JP2010233873A - 有機ハロゲン化合物の処理システム - Google Patents

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Abstract

【課題】柱上変圧器に使用された絶縁油などに含まれる有機ハロゲン化合物を、高度に無害化処理することができるシステムを提供する。
【解決手段】有機ハロゲン化合物が微量混入した絶縁油に、イソプロピルアルコール等の水素供与体とアルカリ化合物を添加し、マイクロ波を照射しながら金属担持炭素系触媒に接触させて、処理基準濃度以下になるまで有機ハロゲン化合物を分解した後、この分解処理後の処理液を蒸留して蒸留残渣中に有機ハロゲン化合物を濃縮させ、この蒸留残渣中の有機ハロゲン化合物を同様に分解処理することで、絶縁油中の有機ハロゲン化合物を高度に無害化する。
【選択図】なし

Description

本発明は、廃油中に含まれる有機ハロゲン化合物を分解して無害化する、有機ハロゲン化合物の処理システムに関する。詳細には、柱上変圧器等に使用された有機ハロゲン化合物を含む絶縁油に、イソプロピルアルコール等の水素供与体とアルカリ化合物を添加し、触媒を用いて有機ハロゲン化合物を分解処理し、分解処理後の処理液から、イソプロピルアルコールや油を回収して、残渣に有機ハロゲン化合物を濃縮させた後、濃縮させた有機ハロゲン化合物を分解処理する、有機ハロゲン化合物の処理システムに関する。
各種有機ハロゲン化合物のなかでも、ポリ塩化ビフェニル(以下PCBと略称することがある。)は人体を含む生体に極めて有害であることから、1973年に特定化学物質に指定され、その製造、輸入、使用が禁止されている。その後、適切な廃棄方法が決まらないまま数万トンのPCBが未処理の状態で放置されてきたが、変圧器やコンデンサなどPCBで汚染された電気機器は、平成28年までに無害化処理することとなっている。
柱上変圧器等の容器内に充填又は保存された有機ハロゲン化合物を含む油及び容器の処理としては、油を容器ごと処理する方法と、容器から油を抜き出した後に容器と油を別々に処理する方法とがあり、油を再利用できる点からは後者が望ましい。
前者としては、例えば、水及び酸化剤を入れたオートクレーブ中に、PCBを含有する油を入れたまま柱上変圧器を収納し、オートクレーブを加熱して、水を超臨界状態にしてPCBを酸化分解することにより、PCBを含有する油の入った柱上変圧器を丸ごと無害化する方法があるが、この方法では、大掛かりな装置が必要となる。
後者としては、例えば、柱上変圧器から絶縁油を抜油した後、柱上変圧器は溶剤などで洗浄して無害化し、一方、抜油した油は、アルカリ金属ターシャリーブトキシド等を添加し、加熱攪拌してPCBを分解することで油を無害化する方法がある。しかし、この方式は、粉末触媒をそのまま油中に投入するため、分解処理後の油から触媒を分離するのに大きな手間が掛かり、また、粉末触媒に変えて固定床式の触媒を用いた場合には、PCBとの接触機会が減るため反応が満足に進まない等の問題点を有している。
これらの問題点を解決する方法として、水素供与体とアルカリの存在下に、金属担持触媒と接触させて有機ハロゲン化合物を分解処理する方法が提案されている。例えば、特許文献1には、柱上変圧器等の容器内に充填又は保存された有機ハロゲン化合物を含む油の無害化処理方法として、当該油にイソプロピルアルコール等の水素供与体と苛性カリ等のアルカリ化合物を添加し、パラジウムや白金等の金属を活性炭等に担持した触媒を充填した触媒槽に流通させることで、有機ハロゲン化合物を分解する方法が開示されている。
さらに、特許文献2では、特許文献1の方法を改良して、2段階で有機ハロゲン化合物を分解する方法が開示されている。この方法では、特許文献1と同じく、PCB等の有機ハロゲン化合物を含む油に、イソプロピルアルコール等の水素供与体と苛性カリ等のアルカリ化合物を添加し、パラジウムや白金等の金属を活性炭等に担持した触媒を充填した触媒槽に流通させて有機ハロゲン化合物を分解し、次いで、別途準備された第2の触媒反応装置に流通させることで効果的に有機ハロゲン化合物を分解する。この第2の触媒反応装置は、マイクロ波発生装置内に触媒槽が設置され、この触媒槽中に同じ触媒が充填された構造の装置であり、マイクロ波を照射することで触媒を効果的に加熱して、有機ハロゲン化合物の分解を促進するものである。
こうした方法により、柱上変圧器等で使用された絶縁油中に含まれるPCB等の有機ハロゲン化合物は、所定の処理基準値以下にまで、効果的に分解することができる。しかしながら、これらの方法によって分解処理した処理液中には、再利用可能な溶媒や油が混在した状態で含まれているため、リサイクルの観点から、これらの回収、有効利用が望まれる。
特開2005−253884号公報 特開2006−246976号公報
本発明は、前記の課題に鑑みてなされたものであり、処理液中に含まれる溶媒や油を再利用可能にすると共に、柱上変圧器等に使用された絶縁油中に含まれる有機ハロゲン化合物を高度に無害化処理する、有機ハロゲン化合物の処理システムを提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、有機ハロゲン化合物が微量混入されている絶縁油に、イソプロピルアルコール等の水素供与体とアルカリ化合物を添加し、マイクロ波を照射しながら金属担持触媒に接触させて、基準濃度以下になるまで有機ハロゲン化合物を分解した後、この分解処理後の処理液を蒸留して、イソプロピルアルコールや絶縁油、あるいはPCBの分解生成物であるビフェニル等を留去することで、蒸留残渣中に有機ハロゲン化合物を濃縮させた後、この蒸留残渣中の有機ハロゲン化合物を分解処理する一連の工程を経ることで、有機ハロゲン化合物を高度に無害化できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下の工程A、B、C及びDを有することを特徴とする、有機ハロゲン化合物の処理システムを提供する。
A.有機ハロゲン化合物を含む油に、水素供与体とアルカリ化合物を添加して処理液(第1処理液)を調製した後、当該処理液を金属担持触媒が充填されてなる装置に流通させながらマイクロ波を照射して、有機ハロゲン化合物を所定の処理基準値以下に分解する工程。
B.前記工程Aを経た処理液を静置し、分離した水層を除去する工程。
C.水層が除去された油層を蒸留し、未分解の有機ハロゲン化合物を蒸留残渣として濃縮する工程。
D.未分解の有機ハロゲン化合物が濃縮された蒸留残渣に、水素供与体を添加して処理液(第2処理液)を調製した後、当該処理液を金属担持触媒が充填されてなる装置に流通させながらマイクロ波を照射して、有機ハロゲン化合物を所定の処理基準値以下に分解する工程。
本発明の有機ハロゲン化合物の処理システムによれば、柱上変圧器などの容器内の油に微量含まれている有機ハロゲン化合物を、高度に無害化処理することができると共に、有機ハロゲン化合物の分解工程で使用したイソプロピルアルコール等の水素供与体は、回収してリサイクル使用ができ、分解処理後の油は燃料等として安全に再利用することができる。
以下、本発明に係る有機ハロゲン化合物の処理システムについて、詳細に説明する。
(工程A)
本発明の処理システムでは、最初に、柱上変圧器等の容器中に充填又は保存された、PCB等の有機ハロゲン化合物を含む油に対して、含有される有機ハロゲン化合物を分解する。当該分解処理では、有機ハロゲン化合物を含む油に、水素供与体とアルカリ化合物を添加して処理液(第1処理液)を調製した後、当該処理液を金属担持触媒が充填されてなる装置に流通させながらマイクロ波を照射して、有機ハロゲン化合物を所定の処理基準値以下に分解する。
分解処理は、上記の特許文献2等に開示された公知の方法等を用いて実施することができる。例えば、有機ハロゲン化合物を含有する油に、イソプロピルアルコール等の水素供与体と苛性カリ等のアルカリ化合物を添加し、混合させて処理液を調製した後、当該処理液を、パラジウムや白金等の金属を担持した触媒が充填された触媒充填装置に流通させながら、マイクロ波発振装置からマイクロ波を照射することで触媒を加熱し、処理液中の有機ハロゲン化合物を所定の処理基準値以下の濃度になるまで分解する。マイクロ波を照射することにより有機ハロゲン化合物の分解速度が速くなるが、マイクロ波を照射しないで分解処理を行うこともできる。
上記の水素供与体は、分解効率や安全性、回収の容易性等の点から、イソプロピルアルコールが好ましく、該水素供与体の添加量は、処理対象油に対して、50〜200容量%の範囲とすることが好ましい。
上記のアルカリ化合物は、経済性の点から、NaOHやKOHが好ましく、アルカリ化合物は、水素供与体に対して0.1〜10質量%添加すれば良い。
上記の金属担持触媒は、パラジウム、ルテニウム、白金等が触媒全量に対して0.1〜20質量%担持された、炭素化合物が好ましく、例えば、Pd/C、Ru/C、Pt/C等が挙げられる。
処理液が触媒充填装置を流通する際には、マイクロ波装置から、処理液にマイクロ波を連続的または断続的に照射する。マイクロ波を断続的に照射するのは、連続的な照射によって処理液の温度が上昇するのを回避すると共に、安全運転を確保するためであり、処理液温度が一定に保持されるように温度制御しながら、マイクロ波を連続照射することもできる。照射するマイクロ波の出力、周波数は、設定する洗浄条件に応じて適宜決定すれば良く、周波数1〜300GHzのマイクロ波を電気的に制御しながら、10W〜20kWの範囲で照射することが好ましい。マイクロ波発振器としては、マグネトロン等のマイクロ波発振器や、固体素子を用いたマイクロ波発振器等を適宜用いることができる。
有機ハロゲン化合物がPCBの場合、上記分解処理により、PCBが分解されビフェニルが生成する。また、水素供与体としてイソプロピルアルコールを用いた場合、アセトンや水が副生する。その結果、PCBの分解処理後の処理液は、柱上変圧器等に絶縁油として使用されていた油(炭化水素油)、イソプロピルアルコール、アセトン、ビフェニル、アルカリ化合物、副生塩(KCl等)、及び水等の混合物となる。
分解反応温度は、ダイオキシン類などの副生物を生成させ難くするためにはできるだけ低い方が好ましいが、分解速度との兼ね合いから、常温以上100℃以下とすることが好ましく、特に常温〜80℃の範囲とすることが好ましい。反応時間は特に限定されず、処理液中の有機ハロゲン化合物が、所定の処理基準値以下になるまで実施する。
(工程B)
次いで、PCB分解後の処理液を、分解反応槽から取り出し、油水分離槽に入れて静置し、アルカリ化合物、副生塩、イソプロピルアルコール及びアセトンを溶解した水層と、油、イソプロピルアルコール、アセトン、ビフェニル、微量のアルカリ化合物及び極微量のPCBを含有する油層とに分離させる。その後、分離した水層を除去する。
(工程C)
下層の水層を分離、除去した後に、上層の油層を、蒸留装置を用いて、イソプロピルアルコール、アセトン、油及びビフェニルを留去する。これらの化合物が留去されることにより、蒸留残渣中に未分解のPCBを濃縮させることができる。この際、蒸留によりイソプロピルアルコールを回収し、工程A及び/又は工程Dで有効活用できるように貯留しておくと良い。
蒸留方法は特に限定されないが、最初は常圧下で実施し、アセトンやイソプロピルアルコール等の低沸点化合物を留去した後、減圧にして、油やビフェニル等の高沸点化合物を留去すれば良い。
蒸留残渣中に濃縮されるPCBの濃度は、蒸留条件により変動するが、100〜15,000ppm程度まで濃縮される。残渣中のPCBを更に高濃度になるまで濃縮することも可能であるが、その場合には、減圧度を上げたり温度を上げたり、あるいはより長時間にわたって蒸留処理を行うことになり、その結果、留去される油やビフェニル中に同伴されるPCBの量が増大する恐れがある。留去された油やビフェニルを燃料として再利用することを考慮すると、濃縮するPCB濃度は100〜500ppmの範囲とすることが好ましい。
(工程D)
次いで、PCBが濃縮された蒸留残渣を取り出し、残渣中のPCBを分解することで、柱上変圧器等に使用された絶縁油中に含まれるPCBを、高度に無害化処理することができる。
蒸留残渣中に濃縮されたPCBの分解処理は、PCBを含む絶縁油を処理するバッチ毎に実施しても良く、あるいは、PCBを含む絶縁油について、PCB分解工程(工程A)、静置分離工程(工程B)及びPCB濃縮工程(工程C)までを複数回実施し、PCBが濃縮された蒸留残渣の量がある程度まとまった量になってから実施しても良い。
蒸留残渣中のPCBの分解は、蒸留残渣中に濃縮された未分解のPCBに、水素供与体を添加して処理液(第2処理液)を調製した後、当該処理液を、金属担持触媒が充填されてなる装置に流通させながらマイクロ波を照射して、PCBを所定の処理基準値以下に分解する。工程Dでは、蒸留残渣のみを別途分解処理することが好ましいが、蒸留残渣を工程Aに戻して再処理する方法を採用しても良い。
蒸留残渣を工程Aに戻す場合は、蒸留残渣は高粘度物となっていることがあるため、前記蒸留で得られた低沸点留分(イソプロピルアルコール)を用いて、適当な粘度まで希釈した後、工程Aに戻すこともできる。
蒸留残渣中のPCBを分解処理する方法は、基本的に工程Aと同様である。ただし、工程Aでは過剰のアルカリ化合物が添加された状態で分解処理が実施されているため、残渣中にもアルカリ化合物が存在することがある。そのため、アルカリ化合物は、分解反応状況を観察しながら、必要量を添加すれば良い。蒸留残渣に添加する水素供与体は、溶媒としても機能する。水素供与体は、第1処理液と同じ水素供与体を用いると回収が容易であり、分解効率や安全性の点からイソプロピルアルコールが好ましい。
蒸留残渣によって、水素供与体を添加しても均一に溶解しない場合や、処理液の粘度が高すぎる場合には、工程Aに戻す場合と同様、蒸留時に分離した低沸点留分を加えて溶解あるいは粘度調整を行っても良い。
本発明の処理システムは、有機ハロゲン化合物の中でも、一般に脱ハロゲン化が困難であるPCB類を、少量ないし微量含む油を高度に無害化する処理システムとして用いられる。油は主に炭化水素油であり、例えば、電気絶縁油、熱媒体用の油、潤滑油、或いは、固体中に含まれる有機ハロゲン化合物を抽出した鉱油等が挙げられる。
本発明の処理システムによれば、例えば、処理基準値を0.5ppmに設定して、柱上変圧器等で使用されたPCBを含む絶縁油を処理した場合、工程AでPCB濃度が0.5ppm以下となった時点で分解反応を停止する。分解反応が終了した処理液を、静置分離した後、上層の油層を蒸留して留去する。これにより、残渣にPCBが濃縮される。
残渣中のPCBが100ppmまで濃縮された場合、濃縮率は200倍となる。この残渣について、PCBが0.5ppm以下になるまで分解処理を行うと、残渣の分解処理が終了した時点で残存するPCBは、最初に処理した絶縁油の量に対して、2.5ppb程度まで高度に分解処理されることとなる。
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。また、以下の実施例において、特に言及する場合を除き、「質量%」は「%」と略記する。
[実施例1]
(1)PCBの分解
容器(容量10L)に、実機で使用された、PCBを36ppm含む1種2号劣化絶縁油5Lを入れ、これに、水素供与体としてイソプロピルアルコール(IPA)1L、及び、KOH31.4g(対試験油0.6%)を添加し、攪拌して処理液を得た。
一方、粒状活性炭にパラジウムを5%担持させた触媒を用意し、70℃で48時間乾燥した。この触媒236gを触媒充填装置に入れ、上下を100メッシュの網で挟み込み、触媒層を形成させた。内径6mmのテフロン(登録商標)チューブを用いて、EFNIC(株)製ギヤポンプ(ModelGPE−031、12V DC)を介して、容器中の処理液と触媒充填装置を接続した。
容器から処理液の一部をポンプで抜き出し、触媒充填装置に500ml/分の速度で連続的に通液しながら、柱上変圧器に循環させた。その間、周波数2.45GHz、最大出力1.5kWのマイクロ波をPID制御しながら連続的に照射し、処理液の温度を60℃に維持した。
容器中の処理液を定期的にサンプリングした。サンプリングした処理液中のPCB濃度は、DB1(J&Wサイエンティフィック製)をキャピラリーカラムとする(株)島津製作所製のガスクロマトグラフィー質量分析計QP5050AW(以下、「GC−MS」)を用いて分析した。サンプリングと分析の間は、処理液の循環を一旦停止した。
処理液中のPCB濃度が目標の0.5ppm以下にならなかった場合は、処理液を再び触媒充填装置に流通、循環させ、PCBの分解処理を継続した。このような操作により、PCB濃度は5日間で0.5ppm以下まで減少した。
(2)静置分離
分解後の処理液を油水分離装置に移し、水層と油層が分離するまで常温で静置した。下層の水層を除去した後、油層を取り出した。
(3)蒸留
取り出した油層をロータリーエバポレーターに注入し、湯温を50℃に制御したウォーターバスにセットし、アスピレータで0.01MPaに減圧し、留出物を−10℃の冷媒でトラップしながら蒸留を行い、留出が少なくなった段階で湯温を80℃に上げ、さらに蒸留を行い、留出物を回収した。回収した留出物は精留してイソプロパノールを回収した。
(4)蒸留残渣の分解
上記1)〜3)の工程を、PCBを含む別の絶縁油についても行い、留出物を回収した。留出物回収後の残留物を集めて、更に濃縮して、PCBが濃縮された蒸留残渣(PCB濃度11,800ppm)100mlを得た。これにイソプロピルアルコール50ml、KOH2.9gを添加して処理液を調製した後、当該処理液をPd/C(Pd担持率5%)触媒12gが充填されてなる装置に流通させながら、700Wのマイクロ波を照射して、PCBを分解処理した。80時間後に、イソプロピルアルコール30ml、KOH0.6gを追添加し、104時間後に触媒12gを交換した。その結果、152時間後には、PCB濃度が0.5ppm以下となった。
[実施例2]
実施例1と同様の方法にて、PCBの分解、処理液の静置分離、油層の蒸留を行い、PCBが濃縮された蒸留残渣を得た。
PCBが濃縮された蒸留残渣(PCB濃度12,441ppm)100mlに、イソプロピルアルコール50ml、KOH1.1gを添加して処理液を調製した後、当該処理液をPd/C(Pd担持率5%)触媒12gが充填されてなる装置に流通させながら、700Wのマイクロ波を照射して、PCBを分解処理した。16時間後に、KOH2.0gを追添加した。その結果、112時間後には、PCB濃度が0.5ppm以下となった。
以上の結果から、PCB処理液が濃縮された蒸留残渣(PCB濃度:約12,000ppm)に、絶縁油中のPCB分解と同様の分解処理を施すことにより、PCBを短期間に処理基準値以下に分解して、PCBを高度に無害化処理できると共に、分解に用いた水素供与体(イソプロピルアルコール)を回収再利用できることがわかる。
本発明によれば、柱上変圧器等の容器内に充填された油に含まれている有機ハロゲン化合物を、高度に無害化処理することができる。また、有機ハロゲン化合物の分解工程で使用したイソプロピルアルコール等の水素供与体は、回収してリサイクル使用ができ、分解処理後の油は有機ハロゲン化合物の含有量が極めて低レベルであるので、燃料等としてより安全に再利用することができる。

Claims (3)

  1. 以下の工程A、B、C及びDを有することを特徴とする、有機ハロゲン化合物の処理システム。
    A.有機ハロゲン化合物を含む油に、水素供与体とアルカリ化合物を添加して処理液(第1処理液)を調製した後、当該処理液を金属担持触媒が充填されてなる装置に流通させながらマイクロ波を照射して、有機ハロゲン化合物を所定の処理基準値以下に分解する工程。
    B.前記工程Aを経た処理液を静置し、分離した水層を除去する工程。
    C.水層が除去された油層を蒸留し、未分解の有機ハロゲン化合物を蒸留残渣として濃縮する工程。
    D.未分解の有機ハロゲン化合物が濃縮された蒸留残渣に、水素供与体を添加して処理液(第2処理液)を調製した後、当該処理液を金属担持触媒が充填されてなる装置に流通させながらマイクロ波を照射して、有機ハロゲン化合物を所定の処理基準値以下に分解する工程。
  2. 前記工程A及びDで添加する水素供与体が、イソプロピルアルコールである請求項1に記載の有機ハロゲン化合物の処理システム。
  3. 前記工程Cは、前記工程Bで水層が除去された油層から水素供与体を回収する工程を含み、前記工程A及び/又はDで添加する水素供与体が、回収された水素供与体である請求項1または2に記載の有機ハロゲン化合物の処理システム。
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