JP2008194063A - 高濃度有機塩素化合物の分解方法 - Google Patents

高濃度有機塩素化合物の分解方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2008194063A
JP2008194063A JP2007003964A JP2007003964A JP2008194063A JP 2008194063 A JP2008194063 A JP 2008194063A JP 2007003964 A JP2007003964 A JP 2007003964A JP 2007003964 A JP2007003964 A JP 2007003964A JP 2008194063 A JP2008194063 A JP 2008194063A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
compound
catalyst
concentration
reaction solution
decomposing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2007003964A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3976332B1 (ja
Inventor
Koichi Ito
鉱一 伊藤
Mikio Shimojo
幹雄 下条
Satoru Kanamori
悟 金森
Shigeru Otsuki
茂 大槻
Yoko Umeda
陽子 梅田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokyo Electric Power Company Holdings Inc
Original Assignee
Tokyo Electric Power Co Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokyo Electric Power Co Inc filed Critical Tokyo Electric Power Co Inc
Priority to JP2007003964A priority Critical patent/JP3976332B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3976332B1 publication Critical patent/JP3976332B1/ja
Publication of JP2008194063A publication Critical patent/JP2008194063A/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Exhaust Gas Treatment By Means Of Catalyst (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

【課題】高濃度有機塩素化合物の分解処理の更なる効率化を図るため、分解処理後の反応液を再利用でき、処理コストの低減を図ることができる、高濃度有機塩素化合物の分解方法を提供する。
【解決手段】炭素結晶化合物及び担体に金属を担持させた化合物の中から選ばれる少なくとも1種の触媒をカラムに充填し、ポリ塩化ビフェニールを50質量%以上含有する有機塩素化合物と水素供与性溶媒とアルカリ化合物とを含む反応溶液を、前記触媒を充填したカラムに流通させながら有機塩素化合物の脱塩素化を行い、脱塩素化反応後の溶液に、新たな有機塩素化合物と、該有機塩素化合物に対し0.8〜1.5当量(対塩素)のアルカリ化合物を添加し、前記反応溶液を再利用しながら脱塩素化する。
【選択図】図1

Description

本発明は、高濃度の有機塩素化合物を脱塩素化して無害化する高濃度有機塩素化合物の分解方法に関する。
各種有機塩素化合物のなかでも、ポリ塩化ビフェニール(以下PCBと略称することがある。)は人体を含む生体に極めて有害であることから、1973年に特定化学物質に指定され、その製造、輸入、使用が禁止されている。しかし、その後適切な廃棄方法が決まらないまま数万トンのPCBが未処理の状態で放置されている。PCBは、高温(30〜750℃)分解では強毒性のダイオキシン類である塩素化ジベンゾ−p−ダイオキシン(PCDD)とジベンゾフラン(PCDF)が副生することから、技術的にPCBを安全に分解することが難しく、永年にわたりPCBの安全で効率的な各種分解法が検討されている。
有機塩素化合物の分解処理は、絶縁油として使用したPCB油など高濃度有機塩素化合物の分解処理と、絶縁油交換時等に鉱油中に混入した低濃度有機塩素化合物の分解処理に大別される。高濃度有機塩素化合物の分解処理は、還元触媒を用いて還元剤と反応させ、脱塩素化された塩素を中和除去する方法が一般的に採用されている。
例えば、特許文献1には、白金を担持した活性炭と芳香族塩素化合物(パラクロロフェノール等)を含む混合系に、水素ガスを吹き込みながらマイクロ波を照射することにより有害有機塩素化合物を脱塩素化する方法が提案されている。この方法は還元性物質の存在下でマイクロ波を照射することを特徴とする方法であり、実施例では100mlの反応用フラスコにパラクロロフェノール水溶液に触媒を懸濁したものを入れ、水素ガスを吹き込みながらマイクロ波を照射して反応させている。
また、特許文献2には、PCBを溶解した2−プロパノールに、所定量のアルカリと白金、パラジウム、ロジウム等の金属を担持させた炭素化合物からなる触媒を添加して懸濁液としたのち、攪拌しながら、2−プロパノールの沸点(83℃)近傍まで加熱し、還流条件下で120分もしくは180分間分解反応を行うことにより、PCBを分解する方法が記載されている。
また、特許文献3には、本発明者らが提案した方法として、PCBと沸点100℃以下のアルコールとアルカリの混合液を、触媒を充填したカラムに流通させながら該カラムにマイクロ波を照射することにより、低温でPCBを脱塩素化する方法が開示されている。
特開2001−19646号公報(請求項1、段落番号0009等) 特開平8−266888号公報(請求項1〜4、段落番号0012〜0013等) 特許第3678740号公報(請求項1〜4、段落番号0049〜0050等)
しかしながら、特許文献1〜2に開示されている方法は、触媒を反応溶液中に分散させるバッチ式の脱塩素化方法であるため、反応終了後は失活した触媒を分離、回収する操作が必要となる。一方、同一反応容器を用いて触媒とPCBを追添加しながら脱塩素化反応操作を繰り返すことも理論上は可能であるが、同じ操作を繰り返すことによって反応容器内の触媒量が次第に増加するため、攪拌操作に障害を及ぼしたり、脱塩素化反応の進行を妨げたりすることになる。従って、これらの方法は低コストの処理方法とは言い難い。
また、PCB混入油が充填されていた柱上変圧器等の洗浄に用いた洗浄溶媒や、PCB分解処理反応に供した溶媒を、蒸留操作によって回収した後、分解処理に再利用することも一般に行われている。しかし、溶媒の絶対量が多ければ溶媒回収コスト(蒸留コスト)も増加することになるため、このような再利用方法は抜本的な方法とはなり得ない。
特許文献3に開示されている方法は、触媒を分離、回収する操作が不要で失活した触媒を取り替えるだけで済むため、連続処理操作も可能であるが、常時一定値以上の分解率を達成するためには、対PCBで100倍容量の2−プロパノールを必要とする。従って、多量の溶媒を使用すれば溶媒コストや回収コストが増大することになるため、反応処理効率が劣るという問題点を有していた。
本発明は、高濃度有機塩素化合物の分解処理の更なる効率化を図るためになされたものであり、分解処理後の反応液を再利用でき、処理コストの低減が図れる、高濃度有機塩素化合物の分解方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、高濃度の有機塩素化合物と特定の薬剤を含む反応溶液を触媒カラムに流通させながら脱塩素化反応を行い、脱塩素化反応後の溶液に、被処理物である高濃度の有機塩素化合物と所定量のアルカリ化合物を添加して脱塩素化することにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
1)炭素結晶化合物及び担体に金属を担持させた化合物の中から選ばれる少なくとも1種の触媒をカラムに充填し、ポリ塩化ビフェニールを50質量%以上含有する有機塩素化合物と水素供与性溶媒とアルカリ化合物とを含む反応溶液を、前記触媒を充填したカラムに流通させながら有機塩素化合物の脱塩素化を行い、脱塩素化反応後の溶液に、新たな有機塩素化合物と該有機塩素化合物に対し0.8〜1.5当量(対塩素)のアルカリ化合物を添加し、前記反応溶液を再利用しながら脱塩素化することを特徴とする高濃度有機塩素化合物の分解方法、
2)反応溶液の再利用回数が、少なくとも2回以上である前記1)に記載の高濃度有機塩素化合物の分解方法、
3)反応溶液の再利用回数1回当たり0回〜毎回の頻度で触媒を交換する前記1)又は2)に記載の高濃度有機塩素化合物の分解方法、
4)反応溶液を連続して触媒充填カラムに流通する前記1)〜3)のいずれかに記載の高濃度有機塩素化合物の分解方法、
5)反応溶液中の有機塩素化合物濃度(対水素供与性溶媒)が、0.1〜10wt%である前記1)〜4)のいずれかに記載の高濃度有機塩素化合物の分解方法、
6)有機塩素化合物の分解に際し、触媒充填カラム内の反応溶液へマイクロ波を照射する前記1)〜5)のいずれかに記載の高濃度有機塩素化合物の分解方法、
7)アルカリ化合物が、NaOH又はKOHである前記1)〜6)のいずれかに記載の高濃度有機塩素化合物の分解方法、
8)触媒が、パラジウム担持炭素化合物である前記1)〜7)のいずれかに記載の高濃度有機塩素化合物の分解方法、及び、
9)水素供与性溶媒が、イソプロピルアルコールである前記1)〜8)のいずれかに記載の高濃度有機塩素化合物の分解方法。
本発明の高濃度有機塩素化合物の分解方法によれば、反応溶液(溶媒)を再利用できるので、反応に用いた溶媒を回収し、再利用するためのバッチ毎の蒸留工程が不要となる。反応溶液は少なくとも2回以上再利用できる。また、再利用後は、処理全体に用いる溶媒量が減るので、再利用するための蒸留コストを低減できる。
反応溶液を触媒充填装置に流通させながら循環させ、必要に応じてマイクロ波を照射することもできるので、有機塩素化合物を短期間に分解処理することができる。さらに、反応溶液を連続して触媒充填カラムに流通させることにより、マイクロ波を照射しない夜間でも常温分解が進み、しかも、液が流れ続けることによりビフェニルやKClが固着し難くなり、液が触媒を揺動させることにより触媒充填カラムの詰まりを防止することができる。
以下、本発明に係る高濃度有機塩素化合物の分解方法について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
本発明の高濃度有機塩素化合物の分解方法は、炭素結晶化合物及び担体に金属を担持させた化合物の中から選ばれる少なくとも1種の触媒をカラムに充填し、ポリ塩化ビフェニールを50質量%以上含有する有機塩素化合物と水素供与性溶媒とアルカリ化合物とを含む反応溶液を、前記触媒を充填したカラムに流通させながら有機塩素化合物を脱塩素化を行い、脱塩素化反応後の溶液に、新たな有機塩素化合物と、該有機塩素化合物に対し0.8〜1.5当量(対塩素)のアルカリ化合物を添加し、前記反応溶液を再利用しながら脱塩素化することを特徴とするものである。
本発明の分解方法において脱塩素化対象となる有機塩素化合物は、ポリ塩化ビフェニールを50質量%以上含有する有機塩素化合物であり、主に柱上変圧器、大型トランス、コンデンサ、油絶縁ケーブルの油槽等に絶縁油等として使用されたものが対象となる。具体的には、ポリ塩化ビフェニール、或いは、ポリ塩化ビフェニールと塩素化芳香族化合物との混合物が挙げられる。
ポリ塩化ビフェニール(PCB)類としては、例えば、鐘淵化学(株)のKC−200(主成分:2塩化ビフェニール)、KC−300(主成分:3塩化ビフェニール)、KC−400(主成分:4塩化ビフェニール)、KC−500(主成分:5塩化ビフェニール)、KC−600(主成分:6塩化ビフェニール)、KC−1000(KC500/TCB=60/40(質量比)の混合物)、KC−1300(KC−300+DCB+4塩化ベンゼンの混合物)や、三菱モンサイト(株)のアロクロール1254(54% Chlorine)等を挙げることができる。
ポリ塩化ビフェニールと塩素化芳香族化合物との混合物の場合、混合割合は特に限定されないが、一般には、ポリ塩化ビフェニール/塩素化芳香族化合物=9/1〜5/5(質量比)である。ポリ塩化ビフェニール/塩素化芳香族化合物の割合が9/1未満の場合は油の粘性が高くなり、一方、その割合が5/5を超える場合は絶縁性能が低下するからである。塩素化芳香族化合物としては、芳香族化合物に塩素原子が置換しているもの、例えば、例えば、トリクロロベンゼン(TCB)、ジクロロベンゼン(DCB)、テトラクロロベンゼン等があるが、一般にはトリクロロベンゼン(TCB)が多用されている。
図1は、本発明の分解方法の好ましい一例を示す説明図であり、反応槽20に水素供与性溶媒(イソプロピルアルコール:IPA))と、アルカリ化合物(KOH)と、有機塩素化合物(PCB)を入れ、反応溶液10を得る。これを、循環ポンプ21により、配管22を通して、マイクロ波装置30内に設置した触媒充填カラム35に流通させながら触媒と接触させ、PCBの脱塩素化を行う。カラム流通後の反応溶液は配管23を通して反応槽20に戻される。なお、図1に示す配管途中には、超音波発生装置等のクラスター破壊装置、コンデンサ等の冷却装置、誘電率計等のPCB濃度測定装置等が備えられていてもよい。
水素供与性溶媒は、複素環式化合物、アミン系化合物、アルコール系化合物、ケトン系化合物及び脂環式化合物等から選ばれる1種以上を用いることができるが、これらの中でも、安全性の点より、アルコール系化合物、ケトン系化合物、脂環式化合物が好ましい。特に、安全性、低コスト、入手容易で、しかも反応制御し易くPCB分解効率が高い点より、アルコール系化合物が好ましい。好ましいアルコールとしては、例えば、エタノール、1−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、t−ブタノール、シクロヘキサノール等を挙げることができるが、イソプロピルアルコール、シクロヘキシルアルコール等の2級アルコールがより好ましく、イソプロピルアルコールが最も好ましい。
アルカリ化合物は、NaOH、KOH、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド、水酸化カルシウム等を単独で又は2種以上併用して用いることができる。中でも、コストやハンドリング性の観点より、NaOH又はKOHが好ましい。
最初の反応液調製時の有機塩素化合物濃度は、水素供与性溶媒に対し、0.1〜10wt%とするのが好ましく、より好ましくは0.2〜5wt%、最も好ましくは0.2〜2wt%である。有機塩素化合物の濃度が高すぎる場合は溶媒の再利用回数が減り分解所要時間も長くなるため経済的でなく、濃度が低すぎる場合は脱塩素化の効率が悪くなる。アルカリ化合物は有機塩素化合物の塩素に対し、1.0当量以上用いることが好ましく、副生塩の生成により影響を出来るだけ抑え、かつ、分解効率を高める観点より、より好ましくは1.0〜1.5当量である。
触媒は、炭素結晶化合物及び担体に金属を担持させた化合物の中から選ばれる少なくとも1種を用いる。前記の触媒は、有機塩素化合物(特にPCB)の脱塩素化反応を促進でき、アルカリ化合物存在下でも安定で、アルカリ雰囲気下でも安全で、しかもマイクロ波に対して高活性を示すことから好適に用いることができる。触媒は、単独で又は2種以上を任意に組合せて使用してもよい。これらの触媒の中でも、担体に金属を担持させた化合物が好ましい。
前記の炭素結晶化合物としては、グラファイト、カーボンナノチューブ(金属を含むものと含まないものの双方が含まれる)、フラーレン等が挙げられる。また、担体に金属を担持させた化合物の場合、担体としては、活性炭やグラファイト等の炭素、シリカゲル、アルミナやゼオライト等の金属酸化物や複合金属酸化物、ポリエチレン等の樹脂などが挙げられる。この中でも、脱塩素化効率が高く、アルカリ雰囲気での安定性が高い点より、炭素担体に金属を担持させた金属担持炭素化合物が好ましい。
前記の金属担持炭素化合物は、金属を担持した炭素化合物であればよいが、金属担持量は、触媒全量に対して1〜20wt%、好ましくは5〜10wt%であるのがよい。担持される金属としては、例えば、鉄、銀、白金、ルテニウム、パラジウム、ロジウム等が挙げられるが、脱塩素化効率を高める観点からは、パラジウム、ルテニウム、白金が好ましく、パラジウムがより好ましい。金属担持炭素化合物の具体例としては、Pd/C(パラジウム担持炭素化合物)、Ru/C(ルテニウム担持炭素化合物)、Pt/C(白金担持炭素化合物)等が挙げられる。
触媒の形状は、粒状のものでもハニカム状のものでもよい。粒状の場合はカラムの上下をメッシュ等で固定する必要があり、その場合の粒子径は75μm〜10mmが好ましい。10mmを超える場合は比表面積が不足し、75μm未満の場合はメッシュが詰まり差圧が高くなる。より好ましくは150μm〜5mmが望ましい。触媒粒子は、できるだけ粒子径のそろったものがよい。
反応系中の触媒使用量は、カラムの構成や液流通速度によっても異なるが、通常、反応溶液全量に対し、重量比で、5〜50%用いることが好ましい。
触媒充填カラムは、その形状、大きさ、マイクロ波装置内における設置場所は特に限定されるものではなく、マイクロ波照射が可能な位置に設置すればよい。触媒充填カラムは取り外し可能なカセット式にすることもできる。触媒は、水素供与性溶媒の再利用回数1回当たり0回〜毎回の頻度で交換することができ、分解に供する処理液のPCB濃度によりその交換頻度を決定することが好ましい。触媒を反応溶液中に分散させる方法では触媒の分離・回収操作が必要であるのに対し、本発明では触媒充填カラムに反応溶液を流通させることで、触媒を反応溶液から分離する必要がなくなるため、反応溶液を繰り返し再利用することが容易となる。
触媒充填カラム35はマイクロ波装置30内に設置されているため、必要に応じてマイクロ波を照射することができる。マイクロ波装置をオンにした場合、触媒層を流通する反応溶液は、照射されたマイクロ波によって加熱された触媒と接触する。そのため、触媒層を流通する反応溶液がマイクロ波で活性化された触媒と接触するため、有機塩素化合物は非加熱状態で接触させたときよりも格段に早い速度で分解する。一方、マイクロ波装置をオフにした場合、触媒層を流通する反応溶液は常温で触媒と接触するので、有機塩素化合物は比較的遅い速度ではあるが、徐々に分解する。反応温度は、10℃〜200℃の範囲が好ましく、より好ましくは10〜80℃である。反応温度が10℃未満では分解反応が不十分となり、一方、200℃を超える場合は脱塩素化反応は十分進むが、副生物が生成し易くなり、また経済性にも劣る。反応時間は特に限定されず、脱塩素化反応を十分進行させ無害化するまで行えばよい。
照射するマイクロ波の出力や周波数、照射方法は、特に限定されるものではなく、反応温度が所定の範囲に保持できるよう電気的に制御すればよい。出力が低すぎる場合は水素発生量が少なくなり、出力が高すぎる場合はマイクロ波の利用率が悪くなるため、電気的に制御しながら10W〜20kWの範囲とし、好ましくは40W〜5kWの範囲とする。マイクロ波の周波数は1〜300GHzが望ましく、1GHz未満又は300GHzを超える周波数範囲では、触媒、水素供与体の加熱が不十分となる。マイクロ波の照射は連続照射、間欠照射のいずれであってもよい。
最初の分解処理において、反応液中のPCB濃度が規制値以下になった段階で、分解処理を一旦停止する。次いで、2回目以降は、脱塩素化反応後の溶液に、新たな有機塩素化合物と、これに対し0.8〜1.5当量(対塩素)、好ましくは1.0〜1.3当量(対塩素)のアルカリ化合物を添加し、反応溶液を再利用しながら、上記の方法で脱塩素化を行う。アルカリ化合物を添加することなく新たな有機塩素化合物のみを添加した場合は、脱離した塩素を捕捉することができなくなり、分解反応が平衡状態になるため、脱塩素化反応が進行しなくなる。一方、アルカリ化合物の添加量が多すぎても反応が頭打ちになるため、経済性が悪くなる。
また、アルカリ化合物は上記の化合物の中から選択して用いることができるが、水素供与性溶媒に対する溶解性の高いものを選択することが、反応溶液を触媒充填カラムに流通させた際の詰まりを防止できる点より好ましい。アルカリ化合物は単体として添加しても良いし、少量の溶媒に溶解させて添加しても良い。
反応溶液を繰り返し利用することによって、該溶液中にはビフェニル、KCl等の副生物の量が次第に増加していくことになるが、触媒充填カラムにおける目詰まり等が生じない限り、反応溶液は繰り返し利用することができる。この場合、触媒は劣化の程度を見ながら交換することが好ましい。触媒の交換頻度は、反応溶液の再利用回数1回当たり0回〜毎回の間で選択することができるので、新たな有機塩素化合物を添加する度に触媒を交換する方法でも良いし、2〜3回に1度触媒を交換する方法でも良い。反応溶液の再利用回数に制限はないが、経済性を考慮すると少なくとも2回以上、好ましくは3回以上が望ましい。この場合、触媒は継続使用でも良いし、新しい触媒に交換しても良い。
図2は、本発明の分解方法の概略フロー図である。分解処理終了後の反応溶液には、溶媒、溶媒分解物、副生塩(KCl)、ビフェニル等が含まれているので、反応槽内の溶液を貯留した後、処理後の溶液等を産業廃棄物として処分、又はリサイクル使用する。
(作用)
本発明の有機塩素化合物の分解方法によれば、新たに溶媒を加えなくても、有機塩素化合物が分解し脱塩素化される。その機構は明らかではないが、アルカリ化合物が有機塩素化合物の脱塩素化反応を促し、そこに過剰に存在する溶媒(水素供与体)からの水素ラジカルが入り込むため、アルカリ化合物を追加するだけで脱塩素化が進行する。従って、分解速度が遅くても、変圧器の貯蔵所等の現場であれば、新たな加熱源等を用意せずとも放置するだけでPCBを処理でき、又、分解処理を促進したい場合は、必要に応じてマイクロ波照射を実施することもできる。
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)
PCB(KC−400/トリクロロベンゼンの混合物)1.3ml(PCB濃度1wt%/IPA)、KOHフレーク1.99g(1.2当量対塩素)、イソプロピルアルコール(IPA)148.7mlを、3000rpmのホモミキサーで20分攪拌し混液としたものを、内容量200mlの五つ口フラスコ(以下、「反応槽」)に導入した。これらを導入した後に、窒素ガスで反応槽内部を置換した。
一方、粒状活性炭(商品名:ダイヤホープ008)にパラジウム(Pd)を5%担持させた触媒(平均粒径1mm程度)を用意し、70℃で8時間乾燥した。この触媒24gをマイクロ波発生装置内に設置した触媒充填装置に入れ、上下を100メッシュの網で挟み込み、触媒を充填した。反応槽内をマグネチックスターラーで攪拌しながら、反応槽内の混合溶液をポンプで抜き出し、光ファイバー温度計を備えた上記触媒充填装置に10ml/分の速度で連続的に流通させた後反応槽に戻し、常温にて循環させた。その間、周波数2.45GHz、最大出力700Wのマイクロ波を電気的に制御しながら連続照射し、反応温度を60℃に維持した。反応中も窒素ガスを50ml/minで流した。
触媒充填装置内を流通させた混合溶液中のPCB濃度を定期的にサンプリングし、サンプリングした混合溶液中のPCB濃度は、DB1(J&Wサイエンティフィック製)をキャピラリーカラムとする(株)島津製作所製のガスクロマトグラフィー質量分析計QP5050AW(「GC−MS」)を用いて分析した。
混合溶液中のPCB濃度が目標の0.5ppm以下にならなかった場合は、混合溶液を再び触媒充填装置に流通、循環させた後、反応槽内に戻す操作を繰り返した。
1回目のPCB分解試験終了後、IPA再使用2回目の試験として、分解処理後の処理液に、1回目で用いたPCB1.3ml、KOHフレーク1.99gを添加し、1回目の操作と全く同様の方法にて、PCB濃度が0.5ppm以下になるまで分解処理を行った。
IPA再使用2回目の試験終了後、IPA再使用3回目の試験として、1回目で用いたPCB1.3ml、KOHフレーク1.99gを添加し、1回目の操作と全く同様の方法にて、PCB濃度が0.5ppm以下になるまで分解処理を行った。以下同様に、IPA再使用4回目〜10回目の試験を行った。
各試験について、PCB濃度0.5ppm以下になるまでの分解所要時間を表1に示した。表1の結果から明らかなように、IPAをそのまま10回は繰り返し利用できることが確認された。
(実施例2)
PCB(KC−400/トリクロロベンゼンの混合物)2.6ml(PCB濃度2wt%/IPA)、KOHフレーク3.98g(1.2当量対塩素)、イソプロピルアルコール(IPA)147.4mlを用いた以外は、実施例1と同様の方法で、1回目のPCB分解試験を実施した。
1回目のPCB分解試験終了後、IPA再使用2回目の試験として、分解処理後の処理液に、1回目で用いたPCB2.6ml、KOHフレーク3.98gを添加し、1回目の操作と全く同様の方法にて、PCB濃度が0.5ppm以下になるまで分解処理を行った。
IPA再使用2回目の試験終了後、IPA再使用3回目の試験として、1回目で用いたPCB2.6ml、KOHフレーク3.98gを添加し、1回目の操作と全く同様の方法にて、PCB濃度が0.5ppm以下になるまで分解処理を行った。以下同様に、IPA再使用3回目の試験を行った。
各試験について、PCB濃度0.5ppm以下になるまでの分解所要時間を表1に示した。表1の結果から明らかなように、IPAをそのまま4回は繰り返し利用できることが確認され、分解所要時間も15時間以内で終了した。
(実施例3)
PCB(KC−400/トリクロロベンゼンの混合物)3.9ml(PCB濃度3wt%/IPA)、KOHフレーク5.98g(1.2当量対塩素)、イソプロピルアルコール(IPA)146.1mlを用いた以外は、実施例1と同様の方法で、1回目のPCB分解試験を実施した。
1回目のPCB分解試験終了後、IPA再使用2回目の試験として、分解処理後の処理液に、1回目で用いたPCB3.9ml、KOHフレーク5.98gを添加し、1回目の操作と全く同様の方法にて、PCB濃度が0.5ppm以下になるまで分解処理を行った。
各試験について、PCB濃度0.5ppm以下になるまでの分解所要時間を表1に示した。表1の結果から明らかなように、IPAをそのまま2回は繰り返し利用できることが確認された。
Figure 2008194063
以上のように、本発明に係る分解方法では、分解試験におけるPCB濃度を最適濃度に設定することにより、PCB分解処理効率を図ることが可能となる。上記の例で言えば、PCB濃度1%では反応溶液を少なくとも10回使用できるため、PCB濃度3%で反応溶液を2回使用した場合よりも、同じ溶媒量で10/6倍量のPCBを分解処理することができる。
従って、有機塩素化合物の種類に応じて分解条件を設定し、最も経済性に優れたPCB濃度を設定し、反応溶液を繰り返し利用するようにすることで、経済性に優れた分解方法となり得る。
本発明に係る分解方法は、ポリ塩化ビフェニール(PCB)類等の難分解性有機塩素化合物の分解処理に利用することができる他、トリクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族塩素化合物やジクロロエタン等の脂肪族塩素化合物、ダイオキシン類の分解処理にも利用することができる。
本発明に係る高濃度PCB分解方法を説明する図である。 本発明に係る高濃度PCB分解方法の概略フロー図である。
符号の説明
10 混合溶液
20 反応槽
21 循環ポンプ
22,23 配管
30 マイクロ波装置
35 触媒充填装置

Claims (9)

  1. 炭素結晶化合物及び担体に金属を担持させた化合物の中から選ばれる少なくとも1種の触媒をカラムに充填し、ポリ塩化ビフェニールを50質量%以上含有する有機塩素化合物と水素供与性溶媒とアルカリ化合物とを含む反応溶液を、前記触媒を充填したカラムに流通させながら有機塩素化合物の脱塩素化を行い、脱塩素化反応後の溶液に、新たな有機塩素化合物と該有機塩素化合物に対し0.8〜1.5当量(対塩素)のアルカリ化合物を添加し、前記反応溶液を再利用しながら脱塩素化することを特徴とする高濃度有機塩素化合物の分解方法。
  2. 反応溶液の再利用回数が、少なくとも2回以上である請求項1に記載の高濃度有機塩素化合物の分解方法。
  3. 反応溶液の再利用回数1回当たり0回〜毎回の頻度で触媒を交換する請求項1又は2に記載の高濃度有機塩素化合物の分解方法。
  4. 反応溶液中の有機塩素化合物濃度(対水素供与性溶媒)が、0.1〜10wt%である請求項1〜3のいずれかに記載の高濃度有機塩素化合物の分解方法。
  5. 有機塩素化合物の分解に際し、触媒充填カラム内の反応溶液へマイクロ波を照射する請求項1〜4のいずれかに記載の高濃度有機塩素化合物の分解方法。
  6. 反応溶液を連続して触媒充填カラムに流通する請求項1〜5のいずれかに記載の高濃度有機塩素化合物の分解方法。
  7. アルカリ化合物が、NaOH又はKOHである請求項1〜6のいずれかに記載の高濃度有機塩素化合物の分解方法。
  8. 触媒が、パラジウム担持炭素化合物である請求項1〜7のいずれかに記載の高濃度有機塩素化合物の分解方法。
  9. 水素供与性溶媒が、イソプロピルアルコールである請求項1〜8のいずれかに記載の高濃度有機塩素化合物の分解方法。
JP2007003964A 2006-03-24 2007-01-12 高濃度有機塩素化合物の分解方法 Expired - Fee Related JP3976332B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007003964A JP3976332B1 (ja) 2006-03-24 2007-01-12 高濃度有機塩素化合物の分解方法

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006083881 2006-03-24
JP2007003964A JP3976332B1 (ja) 2006-03-24 2007-01-12 高濃度有機塩素化合物の分解方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP3976332B1 JP3976332B1 (ja) 2007-09-19
JP2008194063A true JP2008194063A (ja) 2008-08-28

Family

ID=38595899

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007003964A Expired - Fee Related JP3976332B1 (ja) 2006-03-24 2007-01-12 高濃度有機塩素化合物の分解方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3976332B1 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013202314A (ja) * 2012-03-29 2013-10-07 Tokyo Electric Power Co Inc:The 有機ハロゲン化合物の分解処理方法及び分解処理装置
CN105214680A (zh) * 2015-10-23 2016-01-06 杭州尹力环保科技有限公司 一种含氯有机废气净化催化剂及其制备方法
CN105289599A (zh) * 2015-11-23 2016-02-03 杭州尹力环保科技有限公司 一种颗粒状Pd-Pt有机废气净化催化剂及其制备方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013202314A (ja) * 2012-03-29 2013-10-07 Tokyo Electric Power Co Inc:The 有機ハロゲン化合物の分解処理方法及び分解処理装置
CN105214680A (zh) * 2015-10-23 2016-01-06 杭州尹力环保科技有限公司 一种含氯有机废气净化催化剂及其制备方法
CN105214680B (zh) * 2015-10-23 2017-09-05 杭州尹力环保科技有限公司 一种含氯有机废气净化催化剂及其制备方法
CN105289599A (zh) * 2015-11-23 2016-02-03 杭州尹力环保科技有限公司 一种颗粒状Pd-Pt有机废气净化催化剂及其制备方法
CN105289599B (zh) * 2015-11-23 2017-09-05 杭州尹力环保科技有限公司 一种颗粒状Pd‑Pt有机废气净化催化剂及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3976332B1 (ja) 2007-09-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN104812710B (zh) 有机卤素化合物的水热氧化处理方法及其催化剂
JP3976332B1 (ja) 高濃度有機塩素化合物の分解方法
JP2006142278A (ja) 有機ハロゲン化合物内蔵機器の無害化処理方法
JP2010259496A (ja) 有機ハロゲン化合物の分解処理方法及び分解処理装置
JP2004201967A (ja) 有機ハロゲン化合物の処理方法およびその処理装置
JP5344684B2 (ja) 芳香族ハロゲン化物の脱ハロゲン化方法
JP2007105061A (ja) 有機ハロゲン化合物のマイクロ波併用型分解処理方法及び分解処理システム
JP3970277B2 (ja) 汚染油の処理方法
JP2007105063A (ja) 有機ハロゲン化合物の分解処理方法及びマイクロ波内蔵型分解処理システム
JP3976329B2 (ja) 有機ハロゲン化合物の分解処理方法及び移動式分解処理システム
JP3966886B2 (ja) 脱塩素化触媒の再生方法
JP2007222191A (ja) マイクロ波による有機ハロゲン化合物の分解処理方法
JP2007325979A (ja) 揮発性有機ハロゲン化合物の処理方法
JP3678740B1 (ja) Pcb含有高濃度有機ハロゲン化合物の脱塩素化方法
JP2007105059A (ja) ダイオキシン類の分解方法
JP2007105060A (ja) 液中ダイオキシン類の分解処理方法
JP4009607B2 (ja) 触媒の再生処理方法、及び該再生触媒を用いた有機ハロゲン化合物の分解方法
JP4396826B2 (ja) 有機ハロゲン化合物の分解処理方法及びループ分解システム
JP3678739B1 (ja) 高濃度pcbの脱塩素化方法
JP3970286B2 (ja) 有機ハロゲン化合物の分解処理方法及びマイクロ波併用型分解処理システム
JP3678738B2 (ja) ポリ塩化ビフェニールの脱塩素化方法
KR101576079B1 (ko) 폐절연유의 폴리염화비페닐 처리장치
JP2007105062A (ja) マイクロ波照射装置およびそれを用いた分解処理方法
JP2010259681A (ja) Pcb含有油の無害化処理方法及びpcb含有油の無害化処理装置
JPH1190460A (ja) 含ハロゲン有機化合物の分解方法

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070615

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070618

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100629

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3976332

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100629

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110629

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120629

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130629

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130629

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140629

Year of fee payment: 7

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees