JP4009607B2 - 触媒の再生処理方法、及び該再生触媒を用いた有機ハロゲン化合物の分解方法 - Google Patents

触媒の再生処理方法、及び該再生触媒を用いた有機ハロゲン化合物の分解方法 Download PDF

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Description

本発明は、被処理油中の有機ハロゲン化合物の分解に用いられた触媒の再生処理方法、及び、該再生触媒を用いた被処理油中の有機ハロゲン化合物の分解方法に関する。
各種有機ハロゲン化合物のなかでも、ポリ塩化ビフェニール(以下PCBと略称することがある。)は人体を含む生体に極めて有害であることから、1973年に特定化学物質に指定され、その製造、輸入、使用が禁止されている。しかし、その後適切な廃棄方法が決まらないまま数万トンのPCBが未処理の状態で放置されている。PCBは、高温(30〜750℃)分解では強毒性のダイオキシン類である塩素化ジベンゾ−p−ダイオキシン(PCDD)とジベンゾフラン(PCDF)が副生することから、技術的にPCBを安全に分解することが難しく、永年にわたりPCBの安全で効率的な各種分解法が検討されている。
例えば、特許文献1には、白金を担持した活性炭と芳香族塩素化合物(パラクロロフェノール)を含む混合系に、水素ガスを吹き込みながらマイクロ波を照射することにより、有害有機ハロゲン化合物を脱ハロゲン化する方法が提案されている。しかしながら、この方法では、水素ガスを芳香族塩素系化合物を含む反応系に外部から供給する必要があり、実用的な手法としては好ましくない。
また、特許文献2には、ハロゲン化芳香族化合物を少量含む炭化水素油(PCBを含む回収トランス油)を、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)を溶媒として、ナトリウムエトキシドやNaOH等のアルカリ物質の存在下で100℃以上300℃以下で加熱した後、炭化水素油を分離することにより、ハロゲン化芳香族化合物を除去する方法が提案されている。しかしながら、この方法は高温(100〜300℃)での反応であるため、副反応生成物が生成する可能性が高く、分解後の後処理が煩雑となる。
そこで、本発明者等は、PCB等の有機ハロゲン化合物を微量含有する絶縁油に、水素供与体及びアルカリ化合物を添加し、触媒存在下に低温、常圧で反応させることにより、副反応生成物が生成し難く、実用的な規模で大量のPCBを無毒化することが可能な有機ハロゲン化合物の分解方法を提案した(特許文献3〜5)。しかしながら、油中の有機ハロゲン化合物分解に使用される触媒は高価であり、コストダウンが不可欠であるものの、触媒表面に付着した油の除去の問題、分解反応の進行に伴い反応系が増粘する問題等があるため、再生処理は容易ではなかった。
特開2001−19646号公報 特開平6−25691号公報 特願2003−376247 特願2004−73286 特願2003−378452
本発明は、前記従来の課題に鑑みてなされたものであり、有機ハロゲン化合物が微量混入した油の分解処理に用いられた被毒された触媒の活性を回復させることができる触媒の再生処理方法、及び該再生触媒を用いた有機ハロゲン化合物の分解方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、油中の有機ハロゲン化合物の分解反応が進行するに連れて、触媒活性が低下すると共に触媒表面に付着物が見られるようになり、この付着物(触媒毒)を洗浄剤で除去すると、上記課題を有効に解決できるとの知見によりなされたものである。
すなわち、本発明は、被処理油中の有機ハロゲン化合物をアルカリ物質、水素供与体及び触媒の存在下で分解する分解処理に用いられた触媒の再生処理方法であって、分解能力が低下した前記触媒をメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール又はアセトンで洗浄し、前記ハロゲンとアルカリ物質との中和塩を除去することにより触媒の分解能を復帰させることを特徴とする触媒の再生処理方法を提供する。
本発明の触媒の再生処理方法においては、好ましくは、前記触媒が炭素結晶化合物及び金属担持炭素化合物からなる群から選ばれた少なくとも一つの化合物であり、前記水素供与体が複素環式化合物、アミン系化合物、アルコール系化合物、ケトン系化合物及び脂環式化合物からなる群から選ばれた少なくとも一つの化合物であり、前記被処理油が絶縁油である。
本発明の触媒の再生処理方法においては、前記絶縁油が柱上変圧器、大型変圧器又はOFケーブル絶縁油タンクに充填又は保存されたものであっても良い。この場合、前記再生触媒が触媒槽に充填されて成り、該触媒槽に洗浄剤を連続的に流通させることにより触媒を洗浄することもできる。
また、本発明は、被処理油中の有機ハロゲン化合物をアルカリ物質、水素供与体及び上記の触媒の再生処理方法によって再生された触媒の存在下で、常温放置又は加熱又はマイクロ波照射することにより分解することを特徴とする有機ハロゲン化合物の分解方法を提供する。
上記の分解方法は、容器内に充填又は保存された有機ハロゲン化合物を含有する被処理油とアルカリ物質と水素供与体との混合物を、前記容器から抜出し、上記の触媒の再生処理方法によって再生処理された触媒を充填してなる触媒槽に流通させた後、前記容器に循環させることにより被処理油中の有機ハロゲン化合物を分解する方法であってもよい
本発明の触媒再生処理方法によれば、触媒活性サイトに付着した中和塩を洗浄剤で洗浄除去することにより触媒の分解能が回復するため、再生処理後の触媒を有機ハロゲン化合物の分解反応に繰り返し使用することができる。よって、分解処理費用を大幅に削減することができる。
また、本発明の有機ハロゲン化合物の分解方法によれば、被処理油中の有機ハロゲン化合物をアルカリ物質、水素供与体及び再生触媒の存在下で、分解処理することができる。これにより、容器内に充填又は保存された有機ハロゲン化合物を含有する被処理油とアルカリ物質と水素供与体との混合物を、前記容器から抜出し、触媒を充填してなる触媒槽(触媒カラム)に流通させた後、該触媒カラムを流通した混合物を前記容器に循環させる操作で、被処理油中の有機ハロゲン化合物を分解することができる。よって、変圧器貯蔵所などでの現場処理も可能となるため、トータル分解処理費用の削減が図られる。
本発明の触媒再生処理方法は、被処理油中の有機ハロゲン化合物をアルカリ物質、水素供与体及び触媒の存在下で分解する分解処理に用いられた触媒の再生処理方法であって、
分解能力が低下した前記触媒をメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール又はアセトンで洗浄し、前記ハロゲンとアルカリ物質との中和塩を除去することにより触媒の分解能を復帰させることを特徴とするものである。
上記の触媒としては、有機ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応を促進しうるものであれば制限なく使用することができ、その種類は特に限定されない。無機系触媒は触媒寿命が長く、かつ、アルカリ物質の存在下でも安定であるため、有機系触媒よりも好適に用いられる。無機系触媒の好ましい具体例としては、脱ハロゲン化効率を高める観点より、複合金属酸化物、炭素結晶化合物、金属担持炭素化合物及び金属酸化物等が挙げられる。中でも、アルカリ性雰囲気で安定性が高い点より、炭素結晶化合物、金属担持炭素化合物が好ましく、特に金属担持炭素化合物が好ましい。無機系触媒は、単独で又は二種以上を任意に組合せて使用することができる。
ここで、前記の炭素結晶化合物としては、グラファイト、カーボンナノチューブ(金属を含むものと含まないものの双方が含まれる)、フラーレン等が挙げられる。
また前記の金属担持炭素化合物としては、金属を担持した炭素化合物であれば制限なく用いることができ、その金属担持量は、触媒全量に対して1〜20wt%、より好ましくは5〜10wt%であるのが良い。担持される金属としては、例えば、鉄、銀、白金、ルテニウム、パラジウム、ロジウム等が挙げられ、脱ハロゲン化効率を高める観点より、パラジウム、ルテニウム、白金が好ましい。金属担持炭素化合物の具体例としては、例えば、Pd/C(パラジウム担持炭素化合物)、Ru/C(ルテニウム担持炭素化合物)、Pt/C(白金担持炭素化合物)等が挙げられる。金属担持炭素化合物は、粒状のものでもハニカム状のものでも良い。粒状の場合はカラムの上下をメッシュ等で固定する必要があり、その場合の触媒粒子径は75μm〜5mmが好ましい。5mmを超える場合はハンドリングが悪くなり、75μm未満の場合はメッシュが詰まり差圧が高くなる。より好ましくは150μm〜3mmである。
再生処理を施す対象となる触媒は、有機ハロゲン化合物が微量混入した被処理油にアルカリ物質、水素供与体を添加し、これらを触媒に接触させることにより有機ハロゲン化合物を分解処理する際に用いられたものである。この際、触媒の分解能力の低下は、GC−MSなど公知の有機ハロゲン化合物分析装置を用いて被処理液中の有機ハロゲン化合物濃度を測定することにより把握できる。触媒は、油や水素供与体に予め添加されたもの、分解反応器に添加或いは固定して使用されたもの、或いは、触媒カラムに充填して使用されたものなど、いずれでも良い。
本発明では、触媒の使用量は限定されないが、反応溶液100質量部あたり0.000001〜0.5質量部とするのが好ましく、より好ましくは0.0001〜0.1質量部であり、特に好ましくは0.001〜0.02質量部である。触媒使用量が0.000001質量部未満では水素発生量が少ないため脱塩素化が進行し難くなり、一方、0.5質量部を超える場合は反応系の攪拌混合が難しくなり、経済的にも不利となる。
アルカリ物質としては、有機ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応を促進しうるものであれば制限なく使用することができるが、脱ハロゲン化効率を高める観点より、苛性ソーダ、苛性カリ、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド、水酸化カルシウム等が好ましい。中でも、コストやハンドリング性の観点より、苛性ソーダ、苛性カリが特に好ましい。アルカリ物質は、単独で又は二種以上を任意に組合わせて使用することができる。
水素供与体は、有機ハロゲン化合物から発生したラジカルに対して、水素原子を供与することができる化合物であればよい。水素供与体としては、例えば、複素環式化合物、アミン系化合物、アルコール系化合物、ケトン系化合物、及び脂環式化合物等の有機系水素供与体等が挙げられる。これらの化合物の中でも、安全性の観点より、アルコール系化合物、ケトン系化合物、脂環式化合物が好ましく、特に、安全性が高く、低コストで入手可能であり、しかも反応制御が容易で、PCB分解効率が高い点より、アルコール系化合物が好ましい。これらの水素供与体は、単独で又は二種以上を任意に組合わせて使用することができる。
ここで、前記のアルコール系化合物としては、脂肪族アルコール、芳香族アルコールのいずれであってもよく、直鎖又は分岐の一価アルコールや多価アルコールを、制限なく用いることができる。アルコール系化合物の炭素数は1〜12の範囲が好ましく、より好ましくは2〜9の範囲、さらに好ましくは3〜6の範囲である。前記アルコール系化合物の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール等の脂肪族アルコール、シクロプロピルアルコール、シクロブチルアルコール、シクロペンチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、シクロヘプチルアルコール、シクロオクチルアルコール等の脂環式アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、デカリンジオール等の多価アルコール等が挙げられる。これらの中でも、分解効率の点から2−プロパノール、シクロヘキサノール等の2級アルコールが特に好ましい。
本発明では、アルカリ物質及び水素供与体の使用量は限定されないが、アルカリ物質は水素供与体に対して0.1〜50%(wt/vol)使用するのが好ましく、より好ましくは0.1〜10%(wt/vol)である。アルカリ物質が少なすぎると分解反応が進行しなくなり、一方、多すぎるとアルカリが溶解しきれなくなるため好ましくない。又、アルカリ物質は油に対しては0.02〜10%(wt/vol)使用するのが好ましい。水素供与体は油に対して5〜50%(vol/vol)使用するのが好ましい。5%未満では油の粘度が高くなり、分解反応が進まなくなる。一方、50%を超える場合でも反応は十分進行するが、以下に説明するように、柱上変圧器等に充填された絶縁油中の微量PCBを分解する場合、柱上変圧器等の空隙部に水素供与体が入りきらなくなるおそれがあることより、油に対し50%程度を上限とするのが好ましい。
本発明において、前記した被処理油は、容器内に充填又は保存されたものでも良い。この容器としては、例えば、柱上変圧器、大型トランス、OFケーブル絶縁油タンクなどが挙げられる。これらの柱上変圧器、大型トランス、OFケーブル絶縁油タンク等には、有機ハロゲン化合物が微量混入した汚染絶縁油(被処理油)が充填又は保存されたものが未処理の状態で存在することが多い。従って、容器内の被処理油にアルカリ物質、水素供与体を添加し、これらを触媒が充填された触媒槽を流通させる等の手段により触媒に接触させた後、再び容器内に循環させる方法を採用することで、PCB処理設備に輸送する必要がなく変圧器の保管場所等で分解処理を行うことができる利点がある。
ここで、上記の有機ハロゲン化合物としては、例えば、PCB類やダイオキシン類等が挙げられる。PCBが微量混入した汚染油としては、例えば電気絶縁油、熱媒体用の油、潤滑油等が挙げられる。固体中に含まれる有機ハロゲン化合物を抽出した鉱油等にも適用可能である。
本発明において用いる洗浄剤としては、アルカリ物質(例えばKOH)及びそれとハロゲンとの反応生成物である塩(例えばKCl)の溶解性に優れることから、水又は有機溶剤が好ましい。かかる有機溶剤としては例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール等の脂肪族アルコール、アセトン等のケトン、酢酸エチル等のエステル、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、トルエン、キシレン、クメン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。これらの有機溶剤の中でも、特にアルカリ物質及びそれとハロゲンとの反応生成塩の溶解性に優れると共に、付着した油の溶解性も良く、適度に沸点が高く回収が容易であることから、メタノール、エタノールが特に好ましい。
洗浄方法としては、バッチ式や連続式など触媒を再生できる方法であれば特に限定されるものではなく、公知の方法を適宜用いることができる。バッチ式にて洗浄する場合は、触媒と洗浄剤とを混合、攪拌した後、触媒をデカンテーション、遠心分離、濾過で分離するなど公知の方法を適宜用いることができる。連続式にて洗浄する場合は、触媒を充填した触媒槽(触媒カラム)に洗浄剤を流通させ、洗浄剤を循環させながら洗浄するなど公知の方法を適宜用いることができる。洗浄には上記の洗浄剤を一種単独で用いても良く、二種以上を混合或いは組合わせて使用しても良い。
触媒の洗浄に供する洗浄剤量は、洗浄剤の種類や洗浄方式等によって異なるが、洗浄剤は触媒に対して、洗浄剤/触媒=5〜1,000/1(vol/wt)の比率で使用するのが良い。洗浄剤と触媒との比率は、より好ましくは、洗浄剤/触媒=50〜300/1(vol/wt)である。
洗浄温度は、使用する洗浄溶媒の種類等によって異なるため、限定されないが、通常、10〜90℃である。洗浄時間は特に限定されるものではないが、通常、1分〜3時間程度である。本発明では、洗浄回数は任意であるが、洗浄液のpHが10以下になるまで行うことが好ましい。
本発明の触媒の再生処理方法によれば、再生触媒を使用することにより被処理油中の有機ハロゲン化合物の分解能を、バージン触媒と同等程度まで回復させることができる。再生のメカニズムは明らかではないが、以下のように推察される。有機ハロゲン化合物の分解反応に伴い、脱離したハロゲンとアルカリ物質との中和反応により塩が生成し、この塩が触媒の活性サイト(例えば、Pd/C触媒のPd上など)に徐々に蓄積される。このため反応サイトが徐々に減少し、触媒活性が低下する。触媒上に蓄積された塩を洗浄剤で除去することによって、一時的に低下した触媒活性が回復する。
本発明による再生触媒は、再度、有機ハロゲン化合物を微量含有する被処理油をアルカリ物質、水素供与体及び再生触媒の存在下で分解する分解処理に使用することができる。アルカリ物質、水素供与体、触媒としては、上記した化合物が挙げられる。又、分解方法としては、公知の方法を適用することができるが、例えば、攪拌しながら常温、常圧で放置することにより10〜80℃で分解する方法、或いは、マイクロ波を照射して50〜200℃で反応させることにより分解する方法、或いは、加熱下で反応させることにより分解する方法等が挙げられる。
分解は、例えば、容器内に充填又は保存された有機ハロゲン化合物を含有する被処理油を該容器から抜出したものを、触媒を充填してなる触媒カラムに流通させた後、流通した被処理油を前記容器に循環させる方法を採用することもでき、これにより、被処理油中の有機ハロゲン化合物を連続的に分解処理することができる。この場合、流通速度は任意とすることができる。さらに、分解触媒を充填した触媒カラムを少なくとも2系統用いることにより、一方の触媒カラムにおいて被処理油中の有機ハロゲン化合物を分解している間に、他方の触媒カラムにおいて触媒を再生処理することができるので、分解反応が進まなくなった場合でも装置を解体することなく、連続的に分解処理を継続できる。
但し、本発明による再生触媒の使用方法は上記に限られず、油中の有機ハロゲン化合物を分解する際の触媒として使用することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
実施例1
(分解試験)
7種4号絶縁油100mlに、PCB(主成分:4塩化ビフェニール)を添加し、2ppmのPCB含有試験油を調製した。これに、水素供与体としてイソプロピルアルコール20ml及びアルカリ物質としてKOH0.2g、さらに新品のPd/C触媒(パラジウムを5%担持した80−100メッシュの活性炭、和光純薬製)0.4gを加え、三口フラスコ中にセットした。四国計測工業(株)製の簡易型マイクロ波反応装置(温度制御タイプZMW−024型)によりマイクロ波を照射しながら温度を50℃に維持し、120分反応させた。反応後のPCB濃度を、DB1をキャピラリーカラムとする島津製作所製GC−MS(QP5050A)で分析した
(触媒の再生処理試験)
分解試験に用いたPd/C触媒にアセトン25mlを添加し、2分間手攪拌した。これを遠心分離器(久保田製作所製、型式5200)に2000回転で10分間かけ、上澄みを除去し、デカンテーションした。この操作を2回繰り返し、液色が透明になることを確認した。次に、水を50ml添加し、2分間手攪拌した後、同様に遠心分離、デカンテーションを行い、pHをチェックした。この操作をpHが10以下になるまで、3回繰り返した。さらに、アセトン25mlを添加し、2分間手攪拌した後、同様に遠心分離、デカンテーションを行い、脱水した。最後に60℃で1時間乾燥し、再生触媒(0.37g)を得た。
(再分解試験)
得られた再生触媒を使用して、上記と同様にして分解試験を実施した。反応後のPCB濃度をGC−MSで分析した。その結果を表1に併せて示した。
(表1)
触媒の種類 PCB濃度(ppm)
新 品 0.86
再生品 1.52
実施例2
絶縁油として2種3号絶縁油を使用し、PCB(主成分:4塩化ビフェニール)を添加し、2ppmのPCB含有試験油を調製した以外は、実施例1と同様にして分解試験、触媒の再生処理試験を実施し、再生触媒を得た(0.37g)。これを使用して、実施例1と同様に再分解試験を実施した。実施例1と同様に、反応後のPCB濃度をGC−MSで分析した。その結果を表2に併せて示した。
(表2)
触媒の種類 PCB濃度(ppm)
新 品 0.55
再生品 0.56
実施例3
(分解試験)
実施例1の場合と同様に実施した。反応後のPCB濃度をGC−MSで分析した。
(触媒の再生処理試験)
分解試験に用いたPd/C触媒にアセトン100mlを添加し、ソックスレー脂肪抽出機(柴田化学(株)製、SPC透明ジョイント、容量150ml)にかけ、90℃のウォーターバスにセットした。1回あたり7〜8分のペースで抽出を繰り返し、計30回抽出した。
(再分解試験)
得られた再生触媒(0.4g)を使用して、実施例1の場合と同様にして分解試験を実施した。反応後のPCB濃度をGC−MSで分析した。その結果を表3に併せて示した。
(表3)
触媒の種類 PCB濃度(ppm)
新 品 0.95
再生品 0.65
実施例4
実施例3の触媒の再生処理試験において、アセトンの替わりにエタノールを使用した以外は、実施例3の場合同様に実施した。反応後のPCB濃度をGC−MSで分析した結果を表4に併せて示した。
(表4)
触媒の種類 PCB濃度(ppm)
新 品 1.07
再生品 0.90
比較例1
実施例1の分解試験に用いた触媒を、遠心分離で分離し、再分解試験に供した。反応後のPCB濃度をGC−MSで分析した結果を表5に併せて示した。
(表5)
触媒の種類 PCB濃度(ppm)
新 品 0.86
再生品 1.93
以上の試験結果から、分解触媒を洗浄することにより有機ハロゲン化合物の分解試験に再使用可能な程度まで触媒能を復帰させうることが分かった。また、2種3号絶縁油では7種4号絶縁油よりも良好な試験結果を得た。


Claims (6)

  1. 被処理油中の有機ハロゲン化合物をアルカリ物質、水素供与体及び触媒の存在下で分解する分解処理に用いられた触媒の再生処理方法であって、
    分解能力が低下した前記触媒をメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール又はアセトンで洗浄し、前記ハロゲンとアルカリ物質との中和塩を除去することにより触媒の分解能を復帰させることを特徴とする触媒の再生処理方法。
  2. 前記触媒が炭素結晶化合物及び金属担持炭素化合物からなる群から選ばれた少なくとも一つの化合物である、請求項1に記載の触媒の再生処理方法。
  3. 前記水素供与体が複素環式化合物、アミン系化合物、アルコール系化合物、ケトン系化合物及び脂環式化合物からなる群から選ばれた少なくとも一つの化合物である、請求項1に記載の触媒の再生処理方法。
  4. 前記被処理油が絶縁油である、請求項1に記載の触媒の再生処理方法。
  5. 前記絶縁油が柱上変圧器、大型変圧器又はOFケーブル絶縁油タンクに充填又は保存されたものである、請求項に記載の触媒の再生処理方法。
  6. 被処理油中の有機ハロゲン化合物をアルカリ物質、水素供与体及び請求項1〜のいずれか1項に記載の方法により再生処理された触媒の存在下で、常温放置又は加熱又はマイクロ波照射することにより分解することを特徴とする有機ハロゲン化合物の分解方法。
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