JP2010240326A - 混在する有機塩素化合物の無害化処理方法 - Google Patents

混在する有機塩素化合物の無害化処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリ塩化ビフェニール(PCB)、トリクロロベンゼン(TCB)及びテトラクロロエチレン(TCE)など複数の種類の有機塩素化合物を混在して含有する絶縁油等の廃油を、ダイオキシン類を副生することなく無害化処理することができる、混在する有機塩素化合物の無害化処理方法を提供する。
【解決手段】複数の有機塩素化合物を含む絶縁油等の廃油に、水素供与体とアルカリ化合物の混合溶液を添加して処理液とし、該処理液を触媒充填装置に流通させながら、マイクロ波を照射する方法で、廃油に対して3倍量以上の水素供与体を用いる、あるいは水素供与体とアルカリ化合物の混合液を分割添加することで、複数の有機塩素化合物を同時に分解する。
【選択図】図2

Description

本発明は、複数の異なる種類の有機塩素化合物を含む絶縁油を無害化処理する方法に関し、詳細には、ポリ塩化ビフェニールおよびトリクロロベンゼン、ならびにテトラクロロエチレンを混在して含む絶縁油を無害化処理する方法に関する。
変圧器、油絶縁ケーブルの油槽、コンデンサ、蛍光灯用安定器などの絶縁油として、鉱油系の絶縁油の他に、ポリ塩化ビフェニール(以下、「PCB」と略称する。)やトリクロロベンゼン(以下、「TCB」と略称する。)等の有機塩素化合物が使用されてきた。
また、PCB等の有機塩素化合物を絶縁油として使用した機器において、PCB等を抜き出した後、テトラクロロエチレン(以下、「TCE」と略称する。)で機器内部を洗浄した後、鉱油系の絶縁油を充填して使用する場合があったことが考えられる。こうした機器から発生する使用済みの鉱油系の絶縁油中には、機器内部の付属部材の間隙等に、微量のPCB等に加えて洗浄に使用したTCEが残留し、これらの有機塩素化合物が混在して含有されていることがある。
各種有機塩素化合物のなかでも、PCBは人体を含む生体に極めて有害であることから、1973年に特定化学物質に指定され、その製造、輸入、使用が禁止されている。しかしながら、PCBは、高温分解では強毒性のダイオキシン類である塩素化ジベンゾ−p−ダイオキシン(PCDD)とジベンゾフラン(PCDF)が副生するため、PCBを安全に分解することは技術的に難しく、適切な廃棄方法が決まらないまま数万トンのPCBあるいはPCBを含有する廃油が未処理の状態で残された状況にあり、永年にわたりPCBの安全で効率的な各種処理法が検討されてきた。
一方、TCEも、1989年に第2種特定化学物質に指定されており、環境への排出等が規制されている。したがって、PCB等を含む絶縁油を無害化処理するに当たっては、混在するTCEについても、あわせて無害化処理する必要がある。
絶縁油等に含まれるPCBの無害化処理については、各種の方法が提案されており、例えば、水及び酸化剤を入れたオートクレーブ中に、PCBを含有する絶縁油を入れたまま柱上変圧器等の機器を収納し、オートクレーブを加熱して、水を超臨界状態にしてPCBを酸化分解する方法や、あるいは柱上変圧器等から抜き出した絶縁油に、アルカリ金属ターシャリーブトキシド等を添加し、加熱攪拌してPCBを分解する方法がある。
また、水素供与体とアルカリの存在下に、金属担持触媒と接触させてPCB等の有機塩素化合物を分解処理する方法が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。特許文献1では、柱上変圧器等の容器内に充填又は保存されたPCBやダイオキシン類を含む油の無害化処理方法として、当該油にイソプロピルアルコール等の水素供与体と苛性カリ等のアルカリ化合物を添加し、パラジウムや白金等の金属を活性炭等に担持した触媒を充填した触媒槽中を循環させることで、有機塩素化合物を分解する方法が開示されている。
さらに、特許文献2では、特許文献1の方法を改良して、2段階で有機塩素化合物を分解する方法が開示されている。この方法では、特許文献1と同じく、PCBやダイオキシン類を含む油に、イソプロピルアルコール等の水素供与体と苛性カリ等のアルカリ化合物を添加し、パラジウムや白金等の金属を活性炭等に担持した触媒を充填した触媒槽に流通させて有機塩素化合物を分解し、次いで、別途準備された第2の触媒反応装置に流通させることで効果的に有機塩素化合物を分解する。この第2の触媒反応装置は、マイクロ波発生装置内に触媒槽が設置され、この触媒槽中に同じ触媒が充填された構造の装置で、マイクロ波を照射することで触媒を効果的に加熱することで、有機塩素化合物の分解が促進されるというものである。
しかしながら、これらの方法はいずれも、絶縁油等に含まれるPCBやダイオキシン類の分解を目的とするものである。
TCEの分解あるいは無害化については、土壌あるいは排水中に含まれる汚染物質としてのTCEを分解する方法が、数多く提案されている。例えば、微生物を用いて分解する方法(特許文献3、4参照)や鉄粉等を触媒として過酸化水素と硫酸を添加して分解する方法(特許文献5参照)、あるいは、アルミニウムと塩化水素を含む酸性の水溶液中で分解する方法(特許文献6参照)等が開示されている。
さらには、TCEに塩素ガス等の分解促進ガスを混合して、光を照射してTCEを分解してモノクロロ酢酸等のハロ酢酸に変換し、生成したハロ酢酸を高温のアルカリ水に吸収させて分解するTCEの分解処理法(特許文献7参照)なども開示されている。
こうしたTCEの分解方法は、いずれも土壌や汚水処理で発生する汚泥あるいは地下水等に含まれるTCEを無害化処理するものであり、PCBと混在して含まれるTCEを、PCBとともに無害化処理する方法を開示するものではない。
特開2005−253884号公報 特許第3970286号公報 特開2005−058838号公報 特開2000−189944号公報 特開2002−254060号公報 特開2004−195163号公報 特開2006−256974号公報
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、変圧器や油絶縁ケーブルの油槽等の機器の絶縁油で、PCBやTCBに加えて、TCEが混在して存在する絶縁油を処理して、PCB及びTCB並びにTCEを同時に分解処理する、混在する有機塩素化合物の無害化処理方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した。その結果、芳香族塩素化合物(PCB、TCB)と脂肪族塩素化合物(TCE)を、混在して含む絶縁油に、イソプロピルアルコール等の水素供与体とアルカリ化合物の混合溶液を添加し、得られた混合液(以下、「処理液」と称する。)を、触媒を充填した触媒充填装置に流通させながら、触媒充填装置内の処理液にマイクロ波を照射することで、PCB、TCB及びTCEを同時に分解できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)ポリ塩化ビフェニール、トリクロロベンゼン及びテトラクロロエチレンを混在して含有する絶縁油に、水素供与体とアルカリ化合物の混合溶液を添加して処理液とし、該処理液を触媒を充填した触媒充填装置に流通させながら、該触媒充填装置内の処理液にマイクロ波を照射し、ポリ塩化ビフェニール、トリクロロベンゼン及びテトラクロロエチレンを同時に分解することを特徴とする、混在する有機塩素化合物の無害化処理方法。
(2)前記水素供与体を絶縁油に対して質量比で3倍以上用いる、前記(1)に記載の混在する有機塩素化合物の無害化処理方法。
(3)前記水素供与体とアルカリ化合物の混合溶液を分割添加する無害化処理方法であり、テトラクロロエチレンの濃度が低下した時点で、該混合溶液を再度添加する、前記(1)に記載の混在する有機塩素化合物の無害化処理方法。
(4)前記水素供与体が、複素環式化合物、アミン系化合物、アルコール系化合物、ケトン系化合物及び脂環式化合物からなる群から選ばれた少なくとも一つの化合物である、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の混在する有機塩素化合物の無害化処理方法。
(5)前記アルカリ化合物が、苛性ソーダ、苛性カリ、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド及び水酸化カルシウムからなる群から選ばれた少なくとも一つの化合物である、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の混在する有機塩素化合物の無害化処理方法。
(6)前記触媒が、炭素結晶化合物、金属担持炭素化合物、金属担持酸化物及び金属担持複合酸化物からなる群から選ばれた少なくとも一つの化合物である、前記(1)〜(5)のいずれかに記載の混在する有機塩素化合物の無害化処理方法。
本発明の混在する有機塩素化合物の無害化処理方法によれば、PCB、TCB及びTCEを混在して含む絶縁油に対して、混在する複数の種類の有機塩素化合物を同時に分解することができる。
また、処理時に有害なダイオキシン類が副生しないので安全であり、さらに、常圧下でも実施できるので、移動し難い大型機器であっても、工場や変圧器貯蔵所などの現場で無害化処理することができ、実用的価値は極めて大きい。
本発明の実施例で用いた装置を説明する概略図である。 本発明の実施例1の結果を示すグラフである。 本発明の実施例2の結果を示すグラフである。 本発明の実施例3の結果を示すグラフである。
以下、本発明について、詳細に説明する。
本発明の方法は、PCBやTCBを絶縁油として使用した変圧器や油絶縁ケーブルの油槽等の機器で、PCBやTCBを抜き出した後、TCEを用いて洗浄し、その後鉱油系の絶縁油を入れて使用した機器等から発生した廃絶縁油で、機器の内壁や機器内の付属部材中に取り切れずに残留したPCBやTCBとともにTCEが混在して含有されている廃絶縁油等に、好適に適用することができる。当該絶縁油は、更に、ジクロロベンゼン(DCB)等のポリクロロベンゼン、ダイオキシン類を含むこともある。
本発明においては、PCB、TCB及びTCEを混在して含む絶縁油に、水素供与体とアルカリ化合物の混合溶液を添加して処理液とし、該処理液を触媒を充填した触媒装置に流通させながら、処理液にマイクロ波を照射して加熱し、PCB、TCB及びTCEを分解する。
本発明において用いる水素供与体としては、複素環式化合物、アミン系化合物、アルコール系化合物、ケトン系化合物、脂環式化合物等が挙げられる。これらの化合物の中でも、安全性の観点より、アルコール系化合物、ケトン系化合物、脂環式化合物が好ましく、特に、安全性が高く、低コストで入手可能であり、しかも反応制御が容易で、有機塩素化合物分解効率が高い点より、アルコール系化合物が好ましい。これらの水素供与体は、単独で用いても2種以上を任意に組合せて用いてもよい。
上記したアルコール系化合物としては、脂肪族アルコール、芳香族アルコールのいずれであってもよく、具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール等の脂肪族アルコール、シクロプロピルアルコール、シクロブチルアルコール、シクロペンチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、シクロヘプチルアルコール、シクロオクチルアルコール等の脂環式アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、デカリンジオール等の多価アルコール等が挙げられる。これらの中でも、分解効率の点から2−プロパノール(イソプロピルアルコール)、シクロヘキサノールが好ましく、2−プロパノール(イソプロピルアルコール)が特に好ましい。
また、アルカリ化合物としては、有機塩素化合物の脱塩素化反応を促進しうるものであれば限定されないが、脱塩素化効率を高める観点より、苛性ソーダ、苛性カリ、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド、水酸化カルシウム等が好ましく用いられる。中でも、コストやハンドリング性の観点より、苛性ソーダ、苛性カリが特に好ましい。アルカリ化合物は、単独で用いても2種以上を任意に組合せて用いてもよい。アルカリ化合物は有機塩素化合物に対し、1.0〜1.5倍当量以上用いればよい。
混合溶液における水素供与体とアルカリ化合物の割合は任意であるが、アルカリ化合物濃度が低すぎると有機塩素化合物の分解が進みにくくなり、高すぎても分解速度が平衡に達して経済性が悪くなる。そのため、水素供与体とアルカリ化合物の合計質量に対するアルカリ化合物の濃度が、0.1〜20質量%となる範囲で選択するのが好ましい。水素供与体とアルカリ化合物の混合溶液は、あらかじめ、アルカリ化合物を水素供与体に溶解させたものを使用することが好ましい。
本発明において触媒充填装置に充填する触媒としては、有機塩素化合物(特に、PCB)の脱塩素化反応を促進しうるものであれば限定されないが、無機系触媒は触媒寿命が長く、かつ、アルカリ化合物存在下でも安定であるため、好ましい。無機系触媒としては、脱塩素化効率を高める観点より、複合金属酸化物、炭素結晶化合物、金属担持炭素化合物、金属担持酸化物、金属担持複合金属酸化物及び金属酸化物等が好ましく用いられる。中でも、アルカリ性雰囲気で安定性が高い点より、炭素結晶化合物、金属担持炭素化合物、金属担持酸化物及び金属担持複合酸化物が好ましく、特に金属担持炭素化合物が好ましい。これらの触媒は、単独で又は2種以上を任意に組合せて用いることができる。また、使用後の再生触媒を使用してもよい。
上記の金属担持炭素化合物としては、金属を担持した炭素化合物であればよく、その金属担持量は、触媒全量に対して0.1〜20質量%、より好ましくは0.1〜10質量%である。担持される金属としては、例えば、鉄、銀、白金、ルテニウム、パラジウム、ロジウム等が挙げられ、脱塩素化効率を高める観点からは、パラジウム、ルテニウム、白金が好ましい。金属担持炭素化合物の具体例としては、例えば、Pd/C(パラジウム担持炭素化合物)、Ru/C(ルテニウム担持炭素化合物)、Pt/C(白金担持炭素化合物)等が挙げられる。
触媒の形状は特に限定されないが、粒状の場合はカラムの上下をメッシュ等で固定する必要があり、触媒粒子径は75μm〜10mmが好ましい。10mmを超える場合は比表面積が不足し、75μm未満の場合はメッシュが詰まり差圧が高くなる。触媒粒子は、できるだけ粒子径のそろったものがよい。
本発明において、水素供与体は、PCB、TCB及びTCEを含む絶縁油の総量に対して、質量比で3倍以上用いるのがよく、更に好ましくは4倍以上用いるのがよい。水素供与体を上記の絶縁油に対して、質量比で3倍以上用いることで、PCB、TCB及びTCEが同時に効果的に分解される。
水素供与体の使用量に上限はないが、多すぎても処理液の総量が増えるばかりで、有機塩素化合物の分解効率は上がらないため不経済となる。
また、本発明においては、水素供与体とアルカリ化合物の混合液を、分割して添加することもできる。混在する有機塩素化合物に占めるPCBの割合が多い絶縁油は、経年による劣化物が原因ではないかと推定されるが、絶縁油粘度が上昇している傾向にあるため、上記の混合液を分割して添加することで、使用する水素供与体の総量を少なくすることができる。
水素供与体とアルカリ化合物の混合溶液を分割で添加する場合には、最初の添加時には、水素供与体を、処理する絶縁油等に対して重量で約2倍程度使用する。この方法の場合には、その理由の詳細は不明であるが、TCEの分解がPCBに先行して起こり、TCEが分解される間、PCBの分解はそれほど進行しない。そして、TCEの分解が進行した後に、再度水素供与体とアルカリ化合物の混合液を添加することで、PCBの分解を進行させることができる。
水素供与体とアルカリ化合物の混合液の再添加は、TCEが分解され、濃度が約5ppm以下に低下した時点で行うことが好ましい。TCEの濃度が高い段階で、水素供与体とアルカリ化合物の混合液を再添加しても、PCBの分解が効果的に進行せず好ましくない。また、TCEの分解がさらに進行してから再添加した場合には、処理に要する時間が全体として長くなるため好ましくない。
再添加する水素供与体とアルカリ化合物の混合液における、水素供与体の量は、処理する絶縁油に対して質量で0.2〜1倍、好ましくは0.2〜0.5倍である。またアルカリ化合物の量は、混合液中5〜20質量%、好ましくは5〜15質量%である。
処理液が触媒充填装置を流通する際には、マイクロ波発生装置から、処理液にマイクロ波を照射する。マイクロ波の照射は、連続照射でも断続照射でもよいが、処理液の温度が上昇しすぎるのを回避すると共に、運転の安全性を確保するためには、断続的に照射するのがよいが、処理液温度が一定に保持されるように温度制御しながら、マイクロ波を連続照射することもできる。
照射するマイクロ波の出力、周波数は、設定する分解条件に応じて適宜決定することができるが、周波数1〜300GHzのマイクロ波を電気的に制御しながら10W〜20kWの範囲で照射するのが好ましい。
有機塩素化合物の分解反応を行う際の、処理液の液温は、常温以上、60℃以下が好ましく、常温未満ではPCBの分解が遅いため処理時間が長くなり、60℃を超えると副生物が生成しやすくなる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。しかしながら、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
PCB、TCB及びTCEを含む鉱物系絶縁油を試料油として用いた。
試料油中に含まれる有機塩素化合物の量を、GC−MSにより測定したところ、PCBは174.2ppm、TCBは75.4ppm、TCEは2028.0ppmであった。
この試料油について、図1に示す装置を用いて、混在する有機塩素化合物の分解を実施した。図1に示す装置は、試料油に水素供与体とアルカリ化合物の混合液2を添加し処理液3を調製する容器1、容器1から処理液を抜き出すポンプ4、触媒を充填した触媒充填装置6を内蔵したマイクロ波装置7および容器1と触媒充填装置6を結ぶライン5および8とから構成されており、処理液3は、容器1と触媒充填装置6間を循環し、この間触媒充填装置を通過する際に、マイクロ波を照射される仕組みになっている。
容器1に試料油2851gを入れ、別途調製したイソプロピルアルコール13379g(17000ml)に苛性カリ178.5gを溶解した混合液2を、容器1中の試料油に加え、処理液3を調製した。処理液3を、触媒を充填した触媒充填装置6に流通させながら、マイクロ波装置よりマイクロ波を照射して、処理液の液温を60℃に制御しながら、有機塩素化合物の分解を行った。なお、触媒充填装置には、触媒としてPd/C(Pd担持率5質量%)2000gを充填した。
適宜、GC−MSにより、PCB、TCB及びTCEの濃度を測定した。マイクロ波照射の累積時間と、PCB、TCB及びTCEの分解状況の関係を示すグラフを図2に示す。
図2より、マイクロ波の照射時間4時間で、PCB、TCB及びTCEの何れも、濃度が1ppm程度まで減少し、8時間で何れも0.5ppm以下にまで分解されたことがわかる。
(実施例2)
実施例1とは異なるPCB、TCB及びTCEを含む鉱油系絶縁油を試料油として用いた。試料油中のPCBは96.1ppm、TCBは39.5ppm、TCEは1025.0ppmであった。
この試料油を2475g用いた以外は、実施例1と同様にして、有機塩素化合物の分解を行い、適宜GC−MSにより、PCB、TCB及びTCEの濃度を測定した。マイクロ波照射の累積時間と、PCB、TCB及びTCEの分解状況の関係を示すグラフを図3に示す。
図3より、マイクロ波の照射時間4時間で、TCBは0.5ppm以下にまで分解し、TCEは約1ppmにまで分解することがわかる。そしてPCBは8時間で0.5ppm以下にまで分解されたことがわかる。
(実施例3)
実施例1あるいは2とは異なる、PCB、TCB及びTCEを含む鉱油系絶縁油を試料油として用いた。試料油中のPCBは331.8ppm、TCBは139.6ppm、TCEは3794.0ppmであった。
この試料油5701gを容器1に入れ、イソプロピルアルコール11018g(14000ml)と苛性カリ178.5gからなる混合溶液を添加し、処理液3を調製した。処理液3を、Pd/C(Pd担持率5質量%)2000gを充填した触媒充填装置に流通させ、有機塩素化合物の分解を行った。適宜、GC−MSにて、PCB、TCBおよびTCEの測定を行い、マイクロ波の累積照射時間28時間で、TCEの濃度が1.85ppmになった時点で、イソプロピルアルコール1180g(1500ml)と苛性カリ180gからなる混合液を添加し、分解反応を継続した。
マイクロ波の累積照射時間と、PCB、TCBおよびTCEの分解状況を示すグラフを図4に示す。
図4より、マイクロ波照射時間28時間までは、主にTCEが分解し、イソプロピルアルコールと苛性カリの混合溶液を再添加することで、PCBとTCBの分解が進行し、TCEは36時間で、TCBは40時間で、そしてPCBは76時間で0.5ppm以下に分解されたことがわかる。
本発明の無害化処理方法を適用することにより、柱上変圧器、大型変圧器、油絶縁ケーブルの油槽の他、蛍光灯安定器等の電気機器に使用されてきた、PCB、TCB及びTCEなど複数の種類の有機塩素化合物を混在して含有する絶縁油を、効果的に無害化することができる。
1 容器
2 混合溶液
3 処理液
4 ポンプ
5 供給ライン
6 触媒充填装置
7 マイクロ波装置
8 回収ライン
9 マグネティックスターラー

Claims (6)

  1. ポリ塩化ビフェニール、トリクロロベンゼン及びテトラクロロエチレンを混在して含有する絶縁油に、水素供与体とアルカリ化合物の混合溶液を添加して処理液とし、該処理液を触媒を充填した触媒充填装置に流通させながら、該触媒充填装置内の処理液にマイクロ波を照射し、ポリ塩化ビフェニール、トリクロロベンゼン及びテトラクロロエチレンを同時に分解することを特徴とする、混在する有機塩素化合物の無害化処理方法。
  2. 前記水素供与体を絶縁油に対して質量比で3倍以上用いる、請求項1に記載の混在する有機塩素化合物の無害化処理方法。
  3. 前記水素供与体とアルカリ化合物の混合溶液を分割添加する無害化処理方法であり、テトラクロロエチレンの濃度が低下した時点で、該混合溶液を再度添加する、請求項1に記載の混在する有機塩素化合物の無害化処理方法。
  4. 前記水素供与体が、複素環式化合物、アミン系化合物、アルコール系化合物、ケトン系化合物及び脂環式化合物からなる群から選ばれた少なくとも一つの化合物である、請求項1〜3のいずれかに記載の混在する有機塩素化合物の無害化処理方法。
  5. 前記アルカリ化合物が、苛性ソーダ、苛性カリ、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド及び水酸化カルシウムからなる群から選ばれた少なくとも一つの化合物である、請求項1〜4のいずれかに記載の混在する有機塩素化合物の無害化処理方法。
  6. 前記触媒が、炭素結晶化合物、金属担持炭素化合物、金属担持酸化物及び金属担持複合酸化物からなる群から選ばれた少なくとも一つの化合物である、請求項1〜5のいずれかに記載の混在する有機塩素化合物の無害化処理方法。
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