JP2010276815A - 偏光子の製造方法、それによって製造される偏光子、偏光板、及び画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、高温環境下で光学特性が低下し難い偏光子を得ることができる製造方法を提供することにある。
【解決手段】
尿素、及びチオ尿素から選択される少なくとも1種の化合物を含有する親水性ポリマー樹脂層を気体中で少なくとも1方向に延伸して延伸樹脂層を得る工程A、及び
前記延伸樹脂層を二色性物質により染色する工程B
を含む偏光子の製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】
尿素、及びチオ尿素から選択される少なくとも1種の化合物を含有する親水性ポリマー樹脂層を気体中で少なくとも1方向に延伸して延伸樹脂層を得る工程A、及び
前記延伸樹脂層を二色性物質により染色する工程B
を含む偏光子の製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、偏光子の製造方法、それによって製造される偏光子、偏光板、及び画像表示装置に関する。
液晶テレビ、液晶ディスプレー、携帯電話、及び携帯情報端末等の、又はそれらにおける液晶表示装置には、必須の光学部材として、偏光子が用いられている。偏光子は、入射する光における直交する偏光成分の一方のみを通過させる部材である。
液晶表示装置等における偏光子としては、高透過率と高偏光度を兼ね備えていることから、染色処理されたポリビニルアルコール系ポリマー樹脂層(以下、PVA系ポリマー樹脂層と略称する場合がある。)が汎用されている。液晶表示装置等においては、通常、このような偏光子と、その少なくとも一方の表面に配置された保護層とを有する偏光板が用いられている。
前記のような偏光子、すなわち染色処理されたPVA系ポリマー樹脂層は、一般的に、例えば、
PVA系ポリマー樹脂層をヨウ素で染色する染色工程と、
当該樹脂層を延伸する延伸工程と、
を含む製造方法によって製造されている。
このような製造方法として具体的に例えば、特許文献1には、
PVA系ポリマー樹脂層等の親水性ポリマー樹脂層にヨウ素等の二色性物質を染色させる工程を有し、
染色工程の前に、尿素又はチオ尿素の少なくとも何れか一方を、親水性ポリマー樹脂層に含有又は接触させること
を特徴とする偏光子の製造方法
が開示されている。
このような偏光子において、PVA系ポリマー鎖は一定方向に配向している。また、前記二色性物質がヨウ素である場合、ヨウ素は、PVA系ポリマー樹脂層中でポリヨウ素イオン(例、I3−、I5−)錯体を形成し、可視光領域で吸収二色性を示す。
液晶表示装置等における偏光子としては、高透過率と高偏光度を兼ね備えていることから、染色処理されたポリビニルアルコール系ポリマー樹脂層(以下、PVA系ポリマー樹脂層と略称する場合がある。)が汎用されている。液晶表示装置等においては、通常、このような偏光子と、その少なくとも一方の表面に配置された保護層とを有する偏光板が用いられている。
前記のような偏光子、すなわち染色処理されたPVA系ポリマー樹脂層は、一般的に、例えば、
PVA系ポリマー樹脂層をヨウ素で染色する染色工程と、
当該樹脂層を延伸する延伸工程と、
を含む製造方法によって製造されている。
このような製造方法として具体的に例えば、特許文献1には、
PVA系ポリマー樹脂層等の親水性ポリマー樹脂層にヨウ素等の二色性物質を染色させる工程を有し、
染色工程の前に、尿素又はチオ尿素の少なくとも何れか一方を、親水性ポリマー樹脂層に含有又は接触させること
を特徴とする偏光子の製造方法
が開示されている。
このような偏光子において、PVA系ポリマー鎖は一定方向に配向している。また、前記二色性物質がヨウ素である場合、ヨウ素は、PVA系ポリマー樹脂層中でポリヨウ素イオン(例、I3−、I5−)錯体を形成し、可視光領域で吸収二色性を示す。
前記特許文献1に記載の方法によれば、光学特性に優れた偏光子が得られる。しかしながら、光学特性が低下し易い高湿環境下での光学特性の維持において、更なる性能の向上が求められている。したがって、本発明の課題は、高温環境下でも光学特性が低下し難い偏光子を得ることができる製造方法を提供することにある。
本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意検討したところ、尿素を含有するポリビニルアルコール系樹脂層を、染色前に乾式延伸し、高い結晶化度を有する延伸層を得た後、その延伸層を染色することによって、高湿環境下でも光学特性が低下し難く、高湿度に曝露された後でも優れた光学特性を示す偏光子が得られることを見出した。
本発明者らは、これを、当該偏光子中の延伸層が高い結晶度を有することによって、水分が当該延伸層に進入し難くなっていることによるものである、と推測している。一方、本発明者らは更に、前記のような従来の製造方法によって製造されている偏光子の場合は、染色工程中に尿素が染色液中へ溶出し、延伸工程時には十分量の尿素が残存しておらず、それに起因して、高い結晶化度を有する延伸層が得られていないものと推測している。但し、これらの推定メカニズムは、本発明の範囲を限定するものではない。
本発明者らは、このような知見に基づき、更なる研究の結果、本発明を完成するに至った。
本発明者らは、これを、当該偏光子中の延伸層が高い結晶度を有することによって、水分が当該延伸層に進入し難くなっていることによるものである、と推測している。一方、本発明者らは更に、前記のような従来の製造方法によって製造されている偏光子の場合は、染色工程中に尿素が染色液中へ溶出し、延伸工程時には十分量の尿素が残存しておらず、それに起因して、高い結晶化度を有する延伸層が得られていないものと推測している。但し、これらの推定メカニズムは、本発明の範囲を限定するものではない。
本発明者らは、このような知見に基づき、更なる研究の結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
尿素、及びチオ尿素から選択される少なくとも1種の化合物を含有する親水性ポリマー樹脂層を気体中で少なくとも1方向に延伸して延伸樹脂層を得る工程A、及び
前記延伸樹脂層を二色性物質により染色する工程B
を含む偏光子の製造方法
に関する。
好ましくは、尿素、及びチオ尿素から選択される少なくとも1種の前記化合物は、尿素である。
好ましくは、前記親水性ポリマーは、PVA系ポリマーである。
好ましくは、前記二色性物質は、ヨウ素である。
尿素、及びチオ尿素から選択される少なくとも1種の化合物を含有する親水性ポリマー樹脂層を気体中で少なくとも1方向に延伸して延伸樹脂層を得る工程A、及び
前記延伸樹脂層を二色性物質により染色する工程B
を含む偏光子の製造方法
に関する。
好ましくは、尿素、及びチオ尿素から選択される少なくとも1種の前記化合物は、尿素である。
好ましくは、前記親水性ポリマーは、PVA系ポリマーである。
好ましくは、前記二色性物質は、ヨウ素である。
また、本発明は、前記製造方法によって製造される偏光子に関する。
さらに、本発明は、前記偏光子と
当該偏光子の少なくとも一方の表面に配置された保護層と
を有する偏光板に関する。
当該偏光子の少なくとも一方の表面に配置された保護層と
を有する偏光板に関する。
さらに、本発明は、前記偏光子、又は前記偏光板を含む画像表示装置に関する。
本発明の製造方法によれば、高湿環境下でも光学特性(例、単体透過率)が低下し難く、高湿度に曝露された後でも優れた光学特性(例、単体透過率)を示す偏光子が得られる。
また、本発明の偏光子は、高湿環境下でも光学特性(例、単体透過率)が低下し難く、高湿度に曝露された後でも優れた光学特性(例、単体透過率)を示す。
この、本発明の偏光子が有する利点に起因して、これを用いた本発明の画像表示装置は、良好な画像が長期間維持される。
また、本発明の偏光子は、高湿環境下でも光学特性(例、単体透過率)が低下し難く、高湿度に曝露された後でも優れた光学特性(例、単体透過率)を示す。
この、本発明の偏光子が有する利点に起因して、これを用いた本発明の画像表示装置は、良好な画像が長期間維持される。
以下に、本発明を詳細に説明する。
前記の通り、本発明の製造方法は、
尿素、及びチオ尿素から選択される少なくとも1種の化合物を含有する親水性ポリマー樹脂層(以下、「尿素等の化合物を含有する親水性ポリマー樹脂層」と称する場合がある)を気体中で少なくとも1方向に延伸して延伸樹脂層を得る工程A、及び
前記延伸樹脂層を二色性物質により染色する工程B
を含む。
本発明の製造方法は、前記工程A及び工程Bをこの順で含むことのみを必要とする。すなわち、本発明の製造方法は、各工程の間又は前後に、所望による工程を含んでいてもよい。当該「所望による工程」としては、例えば、延伸樹脂層を架橋液(例、ホウ酸を含有する水溶液)で架橋させる工程(架橋工程)や、延伸樹脂層の表面に付着した余分な水滴を除去する工程(水滴除去工程)や、延伸樹脂層を乾燥して、その水分率を調整する工程(乾燥工程)等が挙げられる。
前記の通り、本発明の製造方法は、
尿素、及びチオ尿素から選択される少なくとも1種の化合物を含有する親水性ポリマー樹脂層(以下、「尿素等の化合物を含有する親水性ポリマー樹脂層」と称する場合がある)を気体中で少なくとも1方向に延伸して延伸樹脂層を得る工程A、及び
前記延伸樹脂層を二色性物質により染色する工程B
を含む。
本発明の製造方法は、前記工程A及び工程Bをこの順で含むことのみを必要とする。すなわち、本発明の製造方法は、各工程の間又は前後に、所望による工程を含んでいてもよい。当該「所望による工程」としては、例えば、延伸樹脂層を架橋液(例、ホウ酸を含有する水溶液)で架橋させる工程(架橋工程)や、延伸樹脂層の表面に付着した余分な水滴を除去する工程(水滴除去工程)や、延伸樹脂層を乾燥して、その水分率を調整する工程(乾燥工程)等が挙げられる。
[1]工程A(延伸工程)
本発明における工程Aは、尿素等の化合物を含有する親水性ポリマー樹脂層を気体中で少なくとも1方向に延伸して延伸樹脂層を得る工程である。
本発明における工程Aは、尿素等の化合物を含有する親水性ポリマー樹脂層を気体中で少なくとも1方向に延伸して延伸樹脂層を得る工程である。
[1−1]尿素等の化合物を含有する親水性ポリマー樹脂層
本発明における、親水性ポリマー樹脂層としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルム、部分ホルマール化PVA系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系フィルム、及びこれらの部分鹸化フィルム等が挙げられる。
本発明で用いられる、尿素等の化合物を含有する親水性ポリマー樹脂層は、好ましくは、尿素、及びチオ尿素から選択される少なくとも1種の化合物、及び親水性ポリマーを含有する組成物から形成した樹脂層である。
本発明で用いられる、尿素等の化合物を含有する親水性ポリマー樹脂層を形成する親水性ポリマーは、水酸基を有するポリマーである。このようなポリマーとしては、染色性に優れている観点からは、例えば、PVA系ポリマーが好ましい。
PVA系ポリマーは、代表的には、ポリ酢酸ビニル系ポリマーを鹸化することよって、得られる。
PVA系ポリマーの例として具体的には、
(1)PVA(ポリビニルアルコール)、すなわち、ポリ酢酸ビニルを鹸化して得られるポリマー;
(2)酢酸ビニルに由来する構造単位に加えて、酢酸ビニルと共重合可能なモノマー(例、不飽和カルボン酸、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸)に由来する(3)構造単位を含むPVA系ポリマー;
(4)これらのポリマーがアセトアセチル基、スルホン酸基、又はカルボキシル基等の基で変性されたポリマーである変性PVA;及び
(5)その他の変性PVA(例、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール)等が挙げられる。
なかでも、好ましい例としては、PVA、及びエチレン−ビニルアルコール共重合体が挙げられる。
本発明で用いられる親水性ポリマーの平均重合度は、約1,000〜約10,000が好ましい。
また、本発明で用いられるポリビニルアルコール系ポリマーの鹸化度は、好ましくは85モル%〜100モル%、より好ましくは98モル%〜100モル%、更に好ましくは99モル%〜100モル%である。
当該「親水性ポリマー」は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明で用いられる親水性ポリマーとしては、約1,000〜約10,000の平均重合度、及び99モル%〜100モル%の鹸化度を有するPVAが特に好ましい。
本発明で用いられる親水性ポリマー樹脂層の親水性ポリマー含有量は、親水性ポリマー樹脂層全体100重量部に対して、好ましくは80重量部〜99重量部であり、より好ましくは85重量部〜95重量部である。
本発明における、親水性ポリマー樹脂層としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルム、部分ホルマール化PVA系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系フィルム、及びこれらの部分鹸化フィルム等が挙げられる。
本発明で用いられる、尿素等の化合物を含有する親水性ポリマー樹脂層は、好ましくは、尿素、及びチオ尿素から選択される少なくとも1種の化合物、及び親水性ポリマーを含有する組成物から形成した樹脂層である。
本発明で用いられる、尿素等の化合物を含有する親水性ポリマー樹脂層を形成する親水性ポリマーは、水酸基を有するポリマーである。このようなポリマーとしては、染色性に優れている観点からは、例えば、PVA系ポリマーが好ましい。
PVA系ポリマーは、代表的には、ポリ酢酸ビニル系ポリマーを鹸化することよって、得られる。
PVA系ポリマーの例として具体的には、
(1)PVA(ポリビニルアルコール)、すなわち、ポリ酢酸ビニルを鹸化して得られるポリマー;
(2)酢酸ビニルに由来する構造単位に加えて、酢酸ビニルと共重合可能なモノマー(例、不飽和カルボン酸、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸)に由来する(3)構造単位を含むPVA系ポリマー;
(4)これらのポリマーがアセトアセチル基、スルホン酸基、又はカルボキシル基等の基で変性されたポリマーである変性PVA;及び
(5)その他の変性PVA(例、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール)等が挙げられる。
なかでも、好ましい例としては、PVA、及びエチレン−ビニルアルコール共重合体が挙げられる。
本発明で用いられる親水性ポリマーの平均重合度は、約1,000〜約10,000が好ましい。
また、本発明で用いられるポリビニルアルコール系ポリマーの鹸化度は、好ましくは85モル%〜100モル%、より好ましくは98モル%〜100モル%、更に好ましくは99モル%〜100モル%である。
当該「親水性ポリマー」は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明で用いられる親水性ポリマーとしては、約1,000〜約10,000の平均重合度、及び99モル%〜100モル%の鹸化度を有するPVAが特に好ましい。
本発明で用いられる親水性ポリマー樹脂層の親水性ポリマー含有量は、親水性ポリマー樹脂層全体100重量部に対して、好ましくは80重量部〜99重量部であり、より好ましくは85重量部〜95重量部である。
本発明で用いられる親水性ポリマー樹脂層は、尿素、及びチオ尿素から選択される少なくとも1種の化合物(以下、尿素等の化合物と略称する場合がある)を含有する。
このことによって、当該親水性ポリマー樹脂層を延伸して得られる延伸樹脂層は、高い結晶化度を有することができる。
尿素(化学式:(H2N)2C=O)及びチオ尿素(化学式:(H2N)2C=S)は、いずれも、水素結合を形成し得る3つの部位を有し、親水性ポリマーの水酸基と水素結合を形成する。この水素結合による凝集力が、結晶化を促進すると考えられる。ただし、この原理は、本発明の範囲を限定するものではない。
本発明で用いられる親水性ポリマー樹脂層の尿素含有量は、親水性ポリマー樹脂層全体100重量部に対して、好ましくは1重量部〜20重量部であり、より好ましくは5重量部〜15重量部である。
また、前記親水性ポリマー樹脂層は、尿素、及びチオ尿素から選択される少なくとも1種の化合物に加えて、所望により、親水性ポリマー樹脂層に汎用される添加剤を含有していてもよい。このような添加剤としては、例えば、界面活性剤、可塑剤、及び酸化防止剤等が挙げられる。
当該添加剤の含有量は、本発明の目的が達成される限り、特に限定されないが、親水性ポリマー樹脂層全体100重量部に対して、通常10重量部以下である。
このことによって、当該親水性ポリマー樹脂層を延伸して得られる延伸樹脂層は、高い結晶化度を有することができる。
尿素(化学式:(H2N)2C=O)及びチオ尿素(化学式:(H2N)2C=S)は、いずれも、水素結合を形成し得る3つの部位を有し、親水性ポリマーの水酸基と水素結合を形成する。この水素結合による凝集力が、結晶化を促進すると考えられる。ただし、この原理は、本発明の範囲を限定するものではない。
本発明で用いられる親水性ポリマー樹脂層の尿素含有量は、親水性ポリマー樹脂層全体100重量部に対して、好ましくは1重量部〜20重量部であり、より好ましくは5重量部〜15重量部である。
また、前記親水性ポリマー樹脂層は、尿素、及びチオ尿素から選択される少なくとも1種の化合物に加えて、所望により、親水性ポリマー樹脂層に汎用される添加剤を含有していてもよい。このような添加剤としては、例えば、界面活性剤、可塑剤、及び酸化防止剤等が挙げられる。
当該添加剤の含有量は、本発明の目的が達成される限り、特に限定されないが、親水性ポリマー樹脂層全体100重量部に対して、通常10重量部以下である。
本発明で用いられる親水性ポリマー樹脂層の厚さは、所望する偏光子の厚さに応じて決定すればよいが、好ましくは、1μm〜10μmである。
本発明で用いられる親水性ポリマー樹脂層は、通常、未延伸の樹脂層である。
本発明で用いられる親水性ポリマー樹脂層は、例えば、
(a)前記親水性ポリマー、(b)尿素、及びチオ尿素から選択される少なくとも1種の前記化合物、(c)前記所望による添加剤、及び(d)水を、公知の方法に従い、混合して、水溶液を調製すること、及び
得られた当該水溶液から、公知の方法に従い、所望する厚さに樹脂層を形成すること
によって、調製することができる。
当該樹脂層形成は、好ましくは、前記水溶液を後記で説明する支持フィルム上に塗布し、乾燥することによって行われる。この場合、当業者に明らかなように、前記親水性ポリマー樹脂層と、当該親水性ポリマー樹脂層の一方の表面に配置された前記支持フィルムとを有する積層体が得られる。
ここで、乾燥時間、及び加熱乾燥等の乾燥条件は、通常の親水性ポリマー樹脂層の成膜の条件に準じて設定すればよいが、加熱温度は、通常、約50℃〜約90℃である。また、乾燥時間は、通常、約3分〜約15分である。
本発明で用いられる親水性ポリマー樹脂層は、例えば、
(a)前記親水性ポリマー、(b)尿素、及びチオ尿素から選択される少なくとも1種の前記化合物、(c)前記所望による添加剤、及び(d)水を、公知の方法に従い、混合して、水溶液を調製すること、及び
得られた当該水溶液から、公知の方法に従い、所望する厚さに樹脂層を形成すること
によって、調製することができる。
当該樹脂層形成は、好ましくは、前記水溶液を後記で説明する支持フィルム上に塗布し、乾燥することによって行われる。この場合、当業者に明らかなように、前記親水性ポリマー樹脂層と、当該親水性ポリマー樹脂層の一方の表面に配置された前記支持フィルムとを有する積層体が得られる。
ここで、乾燥時間、及び加熱乾燥等の乾燥条件は、通常の親水性ポリマー樹脂層の成膜の条件に準じて設定すればよいが、加熱温度は、通常、約50℃〜約90℃である。また、乾燥時間は、通常、約3分〜約15分である。
[1−2]延伸
尿素等の化合物を含有する親水性ポリマー樹脂層の延伸は、気体中で行われる。すなわち、当該延伸は、いわゆる乾式延伸である。
当該気体は、通常、空気であるが、窒素ガス等の不活性ガスであってもよい。
当該延伸の方法としては、特に限定されず、ロール延伸、又はテンター延伸等の、フィルム延伸に通常用いられている延伸加工法を採用することができる。
前記親水性ポリマー樹脂層の延伸倍率(すなわち、延伸前の長さに対する延伸後の長さ)は、通常、3倍〜7倍である。
当該延伸は、一方向(例、長手方向、幅方向)の延伸(一軸延伸)でもよく、二軸延伸でもよい。
なお、親水性ポリマー樹脂層の機械的強度が低く、単独での延伸が困難な場合、前記親水性ポリマー樹脂層と、当該親水性ポリマー樹脂層の一方の表面に配置された前記支持フィルムとを有する積層体を調製し、当該積層体全体を延伸することによって、親水性ポリマー樹脂層の延伸を実施してもよい。なお、以下において、このように積層体全体を延伸したものを、延伸積層体と称する場合がある。
当該支持フィルムとしては、透明性が高く、かつ延伸可能なフィルムであれば特に限定されないが、好ましくは、例えば、ポリエステル系フィルムが挙げられる。
当該ポリエステル系フィルムとして、好ましくは、例えば、ポリエステル系ポリマー(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)から形成されるフィルムが挙げられる。
当該支持フィルムは、所望により、ポリマーフィルムに汎用される添加剤を含有していてもよい。このような添加剤としては、例えば、界面活性剤、可塑剤、及び酸化防止剤等が挙げられる。
当該添加剤の含有量は、必要な透明性、及び必要な延伸性が得られる限り、特に限定されないが、通常、支持フィルム全体100重量部に対して10重量部以下である。
尿素等の化合物を含有する親水性ポリマー樹脂層の延伸は、気体中で行われる。すなわち、当該延伸は、いわゆる乾式延伸である。
当該気体は、通常、空気であるが、窒素ガス等の不活性ガスであってもよい。
当該延伸の方法としては、特に限定されず、ロール延伸、又はテンター延伸等の、フィルム延伸に通常用いられている延伸加工法を採用することができる。
前記親水性ポリマー樹脂層の延伸倍率(すなわち、延伸前の長さに対する延伸後の長さ)は、通常、3倍〜7倍である。
当該延伸は、一方向(例、長手方向、幅方向)の延伸(一軸延伸)でもよく、二軸延伸でもよい。
なお、親水性ポリマー樹脂層の機械的強度が低く、単独での延伸が困難な場合、前記親水性ポリマー樹脂層と、当該親水性ポリマー樹脂層の一方の表面に配置された前記支持フィルムとを有する積層体を調製し、当該積層体全体を延伸することによって、親水性ポリマー樹脂層の延伸を実施してもよい。なお、以下において、このように積層体全体を延伸したものを、延伸積層体と称する場合がある。
当該支持フィルムとしては、透明性が高く、かつ延伸可能なフィルムであれば特に限定されないが、好ましくは、例えば、ポリエステル系フィルムが挙げられる。
当該ポリエステル系フィルムとして、好ましくは、例えば、ポリエステル系ポリマー(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)から形成されるフィルムが挙げられる。
当該支持フィルムは、所望により、ポリマーフィルムに汎用される添加剤を含有していてもよい。このような添加剤としては、例えば、界面活性剤、可塑剤、及び酸化防止剤等が挙げられる。
当該添加剤の含有量は、必要な透明性、及び必要な延伸性が得られる限り、特に限定されないが、通常、支持フィルム全体100重量部に対して10重量部以下である。
当該延伸の温度は、好ましくは、90℃〜160℃である。
当該延伸によって得られる延伸樹脂層の結晶化度は、好ましくは25%〜40%であり、より好ましくは30%〜40%である。
前記結晶化度は、例えば、延伸前の親水性ポリマー樹脂層における尿素等の化合物の含有量、延伸倍率、又はそれらの両方を変化させることによって、適宜、調整できる。
具体的には、例えば、延伸倍率が4倍であるとき、尿素等の化合物の含有量を親水性ポリマー樹脂層全体100重量部に対して3重量部程度とすることによって、延伸樹脂層の結晶化度を27%程度とすることができる。また、同じく延伸倍率が4倍であるとき、尿素等の化合物の含有量を親水性ポリマー樹脂層全体100重量部に対して10重量部程度とすることによって、延伸樹脂層の結晶化度を40%程度とすることができる。
前記延伸樹脂層の厚さは、好ましくは0.3μm〜7μmであり、より好ましくは0.3μm〜4μmである。
前記の通り、尿素等の化合物は親水性ポリマー樹脂層の水酸基と水素結合を形成するので、親水性ポリマー樹脂層の機械的強度が増し、その厚さが小さく(例、4μm以下)ても、破断することなく高倍率に延伸できると考えられる。ただし、この原理は、本発明の範囲を限定するものではない。
前記結晶化度は、例えば、延伸前の親水性ポリマー樹脂層における尿素等の化合物の含有量、延伸倍率、又はそれらの両方を変化させることによって、適宜、調整できる。
具体的には、例えば、延伸倍率が4倍であるとき、尿素等の化合物の含有量を親水性ポリマー樹脂層全体100重量部に対して3重量部程度とすることによって、延伸樹脂層の結晶化度を27%程度とすることができる。また、同じく延伸倍率が4倍であるとき、尿素等の化合物の含有量を親水性ポリマー樹脂層全体100重量部に対して10重量部程度とすることによって、延伸樹脂層の結晶化度を40%程度とすることができる。
前記延伸樹脂層の厚さは、好ましくは0.3μm〜7μmであり、より好ましくは0.3μm〜4μmである。
前記の通り、尿素等の化合物は親水性ポリマー樹脂層の水酸基と水素結合を形成するので、親水性ポリマー樹脂層の機械的強度が増し、その厚さが小さく(例、4μm以下)ても、破断することなく高倍率に延伸できると考えられる。ただし、この原理は、本発明の範囲を限定するものではない。
[2]工程B(染色工程)
本発明における工程Bは、前記延伸樹脂層を二色性物質により染色する工程である。
当該工程Bは、前記工程Aの後に行われる。前述のように、工程Bは、工程Aに続けて行われてもよく、工程Aと工程Bとの間に、所望による別の工程を実施してもよい。
本発明における工程Bは、前記延伸樹脂層を二色性物質により染色する工程である。
当該工程Bは、前記工程Aの後に行われる。前述のように、工程Bは、工程Aに続けて行われてもよく、工程Aと工程Bとの間に、所望による別の工程を実施してもよい。
[2−1]二色性物質
前記二色性物質としては、例えば、ヨウ素、及び有機染料(例、ポリメチン色素、シアニン色素、メロシアニン色素、ロダシアニン色素、3核メロシアニン色素、アロポーラー色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素、アゾ系色素)が挙げられるが、なかでも、優れた光学特性の観点からは、ヨウ素が好ましい。
一般に、二色性物質としてヨウ素を用いた偏光子は、高湿環境下で光学特性が低下し易いが、本発明の製造方法によって得られる偏光子は、二色性物質としてヨウ素を用いた場合でも、このような光学特性の低下が抑制されている。
前記二色性物質としては、例えば、ヨウ素、及び有機染料(例、ポリメチン色素、シアニン色素、メロシアニン色素、ロダシアニン色素、3核メロシアニン色素、アロポーラー色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素、アゾ系色素)が挙げられるが、なかでも、優れた光学特性の観点からは、ヨウ素が好ましい。
一般に、二色性物質としてヨウ素を用いた偏光子は、高湿環境下で光学特性が低下し易いが、本発明の製造方法によって得られる偏光子は、二色性物質としてヨウ素を用いた場合でも、このような光学特性の低下が抑制されている。
[2−2]染色
前記延伸樹脂層の二色性物質による染色は、例えば、前記延伸樹脂層を、前記二色性物質を含有する染色液と接触させることによって、実施できる。
前記延伸樹脂層を前記染色液に接触させる方法は、特に制限されず、例えば、前記染色液を入れた染色浴に前記延伸樹脂層を浸漬させる方法、及び前記染色液を前記延伸樹脂層に噴霧する方法が挙げられる。また、これらの方法を併用してもよい。
なかでも、前記染色液を入れた染色浴に前記延伸樹脂層を浸漬させる方法が好ましい。
前記延伸樹脂層の二色性物質による染色は、例えば、前記延伸樹脂層を、前記二色性物質を含有する染色液と接触させることによって、実施できる。
前記延伸樹脂層を前記染色液に接触させる方法は、特に制限されず、例えば、前記染色液を入れた染色浴に前記延伸樹脂層を浸漬させる方法、及び前記染色液を前記延伸樹脂層に噴霧する方法が挙げられる。また、これらの方法を併用してもよい。
なかでも、前記染色液を入れた染色浴に前記延伸樹脂層を浸漬させる方法が好ましい。
以下に、二色性物質としてヨウ素を含有する染色液が入った染色浴に前記延伸樹脂層を浸漬させる方法について、詳細に説明する。
当該染色液の溶媒としては、水系溶媒が好ましい。水系溶媒としては、例えば、水、又は水と少量の水溶性有機溶媒との混合溶媒が挙げられる。なかでも、水が好ましい。
前記染色液中のヨウ素濃度は、染色が可能である限り特に制限されないが、通常、前記溶媒(例、水)100質量部当たり0.5質量部〜10質量部である。
また、ヨウ素の溶解性を高めるために、前記染色液は、好ましくは、ヨウ化物を含有する。当該ヨウ化物としては、例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、及びヨウ化チタンが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なかでも、ヨウ化カリウムが好ましい。
前記染色液における当該ヨウ化物の含有量は、好ましくは、前記溶媒(例、水)100質量部に対して、3質量部〜50質量部である。
当該染色液の溶媒としては、水系溶媒が好ましい。水系溶媒としては、例えば、水、又は水と少量の水溶性有機溶媒との混合溶媒が挙げられる。なかでも、水が好ましい。
前記染色液中のヨウ素濃度は、染色が可能である限り特に制限されないが、通常、前記溶媒(例、水)100質量部当たり0.5質量部〜10質量部である。
また、ヨウ素の溶解性を高めるために、前記染色液は、好ましくは、ヨウ化物を含有する。当該ヨウ化物としては、例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、及びヨウ化チタンが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なかでも、ヨウ化カリウムが好ましい。
前記染色液における当該ヨウ化物の含有量は、好ましくは、前記溶媒(例、水)100質量部に対して、3質量部〜50質量部である。
前記染色液として特に好ましくは、ヨウ素とヨウ化カリウムとを含有する水溶液である。特に好ましい当該染色液において、ヨウ素の含有量は、好ましくは、水100重量部に対して0.5重量部〜10重量部であり、ヨウ化カリウム含有量は、好ましくは、水100重量部に対して3重量部〜50重量部である。
浸漬時の前記染色液の温度、及び浸漬時間は、それぞれ、染色液の濃度、及びポリビニルアルコール系樹脂層の厚さ等に応じて、染色が適切に行われるように、適宜設定すればよいが、前記染色液の温度は、通常、10℃〜60℃であり、浸漬時間は、通常、10秒〜20分である。
[3]所望による工程
[3−1]架橋工程
当該架橋工程は、耐水性の向上を主な目的として延伸樹脂層(実際には、延伸樹脂層に含有されている親水性ポリマー)を架橋させる工程であり、必要に応じて、実施することができる。
当該架橋工程は、好ましくは、前記工程B(染色工程)の後に実施される。
当該架橋は、例えば、前記延伸樹脂層を、架橋剤を含有する架橋液と接触させることによって、実施できる。
前記延伸樹脂層を架橋液に接触させる方法は、特に制限されず、例えば、架橋液を入れた架橋浴に前記延伸樹脂層を浸漬させる方法、及び架橋液を前記延伸樹脂層に噴霧もしくは塗布する方法が挙げられる。また、これらの方法を併用してもよい。
なかでも、架橋液を入れた架橋浴に前記延伸樹脂層を浸漬させる方法が好ましい。
[3−1]架橋工程
当該架橋工程は、耐水性の向上を主な目的として延伸樹脂層(実際には、延伸樹脂層に含有されている親水性ポリマー)を架橋させる工程であり、必要に応じて、実施することができる。
当該架橋工程は、好ましくは、前記工程B(染色工程)の後に実施される。
当該架橋は、例えば、前記延伸樹脂層を、架橋剤を含有する架橋液と接触させることによって、実施できる。
前記延伸樹脂層を架橋液に接触させる方法は、特に制限されず、例えば、架橋液を入れた架橋浴に前記延伸樹脂層を浸漬させる方法、及び架橋液を前記延伸樹脂層に噴霧もしくは塗布する方法が挙げられる。また、これらの方法を併用してもよい。
なかでも、架橋液を入れた架橋浴に前記延伸樹脂層を浸漬させる方法が好ましい。
前記架橋剤としては、例えば、ホウ素化合物が挙げられる。当該ホウ素化合物としては、例えば、ホウ酸、ホウ砂、グリオキザール、及びグルタルアルデヒドが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
当該架橋液の溶媒としては、水系溶媒が好ましい。水系溶媒としては、例えば、水、又は水と少量の水溶性有機溶媒との混合溶媒が挙げられる。なかでも、水が好ましい。
前記架橋液中の架橋剤濃度は、架橋が可能である限り特に制限されないが、通常、前記溶媒(例、水)100質量部当たり0.1質量部〜10質量部である。
また、偏光子の面内の均一な特性を得る観点から、前記架橋液は、ヨウ化物を含有することが好ましい。当該ヨウ化物としては、前記染色工程で例示したものと同様のものが挙げられる。当該架橋液におけるヨウ化物の量は、通常、溶媒(例、水)100質量部に対して、ヨウ化物0.5質量部〜15質量部である。
当該架橋液の溶媒としては、水系溶媒が好ましい。水系溶媒としては、例えば、水、又は水と少量の水溶性有機溶媒との混合溶媒が挙げられる。なかでも、水が好ましい。
前記架橋液中の架橋剤濃度は、架橋が可能である限り特に制限されないが、通常、前記溶媒(例、水)100質量部当たり0.1質量部〜10質量部である。
また、偏光子の面内の均一な特性を得る観点から、前記架橋液は、ヨウ化物を含有することが好ましい。当該ヨウ化物としては、前記染色工程で例示したものと同様のものが挙げられる。当該架橋液におけるヨウ化物の量は、通常、溶媒(例、水)100質量部に対して、ヨウ化物0.5質量部〜15質量部である。
浸漬時の前記架橋液の温度、及び浸漬時間は、特に限定されないが、前記架橋液の温度は、通常、20℃〜70℃であり、浸漬時間は、通常、1秒〜30分である。
[3−2]水滴除去工程
水滴除去工程は、延伸樹脂層の表面に付着した余分な水滴を除去する工程であり、必要に応じて、実施することができる。
水滴除去工程は、好ましくは、例えば、染色工程、架橋工程、及び洗浄工程から選択される1以上の工程の後に、実施される。
水滴の除去は、例えば、ピンチロール、又はエアーナイフを用いて実施することができる。
水滴除去工程は、延伸樹脂層の表面に付着した余分な水滴を除去する工程であり、必要に応じて、実施することができる。
水滴除去工程は、好ましくは、例えば、染色工程、架橋工程、及び洗浄工程から選択される1以上の工程の後に、実施される。
水滴の除去は、例えば、ピンチロール、又はエアーナイフを用いて実施することができる。
[3−3]乾燥工程
乾燥工程は、延伸樹脂層を乾燥して、その水分率を調整する工程であり、必要に応じて、実施することができる。
当該乾燥工程は、好ましくは、前記の一連の工程の最後に実施される。
当該乾燥は、例えば、風乾、又は加熱乾燥等の公知の方法によって、実施できる。
乾燥時間、及び加熱乾燥における乾燥温度等の乾燥条件は、所望する水分率に応じて決定すればよいが、例えば、加熱乾燥における加熱温度の上限は、通常、約80℃である。なお、偏光子の劣化を防ぐ観点からは、加熱温度は比較的低温が好ましい。また、加熱乾燥における乾燥時間は、通常、約1分〜約10分である。
なお、風乾においては、乾燥を促進するために、延伸樹脂層を乾燥空気に曝してもよい。
乾燥工程は、延伸樹脂層を乾燥して、その水分率を調整する工程であり、必要に応じて、実施することができる。
当該乾燥工程は、好ましくは、前記の一連の工程の最後に実施される。
当該乾燥は、例えば、風乾、又は加熱乾燥等の公知の方法によって、実施できる。
乾燥時間、及び加熱乾燥における乾燥温度等の乾燥条件は、所望する水分率に応じて決定すればよいが、例えば、加熱乾燥における加熱温度の上限は、通常、約80℃である。なお、偏光子の劣化を防ぐ観点からは、加熱温度は比較的低温が好ましい。また、加熱乾燥における乾燥時間は、通常、約1分〜約10分である。
なお、風乾においては、乾燥を促進するために、延伸樹脂層を乾燥空気に曝してもよい。
[4]偏光子
前記の説明から明らかなように、本発明の製造方法によって得られる偏光子(以下、本発明の偏光子と称する場合がある。)は、ヨウ素及び尿素を含有する親水性フィルムである。
なお、本発明の偏光子は、前記で説明した製造方法以外の製造方法で製造されたものであってもよい。
本発明の偏光子は、高湿環境下でも光学特性が低下し難く、高湿度に曝露された後でも優れた光学特性(例、単体透過率)を示す。
本発明の偏光子の厚さは、前記延伸樹脂層と同様に、好ましくは0.3μm〜7μmであり、より好ましくは0.3μm〜4μmである。
前記の説明から明らかなように、本発明の製造方法によって得られる偏光子(以下、本発明の偏光子と称する場合がある。)は、ヨウ素及び尿素を含有する親水性フィルムである。
なお、本発明の偏光子は、前記で説明した製造方法以外の製造方法で製造されたものであってもよい。
本発明の偏光子は、高湿環境下でも光学特性が低下し難く、高湿度に曝露された後でも優れた光学特性(例、単体透過率)を示す。
本発明の偏光子の厚さは、前記延伸樹脂層と同様に、好ましくは0.3μm〜7μmであり、より好ましくは0.3μm〜4μmである。
また、当該偏光子の単体透過率は、例えば、35%〜48%、偏光度は、例えば、99%以上である。従って、本発明の偏光子は、液晶表示装置などに使用する偏光子として、良好な偏光特性を有する。
[5]偏光板
本発明の偏光板は、
本発明の偏光子と
当該偏光子の少なくとも一方の表面に配置された保護層と
を有する。
本発明の偏光子は、通常、このような偏光板の形態で使用される。
本発明の偏光板は、
本発明の偏光子と
当該偏光子の少なくとも一方の表面に配置された保護層と
を有する。
本発明の偏光子は、通常、このような偏光板の形態で使用される。
当該保護層としては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、及び等方性などに優れるものが好ましい。
当該保護層は、例えば、ポリマー溶液の塗布及び乾燥によって、又はフィルムの貼付によって、設けることができる。
当該保護層を形成する材料としては、例えば、
ポリエステル系ポリマー(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、
セルロース系ポリマー(例、二酢酸セルロース、トリアセチルセルロース)、
アクリル系ポリマー(例、ポリメチルメタクリレート)、
スチレン系ポリマー(例、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体)、及び
これらポリマーの混合物
が挙げられる。
なお、前記偏光子の両面に保護層を配置する場合、各保護層を形成する材料は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
当該保護層は、例えば、ポリマー溶液の塗布及び乾燥によって、又はフィルムの貼付によって、設けることができる。
当該保護層を形成する材料としては、例えば、
ポリエステル系ポリマー(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、
セルロース系ポリマー(例、二酢酸セルロース、トリアセチルセルロース)、
アクリル系ポリマー(例、ポリメチルメタクリレート)、
スチレン系ポリマー(例、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体)、及び
これらポリマーの混合物
が挙げられる。
なお、前記偏光子の両面に保護層を配置する場合、各保護層を形成する材料は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
また、当該保護層の厚みは、特に制限されないが、例えば500μm以下、好ましくは1μm〜300μm、より好ましくは5μm〜200μmである。
また、前記のように、本発明の偏光子の製造における延伸工程において、親水性ポリマー樹脂層と、当該親水性ポリマー樹脂層の一方の表面に配置された支持フィルムとを有する積層体を調製し、積層体全体を延伸することによって、親水性ポリマー樹脂層の延伸を実施する場合、当該支持フィルムに由来する層は、前記保護層として機能しうる。
本発明の偏光板は、所望により、例えば、位相差層、粘着剤層、離型層、及び表面保護層から選択される1以上の層を有していてもよい。
ここで、例えば、前記保護層が位相差を有し、前記位相差層を兼ねていてもよい。
ここで、例えば、前記保護層が位相差を有し、前記位相差層を兼ねていてもよい。
[6]液晶パネル
本発明の偏光板を、例えば、液晶セルの片側又は両側に配置して、液晶パネルを構成することができる。当該液晶セルは特に限定されず、例えば、薄膜トランジスタ型に代表されるアクティブマトリクス駆動型のものなどの適当なタイプの液晶セルを用いることができる。
また、液晶セルの両側に本発明の偏光板を配置する場合、それらは同一の構成を有するものであってもよく、異なる構成を有するものであってもよい。
本発明の偏光板を、例えば、液晶セルの片側又は両側に配置して、液晶パネルを構成することができる。当該液晶セルは特に限定されず、例えば、薄膜トランジスタ型に代表されるアクティブマトリクス駆動型のものなどの適当なタイプの液晶セルを用いることができる。
また、液晶セルの両側に本発明の偏光板を配置する場合、それらは同一の構成を有するものであってもよく、異なる構成を有するものであってもよい。
[7]画像表示装置
本発明の偏光子、及び本発明の偏光板は、それぞれ、液晶表示装置(LCD)、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、プラズマディスプレイ(パネル)(PDP)、及び電界放出ディスプレイ(FED)等の画像表示装置の構成部品として、好ましく用いることができる。
なかでも、本発明の偏光子、及び本発明の偏光板は、それぞれ、液晶表示装置(例、液晶テレビ、液晶ディスプレー、携帯電話、及び携帯情報端末等における液晶表示装置)に特に好ましく用いることができる。
本発明の偏光子、及び本発明の偏光板は、それぞれ、液晶表示装置(LCD)、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、プラズマディスプレイ(パネル)(PDP)、及び電界放出ディスプレイ(FED)等の画像表示装置の構成部品として、好ましく用いることができる。
なかでも、本発明の偏光子、及び本発明の偏光板は、それぞれ、液晶表示装置(例、液晶テレビ、液晶ディスプレー、携帯電話、及び携帯情報端末等における液晶表示装置)に特に好ましく用いることができる。
本発明の液晶表示装置は、本発明の偏光子、本発明の偏光板、又は前記液晶パネルを含む。
当該液晶表示装置は、例えば、透過型、反射型、又は透過・反射両用型であってよい。
さらに、当該液晶表示装置は、例えば、プリズムアレイシート、レンズアレイシート、拡散板、又はバックライトなどの適当な部品を有していてもよい。
当該液晶表示装置は、例えば、透過型、反射型、又は透過・反射両用型であってよい。
さらに、当該液晶表示装置は、例えば、プリズムアレイシート、レンズアレイシート、拡散板、又はバックライトなどの適当な部品を有していてもよい。
以下、実施例、及び比較例によって本発明を更に詳細に説明するが、これらは単に本発明の具体例を説明することを目的とするものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
以下の実施例、比較例、及び試験例で用いた測定方法を説明する。
(1)厚さの測定方法
デジタルマイクロメーター(アンリツ社製 製品名「KC−351C型」)を用いて測定した。なお、積層体中の延伸層の厚さを測定する場合は、積層体の厚さから支持フィルム厚さを差し引いて求めた。
(2)結晶化度
検量線作成のため、まず、密度測定法によりポリビニルアルコール粉末の結晶化度を求めた。
次に、赤外分光光度計(Perkin Elmer社製製品名「Spectrum1000」)を用いて、同ポリビニルアルコール粉末の1141cm−1の吸光度を測定した。
前記結晶化度と前記吸光度は比例関係を示すので、これらを用いて検量線を作製した。
前記赤外分光光度計により、延伸層の1141cm−1の吸光度をATR(減衰全反射)法にて測定し、前記検量線から結晶化度を算出した。
(3)単体透過率
紫外可視分光光度計(村上色彩研究所製 製品名「Dot41」)を用いて、単体透過率を測定した。この単体透過率は、三刺激値Yである。なお、実施例及び比較例で使用した支持フィルムは透明であるので、積層体について測定した単体透過率を、延伸層の単体透過率とみなした。
(1)厚さの測定方法
デジタルマイクロメーター(アンリツ社製 製品名「KC−351C型」)を用いて測定した。なお、積層体中の延伸層の厚さを測定する場合は、積層体の厚さから支持フィルム厚さを差し引いて求めた。
(2)結晶化度
検量線作成のため、まず、密度測定法によりポリビニルアルコール粉末の結晶化度を求めた。
次に、赤外分光光度計(Perkin Elmer社製製品名「Spectrum1000」)を用いて、同ポリビニルアルコール粉末の1141cm−1の吸光度を測定した。
前記結晶化度と前記吸光度は比例関係を示すので、これらを用いて検量線を作製した。
前記赤外分光光度計により、延伸層の1141cm−1の吸光度をATR(減衰全反射)法にて測定し、前記検量線から結晶化度を算出した。
(3)単体透過率
紫外可視分光光度計(村上色彩研究所製 製品名「Dot41」)を用いて、単体透過率を測定した。この単体透過率は、三刺激値Yである。なお、実施例及び比較例で使用した支持フィルムは透明であるので、積層体について測定した単体透過率を、延伸層の単体透過率とみなした。
[実施例1]
ポリビニルアルコール粉末(日本酢ビ・ポバール社製 商品名「JC25])45gと、水651gと、尿素4.5gとを混合し、95℃に加熱しながら、2時間撹拌し続けて水溶液を作製した。前記水溶液を、支持フィルムとしての厚さ200μmのポリエステル系フィルム(三菱化学社製商品名「ノバクリア」)上に塗布し、80℃で8分間乾燥して、厚さ7μmの尿素を含むポリビニルアルコール樹脂層と、支持フィルムとからなる積層体を作製した。
前記積層体を、ロール延伸機を用いて、延伸温度110℃で延伸倍率(すなわち、延伸前の長さに対する延伸後の長さ)が4倍となるように一軸延伸し、結晶化度が40.0%である延伸層と、支持フィルムとからなる延伸積層体を作製した。前記延伸積層体の延伸層を、ヨウ素1重量部、ヨウ化カリウム7重量部、水92重量部を含む、液温25℃の水溶液(染色液)に40秒間浸漬して染色した後、ホウ酸10重量部、ヨウ化カリウム5重量部、水85重量部を含む、液温60℃の水溶液(架橋液)に20分間浸漬して架橋して、厚さ3.5μmの偏光子と支持フィルムとからなる積層体(偏光体)を得た。前記偏光子の単体透過率は41.9%、偏光度は99.8%であった。前記偏光子を蛍光X線法により分析したところ、偏光子中に尿素が残存することが確認できた。
ポリビニルアルコール粉末(日本酢ビ・ポバール社製 商品名「JC25])45gと、水651gと、尿素4.5gとを混合し、95℃に加熱しながら、2時間撹拌し続けて水溶液を作製した。前記水溶液を、支持フィルムとしての厚さ200μmのポリエステル系フィルム(三菱化学社製商品名「ノバクリア」)上に塗布し、80℃で8分間乾燥して、厚さ7μmの尿素を含むポリビニルアルコール樹脂層と、支持フィルムとからなる積層体を作製した。
前記積層体を、ロール延伸機を用いて、延伸温度110℃で延伸倍率(すなわち、延伸前の長さに対する延伸後の長さ)が4倍となるように一軸延伸し、結晶化度が40.0%である延伸層と、支持フィルムとからなる延伸積層体を作製した。前記延伸積層体の延伸層を、ヨウ素1重量部、ヨウ化カリウム7重量部、水92重量部を含む、液温25℃の水溶液(染色液)に40秒間浸漬して染色した後、ホウ酸10重量部、ヨウ化カリウム5重量部、水85重量部を含む、液温60℃の水溶液(架橋液)に20分間浸漬して架橋して、厚さ3.5μmの偏光子と支持フィルムとからなる積層体(偏光体)を得た。前記偏光子の単体透過率は41.9%、偏光度は99.8%であった。前記偏光子を蛍光X線法により分析したところ、偏光子中に尿素が残存することが確認できた。
[比較例1]
ポリビニルアルコール粉末(日本酢ビ・ポバール社製 商品名「JC25])49gと、水651gとを混合し(すなわち、尿素を混合しなかった)、95℃に加熱しながら、2時間撹拌し続けて水溶液を作製した。
この水溶液を用いて実施例1と同様の方法で、厚さ7μmのポリビニルアルコール層と、支持フィルムとからなる積層体を作製した。
前記積層体を、ロール延伸機を用いて、延伸温度110℃で延伸倍率(すなわち、延伸前の長さに対する延伸後の長さ)が4倍となるように一軸延伸し、結晶化度が33.9%である延伸層と、支持フィルムとからなる延伸積層体を作製した。
前記延伸積層体を、実施例1と同様の方法で染色し、厚さ3.5μmの偏光子と支持フィルムとからなる積層体(偏光体)を得た。前記偏光子の単体透過率は41.4%、偏光度は99.8%であった。
ポリビニルアルコール粉末(日本酢ビ・ポバール社製 商品名「JC25])49gと、水651gとを混合し(すなわち、尿素を混合しなかった)、95℃に加熱しながら、2時間撹拌し続けて水溶液を作製した。
この水溶液を用いて実施例1と同様の方法で、厚さ7μmのポリビニルアルコール層と、支持フィルムとからなる積層体を作製した。
前記積層体を、ロール延伸機を用いて、延伸温度110℃で延伸倍率(すなわち、延伸前の長さに対する延伸後の長さ)が4倍となるように一軸延伸し、結晶化度が33.9%である延伸層と、支持フィルムとからなる延伸積層体を作製した。
前記延伸積層体を、実施例1と同様の方法で染色し、厚さ3.5μmの偏光子と支持フィルムとからなる積層体(偏光体)を得た。前記偏光子の単体透過率は41.4%、偏光度は99.8%であった。
[比較例2]
実施例1と同様の方法で、厚さ3.5μmの尿素を含むポリビニルアルコール樹脂層と、支持フィルムとからなる積層体を作製した。
この積層体を、実施例1と同様の染色液に30秒間浸漬して染色した後、実施例1と同様の架橋液中で、延伸倍率(すなわち、延伸前の長さに対する延伸後の長さ)が4倍となるように一軸延伸し、厚さ3.5μmの偏光子と支持フィルムとからなる延伸積層体(偏光体)を作製した。前記偏光子の単体透過率は41.9%、偏光度は99.8%であった。前記偏光子を蛍光X線法により分析したところ、偏光子中に残存する尿素量は、ごく僅かであった。
実施例1と同様の方法で、厚さ3.5μmの尿素を含むポリビニルアルコール樹脂層と、支持フィルムとからなる積層体を作製した。
この積層体を、実施例1と同様の染色液に30秒間浸漬して染色した後、実施例1と同様の架橋液中で、延伸倍率(すなわち、延伸前の長さに対する延伸後の長さ)が4倍となるように一軸延伸し、厚さ3.5μmの偏光子と支持フィルムとからなる延伸積層体(偏光体)を作製した。前記偏光子の単体透過率は41.9%、偏光度は99.8%であった。前記偏光子を蛍光X線法により分析したところ、偏光子中に残存する尿素量は、ごく僅かであった。
[試験例1](積層体の高湿耐久性試験)
実施例1、比較例1、及び比較例2で得られた各延伸積層体(偏光体)を、偏光子側を外側にして、ガラス板上に固定し、40℃、92%RHの恒温恒湿空間に24時間保管して、前記の方法により、保管前の単体透過率(Y0)と、保管後の単体透過率(Y1)とを測定した。その変化量を、前記に記載の方法によって測定した結晶化度とともに、以下の表1に示す。当該変化量は、次式により算出した。
変化量=(IY1−Y0I)/Y0×100
実施例1、比較例1、及び比較例2で得られた各延伸積層体(偏光体)を、偏光子側を外側にして、ガラス板上に固定し、40℃、92%RHの恒温恒湿空間に24時間保管して、前記の方法により、保管前の単体透過率(Y0)と、保管後の単体透過率(Y1)とを測定した。その変化量を、前記に記載の方法によって測定した結晶化度とともに、以下の表1に示す。当該変化量は、次式により算出した。
変化量=(IY1−Y0I)/Y0×100
延伸方式:空気中で延伸したものに「乾式」と記載し、ホウ酸水溶液中で延伸したものに「湿式」と記載した。
結晶化度:延伸樹脂層の結晶化度を表す。なお、「−」は、延伸樹脂層が既に染色されていたため、測定不能であったことを示す。
[評価]
表1に示すように、実施例1の延伸積層体における偏光子は、高湿環境下においても、単体透過率の変化量が小さく、高湿環境下で保管された後においても、優れた光学特性を示した。
一方、尿素を含まず、結晶化度の低い延伸層を用いた比較例1の延伸積層体における偏光子は、高湿環境下で光学特性が大きく低下した。
また、延伸前のポリビニルアルコール層には尿素を含むものの、延伸前に、ヨウ素を含む水溶液(染色液)で染色した比較例2の延伸積層体における偏光子は、高温環境下で光学特性が大きく低下した。この偏光子には、尿素がごく僅かしか残存していなかったことから、成膜時にポリビニルアルコール層中に含まれていた尿素の大部分は、染色及び湿式延伸工程中に溶出したと考えられる。
表1に示すように、実施例1の延伸積層体における偏光子は、高湿環境下においても、単体透過率の変化量が小さく、高湿環境下で保管された後においても、優れた光学特性を示した。
一方、尿素を含まず、結晶化度の低い延伸層を用いた比較例1の延伸積層体における偏光子は、高湿環境下で光学特性が大きく低下した。
また、延伸前のポリビニルアルコール層には尿素を含むものの、延伸前に、ヨウ素を含む水溶液(染色液)で染色した比較例2の延伸積層体における偏光子は、高温環境下で光学特性が大きく低下した。この偏光子には、尿素がごく僅かしか残存していなかったことから、成膜時にポリビニルアルコール層中に含まれていた尿素の大部分は、染色及び湿式延伸工程中に溶出したと考えられる。
本発明の製造方法によって得られる偏光子は、高湿環境下でも光学特性が低下し難く、高湿度に曝露された後でも優れた光学特性を示し、液晶表示装置等に好適に用いられる。
Claims (7)
- 尿素、及びチオ尿素から選択される少なくとも1種の化合物を含有する親水性ポリマー樹脂層を気体中で少なくとも1方向に延伸して延伸樹脂層を得る工程A、及び
前記延伸樹脂層を二色性物質により染色する工程B
を含む偏光子の製造方法。 - 尿素、及びチオ尿素から選択される少なくとも1種の前記化合物は、尿素である
ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。 - 前記親水性ポリマーは、ポリビニルアルコール系ポリマーである
ことを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。 - 前記二色性物質は、ヨウ素である
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法によって製造される偏光子。
- 請求項5に記載の偏光子と
当該偏光子の少なくとも一方の表面に配置された保護層と
を有する偏光板。 - 請求項5に記載の偏光子、又は請求項6に記載の偏光板を含む画像表示装置。
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