JP5163592B2 - Pcb使用機器の無害化処理方法および無害化処理システム - Google Patents

Pcb使用機器の無害化処理方法および無害化処理システム Download PDF

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Description

本発明は、PCB使用機器の無害化処理方法および無害化処理システムに関する。詳細には、PCBが使用された変圧器等の電気機器からPCBを抜き出した後に、該機器を構成する容器および内部部材に残留するPCBを、省エネルギーで、かつ効率的に分解する無害化処理方法および無害化処理システムに関する。
各種有機ハロゲン化合物のなかでも、ポリ塩化ビフェニール(以下PCBと略称する。)は人体を含む生体に極めて有害であることから、1973年に特定化学物質に指定され、その製造、輸入、使用が禁止されている。しかし、その後適切な廃棄方法が決まらないまま数万トンのPCBが未処理の状態で放置されている。PCBは、高温分解では強毒性のダイオキシン類である塩素化ジベンゾ−p−ダイオキシン(PCDD)とジベンゾフラン(PCDF)が副生するため、PCBを安全に分解することは技術的に難しく、永年にわたりPCBの安全で効率的な各種分解法が検討されてきた。
変圧器等の電気機器の場合、内蔵された絶縁油を完全に抜き出すことは困難であり、PCBを含む絶縁油を抜き出した後も機器内には絶縁油が残存するため、PCBも残留することとなる。こうしたPCBを含む絶縁油を使用した機器について、残留するPCBを分解して無害化する方法が提案されている。
特許文献1には、機器内に充填されていたPCB含有絶縁油を抜き出した後、機器内を再生絶縁油で粗洗浄する工程と、仕上げ洗浄液で洗浄する工程と、洗浄液を金属ナトリウムで脱塩素化する工程を有する無害化処理技術が提案されている。しかし、この方法では、粗洗浄に用いた再生絶縁油ならびに仕上洗浄に用いた洗浄液の両者を併せた多量の廃液を処理することが必要となるため、機器内に残留するPCBを効率的に分解する無害化処理方法とはいえない。また、複雑な内部部材を有する機器の場合には、内部部材を構成する絶縁紙や木片などの素材中にPCB含有絶縁油が染み込んでおり、洗浄だけで、残留するPCBを効果的に除去することは困難であるという問題点も有する。
特許文献2には、有機ハロゲン化合物を含有する静止誘導機を水および酸化剤とともに圧力容器中に設置し、加圧および加熱により圧力容器中の水を超臨界状態にして、有機ハロゲン化合物を分解する無害化処理方法が提案されている。しかし、この方法は、高温(430℃)および高圧(25MPa)の条件下で有機ハロゲン化合物を分解するものであり、大掛かりな装置を必要とするため簡便な方法とはいえず、また、高温、高圧の条件を維持するために多くのエネルギーを要するため、省エネルギーの方法ではない。
特許文献3には、PCBを含有する絶縁油を抜き出した後の機器内に、イソプロピルアルコールとKOHとからなる溶液を充填しPCBを含む絶縁油を溶出させて混合液を調製し、該混合液を、断続的にマイクロ波を照射して触媒を加熱する構造の触媒充填装置に流通させた後、機器に戻して機器と触媒充填装置間を循環させ、機器およびその内部部材に残留するPCBが卒業基準を満たすまで溶出分解する無害化処理方法が報告されている。しかしながら、この方法では、触媒の活性を高めるためにマイクロ波の照射量を増大すると、混合液の温度が高くなりすぎ、ダイオキシン類が副生し易くなるため、マイクロ波の照射量を制限せざるを得ず、PCBの分解を効率的に実施できないという問題点がある。
また、特許文献3の方法においては、PCBと鉱油系の絶縁油が混在する場合、すなわちPCBが鉱油に溶解した状態で存在する場合には、イソプロピルアルコールとKOHからなる溶液を充填することで、機器およびその内部部材中に残留するPCBを鉱油とともに比較的効率的に溶出させることができる。しかしながら、PCB単独からなる絶縁油を使用した機器の場合には、PCBが鉱油に比べて高粘度であるためと推定されるが、内部部材を構成する絶縁紙や木片中に染み込んだPCBは溶出し難く、特に寒冷地や冬期の処理では長期間に亘って液を循環させる必要があり、残留するPCBの分解を効率的に実施できないという課題がある。
そのため、PCBを含む絶縁油、とりわけPCBからなる絶縁油を使用した機器において、PCBを抜き出した後に、機器およびその内部部材中に残留するPCBを効率的、かつ省エネルギーで分解する処理方法が求められていた。
特開2004−008842号公報 特開2000−116814号公報 特開2009−011848号公報
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、PCBを使用した電気機器から、PCBを抜き出した後に、該機器を構成する容器および内部部材に残留するPCBを、特別な無害化処理装置を使用することなく、また、ダイオキシン類を副生することなく、簡便に効率良く、かつ省エネルギーで無害化処理することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明は次に示す構成の、PCB使用機器の無害化処理方法および無害化処理システムを採用する。
(1)PCBを使用した機器について、PCBを抜き出した後に該機器を構成する容器および内部部材に残留するPCBを分解する無害化処理方法において、
該容器に、水素供与体とアルカリ化合物とからなる溶液を充填し加温することでPCBを溶出させて混合液とした後、該混合液の一部を取り出して、触媒槽内の触媒充填装置を流通させた後に該容器に戻して、該混合液を循環させると共に、該触媒充填装置を流通する混合液にマイクロ波を照射して、残留するPCBを分解する無害化処理方法であって、
該容器を保温するための保温手段、
触媒充填装置に流通させる混合液を冷却するための冷却手段、及び、
触媒充填装置を流通後容器に戻す混合液を加熱するための加熱手段を設け、
冷却手段で取り出した熱をヒートポンプにより加熱手段に移動させることを特徴とするPCB使用機器の無害化処理方法。
(2)前記機器が、柱上変圧器、大型変圧器又は油絶縁ケーブルの油槽のいずれかである、(1)に記載のPCB使用機器の無害化処理方法。
(3)マイクロ波の出力が、温度コントローラのPID制御により制御されている、(1)又は(2)に記載のPCB使用機器の無害化処理方法。
(4)前記水素供与体がイソプロピルアルコールである、(1)〜(3)のいずれかに記載のPCB使用機器の無害化処理方法。
(5)前記アルカリ化合物が、苛性ソーダおよび苛性カリから選ばれた少なくとも一つの化合物である、(1)〜(4)のいずれかに記載のPCB使用機器の無害化処理方法。
(6)前記触媒充填装置に用いられる触媒が金属担持炭素化合物である、(1)〜(5)のいずれかに記載のPCB使用機器の無害化処理方法。
(7)容器に、PCBが残留する部材を入れ、さらに水素供与体とアルカリ化合物とからなる溶液を充填し加温することでPCBを溶出させて混合液とした後、該混合液の一部を取り出して、触媒槽内の触媒充填装置を流通させた後に該容器に戻して、該混合液を循環させると共に、該触媒充填装置を流通する混合液にマイクロ波を照射して、該部材に残留するPCBを分解する無害化処理方法であって、
該容器を保温するための保温手段、
触媒充填装置に流通させる混合液を冷却するための冷却手段、及び、
触媒充填装置を流通後容器に戻る混合液を加熱するための加熱手段を設け、
冷却手段で取り出した熱をヒートポンプにより加熱手段に移動させることを特徴とするPCB残留部材の無害化処理方法。
(8)前記部材が、鉄心、銅コイル、碍子または絶縁紙である、(7)に記載の無害化処理方法。
(9)PCBを使用した機器について、PCBを抜き出した後に、該機器を構成する容器に、水素供与体とアルカリ化合物とからなる溶液を充填し加温することでPCBを溶出させて混合液とした後、該混合液の一部を取り出して、触媒槽内の触媒充填装置を流通させた後に該容器に戻して該混合液を循環させて、該機器を構成する容器および内部部材に残留するPCBを分解するための無害化処理システムであって、
該容器を保温するための保温装置と、
触媒充填装置と、
該触媒充填装置を収容する触媒槽と、
該触媒充填装置にマイクロ波を照射するためのマイクロ波装置と、
該容器中の混合液を取り出し触媒槽に導入する流路に設けられた冷却器と、
該触媒槽を流通した混合液を該容器へ戻す流路に設けられた加熱器と、
該冷却器中を循環する冷却水が取り出した熱を、該加熱器を循環する温水に移動するヒートポンプと、
を少なくとも備えたことを特徴とするPCB使用機器の無害化処理システム。
(10)前記機器が、柱上変圧器、大型変圧器又は油絶縁ケーブルの油槽のいずれかである、(9)に記載のPCB使用機器の無害化処理システム。
(11)前記マイクロ波装置が、混合液の温度を測定およびPID制御する温度コントローラを備えている、(9)又は(10)に記載のPCB使用機器の無害化処理システム。
(12)前記水素供与体がイソプロピルアルコールである、(9)〜(11)のいずれかに記載のPCB使用機器の無害化処理システム。
(13)前記アルカリ化合物が、苛性ソーダおよび苛性カリから選ばれた少なくとも一つの化合物である、(9)〜(12)のいずれかに記載のPCB使用機器の無害化処理システム。
(14)前記触媒充填装置に用いられる触媒が金属担持炭素化合物である、(9)〜(13)のいずれかに記載のPCB使用機器の無害化処理システム。
本発明に係る無害化処理方法および無害化処理システムによれば、PCBを使用した機器からPCBを抜き出した後、該機器を構成する容器に水素供与体とアルカリ化合物からなる溶液を充填して、残留するPCBを溶出させて混合液を調製する。この混合液の調製時に混合液を加温することで、残留するPCBの溶出を促進することができる。そして混合液を触媒充填装置に流通させる前に冷却することで、触媒充填装置へのマイクロ波照射量を増やしてPCBの分解を促進することができるので、短期間で効率的にPCBを分解することが可能となる。
また、本発明においては、触媒充填装置に流通させる混合液を冷却するために使用した冷却水が獲得した熱を、ヒートポンプを用いて取り出し、触媒充填装置を流通後の混合液を加熱するために利用する。触媒充填装置を流通後の混合液は、マイクロ波照射により加温されているが、更に加熱してから容器に戻すことで、放熱により容器から失われる熱を補填し容器中の混合液を保温することでPCBの溶出を持続して促進することができ、また、システム全体としての省エネルギー化を図ることができる。特に、本発明は、容器や配管等からの放熱量が大きい寒冷地や冬季等において有効である。
さらに、マイクロ波装置が温度コントローラを備えていると、PID制御によってマイクロ波照射量の増加と平準化を図ることができる。
無害化処理を実施し、機器を解体した後に、所定の処理基準値を満たさない部材がある場合は、該部材を容器に入れ、本発明の無害化処理を実施することにより、PCBが残留する部材を省エネルギーでかつ短期間で簡便に無害化処理することができる。部材の無害化処理は、別置きの容器を用いて実施することもできるが、機器を構成する容器を用いて実施することもできるので、特別な容器を必要としない点でも経済的である。
本発明の無害化処理システムのシステム構成図である。 本発明の無害化処理システムにおけるヒートポンプの概略を示す図である。 PCB無害化処理時における濃度変化の一例を示したグラフである。
以下、本発明に係るPCB使用機器の無害化処理方法および無害化処理システムについて、図面を参照しつつ詳細に説明する。
本発明の無害化処理方法および無害化処理システムを適用することが可能な電気機器としては、変圧器(柱上、大型)、油絶縁ケーブルの油槽等が挙げられる。特に、柱上変圧器は、その内部に入り組んだ構造の種々の内部部材を有し、これらの内部部材を構成する絶縁紙や木枠等の素材に、PCBが染み込んでいる可能性があるため、本発明の無害化処理方法および無害化処理システムが好適に用いられる。ここで、大型変圧器とは、絶縁油容量が100L〜30万Lのものを言う。
本発明の無害化処理対象であるPCBとしては、例えば、ポリ塩化ビフェニール(PCB)類やダイオキシン類等を挙げることができ、その種類は特に限定されるものではないが、好ましいのはPCB類である。PCB類には、ダイオキシン類を含有するPCB類も含まれる。PCB類の市販品としては、例えば、鐘淵化学(株)のKC−200(主成分:2塩化ビフェニール)、KC−300(主成分:3塩化ビフェニール)、KC−400(主成分:4塩化ビフェニール)、KC−500(主成分:5塩化ビフェニール)、KC−600(主成分:6塩化ビフェニール)や、三菱モンサイト(株)のアロクロール1254(54% Chlorine)等を挙げることができる。
図1は、本発明の無害化処理システムのシステム構成図であり、内部部材を有する電気機器の容器1および内部部材21等に残留するPCBを無害化処理する一例を示したものである。
本発明の無害化処理方法では、PCBを使用した機器について、PCBを抜き出した後に該機器を構成する容器および内部部材に残留するPCBを分解する無害化処理方法において、該容器1に、水素供与体とアルカリ化合物とからなる溶液を充填し、PCBを溶出させて混合液2とした後、該混合液2の一部を取り出して、触媒槽3内の上部に配置した触媒充填装置4を流通させ、触媒槽下部の液溜り5に貯留させた後該容器1に戻して、該混合液を循環させると共に、該触媒充填装置4を流通する混合液にマイクロ波装置12よりマイクロ波を照射し、混合液中に含まれるPCBを分解する。
該容器1には、必要に応じて加熱することが可能な保温装置15を設け、また、該容器1の取り出し側流路には、該容器から取り出した混合液2を触媒充填装置に流通させる前に、該混合液を冷却するための冷却器13を設け、該容器1の戻し側流路には、触媒充填装置を流通後該容器に戻す混合液を加熱するための加熱器14を設ける。さらに、該冷却器と該加熱機の間に、図2に概略を示すヒートポンプ16を設置し、該冷却器に用いた冷却水が混合液を冷却することで獲得した熱を、ヒートポンプを用いて、該加熱器の温水に移動させ、該容器に戻す混合液の加熱に利用する。
したがって、本発明の無害化処理方法においては、該容器1中の混合液は加温された状態となるので、容器および内部部材中に残留するPCBの溶出が促進される。そして、触媒充填装置に流通する混合液は冷却されているので、マイクロ波照射量を増やすことが可能となり、触媒によるPCBの分解を促進することができ、PCBの分解所要時間を大幅に短縮することが可能となる。しかも、容器中の混合液を加温するために必要な熱源として、混合液が冷却される際に放出する熱をヒートポンプにより回収して利用することで、単に容器中の混合液を加温する場合に比べて、エネルギー効率もよい。
そして、本発明の無害化処理システムは、触媒充填装置4と、該触媒充填装置4を収容する触媒槽3と、該触媒充填装置4にマイクロ波を照射するためのマイクロ波装置12と、該容器の取り出し側流路に設けられた冷却器13と、該容器の戻り側流路に設けられた加熱器14、該容器を必要に応じて加熱できる保温装置15と、ヒートポンプ16と、該容器中の混合液を、冷却器13、触媒充填装置4および加熱器15を介して循環させる循環流路(配管17〜20)と、を備えている。本発明の無害化処理システムは、本発明の無害化処理方法を実施するのに好適なシステムである。
(実施形態1)
図1に示す、本発明の実施形態に係る無害化処理方法およびシステムでは、PCBを使用した電気機器からPCBを抜き出し、抜き出し後の容器1に、水素供与体とアルカリ化合物とからなる溶液を充填する。PCBの抜き出し方法は、電気機器の開口部から流下させる方法、ポンプ等により吸い出す方法など、任意である。
アルカリ化合物は、水素供与体に対して後記する量を添加する。充填後は、残留するPCBを溶液に溶出させるため、必要に応じて容器内を攪拌、混合しても良く、充填した状態で静置してもよい。充填量は、容器の内部部材が浸る程度の量とすることが好ましく、図1に示した様に、柱上変圧器(容器)1充填後の液面を、柱上変圧器の中に設置された内部部材(コイル)21よりも高くする。
アルカリ化合物は、水素供与体とアルカリ化合物の合計質量に対する濃度を、0.1〜20質量%の範囲とし、予めアルカリ化合物を水素供与体に溶解させた溶液を使用することが好ましい。水素供与体に対するアルカリ化合物の添加量が少なすぎると、PCBの分解反応が進みにくくなり、多すぎても最早分解反応が促進されなくなるので経済性が悪くなる。
容器1に該溶液を充填することで、容器の内面および内部部材に残留するPCBが徐々に溶出されてくるので、残留するPCBを溶液にある程度溶出させて混合液とした後、この混合液を無害化処理に供する。本発明においては、容器1には保温装置が設置されており、充填終了後は、溶液を加温して、PCBの溶出を促進するのが好ましい。溶液の加熱温度は特に限定されないが、40〜55℃の範囲が好ましい。
容器1の保温装置15は、必要に応じて加熱できるものであれば特に限定されず、例えば、容器1の外周にリボンヒーター等を巻き付け、その外側をガラスウールや発泡体等からなる断熱材で覆った、簡便な装置などを用いることができる。こうした保温装置15を用いることで、容器内の混合液を加温することができ、また混合液が所定温度に達した後は、加熱を停止して保温するだけで、混合液の温度を維持することが可能となる。
混合液の調製に要する時間は特に限定されず、一昼夜ないし数週間である。混合液の調整時間が短いほど、無害化処理時間の短縮という点からは好ましいので、冬季など外気温が低く混合液を加温するのに長時間を要する場合には、混合液の温度が、上記の温度まで上昇しなくても、混合液の触媒充填装置への流通を開始し、マイクロ波を照射して、PCBの分解反応を行うのがよい。マイクロ波を照射することにより、触媒充填装置を流通する混合液が加熱されるため、加熱された混合液を容器に循環させることで、容器中の混合液の加温を促進して残留するPCBの溶出を促進するほうが、無害化処理に要する時間を全体として短縮することができる。
ここで、本発明において用いる「水素供与体」としては、複素環式化合物、アミン系化合物、アルコール系化合物、ケトン系化合物、脂環式化合物等が挙げられる。これらの化合物の中でも、安全性の観点より、アルコール系化合物、ケトン系化合物、脂環式化合物が好ましく、特に、安全性が高く、低コストで入手可能であり、しかも反応制御が容易で、PCB分解効率が高い点より、アルコール系化合物が好ましい。これらの水素供与体は、単独で用いても2種以上を任意に組合せて用いてもよい。
上記したアルコール系化合物としては、脂肪族アルコール、芳香族アルコールのいずれであってもよく、具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール等の脂肪族アルコール、シクロプロピルアルコール、シクロブチルアルコール、シクロペンチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、シクロヘプチルアルコール、シクロオクチルアルコール等の脂環式アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、デカリンジオール等の多価アルコール等が挙げられる。これらの中でも、分解効率の点から2−プロパノール、シクロヘキサノールが好ましく、2−プロパノールが特に好ましい。
また、アルカリ化合物としては、PCBの脱ハロゲン化反応を促進しうるものであれば限定されないが、脱ハロゲン化効率を高める観点より、苛性ソーダ、苛性カリ、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド、水酸化カルシウム等が好ましく用いられる。コストやハンドリング性の観点より、苛性ソーダ、苛性カリが特に好ましい。アルカリ化合物は、単独で用いても2種以上を任意に組合せて用いてもよい。
次いで、容器1から、調製した混合液の一部を取り出して、触媒槽3内の上部に配置した触媒充填装置4を流通させ、触媒槽下部の液溜り5に貯留させた後に容器1に戻して、混合液を循環させると共に、触媒充填装置4を流通する混合液にはマイクロ波装置12よりマイクロ波を照射して、残留するPCBを分解する。この際、取り出し側流路には、冷却器13を設け、容器から取り出した混合液を触媒充填装置に流通させる前に冷却する。また、触媒槽3から容器に混合液を戻す、戻し側流路には加熱器14を設け、該冷却器13と該加熱器14の間にヒートポンプ16を設置する。このヒートポンプ16を用いて、該冷却器13に用いた冷却水が混合液を冷却することにより獲得した熱を、該加熱器14に用いる温水に移動させ、該加熱器14により混合液を加熱してから容器1に戻すことで、容器や配管等からの放熱により失われる熱を補填する。
混合液を触媒充填装置に流通させPCBの分解を開始した後は、容器1中の混合液を所定温度に維持することで、PCBの溶出を促進させる。PCBの溶出促進の面からは温度は高いほうが好ましいが、一方容器中の混合液の温度が高すぎると、混合液を触媒充填装置に流通させる前の冷却に大きな負荷がかかるので、所定温度は、後記する反応温度よりも5〜10℃程度低い温度に設定することが好ましい。反応温度を60℃とすると、最も好ましい温度は、50〜55℃である。
本発明の無害化処理方法では、混合液を触媒充填装置4に流通させる際に、マイクロ波を照射して触媒を加熱し、PCBの分解を促進させるが、この時、混合液も同時に加熱される。その混合液の温度(すなわち、反応温度)は、PCBの分解速度の面からは高いほうが好ましいが、ダイオキシン類などの副生物の生成を抑制するためにはできるだけ低い方が好ましく、両者の兼ね合いから、常温以上100℃以下である。好ましくは40〜80℃の範囲であり、最も好ましい温度は60℃である。反応温度が100℃を超える場合、脱ハロゲン化反応は十分進むが、副生物が生成し易くなるため好ましくない。
本発明においては、容器1から取り出した混合液2を、触媒充填装置4に流通させる場合は、先ず配管17を介して冷却器13に導入し、所定温度まで冷却した後、配管18を介して、触媒槽3の上部に設けた導入口を通じて、触媒充填装置4の上部に導入する。ここで、所定温度は、上記の反応温度よりも20〜40℃程度低い温度に設定することが好ましい。すなわち、反応温度を60℃とすると、混合液を20〜40℃に冷却してから触媒充填装置に導入するのが好ましい。触媒充填装置に導入される混合液の温度を低くすることにより、照射するマイクロ波の強度や照射時間の増大を図ることができ、PCBの分解を促進することができるからである。しかしながら、前記よりも低い温度まで冷却するのは、冷却に要する時間が長くなるため冷却器に導入する混合液の量を多くできず、触媒充填装置に流通する混合液の量が少なくなるため、無害化処理に返って長時間を要することとなるため好ましくない。
前記の冷却器13は、触媒充填装置4に流通する混合液を冷却できるよう、容器1の取り出し側流路に設けられるが、ヒートポンプ16を介して冷却水が循環する冷却コイル等を配置した装置である。冷却器13の冷却コイルの入口から導入された冷却水は、冷却器内の冷却コイルを介して混合液と熱交換を行い、混合液を冷却するとともに、冷却水自身は加熱される。そして冷却コイルの出口より排出された加熱された冷却水は、ヒートポンプに導入され、ヒートポンプ内の冷媒と熱交換することで冷却され、冷却コイルの入口に戻される。
一方、触媒充填装置4を流通した混合液2は、連続的に触媒層を流通し、触媒層流通後の混合液2は、触媒充填装置4の底部から流下する。触媒充填装置内の液面が常時、高く保持されているため、触媒充填装置の底部から流下した混合液は、側管7を介して、触媒充填装置4を収容する触媒槽3の中へ溢流し、触媒槽3底部の液溜め5に溜められる。図1中の矢印は、触媒充填装置を流通した混合液の大略の流れ方向を示している。
触媒槽3は、触媒充填装置4を内部の上部に収容すると共に、触媒充填装置4を流通させた混合液を触媒槽の底部に貯留できるように構成され、触媒槽の下部底面(側面でもよい)には、混合液を取り出して、容器1に戻すための取出口3aが設けられている。貯留された混合液2は、触媒槽の取出口3aから取り出された後、配管19を通じ加熱器14に導入され、加熱された後、配管20を通じて容器1に戻される。
加熱器14は、ヒートポンプ16を介して温水が循環する加熱コイル等を配置した装置であり、加熱器14の加熱コイルの入口から導入された温水は加熱コイルを介して混合液と熱交換し、混合液を加熱するとともに、温水自身は冷却される。冷却された温水はヒートポンプに導入され、前記の冷却水からヒートポンプの冷媒が受け取った熱で、加熱され、加熱コイルの入口に戻される。
本発明に用いるヒートポンプ16について、その概略を図2に示す。冷却器13中で混合液を冷却することで加熱された冷却水は、ヒートポンプ内の冷媒気化器で冷媒と熱交換し、冷却水は冷却され、冷媒は加熱される。加熱されて気化した冷媒は、ヒートポンプ内の圧縮機により圧縮されることで更に加熱された後、加熱器14の加熱コイルから排出された温水と熱交換し、温水は加熱され、冷媒は冷却されて液化する。液化した冷媒は、ヒートポンプ内の膨張機を通過することで膨張し冷却され、冷媒気化器に戻り、再び冷却水との熱交換に供される。
ヒートポンプにより加熱された温水による加熱器14での混合液の加熱は、容器1中の混合液の保温温度より5〜20℃程度高くなるように行う。これにより放熱により失われる熱を補填し、容器1中の混合液の温度を維持し、PCBの溶出を持続して促進することができる。
ヒートポンプにより加熱された温水により、容器1を直接加熱して混合液を保温する方法も考えられるが、本発明において、容器1は柱状変圧器等の機器を構成する容器そのものを用いるので、大型の機器の場合には、これらの機器を加熱できる湯浴等を別途設置するとなると装置が大掛かりなものとなるため、簡便な無害化処理システムとはならない。これに対して、本発明においては、前記のように、触媒充填装置から容器に戻る混合液を更に加熱して、容器中の混合液の保温に利用するので、簡便に、かつ効果的に保温することができる。
このように、ヒートポンプを介して、混合液の冷却により放出される熱を混合液の加熱に利用することにより、システム全体としてのエネルギーの有効利用を図ることができる。
すなわち、触媒充填装置に流通させる混合液の冷却と容器中の混合液の保温をそれぞれ独立した方式で行う場合は、冷却に要するエネルギーは利用せずに捨てることになる上、更に保温にエネルギーを要することになるのに対して、本発明では、ヒートポンプの作動にエネルギーを要するとはいえ、冷却時に放出されたエネルギーを回収して保温のために利用することができるので、システム全体としての必要なエネルギーを低減することができる。
本発明の無害化処理方法および無害化処理システムにおいて、ヒートポンプでの冷却水の冷却と温水の加熱の熱的バランスが崩れる場合には、状況に応じて補助装置等を活用することができる。例えば、夏季の日中のように外気温が高く、容器や配管等からの放熱が少ない時には、混合液の冷却で獲得した熱を、ヒートポンプで加熱用に移動させると、容器中の混合液の液温が高くなりすぎる場合があるので、こうした場合は、容器中の混合液の保温状態の制御を主目的にヒートポンプを稼動し、冷却に不足する冷却水を別途冷凍機を活用して、供給することができる。逆に、冬季のように外気温が低く、容器や配管等からの放熱が多い時には、混合液の加熱に必要な熱をヒートポンプで得ようとすると、混合液が冷却されすぎる場合があるので、この場合には、混合液の冷却状態の制御を主目的にヒートポンプを稼動し、容器中の混合液の保温には容器の保温装置内のリボンヒーター等による加熱を併用することができる。
本発明で用いる触媒充填装置4には、PCBを分解可能な触媒(詳細は後記する)を充填する。この触媒充填装置4は、図示していないが、交替可能な触媒カートリッジ式であってもよい。処理途中で分解速度が低下した場合でも、簡単、迅速に取り替えることができ、処理後の触媒の後処理も容易だからである。
上記の触媒充填装置4は、触媒槽3の内部の上部に設置する。図1では、触媒充填装置4を、触媒槽3の上蓋6に取り付けた例を示している。これにより、マイクロ波処理装置の省スペース化を図ることができると共に、触媒充填装置4を流通した混合液を、自重で触媒槽内の液溜め5に戻すことができるので、容器1から触媒充填装置4への混合液の供給手段(ポンプ)を設けるだけで良く、混合液を触媒充填装置から排出する手段が不要となるため、装置を簡素化できる。また、触媒槽3内の上部に設置することにより、液流通断面積を触媒槽3の内径に応じて大きく設計することができ、空間速度(SV)を一定にした場合に液流速が速くなるため、処理時間を短縮できる。
一方、触媒充填装置4を触媒槽3の内部の下部に設置した場合は、触媒充填装置4を流通した混合液を液溜めすることができないため、触媒槽3から容器1へ戻す混合液と容器1から触媒槽3へ供給する混合液との流量バランスをとることが難しくなり、バランスが崩れた場合は、混合液が触媒充填装置4からオーバーフローしたり、液切れの場合はスパークもしくは触媒が異常加熱したりする恐れがある。
触媒充填装置4の大きさは特に限定されるものではなく、それらの形状は円筒形、角筒形など任意の形状であってよい。ただし、触媒充填装置は、混合液の導入口および流出口を備えている必要がある。
ここで、触媒充填装置に充填する触媒としては、触媒寿命が長く、かつ、アルカリ化合物存在下でも安定である無機系触媒が好ましい。該無機系触媒としては、脱ハロゲン化効率を高める観点より、複合金属酸化物、炭素結晶化合物、金属担持炭素化合物、金属担持酸化物、金属担持複合金属酸化物および金属酸化物等が好ましいが、中でも、アルカリ性雰囲気で安定性が高く、分解効率もよい点より、金属担持炭素化合物が好ましい。これらの触媒は使用後の再生触媒を使用することもできる。
上記の金属担持炭素化合物としては、鉄、銀、白金、ルテニウム、パラジウム、ロジウム等の金属を、触媒全量に対して0.1〜20質量%担持したものが好ましく、脱ハロゲン化効率を高める観点から、金属はパラジウム、ルテニウム、白金が好ましい。具体例としては、Pd/C(パラジウム担持炭素化合物)、Ru/C(ルテニウム担持炭素化合物)、Pt/C(白金担持炭素化合物)等が挙げられる。
触媒の形状は特に限定されないが、粒状の場合は装置(カラム)の上下をメッシュ等で固定する必要があり、触媒粒子径は75μm〜10mmが好ましい。10mmを超える場合は比表面積が不足し、75μm未満の場合はメッシュが詰まり差圧が高くなる。触媒粒子は、できるだけ粒子径のそろったものがよい。
上記の触媒が充填された触媒層の中には、図1に示した様に、マイクロ波を透過する耐熱性材料で形成された棒状の構造体8が、その一部が触媒層から突出するように分散して配置されていることが好ましい。この構造体の存在は必須ではないが、構造体を設置することにより、マイクロ波が触媒層の奥まで伝達されるようになる。構造体の形状は、特に限定されるものではなく、棒状、管状、ファイバー状、或いはこれらの組合せであってよい。また、構造体の内部は中空でもよい。大きさや配置形態、配置数も任意であるが、マイクロ波を万遍なく触媒に届かせるようにするためには、複数の構造体をできるだけ均等に配置し、マイクロ波到達円が細密充填に近づくように配置することが好ましい。
上記の構造体の材質は、特に限定されるものではなく、マイクロ波を透過する材質であれば、セラミック;テフロン(登録商標)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフェニレンサルフォン(PPSU)、ポリアリレート(PAR)、ポリサルフォン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリエステル(LCP)、液晶ポリマー(LCP)、ポリアセタール(POM)、ポリアミド(PA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル等の耐熱性樹脂;ガラス等の双極子を持たない材料或いは双極子モーメントが小さい材料;等を用いることができる。
マイクロ波装置12は、マイクロ波照射による過熱を防止し、マイクロ波照射量を出来る限り平準化するために、触媒充填装置内の混合液の温度測定と温度制御のための温度コントローラ11(PID制御機能付き)を備えている。マイクロ波装置は、触媒層の上層の液中に設置した温度センサ9により検知した触媒充填装置4内における混合液の温度と、温度コントローラ11の設定温度(反応温度と同じ)に基づいて、出力をPID制御するので、マイクロ波を連続照射しながら、混合液の液温をほぼ一定温度に保持することができる。
マイクロ波装置12の設置場所は任意であるが、触媒充填装置4の上方に設置すると省スペース化が図れる。触媒充填装置を流通する混合液がマイクロ波発振器から照射されるマイクロ波によって加熱された触媒と接触することにより、該混合液中のPCBは速やかに脱ハロゲン化分解する。
触媒充填装置に照射するマイクロ波の周波数は1〜300GHzが望ましく、1GHz未満または300GHzを超える周波数範囲では、触媒の加熱が不十分となる。マイクロ波発振器としては、マグネトロン等のマイクロ波発振器や、固体素子を用いたマイクロ波発振器等を適宜用いることができる。
触媒充填装置に対するマイクロ波の照射は、連続的または断続的に実施することができる。マイクロ波の照射は、迅速処理の観点からはできるだけ連続照射またはできるだけ長時間の照射が望まれる。ただし、運転の安全やコスト、人員の確保等を考慮して昼間のみ行うことも可能であり、例えば昼間はマイクロ波を照射し、夜間はマイクロ波照射を停止すると言った断続的な照射を実施することもできる。
混合液の循環は、混合液中のPCBが所定の濃度以下になるまで継続して実施するが、適時、循環する混合液をサンプリング、分析することにより、液中のPCB濃度を測定する。サンプリング箇所は任意であるが、内部部材から溶出したPCBは触媒充填装置を流通することで分解が促進されることから、混合液の取り出し流路(配管17あるいは18)からサンプリングした場合に、最もPCB濃度が高い。
また、サンプリング時期も任意であるが、残留するPCBの溶出と、マイクロ波照射によるPCBの分解とが同時に起こるため、液中のPCB濃度は上下動しながら漸次低下する(図3参照)。そのため、液中のPCB濃度を的確に把握するには、マイクロ波の照射を停止して混合液の循環のみ実施し(この間もPCBは溶出する)、マイクロ波照射を再開する直前に、液中のPCB濃度を測定するのがよい。
システム管理上は、上記の時期および箇所からサンプリング、分析した液のPCB濃度が、所定の基準値以下になるまで無害化処理を実施する。本実施形態によれば、冷却および保温しない場合に比べて、PCB無害化処理所要時間を、約1/2に短縮することができる。
(実施形態2)
実施形態1により、PCB使用機器の無害化処理を実施した後は、機器を解体し、鉄心、銅コイル、碍子、絶縁紙、木枠に分別する。各部材に付着しているPCB量の測定は、鉄心、銅コイル、碍子は、平成4年厚生省告示第192号、改正平成10年8月第222号;別表第2の第三に準拠し、紙、木材は、平成16年環境省告示第31号に準拠する。
分析した結果、解体された部材が、所定の卒業基準値を満たしていない場合は、該部材(鉄心、銅コイル、碍子、絶縁紙)を再び容器に戻し、実施形態1に記載された方法で無害化処理を行い、内部部材に残留するPCB量を卒業基準値以下とする。
例えば、鉄心を取り外した柱上変圧器の容器1に、卒業基準値を満たしていない鉄心を入れ、水素供与体とアルカリ化合物とからなる溶液を充填する。その後は、実施形態1で説明したのと同様の方法で、無害化処理を実施する。なお、部材の無害化処理を実施する場合、容器として、柱上変圧器等の電気機器容器を用いることが無害化処理システムの簡便性という点で望ましいが、別途用意したステンレス製容器等を用いてもよい。
本実施形態によれば、通常4日程度でPCB無害化処理が終了し、内部部材を卒業基準値以下とすることができる。
以上説明したように、本発明の無害化処理方法および処理システムによれば、容器内面に付着しているPCBや内部部材に残留しているPCBを短期間に分解することができ、万一、解体後の部材にPCBが残留している場合には、容器処理と並行して無害化処理を実施することで、卒業基準値以下とすることができる。従って、大型機器の場合にも移動することなく無害化処理が可能で、簡便かつ省エネルギーで経済性に優れた方法およびシステムを提供できる。
本発明は、PCB抜き出し後の容器を移動すること無く、常圧条件下で簡易に、かつ省エネルギーで無害化処理できる方法を提供するものであり、本発明の無害化処理システムを変圧器貯蔵所等の現場に設置すれば、現場で容器および内部部材の無害化処理を実施することができる。よって、本発明によれば、実用的な規模で、PCBを内蔵する大量の容器を無害化することができるので、本発明の実用的価値は極めて大である。
1 容器
2 混合液
3 触媒槽
4 触媒充填装置
5 液溜め
6 上蓋
7 側管
8 構造体
9 温度センサ
10 窒素導入管
11 温度コントローラ
12 マイクロ波装置
13 冷却器
14 加熱器
15 保温装置
16 ヒートポンプ
17,18,19,20 配管
21 内部部材(コイル)

Claims (14)

  1. PCBを使用した機器について、PCBを抜き出した後に該機器を構成する容器および内部部材に残留するPCBを分解する無害化処理方法において、
    該容器に、水素供与体とアルカリ化合物とからなる溶液を充填し加温することでPCBを溶出させて混合液とした後、該混合液の一部を取り出して、触媒槽内の触媒充填装置を流通させた後に該容器に戻して、該混合液を循環させると共に、該触媒充填装置を流通する混合液にマイクロ波を照射して、残留するPCBを分解する無害化処理方法であって、
    該容器を保温するための保温手段、
    触媒充填装置に流通させる混合液を冷却するための冷却手段、及び、
    触媒充填装置を流通後容器に戻す混合液を加熱するための加熱手段を設け、
    冷却手段で取り出した熱をヒートポンプにより加熱手段に移動させることを特徴とするPCB使用機器の無害化処理方法。
  2. 前記機器が、柱上変圧器、大型変圧器又は油絶縁ケーブルの油槽のいずれかである、請求項1に記載のPCB使用機器の無害化処理方法。
  3. マイクロ波の出力が、温度コントローラのPID制御により制御されている、請求項1又は2に記載のPCB使用機器の無害化処理方法。
  4. 前記水素供与体がイソプロピルアルコールである、請求項1〜3のいずれかに記載のPCB使用機器の無害化処理方法。
  5. 前記アルカリ化合物が、苛性ソーダおよび苛性カリから選ばれた少なくとも一つの化合物である、請求項1〜4のいずれかに記載のPCB使用機器の無害化処理方法。
  6. 前記触媒充填装置に用いられる触媒が金属担持炭素化合物である、請求項1〜5のいずれかに記載のPCB使用機器の無害化処理方法。
  7. 容器に、PCBが残留する部材を入れ、さらに水素供与体とアルカリ化合物とからなる溶液を充填し加温することでPCBを溶出させて混合液とした後、該混合液の一部を取り出して、触媒槽内の触媒充填装置を流通させた後に該容器に戻して、該混合液を循環させると共に、該触媒充填装置を流通する混合液にマイクロ波を照射して、該部材に残留するPCBを分解する無害化処理方法であって、
    該容器を保温するための保温手段、
    触媒充填装置に流通させる混合液を冷却するための冷却手段、及び、
    触媒充填装置を流通後容器に戻る混合液を加熱するための加熱手段を設け、
    冷却手段で取り出した熱をヒートポンプにより加熱手段に移動させることを特徴とするPCB残留部材の無害化処理方法。
  8. 前記部材が、鉄心、銅コイル、碍子または絶縁紙である、請求項7に記載の無害化処理方法。
  9. PCBを使用した機器について、PCBを抜き出した後に、該機器を構成する容器に、水素供与体とアルカリ化合物とからなる溶液を充填し加温することでPCBを溶出させて混合液とした後、該混合液の一部を取り出して、触媒槽内の触媒充填装置を流通させた後に該容器に戻して該混合液を循環させて、該機器を構成する容器および内部部材に残留するPCBを分解するための無害化処理システムであって、
    該容器を保温するための保温装置と、
    触媒充填装置と、
    該触媒充填装置を収容する触媒槽と、
    該触媒充填装置にマイクロ波を照射するためのマイクロ波装置と、
    該容器中の混合液を取り出し触媒槽に導入する流路に設けられた冷却器と、
    該触媒槽を流通した混合液を該容器へ戻す流路に設けられた加熱器と、
    該冷却器中を循環する冷却水が取り出した熱を、該加熱器を循環する温水に移動するヒートポンプと、
    を少なくとも備えたことを特徴とするPCB使用機器の無害化処理システム。
  10. 前記機器が、柱上変圧器、大型変圧器又は油絶縁ケーブルの油槽のいずれかである、請求項9に記載のPCB使用機器の無害化処理システム。
  11. 前記マイクロ波装置が、混合液の温度を測定およびPID制御する温度コントローラを備えている、請求項9又は10に記載のPCB使用機器の無害化処理システム。
  12. 前記水素供与体がイソプロピルアルコールである、請求項9〜11のいずれかに記載のPCB使用機器の無害化処理システム。
  13. 前記アルカリ化合物が、苛性ソーダおよび苛性カリから選ばれた少なくとも一つの化合物である、請求項9〜12のいずれかに記載のPCB使用機器の無害化処理システム。
  14. 前記触媒充填装置に用いられる触媒が金属担持炭素化合物である、請求項9〜13のいずれかに記載のPCB使用機器の無害化処理システム。
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