JP5051696B2 - 偏光板 - Google Patents

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Description

本発明は、薄型で耐久性と光学特性とに優れる偏光板ならびにこれを備える光学部材および液晶表示装置に関する。
液晶表示装置(LCD)に用いる偏光板としては、これまで偏光子の両面に保護層を有するものが用いられてきた。保護層としては、トリアセチルセルロースや環状オレフィン系樹脂等の樹脂フィルムが用いられてきた。しかしながら、これらの樹脂フィルムは数十μmの厚みがあり、近年のLCDの薄型化には好適な部材であるとは言い難くなってきている。また、上記の保護層は一般的に屈折率異方性を有する。よって、ここ最近で急速に普及してきた高視野角LCDにおいて上記の保護層を用いると、屈折率異方性を有するフィルムからなる保護層を偏光子と液晶セルとの間に配置してしまうこととなり、本来の視野角特性が低下してしまう等の問題がある。
上述したトリアセチルセルロースは面内の屈折率異方性はさほど有さないものの、厚み方向の位相差値を30〜70nm程度有しており、この位相差が視野角特性を低下させる原因となっている。この現象は特にIPS(In−plane Switching:横電解)モードと呼ばれる液晶モードにおいて顕著であると言えるが、その他のVA(Vertical Alignment:垂直配向)モードやTN(Twisted Nematic:ねじれネマチック)モード等においても、かかるトリアセチルセルロース等が有するような位相差値が存在しない偏光板を用いる方が、設計の自由度等の観点から有益であることが多い。
また、近年では、厚み方向に屈折率異方性を持たないトリアセチルセルロースや、屈折率異方性の小さい環状オレフィン系樹脂等のフィルムからなる保護層も開発されてきている。しかしながらこれらの保護層を形成する際には、樹脂を単独の自立膜として成型した後に偏光子と貼り合わせる手法をとることから、自立膜をハンドリングできるだけの厚みを必要とし、その厚みは数十μmに及ぶ。従って、薄型LCDへの適用に関して最好適な部材であるとは言い難い。また、屈折率異方性が小さいとは言うものの、数nmの位相差を有している場合が多く、正面のコントラストや視野角特性の低下の原因となっている。
このように、光学特性だけを考えると、偏光子における液晶セル側となる面には保護層を配置しないことが好ましい。しかしながら、単純に偏光子において液晶セル側となる面の保護層を取り除いてしまうと、環境変化等によって偏光子にクラックが発生したりする等の劣化が生じることが知られている。
特許文献1には、軽量性と耐久性とを両立させた偏光板を提供することを目的として、片側に粘着層を有する合成樹脂フィルム(1)の粘着面に、透明合成樹脂フィルムからなる保護層(2)を、その上に接着剤層(3)を介して、ポリビニルアルコール系偏光フィルム(4)、粘着剤層(5)、剥離フィルム(6)を順次積層してなる偏光板が提案されている。
特許文献2には、偏光子フィルムの外側にのみTAC(トリアセチルセルロース)フィルムを形成した構造を薄肉化のために採用しつつ、貼合対象側が凹となる反りが生じないようにして、貼合作業を正確にかつ効率良く行なうことを目的として、偏光子フィルムまたは位相差フィルムを平面状態に保形する保形フィルムを、該偏光子フィルムまたは位相差フィルムの両面のうちの一方の両側に積層し、該保形フィルムにおける偏光子フィルムまたは位相差フィルムの積層側の反対側に保護フィルムを剥離可能に積層し、該偏光子フィルムまたは位相差フィルム側が凹となる反りが生じるのを防止可能に該保護フィルムを所定の厚さに設定してある光学フィルムが提案されている。
特許文献3には、むらをなくして表面品位を向上した偏光フィルムおよび表示装置の提供を目的として、偏光用のシート状の偏光子と、この偏光子の1面側に粘着された保護層と、該偏光子のこの保護層の面とは反対側の面に形成された粘着層とを具備したことを特徴とする偏光フィルムが提案されている。
特許文献4には、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムに対し、実質的に有機溶剤を用いることなく、薄い保護層を形成して、偏光板のさらなる薄肉化および軽量化を計ることを目的として、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光フィルムの少なくとも片面に、水溶性の皮膜形成性組成物からなる保護層を介して剥離フィルムが積層されていることを特徴とする偏光板が提案されている。
しかし特許文献1〜4の技術によっても、軽量で、かつ耐久性と光学特性とが十分高度に両立された偏光板を得るには至っていない。
特開平10−186133号公報 特開2001−108830号公報 特開2002−14226号公報 特開2005−43858号公報
したがって本発明の目的は、薄型で高い光学特性を有しつつ、耐久性をも良好に維持した偏光板、ならびにこれを備える光学部材および液晶表示装置を提供することにある。
本発明者らは、研究の結果、偏光子の表面に、特定の水溶性物質を含む水性組成物を用いてコーティング層を形成しておくことにより、該コーティング層側でたとえば感圧式接着剤層等を介して液晶セルに貼り合わせた場合にも優れた耐久性を有する偏光板が得られることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、偏光子と、該偏光子の少なくとも片面に形成されたコーティング層とを備え、コーティング層は、水溶性樹脂(A)と、水溶性の有機チタン化合物および水溶性の有機ジルコニウム化合物から選択される少なくとも1種からなる水溶性有機金属化合物(B)と、を含む組成物から形成された層である偏光板に関する。
本発明の偏光板において、コーティング層は偏光子の片面に形成され、偏光子の該コーティング層が形成された面と反対の面に透明樹脂フィルムからなる保護層がさらに形成されることが好ましい。
本発明の偏光板において、透明樹脂フィルムは、セルロース系樹脂、環状オレフィン系樹脂および鎖状オレフィン系樹脂から選択される樹脂からなることが好ましい。
本発明の偏光板においては、水溶性樹脂(A)がポリビニルアルコール系樹脂であることが好ましい。
本発明の偏光板においては、水溶性有機金属化合物(B)が有機チタン化合物であって、下記の式(1)および(2)、
(HO)2Ti[OCH(CH3)COOH]2 (1)
(C37O)2Ti[OCH2CH2N(CH2CH2OH)22 (2)
で表される化合物から選択される1種以上からなることが好ましい。
本発明の偏光板においては、コーティング層の厚みが1〜20μmの範囲内であることが好ましい。
本発明の偏光板においては、コーティング層を挟んで偏光子と対向するように感圧式接着剤層がさらに形成されることができる。
本発明はまた、上述のいずれかの偏光板と、光学層と、が積層された積層体からなる光学部材に関する。
本発明はまた、液晶セルの少なくとも片面に本発明の偏光板が形成されてなり、該偏光板が感圧式接着剤層によって液晶セルに貼合されてなる液晶表示装置に関する。
本発明によれば、薄型で高い光学特性を有しつつ、耐久性をも良好に維持した偏光板、光学部材および液晶表示装置を提供することが可能となる。
以下、適宜図面も参照しながら、本発明の具体的な実施の形態を説明するが、本発明は図示する構成に限定されるものではない。
[偏光板]
本発明の偏光板は、偏光子と、該偏光子の少なくとも片面に形成されたコーティング層とを備える。該コーティング層は、水溶性樹脂(A)と、水溶性の有機チタン化合物および水溶性の有機ジルコニウム化合物から選択される少なくとも1種からなる水溶性有機金属化合物(B)(以下、単に水溶性有機金属化合物(B)とも記載する)と、を含む組成物から形成された層である。
図1は、本発明に係る偏光板の構成の例を示す断面図である。図1に示す偏光板100においては、偏光子11の片側に、水溶性樹脂(A)と水溶性有機金属化合物(B)とを含む組成物から形成された層であるコーティング層12が配置されている。
<偏光子>
偏光子11としては、たとえばポリビニルアルコール系樹脂等を使用でき、より具体的には、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに一軸延伸および二色性色素による染色処理を施して、該二色性色素を吸着配向させたもの等を使用できる。
偏光子11を構成するために使用されるポリビニルアルコール系樹脂は、典型的には、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得ることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルとそれに共重合可能な他の単量体との共重合体等が例示される。酢酸ビニルに共重合される他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有するアクリルアミド類等が挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85〜100モル%程度、好ましくは98モル%以上である。このポリビニルアルコール系樹脂は、さらに変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタール等も使用し得る。また、ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常1,000〜10,000程度、好ましくは1,500〜5,000程度である。
かかるポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものが、偏光子11の原反フィルムとして好適に用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は特に限定されるものでなく、公知の方法で製膜することができる。該原反フィルムの膜厚は特に限定されないが、例えば、10μm〜150μm程度である。
偏光子11は通常、上記のようなポリビニルアルコール系樹脂の原反フィルムを一軸延伸して一軸延伸フィルムを得る工程、二色性色素で染色して該二色性色素をフィルムに吸着させることにより染色フィルムを得る工程、染色後にホウ酸水溶液で処理する工程、および該ホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程を経て、製造される。
一軸延伸は、二色性色素による染色の前に行なってもよいし、染色と同時に行なってもよいし、染色の後に行なってもよい。一軸延伸を染色の後で行なう場合には、該一軸延伸は、ホウ酸処理の前に行なってもよいし、ホウ酸処理中に行なってもよい。もちろん、これらの複数の段階で一軸延伸を行なうことも可能である。一軸延伸にあたっては、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また、たとえば大気中で延伸を行なう乾式延伸であってもよいし、溶剤にて膨潤させた状態で延伸を行なう湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、通常3〜8倍程度である。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色するには、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、二色性色素を含有する水溶液に浸漬すればよい。二色性色素として、具体的には、ヨウ素や二色性染料が用いられる。なお、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、染色処理の前に、水、とりわけ温湯への浸漬処理を施しておくことが好ましい。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合は通常、ヨウ素およびヨウ化カリウムを含有する水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液におけるヨウ素の含有量は通常、水100質量部あたり0.01〜1質量部程度であり、ヨウ化カリウムの含有量は通常、水100質量部あたり0.5〜20質量部程度である。染色に用いる水溶液の温度は、通常20〜40℃程度であり、また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常20〜1,800秒程度である。
一方、二色性色素として二色性染料を用いる場合は通常、水溶性二色性染料を含む水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液における二色性染料の含有量は、通常、水100質量部あたり1×10-4〜10質量部程度、好ましくは1×10-3〜1質量部程度である。この水溶液は、硫酸ナトリウム等の無機塩を染色助剤として含有していてもよい。染色に用いる染料水溶液の温度は、通常20〜80℃程度であり、また、この水溶液への浸漬時間(すなわち染色時間)は、通常10〜1,800秒程度である。
二色性色素による染色後のホウ酸処理は、染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸含有水溶液に浸漬することにより行なうことができる。ホウ酸含有水溶液におけるホウ酸の量は、水100質量部あたり、通常2〜15質量部程度、好ましくは5〜12質量部程度である。二色性色素としてヨウ素を用いる場合には、このホウ酸含有水溶液はヨウ化カリウムを含有するのが好ましい。ホウ酸含有水溶液におけるヨウ化カリウムの量は、水100質量部あたり、通常0.1〜15質量部程度、好ましくは5〜12質量部程度である。ホウ酸含有水溶液への浸漬時間は、通常60〜1,200秒程度、好ましくは150〜600秒程度、さらに好ましくは200〜400秒程度である。ホウ酸含有水溶液の温度は、通常50℃以上であり、好ましくは50〜85℃、より好ましくは60〜80℃である。
ホウ酸処理後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、通常、水洗処理される。水洗処理は、例えば、ホウ酸処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水に浸漬することにより行われる。水洗処理における水の温度は、通常5〜40℃程度であり、浸漬時間は、通常1〜120秒程度である。水洗後は乾燥処理が施される。乾燥処理は通常、熱風乾燥機や遠赤外線ヒーターを用いて行われる。乾燥処理の温度は、通常30〜100℃程度、好ましくは50〜100℃である。乾燥処理の時間は、通常60〜600秒程度であり、好ましくは120〜600秒程度である。
上記のようにして、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに、一軸延伸、二色性色素による染色およびホウ酸処理が施されて、偏光子11を得ることができる。偏光子11の厚みは、5〜40μm程度とされることができる。
<コーティング層>
本発明において形成されるコーティング層12は、水溶性樹脂(A)と水溶性有機金属化合物(B)とを含む組成物から形成された層である。本発明においては、偏光子の少なくとも片面に該コーティング層を形成することにより、たとえば保護層等を形成する場合と比べて偏光板の薄型化が可能であるとともに、該コーティング層が有する良好な物理的強度によって、コーティング層を形成した側の面に保護層を設けなくても偏光板の耐久性が十分確保される。保護層が形成された偏光板においては、該保護層の屈折率異方性によって光学特性の低下が生じる場合があるが、本発明においては、上記のようなコーティング層を偏光子の少なくとも片面に形成するため、コーティング層を形成した側の面には保護層を形成しなくても耐久性を確保できる。また該コーティング層は比較的薄く屈折率異方性がほとんど発現しないため、本発明によれば偏光板の光学特性を向上させることができる。すなわち本発明においては、たとえば保護層が形成された偏光板を用いた液晶表示装置において生じるような角度による色変化を低減し、優れた光学特性を得ることができる。
(水溶性樹脂(A))
本発明のコーティング層を形成するための塗工液として調製される組成物は、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光子との密着性を確保することなどの観点から、水溶性樹脂(A)を含有する。また、この組成物は、塗工性を確保するため、典型的には溶媒を含有する。ここで用いる溶媒は、水溶性樹脂(A)を均一に溶解させるために、主成分を水とすることが好ましく、水を単独で溶媒とするか、または水に少量の有機溶媒を混合させたものを溶媒とすることが好ましい。
水溶性樹脂(A)の例としては、ポリビニルアルコール系樹脂や水溶性アクリル樹脂等を挙げることができる。中でも、水溶性に優れるとともに偏光子に対する密着性に優れ、かつコーティング層に必要な物理的強度を容易に付与できる点で、ポリビニルアルコール系樹脂が好ましく用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂は、部分ケン化ポリビニルアルコールや完全ケン化ポリビニルアルコールのほか、カルボキシル基等のアニオンで変性されたポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、メチロール基変性ポリビニルアルコール、アミノ基変性ポリビニルアルコールのような、変性されたポリビニルアルコール系樹脂であってもよい。変性されたポリビニルアルコール系樹脂を用いる場合、変性により導入される官能基の種類や量によって、水溶性等の特性を所望の範囲内に容易に制御できる。
適当なポリビニルアルコール系樹脂の市販品としては、(株)クラレから販売されている部分ケン化ポリビニルアルコールである“PVA−403”(商品名)や、アニオン変性ポリビニルアルコールである“KL−506”(商品名)等を挙げることができる。これらクラレ社製ポリビニルアルコールの詳細は、同社のポバール樹脂専門サイト(URL: http://www.poval.jp/japan/poval/topics/index.html)に“KURARAY POVAL”として掲載されている(アクセス日:2007年3月20日)。
上記ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、300〜2000の範囲内であることが好ましい。重合度が300以上である場合、コーティング層の強度が良好であり、2000以下である場合、コーティング層を形成するための塗工液を調製したときの該塗工液の粘度が上がり過ぎず、塗工液中の水溶性樹脂の濃度を高くすることができる。該重合度は、500〜1800の範囲内であることがより好ましい。
(水溶性有機金属化合物(B))
ポリビニルアルコール系樹脂をはじめとする上述のような水溶性樹脂(A)は、その水溶性ゆえに単独では耐水性に乏しいため、本発明においては、該水溶性樹脂(A)の耐水性を高めるために硬化剤を用いて架橋する。架橋のために、典型的には、コーティング層を形成するために調製される塗工液に、水溶性樹脂(A)を架橋しうる硬化剤を含有させ、該塗工液を塗布する方法を採用することができる。この場合、主に、塗工液中の溶媒を除去することで水溶性樹脂と硬化剤との反応が進行することになる。硬化剤は、水溶性樹脂との反応性が高いものほど、反応後の架橋密度を高くすることができるため、得られるコーティング層が良好な耐水性を示すようになる。
本発明においては、水溶性の有機チタン化合物および水溶性の有機ジルコニウム化合物から選択される少なくとも1種からなる水溶性有機金属化合物(B)を、水溶性樹脂(A)の硬化剤として用いる。上記の水溶性有機金属化合物(B)は水溶性樹脂(A)との反応性が高いため、本発明においては、耐水性に優れるコーティング層を形成することができ、これによって耐水性の良好な偏光板が得られる。本明細書において、水溶性の有機チタン化合物および水溶性の有機ジルコニウム化合物とは、それぞれ、チタンまたはジルコニウムに、有機基が直接または酸素原子や窒素原子等による他の結合を介して結合した構造を、分子内に少なくとも1個有する化合物であって、水溶性を示すものを意味するものとする。なお水溶性とは、一般的には水溶液を形成しうる性質を意味し、本発明に用いる水溶性有機金属化合物(B)は、塗工液としたときに溶けた状態で存在するものであって、典型的には、25℃における水100gに対する溶解量が0.1g程度以上であればよい。
本明細書において、上記の有機基とは、少なくとも炭素元素を含む基を意味し、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アシル基等であることができる。また、結合とは共有結合だけを意味するものではなく、キレート状化合物等の配位による配位結合であってもよい。水溶性有機金属化合物(B)は、水溶性を発現させるために、通常は、水酸基、カルボキシル基、アミノ基のような極性基を有している。
前述のように、コーティング層を形成するための組成物に含有させる溶媒は、水溶性樹脂を溶解して均一な濃度分布とするために、水単独、または水と少量の有機溶媒との混合溶媒であることが好ましい。そこで、有機チタン化合物や有機ジルコニウム化合物も水溶性のものを用いる。
本発明において使用される水溶性有機金属化合物(B)は、種々の水溶性樹脂(A)と良好に反応できることなどの観点から、典型例として、下記の式(1)〜(4)、
(HO)2Ti[OCH(CH3)COOH]2 (1)
(C37O)2Ti[OCH2CH2N(CH2CH2OH)22 (2)
(HO)2Zr[OCH(CH3)COOH]2 (3)
(C37O)2Zr[OCH2CH2N(CH2CH2OH)22 (4)
で表される化合物を挙げることができ、上記の式(1)および(2)で表される有機チタン化合物は特に典型的な例として挙げることができる。
本発明の水溶性有機金属化合物(B)として使用できる水溶性有機チタン化合物の好ましい市販品の例としては、松本製薬工業(株)から販売されている“オルガチックス TC−310”、“オルガチックス TC−315”、“オルガチックス TC−300”、“オルガチックス TC−400”(いずれも商品名)等がある。また、水溶性有機ジルコニウム化合物の好ましい市販品の例としては、松本製薬工業(株)から販売されている“オルガチックス ZB−400”(商品名)等がある。これら市販品について、メーカーが呼称する化学略名とその化学構造、および濃度を以下に示す。
“オルガチックス TC−310”:メーカー呼称の化学略名「乳酸チタン」;化学構造は上記式(1);有効成分44質量%、イソプロピルアルコール40質量%、水16質量%の溶液。
“オルガチックス TC−315”メーカー呼称の化学略名「乳酸チタン」;化学構造は上記式(1);有効成分44質量%、水56質量%の溶液。
“オルガチックス TC−300”:メーカー呼称の化学略名「乳酸チタン」;化学構造は上記式(1);有効成分42質量%、イソプロピルアルコール38質量%、水20質量%の溶液。
“オルガチックス TC−400”:メーカー呼称の化学略名「チタントリエタノールアミネート」;化学構造は上記式(2);有効成分80質量%、イソプロピルアルコール20質量%の溶液。
“オルガチックス ZB−400”:メーカー呼称の化学略名「ジルコニウム系化合物」;(化学構造は、水溶性の有機ジルコニウム化合物であること以外は不詳);有効成分30質量%、水70質量%の溶液。
(コーティング層の形成方法)
本発明におけるコーティング層は、たとえば、上記の水溶性樹脂(A)と水溶性有機金属化合物(B)と適当な溶媒とを含む組成物を塗工液とし、該塗工液を偏光子の少なくとも片面に塗布することによって形成することができる。溶媒は、前述のように、水単独、または水と少量の有機溶媒との混合溶媒であることが好ましく、水溶性の有機溶媒としては、たとえば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1−プロパノール、1−ブタノール等のアルコール類を例示できる。たとえば水と少量のイソプロピルアルコールとの混合溶媒は、塗布作業性の向上の点で有利である傾向がある。水と有機溶媒との混合溶媒における水:有機溶媒の質量比は、たとえば100:0〜50:50の範囲内とすることができる。
塗工液中の水溶性樹脂(A)および水溶性有機金属化合物(B)の含有率は特に限定されないが、たとえば塗工液のB型粘度計による25℃での溶液粘度が1〜300mPa・sec程度、より典型的には30〜100mPa・sec程度となるように調整されることができる。
コーティング層12を形成するために用いる水溶性樹脂(A)と水溶性有機金属化合物(B)との割合は、水溶性樹脂(A)100質量部に対して水溶性有機金属化合物(B)1〜200質量部の範囲内とされることが好ましく、水溶性樹脂(A)および水溶性有機金属化合物(B)のそれぞれの種類等に応じて適宜決定すればよい。とりわけ、水溶性樹脂(A)100質量部に対する水溶性有機金属化合物(B)の量は、5〜200質量部の範囲内とされることが好ましい。水溶性有機金属化合物(B)の量は、水溶性樹脂(A)100質量部に対して5質量部未満であっても、コーティング層の耐水性向上に効果を発揮するが、水溶性樹脂(A)100質量部に対して5〜200質量部程度配合する場合、耐水性向上においてより一層良好な効果を発揮するため好ましい。水溶性有機金属化合物(B)の量は、水溶性樹脂(A)100質量部に対して、10〜100質量部の範囲内、さらに20〜60質量部の範囲内であることがより好ましい。
コーティング層12の厚みは、1〜20μmの範囲内であることが好ましい。コーティング層12の厚みが1μm以上である場合、偏光板の耐久性が特に良好であり、20μm以下である場合、偏光板の光学特性が特に良好である。コーティング層12の厚みは、1〜10μmの範囲内であることが特に好ましい。
<保護層>
図2は、本発明に係る偏光板の構成の例を示す断面図である。本発明においては、図2に示す偏光板200のように、コーティング層12が偏光子11の片面に形成され、偏光子11の該コーティング層12が形成された面と反対の面に透明樹脂フィルムからなる保護層13がさらに形成されてもよい。偏光子11の片面に保護層13を設ける場合、偏光板の耐久性が特に良好となる。またコーティング層12が形成された面には保護層を形成しなくても良好な耐久性が得られ、この場合、たとえば偏光子の両面に保護層が形成されるような従来の構成と比べて光学特性の向上効果は十分良好に得られる。
保護層13を構成する透明樹脂フィルムとしては、たとえば、セルロース系樹脂、環状オレフィン系樹脂、鎖状オレフィン系樹脂や、ポリイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、各種ポリエステル、ポリアセタール、ポリカーボネート、各種ポリ(メタ)アクリレート等を例示することができる。中でも、セルロース系樹脂、環状オレフィン系樹脂および鎖状オレフィン系樹脂から選択される樹脂からなる場合は、光弾性係数が比較的小さく、また無色で透明性に優れるなどの点で有利である。
セルロース系樹脂としては、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース等の酢酸セルロース類を好ましく例示できる。環状オレフィン系樹脂は、環状オレフィン類から導かれるユニットを主成分とする樹脂であり、環状オレフィン類としては、ノルボルネンやジメタノオクタヒドロナフタレン、またそれらの置換体等を好ましく例示できる。鎖状オレフィン系樹脂は、鎖状オレフィン類から導かれるユニットを主成分とする樹脂であり、鎖状オレフィン類としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、2−メチルペンテン−1等を好ましく例示できる。ここで、主成分とは、全体の50質量%を超える量で含有される成分を意味する。
保護層13の形成方法としては従来公知の方法を適宜使用できるが、たとえば、接着剤を介して保護層13を偏光子11に貼合する方法は、特に好ましく採用され得る。ここで接着剤としては、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液からなる水系の接着剤や、硬化性成分を含む無溶剤型の接着剤などが例示される。
<感圧式接着剤層>
図3は、本発明に係る偏光板の構成の例を示す断面図である。本発明においては、図3に示す偏光板300のように、コーティング層12を挟んで偏光子11と対向するように感圧式接着剤層14がさらに形成されてもよい。この場合、本発明の偏光板を用いて光学部材や液晶表示装置を形成する際に、該感圧式接着剤層14を偏光板と光学層や液晶セル等との接着層として作用させることができる。
感圧式接着剤とは、押さえるだけで他物質の表面に接着し、またこれを被着面から引き剥がす場合には、被着物に強度さえあればほとんど痕跡を残すことなく除去できる粘弾性体であって、粘着剤とも呼ばれるものである。感圧式接着剤には、アクリル系のもの、ウレタン系のもの、ゴム系のものなどがあるが、これらのなかから、透明で光学的に等方性のものを選択して用いればよい。なかでも、アクリル系の感圧式接着剤が好ましく用いられる。
感圧式接着剤層14の形成方法としては公知の方法を適宜使用できるが、たとえば、コーティング層12に直接粘着剤塗工液を塗工し、乾燥するダイレクト塗工法や、転写用基材上に予め形成されている感圧式接着剤層をコーティング層12上に転写する転写法は、特に好ましく採用され得る。感圧式接着剤層14の形成にあたり、その形成面(すなわちコーティング層12の表面)に、コロナ放電処理の如き易接着処理を施すことも有効である。
<その他の層>
本発明の偏光板においては、たとえば、前述の保護層の上に、さらにハードコート層、アンチグレア層、反射防止膜等の表面処理層を設けてもよい。また、該保護層がこれらの表面処理層としての機能を有してもよい。
[光学部材]
本発明はまた、上述のいずれかの偏光板と光学層とが積層された積層体からなる光学部材をも提供する。図4は、本発明に係る光学部材の構成の例を示す断面図である。図4に示す光学部材400は、偏光子11の一方の面に保護層13が、他方の面にコーティング層12および感圧式接着剤層14がこの順で、それぞれ形成されてなる偏光板300の感圧式接着剤層14側に、光学層21が積層された積層体からなる。図4では、偏光板の片面(すなわち感圧式接着剤層14側)のみに光学層を形成した構成について示しているが、本発明においては、保護層13の外側に光学層を形成してもよいし、偏光板の両面に光学層を形成してもよい。
光学層としては、位相差板、集光シート、拡散フィルム、導光板、光反射シート、輝度向上フィルム、防眩性シート等が例示され、これらの光学層を目的に応じて組み合わせることによって光学部材に所望の光学特性を持たせることができる。これらのうち、位相差板は通常、図4と同様、感圧式接着剤層14の外側に設けられる。また、集光シート、拡散フィルム、導光板、光反射シート、輝度向上フィルムおよび防眩性シートは通常、図4とは逆に、それぞれ、保護層13の外側に設けられる。
光学部材の典型的な構成としては、たとえば、位相差板、偏光板、拡散フィルム、集光シート、導光板、光反射シートをこの順に積層した構成や、位相差板、偏光板、輝度向上フィルムをこの順に積層した構成、位相差板と偏光板とをこの順に積層した構成等が例示できる。
[液晶表示装置]
本発明はまた、液晶セルの少なくとも片面に本発明の偏光板が形成されてなり、該偏光板が感圧式接着剤層によって液晶セルに貼合されてなる液晶表示装置に関する。例えば、図3に示したような感圧式接着剤層14が形成された偏光板300を、その感圧式接着剤層14側で液晶セルの少なくとも片面に貼合することにより、液晶表示装置とすることができる。
図5は、本発明に係る別の形態の液晶表示装置につき、その要部の構成の例を示す断面図である。図5に示す液晶表示装置500においては、図4に示したような偏光板300と光学層21との積層体からなる光学部材400が液晶セル31を挟むように配置されている。図5に示す液晶表示装置500においては、1対の光学部材400が、各々の光学層21側で液晶セル31と対向するように配置されているが、本発明はこれに限定されない。また、液晶セルの片面には、図3に示したような感圧式接着剤層14が形成された偏光板300を、その感圧式接着剤層14側で貼合し、液晶セルの他面には、図4に示したような光学部材400を、その光学層21側で感圧式接着剤層を介して貼合することにより、さらに別形態の液晶表示装置とすることもできる。
図3に示したような感圧式接着剤層14が形成された偏光板300を液晶表示装置に適用する場合は、その感圧式接着剤層14側で液晶セルに貼合すればよい。また、図4に示したような光学層21が形成された光学部材400を液晶表示装置に適用する場合は、光学部材の表面に感圧式接着剤層を形成し、該感圧式接着剤層を介して光学部材と液晶セルとを貼合することができる。
液晶表示装置を構成する液晶セルは、TN(Twisted Nematic)、STN(Super Twisted Nematic)、 VA(Vertical Alignment)、 IPS(In−Plane Switching)等、液晶表示装置の分野で知られている各種のモードのものであることができる。特に、IPSモードの液晶表示装置における視野角特性の向上効果は、本発明において顕著に発揮される。
なお液晶セルは、典型的には、対向する1対の基板と、該基板の対向する面の一方または双方に設けられた電極と、該基板で挟まれた領域内に充填された液晶層とを少なくとも含む構造を有する。TNモードやSTNモード、VAモードの場合は、上記1対の基板のそれぞれ対向する面に、電極が設けられる。またIPSモードの場合は、一方の基板の液晶層側に、平行な櫛歯状の電極が配置される。IPSモードの場合、液晶セルの上下に配置する偏光板は、それぞれの吸収軸を直交させて、ノーマリーブラックとするのが通例である。この場合、電圧無印加で黒表示時の液晶分子の配向方向(液晶セルの遅相軸)に対して、一方の偏光板の吸収軸が平行となり、他方の偏光板の吸収軸が直交するように配置される。そして、透過型液晶表示装置として用いる場合は、一方の偏光板の外側にバックライトが配置される。
本発明の偏光板を用いることにより、たとえば偏光子のクラックの発生が防止される等、環境の変化に対する耐久性が良好であり、かつ薄型で光学特性にも優れる液晶表示装置を得ることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下の手順で、実施例1および比較例1,2に係る偏光板、および液晶表示装置としての液晶テレビを作製した。
[実施例1]
<コーティング層を形成するための塗工液の調製>
水溶性樹脂(A)として、市販のアニオン変性ポリビニルアルコール((株)クラレ製:KL−506)を用い、該ポリビニルアルコールを、水/イソプロピルアルコール(IPA)混合溶液に下記の組成比で混合し、数時間放置して溶解させた。その後、速やかに80℃に昇温して1時間ほど攪拌した後、攪拌を続けながら緩やかに液温を室温まで戻してポリビニルアルコールの水/IPA溶液を得た。得られたポリビニルアルコール溶液を攪拌しながら、水溶性有機金属化合物(B)としてオルガチックスTC−310を加え、さらに30分ほど攪拌を続け、塗工液を完成させた。
水 100.0質量部
IPA 12.9質量部
KL−506 12.9質量部
TC−310 12.9質量部
<片面保護層付きの偏光板の作製>
図3に示す構成の偏光板300を作製した。平均重合度約2,400、ケン化度99.9モル%以上で厚さ75μmのPVA(ポリビニルアルコール)フィルムを、乾式で約5倍に一軸延伸し、さらに緊張状態を保ったまま、60℃の純水に1分間浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の質量比が0.05/5/100の水溶液に、28℃で60秒間浸漬して染色した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の質量比が8.5/8.5/100の水溶液に、72℃で300秒間浸漬した。引き続き、26℃の純水で20秒間洗浄した後、90℃で乾燥して、PVAにヨウ素が吸着配向された、25μm厚の偏光子11を得た。
別途、水100質量部に特殊変性PVA(日本合成化学工業(株)製:Z200)を3質量部溶かした水溶液に、架橋反応触媒として塩化亜鉛を0.35質量部添加した溶液Aと、水100質量部に特殊変性PVAの架橋剤であるグリオキザールを0.28質量部および粘度調整剤として高ケン化度PVA((株)クラレ製:PVA−117H)を3質量部溶かした溶液Bとを用意し、溶液Aおよび溶液Bを混合して、水系接着剤とした。先に得られた偏光子11の片面に、保護層13となるトリアセチルセルロースフィルム(コニカミノルタオプト(株)製:KC4UY)(40μm厚)を上記の水系接着剤で接着し、溶媒を熱風で除去することで、片面保護層付きの偏光板を得た。
かかる片面保護層付きの偏光板の該保護層13とは反対側の面に、上記で調製した塗工液を卓上バーコーターで塗布し、80℃のオーブン内で3分間乾燥させて溶媒を除去し、コーティング層12を形成した。このコーティング層12の乾燥後の厚みは、面内バラツキを含めて4.5〜5.0μmであった。
該コーティング層12の表面に280Wの強度でコロナ放電処理を行なった後、離型処理が施されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に25μm厚で形成された感圧式接着剤層14(リンテック(株)製:P−3132、以下「離型フィルム付き感圧式接着剤」と称し、その支持体であるPETフィルムを「離型フィルム」と称する)を貼り付け、感圧式接着剤層14が形成された偏光板300を複数枚得た。偏光板300の厚みは、離型フィルムを除いて95μmであった。
<偏光板の評価>
上記で作製した感圧式接着剤層付き偏光板300から感圧式接着剤層上の離型フィルムを剥がし、その感圧式接着剤層14側をソーダガラスに貼り合わせてガラス貼合サンプルを作製し、50℃5気圧の条件下で20分間処理した。
次に、該ガラス貼合サンプルを下記に示すような冷熱衝撃試験に供した後、該ガラス貼合サンプルを取り出してその外観を評価した。その結果、偏光子11にワレは発生していなかった。
冷熱衝撃試験
条件1:−35℃乾燥条件下に30分間晒す。
条件2:条件1の処理後すぐに85℃乾燥条件下に移し、30分間晒す。
上記の条件1と条件2との処理を1サイクルとして、100サイクル処理を行なった。
<液晶表示装置の作製と評価>
図6は、実施例1で作製した液晶表示装置の構成を示す断面図であり、図7は、図6に示す液晶表示装置における偏光子の吸収軸と液晶セルの遅相軸(電圧無印加時、すなわち黒表示時の液晶分子の配向方向、以下同じ)との関係を示す図である。図7には、視認側の偏光子11の吸収軸A、液晶セル31の遅相軸B、およびバックライト側の偏光子11の吸収軸Cがそれぞれ示されている。
市販のIPSモードの液晶テレビ((株)日立製作所製:Wooo7000)を分解し、偏光板や位相差板等の光学層を全て剥がして液晶セルを取り出した。得られた液晶セル31の上下に、上記で作製した偏光板300を、図6に示すような構成で貼り合わせた。再び液晶テレビを組み立ててから、黒を表示させた状態で市販の視野角測定装置(ELDIM社製:EZ−contrast)を用いて、全方位からの色目を測定し、光学特性の指標として視野角特性を評価した。
[比較例1]
図8は、比較例1で作製した液晶表示装置の構成を示す断面図であり、図9は、図8に示す液晶表示装置における偏光子の吸収軸と液晶セルの遅相軸との関係を示す図である。図9には、視認側の偏光子11の吸収軸A、液晶セル31の遅相軸B、およびバックライト側の偏光子11の吸収軸Cがそれぞれ示されている。
25μm厚の偏光子11の片側に40μm厚のトリアセチルセルロースフィルムが保護層13として形成されてなる偏光板の該保護層13とは反対側の面に、280Wの強度でコロナ放電処理を行なった後、実施例1で用いたのと同じ離型フィルム付き感圧式接着剤を貼り付け、感圧式接着剤層14が形成された偏光板を複数枚得た。該偏光板の厚みは、離型フィルムを除いて90μmであった。
上記で作製した感圧式接着剤層付き偏光板から感圧式接着剤層上の離型フィルムを剥がし、その感圧式接着剤層側をソーダガラスに貼り合わせてガラス貼合サンプルを作製し、50℃5気圧の条件下で20分間処理した。
次に、該ガラス貼合サンプルを実施例1で述べた冷熱衝撃試験に供した後、該ガラス貼合サンプルを取り出してその外観を評価した。その結果、偏光子11に多数のワレが発生していた。
また、実施例1と同様の方法で得た液晶セル31の上下に、上記で作製した感圧式接着剤層付き偏光板を図8に示すような構成で貼り合わせた。再び液晶テレビを組み立ててから、実施例1と同じ手法で、黒を表示させた状態での視野角特性を評価した。
[比較例2]
図10は、比較例2で作製した液晶表示装置の構成を示す断面図であり、図11は、図10に示す液晶表示装置における偏光子の吸収軸と液晶セルの遅相軸との関係を示す図である。図11には、視認側の偏光子11の吸収軸A、液晶セル31の遅相軸B、およびバックライト側の偏光子11の吸収軸Cがそれぞれ示されている。
25μm厚の偏光子11の両側に40μm厚のトリアセチルセルロースフィルムが保護層13として形成されてなる偏光板の片面に、280Wの強度でコロナ放電処理を行なった後、実施例1で用いたのと同じ離型フィルム付き感圧式接着剤を貼り付け、感圧式接着剤層14が形成された偏光板を複数枚得た。該偏光板の厚みは、離型フィルムを除いて130μmであった。
上記で作製した感圧式接着剤層付き偏光板から感圧式接着剤層上の離型フィルムを剥がし、その感圧式接着剤層側をソーダガラスに貼り合わせてガラス貼合サンプルを作製し、50℃5気圧の条件下で20分間処理した。
次に、該ガラス貼合サンプルを実施例1で述べた冷熱衝撃試験に供した後、該ガラス貼合サンプルを取り出してその外観を評価した。その結果、偏光子11にワレは発生していなかった。
また、実施例1と同様の方法で得た液晶セル31の上下に、上記で作製した感圧式接着剤層付き偏光板を図10に示すような構成で貼り合わせた。再び液晶テレビを組み立ててから、実施例1と同じ手法で、黒を表示させた状態での視野角特性を評価した。
図12は、実施例1で作製した液晶テレビについて、法線方向からの傾斜角および画面上下左右の方位角を様々に変化させて液晶ディスプレイを見た場合の色目の評価結果を示すxy色度図であり、図13は、比較例1で作製した液晶テレビについて、法線方向からの傾斜角および画面上下左右の方位角を様々に変化させて液晶ディスプレイを見た場合の色目の評価結果を示すxy色度図であり、図14は、比較例2で作製した液晶テレビについて、法線方向からの傾斜角および画面上下左右の方位角を様々に変化させて液晶ディスプレイを見た場合の色目の評価結果を示すxy色度図である。
これらのxy色度図において、横軸がx軸、縦軸がy軸とされ、外側の閉曲線は単色光の刺激値を表す単色光軌跡であって、右端でxの最も大きい点が波長780nm、上端でyの最も大きい点が波長520nm付近、そして左下でyの最も小さい点が波長380nmに相当する。(x=0.33,y=0.33)の付近が白色に相当し、外側閉曲線内の概ね右下側が赤、上側が緑、左下側が青に相当する。内側にある点の集まりが実際の測定データであって、法線からの傾斜角を0〜80度の範囲で、また、画面右方向を0度として方位角を0〜360度の範囲でそれぞれ変化させたときの、色度の測定データがプロットされている。この測定データを表す点の集まりの面積が小さいほど、視野角による色変化が小さいことを意味する。
図12〜14に示す結果から、実施例1および比較例1で作製した液晶テレビにおいては、色目の角度依存性が少なく、視野角特性に優れている一方、比較例2で作製した液晶テレビにおいては、見る角度によって色変化が大きく、視野角特性に劣ることが分かった。
上記の結果を表1にまとめる。
Figure 0005051696
上記の結果から、偏光子と液晶セルとの間に保護層もコーティング層も形成されていない比較例1においては、偏光板の厚みが90μmと薄く、液晶表示装置の光学特性も確保できたが、冷熱衝撃試験において偏光子にワレが発生し、偏光板の耐久性が十分得られなかったことが分かる。また、偏光子の両面に保護層を形成した比較例2においては、偏光板の耐久性は確保できたものの、偏光板の厚みが130μmと厚く、液晶表示装置の光学特性も十分確保できなかったことが分かる。これに対して、偏光子の一方の面にコーティング層を形成し、他方の面に保護層を形成した実施例1においては、偏光板の厚みが95μmと薄く、かつ偏光板の耐久性と液晶表示装置の光学特性とを良好に確保できたことが分かる。これらの結果から、本発明に係る偏光板は、液晶表示装置の例である液晶テレビへの実装時に優れた光学特性を与え、薄型であり、かつ耐久性にも優れることが確認された。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明に係る偏光板は、液晶表示装置、特にIPSモードの液晶ディスプレイに実装した際に良好な光学特性が得られ、かつ、環境の変化に対する耐久性に優れるものである。また、偏光板の厚みも従来よりも薄く設計できることから、本発明は、薄型の液晶表示装置に対して好適に適用され得る。
本発明に係る偏光板の構成の例を示す断面図である。 本発明に係る偏光板の構成の例を示す断面図である。 本発明に係る偏光板の構成の例を示す断面図である。 本発明に係る光学部材の構成の例を示す断面図である。 本発明に係る別の形態の液晶表示装置につき、その要部の構成の例を示す断面図である。 実施例1で作製した液晶表示装置の構成を示す断面図である。 図6に示す液晶表示装置における偏光子の吸収軸と液晶セルの遅相軸との関係を示す図である。 比較例1で作製した液晶表示装置の構成を示す断面図である。 図8に示す液晶表示装置における偏光子の吸収軸と液晶セルの遅相軸との関係を示す図である。 比較例2で作製した液晶表示装置の構成を示す断面図である。 図10に示す液晶表示装置における偏光子の吸収軸と液晶セルの遅相軸との関係を示す図である。 実施例1で作製した液晶テレビについて、法線方向からの傾斜角および画面上下左右の方位角を様々に変化させて液晶ディスプレイを見た場合の色目の評価結果を示すxy色度図である。 比較例1で作製した液晶テレビについて、法線方向からの傾斜角および画面上下左右の方位角を様々に変化させて液晶ディスプレイを見た場合の色目の評価結果を示すxy色度図である。 比較例2で作製した液晶テレビについて、法線方向からの傾斜角および画面上下左右の方位角を様々に変化させて液晶ディスプレイを見た場合の色目の評価結果を示すxy色度図である。
符号の説明
100,200,300 偏光板、11 偏光子、12 コーティング層、13 保護層、14 感圧式接着剤層、21 光学層、31 液晶セル、400 光学部材、500 液晶表示装置。

Claims (5)

  1. 偏光子と、前記偏光子の少なくとも片面に形成されたコーティング層とを備え、
    前記コーティング層は、水溶性樹脂(A)と、下記の式(1)および(2)、
    (HO) 2 Ti[OCH(CH 3 )COOH] 2 (1)
    (C 3 7 O) 2 Ti[OCH 2 CH 2 N(CH 2 CH 2 OH) 2 2 (2)
    で表される化合物から選択される少なくとも1種水溶性有機チタン化合物(B)と、を含む組成物から形成された層である、偏光板。
  2. 前記コーティング層は前記偏光子の片面に形成され、
    前記偏光子の前記コーティング層が形成された面と反対の面に透明樹脂フィルムからなる保護層がさらに形成されてなる、請求項1に記載の偏光板。
  3. 前記透明樹脂フィルムは、セルロース系樹脂、環状オレフィン系樹脂および鎖状オレフィン系樹脂から選択される樹脂からなる、請求項に記載の偏光板。
  4. 前記水溶性樹脂(A)がポリビニルアルコール系樹脂である、請求項1〜3のいずれかに記載の偏光板。
  5. 前記コーティング層を挟んで前記偏光子と対向するように感圧式接着剤層がさらに形成されてなる、請求項1〜4のいずれかに記載の偏光板。
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