JP4269242B2 - 有機ハロゲン化合物内蔵機器の無害化処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、有機ハロゲン化合物を含む絶縁油が充填又は保存された電気機器(変圧器、油絶縁ケーブルの油槽等)を解体前に無害化する方法に関し、特に高濃度または低濃度のPCBを含有する絶縁油が充填又は保存された電気機器(柱上変圧器等)を解体前に無害化する方法に関する。
各種有機ハロゲン化合物のなかでも、ポリ塩化ビフェニール(以下PCBと略称する。)は人体を含む生体に極めて有害であることから、1973年に特定化学物質に指定され、その製造、輸入、使用が禁止されている。しかし、その後適切な廃棄方法が決まらないまま数万トンのPCBが未処理の状態で放置されている。PCBは、高温(30〜750℃)分解では強毒性のダイオキシン類である塩素化ジベンゾ−p−ダイオキシン(PCDD)とジベンゾフラン(PCDF)が副生することから、技術的にPCBを安全に分解することが難しく、永年にわたりPCBの安全で効率的な各種分解法が検討されている。
また、有機ハロゲン化合物を絶縁油中に含む、変圧器、油絶縁ケーブルの油槽、コンデンサ、蛍光灯用安定器については、洗浄等による機器の無害化も併せて検討されている。
特許文献1には、PCBを含有する機器を、電器絶縁油からなる粗洗浄液で洗浄する工程と、仕上げ洗浄液で洗浄する工程又は過熱処理をする工程と、洗浄液を金属ナトリウムで脱塩素化する工程を有する無害化方法が提案されている。
特許文献2には、有機ハロゲン化合物を含有する静止誘導機を水及び酸化剤とともに圧力容器中に設置し、加圧及び加熱により圧力容器中の水を超臨界状態にして、有機ハロゲン化合物を分解するという、無害化方法が提案されている。
特許文献3には、本発明者等が提案した方法として、柱上変圧器に充填されているPCB含有絶縁油にイソプロピルアルコールとKOHを混合し、Pd/C触媒存在下にマイクロ波を照射することによりPCBを分解する方法が記載されている。
特開2004−8842号公報 特開2000−116814号公報 特開2006−246976号公報
しかしながら、特許文献1記載の方法では新たに生じる洗浄廃液を処理する工程が必要になるという問題があり、また、特許文献2に記載されている方法は高温(430℃)及び高圧(25MPa)で反応させるため、装置が大掛かりになり設置場所が制限されるとともに経済性に劣る。
一方で、複雑な内部構造を有する機器では、絶縁油をすべて抽出することは事実上不可能であり、PCBを含む絶縁油を抜き取って別処理をした場合の、有機ハロゲン化合物を含む絶縁油の残留した機器の処理が懸念されており、低コストで簡便に機器に残留する絶縁油中の有機ハロゲン化合物を分解し機器を無害化する技術が求められている。
その点、本発明者等が提案した特許文献3記載の方法は、液処理と同時に内部部材中に存在するPCBも溶出、分解処理することが可能であるが、万一、機器内に残ってしまう場合にはPCB含有機器を処理するために特許文献1、2であげた問題点があった。
本発明は、前記従来の課題に鑑みてなされたものであり、抜油後或いは分解処理後に、変圧器(柱上、大型)、油絶縁ケーブルの油槽等の機器に残留する絶縁油に含まれる有機ハロゲン化合物を、特別な分解処理装置を使用することなく簡易に短期間で、有害なダイオキシン類を副生することなく洗浄でき、機器を解体前に無害化処理することができる、有機ハロゲン化合物内蔵機器の無害化処理方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、有機ハロゲン化合物を含む絶縁油を内蔵する機器に、水素供与体とアルカリ化合物の混合溶液を充填して処理液を調製し、その処理液を触媒充填装置に流通させ卒業基準を満たすまで循環させ、適宜処理液中の有機ハロゲン化合物濃度をモニタリングし、有機ハロゲン化合物濃度が所定の基準値以下に保たれ、かつ減少していくことを確認しながら、反応の進行状況を確認することにより、内蔵機器を機器付属のコイル、絶縁紙、木片等に残存する有機ハロゲン化合物も含め、短期間で簡易に無害化処理できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
1)有機ハロゲン化合物を含む絶縁油を内蔵する機器から絶縁油が抜き出された抜油後の該機器内に、
水素供与体とアルカリ化合物の混合溶液を充填する充填工程と、
該機器内に残存する有機ハロゲン化合物を前記混合溶液に溶解もしくは溶出させた処理液を触媒充填装置に流通させながら、該触媒充填装置内の処理液へ断続的にマイクロ波を照射し、該処理液を機器に循環させることにより機器及びその内部の付属部材に残存する有機ハロゲン化合物を溶出分解し、
該循環を、機器及びその内部の付属部材に残存する有機ハロゲン化合物が卒業基準を満たすまで実施する洗浄工程と、を有し、
洗浄工程において、マイクロ波照射を停止し、処理液を触媒充填装置に流通させながら循環させる状態で、適宜処理液中の有機ハロゲン化合物濃度をモニタリングし、有機ハロゲン化合物濃度が所定の基準値以下に保たれ、かつ減少していくことを確認しながら、有機ハロゲン化合物の分解反応の進行状況を確認し、
洗浄工程終了後に処理液を抜き出すことを特徴とする有機ハロゲン化合物内蔵機器の無害化処理方法。
2)前記充填工程の後に、機器に残存する有機ハロゲン化合物を、前記混合溶液に溶解もしくは溶出させる処理液調製工程を有することを特徴とする、前記1)に記載の有機ハロゲン化合物内蔵機器の無害化処理方法。
3)前記有機ハロゲン化合物を含む絶縁油が、少量(1〜10,000ppm)の有機ハロゲン化合物を含む絶縁油であることを特徴とする、前記1)又は2)に記載の有機ハロゲン化合物内蔵機器の無害化処理方法。
4)前記有機ハロゲン化合物を含む絶縁油が、高濃度の有機ハロゲン化合物を含む絶縁油であることを特徴とする、前記1)又は2)に記載の有機ハロゲン化合物内蔵機器の無害化処理方法。
5)少量の有機ハロゲン化合物を含む絶縁油を内蔵する機器内に、水素供与体とアルカリ化合物を添加して処理油を調製し、該処理油を触媒充填装置に流通させながら循環させることにより有機ハロゲン化合物を分解する分解工程と、
前記機器から処理油を抜き取る抜油工程と、
抜油後の機器内に水素供与体とアルカリ化合物の混合溶液を充填する充填工程と、
該機器内に残存する有機ハロゲン化合物を前記混合溶液に溶解もしくは溶出させた処理液を触媒充填装置に流通させながら、該触媒充填装置内の処理液へ断続的にマイクロ波を照射し、該処理液を機器に循環させることにより機器及びその内部の付属部材に残存する有機ハロゲン化合物を溶出分解し、該循環を、機器及びその内部の付属部材に残存する有機ハロゲン化合物が卒業基準を満たすまで実施する洗浄工程と、を有し、
洗浄工程において、マイクロ波照射を停止し、処理液を触媒充填装置に流通させながら循環させる状態で、適宜処理液中の有機ハロゲン化合物濃度をモニタリングし、有機ハロゲン化合物濃度が所定の基準値以下に保たれ、かつ減少していくことを確認しながら、有機ハロゲン化合物の分解反応の進行状況を確認し、
洗浄工程終了後に処理液を抜き出すことを特徴とする有機ハロゲン化合物内蔵機器の無害化処理方法。
6)前記洗浄工程における処理液温度が常温以上60℃以下であることを特徴とする、前記1)〜5)のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物内蔵機器の無害化処理方法。
)前記機器が、柱上変圧器、大型変圧器又は油絶縁ケーブルの油槽のいずれかであることを特徴とする、前記1)〜)のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物内蔵機器の無害化処理方法。
)前記機器及びその内部の付属部材の材料が、鉄、銅、碍子、紙又は木であることを特徴とする、前記1)〜)のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物内蔵機器の無害化処理方法。
)前記有機ハロゲン化合物がPCBであることを特徴とする、前記1)〜)のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物内蔵機器の無害化処理方法。
10)前記水素供与体が、複素環式化合物、アミン系化合物、アルコール系化合物、ケトン系化合物及び脂環式化合物からなる群から選ばれた少なくとも一つの化合物であることを特徴とする、前記1)〜)のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物内蔵機器の無害化処理方法。
11)前記アルカリ化合物が、苛性ソーダ、苛性カリ、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド及び水酸化カルシウムからなる群から選ばれた少なくとも一つの化合物であることを特徴とする、前記1)〜10)のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物内蔵機器の無害化処理方法。
12)前記触媒が、炭素結晶化合物、金属担持炭素化合物、金属担持酸化物及び金属担持複合酸化物からなる群から選ばれた少なくとも一つの化合物であることを特徴とする、前記1)〜11)のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物内蔵機器の無害化処理方法。
本発明の有機ハロゲン化合物内蔵機器の無害化処理方法によれば、機器に残留している有機ハロゲン化合物含有絶縁油が水素供与体とアルカリ化合物との混合溶液に混ざるとともに、機器本体の表面に付着、コイル等の付属部材の表面や内部に付着、或いは、紙、木片等の付属部材に染み込んだ有機ハロゲン化合物が、混合溶液中に溶解もしくは溶出されてくるので、該溶液を触媒充填装置を流通させながら循環させることにより、前記絶縁油中の有機ハロゲン化合物を短期間で洗浄することができる。また、処理時に有害なダイオキシン類が副生しないので安全である。また、常圧下でも簡易に無害化処理できるので、工場や変圧器貯蔵所などの現場で洗浄処理を実施することができる。従って、実用的な規模で大量の機器を無害化処理することが可能になる。
機器内に少量の有機ハロゲン化合物を含む絶縁油が内蔵されている場合は、この中で絶縁油中の有機ハロゲン化合物の分解処理を行った後、絶縁油を抜き取り、抜油後の機器に上記の洗浄処理を施すことが出来るので、これにより、絶縁油の無害化処理から容器の無害化処理までを一貫して実施することができる。
機器内に高濃度の有機ハロゲン化合物を含む絶縁油が内蔵されている場合は、この絶縁油を抜き取り、別の反応槽において分解処理を行った後、抜油後の機器に上記の洗浄処理を施すことが出来るので、これにより、絶縁油の無害化処理から容器の無害化処理までを一貫して実施することができる。
また、前記の触媒充填装置において、触媒槽を流通する処理液にマイクロ波を照射することにより、分解を促進することができる。
また、無害化処理に用いる水素供与体及び/又はアルカリ化合物を選択することにより、有機ハロゲン化合物の分解を高い効率で行うことができ、さらに、それらの使用量を規定することにより、有機ハロゲン化合物の分解をより高い効率で行うことができる。また、予めアルカリ化合物を水素供与体に溶解しておいた溶液を機器へ充填することにより、有機ハロゲン化合物の初期分解速度を高めることができる。
また、分解に用いる触媒として、炭素結晶化合物、金属担持炭素化合物、金属担持酸化物及び金属担持複合酸化物から選ばれた少なくとも一つの化合物を用いることにより、有機ハロゲン化合物の分解を高い効率で行うことができ、処理コストを低減することができる。
以下、本発明に係る有機ハロゲン化合物内蔵機器の無害化処理方法について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1及び図2は、本発明の一実施形態である、有機ハロゲン化合物を含有する絶縁油が付着した機器の無害化処理フローの説明図である。図1は、低濃度の有機ハロゲン化合物を含有する絶縁油を内蔵する機器の無害化処理フロー、図2は高濃度の有機ハロゲン化合物を含有する絶縁油を内蔵する機器の無害化処理フローである。
図1の無害化処理フローでは、有機ハロゲン化合物を含む絶縁油(好ましくは、少量のPCBを含む絶縁油)が充填された柱上変圧器等の機器内に、水素供与体とアルカリ化合物を添加して処理油を調製した後、該処理油を触媒充填装置に流通させながら循環させることによって有機ハロゲン化合物を分解する(分解工程)。分解処理後の絶縁油は、機器から抜き取る(抜油工程)。
図2の無害化処理フローでは、有機ハロゲン化合物を含む絶縁油(好ましくは、高濃度のPCBを含む絶縁油)が充填された大型変圧器等の機器から絶縁油を抜き取り、別の反応槽で、抜き取った絶縁油に水素供与体とアルカリ化合物を添加して処理油を調製した後、該処理油を触媒充填装置に流通させながら循環させることによって有機ハロゲン化合物を分解する(分解工程)。
次いで、抜油後の機器内に、水素供与体とアルカリ化合物の混合溶液を充填する(充填工程)。次に、機器本体及び機器内部に存在する付属部材(コイル、絶縁紙等)に残存する有機ハロゲン化合物を、前記混合溶液に溶解もしくは溶出させ、処理液を調製する(処理液調製工程)。この処理液を、別途設置する触媒充填装置に流通させ、処理液に混ざり込んだ残留有機ハロゲン化合物を触媒に接触させることにより分解し、機器本体及び付属部材に残存する有機ハロゲン化合物が卒業基準を満たすまで循環させる(洗浄工程)。洗浄工程終了後、処理液を抜き出し、機器を解体する。解体後の部材を材料ごとに選別し、リサイクルする。前記の分解工程において、有機ハロゲン化合物の分解を促進するために、触媒部分の溶液にマイクロ波を照射する
上記方法が適用可能な機器としては、例えば、変圧器(柱上、大型)、油絶縁ケーブルの油槽等が挙げられる。特に、機器内部に細部に入り込んだ種々の付属部材が存在し、かつ紙や木等に有機ハロゲン化合物が染み込んでいる可能性がある、柱上変圧器の処理に適用するのが好ましい。ここで、大型変圧器とは、絶縁油容量が100L〜30万Lのものを言う。
本発明において、無害化処理対象である有機ハロゲン化合物を含む絶縁油には、高濃度の有機ハロゲン化合物を含む絶縁油(即ち、含有量10,000ppm超の有機ハロゲン化合物を含む絶縁油や、PCBを50質量%以上含有する有機ハロゲン化合物(PCB100%品からなるものを含む)からなる絶縁油)、及び、少量の有機ハロゲン化合物を含む鉱油等をベースにした絶縁油(含有量:1ppm〜10,000ppm、好ましくは1ppm〜500ppm)、の双方が含まれる。絶縁油に含まれる有機ハロゲン化合物としては、PCB、ダイオキシン類等を挙げることができ、その種類は特に限定されるものではない。
PCB市販品としては、例えば、鐘淵化学(株)のKC−200(主成分:2塩化ビフェニール)、KC−300(主成分:3塩化ビフェニール)、KC−400(主成分:4塩化ビフェニール)、KC−500(主成分:5塩化ビフェニール)、KC−600(主成分:6塩化ビフェニール)や、三菱モンサイト(株)のアロクロール1254(54% Chlorine)等を挙げることができる。
次に、本発明の有機ハロゲン化合物内蔵機器の無害化処理方法を、工程ごとに順に説明する。
(分解工程)
図1に示す機器の無害化処理フローにおいては、絶縁油を内蔵する機器に、水素供与体とアルカリ化合物を添加して処理油を調製した後、該処理油を触媒充填装置に流通させながら循環させることにより、有機ハロゲン化合物を分解する。分解操作は後述する洗浄操作と同様の方法にて実施すればよく、分解工程では主に絶縁油が無害化される。
図2に示す機器の無害化処理フローにおいては、絶縁油を内蔵する機器から絶縁油を抜き取り、別の反応槽に移送する。抜き取った絶縁油に水素供与体とアルカリ化合物を添加して処理油を調製した後、該処理油を触媒充填装置に流通させながら循環させることにより、有機ハロゲン化合物を分解する。
(抜油工程)
次に、機器の開口部を通じて絶縁油の抜き取りを行う。絶縁油の抜き取りは、開口部から流下させてもよく、また、ポンプ等で吸い出しても良い。なお、すでに絶縁油が抜き取られている機器については、分解工程、抜油工程は省略することができる。
(充填工程)
次に、機器に水素供与体とアルカリ化合物の混合溶液を充填する。図3及び図4は充填工程、及び、前記溶液を触媒充填装置に流通させながら循環させることにより有機ハロゲン化合物を分解する洗浄工程の概略を示す図である。図3及び図4において、有機ハロゲン化合物を含有する絶縁油が付着した機器の本体1に、水素供与体とアルカリ化合物の混合溶液2を充填する。
(処理液調製工程)
充填開始直後より、前記混合溶液に機器本体及び機器内部に存在する付属部材に残存する有機ハロゲン化合物を溶解もしくは溶出させる。なお、充填開始から充填終了までの間に処理液調製工程が終了する場合もしくは溶出と分解を同時に進める場合は、改めて、処理液調製工程を設ける必要はない。
充填開始から次の洗浄工程開始までの所要時間は、特に限定されないが、処理効果を損なわない時間であれば短時間でも良く、通常、0.01分〜60日間の範囲で適宜選択される。拡散シミュレーションによって所要時間を求めても良い。前記の所要時間は短い方が無害化処理時間の短縮という点からは好ましいが、一昼夜ないし数週間浸漬しておくことにより、機器細部(コイル3等)に入り込んでいる絶縁油を溶液中に浸出させることが可能である。溶液2の液温は特に限定されないが、通常、0〜60℃の範囲で選択するのが好ましい。
また、溶液2を調製する場合、水素供与体とアルカリ化合物の割合は任意であるが、アルカリ化合物濃度が低すぎると有機ハロゲン化合物の分解が進みにくくなり、高すぎても分解速度が平衡に達し経済性が悪くなることから、水素供与体とアルカリ化合物の合計(質量)に対するアルカリ化合物の濃度が0.1〜20質量%となる範囲で選択するのが好ましい。水素供与体とアルカリ化合物の混合方式は、アルカリ化合物と水素供与体の添加順序、例えば同時添加、分割添加、水素供与体を機器に入れてからアルカリ化合物を添加する方法又はその逆添加などいずれの方法であってもよく、特に限定されるものではない。混合時間は、特に限定されないが処理効果を損なわない時間であれば短時間でも良く、通常5〜90分が好ましい。また、アルカリ化合物を水素供与体に添加し高速攪拌等することにより溶解させ、予め混液にしたものを使用してもよい。
(洗浄工程)
次に、処理液2をポンプ11によりマイクロ波装置10内に設置された触媒充填装置15へ供給する。機器には、処理液2をポンプ11を介して触媒充填装置15に供給するための供給ライン12と、触媒充填装置から処理液を回収する回収ライン13が備えられている。これにより、機器内の処理液を触媒充填装置に供給し、有機ハロゲン化合物を触媒と接触させる。
図3及び図4に示す触媒充填装置15には、一部図示を省略しているが、有機ハロゲン化合物を分解しうる後述する触媒が充填された触媒充填層が形成されている。処理液2は、図中の矢印で示すようにポンプ11、供給ライン12を介して触媒充填装置15に導入され、導入された処理液は、触媒充填層20を流通し、触媒充填層流通後の処理液2は、回収ライン13により機器本体1内へ戻される。かくして、処理液が触媒と接触することにより、処理液中の有機ハロゲン化合物は分解する。洗浄工程で有機ハロゲン化合物の分解に用いた触媒は、再生処理を施した後、他の油の処理に再使用することもでき、再生処理は公知の方法、或いは水や有機溶剤を用いて触媒を洗浄する方法等を採用すればよい。
処理液2が触媒充填装置15を流通する際に、マイクロ波装置10からマイクロ波を処理液2に断続的に照射することによって、有機ハロゲン化合物の分解を促進することができる。この場合、マイクロ波の出力、周波数は、設定する洗浄条件に応じて適宜決定することができるが、周波数1〜300GHzのマイクロ波を電気的に制御しながら10W〜20kWの範囲で照射するのが好ましい。
処理液を触媒充填装置に流通させながら循環させる状態で、しばらく放置するが、適宜処理液中の有機ハロゲン化合物濃度を測定することで、反応の進行状況を確認できる。前記循環は、機器本体及び付属部材に残存する有機ハロゲン化合物が、それぞれ所定の卒業基準を満たすまで実施する。処理液を洗浄する際の処理液の液温は、常温以上60℃以下が好ましい。常温未満ではPCBの分解が遅いため処理時間が長くなり、60℃を超えると副生物が生成しやすくなる。
測定の結果、有機ハロゲン化合物濃度が所定の卒業基準値以下の場合は処理を終了する。一方、有機ハロゲン化合物濃度が所定の卒業基準値を超える場合は処理操作を継続する。洗浄処理終了後、機器から処理液を抜き出し、機器を解体する。解体後の機器は、鉄製の機器本体、鉄製のコイル、銅、絶縁紙等の紙、木等に分別し、それぞれリサイクルする。
本発明において油に添加する「水素供与体」としては、例えば、複素環式化合物、アミン系化合物、アルコール系化合物、ケトン系化合物、及び脂環式化合物等の有機系水素供与体等が挙げられる。これらの化合物の中でも、安全性の観点より、アルコール系化合物、ケトン系化合物、脂環式化合物が好ましく、特に、安全性が高く、低コストで入手可能であり、しかも反応制御が容易で、有機ハロゲン化合物分解効率が高い点より、アルコール系化合物が好ましい。これらの水素供与体は、単独で又は二種以上を任意に組合わせて使用することができる。
ここで、前記のアルコール系化合物としては、脂肪族アルコール、芳香族アルコールのいずれであってもよく、直鎖又は分岐鎖を有する一価アルコールや多価アルコールを用いることができる。アルコール系化合物の炭素数は1〜12の範囲が好ましく、より好ましくは2〜9の範囲、さらに好ましくは3〜6の範囲である。前記アルコール系化合物の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール等の脂肪族アルコール、シクロプロピルアルコール、シクロブチルアルコール、シクロペンチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、シクロヘプチルアルコール、シクロオクチルアルコール等の脂環式アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、デカリンジオール等の多価アルコール等が挙げられる。これらの中でも、分解効率の点から2−プロパノール、シクロヘキサノールが特に好ましい。
また、アルカリ化合物としては、有機ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応を促進しうるものであれば限定されないが、脱ハロゲン化効率を高める観点より、苛性ソーダ、苛性カリ、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド、水酸化カルシウム等が好ましく用いられる。中でも、コストやハンドリング性の観点より、苛性ソーダ、苛性カリが特に好ましい。アルカリ化合物は、単独で又は二種以上を任意に組合わせて使用することができる。アルカリ化合物は有機ハロゲン化合物に対し、1.0〜1.5倍当量用いるのがよい。
本発明の無害化処理方法においては、機器内に付着した絶縁油を水素供与体とアルカリ化合物の混合溶液へ混ぜ合わせるために、振とうによる外部からの攪拌、攪拌子による内部からの攪拌、超音波によるミクロ的な攪拌など、いずれの方法を用いてもよい。振とうによる外部からの攪拌としては、例えば、柱上変圧器などの容器を、振動式攪拌機、振動台、振とう機等を用いて加振する方法(例えば、垂直及び/又は水平方向へ平行振動させる方法、回旋振動させる方法など)などが挙げられる。攪拌子による内部からの攪拌としては、例えば、攪拌羽根やマグネチックスターラー等の攪拌子を用いて処理液を攪拌する方法などが挙げられる。攪拌する場合は、連続攪拌、間欠攪拌のいずれの方法を採用してもよい。
本発明の触媒充填装置に充填する触媒としては、有機ハロゲン化合物(特に、PCB)の脱ハロゲン化反応を促進しうるものであれば限定されないが、無機系触媒は触媒寿命が長く、かつ、アルカリ化合物存在下でも安定であるため、有機系触媒よりも好ましい。無機系触媒の好ましい具体例としては、脱ハロゲン化効率を高める観点より、複合金属酸化物、炭素結晶化合物、金属担持炭素化合物、金属担持酸化物、金属担持複合金属酸化物及び金属酸化物等が好ましく用いられる。中でも、アルカリ性雰囲気で安定性が高い点より、炭素結晶化合物、金属担持炭素化合物、金属担持酸化物及び金属担持複合酸化物が好ましく、特に金属担持炭素化合物が好ましい。これらの触媒は、単独で又は二種以上を任意に組合せて使用することができる。また、上記の方法で再生された再生触媒を使用してもよい。
ここで、前記の炭素結晶化合物としては、グラファイト、カーボンナノチューブ(金属を含むものと含まないものの双方が含まれる)、フラーレン等が挙げられる。
また前記の金属担持炭素化合物としては、金属を担持した炭素化合物であればよく、その金属担持量は、触媒全量に対して0.1〜20wt%、より好ましくは0.1〜10wt%である。担持される金属としては、例えば、鉄、銀、白金、ルテニウム、パラジウム、ロジウム等が挙げられ、脱ハロゲン化効率を高める観点より、パラジウム、ルテニウム、白金が好ましい。金属担持炭素化合物の具体例としては、例えば、Pd/C(パラジウム担持炭素化合物)、Ru/C(ルテニウム担持炭素化合物)、Pt/C(白金担持炭素化合物)等が挙げられる。
前記の金属担持酸化物及び金属担持複合酸化物は、金属を担持した酸化物、複合酸化物であれば限定されないが、その金属担持量及び金属の種類は、上記の金属担持炭素化合物と同様である。金属担持酸化物の具体例としては 例えば、Pd/TiO(パラジウム担持2酸化チタン)等が挙げられる。金属担持複合酸化物の具体例としては、例えば、Pd/SiO・Al(パラジウム担持シリカ−アルミナ)等が挙げられる。
なお、アルカリ化合物存在下で安定なものであれば、ポリエチレン等の樹脂に金属を担持した触媒も使用することができる
触媒の形状は、粒状のものでもハニカム状のものでもよい。粒状の場合はカラムの上下をメッシュ等で固定する必要があり、その場合の粒子径は75μm〜10mmが好ましい。10mmを超える場合は比表面積が不足し、75μm未満の場合はメッシュが詰まり差圧が高くなる。より好ましくは150μm〜5mmが望ましい。触媒粒子は、できるだけ粒子径のそろったものがよい。
本発明の無害化処理方法によれば、機器本体に付着する有機ハロゲン化合物や、付属部材に残存する有機ハロゲン化合物も分解されるので、機器を解体処理することにより、各部材を再利用することもできる。
また本発明により、抜油後の機器の効率的な無害化処理が可能となる。特に、柱上変圧器等の機器に保存又は充填された絶縁油の無害化処理工程の後、引き続き機器中に残留した絶縁油を無害化処理する際に、機器内に有機ハロゲン化合物が染み込んだ絶縁紙や木片等が存在する場合にも、染み込んだ有機ハロゲン化合物が溶液中に溶出するので、機器を丸ごと無害化処理できる。
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
(拡散シミュレーションによる処理時間の設定)
下記拡散モデルから誘導される近似式(1)式を用いて、処理時間を決定した。なお、液処理8日間中は固体内PCB濃度20ppm変化なしと想定し、次の9日間で液中のPCB濃度0ppmと仮定し、液温は平均25〜40℃と仮定し、固体内濃度が0.5ppm以下になる日数を算出した。その結果を表1に示す。液温平均30℃と仮定し容器の無害化処理所要時間14日間を設定した。
[実施例1]
(PCB分解処理)
PCB24.07ppmを含む45L容柱上変圧器に、水素供与体としてイソプロピルアルコール9L(対試験油20vol%)、及びアルカリとしてKOH473.68g(対絶縁油1%)を添加し、攪拌した。
一方、粒状活性炭(商品名:ダイヤホープ008)にパラジウム(Pd)を5%担持させた触媒(平均粒径1mm程度)を用意し、70℃で48時間乾燥した。この触媒2kgを触媒充填装置に入れ、上下を100メッシュの網で挟み込み、触媒を充填した。柱上変圧器の外側に、EFNIC(株)製ギヤポンプ(ModelGPE−031、12V DC)を、合計2個取り付け、各ポンプに内径6mmのテフロン(登録商標)チューブを取り付け、各ポンプ共に、それぞれ片方の端を処理液底部に浸漬し、他の端を触媒充填装置の上部に取り付けた。
柱上変圧器から処理油をポンプで抜き出し、触媒充填装置の触媒層に、800ml/分の速度で連続的に通液しながら、触媒充填装置と柱上変圧器の間を8時間循環させた。その間、周波数2.54GHz、最大出力650Wのマイクロ波を電気的に制御しながら照射し、反応温度を60℃に維持した。その後16時間はマイクロ波照射を停止し、常温にて液を循環させた。
定期的にサンプリングしながら、処理油中のPCB濃度が目標値(0.5ppm)以下になるまで、前記操作を繰り返し行った。なお、サンプリングした処理油中のPCB濃度は、SGE HT8(島津GLC Ltd.製)をキャピラリーカラムとするヒューレットパッカード製のガスクロマトグラフィー質量分析計HP6890(以下、「GC−MS」)を用いて分析した。
(容器洗浄処理)
マイクロ波出力最大650W、循環ポンプ循環量0.8L/h、処理槽容量20Lの処理装置を、柱上変圧器外部に設置し、柱上変圧器より分解済絶縁油を抜き取り、新たに洗浄薬液(IPA35L(コイルが浸る量30L+触媒層吸収量5L)とKOH42g(残油量に対し約1%)の混合溶液)に入れ替えた。
柱上変圧器内の薬液を、マイクロ波を照射させながらパラジウムを担持した活性炭触媒(2kg)層を通過させ、循環ポンプにて薬液を流量800ml/分にて循環させ、容器洗浄処理を行った。洗浄処理においては処理温度を60℃に保ちながらマイクロ波を8時間照射させながら液を循環させ、その後16時間はマイクロ波照射を停止し、常温にて薬液を循環させた。このような状態にて14日間洗浄処理を行った。洗浄薬液にて処理を行っている期間中、1日1回PCB濃度を測定し、PCB濃度が基準値(0.5ppm)以下に保たれ、かつ減少していくことを確認した。柱上変圧器内のコイルを吊り上げ、薬液が垂れなくなるまで液切りをした。
(卒業判定)
柱上変圧器内壁部を脱脂綿またはガラスウール(20g)を用いて500cmの範囲を拭取り、拭取り試験用試料とした(鉄(本体))。
コイル部を分解し、材料別に鉄、銅、碍子、紙、木に分別をした。
鉄、銅、碍子については、有機溶剤(トルエン、ヘキサン、または第4石油類に属した有機溶剤)を用い、金属製容器に1回の液量を2000mlとし洗浄した。
各材料毎に、液に浸漬し振とう洗浄を行った。鉄(コイル他)は試料1つに対して5〜10秒、銅および碍子等については洗浄容器に複数の試料を入れ10秒間振とう洗浄を実施し、分析試料とした(平成4年厚生省告示第192号、改正平成10年8月第222号;別表第2の第三に準拠)。
紙材料は全ての部分を10cm以下に裁断し、縮分にて試料50gを採取した。50g採取した試料を3cm以下に裁断し、分析試料とした。
木材料は全ての部分を5cm以下に裁断し、縮分にて試料50gを採取した。50g採取した試料を2mm目のふるいを通過した大きさに裁断し、分析試料とした。
本体の拭取り試料、及び鉄、銅、碍子の有機溶剤抽出液については、PCB濃度分析を行い、紙、木材については、溶出試験(平成16年環境省告示第31号に基づく)を行った。これらの分析結果を表2にまとめて示す。
表2から明らかなように、柱上変圧器本体及び付属部材は、全て卒業基準を満たしていた。
容器洗浄処理に使用した薬液(処理液)中のPCB濃度は、処理開始から処理終了まで、表3に示すように0.5mg/kg以下で推移した。また、処理終了後の液中のダイオキシン類の濃度は、表4に示すが、ダイオキシン等の生成はなかった。なお、ダイオキシン類の測定法はJIS K 0311に準拠した。
[実施例2]
絶縁油中にPCB17ppmを含む45L容柱上変圧器から、絶縁油(1種2号)をポンプで抜き出し、各部材のPCB含有量を、実施例1の卒業判定と同様の方法にて確認した。
続いて、マイクロ波出力最大650W、循環ポンプ循環量48L/h、処理槽容量20Lの処理装置を、柱上変圧器外部に設置し、絶縁油を抜き出した柱上変圧器に、洗浄薬液(IPA35L(コイルが浸る量30L+触媒層吸収量5L)とKOH42g(残油量に対し約1%)の混合溶液)を加えた。
柱上変圧器内の薬液を、マイクロ波を照射させながらパラジウムを担持した活性炭触媒(2kg)層を通過させ、循環ポンプにて薬液を流量800ml/分にて循環させ、容器洗浄処理を行った。洗浄処理においては処理温度を60℃に保ちながらマイクロ波を8時間照射させながら液を循環させ、その後16時間はマイクロ波照射を停止し、常温にて薬液を循環させた。このような状態にて21日間洗浄処理を行った。洗浄薬液にて処理を行っている期間中、処理日数0日から4日までは、1日1回PCB濃度を測定し、4日以降は8日目、12日目、16日目、21日目にPCB濃度を測定し、PCB濃度が基準値(0.5ppm)以下に保たれ、かつ減少していくことを確認した。柱上変圧器内のコイルを吊り上げ、薬液が垂れなくなるまで液切りをしたのち、以下に記述する卒業判定方法にて、柱上変圧器内壁、コイル部の鉄、銅、碍子、紙、木に残留するPCB量を分析した。
(卒業判定)
柱上変圧器内壁部を有機溶剤(トルエン、ヘキサン、または第4石油類に属した有機溶剤)を浸した脱脂綿(1.5g)またはガラスウール(20g)を用いて500cmの範囲を拭取り、拭取り試験用試料とした(鉄(本体))。
コイル部を分解し、材料別に鉄、銅、碍子、紙、木に分別をした。
鉄(コイル部)については、巻いてある状態のものを広げ表面部を有機溶剤(トルエン、ヘキサン、または第4石油類に属した有機溶剤)を浸した脱脂綿(1.5g)またはガラスウール(20g)を用いて約500cm2の範囲を拭取り、拭取り試験用試料とした。
銅、碍子については、有機溶剤(トルエン、ヘキサン、または第4石油類に属した有機溶剤)を用い、金属製容器に1回の液量を洗浄する部材重量に対して等量とし洗浄した。
各材料毎に、液に浸漬し超音波洗浄を行った。銅、碍子は試料1つに対して洗浄容器に試料を入れ6時間超音波洗浄を実施し、分析試料とした(平成4年厚生省告示第192号、改正平成10年8月第222号;別表第2の第三に準拠)。
紙材料は、コイルの外側、中、内側の部分を採取し10cm以下に裁断し、縮分にて試料160gを採取した。160g採取した試料を3cm以下に裁断し、分析試料とした。
木材料はコイルの中間部の木材料およびコイル上部にあるプレスボードをそれぞれ採取し試料ととした。
コイルの中間部の木材は全ての部分を5cm以下に裁断し、縮分にて試料160gを採取した。50g採取した試料を2mm目のふるいを通過した大きさに裁断し、分析試料とした。
コイル上部のプレスボードは5cm以下に裁断し、縮分にて試料160gを採取した。150g採取した試料を2mm目のふるいを通過した大きさに裁断し、分析試料とした。
本体の拭取り試料、及び鉄、銅、碍子の有機溶剤抽出液については、PCB濃度分析を行い、紙、木材については、溶出試験(平成16年環境省告示第31号に基づく)を行った。これらの分析結果を表5にまとめて示す。
表5から明らかなように、柱上変圧器本体及び付属部材は、全て卒業基準を満たしてい
た。
容器洗浄処理に使用した薬液(処理液)中のPCB濃度は、処理開始から処理終了まで
表6に示すように0.5mg/kg以下で推移した。また、処理終了後の液中のダイオキ
シン類の濃度は、表7に示すが、ダイオキシン等の生成はなかった。
本発明に係る有機ハロゲン化合物内蔵機器の無害化処理フローの説明図である。 本発明に係る有機ハロゲン化合物内蔵機器の無害化処理フローの説明図である。 本発明に係る有機ハロゲン化合物内蔵機器の無害化処理方法の一実施形態を示す概略図である。 本発明に係る有機ハロゲン化合物内蔵機器の無害化処理方法の一実施形態を示す概略図である。
符号の説明
1 機器本体
2 水素供与体とアルカリ化合物の混合溶液、処理液
3 コイル(鉄心)
10 マイクロ波装置
11 ポンプ
12 供給ライン
13 回収ライン
15 触媒充填装置
20 触媒層

Claims (12)

  1. 有機ハロゲン化合物を含む絶縁油を内蔵する機器から絶縁油が抜き出された抜油後の該機器内に、
    水素供与体とアルカリ化合物の混合溶液を充填する充填工程と、
    該機器内に残存する有機ハロゲン化合物を前記混合溶液に溶解もしくは溶出させた処理液を触媒充填装置に流通させながら、該触媒充填装置内の処理液へ断続的にマイクロ波を照射し、該処理液を機器に循環させることにより機器及びその内部の付属部材に残存する有機ハロゲン化合物を溶出分解し、
    該循環を、機器及びその内部の付属部材に残存する有機ハロゲン化合物が卒業基準を満たすまで実施する洗浄工程と、を有し、
    洗浄工程において、マイクロ波照射を停止し、処理液を触媒充填装置に流通させながら循環させる状態で、適宜処理液中の有機ハロゲン化合物濃度をモニタリングし、有機ハロゲン化合物濃度が所定の基準値以下に保たれ、かつ減少していくことを確認しながら、有機ハロゲン化合物の分解反応の進行状況を確認し、
    洗浄工程終了後に処理液を抜き出すことを特徴とする有機ハロゲン化合物内蔵機器の無害化処理方法。
  2. 前記充填工程の後に、機器に残存する有機ハロゲン化合物を、前記混合溶液に溶解もしくは溶出させる処理液調製工程を有することを特徴とする、請求項1に記載の有機ハロゲン化合物内蔵機器の無害化処理方法。
  3. 前記有機ハロゲン化合物を含む絶縁油が、少量(1〜10,000ppm)の有機ハロゲン化合物を含む絶縁油であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の有機ハロゲン化合物内蔵機器の無害化処理方法。
  4. 前記有機ハロゲン化合物を含む絶縁油が、高濃度の有機ハロゲン化合物を含む絶縁油であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の有機ハロゲン化合物内蔵機器の無害化処理方法。
  5. 少量の有機ハロゲン化合物を含む絶縁油を内蔵する機器内に、水素供与体とアルカリ化合物を添加して処理油を調製し、該処理油を触媒充填装置に流通させながら循環させることにより有機ハロゲン化合物を分解する分解工程と、
    前記機器から処理油を抜き取る抜油工程と、
    抜油後の機器内に水素供与体とアルカリ化合物の混合溶液を充填する充填工程と、
    該機器内に残存する有機ハロゲン化合物を前記混合溶液に溶解もしくは溶出させた処理液を触媒充填装置に流通させながら、該触媒充填装置内の処理液へ断続的にマイクロ波を照射し、該処理液を機器に循環させることにより機器及びその内部の付属部材に残存する有機ハロゲン化合物を溶出分解し、該循環を、機器及びその内部の付属部材に残存する有機ハロゲン化合物が卒業基準を満たすまで実施する洗浄工程と、を有し、
    洗浄工程において、マイクロ波照射を停止し、処理液を触媒充填装置に流通させながら循環させる状態で、適宜処理液中の有機ハロゲン化合物濃度をモニタリングし、有機ハロゲン化合物濃度が所定の基準値以下に保たれ、かつ減少していくことを確認しながら、有機ハロゲン化合物の分解反応の進行状況を確認し、
    洗浄工程終了後に処理液を抜き出すことを特徴とする有機ハロゲン化合物内蔵機器の無害化処理方法。
  6. 前記洗浄工程における処理液温度が常温以上60℃以下であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物内蔵機器の無害化処理方法。
  7. 前記機器が、柱上変圧器、大型変圧器又は油絶縁ケーブルの油槽のいずれかであることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物内蔵機器の無害化処理方法。
  8. 前記機器及びその内部の付属部材の材料が、鉄、銅、碍子、紙又は木であることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物内蔵機器の無害化処理方法。
  9. 前記有機ハロゲン化合物がPCBであることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物内蔵機器の無害化処理方法。
  10. 前記水素供与体が、複素環式化合物、アミン系化合物、アルコール系化合物、ケトン系化合物及び脂環式化合物からなる群から選ばれた少なくとも一つの化合物であることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物内蔵機器の無害化処理方法。
  11. 前記アルカリ化合物が、苛性ソーダ、苛性カリ、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド及び水酸化カルシウムからなる群から選ばれた少なくとも一つの化合物であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物内蔵機器の無害化処理方法。
  12. 前記触媒が、炭素結晶化合物、金属担持炭素化合物、金属担持酸化物及び金属担持複合酸化物からなる群から選ばれた少なくとも一つの化合物であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物内蔵機器の無害化処理方法。
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