JP4010177B2 - 車両用ドアミラー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ミラーが設けられたミラー本体を保持するベースと、このベース及び車体パネルの間に介在するガスケットとを備えた車両用ドアミラーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、車両用ドアミラーとして、例えば図8に示すようなものが知られている。このドアミラー1は、ミラー本体2と、ミラー本体2を保持するベース3と、ベース3に取り付けられたガスケット4とを備え、車両のフロントドア5を構成するパネル6のフロントピラー7の下部に位置する箇所にネジ等により取り付けられる。
【0003】
ガスケット4は、図9(a)に示すように、ベース3及びパネル6に当接する当接面部8と、当接面部8の上縁部9に起立するように形成され、ベース3の上縁部10に沿ってドアミラー1の外部に露出するリップ部11とを備えている。パネル6には、その当接面部8の上縁部9が位置する箇所に、上縁部9に沿ってのびる凹状の湾曲面12が形成されている。このようにリップ部11がベース3の上縁部10に沿ってドアミラー1の外部に露出することにより、ベース3の上縁部10が一定幅d1のリップ部11に縁取りされ、ドアミラー1の外観上の見栄えの向上が図られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、パネル6の湾曲面12は絞り加工により形成され、その絞りの深さlがガスケット4の当接面部8の上縁部9に沿って一定でl=l1(図9(a)参照)のままであれば問題ないのであるが、例えば車体の設計(パネル6の設計)とドアミラー1の設計(ガスケット4の設計)とが別々のメーカーにより行われ、絞りの深さlが上縁部9に沿って一定ではなくl=l2(図9(b)参照)の箇所があったとすると、ドアミラー1の設計メーカーが対応に苦慮するという問題があった。
【0005】
すなわち、ドアミラー1について、リップ部11がベース3の上縁部10に沿って一定幅d1で外部に露出すること、及び、パネル6からベース3までの距離hを上縁部9に沿って一定に保つことは必須の条件となるが、l=l2の箇所においても上縁部10が角状となっている(角部13を有する)ベース3をそのような条件下で配置しようとすると、図9(b)に示すように上縁部10とリップ部11とが干渉してしまう。あるいは、ベース3の配置を可能とすべく上縁部10の形状に合わせてガスケット4を加工しようとすると、もはや当接面部8とリップ部10との接続箇所の肉厚を確保することができなくなり、ガスケット4が成立しなくなってしまう。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、車体パネルの湾曲面の形状がガスケットの当接面部の縁部に沿って変化する場合であっても、ガスケットのリップ部がベースの縁部に沿って外部に露出し見栄えに優れる車両用ドアミラーを提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に係る車両用ドアミラーは、ミラーが設けられたミラー本体を保持するベースと、該ベース及び車体パネルの間に介在するガスケットとを備え、該ガスケットには、前記ベース及び前記車体パネルに当接する当接面部と、該当接面部の縁部に起立するように形成されて前記ベースの縁部に沿って外部に露出するリップ部とが設けられ、前記車体パネルには、前記当接面部の縁部が位置する箇所に、該縁部に沿ってのびるとともに該縁部に沿って断面形状が変化する凹状の湾曲面が形成され、前記ガスケットの前記当接面部には、前記リップ部に連続して肉厚部が形成されているとともに、前記ベースの縁部には、前記肉厚部との干渉を回避するための逃げ部が形成されていることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0009】
図1に示すように、本発明に係る車両用ドアミラー14は、ミラー15が設けられたミラー本体16と、ミラー本体16を保持するベース17と、ベース17に取り付けられるガスケット18と、ガスケット18に取り付けられるシール部材19とを備え、車両のフロントドア(プレスドア)を構成するパネル20のフロントピラー下部に位置するミラー取付部21に取り付けられる。
【0010】
ベース17において、ガスケット18が取り付けられる取付面22を有する基部23は、図2に示すように、前縁部24及び後縁部25が略平行な台形状を呈している。その前縁部24、後縁部25及び下縁部26には、取付面22に対して起立する前壁27、後壁28及び下壁29が形成されている。また、基部23の上縁部30には上壁31が形成され、この上壁31の上部には逃げ部としての段部32が形成されている。図3に示すように、上壁31において段部32の下面33を形成する部分は、前方から後方にかけて肉厚が薄くなる二つの傾斜壁部34、35が前後に連続して構成されている。上壁31において段部32の側面36を形成する部分は、取付面22に対して若干内側(ガスケット18の取付側)に突出している。
【0011】
取付面22の中央部には、ネジ孔37、38、39が形成されたボス40、41、42が、前壁27、後壁28、下壁29及び上壁31よりも内側に突出するように設けられている。ボス40、41、42は、これらと略同一な高さを有する環状のリブ43により連結され、リブ43の外周にはこれより低い環状のリブ44が形成されている。
【0012】
ガスケット18はポリエチレン等の樹脂により成形され、ベース17の基部23と同様な台形状を呈する当接面部45と、当接面部45の周囲に設けられた後述のリップ部46、47、48とを備える。その基部23の取付面22に取り付けられる当接面部45の外面49には、図4に示すように、ボス40、41、42及びリブ43が嵌入される嵌入凹部50が形成されている。嵌入凹部50のボス40、41、42に対応する位置(ネジ孔37、38、39に対応する位置)には挿通孔51、52、53が形成され、この挿通孔51、52、53に囲まれる位置には貫通孔54が設けられている。嵌入凹部50の前方には、ボス40、41、42及びリブ43が嵌入凹部50に嵌入されてガスケット18がベース17に取り付けられた際に、傾斜壁部35の前面55及びリブ44の前面56(図3参照)が係合する係合段部57が形成されている。
【0013】
当接面部45の前縁部58には、ガスケット18がベース17に取り付けられた際にその前縁部24に沿ってベース17の外部に一定幅d2で露出するリップ部46が、外面49に対して起立するように形成されている。当接面部45の下縁部59には、ガスケット18がベース17に取り付けられた際にその下縁部26に沿ってベース17の外部に一定幅d3で露出するリップ部47が、外面49に対して起立するように形成されている。さらに、当接面部45の上縁部60には、ガスケット18がベース17に取り付けられた際にその上縁部30に沿ってベース17の外部に一定幅d1で露出するリップ部48が、外面49に対して起立するように形成されている。
【0014】
外面49においてリップ部48の下方には、図5に示すように、ベース17の段部32に対応する肉厚部61がリップ部48に連続して形成されている。肉厚部61は、ガスケット18がベース17に取り付けられた際に、その下面62が段部32の下面33に当接し、かつ、その側面63が段部32の側面36に当接するようになっている。
【0015】
当接面部45の内面64は、挿通孔51、52、53を囲うように環状のシール部材19が貼着された後、ミラー取付部21に取り付けられる。ミラー取付部21には、挿通孔51、52、53に対応する位置に挿通孔65、66、67が穿設されるとともに、貫通孔54に対応する位置に貫通孔68が穿設され、挿通孔51及び挿通孔65を挿通するネジをネジ孔37に螺着させ、挿通孔52及び挿通孔66を挿通するネジをネジ孔38に螺着させ、挿通孔53及び挿通孔67を挿通するネジをネジ孔39に螺着させることによって、ベース17及びガスケット18がミラー取付部21に共締めされる。なお、当接面部45の内面64には、ミラー取付部21側に突出する凸部64aがビード加工により形成されており、この凸部64aによりミラー取付部21と当接面部45との間に0.5mm程度の隙間が形成され、ミラー取付部21からベース17までの距離がhに保たれる。
【0016】
ミラー取付部21における当接面部45の上縁部60が位置する箇所には、上縁部60に沿ってのびる凹状の湾曲面69が絞り加工により形成され、この湾曲面69の断面形状は図6に示すように上縁部60に沿って変化している。すなわち、湾曲面69は絞りの深さlが上縁部60に沿った位置により異なり、例えば同図(a)に示す位置(図2におけるA−A線の位置)ではl=l3であり、傾斜壁部34が当接面部45の外面49に当接するとともに、段部32に肉厚部61が入り込んでいる。また、図6(b)に示す位置(図2におけるB−B線の位置)ではl=l4であり、傾斜壁部35が当接面部45の外面49に当接するとともに、段部32に肉厚部61が入り込んでいる。さらに、図6(c)に示す位置(図2におけるC−C線の位置)ではl=l5であり、傾斜壁部35が当接面部45の外面49に当接するとともに段部32に肉厚部61が入り込み、図6(d)に示す位置(図2におけるD−D線の位置)ではl=l6であり、上壁31の側面36が当接面部45の外面49に当接している。
【0017】
この実施の形態に係るドアミラー1では、ベース17の上縁部30に段部32が形成され、この段部32に入り込む肉厚部61がガスケット18に形成されているので、仮に上縁部30が図6に鎖線で示すように角状に形成されていて段部32も肉厚部61も存在しない場合には、同図(a)、(b)に示す位置では当接面部45とリップ部48との接続箇所の肉が乏しくガスケットが成立しないが、ここでは段部32に入り込んだ肉厚部61が当接面部45とリップ部48とを繋ぐことになる。これにより、リップ部48をベース17の上縁部30に沿って一定幅d1で露出させ、かつ、ミラー取付部21からベース17までの距離をガスケット18の上縁部60に沿って一定量hに保つことができ、ミラー取付部21における湾曲面69の変化にかかわらず外観上の見栄えをよいものとすることができる。
【0018】
また、図6(c)、(d)に示す位置では上縁部30が角状に形成されていたとしても当接面部45とリップ部48とが繋がらないことはないが、ベース17の上部に露出するため比較的外力が加わりやすいリップ部48を肉厚部61により補強することができる。
【0019】
なお、肉厚部61の下面62、側面63(及び段部32の下面33、側面36)は、詳細には図7に示すように、ガスケット18の型抜き時の方向にのびリップ部48の先端部70を通る基準直線k1、k2と平行に形成されているが、肉厚部や逃げ部(段部)は必ずしもこのように形成される必要はなく、逃げ部は肉厚部の逃げとなれば必ずしも肉厚部に接する必要はない。さらに、上記実施の形態ではベース17の上縁部30に沿って露出し比較的目立つリップ部48について逃げ部や肉厚部を設けたが、ベース17の下縁部26に沿って露出するリップ部47等について逃げ部や肉厚部を設けてもよい。
【0020】
【発明の効果】
本発明に係る車両用ドアミラーは、以上説明したように構成したので、車体パネルの湾曲面の形状がガスケットの当接面部の縁部に沿って変化する場合であっても、ガスケットのリップ部をベースの縁部に沿って外部に露出させることができ見栄えに優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車両用ドアミラーを示す分解斜視図である。
【図2】図1のベースの取付面側を示す側面図である。
【図3】図1のベースの上部を拡大して示す斜視図である。
【図4】図1のガスケットの外面側を示す側面図である。
【図5】図1のガスケットを部分的に示し、(a)はその上部の拡大斜視図、(b)は(a)のE−E線に沿った位置における断面図である。
【図6】図1のドアミラーの部分断面図であり、(a)は図2のA−A線に沿った位置における断面図、(b)は図2のB−B線に沿った位置における断面図、(c)は図2のC−C線に沿った位置における断面図、(d)は図2のD−D線に沿った位置における断面図である。
【図7】ガスケットの肉厚部の詳細形状を示す説明図である。
【図8】車両用ドアミラーの概略構成を示す説明図である。
【図9】従来の車両用ドアミラーの構造を示し、(a)はガスケットの縁部に沿ったある位置におけるベース及びガスケットの部分断面図、(b)はそのベース及びガスケットの他の位置における部分断面図である。
【符号の説明】
14 車両用ドアミラー
15 ミラー
16 ミラー本体
17 ベース
18 ガスケット
20 パネル(車体パネル)
30 上縁部((ベースの)縁部)
32 段部(逃げ部)
45 当接面部
48 リップ部
60 上縁部((当接面部の)縁部)
61 肉厚部
69 湾曲面
Claims (1)
- ミラーが設けられたミラー本体を保持するベースと、該ベース及び車体パネルの間に介在するガスケットとを備え、
該ガスケットには、前記ベース及び前記車体パネルに当接する当接面部と、該当接面部の縁部に起立するように形成されて前記ベースの縁部に沿って外部に露出するリップ部とが設けられ、
前記車体パネルには、前記当接面部の縁部が位置する箇所に、該縁部に沿ってのびるとともに該縁部に沿って断面形状が変化する凹状の湾曲面が形成され、
前記ガスケットの前記当接面部には、前記リップ部に連続して肉厚部が形成されているとともに、前記ベースの縁部には、前記肉厚部との干渉を回避するための逃げ部が形成されていることを特徴とする車両用ドアミラー。
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