JP4009337B2 - 光学用積層シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示素子の液晶セルの電極基板をはじめとする種々の光学用途に適した
光学用積層シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示素子用の電極基板として、ポリカーボネートフィルム、ポリアリレートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリスルホンフィルム、アモルファスポリオレフィンフィルムなどの光等方性の基材フィルムが使われている。これらのフィルムは、光等方性および透明性が良好で、しかもある程度の耐熱性を有する。
【0003】
電極基板の用途には、これらの基材フィルムのみでは防気性、耐溶剤性、透明電極密着性、剛性などの性質が不足するので、その基材フィルムの片面または両面に有機防気層を
積層設置し、さらにその上から硬化性樹脂硬化物層を設けることがなされている。
【0004】
さらに本発明者らは、有機防気層の吸湿による性能低下を防止するために、有機防気層上に無機防湿層を設けた層構成の光学用シートを開発中である。このときの基本的な層構成は、基材フィルム/有機防気層/無機防湿層/硬化性樹脂硬化物層であり、通常は基材フィルムを挟んで対称型とするので、硬化性樹脂硬化物層/無機防湿層/有機防気層/基材フィルム/有機防気層/無機防湿層/硬化性樹脂硬化物層となる。なお、基材フィルム/有機防気層間には、水系またはアルコール系のアンカーコーティング層を介在させることが好ましい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記において無機防湿層としては、Si、Mg、Al、In、Sn、Zn等の金属の酸化物、好ましくはこれらの金属酸化物の2種または3種あるいはそれ以上の混合物の層があげられる。金属酸化物のほか、場合によっては金属窒化物を用いることもできる。
【0006】
しかしながら、このような無機防湿層の上に硬化性樹脂硬化物層を形成するときには、
両層間の接着性が劣るという本質的な問題点があった。
【0007】
そこで本発明者らは、無機防湿層上にアンカーコーティング層を設け、そのアンカーコーティング層の上から硬化性樹脂硬化物層を形成しようとしたが、従来知られている種々の水系や有機溶剤系のアンカーコーティング剤を用いても、実用上満足しうる接着力が得られなかった。
【0008】
本発明は、このような背景下において、無機防湿層とその上に成層する硬化性樹脂硬化物層との間の強固な接着を図ることにより、積層シートを構成する各層の役割が最大限に発揮できるようにした高性能の光学用積層シートを提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の光学用積層シートは、
基材フィルム(1) 、有機防気層(2) 、無機防湿層(3) および硬化性樹脂硬化物層(4) を含む光学用積層シートであって、
前記無機防湿層(3) 上にはアンカーコーティング層(AC)を介して前記硬化性樹脂硬化物層(4) が成層されており、
かつ前記アンカーコーティング層(AC)が、ポリエステルを構成するカルボン酸成分のうちイソフタル酸単位の割合が40重量%以上、ガラス転移点が80℃以下、分子量が5千〜6万であり、かつ官能基としてウレタン基およびエポキシ基を有する変性ポリエステルとその硬化剤であるポリイソシアネート系化合物との固形分の重量比で100:1〜100:50の組成物の薄層からなること、
を特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
【0011】
本発明の光学用積層シートは、基材フィルム(1) 、有機防気層(2) 、無機防湿層(3) および硬化性樹脂硬化物層(4) を含むものである。
【0012】
〈基材フィルム(1) 〉
基材フィルム(1) としては、ポリカーボネートフィルム、ポリアリレートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリスルホンフィルム、アモルファスポリオレフィン(ビシクロオレフィン系ポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂)フィルムをはじめとする単層または複層のフィルムが用いられる。基材フィルム(1) の厚みは、30〜1000μm 程度、殊に50〜500μm 程度とすることが多い。
【0013】
〈有機防気層(2) 〉
有機防気層(2) としては、好適には、ビニルアルコール系樹脂を架橋剤と併用して形成した層があげられる。
【0014】
ここでビニルアルコール系樹脂としては、たとえば、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ビニルアルコール系重合体の共存下にエチレン性不飽和アミド系モノマーとカルボキシル基含有ビニル重合性モノマーとのモノマー混合物を重合して得られる反応性耐透気性ポリマー(特開平2−68519号公報参照)、流動性ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製のRSポリマー)などが例示できる。
【0015】
架橋剤としては、上記のビニルアルコール系樹脂を架橋しうる架橋剤、たとえば、エポキシ系化合物;ポリイソシアネート系化合物;メラミン、尿素、フェノール系化合物とホルムアルデヒドとの初期縮合物あるいはその部分または完全エーテル化物;有機チタン系化合物;などがあげられる。
【0016】
ビニルアルコール系樹脂と架橋剤との割合は、重量比で、100:1〜100:50、殊に100:5〜100:30とすることが多い。このような割合において、防気性が確保できると共に、水分による有機防気層(2) の膨潤が有効に防止できるからである。架橋剤の不使用または過少は、水分による有機防気層(2) の膨潤を充分には防止できない上、耐熱性、硬度の不足を招き、一方架橋剤の過多は、同層の形成のための溶液のゲル化を生じやす上、耐スエリング性、耐熱性、防気性の不足を招くおそれがある。
【0017】
基材フィルム(1) 上への有機防気層(2) の形成は、ビニルアルコール系樹脂と架橋剤との組成物を、水溶液の形で、または水−水混和性有機溶剤混合溶剤の溶液の形で、流延することによりなされる。流延後は乾燥を行い、さらに温度120℃以上で所定時間(たとえば5〜40分間)熱処理を行う。120℃未満の温度の場合にはさらに長時間の熱処理(熟成)を行うことが必要である。ただし熱処理は、後に他の層を積層する段階で行うこともできる。有機防気層(2) の厚みは、1層当り、1〜30μm 程度、殊に5〜20μm 程度とすることが多い。
【0018】
なお基材フィルム(1) 上への有機防気層(2) の形成に際しては、予め、基材フィルム(1) の表面に濡れ性向上処理(コロナ放電処理、紫外線照射処理、酸・アルカリによる化学処理(エッチング処理や加水分解処理))を施しておいたり、基材フィルム(1) の表面にアンカーコーティング層を設けておくことが好ましい。後者のアンカーコーティング層の形成は、水系またはアルコール系のアンカーコーティング剤によることが望ましい。
【0019】
〈無機防湿層(3) 〉
無機防湿層(3) としては、SiO2 、SiOx 、MgO、Al2O3 、InO2 、SnO2 、ZnO等の金属酸化物、好ましくはこれらの2種または3種あるいはそれ以上の混合物の層があげられる。また金属酸化物のみならず、金属窒化物も用いることができる。無機防湿層は、その種類や組成にもよるが、防気層の役割も果たすことがある。
【0020】
無機防湿層(3) は、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、化学蒸着法などにより形成される。無機防湿層(3) の厚みは、10〜2000オングストローム程度、さらには20〜500オングストローム程度、殊に30〜300オングストローム程度とすることが多い。
【0021】
〈硬化性樹脂硬化物層(4) 〉
硬化性樹脂硬化物層(4) としては、エステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、シリコーンアクリレートをはじめとする種々の活性エネルギー線硬化型樹脂の硬化物層や、フェノキシエーテル系重合体、ポリアミドイミド系樹脂をはじめとする熱硬化型の樹脂の硬化物層などがあげられる。
【0022】
硬化性樹脂硬化物層(4) の形成は、流延法によりなされ、また鋳型法によりなされる。
後者の鋳型法については後述する。硬化性樹脂硬化物層(4) の厚みは、1層当り、3〜100μm 程度、殊に5〜50μm 程度とすることが多い。
【0023】
〈アンカーコーティング層(AC)〉
上記の無機防湿層(3) 上にはアンカーコーティング層(AC)を介して上記の硬化性樹脂硬化物層(4) が成層される。
【0024】
そして本発明においては、このアンカーコーティング層(AC)を、ポリエステルを構成するカルボン酸成分のうちイソフタル酸単位の割合が40重量%以上(好ましくは50重量%以上)、ガラス転移点が80℃以下、分子量が5千〜6万(好ましくは1万〜5万)であり、かつ官能基としてウレタン基およびエポキシ基を有する変性ポリエステルとその硬化剤であるポリイソシアネート系化合物との組成物の薄層により構成する。イソフタル酸単位の割合、ガラス転移点または分子量が上記条件を満たさないときは接着力が不足し、
官能基を有しないときは次に述べる硬化剤による硬化が円滑に行われない。上記の変性ポリエステルの溶液は、高松油脂株式会社から「ペスレジンS−110G」として市販されている。
【0025】
アンカーコーティング層(AC)形成用のアンカーコーティング剤の調製に際しては、上記の変性ポリエステルの溶液に、その硬化剤であるポリイソシアネート系化合物を配合した組成物を用いる。このときの変性ポリエステルとその硬化剤であるポリイソシアネート系化合物との割合は、固形分の重量比で、100:1〜100:50、好ましくは100:2〜100:40、殊に100:3〜100:30に設定される。硬化剤の過少は無機防湿層(3) と硬化性樹脂硬化物層(4) との間の密着力の不足を招く傾向があり、硬化剤の過多はコーティング剤の安定性やコーティング操作性にとって不利となる。
【0026】
無機防湿層(3) 上にアンカーコーティング剤を流延した後は、乾燥を行い、さらに温度120℃以上、好ましくは130℃以上で、所定時間(たとえば5〜40分間)熱処理を行う。120℃未満の温度の場合にはさらに長時間の熱処理(熟成)を行うことが必要である。アンカーコーティング層(AC)厚みは、 0.2〜3μm 程度、殊に 0.3〜2μm 程度で充分である。
【0027】
〈光学用積層シート〉
本発明の光学用積層シートの層構成の例は、(1)/(2)/(3)/(AC)/(4)、(4)/(AC)/(3)/(2)/(1)/(2)/(3)/(AC)/(4) 、(4)/(4)/(AC)/(3)/(2)/(1)/(2)/(3)/(AC)/(4)/(4) 、(4)/(1)/(2)/(3)/(AC)/(4)、(4)/(2)/(1)/(2)/(3)/(AC)/(4)、(4)/(AC)/(3)/(2)/(1)/ 接/(1)/(2)/(3)/(AC)/(4) (「接」は接着剤層)などであり、他にも種々のバリエーションがある。ただし、層(3) と層(4) の間に設けるアンカーコーティング層(AC)以外に各層間に設けることもあるアンカーコーティング層については、記載を省略してある。上記各層のほかに、耐スクラッチング層、防眩層など他の層を付加的に設けることもできる。
【0028】
層構成が(1)/(2)/(3)/(AC)/(4)、またはその対称型である(4)/(AC)/(3)/(2)/(1)/(2)/(3)/(AC)/(4) である場合を例にとると、本発明の光学用積層シートは、工業的にはたとえば次のようにして製造される。
【0029】
その一つ(第1の方法)は、基材フィルム(1) 上に流延法によりアンカーコーティング層を形成し、ついでその上から流延法により有機防気層(2) を形成し、さらにその上からスパッタリング法、真空蒸着法などにより無機防湿層(3) を形成し、さらにその上から流延法によりアンカーコーティング層(AC)を形成し、最後にその上から流延法により硬化性樹脂硬化物層(4) を形成する方法である。対称型の場合は、基材フィルム(1) の他の面に対して、同様に各層を形成すればよい。
【0030】
他の一つ(第2の方法)は、基材フィルム(1) 上に流延法によりアンカーコーティング層を形成し、ついでその上から流延法により有機防気層(2) を形成し、さらにその上からスパッタリング法、真空蒸着法などにより無機防湿層(3) を形成し、さらにその上から流延法によりアンカーコーティング層(AC)を形成することにより得た積層フィルムと、後述の鋳型フィルム(M) とを準備し、わずかに間隙をあけて並行に配置した1対のロールのうちの一方のロールに上記の積層フィルムをそのアンカーコーティング層(AC)面が上面になるように供給し、また他方のロールに上記の鋳型フィルム(M) を供給し、これら両ロールの間隙に向けてノンソルベントタイプの硬化性樹脂液を吐出すると共に、両ロールを互いに喰い込む方向に回転させて両フィルム間に硬化性樹脂液が挟持されるようにし、ついでその挟持された状態で硬化性樹脂液を硬化させることにより硬化性樹脂硬化物層(4) となす方法である。対称型の場合は、このようにして得た積層フィルムの基材フィルム(1) の他の面に対しても同様にアンカーコーティング層、有機防気層(2) 、無機防湿層(3) 、アンカーコーティング層(AC)を形成し、さらに鋳型フィルム(M) を用いて上記と同様の操作により硬化性樹脂硬化物層(4) を形成すればよい。
【0031】
ここで鋳型フィルム(M) としては、二軸延伸ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)フィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルムなどのフィルムが好適に用いられる。このフィルム表面の平滑度は任意に選択できるので、表面粗度が± 0.1μm 以下の極めて平滑度の高いものから、防眩性付与、入射光量の増加などのために故意にランダムな微細凹凸やレンズ状の微細凹凸を付したものまで、任意の平滑度ないし粗度を有するものを用いることができる。
【0032】
このような層構成を有する光学用積層シートに、必要に応じ無機酸化物や無機窒化物等のアンダー層を介して、スパッタリング法などによりITO等の透明電極を形成すれば、
電極付き基板や電極付きシートを得ることができる。
【0033】
本発明の光学用積層シートは、液晶表示素子を構成する液晶セルの電極基板として特に有用であり、そのほか、偏光素膜の保護板、位相差素膜の保護板、偏光板兼用の電極基板、位相板兼用の電極基板、タッチパネル用の透明電極付きフィルム(偏光板の上だけでなく偏光板の下に積層して用いるものを含む)、CRT用電磁波シールド板、バックライト、導光板、カラーフィルター、光カード、光テープ、光ディスクなどの用途にも用いることができる。
【0034】
【実施例】
次に実施例をあげて本発明をさらに説明する。
【0035】
実施例1
図1は本発明の光学用積層シートの一例を示した断面図である。ただし層厚は誇張して描いてある。
【0036】
基材フィルム(1) 上に設けるアンカーコーティング剤Xとして、固形分5重量%の水溶性ポリエステルウレタン系アンカーコーティング剤を準備した。
【0037】
有機防気層(2) 用のコーティング剤Yとして、ポリビニルアルコールのN−メチロールアクリルアミド−アクリル酸グラフト共重合体の濃度12重量%の水溶液にメチロールメラミン系架橋剤(住友化学工業株式会社製の「スミテックスレジンM−3」)を固形分の重量比で100:15の割合で配合した組成物を準備した。
【0038】
アンカーコーティング層(AC)用のアンカーコーティング剤Zを、下記のようにして調製した。すなわち、ポリエステルを構成するカルボン酸成分のうちイソフタル酸単位の割合が50重量%以上、ガラス転移点が80℃以下、分子量が1万〜5万であり、かつ官能基としてウレタン基およびエポキシ基を有する変性ポリエステルとして、高松油脂株式会社製の「ペスレジンS−110G」(固形分25重量%のトルエン/メチルエチルケトンの重量比で7:3の溶液、粘度200cps 以下)を準備し、この溶液に硬化剤としてポリイソシアネート系化合物(日本ポリウレタン工業株式会社製の「コロネートHK」)を加えると共に、トルエン/メチルエチルケトンで稀釈して、主剤/硬化剤の固形分比が重量基準で100:10、固形分濃度が20重量%のアンカーコーティング剤を調製した。
【0039】
厚み100μm のポリカーボネートフィルムからなる基材フィルム(1) 上に、上記のアンカーコーティング剤Xを流延し、70〜120℃で乾燥して、厚み1μm のアンカーコーティング層(ac)を形成させた。
【0040】
ついでこのアンカーコーティング層(ac)の上から、上記のコーティング剤Yを流延し、
70〜110℃で乾燥してから、135℃で20分間熱処理し、厚み12μm の有機防気層(2) を形成させた。
【0041】
さらにこの有機防気層(2) の上から、SiOx を主体としかつ他の金属酸化物2種を含む金属酸化物混合物をスパッタリングし、厚み200オングストロームの無機防湿層(3) を形成させた。
【0042】
続いてこの無機防湿層(3) の上から、上記のアンカーコーティング剤Zを流延し、70〜90℃で乾燥してから、130℃で20分間熱処理して、厚み1μm のアンカーコーティング層(AC)を形成させた。これにより、(1)/(ac)/(2)/(3)/(AC) の層構成を有する積層シートが得られた。
【0043】
厚み100μm 、表面粗度(光の干渉を利用した非接触式表面粗さ計にて測定)が平均で 0.006μm 、最大で0.04μm のコロナ放電処理していない二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムからなる鋳型フィルム(M) を準備した。
【0044】
わずかに間隙をあけて並行に配置した1対のロールのうちの一方のロールに上記の(1)/(ac)/(2)/(3)/(AC) の層構成の積層シートをそのアンカーコーティング層(AC)面が上面になるように供給し、また他方のロールに上記の鋳型フィルム(M) をその平滑面が上面になるように供給した。
【0045】
続いてこれら両ロールの間隙に向けて、ノンソルベントタイプの硬化性樹脂液の一例としてのエステルアクリレート系の高粘度の紫外線硬化型樹脂液(ノンソルベント型の脂肪族ポリイソシアネートを15重量%配合したもの)を吐出すると共に、両ロールを互いに喰い込む方向に回転させて両フィルム間に上記の硬化性樹脂液が挟持されるようにし、ついでその挟持された状態で、出力120W/cm、1灯、ランプ距離200mm、ライン速度1m/min 、1パス、光量1000mJ/cm2の条件で紫外線照射を行って硬化性樹脂液を硬化させることにより、厚み14μm の硬化性樹脂硬化物層(4) となした。
【0046】
これにより、(1)/(ac)/(2)/(3)/(AC)/(4)/(M) の層構成を有する積層フィルムが得られたが(密着性の試験用には(M) を剥離除去)、(3) と(4) 間の層間密着力は剥離不能(1500g/inch以上)であり、実用上充分の密着力を有していた。なお層間密着性の試験数は5とした。
【0047】
この(1)/(ac)/(2)/(3)/(AC)/(4)/(M) の層構成を有する積層フィルムの基材フィルム(1) 側に、上記と同様にして、厚み1μm のアンカーコーティング層(ac)、厚み11μm の有機防気層(2) 、厚み200オングストロームの無機防湿層(3) 、厚み1μm のアンカーコーティング層(AC)を順次形成させて、(AC)/(3)/(2)/(ac)/(1)/(ac)/(2)/(3)/(AC)/(4)/(M) の層構成を有する積層シートとした後、わずかに間隙をあけて並行に配置した1対のロールのうちの一方のロールにこの積層シートをそのアンカーコーティング層(AC)面が上面になるように供給し、また他方のロールに上記と同様の鋳型フィルム(M) をその平滑面が上面になるように供給し、続いてこれら両ロールの間隙に向けて、上記と同じ紫外線硬化型樹脂液を吐出すると共に、両ロールを互いに喰い込む方向に回転させて両フィルム間に上記の紫外線硬化型樹脂液が挟持されるようにし、ついでその挟持された状態で紫外線照射を行って該樹脂液を硬化させることにより、厚み15μm の硬化性樹脂硬化物層(4) となした。
【0048】
これにより、(M)/(4)/(AC)/(3)/(2)/(ac)/(1)/(ac)/(2)/(3)/(AC)/(4)/(M) の層構成を有する鋳型フィルム(M), (M)付きの対称型の光学用積層シートが得られた。鋳型フィルム(M), (M)を剥離除去した光学用積層シートは比較的に剛性のあるものであり、透明性(全光線透過率、ASTM D1003)は86%、レターデーション値(633nm)は7nm、鉛筆硬度(JIS K5401)は4H、酸素透過率(ASTM D-1434-75に準じて測定)は0.1cc/24hr・m2・atm 以下であり、温度40℃、湿度90%RHの高湿条件下に長期間放置しても酸素透過率の変化はほとんど認められなかった。
【0049】
次に、上記で得た光学用積層シートの片面に常法に従いスパッタリングによる厚み500オングストロームのITO層を形成させた後、常法に従ってレジスト形成、露光、現像、エッチング、硬化レジスト除去を行い、パターン電極となした。このパターン電極付きの光学用シートからなる基板を用いて液晶セルを作製し、さらには液晶表示素子を作製したが、長期間にわたり性能が安定しており、信頼性が高いものであった。
【0050】
実施例2〜4
アンカーコーティング層(AC)用のアンカーコーティング剤Zとして、実施例1における「ペスレジンS−110G」と硬化剤(ポリイソシアネート系化合物)との固形分比が重量基準で100:5(実施例2)、100:15(実施例3)、100:20(実施例4)となるようにしたほかは、実施例1を繰り返した。
【0051】
無機防湿層(3) と硬化性樹脂硬化物層(4) との間の層間密着力は、実施例2が1200g/inch、実施例3が剥離不能(1500g/inch以上)、実施例4が剥離不能(1500g/inch以上)であった。
【0052】
比較例
アンカーコーティング層(AC)用のアンカーコーティング剤Zとして、ウレタン系アンカーコーティング剤、ポリエステル系アンカーコーティング剤、ポリエステルウレタン系アンカーコーティング剤に属する市販の各社の溶剤系のアンカーコーティング9種を用いたほかは実施例1を繰り返して、(1)/(ac)/(2)/(3)/(AC)/(4)/(M) の層構成を有する積層フィルムを得た。しかしながら、(3) と(4) 間の層間密着性は、試験数5の平均値でほとんどが20〜50g/inchの範囲にあり(平均値でなく最良の測定値でも100g/inchどまり)、実用には密着力が不足していた。
【0053】
【発明の効果】
基材フィルム(1) 、有機防気層(2) 、無機防湿層(3) および硬化性樹脂硬化物層(4) を含む本発明の光学用積層シートにあっては、無機防湿層(3) 上に特定の変性ポリエステルとその硬化剤であるポリイソシアネート系化合物との特定割合の組成物の薄層からなるアンカーコーティング層(AC)を介して硬化性樹脂硬化物層(4) を成層しているため、無機防湿層(3) と硬化性樹脂硬化物層(4) との間の接着力が極めて強固なものとなっている。
【0054】
そのため、有機防気層(2) は高湿条件下や湿熱条件下にあっても充分な酸素遮断性が保たれ、液晶セルの製造工程や液晶表示素子とした使用したときに液晶が変質しない。また基板を構成する各層の有機的に組み立てにより、強度、剛性、表面硬度、耐熱性、防気性、防湿性、耐溶剤性などの必要特性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の光学用積層シートの一例を示した断面図である。
【符号の説明】
(1) …基材フィルム、
(2) …有機防気層、
(3) …無機防湿層、
(4) …硬化性樹脂硬化物層、
(AC)…アンカーコーティング層、
(ac)…アンカーコーティング層、
(M) …鋳型フィルム
Claims (2)
- 基材フィルム(1) 、有機防気層(2) 、無機防湿層(3) および硬化性樹脂硬化物層(4) を含む光学用積層シートであって、
前記無機防湿層(3) 上にはアンカーコーティング層(AC)を介して前記硬化性樹脂硬化物層(4) が成層されており、
かつ前記アンカーコーティング層(AC)が、ポリエステルを構成するカルボン酸成分のうちイソフタル酸単位の割合が40重量%以上、ガラス転移点が80℃以下、分子量が5千〜6万であり、かつ官能基としてウレタン基およびエポキシ基を有する変性ポリエステルとその硬化剤であるポリイソシアネート系化合物との固形分の重量比で100:1〜100:50の組成物の薄層からなること、
を特徴とする光学用積層シート。 - 液晶表示素子の電極基板用である請求項1記載の光学用積層シート。
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