JP2007325979A - 揮発性有機ハロゲン化合物の処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】周期表の第1族及び/又は第2族元素、例えばカリウム、ナトリウム、カルシウム、ルビジウム及びセシウムのうちから選ばれる一種以上の水酸化物及び/又は弱酸塩を担持した活性炭などの炭素系触媒の存在下、揮発性非ハロゲン有機化合物と揮発性有機ハロゲン化合物との混合物にマイクロ波を照射することを特徴とする。
【選択図】なし
Description
揮発性有機ハロゲン化合物の除去方法としては、従来種々提案されている。例えば、特許文献1には、ハロゲン化炭化水素類を微粒子光触媒とともにアルカリ性水溶液に懸濁させ、光照射して分解する方法が開示されている。特許文献2には、電解槽の陰極側にハロゲン化エチレンを導入し、水溶液を電気分解すると同時にハロゲン化エチレンを分解する方法が開示されている。特許文献3には、有機ハロゲン化合物をアルカリ性水溶液と混合し、反応装置に連続的に注入してマイクロ波を照射することにより、沸騰させないで有機ハロゲン化合物を分解する方法が開示されている。特許文献4には、揮発性有機塩素化合物に酸素存在下で紫外線を照射して当該化合物を親水化し、これをアルカリ性水溶液と接触させることにより、易分解性にする方法が開示されている。
それ故、この発明の課題は、揮発性非ハロゲン有機化合物と揮発性有機ハロゲン化合物との混合物から揮発性有機ハロゲン化合物を短時間且つ低コストで除去する方法を提供することにある。
周期表の第1族及び/又は第2族元素の水酸化物及び/又は弱酸塩を担持した炭素系触媒の存在下、揮発性非ハロゲン有機化合物と揮発性有機ハロゲン化合物との混合物にマイクロ波を照射することを特徴とする。
この方法によれば、炭素系触媒がマイクロ波を吸収し熱エネルギーに変換するので、マイクロ波照射に伴って混合物の温度が上昇し、短時間で揮発性有機ハロゲン化合物と前記水酸化物又は弱酸塩とが反応可能な温度に達する。従って、揮発性有機ハロゲン化合物が炭素系触媒に吸着すると、先に吸着している前記水酸化物等と反応し、遊離したハロゲンが第1族又は第2族元素に捕捉されて金属塩となって無害化される。
前記炭素系触媒としては、揮発性有機ハロゲン化合物を選択的に吸着させるために500m2/g以上のBET表面積を有するものが好ましく、特に活性炭が好ましい。炭素系触媒には、炭素の他に炭素以外の導電性化合物、例えばフェライト、WC、SiCなどからなる補助触媒を含んでいてもよい。触媒のマイクロ波吸収性が向上するからである。
前記水酸化物及び/又は弱酸塩の担持量は、好ましくは前記炭素系触媒との合計量に対して1〜50重量%である。1重量%未満ではハロゲンの捕捉作用に乏しいし、50重量%を超えると触媒の表面の大半を担持物質が占めてしまい、ハロゲン化合物の吸着が困難となるからである。
前記マイクロ波を照射する際は、反応系が100℃以上200℃以下となるように制御するのが好ましい。反応温度が高いほどハロゲン化合物を分解させやすいが、あまり高いと反応容器の耐圧性を高める必要があり、低コストを達成しがたくなるからである。好ましい温度は120℃以上160℃以下である。制御する手段としては、マイクロ波の電源をオン/オフする、マイクロ波の出力を変化させるなどが挙げられる。
(実施例1)
メチルナフタレンにトリクロルエチレンを加えて混合溶液を調製した。塩素含有量は、1,010ppmであった。別途、BET法による比表面積1350m2/gの粉末椰子ガラ活性炭を水酸化カリウム水溶液に浸けて乾燥させることにより、活性炭に水酸化カリウムを10重量%担持させた。前記混合溶液4.0g、及び水酸化カリウムを担持した前記活性炭0.5gを耐圧性の反応管に入れ、周波数2.45GHz、最大出力300Wのマグネトロンを備えたバイオタージ社製マイクロ波反応器にセットして、マイクロ波を10分間照射した。照射中の最高温度及び最高ゲージ圧力は、それぞれ155℃及び2barとなった。
(実施例3〜6)
水酸化カリウムの担持量、及びマイクロ波の照射時間を種々変更した以外は、実施例1と同一条件で反応を行った。反応条件及び分解率を実施例1で記載した数値と併せて表1に示す。
(実施例7)
メチルナフタレンにトリクロルエチレンを加えて混合溶液を調製した。塩素含有量は、1,010ppmであった。別途、BET法による比表面積1350m2/gの粉末椰子ガラ活性炭に水酸化ナトリウムを10重量%担持させた。前記混合溶液4.0g、及び水酸化ナトリウムを担持した前記活性炭0.5gを耐圧性の反応管に入れ、実施例1と同じバイオタージ社製マイクロ波反応器にセットして、マイクロ波を5分間照射した。照射中の最高温度及び最高ゲージ圧力は、それぞれ125℃及び2barとなった。
(実施例8〜9)
水酸化ナトリウムの担持量、及びマイクロ波の照射時間を種々変更した以外は、実施例7と同一条件で反応を行った。反応条件及び分解率を実施例7で記載した数値と併せて表2に示す。
メチルナフタレンにトリクロルエチレンを加えて混合溶液を調製した。塩素含有量は、1,061ppmであった。別途、BET法による比表面積1350m2/gの粉末椰子ガラ活性炭に水酸化マグネシウムを25重量%担持させた。前記混合溶液4.0g、及び水酸化マグネシウムを担持した前記活性炭0.5gを耐圧性の反応管に入れ、実施例1と同じバイオタージ社製マイクロ波反応器にセットして、マイクロ波を5分間照射した。照射中の最高温度は100℃となり、圧力はほとんど上昇しなかった。
反応終了後、p-キシレンを標準液として反応液をガスクロマトグラムにて分析したところ、マイクロ波照射前のトリクロルエチレン/キシレンのピーク比が0.323であったのに対し、照射後のトリクロルエチレン/キシレンのピーク比は1098/4019であった。すなわち、トリクロルエチレンの分解率は15%であった。
メチルナフタレンにトリクロルエチレンを加えて混合溶液を調製した。塩素含有量は、1,115.5ppmであった。別途、BET法による比表面積1350m2/gの粉末椰子ガラ活性炭に水酸化カルシウムを10.9重量%担持させた。前記混合溶液4.0g、及び水酸化カルシウムを担持した前記活性炭0.5gを耐圧性の反応管に入れ、実施例1と同じバイオタージ社製マイクロ波反応器にセットして、マイクロ波を5分間照射した。照射中の最高温度は140℃となり、圧力はほとんど上昇しなかった。
反応終了後、p-キシレンを標準液として反応液をガスクロマトグラムにて分析したところ、マイクロ波照射前のトリクロルエチレン/キシレンのピーク比が0.291であったのに対し、照射後のトリクロルエチレン/キシレンのピーク比は496/2060であった。すなわち、トリクロルエチレンの分解率は17%であった。
メチルナフタレンにトリクロルエチレンを加えて混合溶液を調製した。塩素含有量は、1,061ppmであった。別途、BET法による比表面積1350m2/gの粉末椰子ガラ活性炭に炭酸カリウムを50重量%担持させた。前記混合溶液4.0g、及び炭酸カリウムを担持した前記活性炭0.5gを耐圧性の反応管に入れ、実施例1と同じバイオタージ社製マイクロ波反応器にセットして、マイクロ波を5分間照射した。照射中の最高温度は125℃となり、圧力はほとんど上昇しなかった。
反応終了後、p-キシレンを標準液として反応液をガスクロマトグラムにて分析したところ、マイクロ波照射前のトリクロルエチレン/キシレンのピーク比が0.323であったのに対し、照射後のトリクロルエチレン/キシレンのピーク比は1185/3987であった。すなわち、トリクロルエチレンの分解率は8%であった。
メチルナフタレンにトリクロルエチレンを加えて混合溶液を調製した。塩素含有量は、1,115ppmであった。別途、BET法による比表面積1350m2/gの粉末椰子ガラ活性炭に炭酸ルビジウムを11.2重量%担持させた。前記混合溶液4.0g、及び炭酸ルビジウムを担持した前記活性炭0.5gを耐圧性の反応管に入れ、実施例1と同じバイオタージ社製マイクロ波反応器にセットして、マイクロ波を5分間照射した。照射中の最高温度は140℃となり、圧力はほとんど上昇しなかった。
反応終了後、p-キシレンを標準液として反応液をガスクロマトグラムにて分析したところ、マイクロ波照射前のトリクロルエチレン/キシレンのピーク比が0.291であったのに対し、照射後のトリクロルエチレン/キシレンのピーク比は322/2261であった。すなわち、トリクロルエチレンの分解率は51%であった。
メチルナフタレンにトリクロルエチレンを加えて混合溶液を調製した。塩素含有量は、1,115ppmであった。別途、BET法による比表面積1350m2/gの粉末椰子ガラ活性炭に炭酸セシウムを10.8重量%担持させた。前記混合溶液4.0g、及び炭酸セシウムを担持した前記活性炭0.5gを耐圧性の反応管に入れ、実施例1と同じバイオタージ社製マイクロ波反応器にセットして、マイクロ波を5分間照射した。照射中の最高温度は140℃となり、圧力はほとんど上昇しなかった。
反応終了後、p-キシレンを標準液として反応液をガスクロマトグラムにて分析したところ、マイクロ波照射前のトリクロルエチレン/キシレンのピーク比が0.291であったのに対し、照射後のトリクロルエチレン/キシレンのピーク比は555/3825であった。すなわち、トリクロルエチレンの分解率は50%であった。
水酸化カリウムを活性炭に担持させていないこと以外は実施例1と同一条件でマイクロ波を10分間照射した。照射中の最高温度及び最高ゲージ圧力は、それぞれ255℃及び1barとなった。
反応終了後、p-キシレンを標準液として反応液をガスクロマトグラムにて分析したところ、マイクロ波照射前のトリクロルエチレン/キシレンのピーク比が0.292であったのに対し、照射後のトリクロルエチレン/キシレンのピーク比は0.282であった。すなわち、トリクロルエチレンの分解率は3.4%であった。
Claims (8)
- 周期表の第1族及び/又は第2族元素の水酸化物及び/又は弱酸塩を担持した炭素系触媒の存在下、揮発性非ハロゲン有機化合物と揮発性有機ハロゲン化合物との混合物にマイクロ波を照射することを特徴とする揮発性有機ハロゲン化合物の処理方法。
- 前記混合物中の揮発性有機ハロゲン化合物の濃度が10ppm〜3000ppmである請求項1に記載の方法。
- 前記炭素系触媒が、500m2/g以上のBET表面積を有する請求項1又は2に記載の方法。
- 前記炭素系触媒が、活性炭である請求項1又は2に記載の方法。
- 前記担持物質が、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ルビジウム及び炭酸セシウムのうちから選ばれる一種以上である請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
- 前記炭素系触媒が、炭素の他に炭素以外の導電性化合物からなる補助触媒を含む請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
- 前記水酸化物及び/又は弱酸塩の担持量が、前記炭素系触媒との合計量に対して1〜50重量%である請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
- 前記マイクロ波を反応系が100℃以上200℃以下となるように制御して照射する請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
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