JP2017205742A - ポリ塩化ビフェニル汚染機器用洗浄液の浄化方法及び汚染機器の洗浄方法 - Google Patents

ポリ塩化ビフェニル汚染機器用洗浄液の浄化方法及び汚染機器の洗浄方法 Download PDF

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茂 大槻
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悟 金森
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耕治 天野
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鉄太郎 古橋
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Abstract

【課題】PCB汚染機器用洗浄液として使用することにより褐色ないし濃褐色に変化し、水分及び油分の混入によりPCB分解性能が低下したイソプロピルアルコールの分解性能を向上させることが可能な汚染機器用洗浄液の浄化方法、及び洗浄方法を提供する。【解決手段】ポリ塩化ビフェニル汚染機器の内部を洗浄液で洗浄する工程と、ポリ塩化ビフェニルを含有する前記洗浄液を、担体に金属を担持させた触媒充填カラムに循環させながら、前記洗浄液中のポリ塩化ビフェニルを脱塩素化する工程とで使用され、少なくとも1回の洗浄工程と脱塩素化工程を経た劣化イソプロピルアルコールを、疎水性吸着剤、親水性吸着剤またはこれらを組合せた吸着剤に接触させ、劣化イソプロピルアルコール中の油分及び/または着色成分を除去する汚染機器用洗浄液の浄化方法、及び前記方法で浄化した浄化イソプロピルアルコールを用いる汚染機器の洗浄方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリ塩化ビフェニル(以下、PCBと略記することがある)を含有する絶縁油が充填されていた汚染機器の洗浄に使用された汚染機器用洗浄液の浄化方法、及び汚染機器の洗浄方法に関する。
各種有機塩素化合物のなかでも、PCBは、人体を含む生体に極めて有害であることから、PCBを含有する絶縁油の入った変圧器等は、PCB特別措置法により、適正な管理・保管が義務付けられている。それらの絶縁油及びPCBで汚染された機器については、国や電力会社等により設けられた処理施設で順次無害化処理が実施されている。
PCBを含有する絶縁油が充填されていた変圧器の無害化処理方法としては、変圧器の内部から絶縁油を抜き取り、1)絶縁油を抜き取った変圧器を解体して鉄芯とコイル、木、紙等の部材を分離し、変圧器の容器及び分離した鉄芯や部材を個別に無害化処理する方法、2)絶縁油を抜き取った変圧器を丸ごと、加熱あるいは真空加熱し、PCBを蒸発させて除去する方法、3)絶縁油を抜き取った変圧器を解体せずに変圧器全体を洗浄液に浸漬して容器と部材を同時に洗浄する方法、等が知られている。
しかし、変圧器は複雑な内部構造を有しているため、絶縁油を完全に抜き取ることは事実上不可能であることから、1)の方法は、変圧器の解体に密閉空間での慎重な作業が必要とされるため、無害化処理に時間を要し作業者への負担も大きい。2)の方法は、変圧器を解体せずにPCBを無害化できる利点はあるが、変圧器を丸ごと収納する大規模な加熱炉や真空加熱室が必要とされ、かつ真空加熱の場合260〜600℃、加熱炉の場合850℃以上の高温加熱が必要とされる。3)の方法は、解体時に部材が無害化されているため、作業上の制限も少なく、部材の洗浄により発生する洗浄液の処理が不要という利点もあるが、大量の洗浄液が必要なだけでなく、1万L級の大型変圧器を洗浄する場合には大規模な洗浄槽が必要になる。
そこで、大型変圧器の無害化処理を考慮した方法として、変圧器全体を洗浄液に浸漬するのではなく、絶縁油を抜き取った変圧器の内部に、コイル部が完全に浸るまで洗浄液を充填し、洗浄液を循環させながら絶縁油とPCBを洗浄液中に溶出させる方法が提案されている(例えば、特許文献1〜5を参照)。この方法によれば、変圧器を解体する前に容器と鉄芯と部材を同時に無害化処理できる。洗浄液としてイソプロピルアルコールを用い、PCBを溶出させた洗浄液を、活性炭等の担体にパラジウム等の金属を担持させた触媒を充填してなる触媒層に流通させ、該触媒層にマイクロ波を照射して洗浄液中のPCBを脱塩素化分解するオンサイト型マイクロ波抽出分解法は、微量のPCB汚染機器の無害化処理システムとして運転されている。
特開2009−233654号公報 特開2009−183838号公報 特開2010−269283号公報 特開2010−274170号公報 特開2011−125795号公報
ところが、洗浄液であるイソプロピルアルコールは使用するに従って劣化し、褐色ないし濃褐色に変化する。現状では、劣化イソプロピルアルコールを使用すると、PCB分解性能が低下してしまい、PCB濃度が処理基準値(0.5ppm以下)に到達する迄に時間を要するので、イソプロピルアルコールの劣化状況を見ながら、新品のイソプロピルアルコールと随時交換している。そのため、洗浄液の交換がPCB処理コストを上昇させる原因となっている。
PCB分解性能の低下原因は、イソプロピルアルコール中の水分や絶縁油の酸化劣化物等の親水性成分が触媒表面に付着し、親油性成分であるPCBが触媒に接近できなくなるためと推定される。
水分の混入は、PCBの脱塩素化によって水が副生するためであり、使用回数が増えるに従いイソプロピルアルコール中の水分が増加することになる。
Figure 2017205742
実際の汚染機器の処理では、撤去された変圧器から絶縁油を抜油した後に保管するが、完全には抜油しきれず、紙、木、鉄心に浸み込んでいた絶縁油は、保管中に垂れ落ちて変圧器の底にたまる。保管中に変圧器の底にたまった絶縁油(当該絶縁油を「ヒール油」と称する)では、水分の混入や酸化劣化が生ずると推定されている。新品の絶縁油は無色透明であるが、ヒール油は褐色状を呈している。着色は酸化劣化物と推定されるが明らかではない。つまり、実際の汚染機器の処理では、ヒール油がイソプロピルアルコールに混入することにより、イソプロピルアルコールの透明性が低下する現象が見られ、洗浄液の別の劣化原因はヒール油の混入と推定されている。
本発明は、前記の課題に鑑みてなされたものであり、PCB汚染機器用洗浄液として使用することにより褐色ないし濃褐色に変化し、水分及び油分の混入によりPCB分解性能が低下したイソプロピルアルコールの分解性能を向上させることが可能な、汚染機器用洗浄液の浄化方法、及び汚染機器の洗浄方法を提供することを課題とする。
本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、使用するに従って増加するイソプロピルアルコール中のヒール油(油分)や汚れ(着色成分)を除去することにより、イソプロピルアルコールを浄化でき、結果としてPCB分解性能が向上する、との知見に基づいてなされたものである。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
(1)ポリ塩化ビフェニル汚染機器の内部を洗浄液で洗浄する工程と、ポリ塩化ビフェニルを含有する前記洗浄液を、担体に金属を担持させた触媒充填カラムに循環させながら、前記洗浄液中のポリ塩化ビフェニルを脱塩素化する工程とで使用され、少なくとも1回の洗浄工程と脱塩素化工程とを経た劣化イソプロピルアルコールを、疎水性吸着剤、親水性吸着剤またはこれらを組合せた吸着剤に接触させ、劣化イソプロピルアルコール中の油分及び/または着色成分を除去することを特徴とする汚染機器用洗浄液の浄化方法
(2)劣化イソプロピルアルコールが、洗浄工程と脱塩素化工程とを2回以上経たものである、前記(1)に記載の汚染機器用洗浄液の浄化方法。
(3)吸着剤が、疎水性吸着性と親水性吸着剤との組合せである、前記(1)または(2)に記載の汚染機器用洗浄液の浄化方法。
(4)劣化イソプロピルアルコールを疎水性吸着剤で処理した後、親水性吸着剤で処理する、前記(3)に記載の汚染機器用洗浄液の浄化方法。
(5)疎水性吸着剤が活性炭で、親水性吸着剤がシリカゲルである、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の汚染機器用洗浄液の浄化方法。
(6)ポリ塩化ビフェニル汚染機器の内部を洗浄液で洗浄する工程と、
ポリ塩化ビフェニルを含有する洗浄液を、担体に金属を担持させた触媒充填カラムに循環させながら、前記洗浄液中のポリ塩化ビフェニルを脱塩素化する工程と、
を有し、洗浄液として、前記(1)〜(5)のいずれかの方法で浄化した浄化イソプロピルアルコールを用いることを特徴とする汚染機器の洗浄方法。
本発明によれば、劣化した洗浄液イソプロピルアルコールを、疎水性吸着剤と親水性吸着剤に接触させることにより、使用するに従って混入してくる油分や着色成分を除去することができ、イソプロピルアルコールの濁りや着色を無くすことができる。疎水性吸着剤である活性炭による処理では油分を、親水性吸着剤であるシリカゲルによる処理では着色成分を除去できる。
浄化された洗浄液イソプロピルアルコールを用いることにより、劣化したイソプロピルアルコールを用いた場合に比べてPCB分解性能が向上するため、イソプロピルアルコールの更なる繰り返し使用が可能となり、汚染機器の洗浄に伴うPCB処理コスト削減が期待できる。
本発明において、洗浄対象とする汚染機器としては、PCBを含有する絶縁油が充填されていた変圧器、油絶縁ケーブルの油槽等であって、鉄芯やコイル等の部材が内蔵された状態で絶縁油が抜き取られ、抜き取ることができなかった絶縁油が少量残っている状態にあるもの、或いは、予備洗浄後にPCBが少量残っている状態にあるものである。抜き取り方法に限定はなく、排油口抜き、ポンプ上抜き、傾倒排油等の任意の方法であって良い。絶縁油としては、鉱油、アルキルベンゼン、ポリブテン等が挙げられる。
変圧器としては、柱上変圧器や大型変圧器等の公知の変圧器であれば、絶縁油容量に制限はない。なお、本発明において、大型変圧器とは、絶縁油容量が100L〜30万Lのものを言う。
PCBとしては、その種類は特に限定されるものではなく、ダイオキシン類を含有するPCB類や、ジクロルベンゼン、トリクロロベンゼン等の芳香族塩素化合物類を含有するPCB類も含まれる。
本発明において、浄化対象とするイソプロピルアルコールは、PCB汚染機器の内部を洗浄液で洗浄する工程において洗浄液として用いた後、ポリ塩化ビフェニルを含有する前記洗浄液を、担体に金属を担持させた触媒を充填したカラムに循環させながら、前記洗浄液中のポリ塩化ビフェニルを脱塩素化する工程とで使用され、該脱塩素化工程において水素供与性溶媒として用いることで、少なくとも1回の洗浄工程と脱塩素化工程を経たイソプロピルアルコールである。本発明では、当該イソプロピルアルコールを「劣化イソプロピルアルコール」と称する。なお、上記の洗浄工程と脱塩素化工程は、後記の浄化イソプロピルアルコールを使用する洗浄方法の場合と同様である。
PCB汚染機器の絶縁油容量や残油量にもよるが、処理コスト削減の観点より、通常は洗浄工程と脱塩素化工程の回数が各2回以上であることが好ましく、より好ましくは3〜4回のイソプロピルアルコールを浄化対象とする。洗浄工程と脱塩素化工程を各2回以上経た劣化イソプロピルアルコール中には通常、ヒール油等の油分が1〜2質量%程度、水分が0.4〜0.5質量%程度含まれていることが多い。劣化イソプロピルアルコールの光透過率(波長420nm)は、65〜85%程度であることが多い。
本発明の浄化方法では、劣化イソプロピルアルコールを、疎水性吸着剤、親水性吸着剤またはこれらを組合せた吸着剤に接触させる。接触方法は、吸着剤を劣化イソプロピルアルコール中に添加し撹拌した後に濾過する方法、吸着剤を充填したカラムに劣化イソプロピルアルコールを流通させて処理する方法等、公知の方法を採用することができるが、カラムに充填して用いることが好ましい。接触時間や接触温度は特に限定されるものではなく、常温〜60℃の範囲で行うことができる。
吸着剤の使用量は、疎水性吸着剤では、処理する劣化イソプロピルアルコールの1〜8質量%程度の少量で良い。1質量%未満であると、油分を所定量まで十分除去できないが、8質量%を超えると、吸着剤自体がPCB処理コストに影響を与える。この量であれば、例えば、劣化イソプロピルアルコール中の油分を0.5〜0.8質量%以下にまで減少させることができる。
親水性吸着剤では、吸着剤の使用量は、処理する劣化イソプロピルアルコールの0.2〜5質量%程度の少量でよい。0.2質量%未満であると、着色成分を所定量まで十分除去できないため、イソプロピルアルコールの光透過率(波長420nm)が向上しない。5質量%を超えると、吸着剤自体がPCB処理コストに影響を与える。この量であれば、例えば、劣化イソプロピルアルコール中の着色成分を減少させることで、光透過率(波長420nm)を90%以上にまで向上させることができる。
疎水性吸着剤と親水吸着剤を組合せることは、劣化イソプロピルアルコール中の油分と着色成分を同時に除去することができる点で好ましい。この場合、劣化イソプロピルアルコールを、疎水性吸着剤を充填したカラムに流通させた後、親水性吸着剤を充填したカラムに流通させる方法が良い。粒子径の大きい疎水性吸着剤を上流側、粒子径の小さい親水性吸着剤を下流側にすることで、カラムの詰まりを防止することができるだけでなく、疎水性吸着剤により着色成分の一部を除去する効果も期待できる。疎水性吸着剤と親水性吸着剤は、同じカラムに充填しても良いし、異なるカラムに充填しても良い。
疎水性吸着剤としては、活性炭、活性炭素繊維、疎水性シリカ、疎水性ゼオライト等が挙げられるが、価格及び入手容易性の点より活性炭が好ましい。活性炭は、石炭やヤシ殻を原料とするものを好ましく用いることができる。活性炭の形状としては、例えば、粒状活性炭、球状活性炭、ハニカム状活性炭等が挙げられるが、これらの活性炭の中でも、油分の吸着率が高い点より、粒状活性炭及び球状活性炭が好ましい。粒状活性炭及び球状活性炭の場合、粒子径は0.4〜5mm程度が好ましく、より好ましくは0.4〜3mm程度である。5mmを超える場合は、比表面積が減少することで吸着率が低下する傾向があり、0.4mm未満の場合は、カラムに充填させた際に詰りやすくなる傾向がある。活性炭の比表面積(BET窒素吸着法)は、900m/g以上であることが好ましく、より好ましくは900〜1,500m/g、特に好ましくは1,000〜1,200m/gである。活性炭の比表面積が900m/g以上であると、多孔質になることで油分の吸着率が向上する。また、活性炭の比表面積が1,500m/gを超えると、多孔質化によって活性炭が脆くなり濾過効率が低下する恐れがある。
親水性吸着剤としては、シリカゲル、活性アルミナ、ゼオライト等が挙げられるが、シリカゲルが好ましい。シリカゲルの形状としては、粒状、球状、微粉状等が挙げられるが、着色成分の吸着性能に優れている点より、微粉状シリカゲルが好ましい。シリカゲルの場合、平均粒子径は20μm〜3mmが好ましく、より好ましくは50μm〜1mmである。平均粒子径が小さすぎると濾過効率が悪くなり、平均粒子径が大きすぎると着色成分の吸着率が低下する。
次に、浄化イソプロピルアルコールを使用した汚染機器の洗浄方法について説明する。本発明の汚染機器の洗浄方法は、PCB汚染機器の内部を洗浄液で洗浄する工程と、PCBを含有する前記洗浄液を、担体に金属を担持させた触媒充填カラムに循環させながら、該洗浄液中のPCBを脱塩素化する工程と、を有している。洗浄液として、本発明の方法で浄化した浄化イソプロピルアルコールを使用するものである。
[洗浄工程]
浄化イソプロピルアルコール(洗浄液)によるポリ塩化ビフェニル汚染機器の洗浄方法は、公知の方法であって良い。例えば、絶縁油を抜き取った変圧器の内部に、コイル部が完全に浸るまで洗浄液を充填し、洗浄液を循環させながら絶縁油とPCBを洗浄液中に溶出させる方法が挙げられる。必要により、ノズルによるスプレー洗浄等を併用しても良い。洗浄時間は変圧器の容量により異なるが、通常、10〜15日である。
洗浄液には浄化イソプロピルアルコールを使用する。但し、浄化イソプロピルアルコールの油分、水分、光透過率等を勘案して、新品のイソプロピルアルコールを混合使用することもできる。混合使用する場合は、浄化イソプロピルアルコールを全体の70%以上とするのが良い。なお、洗浄液には、絶縁油、PCB、水分、イソプロピルアルコール以外の化合物、例えば、複素環式化合物、アミン系化合物、アルコール系化合物、ケトン系化合物及び脂環式化合物等が含まれていても良い。
洗浄液には、後流の脱塩素化工程で、PCBから脱離した塩素を捕捉するためのアルカリ化合物を添加しておいても良い。アルカリ化合物としては、脱塩素化効率が高く、低コストで入手可能で、ハンドリング性が良く、イソプロピルアルコールへの溶解性に優れている点より、NaOHまたはKOHが好ましい。アルカリ化合物は単独で用いても良いし2種以上を併用しても良い。アルカリ化合物は、洗浄液に対して0.1〜0.3%(wt/vol)使用することが好ましく、より好ましくは0.15〜0.2%(wt/vol)である。アルカリ化合物が少なすぎるとPCBの脱塩素化反応が進行し難くなり、多すぎても脱塩素化効率が向上しないため不経済となる。
[脱塩素化工程]
脱塩素化工程では、洗浄工程で得られた、PCB及び絶縁油を溶出させた洗浄液に、PCBから脱離した塩素を捕捉するために、上記のアルカリ化合物を添加しても良いが、洗浄液に既にアルカリ化合物を添加してある場合には省略することができる。脱塩素化工程におけるアルカリ化合物の濃度は、洗浄液に対して0.1〜3.0%(wt/vol)が好ましく、より好ましくは0.15〜2.0%(wt/vol)である。やはり、アルカリ化合物が少なすぎるとPCBの脱塩素化反応が進行し難くなり、多すぎても脱塩素化効率が向上しないため不経済となる。
脱塩素化工程では、洗浄液として用いたイソプロピルアルコールは、水素供与体として作用する。イソプロピルアルコールは、安全性面、コスト面、PCBの分解効率、反応制御の容易性の点で優れている。
脱塩素化工程では、PCBや絶縁油等を含有する洗浄液を、担体に金属を担持させた触媒を充填したカラムに循環させながら、該洗浄液中のPCBを脱塩素化する。担体としては活性炭が好ましく、担持させる金属としては、白金、ルテニウム、パラジウム、ロジウム等の貴金属が好ましい。脱塩素化効率を高める観点からは、パラジウム、ルテニウム、白金がより好ましく、特にパラジウムが好ましい。金属の担持量は、触媒全量に対する割合で、1〜20質量%が好ましく、より好ましくは2〜10質量%である。
PCBの脱塩素化(PCB分解)は、PCBや絶縁油等を含有する洗浄液を、触媒充填カラムに流通させながら、触媒と洗浄液を加熱することにより実施される。加熱温度は、30〜60℃の範囲が好ましい。加熱温度が高い程、PCBの脱塩素化は促進されるが、一方で加熱温度が高くなる程、ダイオキシン類が生成し易くなる。加熱方法としては、マイクロ波照射による加熱が好ましい。マイクロ波を用いることにより、触媒を内部から効果的に加熱することができ、また加熱装置をコンパクトにすることができる。マイクロ波の出力は、電気的に制御しながら10W〜20kWの範囲とすることが望ましく、マイクロ波の周波数は0.5〜10GHzが望ましい。マイクロ波の照射は、触媒充填カラムを流通する洗浄液の液温により、電気的に制御しながら連続的または間欠的に行い、触媒充填カラムを流通する洗浄液の温度を所定範囲に制御するのが良い。マイクロ波照射による方法以外でも、マイクロ波を使用せずに、常温、常圧で放置して分解する方法を採用しても良い。また、マイクロ波照射による加熱と常温、常圧での放置とを併用しても良い。
脱塩素化工程においては、GC−MS等の公知の分析装置を用いて、洗浄液中のPCB濃度を測定することにより、PCB分解性能とイソプロピルアルコールの劣化との関係を把握するのが良い。PCB濃度が処理基準値(0.5ppm)に到達するまでの時間が、予測時間を超える場合には、イソプロピルアルコールが劣化したものとみなせば良い。
脱塩素化工程終了後は、洗浄液を系外に排出し、イソプロピルアルコールを回収する。
回収したイソプロピルアルコールは、洗浄工程及び脱塩素化工程で再使用しても良いし、劣化状況に応じて本発明の浄化方法により浄化しても良い。
洗浄工程及び脱塩素化工程については、特開2011−125795号公報に記載されている装置やシステムを採用することができ、洗浄工程と脱塩素化工程とを連続して行うことも可能である。
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。また、以下の実施例等において、特に言及する場合を除き、「質量%」は「%」と略記する。
[イソプロピルアルコール(IPA)の分析方法]
(a)油分;
IPA中の留分を蒸留装置で除去した後、残渣の重量を測定した。
(b)水分;
カールフィッシャー法で測定した。
(c)光透過率;
デジタル比色計AP−1000M(株式会社アペレ製)を用いて、測定波長420nmでの透過率を測定した。ブランクは新品IPAを使用した。
Figure 2017205742
(実施例1〜5)
劣化イソプロピルアルコール(以下、「劣化IPA)という。)は、群馬リサイクルセンターにおいて、洗浄液ならびに脱塩素化における水素供与性溶媒として、各2回使用したもの(劣化IPA8)を用いた。
内径15mmφ×長さ300mmのガラス製クロマト管の中に、疎水性吸着剤として表1に示す活性炭を10g充填した後、該クロマト管に劣化IPA200mlを入れ、10ml/minの速度で濾過を行った。濾過により得られた浄化IPAの油分、水分、光透過率を測定することにより浄化性能を試験した。
(実施例6〜7)
劣化IPAは、実施例1と同じものを用いた。内径15mmφ×長さ300mmのガラス製クロマト管の中に、親水性吸着剤として表1に示すシリカゲルを表2に示す量、充填した後、該クロマト管に劣化IPA200mlを入れ、10ml/minの速度で濾過を行った。濾過により得られた浄化IPAの油分、水分、光透過率を測定することにより浄化性能を試験した。
(実施例8)
劣化IPAは、実施例1と同じものを用いた。内径15mmφ×長さ300mmのガラス製クロマト管の中に、疎水性吸着剤として活性炭(吸着剤1)10gを充填し、活性炭層の上に、親水性吸着剤としてシリカゲル(吸着剤6)2gを充填した後、該クロマト管に劣化IPA185mlを入れ、10ml/minの速度で濾過を行った。濾過により得られた浄化IPAの油分、水分、光透過率を測定することにより浄化性能を試験した。
実施例1〜8及び比較例1(吸着剤未処理)における性状分析結果を表2に示す。表2の結果より、活性炭により劣化IPA中の油分が除去されるが、活性炭の比表面積が大きい方が汚れの除去性能に優れている(即ち、浄化IPAの光透過率が大きい)こと、シリカゲルにより劣化IPA中の着色成分が除去されることがわかる。また、活性炭とシリカゲルを併用することにより(実施例8)、浄化IPAの光透過率において相乗効果が認められることがわかる。
Figure 2017205742
(実施例9)
劣化IPAは、群馬リサイクルセンターにおいて、洗浄液及び脱塩素化における水素供与性溶媒として、各3回使用されたもの(劣化IPA9)を用いた。内径15mmφ×長さ300mmのガラス製クロマト管の中に、疎水性吸着剤として活性炭(吸着剤4)5g、親水性吸着剤としてシリカゲル(吸着剤6)1gを混合したものを充填した後、該クロマト管に劣化IPA200mlを入れ、10ml/minの速度で濾過を行った。濾過により得られた浄化IPAの油分、水分、光透過率を測定することにより浄化性能を試験した。
(実施例10)
劣化IPAは、実施例9と同じものを用いた。内径15mmφ×長さ300mmのガラス製クロマト管の中に、疎水性吸着剤として活性炭(吸着剤1)を10g充填した後、該クロマト管に劣化IPA200mlを入れ、10ml/minの速度で濾過を行い、濾過により得られた浄化IPAの油分、水分、光透過率を測定した。
実施例9〜10及び比較例2(吸着剤未処理)の性状分析結果を表3に示す。表3の結果より、実施例9、10では、吸着剤未処理に比べて油分が減少し光透過率が向上した。活性炭層のみで処理した場合(実施例10)は、活性炭とシリカゲルで処理した場合(実施例9)に比べて、光透過率が低く着色成分を除去する効果が劣っていた。
Figure 2017205742
(実施例11〜17)
マイクロ波装置内に配設したカラム内に、石炭原料の粒状活性炭(粒径0.425〜1.70mm、窒素吸着法比表面積1070m/g)にPd5%を担持させたPd/C触媒を1g(乾燥重量)仕込んだ。
別に、リービッヒ冷却管、窒素導入管、光ファイバー温度計を備えた内容量200mlの五つ口フラスコに、上記実施例で得た、PCB初濃度約10mg/kgの浄化IPA100ml、KOH1.0gを導入し、マグネチックスターラーで撹拌した。フラスコ内のIPA溶液をポンプで触媒カラムに循環させ、触媒カラムにマイクロ波を照射して60℃に加熱し、マイクロ波反応装置(温度制御盤)を用いて触媒カラムの温度をPID制御しながら連続的に照射して、1時間〜21時間反応させ、PCBを脱塩素化分解した。
フラスコ内のIPA溶液を定期的にサンプリングし、IPA溶液中のPCB濃度を、DB1(J&Wサイエンティフィック製)をキャピラリーカラムとする(株)島津製作所製のガスクロマトグラフィー質量分析計QP5050AW(「GC−MS」)を用いて分析した。PCB分解時間(hr)とPCB濃度(mg/kg)の関係を表4に示す。
Figure 2017205742
表4の結果より、活性炭とシリカゲルで油分と着色成分を除去した浄化IPA(実施例16)を用いることにより、明らかな分解性能の向上効果が認められた。一方、劣化IPA中の油分を比表面積が比較的大きい活性炭で除去した浄化IPA(実施例11、13〜14、17)、及び、劣化IPA中の着色成分をシリカゲルで除去した浄化IPA(実施例15)を用いた場合も、吸着剤未処理(比較例3、比較例4)に比べて、所定時間分解後のPCB濃度が低くなり、分解性能が向上する傾向が認められた。
本発明に係る汚染機器用洗浄液の浄化方法、ならびに、浄化した洗浄液を用いて汚染機器の洗浄方法を実施することにより、PCB処理コストを削減することが期待できる。よって、産業上の利用可能性大である。

Claims (6)

  1. ポリ塩化ビフェニル汚染機器の内部を洗浄液で洗浄する工程と、ポリ塩化ビフェニルを含有する前記洗浄液を、担体に金属を担持させた触媒充填カラムに循環させながら、前記洗浄液中のポリ塩化ビフェニルを脱塩素化する工程とで使用され、少なくとも1回の洗浄工程と脱塩素化工程とを経た劣化イソプロピルアルコールを、疎水性吸着剤、親水性吸着剤またはこれらを組合せた吸着剤に接触させ、劣化イソプロピルアルコール中の油分及び/または着色成分を除去することを特徴とする汚染機器用洗浄液の浄化方法
  2. 劣化イソプロピルアルコールが、洗浄工程と脱塩素化工程とを2回以上経たものである、請求項1に記載の汚染機器用洗浄液の浄化方法。
  3. 吸着剤が、疎水性吸着性と親水性吸着剤との組合せである、請求項1または2に記載の汚染機器用洗浄液の浄化方法。
  4. 劣化イソプロピルアルコールを疎水性吸着剤で処理した後、親水性吸着剤で処理する、請求項3に記載の汚染機器用洗浄液の浄化方法。
  5. 疎水性吸着剤が活性炭で、親水性吸着剤がシリカゲルである、請求項1〜4のいずれかに記載の汚染機器用洗浄液の浄化方法。
  6. ポリ塩化ビフェニル汚染機器の内部を洗浄液で洗浄する工程と、
    ポリ塩化ビフェニルを含有する洗浄液を、担体に金属を担持させた触媒充填カラムに循環させながら、前記洗浄液中のポリ塩化ビフェニルを脱塩素化する工程と、
    を有し、洗浄液として、請求項1〜5のいずれかの方法で浄化した浄化イソプロピルアルコールを用いることを特徴とする汚染機器の洗浄方法。
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