として検出されたデバイスを設定対象デバイスとすべき旨の指示」などを挙げることができ、これらの指示を併用することもできる。
また、設定データ決定手段は、設定対象デバイスに対して伝送しようとする設定データを決定する手段である。設定データの決定方法は任意であるが、例えば、利用者が手入力した値を設定データと決定するといった方法でよく、この場合、あらかじめ設定データとなり得る初期値を用意しておいて、必要な場合のみ利用者に初期値を手入力で手直しさせ、初期値または手直しした値を設定データと決定するといった方法にしてもよい。また、設定データとなり得る複数の候補をあらかじめ用意しておいて、その複数の候補の中から1つ以上を利用者に選択させて、選択された候補を設定データと決定するといった方法でもよい。あるいは、設定データとしていくつかの項目がある場合、特定の項目については他の項目との関係で条件判定を行って最適な値や自己矛盾のない値を決定してもよい。設定データとしていくつかの項目がある場合、上記のような決定方法を任意に混在させても構わない。
また、設定データ伝送手段は、設定データを設定対象デバイスに対して伝送する手段である。この設定データ伝送手段は、設定対象デバイスが複数存在する場合、同じ設定データを複数の設定対象デバイスに対して伝送する。
伝送結果判断手段は、設定データ伝送手段による設定データの伝送に成功したか失敗したかを、すべての設定対象デバイスそれぞれについて判断する手段である。
伝送結果表示手段は、設定データの伝送に失敗したと判断された設定対象デバイスが1つでも存在する場合に、設定データの伝送に失敗した旨を表示する手段である。この表示内容を見た利用者は、設定データの伝送に失敗したデバイスが存在することを知ることができ、必要があれば、コンピュータに対し再送指令を与えることができる。再送指令を与えるための具体的な方法は任意であり、例えば、設定データ伝送装置が備える入力装置において所定の操作を行うと再送指令が与えられるようになっていればよく、あるいは、設定データ伝送装置とは別の装置が備える入力装置において所定の操作を行うとネットワーク経由で再送指令が与えられるようになっていてもよい。
設定データ再送手段は、上記再送指令が与えられた場合に、設定データの伝送に失敗した設定対象デバイスを対象にして、設定データ決定手段によって決定された設定データを再送する手段である。
このように構成された設定データ伝送装置を利用すれば、ネットワーク上の複数のデバイスに対して設定データを一括送信することができ、しかも、その一括送信の際、送信エラーの発生したデバイスがあっても、送信エラーの原因を取り除いた後、利用者が再送指令を与えるだけで、設定データ再送手段によって設定データを再送することができる。
特に、送信エラーの原因を取り除いた後、そのデバイスへあらためて設定データを送信したい場合、どのデバイスへ設定データの送信が必要なのかを利用者が覚えていなくても、設定データの再送が必要なデバイスは設定データ伝送装置が選択するので、設定データの再送信を行う必要があるデバイスを一から選び直す必要はなく、設定データの再送信を行う必要があるデバイスのみを間違いなく選択でき、設定データの再送信を行う必要があるデバイスに設定データが送信されなかったり、逆に、設定データの再送信を行う必要がないデバイスに再び設定データが送信されたりするおそれがない。
なお、本発明の設定データ伝送装置は、さらに次のような構成を備えていても望ましい。
まず、前記伝送結果判断手段によって前記設定データの伝送に失敗したと判断されるエラー原因には、利用者が除去可能なエラー原因と利用者が除去不能なエラー原因とがあり、前記設定データ再送手段は、前記伝送結果判断手段により、前記利用者が除去可能なエラー原因によって前記設定データの伝送に失敗したと判断された場合に、前記設定データを再送する手段であると望ましい。
このようにすれば、利用者が除去可能なエラー原因によって設定データの伝送に失敗している場合に、設定データ再送手段により設定データを再送することができる。
また、本発明の設定データ伝送装置において、前記伝送結果判断手段は、前記設定対象デバイス選択手段によって選択された前記設定対象デバイス毎に、前記設定データの伝送に成功したか失敗したかを判断するとともに、その判断結果を、前記設定対象デバイス毎に、前記設定データ伝送装置が備える記憶手段に記憶させる手段であり、前記設定データ再送手段は、前記伝送結果判断手段によって前記記憶手段に記憶された前記判断結果に基づいて、前記設定データの伝送に失敗した前記設定対象デバイスを特定し、特定した前記設定対象デバイスを対象にして、前記設定データ決定手段によって決定された前記設定データを再送する手段であると望ましい。
伝送結果判断手段によって記憶手段に記憶させる判断結果は、設定データ再送手段が参照することにより、設定データの伝送に失敗した設定対象デバイスを特定できるような形式で記憶手段に記憶させてあれば、その具体的なデータ形式は任意である。
具体例を挙げれば、例えば、伝送結果判断手段では、設定データの伝送に失敗した設定対象デバイスの情報のみを記憶手段に記憶させればよく、この場合、設定データ再送手段では、記憶手段に情報が記憶されている設定対象デバイスすべてを、設定データの伝送に失敗した設定対象デバイスであると特定することができる。
また、例えば、伝送結果判断手段では、設定データの伝送に失敗したか否かにかかわらず、すべての設定対象デバイスの情報を記憶手段に記憶させ、その際、設定データの伝送に失敗した設定対象デバイスについては、その旨を示す情報(例えばフラグ)を併せて記憶手段に記憶させてもよく、この場合、設定データ再送手段では、記憶手段に記憶されている情報の中から、設定データの伝送に失敗した設定対象デバイスであることを示す情報(例えばフラグ)をサーチし、そのような情報が付された設定対象デバイスについて、設定データの伝送に失敗した設定対象デバイスであると特定することができる。
また、本発明の設定データ伝送装置において、前記伝送結果表示手段は、前記伝送結果判断手段による前記設定対象デバイス毎の判断結果を、前記設定対象デバイス選択手段において選択されたすべての前記設定対象デバイスについてリスト化して表示する手段であり、さらに、利用者から再送指令を受けた場合に、前記設定対象デバイス選択手段によって選択された前記設定対象デバイスのうち、前記設定データの伝送に成功した前記設定対象デバイスについて、前記伝送結果表示手段によって表示されたリストから削除して、削除後のリストを再表示する再送対象表示手段を有する装置であると望ましい。
このような設定データ伝送装置において、伝送結果表示手段は、伝送結果判断手段による設定対象デバイス毎の判断結果を、設定対象デバイス選択手段において選択されたすべての設定対象デバイスについてリスト化して表示する。したがって、利用者は表示されたリストを見て、どの設定対象デバイスにデータを伝送できたのか、どの設定対象デバイスにデータを伝送できなかったのか、といった事項を知ることができる。また、利用者から再送指令を受けた場合、再送対象表示手段は、設定対象デバイス選択手段によって選択された設定対象デバイスのうち、設定データの伝送に成功した設定対象デバイスについて、伝送結果表示手段によって表示されたリストから削除して、削除後のリストを再表示する。したがって、利用者は再表示されたリストを見て、どの設定対象デバイスにデータが再送されるのかを知ることができる。特に、設定データの伝送に成功した設定対象デバイスは削除されたリストが再表示されるので、設定データの伝送に成功した設定対象デバイスが混在するリストが表示されるものとは異なり、利用者は、設定データの伝送に成功した設定対象デバイスと設定データの伝送に失敗した設定対象デバイスとを見誤ることがない。
また、本発明の設定データ伝送装置において、前記設定データ伝送手段は、前記設定データの伝送を行う前に、前記設定対象デバイスに対して認証を要求する認証要求手段を有する手段であり、前記伝送結果判断手段は、前記認証要求手段における認証要求に応じた認証がなされたか否かを判定条件の一つとして、前記設定データの伝送に成功したか失敗したかを判断する手段であると望ましい。
このような設定データ伝送装置によれば、設定データの伝送を行う前に、認証要求手段は、設定対象デバイスに対して認証を要求するので、認証が必要となるデバイスを対象にして設定データを伝送することができる。また、伝送結果判断手段は、認証要求手段による認証要求に応じた認証がなされたか否かを判定条件の一つとして、設定データの伝送に成功したか失敗したかを判断するので、何らかの原因で認証がなされなかった場合には、設定データの伝送に失敗したと判断されることになる。したがって、既に説明した伝送結果表示手段において、設定データの伝送に失敗した旨が表示されることになり、この表示内容を見た利用者は、認証がなされなかった原因について適切な対処をした上で、設定データの再送指令を与えるなど、必要な対処を行うことができる。
また、本発明の設定データ伝送装置において、前記設定データ再送手段は、前記設定データの再送を行う前に、前記設定対象デバイスに対して認証を要求する再送時認証要求手段を有する手段であると望ましい。
このような設定データ伝送装置によれば、設定データの再送を行う前に、再送時認証要求手段は、設定対象デバイスに対して認証を要求するので、認証が必要となるデバイスを対象にして設定データを再送することができる。
以上のような認証要求手段または再送時認証要求手段は、前記設定対象デバイスに対して認証を要求する際に、前記設定対象デバイスに対して伝送することになるパスワードを利用者に入力させるためのパスワード入力画面を表示するパスワード入力画面表示手段を有する手段であるとよく、この場合、認証を行う際にパスワードが必要となるデバイスを対象にして設定データを伝送または再送することができる。
また、本発明の設定データ伝送装置において、前記設定データ伝送手段は、前記設定データの伝送を行う前に、ネットワークを介して前記設定対象デバイスと通信可能か否かを判断する通信可否判断手段を有する手段であり、前記伝送結果判断手段は、前記通信可否判断手段おける判断結果を判定条件の一つとして、前記設定データの伝送に成功したか失敗したかを判断する手段であると望ましい。
このような設定データ伝送装置によれば、設定データの伝送を行う前に、通信可否判断手段は、ネットワークを介して設定対象デバイスと通信可能か否かを判断し、伝送結果判断手段は、通信可否判断手段おける判断結果を判定条件の一つとして、設定データの伝送に成功したか失敗したかを判断する。したがって、ネットワークを介して設定対象デバイスと通信可能な状態にない場合には、設定データの伝送に失敗したと判断されることになる。その結果、既に説明した伝送結果表示手段によって、設定データの伝送に失敗した旨が表示されることになり、この表示内容を見た利用者は、デバイスの電源をオンにしたり、デバイスとの接続状態を確認したりするなど、設定対象デバイスと通信できない原因について適切な対処をした上で、設定データの再送指令を与えるなど、必要な対処を行うことができる。
また、本発明の設定データ伝送装置において、前記設定データ伝送手段は、前記設定データの伝送を行う前に、前記設定対象デバイスがネットワークを介した設定変更を許可しているか禁止しているかを判断する設定変更可否判断手段を有する手段であり、前記伝送結果判断手段は、前記設定変更可否判断手段おける判断結果を判定条件の一つとして、前記設定データの伝送に成功したか失敗したかを判断する手段であると望ましい。
このような設定データ伝送装置によれば、設定データの伝送を行う前に、設定変更可否判断手段は、設定対象デバイスがネットワークを介した設定変更を許可しているか禁止しているかを判断し、伝送結果判断手段は、設定変更可否判断手段おける判断結果を判定条件の一つとして、設定データの伝送に成功したか失敗したかを判断する。したがって、設定対象デバイスがネットワークを介した設定変更を禁止している場合には、設定データの伝送に失敗したと判断されることになる。その結果、既に説明した伝送結果表示手段によって、設定データの伝送に失敗した旨が表示されることになり、この表示内容を見た利用者は、設定対象デバイスにおいてネットワークを介した設定変更を許可する設定に切り替えるなど、エラー原因について適切な対処をした上で、設定データの再送指令を与えるなど、必要な対処を行うことができる。
なお、以上説明した設定データ伝送装置は、先に説明した設定データ伝送プログラムと、この設定データ伝送プログラムに従った処理を実行可能なコンピュータとを利用して構成することができる。ここでいうコンピュータは、既に説明した通り、利用者が任意に選んだ様々なプログラムに従った処理を実行可能な汎用のコンピュータ(例えば、パーソナルコンピュータ)であってもよいし、設定データ伝送プログラムを含むいくつかの特定のプログラムのみを実行するように設計されたマイクロコンピュータであってもよく、双方とも本発明の設定データ伝送装置に包含される。また、本発明の設定データ伝送装置としての機能のみを備えているもの、本発明の設定データ伝送装置としての機能以外に他の機能をも備えているもの、これら双方とも本発明の設定データ伝送装置に包含される。
次に、本発明の設定データ伝送システムについて説明する。
本発明の設定データ伝送システムは、ネットワークを介して接続されたデバイスを設定対象デバイスとして、複数の前記設定対象デバイスを備えてなり、複数の前記設定対象デバイスに一括して設定データを伝送可能な設定データ伝送処理を、前記ネットワーク上の単一のノードが集中処理、または、前記ネットワーク上の複数のノードからなるノード群が分散処理するように構成されている設定データ伝送システムであって、前記単一のノードまたは前記複数のノードからなるノード群が、ネットワークを介して接続された複数のデバイスの中から、1以上の前記設定対象デバイスを選択する設定対象デバイス選択手段と、前記設定対象デバイスに対して伝送しようとする設定データを決定する設定データ決定手段と、前記設定対象デバイス選択手段によって選択された前記設定対象デバイスに対して、前記設定データ決定手段によって決定された前記設定データを伝送する設定データ伝送手段と、前記設定データ伝送手段による前記設定データの伝送に成功したか失敗したかを判断する伝送結果判断手段と、前記伝送結果判断手段によって前記設定データの伝送に失敗したと判断された場合に、前記設定データの伝送に失敗した旨を表示する伝送結果表示手段と、利用者から再送指令を受けた場合に、前記設定対象デバイス選択手段によって選択された前記設定対象デバイスのうち、前記設定データの伝送に失敗した前記設定対象デバイスを対象にして、前記設定データ決定手段によって決定された前記設定データを再送する設定データ再送手段とを備えていることを特徴とする。
このような設定データ伝送システムであれば、ネットワーク上の単一のノードまたは複数のノードからなるノード群が、上述の設定データ伝送装置が備えていた各手段を備えているので、単一のノードが集中処理するか、複数のノードからなるノード群が分散処理を行うことにより、システム全体で上述の設定データ伝送装置と同等の機能を実現でき、上述の設定データ伝送装置と同様な作用、効果を得ることができる。
なお、以上説明した設定データ伝送システムにおいても、上記設定データ伝送装置と同様の望ましい手段を採用できるのはもちろんである。
次に、本発明の実施形態について一例を挙げて説明する。
図1は、本発明の設定データ伝送システムに相当する構成を含むネットワークシステムの概略構成図である。
このネットワークシステムは、複数のパーソナルコンピュータ(以下、PCと略称する)1,1’,1”と、ルータ2と、複数のプリンタ3,4,5と、これらの機器を含む複数のノードを相互に接続するLAN(Local Area Network)7とを備えてなる。
PC1,1’,1”は、本発明でいうコンピュータに相当し、PC1を例に挙げて内部構成を説明すると、周知の通り、CPU101、ROM102、RAM103、キーボードやポインティングデバイスなどで構成される入力部105、表示部106、ハードディスクなどのストレージデバイス107、LAN7に接続するために利用されるネットワークI/F108等を備えている。また、これらのハードウェアを制御するため、PC1には、マルチタスク機能を有するOS(Operating System)が搭載されている。このようなOSの具体例としては、例えば、Windows(登録商標)、Linux(登録商標)、MacOS(登録商標)などを挙げることができる。これら各OSによって提供される各種機能は公知なので、ここでの詳細な説明は省略するが、以下の説明においては、PC1が、Windows(登録商標)によって提供される各種機能を有するとの前提で説明を続ける。PC1が備えるCPU101は、OSのマルチタスク機能により、複数のソフトウェアに基づく処理を時分割で並列に実行することができ、そのような処理の一つとして、後から詳述する設定データ伝送処理を実行するように構成されている。なお、PC1’,1”も、機能的にはPC1とほぼ同様に構成されているものなので、内部構成についての詳細な説明は省略する。
ルータ2は、ルータ2を介して接続された一方のネットワークから他方のネットワークへデータを中継する装置である。
プリンタ3〜5は、本発明でいうデバイスに相当し、プリンタ3を例に挙げて内部構成を説明すると、CPU301、ROM302、RAM303、NVRAM304(Non Volatile RAM)、各種メッセージ等を表示するための表示部306、記録媒体に対して画像を記録する印刷部307、LAN7に接続するために利用されるネットワークI/F308等を備えている。PC1において後述する設定データ伝送処理が実行された際には、PC1がプリンタ3〜5のいずれかから設定データを取得したり、PC1からプリンタ3〜5に対して設定データが伝送されたりする。
本実施形態において、PC1とプリンタ3〜5との間で設定データをやり取りする際には、簡易ネットワーク管理プロトコル(SNMP:Simple Network Management Protocol)が利用され、各プリンタ3〜5には、SNMPにおいて利用される管理情報ベース(MIB;Management Information Base)が設けられている(例えば、プリンタ3の場合は、NVRAM304内のMIB311)。PC1がプリンタ3〜5のいずれかから設定データを取得する際には、PC1がプリンタ3〜5に対してSNMPによるデータ取得要求を発行し、プリンタ3〜5は、PC1からのデータ取得要求に対する応答として、プリンタ3〜5内で管理しているMIB(例えば、プリンタ3の場合はMIB311)内に格納されている設定データをPC1に提供する。また、PC1がプリンタ3〜5のいずれかに対して設定データを送信する際には、PC1がプリンタ3〜5に対して設定データを含む、SNMPによるデータ設定要求を発行し、プリンタ3〜5は、PC1からのデータ設定要求に応じて、プリンタ3〜5内で管理しているMIB(例えば、プリンタ3の場合はMIB311)内に設定データを格納する。
次に、PC1において実行される設定データ伝送処理について説明する。
本実施形態において、設定データ伝送処理としては、大別すると二種類の処理があり、一つは印刷系デバイス(=プリンタやプリンタ機能を有するMFP(Multi-Function Product;マルチファンクションプロダクト);本実施形態ではプリンタ3〜5など)自体の設定に関する処理(以下、第1の設定データ伝送処理という)、もう一つはその印刷系デバイスが備えるNIC(Network Interface Card;図1に例示したプリンタ3の場合、ネットワークI/F308)の設定に関する処理(以下、第2の設定データ伝送処理という)となっている。これら第1,第2の設定データ伝送処理を比較すると、起動のためのUI(ユーザーインターフェース)、設定対象、個々の設定項目などは、両処理で異なっているものの、処理全体の流れについては、一部を除き、両処理でほぼ同様の処理となっている。
そこで、以下の説明では、上記第1,第2の設定データ伝送処理で相違する箇所がある場合にのみ、その相違点について詳述することにし、相違点がない場合は、上記第1,第2の設定データ伝送処理を、特に区別することなく設定データ伝送処理として説明することにする。
まず、第1,第2の設定データ伝送処理それぞれを開始するまでのUIについて説明する。
第1の設定データ伝送処理を開始したい場合、利用者は、まずPC1においてデバイス設定管理ツールを起動する。すると、PC1の表示部には、図2に示すような、デバイス設定管理ツール初期画面11が表示される。このデバイス設定管理ツール初期画面11には、ネットワーク上で検出された印刷系デバイス(プリンタやMFP;本実施形態ではプリンタ3〜5など)が一覧表示される。このデバイス設定管理ツール初期画面11において、1つの印刷系デバイスを代表デバイスとして選択して、図3に示すように、デバイス設定管理ツール初期画面11内にあるメニューバー上で「Control」をクリック(=ポインティングデバイスを使って「Control」をポイントして、ポインティングデバイスが有するボタンを押す操作;以下、単にクリックという)し、そのクリックに伴って表示されるプルダウンメニューの中で、「Configure Printer」をクリックすると、図4に示すような、プリンタ設定機能初期画面13が表示される。このプリンタ設定機能初期画面13は、印刷系デバイス(プリンタやMFP)の設定を行うための画面で、プリンタ設定機能初期画面13内には、デバイス設定管理ツール初期画面11において選択した1つの印刷系デバイスに関し、現在設定されている設定内容などが表示されている。このプリンタ設定機能初期画面13において、図5に示すように、画面内にあるメニューバー上で「Config」をクリックし、そのクリックに伴って表示されるプルダウンメニューの中で、「Send Settings to Printer(s)」をクリックすると、PC1は、第1の設定データ伝送処理を開始することになる。
一方、第2の設定データ伝送処理を開始したい場合、利用者は、まずPC1において上述のデバイス設定管理ツールを起動して、上述のデバイス設定管理ツール初期画面11を表示した後、デバイス設定管理ツール初期画面11(図2参照)において、1つの印刷系デバイスを代表デバイスとして、その代表デバイスをダブルクリックするか、あるいは、その代表デバイスをクリックした上で、デバイス設定管理ツール初期画面11内にあるメニューバー上で「Control」をクリックし、そのクリックに伴って表示されるプルダウンメニューの中で、「Configure Print Server」をクリックすると、図6に示すような、NIC設定ダイアログ15が表示される。このNIC設定ダイアログ15において、画面内の「General」タブにあるSendボタン17をクリックすると、PC1は、第2の設定データ伝送処理を開始することになる。
以下、第1,第2の設定データ伝送処理を開始した後の説明については、特に断りがない限り、両処理を区別することなく設定データ伝送処理として説明を続ける。
設定データ伝送処理を開始すると、PC1は、図7に示すように、まず“Send Settings to Printer(s)”ダイアログ処理を実行する(S101)。この“Send Settings to Printer(s)”ダイアログ処理は、詳しくは図8に示すような処理となる。
“Send Settings to Printer(s)”ダイアログ処理を開始すると、PC1は、図8に示すように、“Send Settings to Printer(s)”ダイアログ21(図9参照)を表示する(S201)。“Send Settings to Printer(s)”ダイアログ21は、図9に示すように、送信対象選択用ラジオボタン23、設定送信種類切り替え指示欄25、デバイスリスト表示欄27、Searchボタン29、Removeボタン31、Addデバイス入力テキストボックス33、Addボタン35、OKボタン37、Cancelボタン39などを備えた画面である。初期表示状態では、送信対象選択用ラジオボタン23は“Current Printer”にセットされ、設定送信種類切り替え指示欄25、デバイスリスト表示欄27、Searchボタン29、Removeボタン31、Addデバイス入力テキストボックス33、Addボタン35は、全てグレーアウト表示(=利用者が操作できないことを示す表示状態;以下同様)となっている。また、処理内容の詳細については後述するが、利用者が送信対象選択用ラジオボタン23を“Multiple Printers”にした場合、図10に示すように、設定送信種類切り替え指示欄25、デバイスリスト表示欄27、Searchボタン29、Addデバイス入力テキストボックス33、Addボタン35のグレーアウト表示は解除される。グレーアウト表示が解除された場合、設定送信種類切り替え指示欄25においては、1:Send all Current Values、2:Send all Update Values、3:Send Current and Update Values、以上3つの選択肢のうち、いずれかを選択できるようになる。さらに、後述する処理の中で、デバイスリスト表示欄27に1以上の印刷系デバイス(以下、単にデバイスという)が表示された(選択状態とされた)場合に、Removeボタン31のグレーアウト表示は解除される。
以上のような“Send Settings to Printer(s)”ダイアログ21を表示したら、続いて、PC1は、“Send Settings to Printer(s)”のデバイスリスト(デバイスリスト表示欄27の内容)を表示する(S203)。初期表示状態では、上述の通り、デバイスリスト表示欄27はグレーアウト表示となっており、実際には表示を行わない(図9参照)。また、後述の処理で、利用者が送信対象選択用ラジオボタン23を“Multiple Printers”にした場合、グレーアウト表示は解除され、デバイスの検索が自動的に実施される。デバイスの検索で検出されたデバイスに関する情報はデバイスリストに登録され、その情報がデバイスリスト表示欄27に表示されることになる(図10参照)。
S203の処理を終えたら、PC1は、“Send Settings to Printer(s)”ダイアログ21のボタンとキーの入力を受け付ける(S205)。ここで、利用者は、PC1の入力部を利用し、送信対象選択用ラジオボタン23の切り替え入力、設定送信種類切り替え指示欄25の切り替え入力、Addデバイス入力テキストボックス33へのアドレス入力、Searchボタン29、Removeボタン31、Addボタン35、OKボタン37、またはCancelボタン39の押下操作などを行うことができる。
そして、S205の処理において、Addデバイス入力テキストボックス33へのアドレス入力が行われていた場合(S207:YES)、Addデバイス入力テキストボックス33への文字列入力に関する処理を行い(S209)、S205の処理へと戻る。
また、S205の処理において、Addデバイス入力テキストボックス33へのアドレス入力ではなく(S207:NO)、Addボタン35が押されていた場合は(S211:YES)、S207の処理にてAddデバイス入力テキストボックス33にアドレスを入力することによって指定されたデバイスについて、デバイスリストに追加する処理を実行する(S213)。このS213の処理は、詳しくは図11に示すような処理となる。
すなわち、PC1は、図11に示すように、まず、Addデバイス入力テキストボックス33に入力されたアドレスを持つデバイスからノード名、ロケーション等の情報を取得する(S301)。ここで、情報の取得に成功した場合は(S303:YES)、デバイスリストにデバイスを追加する(S305)。その結果、デバイスリスト表示欄27には、Addデバイス入力テキストボックス33に入力されたアドレスを持つデバイスについての情報が追加表示される。一方、S301の処理で、情報の取得に失敗した場合は(S303:NO)、通信エラーのメッセージボックスを表示してRetry/Cancelボタンの入力を待つ(S307)。ここで、利用者がRetry/Cancelボタンのいずれかを押下するとS307の処理を抜け、Retryボタンが入力された場合は(S309:Retry)、S301の処理へと戻る。そして、S305の処理を終えるか、S307の処理においてCancelボタンが入力されていた場合は(S309:Cancel)、図11に示した処理を終了し、これにより、図8に示したS213の処理を終えることになるので、S203の処理へと戻る。
また、S205の処理において、Addボタン35が押されたのではなく(S211:NO)、Removeボタン31が押されていた場合は(S215:YES)、デバイスリストから指定デバイスを削除して(S217)、S203の処理へと戻る。削除するデバイスの指定は、Removeボタン31を押す前にデバイスリスト表示欄27において行われ、Removeボタン31を押すと、デバイスリスト表示欄27において指定されていたデバイスが、デバイスリスト表示欄27から削除される。
また、S205の処理において、Removeボタン31が押されたのではなく(S215:NO)、Searchボタン29が押されていた場合は(S219:YES)、ネットワーク上のデバイスの検索を実行し、デバイスリストを更新する(S221)。より具体的には、PC1は、SNMPを利用して、デバイスからの応答を要求するパケットをブロードキャストして、数秒間応答を待つ。ここで、ネットワーク上のデバイスの中に、上記パケットに対する応答を返すことができるデバイスが存在する場合、そのデバイスは応答を返す。また、上記パケットに対する応答を返すことができないデバイスは、受信したパケットを単に破棄する。したがって、PC1は、パケットに対する応答を取得し、この応答を返したデバイスについて、本システムによる設定対象となるデバイスと認識してデバイスリストを更新し、デバイスリスト表示欄27に追加表示する。そして、S221の処理を終えたら、S203の処理へと戻る。なお、このS221の処理では、利用者が望まないデバイスまで追加されることがあるが、その場合は、上述したRemoveボタン31を利用して不要なデバイスについて削除(選択の解除)を行えばよい。
また、S205の処理において、Searchボタン29が押されたのではなく(S215:NO)、送信対象選択用ラジオボタン23および設定送信種類切り替え指示欄25を利用して設定送信種類の切り替え操作が行われた場合は(S223:YES)、設定送信の種類を変更して、その変更に合わせてダイアログ21内のグレーアウト状態等も変更し、ダイアログ21内の再表示を行う(S225)。そして、必要に応じてデバイスの検索とデバイスリストの更新を行う(S227)。このS227の処理は、詳しくは図12に示すような処理となる。
すなわち、PC1は、図12に示すように、まず、送信対象選択用ラジオボタン23で、“Multiple Printers”が選択されていば(S401:YES)、デバイスリスト作成済みでない場合は(S403:NO)、デバイスの検索を行って、新たにデバイスリストを作成し(S405)、既にデバイスリスト作成済みである場合は(S403:YES)、S405の処理をスキップする。そして、設定送信種類切り替え指示欄25において“Send all Current Values”が指定されておらず(S407:NO)、且つ、“Send Current and Update Values”も指定されていない場合(S409:NO)、“Send all Update Values”が指定されていることになるので、デバイスリスト内のカレントデバイス(=第1,第2の設定データ伝送処理それぞれを開始するまでのUIで選択した代表デバイス)を示すエントリを有効とする(S411)。このS411の処理により、デバイスリスト内で有効とされたエントリは、以後、表示や設定送信などの処理を行う際に、処理対象とされることになる。また、設定送信種類切り替え指示欄25において“Send all Current Values”が指定されておらず(S407:NO)、且つ、“Send Current and Update Values”が指定されていた場合(S409:YES)、カレントデバイスに対して未反映の更新設定値があるかどうかをチェックする(S413)。ここで、未反映の更新設定値があれば(S413:YES)、デバイスリスト内のカレントデバイス(=代表デバイス)を示すエントリを有効とし(S411)、未反映の更新設定値がなければ(S413:NO)、デバイスリスト内のカレントデバイス(=代表デバイス)を示すエントリを無効とする(S415)。このS415の処理により、デバイスリスト内で無効とされたエントリは、以後、表示や設定送信などの処理を行う際に、処理対象から除外されることになる。また、設定送信種類切り替え指示欄25において“Send all Current Values”が指定されていれば(S407:YES)、デバイスリスト内のカレントデバイス(=代表デバイス)を示すエントリを無効とする(S415)。一方、S401の処理において、送信対象選択用ラジオボタン23で、“Multiple Printers”が選択されていなければ(S401:NO)、“Current Printer”が選択されていることになるので、デバイスリストを削除する(S417)。こうして図12中にあるS411,S415,S417の処理のいずれかを終えると、図12に示した処理を終え、その結果、図8に示したS227の処理を終えたことになるので、S203の処理へと戻る。
また、S205の処理において、設定送信種類の切り替え操作が行われておらず(S223:NO)、OKボタン37が押された場合(S229:YES)、あるいはCancelボタン39が押された場合は(S229:NO,S231:YES)、“Send Settings to Printer(s)”ダイアログ21の表示を消去する(S233)。OKボタン37は、処理の続行を指示するボタンであり、Cancelボタン39は、処理の中止を指示するボタンであるが、ここで処理続行を指示したか処理中止を指示したかは、後述するS103の処理で参照されることになる。なお、S205の処理において、Cancelボタン39が押されていない場合は(S231:NO)、有効な操作がなされていないことになるので、そのままS205の処理へと戻る。
こうして図8中にあるS233の処理を終えると、図8に示した“Send Settings to Printer(s)”ダイアログ処理を終了し、その結果、図7に示したS101の処理を終えたことになるので、続いて、PC1は、図7に示した通り、上述のS205の処理においてOKボタン37が押されたのか否かを判断する(S103)。ここで、OKボタン37が押されていなかった場合は(S103:NO)、Cancelボタン39が押されていたことになるので、以降の処理は中止して、そのまま設定データ伝送処理を終えることになる。
一方、OKボタン37が押されていた場合は(S103:YES)、送信実行確認ダイアログ処理を実行する(S105)。この送信実行確認ダイアログ処理は、詳しくは図13に示すような処理となる。
送信実行確認ダイアログ処理を開始すると、PC1は、図13に示すように、送信実行確認ダイアログ41(図14参照)を表示する(S501)。送信実行確認ダイアログ41は、デバイスへ設定データを送信した場合に設定変更がなされるか否かを示す情報や、デバイスが現在通信可能な状態にあるか否かを示す情報などを表示するためのダイアログで、図14に示すように、デバイスリスト表示欄43、Searchボタン45、Refreshボタン47、Removeボタン49、Cancelボタン51、Sendボタン53などを備えた画面となっている。ただし、図14中、デバイスリスト表示欄43内の個々の情報は、後述するS505の処理において表示されることになる。
送信実行確認ダイアログ41を表示したら、続いて、PC1は、デバイスの設定値取得処理を実行する(S503)。このS503の処理は、詳しくは図15に示すような処理となる。
すなわち、PC1は、図15に示すように、まず、設定値取得中デバイスを示す番号を初期化する(S601)。この設定値取得中デバイスを示す番号は、デバイスリスト(=初期値は、先に説明した“Send Settings to Printer(s)”ダイアログ処理にて生成されたデバイスリスト。ただし、後述の処理で更新されることもあり。)内のエントリを先頭から順に処理するための指標として用いられる変数であり、S601の処理では、例えば、デバイスリスト内の先頭エントリを指し示すため、設定値取得中デバイスを示す番号iがi=1として初期化される。続いて、PC1は、全デバイス処理済みか否かを判断する(S603)。ここでは、例えば、全デバイスがn台ある場合、上述の設定値取得中デバイスを示す番号iがi≦nか否かを判断すればよい。S603の処理で、全デバイス処理済みでないと判断された場合(S603:NO)、設定値取得中デバイスから設定値を取得する(S605)。ここで、設定値取得中デバイスとは、デバイスリスト内にあるn台のデバイスのうち、デバイスリスト中でi番目(iは設定値取得中デバイスを示す番号)のエントリに対応するデバイスのことである。設定値取得中デバイスからの設定値の取得は、具体的には、SNMPプロトコルを利用し、PC1が設定値取得中デバイスに対してデータ取得要求を発行し、設定値取得中デバイスが、PC1からのデータ取得要求に対する応答として、設定値取得中デバイスが内部的に管理しているMIB(例えば、プリンタ3の場合はMIB311)内に格納されている設定データをPC1に提供する。また、各デバイスから設定値を取得する設定項目は、先に説明した“Send Settings to Printer(s)”ダイアログ21の設定送信種類切り替え指示欄25にて選択された設定送信の種類に応じて変わる。具体的には、設定送信の種類が“Send all Current Values”または“Send Current and Update Values”の場合は、全ての設定項目(但し、デバイスで設定可能な全項目ではなく、本設定データ伝送処理での設定対象としてデバイスのモデル毎にあらかじめ決められているいくつかの項目すべて)、“Send all Update Values”の場合は実際に更新する予定になっている設定項目、以上の設定項目について設定値が取得される。PC1では、設定値取得中デバイスから設定値を取得できたか否かを判断し(S607)、設定値を取得できた場合は(S607:YES)、設定値をデバイスリストに(=デバイスリスト内の該当デバイスエントリに)登録する(S609)。このとき、取得した設定値が送信しようとしている設定値と全て一致するなら“Identical”、一部でも相違するなら“Change”、以上いずれかの状態情報も併せてデバイスリストに登録する。また、設定値を取得できなかった場合は(S607:NO)、エラー情報をデバイスリストに(=デバイスリスト内の該当デバイスエントリに)書き込む(S611)。具体的には、上述の状態情報(“Identical”または“Change”)の代わりに、状態情報として“Connection Error”を登録する。そして、S609またはS611いずれかの処理を終えたら、設定取得中デバイスを示す番号を更新して(S613)、S603の処理へと戻る。S613の処理は、例えば、設定値取得中デバイスを示す番号iを1だけカウントアップする処理となる。こうしてS603〜S613の処理を繰り返すと、デバイスリスト内のエントリが順に処理されて最終的に全デバイスが処理されるので、S603の処理において全デバイス処理済みとの判断がなされ(S603:YES)、図15に示した処理を終了し、これにより、図13に示したS503の処理を終えることになる。なお、上記S603〜S613の処理では、1からnまでカウントアップされる変数iを指標として用いたが、デバイスリスト内のデバイスエントリを順に指定する方法は任意であり、たとえばリスト内の各デバイスエントリをメモリ上のアドレス値で指し示すポインタ変数等を使っても構わない。
こうしてS503の処理を終えたら、引き続いて、PC1は、図13に示すように、送信実行確認ダイアログ41のデバイスリストを表示する(S505)。このS505の処理により、図14中のデバイスリスト表示欄43内には、個々のデバイスに関する情報が表示され、各デバイス毎に上述のS609またはS611いずれかの処理でデバイスリストに登録された状態情報(“Identical”/“Change”/“Connection Error”)が表示される。
続いて、PC1は、送信実行確認ダイアログ41のボタン入力を受け付ける(S507)。ここで、利用者は、PC1の入力部を利用し、Searchボタン45、Refreshボタン47、Removeボタン49、Cancelボタン51、またはSendボタン53の押下操作などを行うことができる。
そして、S507の処理において、Removeボタン49が押されていた場合は(S509:YES)、デバイスリストから指定デバイスを削除して(S511)、S505の処理へと戻る。削除するデバイスの指定は、Removeボタン49を押す前にデバイスリスト表示欄43において行われ、Removeボタン49を押すと、デバイスリスト表示欄43において指定されていたデバイスが、デバイスリスト表示欄43から削除される。なお、Removeボタン49は初期表示状態でグレーアウト表示となっているが(図14参照)、図16に示すように、デバイスリスト表示欄43において削除するデバイスが指定された(選択状態とされた)場合に、Removeボタン49のグレーアウト表示は解除される。
また、S507の処理において、Removeボタン49が押されたのではなく(S509:NO)、Refreshボタン47が押されていた場合は(S513:YES)、S503の処理へと戻る。これにより、再びS503のデバイスの設定値取得処理が実行され、デバイスリスト表示欄43内の情報が最新の情報に更新される。
また、S507の処理において、Refreshボタン47が押されたのではなく(S513:NO)、Searchボタン45が押されていた場合は(S515:YES)、ネットワーク上のデバイスの検索を実行し、デバイスリストを作り直す(S517)。より具体的には、PC1は、SNMPを利用して、デバイスからの応答を要求するパケットをブロードキャストして、数秒間応答を待つ。ここで、ネットワーク上のデバイスの中に、上記パケットに対する応答を返すことができるデバイスが存在する場合、そのデバイスは応答を返す。また、上記パケットに対する応答を返すことができないデバイスは、受信したパケットを単に破棄する。したがって、PC1は、パケットに対する応答を取得し、この応答を返したデバイスについて、本システムによる設定対象となるデバイスと認識してデバイスリストを作り直し、デバイスリスト表示欄43内の情報を再表示する。このS517の処理を終えたら、S503の処理へと戻る。なお、このS517の処理では、利用者が望まないデバイスまで追加されることがあるが、その場合は、上述したRemoveボタン49を利用して不要なデバイスについて削除(選択の解除)を行えばよい。
また、S507の処理において、Searchボタン45が押されたのではなく(S515:NO)、Sendボタン53が押されていた場合は(S519:YES)、上述の状態情報(“Identical”/“Change”/“Connection Error”)を含むデバイスリストの内容を、ログファイルとして記録し(S521)、送信実行確認ダイアログ41の表示を消去して(S523)、送信実行確認ダイアログ処理を終了する。
また、S507の処理において、Sendボタン53が押されたのではなく(S519:NO)、Cancelボタン51が押されていた場合は(S527:YES)、送信実行確認ダイアログ41の表示を消去して(S523)、送信実行確認ダイアログ処理を終了する。
つまり、Sendボタン53が押されていた場合、Cancelボタン51が押されていた場合、いずれの場合とも、S523の処理を実行した上で、送信実行確認ダイアログ処理を終了することになるが、Sendボタン53が押されていた場合は、S521の処理が実行されるのに対し、Cancelボタン51が押されていた場合は、S521の処理が実行されないことになる。なお、Sendボタン53は、処理の続行を指示するボタンに相当し、Cancelボタン51は、処理の中止を指示するボタンであるが、ここで処理続行を指示したか処理中止を指示したかは、後述するS107の処理で参照されることになる。
ところで、S507の処理において、Cancelボタン51が押されてたのではなく(S527:NO)、デバイスリスト表示欄43内の1デバイスがダブルクリックされてもいない場合は(S529:NO)、有効な操作がなされていないことになるので、そのままS507の処理へと戻る。一方、デバイスリスト表示欄43内に表示されたデバイスのうち、いずれかがダブルクリックされていた場合(S529:YES)、PC1は、設定変更内容詳細ウィンドウ処理を実行する。
この設定変更内容詳細ウィンドウ処理は、ダブルクリックされた特定のデバイスについて個別設定を行うための処理であり、この設定変更内容詳細ウィンドウ処理の対象とされなかったデバイスについては、代表デバイスと同内容の設定データまたはこの設定データの一部を変更した設定データが、後述する処理の中で送信されるのに対し、この設定変更内容詳細ウィンドウ処理において個別設定が行われた個別設定対象デバイスについては、この設定変更内容詳細ウィンドウ処理内で設定された個別設定データが、後述する処理の中で送信されることになる。この設定変更内容詳細ウィンドウ処理は、詳しくは図17に示すような処理となる。
設定変更内容詳細ウィンドウ処理を開始すると、PC1は、図17に示すように、設定変更内容詳細ウィンドウを表示する(S701)。デバイス本体とデバイスが備えるNICとで設定項目が異なるため、デバイス本体の設定を行う第1の設定データ伝送処理と、デバイスが備えるNICの設定を行う第2の設定データ伝送処理とでは、設定変更内容詳細ウィンドウの表示内容に違いがあり、具体的には、第1の設定データ伝送処理の場合は図18に示すような設定変更内容詳細ウィンドウ55、第2の設定データ伝送処理の場合は図19に示すような設定変更内容詳細ウィンドウ57が表示される。
これら設定変更内容詳細ウィンドウ55,57において、“Item”は、設定値を送信する設定項目、“Current Value”は個別設定対象デバイスから取得した設定値、“Update Value”は設定送信により更新される設定値である。“Update Value”が空欄となっている項目は、“Current Value”と“Update Vaule”が同一であることを示している。また、デバイスリスト表示欄43において、“Connection Error”が表示されているデバイスをダブルクリックした場合も、設定変更内容詳細ウィンドウ55,57は表示されるが、その場合は、“Current Value”、“Update Vaule”ともに空欄となる。なお、これら二種類の設定変更内容詳細ウィンドウ55,57は、設定項目の内容に違いがあるだけで、機能的にはまったく同等なものである。
続いて、PC1は、マウス/キーの入力を受け付ける(S703)。このS703の処理において、設定変更内容詳細ウィンドウ55,57内にある個々の設定項目がダブルクリックされた場合、PC1は、設定値の変更が指示されたものと判断し(S705:YES)、設定値変更処理を実行する(S707)。この設定値変更処理は、詳しくは図20に示すような処理となる。
設定値変更処理を開始すると、PC1は、図20に示すように、設定値変更ダイアログを表示する(S801)。この設定値変更ダイアログは、設定変更内容詳細ウィンドウ55,57内にあるどの設定項目をダブルクリックしたかにより、表示内容の若干異なるものが表示されるが、例えば、設定変更内容詳細ウィンドウ55内にある設定項目“Paper Size”をダブルクリックした場合、図21に示すような、“Paper Size”設定用の設定値変更ダイアログ61が表示される。この設定値変更ダイアログ61は、図21に示すように、設定値選択欄63、OKボタン65、Cancelボタン67などを備えており、これらは設定項目によらず共通となっている。
このような設定値変更ダイアログを表示したら、続いて、PC1は、マウス/キーの入力を受け付ける(S803)。このS803の処理において、設定値選択欄63に表示された設定値のいずれかがクリックされたら、設定値変更入力がなされたと判断し(S805:YES)、その設定値の変更を設定値選択欄63の表示に反映させ(S807)、S803の処理へと戻る。
また、S803の処理において、設定値変更入力がなされたのではなく(S805:NO)、OKボタン65が押されていた場合は(S809:YES)、その設定値変更をデバイスリスト内の対象デバイスを示すエントリに反映する(S811)。これにより、デバイスリスト内にある個別設定対象デバイスのエントリには、個別設定データが登録されることになる。この個別設定データは、個別設定対象デバイス固有の設定であり、他の設定対象デバイスにおいて共通する設定値変更とは別に記憶される。そして、設定値変更ダイアログ61の表示を消去して(S813)、図20に示した設定値変更処理を終了する。
なお、S803の処理において、OKボタン65が押されたのではなく(S809:NO)、Cancelボタン67が押されていた場合は(S815:YES)、上述のS811の処理を実行することなく、上述のS813の処理を実行した上で、設定値変更処理を終了する。また、S803の処理において、Cancelボタン67が押されていない場合は(S815:NO)、有効な操作がなされていないことになるので、そのままS803の処理へと戻る。
以上のようにしてS801〜S813の処理を終えると、図17に示したS707の処理を終えたことになるので、引き続いて、PC1は、S707の処理において設定値が変更されたか否かを判断する(S709)。具体的には、S709の処理では、上述のS803の処理において、OKボタン65が押されたのかCancelボタン67が押されたのかを判断すればよい。そして、S707の処理において設定値が変更されていた場合は(S709:YES)、設定値変更を設定変更内容詳細ウィンドウ55,57に反映し(S711)、S703の処理へと戻り、S707の処理において設定値が変更されていなかった場合は(S709:NO)、上記S711の処理を実行することなく、S703の処理へと戻る。
一方、上記S703の処理において、設定変更内容詳細ウィンドウ55,57内にある個々の設定項目がダブルクリックされていない場合(すなわち、設定値の変更が指示されていない場合)は(S705:NO)、終了指示(例えば、ウィンドウ右上の×ボタンをクリック、Alt+F4キーの押下等)がなされたか否かを判断し(S713)、終了指示がなされていなければ(S713:NO)、有効な操作がなされていないことになるので、そのままS703の処理へと戻る。また、終了指示がなされていれば(S713:YES)、設定変更内容詳細ウィンドウ55,57を消去して(S715)、図17に示した設定変更内容詳細ウィンドウ処理を終了する。
このようにして設定変更内容詳細ウィンドウ処理を終了すると、図13に示したS531の処理を終えたことになるので、この場合、S507の処理へと戻る。
さて、以上説明したように、図13に示したS501〜S531の送信実行確認ダイアログ処理を実行し、その中でSendボタン53またはCancelボタン51が押されて、送信実行確認ダイアログ処理を終了すると、図7に示したS105の処理を終えたことになるので、引き続いてPC1は、上述のS507の処理においてSendボタン53が押されたのか否かを判断する(S107)。ここで、Sendボタン53が押されていなかった場合は(S107:NO)、Cancelボタン51が押されていたことになるので、S101の処理へと戻って、設定データ伝送処理を最初からやり直す。
一方、Sendボタン53が押されていた場合は(S107:YES)、複数デバイス設定一括送信処理を実行する(S109)。この複数デバイス設定一括送信処理は、詳しくは図22に示すような処理となる。
複数デバイス設定一括送信処理を開始すると、PC1は、図22に示すように、設定用のパスワードを入力するための処理を実行する(S901)。このS901の処理では、図23に示すような、パスワード入力ダイアログ71を表示する。このパスワード入力ダイアログ71は、デバイス側での認証を受けるために必要となるパスワードを利用者に入力させるためのダイアログで、パスワード入力欄73、OKボタン75、Exitボタン77などを備えた画面となっている。
ここで、利用者が、パスワード入力欄73にパスワードを入力してOKボタン75を押下したら、PC1は、デバイスリスト順に送信先デバイスを決定する(S903)。具体的には、後述するS905〜S933の繰り返し処理を実行した際に、デバイスリスト内のエントリを先頭から1つずつ順に処理するため、設定値送信中デバイスを示す番号iがi=1として初期化される。
続いて、PC1は、設定送信中デバイス(デバイスリスト中のi番目のデバイス)を対象にして、設定ロック確認のための問い合わせを送信する(S905)。デバイスは、ネットワーク経由での設定変更を禁止する設定ロック状態とするか否かを、デバイス毎に任意に設定できるようになっており、S905の処理で送信された問い合わせが設定送信中デバイスに届けば、設定送信中デバイスから設定ロック状態となっているか否かを示す応答が返される。しかし、設定送信中デバイスの電源がオフになっている場合や通信ケーブルが外れている場合など、S905の処理で送信された問い合わせが設定送信中デバイスに届かないケースも想定され、その場合、設定送信中デバイスから何ら応答が返されない。
そこで、S905の処理において、設定ロック確認のための問い合わせに失敗した場合は(S905:失敗)、デバイスリストに接続エラー(Connection Error)として情報を追加し、S933へと移行する。一方、S905の処理において、設定ロック確認のための問い合わせに成功した場合は(S905:成功)、設定送信中デバイスから返された応答に基づき、設定ロック状態であるか否かを判断する(S909)。
S909の処理において、設定ロック状態であると判断した場合(S909:YES)、デバイスリストに設定ロック状態(Device Locked)として情報を追加し、S933へと移行する。一方、S909の処理において、設定ロック状態ではないと判断した場合(S909:NO)、S901の処理で入力されたパスワードを含むパケットを設定送信中デバイスに対して送信することにより、デバイスに対して認証を要求し、その認証要求に対する応答に基づいて、デバイス側でのパスワードの確認に成功したか否かを判断する(S913)。
S913の処理において、パスワードの確認に失敗した場合は(S913:失敗)、デバイスリストにパスワード不一致(Password Incorrect)として情報を追加し、S933へと移行する。一方、パスワードの確認に成功した場合は(S913:成功)、上述の設定変更内容詳細ウィンドウ処理(図17参照)で、個別設定がなされたかどうかを判断する(S917)。
ここで、設定変更内容詳細ウィンドウ処理での設定変更がなされていない場合は(S917:NO)、設定送信中デバイス(デバイスリスト中のi番目のデバイス)に、全デバイス共通で更新する設定値(設定データ)を送信する(S919)。具体的には、カレントデバイス(=第1,第2の設定データ伝送処理それぞれを開始するまでのUIで選択した代表デバイス)から取得した設置値をベースにして、先に説明した“Send Settings to Printer(s)”ダイアログ21の設定送信種類切り替え指示欄25にて選択された設定送信の種類が、“Send all Current Values”の場合は、カレントデバイスと同じ設定データを送信し、“Send all Update Values”の場合は、カレントデバイスの元の設定データに対して更新が加えられた設定データのみを送信し、“Send Current and Update Values”の場合は、カレントデバイスの元の設定データに対して更新が加えられていない項目はカレントデバイスと同じ設定データ、カレントデバイスの元の設定データに対して更新が加えられている項目は更新後の設定データ、双方を送信する。
一方、設定変更内容詳細ウィンドウ処理での設定変更がなされていた場合は(S917:YES)、設定送信中デバイス(デバイスリスト中のi番目のデバイス)に、設定変更内容詳細ウィンドウ処理で設定された固有の更新設定値を送信する(S921)。
S919,S921の処理は、双方ともSNMPプロトコルを利用して実行される。具体的には、SNMPプロトコルを利用し、PC1が設定値送信中デバイスに対してデータセット要求を発行し、設定値送信中デバイスが、PC1からのデータセット要求に応じて、設定値取得中デバイスが内部的に管理しているMIB(例えば、プリンタ3の場合はMIB311)内に設定値を格納する。
続いて、PC1は、設定値送信中デバイスがカレントデバイス(代表デバイス)であるかどうかを判断し(S923)、カレントデバイスである場合は(S923:YES)、カレントデバイスに対してのみ設定すべき設定項目について変更された設定値を送信する(S925)。カレントデバイスに対してのみ設定すべき設定項目は、あらかじめ決められており、例えば、NIC設定の場合であれば、Node Name(NICのノード名)、Password(アドミニストレーターパスワード)、サービスフィルタ設定、IP Address(NICのIPアドレス)、Subnet Mask(NICのサブネットマスク)、Gateway(ゲートウェイ(ルーター)アドレス設定)、IP Config(IP取得方法の設定)、Printer E-mail Address(プリンタ/MFPに割り当てるEメールアドレス)、POP3 Account Name(Eメールサーバーアクセス時のメールボックスアカウント名)、POP3 Account Password(メールボックスアカウントに対応するパスワード)などは、NIC毎に設定すべき設定項目となるので、カレントデバイスに対してのみ設定すべき設定項目と決められている。
続いて、PC1は、設定送信が成功したか失敗したかを判断して(S927)、失敗していれば(S927:失敗)、デバイスリストに設定エラー(Setting Error)として情報を追加し(S929)、S933へと移行する。一方、S927の処理において、設定送信が成功していれば(S927:成功)、デバイスリストに成功として情報を追加し(S921)、S933へと移行する。
こうしてS907、S911、S915、S929、S931、いずれかの処理を終えるとS933の処理へ移行することになり、PC1は、デバイスリストのデバイスは全部終了したか否かを判断する(S933)。ここでは、設定値送信中デバイスを示す番号iを1だけカウントアップするとともに、例えば、全デバイスがn台(=デバイスリスト内のエントリがn個)ある場合、カウントアップ後の番号iがi≦nか否かを判断すればよい。S933の処理で、全部終了ではないと判断された場合(S933:NO)、S905の処理へと戻る。その結果、カウントアップ後の番号iに対応するデバイスを対象に、再びS905以降の処理が繰り返される。
このようにしてS905〜S933の処理を繰り返すと、デバイスリスト内のエントリが順に処理されて最終的に全デバイスが処理されるので、S933の処理においてデバイスリストのデバイスは全部終了したとの判断がなされることになる(S933:YES)。なお、上記S905〜S933の繰り返し処理では、1からnまでカウントアップされる変数iを指標として用いたが、デバイスリスト内のデバイスエントリを順に指定する方法は任意であり、たとえばリスト内の各デバイスエントリをメモリ上のアドレス値で指し示すポインタ変数等を使っても構わない。
さて、S933の処理において、デバイスリストのデバイスは全部終了したとの判断がなされた場合(S933:YES)、続いて、PC1は、デバイスリスト中の全デバイスを対象に、パスワード不一致、設定ロック状態、接続エラーのいずれかがあるかを判断し(S935)、パスワード不一致、設定ロック状態、および接続エラーが1つもない場合は(S935:NO)、Retryボタンを無効にして結果をリスト表示し(S937)、一方、パスワード不一致、設定ロック状態、または接続エラーのいずれかが1つでもある場合は(S935:YES)、Retryボタンを有効にして結果をリスト表示する(S939)。
上記S937またはS939の処理では、いずれも、図24に示すような、送信実行結果ダイアログ81を表示する。この送信実行結果ダイアログ81は、送信結果表示欄83、Retryボタン85、Endボタン87、Cancelボタン89などを備えた画面となっている。ただし、S937の処理では、Retryボタン85が無効であることを示すために、Retryボタン85はグレーアウト表示され、Retryボタン85の押下操作は無視される状態になる。
送信結果表示欄83には、先に説明したS907、S911、S915、S929、S931、いずれかの処理でデバイスリストに追加された情報が表示され、この情報を見た利用者はエラー原因を把握することができる。
S937の処理へ移行した場合は、パスワード不一致、設定ロック状態、および接続エラーが1つもないので、この場合、各デバイスは、設定送信が成功しているか、設定送信が失敗しているか、いずれかの状況になっている。設定送信が成功している場合、設定データの再送信は不要である。また、設定送信が失敗している場合、設定データ自体に誤りがあるなら、単に同じ設定データを再送信しても再び設定送信が失敗するだけである。さらに、デバイスの故障などに起因して設定送信が失敗している可能性もあるが、この場合も、利用者が容易にはエラー原因を除去できないので、設定データを再送しても無駄である。そこで、S937の処理へ移行した場合は、上述の通り、Retryボタン85を無効にし、不要ないし無駄な設定データの再送をできないようにしている。ここで、利用者がEndボタン87の押下操作を行えば、S937の処理を終えて直ちに図22に示した複数デバイス設定一括送信処理を終了することになる。
一方、S939の処理へ移行した場合は、パスワード不一致、設定ロック状態、または接続エラーが少なくとも1つはあるので、この場合、パスワードの再入力、設定ロックの解除、接続エラー原因の除去(電源投入、接続ケーブルの確認など)を行うことで、同じ設定データを再送信すれば、設定送信が成功する可能性がある。そこで、S939の処理へ移行した場合は、上述の通り、Retryボタン85を有効にし、設定データの再送をできるようにしている。
具体的には、利用者がRetryボタン85やEndボタン87の押下操作を行えば、S939の処理を終えるので、引き続いて、PC1は、再設定指示か否かを判断する(S941)。ここで、利用者がRetryボタン85の押下操作を行っていなければ(S941:NO)、上記S937の処理同様、直ちに図22に示した複数デバイス設定一括送信処理を終了することになる。
一方、利用者がRetryボタン85の押下操作を行っていれば(S941:YES)、パスワード不一致、設定ロック状態、または接続エラーのデバイスだけをデバイスリストに登録する(S943)。このS943の処理では、パスワード不一致、設定ロック状態、または接続エラーのデバイス以外のデバイスはデバイスリストから削除され、その新たなデバイスリストを再表示して、S901の処理へと戻る。これにより、パスワード不一致、設定ロック状態、または接続エラーのデバイスだけを新たな設定対象デバイスとして、設定用パスワードを入力するところからリトライすることができる。したがって、利用者は再表示されたリストを見て、どの設定対象デバイスにデータが再送されるのかを知ることができ、必要があれば、パスワード不一致と判定されたパスワードとは異なるパスワードを用いて同じ設定データの再送を行うことができ、また、設定ロックの解除、接続エラー原因の除去(電源投入、接続ケーブルの確認など)を行ってから同じ設定データの再送を行うことができる。
なお、設定データの再送を行った結果、パスワード不一致、設定ロック状態、および接続エラーが1つもない状態になれば、S937の処理へ移行することになり、この場合、利用者がEndボタン87の押下操作を行えば、S937の処理を終えて直ちに図22に示した複数デバイス設定一括送信処理を終了することになる。
こうして複数デバイス設定一括送信処理を終了すると、これにより、図7に示したS109の処理を終えたことになり、設定データ伝送処理全体を終了することになる。
ところで、以上が設定データ伝送処理についての説明であるが、上述の通り、NIC設定の場合、NIC設定ダイアログ15(図6参照)において、画面内の「General」タブにあるSendボタン17をクリックすると、PC1は、第2の設定データ伝送処理を実行することになり、その結果、設定データが伝送されることになるが、NIC設定ダイアログ15自体にも各種設定データの入力欄があり、ここで利用者が設定値を入力すると、その前に第2の設定データ伝送処理で伝送した設定値とは異なる設定値が入力されることもある。そこで、NIC設定ダイアログ表示処理では、図25に示すような処理を行っている。
すなわち、PC1は、まず、NIC設定ダイアログを表示し(S1001)、マウス/キーの入力を受け付ける状態になる(S1003)。
そして、S1003の処理において、OKボタンが押されたか否か(S1005)、Cancelボタンが押されたか否か(S1007)、Sendボタンが押されたか否か(S1009)、以上を順に判断し、Sendボタンが押されていた場合には(S1005:NO,S1007:NO,S1009:YES)、先に説明した第2の設定データ伝送処理(複数デバイス一括設定処理)を実行して、S1003の処理へと戻る。
一方、S1009の処理において、Sendボタンが押されていなかった場合には(S1009:NO)、その他のボタン処理または設定値変更処理などがなされ(S1013)、S1003の処理へと戻る。
このようなS1013の処理が行われているため、S1003の処理において、OKボタンが押されていた場合は(S1005:YES)、NIC設定ダイアログ15自体が備える入力欄に利用者が設定値を入力している可能性があり、その場合は、その設定値についても、S1011の処理とは別に、設定データをカレントデバイス(代表デバイス)に伝送する必要がある。
そこで、PC1は、NIC設定ダイアログ15自体が備える入力欄を対象にして、未反映の設定変更があるか否かを判断し(S1015)、そのような設定変更があった場合は(S1015:YES)、未反映の設定変更をカレントデバイスに送信する(S1017)。そして、NIC設定ダイアログ15の表示を消去して(S1019)、NIC設定ダイアログ表示処理を終了する。なお、S1007の処理において、Cancelボタンが押されていた場合は(S1007:YES)、NIC設定ダイアログ15の表示を消去して(S1019)、NIC設定ダイアログ表示処理を終了する。
以上説明したように、上記設定データ伝送処理を実行するPC1(本発明でいう設定データ伝送装置に相当)によれば、代表デバイスと同じデータもしくはそのデータの一部を変更したデータである設定データを、ネットワーク上の複数のデバイスに対して一括送信することができる。また、その一括送信の際、送信エラーの発生したデバイスがあれば、その送信エラーの内容を図24に示す送信実行結果ダイアログ81の送信結果表示欄83に表示するので、利用者は表示内容を見て、設定データの伝送に失敗したデバイスが存在することを知ることができる。しかも、送信エラーの原因が、パスワード不一致、設定ロック状態、接続エラーのいずれかである場合は、利用者がRetryボタン85の押下操作を行って再送指令を与えるだけで、同じ設定データを再送することができる。特に、どのデバイスへ設定データの再送が必要なのかを利用者が覚えていなくても、設定データの再送が必要なデバイスはコンピュータが選択するので、設定データの再送を行う必要があるデバイスを一から選び直す必要はなく、設定データの再送を行う必要があるデバイスのみを間違いなく選択できる。したがって、設定データの再送を行う必要があるデバイスに設定データが送信されなかったり、逆に、設定データの再送を行う必要がないデバイスに再び設定データが送信されたりするおそれがない。
また、上記S905,S909,S913,S927,およびS935の処理(伝送結果判断手順)により「利用者が除去可能なエラー原因によって設定データの伝送に失敗している」と判断した場合に、利用者の再送指令があればS901の処理へと戻るので、この設定データ再送手順により、あらためて設定データを入力することなく設定データの再送を行うことができる。
また、上記S905,S909,S913,S927,およびS935の処理(伝送結果判断手順)による設定対象デバイス毎の判断結果を、上記S939の処理(伝送結果表示手順)においてリスト化して表示するので、利用者は表示されたリストを見て、どの設定対象デバイスにデータを伝送できたのか、どの設定対象デバイスにデータを伝送できなかったのか、といった事項を知ることができる。また、上記S941の処理で、利用者から再送指令を受けた場合、上記S943の処理では、設定データの伝送に成功した設定対象デバイスについてリストから削除して、削除後のリストを再表示する。したがって、利用者は再表示されたリストを見て、どの設定対象デバイスにデータが再送されるのかを知ることができ、特に、設定データの伝送に成功した設定対象デバイスは削除されたリストが再表示されるので、設定データの伝送に成功した設定対象デバイスが混在するリストが表示されるものとは異なり、設定データの伝送に成功した設定対象デバイスと設定データの伝送に失敗した設定対象デバイスとを見誤ることがない。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の具体的な一実施形態に限定されず、この他にも種々の形態で実施することができる。
例えば、上記実施形態においては、設定データをカレントデバイス(代表デバイス)から取得した後、カレントデバイス自体も設定対象デバイスとして選択できるように構成されていたので、カレントデバイスへの設定データ送信が不要な場合には、カレントデバイスの選択をRemoveボタン等を使って解除する必要があったが、一括送信を行う場合に、カレントデバイスについては、あらかじめ設定対象デバイスから除外されるように構成されていてもよい。
具体的には、例えば、図15に示したデバイスの設定値取得処理に対し、図26に示したS604、S615の処理を追加することにより、S605の処理によって設定値取得中デバイスから設定値を取得する前に、設定値取得中デバイスがカレントデバイスであるか否かを判断し(S604)、カレントデバイスであれば(S604:YES)、デバイスリスト内の該当デバイスエントリを無効として(S611)、S605〜S611の処理を実行することなく、S613の処理へと移行する。これにより、デバイスリスト内のカレントデバイスに該当するエントリについては、無効である旨の情報が登録される。
そして、図22に示した複数デバイス設定一括送信処理については、図27に示したS916の処理を追加するとともに、S923,S925の処理については削除することにより、S917〜S921の処理によって共通設定データないし個別設定データの送信を行う前に、設定送信中デバイスに該当するデバイスリスト内のエントリが無効であるか否かを判断し(S916)、無効であった場合は(S916:YES)、S917〜S921の処理を実行することなく、S927の処理へと移行する。
その結果、カレントデバイスについては、設定データの取得処理、および共通設定データないし個別設定データの送信処理が、共にスキップされることになるので、カレントデバイスについては、あらかじめ設定対象デバイスから除外されることになる。
また、上記実施形態では、印刷系デバイスの設定を例に挙げて説明したが、本発明は印刷系以外のデバイスに対する設定、例えば、スキャナ、ネットワークカメラなどの画像入力系デバイス、ファクシミリなどの画像通信系デバイス、ネットワークルータ、ネットワークポイントなどの通信経路系デバイス、ネットワークストレージなどの情報サーバ系デバイスなど、複数の装置で共通する設定値が使われる構成であれば利用することができる。
さらに、上記実施形態では、PC1だけが単独で設定データ伝送装置として機能するように構成してあったが、設定データ伝送装置を構成するのに必要な各手段を、複数のノードに分散させて配置してもよい。その場合、あるノードに配された手段の出力データが別のノードに配された手段の入力データとなるのであれば、あるノードで得られた出力データをネットワークを介して別のノードへと伝送して、そのネットワークシステム全体が、上記設定データ伝送装置と同等に機能するように構成する。これにより、ネットワークシステム内に、本発明の設定データ伝送装置と同等に機能する分散処理システム(例えば、図1中のPC1’、PC1”とPC1が分散処理する分散処理システム)を構成することができる。
また、上記実施形態では、S901の処理が必ず実行されるようになっていたが、例えば、パスワードによる認証が不要なデバイスだけを対象としている場合、S901の処理は不要である。また、大半がパスワードによる認証が不要なデバイスで、一部のデバイスのみパスワードによる認証が必要であれば、S901〜S933の繰り返し処理において、初回はS901の処理をスキップし、2回目以降の繰り返し処理でのみS901の処理を実行するようにしてもよい。さらに、大半がデフォルトのパスワードによる認証を行えばよいデバイスで、一部のデバイスのみ個別のパスワードによる認証が必要であれば、初回はS901の処理をスキップしてS913の処理でデフォルトのパスワードを使った認証を行い、2回目以降の繰り返し処理でのみS901の処理を実行して、そこで入力されたパスワードをS913の処理で使うようにしてもよい。
1,1’,1”・・・パーソナルコンピュータ(PC)、2・・・ルータ、3〜5…プリンタ、7・・・LAN、101,301・・・CPU、102,302・・・ROM、103,303・・・RAM、105・・・入力部、106,306・・・表示部、107・・・ストレージデバイス、304・・・NVRAM、307・・・印刷部、108,308・・・ネットワークI/F、311・・・MIB、11・・・デバイス設定管理ツール初期画面、13・・・プリンタ設定機能初期画面、15・・・NIC設定ダイアログ、21・・・“Send Settings to Printer(s)”ダイアログ、41・・・送信実行確認ダイアログ、55,57・・・設定変更内容詳細ウィンドウ、61・・・設定値変更ダイアログ、71・・・パスワード入力ダイアログ、81・・・送信実行結果ダイアログ。