JP4707146B2 - 偏光子の製造方法 - Google Patents

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本発明は、液晶表示装置などに使用される偏光子の製造方法に関する。
従来、液晶表示装置などの光学部材として、特定の振動方向の光を透過させる偏光特性を有する偏光子(偏光フィルムとも言われる)が知られている。
かかる偏光子としては、一般に、ヨウ素などで染色したポリビニルアルコール系(本明細書に於いて「ポリビニルアルコール」を「PVA」と略記する場合がある)の延伸フィルムが広く用いられている。
かかる偏光子は、一般に、PVA系フィルムに水を含浸させて膨潤させる膨潤工程と、該フィルムをヨウ素溶液に含浸させて染色する染色工程と、該フィルムにホウ酸溶液に含浸させて架橋する架橋工程と、該フィルムを延伸する延伸工程と、該フィルムを洗浄する洗浄工程と、該フィルムを乾燥する乾燥工程と、を経ることによって製造される(例えば、特許文献1)。
かかる偏光子の製造方法は、PVA系フィルムをヨウ素などの二色性物質にて染色し、偏光特性を有する偏光子を比較的簡易に作製できるが、更に、二色性物質の染色効率の改善が望まれている。
特開2003−270440号公報
そこで、本発明は、二色性物質の染色効率に優れた偏光子の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、偏光子製造の各工程に於いて、様々な反応助剤の適用を試み、二色性物質の染色工程前に、尿素又はチオ尿素を適用することで、染色効率が飛躍的に向上することを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、親水性ポリマーフィルムに二色性物質を染色させる工程を有し、染色工程の前に、尿素又はチオ尿素の少なくとも何れか一方を、親水性ポリマーフィルムに含有又は接触させる偏光子の製造方法に係る。
上記偏光子の製造方法によれば、親水性ポリマーフィルムに対する二色性物質の染色効率が高まる。
これは、染色工程の前に、尿素又はチオ尿素の少なくとも何れか一方を、親水性ポリマーフィルムに含有又は接触させることによって実現される。この作用は、明らかではないが、本発明者らの推察では、a)尿素又はチオ尿素が、ヨウ素などの二色性物質の会合を切断して単体分子化し、二色性物質が親水性ポリマーフィルム内に浸透し易くなること、又は/及び、b)尿素又はチオ尿素が、水分子の会合(水素結合)を切断し、親水性ポリマーフィルム内に多くの水分子が浸透し、該フィルムが十分に膨潤すること、などに起因するものと考える。
本発明の好ましい態様は、上記染色工程の前に、親水性ポリマーフィルムを、尿素又はチオ尿素の少なくとも何れか一方を溶解させた膨潤液に浸漬する工程を有する上記偏光子の製造方法に係る。この膨潤液としては、水100質量部に対し尿素又はチオ尿素の少なくとも何れか一方を0.01〜20質量部を含むものを用いることが好ましい。
また、本発明の好ましい態様では、上記染色工程の前に、尿素又はチオ尿素の少なくとも何れか一方を含有する親水性ポリマーフィルムを、膨潤液に浸積する工程を有する上記偏光子の製造方法に係る。
さらに、本発明の好ましい態様は、上記二色性物質が有機染料である上記偏光子の製造方法に係る。
さらに、本発明の好ましい態様は、上記二色性物質がヨウ素である上記偏光子の製造方法に係る。
また、本発明の好ましい態様は、上記親水性ポリマーフィルムが、ポリビニルアルコール系フィルムである上記偏光子の製造方法に係る。
本発明の偏光子の製造方法によれば、親水性ポリマーフィルムに対する二色性物質の染色効率を非常に高めることができる。かかる製法によって得られた偏光子は、偏光度が高く、偏光特性に優れている。このため、例えば、液晶表示装置の偏光子として、好適に使用できる。
本発明は、二色性物質を染色する前に、尿素又はチオ尿素の少なくとも何れか一方(以下、「尿素又はチオ尿素の少なくとも何れか一方」を、「尿素等」と単に記載する場合がある)を親水性ポリマーフィルムに含有または接触させることを特徴とする。
<第1実施形態>
第1実施形態は、尿素又はチオ尿素の少なくとも何れか一方を含有した溶液が満たされた膨潤浴に、親水性ポリマーフィルムを含浸させ、該フィルムに尿素等を接触させつつ該フィルムを膨潤させる工程を有する。
以下、第1実施形態の製法について、詳しく説明する。
(親水性ポリマーフィルム)
本発明で用いられる親水性ポリマーフィルムとしては、特に限定されず、一般には親水基を有するポリマーを含む樹脂組成物を製膜したフィルムが用いられる。該フィルムとしては、例えば、PVA系フィルム、部分ホルマール化PVA系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、エチレン・酢酸ビニル共重合体系フィルム、及びこれらの部分ケン化フィルム等があげられる。また、これらの他にも、PVAの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン配向フィルム等も使用できる。これらの中でも、二色性物質による染色性に優れていることから、PVA系ポリマーフィルムが好ましい。PVAは、酢酸ビニルを重合したポリ酢酸ビニルをケン化して得られたポリマーであり、該ポリマーに、不飽和カルボン酸、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸塩などのように酢酸ビニルと共重合可能な成分を含有したPVAを用いることもできる。また、PVA系ポリマーとして、アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基などを含む変性PVAの他、ポリビニルフルマールやポリビニルアセタールなどの変性PVAなども用いることができる。
PVA系ポリマーを用いる場合、該PVA系ポリマーは、酢酸ビニルなどのビニルエステル系モノマーを重合して得られるビニルエステル系重合体をケン化することによって得ることができる。このケン化度や重合度は、耐熱性などが良好であるという点から、高ケン化度で高重合度のPVAを用いることが好ましい。PVAのケン化度は、特に限定されないが、例えば、80モル%〜100モル%が好ましく、特に、90モル%〜100モル%のケン化度のものがより好ましい。該ケン化度は、JIS K 6726−1994に準じて求めることができる。PVAの平均重合度についても特に限定されないが、例えば1,000〜10,000が好ましく、更に、1,000〜8,000がより好ましく、特に1,500〜5,000のものがより好ましい。該平均重合度は、JIS K 6726−1994に準じて求めることができる。
PVA系フィルムは、PVA系ポリマーを含む樹脂組成物を、水又は/及びDMSOなどの適当な有機溶媒に溶解し、該樹脂溶液を成膜するキャスト法によって得ることができる。また、PVA系フィルムは、キャスト法の他、押出法などの公知の製膜法で成膜したものを用いてもよい。
上記PVA系ポリマーを含む樹脂組成物には、可塑剤、界面活性剤などの適当な添加剤を配合してもよい。可塑剤としては、例えば、エチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコールが挙げられる。界面活性剤としては、例えば、非イオン界面活性剤が挙げられる。これら可塑剤や界面活性剤を添加することにより、染色性及び延伸性に優れたPVA系フィルムを得ることができる。可塑剤及び界面活性剤の添加量は、PVA系ポリマー100質量部に対し、それぞれ1質量部〜10質量部程度である。
(膨潤工程)
膨潤工程は、親水性ポリマーフィルムを膨潤させる工程である。なお、以下、親水性ポリマーフィルムの好ましい例であるPVA系フィルムを用いた製法を中心に説明するが、本発明の偏光子の製法に用いられる親水性ポリマーフィルムは、PVA系フィルムに限定されるものではない。
製膜されたPVA系フィルムは、通常、未延伸フィルムが用いられる。該PVA系フィルムは、ロール状に巻き取られ、該フィルムロールは、膨潤浴の上流側にセットされ、搬送ローラを介して、膨潤浴内へと導かれる。
膨潤浴は、尿素又はチオ尿素の少なくとも何れか一方を水に溶解した尿素等溶液が満たされている。なお、膨潤浴の溶液(膨潤液)は、水に尿素等が含有されているが、本発明の効果を損なわない範囲で、他の物質が添加されていてもよい。
膨潤浴の溶液に於いて、尿素又はチオ尿素は、少なくとも何れか一方が含まれていればよい。従って、尿素又はチオ尿素は、何れか一方のみを用いてもよいし、双方を用いてもよい。尿素等の濃度は、特に限定されないが、水100質量部に対して、尿素等0.01質量部以上の割合で混合されていることが好ましく、更に、0.5質量部以上がより好ましい。一方、その上限としては、水100質量部に対して、尿素等20質量部以下の割合で混合されていることが好ましく、更に、10質量部以下がより好ましい。
膨潤浴及び後述する染色浴などの各浴に於いて使用する水は、純水を用いることが好ましい。また、膨潤浴の液温は、概ね20〜50℃程度、更には30〜40℃程度に加温されていることが好ましい。膨潤浴にPVA系フィルムを浸漬する時間は、概ね1〜7分間程度である。
なお、膨潤工程は、通常、1槽の膨潤浴で行われるが、2槽以上の膨潤浴を用いてもよい。2槽以上の膨潤浴を用いる場合、そのうちの何れか1槽の膨潤浴の液が、上記尿素等を含んでいればよい。また、2槽以上の膨潤浴を用いる場合、そのうちの2槽以上の膨潤浴の液が、上記尿素等を含んでいてもよい。
染色工程の前に、これにPVA系フィルムを膨潤浴に浸漬することにより、該フィルム表面の汚れを除去できると共に、PVA系フィルムを水で膨潤させ、後述する二色性物質の導入ムラを防止できる。
また、膨潤工程に於いて、尿素等を含む溶液にPVA系フィルムを浸積することによって、尿素等が、PVA系フィルムに接触し、該フィルム内に含浸するものと考えられる。その後、該PVA系フィルムを染色工程に導くことによって、その作用は明らかではないが、該PVA系フィルムは、二色性物質によって非常に効率よく染色される。
(染色工程)
染色工程は、膨潤後のPVA系フィルムに二色性物質を含浸(吸着又は接触などとも言われる)させる工程である。
上記膨潤させたPVA系フィルムは、膨潤浴から引き出された後、染色浴に導かれる。
染色浴は、二色性物質を溶媒に溶解させた染色溶液が満たされている。この溶媒としては、水が一般的に使用されるが、水と相溶性のある有機溶媒が添加されても良い。
二色性物質の濃度は、特に限定されないが、溶媒100質量部に対して、二色性物質0.0001〜10質量部の割合で混合されていることが好ましく、0.001〜7質量部の割合がより好ましく、0.02〜5質量部の割合が特に好ましい。本発明の製法に於いては、二色性物質の染色効率が良好になることから、比較的低濃度の染色溶液を用いて染色することができる。
上記二色性物質としては、従来公知の物質が使用でき、例えば、ヨウ素や有機染料等があげられる。有機染料としては、例えば、ポリメチン色素、シアニン色素、メロシアニン色素、ロダシアニン色素、3核メロシアニン色素、アロポーラー色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素、アゾ系色素、その他、下記カラーインデックス(C.I.)のようなものがあげられる。 C.I.ダイレクト・イエロー8、C.I.ダイレクト・イエロー12、C.I.ダイレクト・イエロー28、C.I.ダイレクト・イエロー86、C.I.ダイレクト・ブルー1、C.I.ダイレクト・ブルー71、C.I.ダイレクト・ブルー78、C.I.ダイレクト・ブルー168、C.I.ダイレクト・ブルー202、C.I.ダイレクト・レッド2、C.I.ダイレクト・レッド31、C.I.ダイレクト・レッド79、C.I.ダイレクト・レッド81、C.I.ダイレクト・レッド117、C.I.ダイレクト・レッド247、C.I.ダイレクト・バイオレット9、C.I.ダイレクト・バイオレット51、C.I.ダイレクト・オレンジ26、C.I.ダイレクト・オレンジ39、C.I.ダイレクト・オレンジ72、C.I.ダイレクト・オレンジ106、C.I.ダイレクト・オレンジ107等。
本発明の製法では、染色工程前に尿素等をPVA系フィルムに含浸させることにより、二色性物質を効率良く含浸させることができる。特に、有機染料は、ヨウ素に比べて、分子量(分子サイズ)が大きいため、従来の偏光子の製法では、有機染料をPVA系フィルムに効率良く含浸させ難い。この点、本発明の製法によれば、尿素等を用いることによって、有機染料をもPVA系フィルムに良好に含浸させることができる。
これらの二色性物質は、1種類でも良いし、2種類以上を併用しても良い。また、二色性物質は、水溶性のものが好ましい。このため、例えば、スルホン酸基、アミノ基、水酸基などの親水性置換基を導入した有機染料等を、遊離酸及びそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン類の塩の状態で用いることが好ましい。
また、二色性物質の染色効率をより一層向上できることから、染色溶液に反応助剤を添加してもよい。二色性物質としてヨウ素を用いる場合には、反応助剤は、例えば、ホウ酸、ホウ砂等のホウ素化合物を用いることが好ましい。また、二色性物質として有機染料を用いる場合には、反応助剤は、例えば、ボウ酸(硫酸ナトリウム)等を用いることが好ましい。これらの染色助剤を用いる場合、その濃度は、染色溶液の溶媒100質量部に対して、反応助剤が0.1〜10質量部の割合で混合されていることが好ましい。
また、二色性物質としてヨウ素を用いる場合には、染色溶液にヨウ化物を添加してもよい。ヨウ化物としては、例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタン等が挙げられる。ヨウ化物の添加割合は、ヨウ素とヨウ化物の割合(質量比)が、1:5〜1:100の範囲とすることが好ましい。
染色浴へのPVA系フィルムの浸漬時間は、特に限定されるものではないが、20秒〜1,800秒程度が好ましい。また、染色浴の液温は、20℃〜80℃程度が好ましく、更に、40℃〜60℃程度がより好ましい。なぜなら、染色浴の温度が高すぎると、フィルムが溶融する虞があり、低すぎると染色性が低下するからである。
尚、この染色浴中でフィルムを延伸してもよく、このときの延伸倍率は、1.1〜4.0倍程度である。
また、染色工程は、2槽以上の染色浴に分けて行っても良い。
また、染色処理としては、上記のような染色浴に浸漬する方法以外に、例えば、二色性物質を含む水溶液をPVA系フィルムに塗布または噴霧する方法であってもよい。
(架橋工程)
架橋工程は、二色性物質を含浸させたPVA系フィルムに、ホウ酸などの架橋剤を含浸させる工程である。
上記二色性物質を含浸させたPVA系フィルムは、染色浴から引き出された後、架橋浴に導かれる。
架橋浴は、架橋剤を溶媒に溶解した架橋溶液が満たされている。前記溶媒としては、例えば水が使用できるが、さらに、水と相溶性のある有機溶媒が添加されていても良い。溶液における架橋剤の濃度は、特に限定されないが、溶媒100質量部に対して、架橋剤2〜15質量部の割合で混合されていることが好ましく、5〜12質量部の割合がより好ましくい。
上記架橋剤としては、従来公知の物質が使用でき、例えば、ホウ酸、ホウ砂等のホウ素化合物等が挙げられる。これらは1種類でも良いし、2種類以上を併用しても良い。2種類以上を併用する場合には、例えば、ホウ酸とホウ砂の組み合わせが好ましく、また、その添加割合(モル比)は、4:6〜9:1の範囲が好ましく、5.5:4.5〜7:3の範囲がより好ましく、6:4が最も好ましい。
架橋剤含有溶液中には、偏光子の面内の均一な特性が得られる点から、ヨウ化物を添加してもよい。このヨウ化物としては、上記染色工程で例示したものを適宜用いることができる。ヨウ化物の添加割合は、溶媒100質量部に対して、ヨウ化物0.5〜15質量部が好ましく、更に、1〜10質量部がより好ましい。
架橋浴の液温は、特に限定されないが、20〜70℃の範囲が好ましい。フィルムの浸漬時間は、特に限定されないが、60秒〜1,200秒程度が好ましく、更に、200秒〜400秒程度がより好ましい。
また、架橋工程は、2槽以上の架橋浴に分けて行っても良い。
尚、架橋処理も染色処理と同様に、架橋剤含有溶液を塗布または噴霧する方法を用いても良い。又、この架橋浴でポリマーフィルムを延伸してもよく、このときの延伸倍率は、1.1〜4.0倍程度である。
(延伸工程)
延伸工程は、PVA系フィルムを一軸延伸する工程である。
延伸処理は、膨潤工程から架橋工程の間の何れかの工程に於いて、又は膨潤工程から架橋工程の間で選ばれる2以上の工程に於いて行うことが好ましい。中でも、染色工程及び架橋工程に於いて、染色処理及び架橋処理と共に延伸処理を施すのが好ましい。
また、膨潤工程から架橋工程の間に、延伸処理を主目的とする延伸工程を別途設けてよいし、架橋工程の後、別途、延伸処理を主目的とする延伸工程を別途設けてもよい。例えば、染色工程の前に、延伸処理を行ってもよく、又、染色工程の後に、延伸処理を行ってもよい。
延伸処理は、PVA系フィルム(膨潤工程に導入前のPVA系フィルム)の元長の2倍〜7倍程度(なお、2以上の工程に於いて延伸処理が施される場合には、総延伸倍率。以下同じ)に延伸することが好ましく、更に、3倍〜6倍程度がより好ましい。総延伸倍率が2倍未満では、高偏光度の偏光フィルムを得ることが難しく、7倍を超えると、フィルムが破断する虞があるからである。
なお、膨潤工程から架橋工程の間の何れかの工程に於いて延伸処理を施さず、別途の延伸工程を設ける場合、その延伸方法としては、PVA系フィルムを延伸浴中で延伸する湿式延伸法、含水後のPVAフィルムを空気中で延伸する乾式延伸法の何れを用いても良い。湿式延伸法の場合、延伸浴の溶液としては、特に限定されるわけではないが、例えば、各種金属塩、ホウ素、亜鉛の化合物などを添加した溶液を用いることができる。この溶液の溶媒としては、水、エタノールあるいは各種有機溶媒が適宜用いられる。該延伸浴の液温は、例えば、40〜67℃の範囲であることが好ましく、50〜62℃であることがより好ましい。一方、乾式延伸する場合は50〜180℃が好ましい。
(洗浄工程)
洗浄工程は、上記各工程を経たPVA系フィルムに付着しているホウ素などの不要残存物を洗い流す工程である。
上記架橋されたPVA系フィルムは、架橋浴から引き出された後、洗浄浴に導かれる。
洗浄浴は、一般的には水が用いられ、必要に応じて、適宜な添加剤を添加してもよい。
洗浄浴の液温は、10℃〜60℃程度が好ましく、更に、15℃〜40℃程度がより好ましい。また、洗浄処理の回数は特に限定されることなく複数回実施してもよい。
尚、PVA系フィルムを、膨潤浴、染色浴、架橋浴、洗浄浴などから引き上げる際には、液だれの発生を防止するために、液取り処理を施すのが好ましい。液取り処理としては、例えば、従来公知のピンチロール等を用いても良いし、エアーナイフによって液を削ぎ落とす等の方法などによって、余分な液を取り除くことができる。
(乾燥工程)
乾燥工程は、洗浄後のPVA系フィルムを乾燥する工程である。
上記洗浄されたPVA系フィルムは、洗浄浴から引き出された後、乾燥装置に導かれる。
乾燥方式としては、自然乾燥、風乾、加熱乾燥等、適宜な方法を用いることができる。通常は、加熱乾燥が好ましく用いられる。加熱乾燥に於いては、例えば、加熱温度が20〜80℃程度であり、乾燥時間は1〜10分間程度であることが好ましい。さらに、乾燥温度は前記方法に関わらず偏光子の劣化を防ぐため、比較的低温で行うことが好ましい。従って、加熱温度は、より好ましくは60℃以下であり、45℃以下であることが特に好ましい。
以上のような各処理工程を経て偏光子(染色済みPVA系フィルム)が得られる。本実施形態の偏光子の製法によれば、親水性ポリマーフィルムに対する二色性物質の染色効率を非常に高めることができる。かかる製法によって得られた偏光子は、偏光度が高く、偏光特性に優れている。また、上記製法によれば、二色性物質の染色効率が良くなるので、比較的低濃度の染色溶液を用いて染色することもできる。その結果、二色性物質の使用量を抑制でき、更に、染色浴の処理時間の短縮化も可能となる。よって、本発明の製法によれば、偏光子の生産速度の向上、染色浴の縮小化などを図ることができる。
<第2実施形態>
第2実施形態は、尿素又はチオ尿素の少なくとも何れか一方を含有した親水性ポリマーフィルムを用い、該尿素等の含有フィルムを染色浴にて染色する工程を有する。
以下、第2実施形態の製法について説明する。なお、第2実施形態の説明に於いては、主として上記第1実施形態と異なる部分を中心に説明し、上記第1実施形態と同様の構成については、説明を省略するので、第1実施形態の説明を参照されたい。
(親水性ポリマーフィルム)
本実施形態に於ける親水性ポリマーフィルムの材質は、上記第1実施形態と同様に特に限定されない。
本実施形態に於いては、尿素等を含有した親水性ポリマーフィルムが用いられる。すなわち、PVA系ポリマーなどの樹脂成分を含む樹脂組成物に、尿素又はチオ尿素の少なくとも何れか一方を添加し、該尿素等を含む樹脂組成物を製膜して得られた親水性ポリマーフィルムが用いられる。
なお、該尿素等を含有した親水性ポリマーフィルムは、尿素等を添加した樹脂組成物を用いること以外は、上記第1実施形態と同様にして作製できる。
尿素等の添加量は特に限定されないが、余りに少ないと尿素等を添加した効果を奏さず、一方、余りに多いと製膜上支障を来す虞がある。かかる点を考慮すると、尿素等の添加量は、PVA系ポリマーなどの樹脂成分100質量部に対し、尿素等0.0001質量部以上が好ましく、更に、0.001質量部以上がより好ましい。一方、その上限としては、樹脂成分100質量部に対して、尿素等10質量部以下の割合で混合されていることが好ましく、更に、5質量部以下がより好ましい。
(膨潤工程)
上記尿素等を含有した親水性ポリマーフィルムは、膨潤浴に導かれる。
本実施形態の膨潤浴は、実質的に尿素等を含まない水溶液が用いられる。もっとも、本実施形態の膨潤浴に於いても、極めて少量の尿素等が含まれていてもよい。
その他、膨潤浴の液温、処理時間などは、上記第1実施形態と同様である。
(染色工程〜洗浄工程)
本実施形態の染色工程〜洗浄工程は、上記第1実施形態と同様に行われる。
本実施形態の偏光子の製法によれば、親水性ポリマーフィルムに対する二色性物質の染色効率を非常に高めることができる。かかる製法によって得られた偏光子は、偏光度が高く、偏光特性に優れている。また、上記製法によれば、二色性物質の染色効率が良くなるので、比較的低濃度の染色溶液を用いて染色することもできる。その結果、二色性物質の使用量を抑制でき、更に、染色浴の処理時間の短縮化も可能となる。
なお、本実施形態及び第1実施形態は、何れも二色性物質の染色効率を高め、偏光特性に優れた偏光子を得ることができるが、尿素等の濃度管理という点で、第1実施形態の製法が好ましい。その理由は、下記の通りである。
本実施形態では、親水性ポリマーフィルムに予め含有させた尿素等が、膨潤浴の水溶液中に溶け出す虞がある。尿素等が溶出すると、該フィルムを連続的に処理している間に、膨潤浴の溶液中に於ける尿素等の濃度が高まっていく。このため、場合によっては、膨潤浴の水溶液の尿素等が非常に高濃度となり、この溶出した尿素等が、フィルムに再含浸し、フィルム中の尿素等の含有量が必要以上に高くなる。これを防止するために、膨潤浴の水溶液中の尿素等濃度の管理が頻繁に必要となるからである。
<第3実施形態>
第3実施形態は、親水性ポリマーフィルムに、尿素又はチオ尿素の少なくとも何れか一方を付着含有させた後、該フィルムを膨潤浴にて膨潤する工程を有する。
以下、第3実施形態の製法について説明する。なお、第3実施形態の説明に於いては、主として上記第1実施形態と異なる部分を中心に説明し、上記第1実施形態と同様の構成については、説明を省略するので、第1実施形態の説明を参照されたい。
(親水性ポリマーフィルム)
本実施形態に於ける親水性ポリマーフィルムの材質は、上記第1実施形態と同様に特に限定されないが、好ましくはPVA系ポリマーを含むフィルムである。
(膨潤工程)
上記親水性ポリマーフィルムは、膨潤浴に導かれる。
本実施形態では、親水性ポリマーフィルムを膨潤浴に浸積する前に、該親水性ポリマーフィルムに尿素等を付着させて含有させる。
尿素等の付着方法としては、尿素等を水などの溶媒に溶解させた溶液を、スプレー法にてフィルムの片面又は両面に塗布する方法、グラビア版などの印刷法にてフィルムの片面又は両面に塗布する方法、その他、各種コーティング法にてフィルムの片面又は両面に塗布する方法、などが挙げられる。
該尿素等は、親水性ポリマーフィルムの片面1m当たり、尿素等が1mg〜100mg程度となるように付着させることが好ましい。
上記のようにして尿素を含有させた親水性ポリマーフィルムは、膨潤浴へ導かれる。
なお、本実施形態の膨潤浴は、実質的に尿素等を含まない水溶液が用いられる。もっとも、本実施形態の膨潤浴に於いても、極めて少量の尿素等が含まれていてもよい。
その他、膨潤浴の液温、処理時間などは、上記第1実施形態と同様である。
(染色工程〜洗浄工程)
本実施形態の染色工程〜洗浄工程は、上記第1実施形態と同様に行われる。
本実施形態の偏光子の製法によれば、親水性ポリマーフィルムに対する二色性物質の染色効率を非常に高めることができる。かかる製法によって得られた偏光子は、偏光度が高く、偏光特性に優れている。また、上記製法によれば、二色性物質の染色効率が良くなるので、比較的低濃度の染色溶液を用いて染色することもできる。その結果、二色性物質の使用量を抑制でき、更に、染色浴の処理時間の短縮化も可能となる。
なお、本実施形態及び第1実施形態は、何れも二色性物質の染色効率を高め、偏光特性に優れた偏光子を得ることができるが、尿素等の濃度管理という点で、第1実施形態の製法が好ましい。その理由は、上記第2実施形態で説明した通り、膨潤浴の水溶液に尿素などが溶出し、該水溶液の尿素等濃度の管理を頻繁に行わなければならないからである。
<偏光子の性状>
以上の第1〜第3実施形態の製法によって得られた偏光子の厚さは、特に限定されるものではないが、5〜40μmであることが好ましい。厚さが5μm以上であれば機械的強度が低下することはなく、また40μm以下であれば光学特性が低下せず、画像表示装置に適用しても薄型化を実現できるからである。
また、該偏光子の単体光線透過率は、通常、35%〜48%程度、該偏光子の偏光度は、99%以上である。従って、本発明の偏光子は、液晶表示装置などに使用する偏光子として、良好な偏光特性を有する。
<偏光子の用途>
(光学フィルム用途)
上記偏光子は、そのまま使用することもできるが、通常、実用に際して各種光学処理を施した光学フィルムとして使用される。その光学処理については、要求される光学特性を満たすものであれば特に限定されるものではなく、例えば、次のような処理が例示される。a)例えば、偏光子の片面または両面に、偏光子の保護を目的とした透明な保護層を積層する、b)例えば、前記透明な保護層の表面(偏光子に接着する面と反対面)に、又は偏光子の片面若しくは両面に、ハードコート処理、反射防止処理、スティッキング防止処理などの表面処理を施す、c)例えば、視角補償等を目的とした配向液晶層を積層する、d)例えば、他のフィルムを積層するための粘着層を積層する、などが挙げられる。
さらに、偏光子に、又は、偏光子と保護層を積層した偏光板に、画像表示装置等の形成に用いられる光学部材を1層又は2層以上積層してもよい。該光学部材としては、偏光変換素子、反射板、半透過板、位相差板(1/2や1/4等の波長板を含む)、視角補償フィルム、輝度向上フィルムなどが挙げられる。中でも、偏光子と透明保護層を積層した偏光板に、反射板または半透過反射板が積層されてなる反射型偏光板または半透過型偏光板が好ましい。また、偏光子と透明保護層を積層した偏光板に、位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板が好ましい。さらに、偏光子と透明保護層を積層した偏光板に、視角補償層または視角補償フィルムが積層されてなる広視野角偏光板が好ましい。また、偏光子と透明保護層を積層した偏光板に、輝度向上フィルムが積層されてなる偏光板が好ましい。
偏光子の片面または両面に設けられる透明保護層の材料としては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などに優れるものが好ましい。透明保護層としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマーがあげられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、または前記ポリマーのブレンド物なども前記透明保護層を形成するポリマーの例としてあげられる。透明保護層は、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型、紫外線硬化型の樹脂の硬化層として形成することもできる。これらの中でも本発明による偏光子と貼り合わせる透明保護層としては、表面をアルカリなどでケン化処理したトリアセチルセルロースフィルムが好ましい。
透明保護層の厚さは特に限定されるものではないが、一般には500μm以下であり、1〜300μmが好ましい。特に5〜200μmとするのがより好ましい。また、偏光特性や耐久性および接着特性向上等の点より、透明保護層の表面をアルカリなどでケン化処理することが好ましい。
また、透明保護層はできるだけ色付きがないことが好ましい。例えば、Rth=[(nx+ny)/2−nz]・dで表される透明保護層の厚み方向の位相差値が−90nm〜+75nmである透明保護層が好ましく用いられる。かかる保護層を使用することにより、透明保護層に起因する偏光板の着色(光学的な着色)をほぼ解消することができる。さらに、Rthが、−80〜+60nmであるものがより好ましく、−70nm〜+45nmの範囲であるものが特に好ましい。
ただし、nx、nyは透明保護層の平面内の主屈折率、nzは同層の厚み方向の屈折率、dは同層の厚み(nm)を示す。
次に、偏光板に位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板について説明する。直線偏光を楕円偏光または円偏光に変えたり、楕円偏光または円偏光を直線偏光に変えたり、あるいは直線偏光の偏光方向を変える場合に、位相差板などが用いられる。特に、直線偏光を円偏光に変えたり、円偏光を直線偏光に変えたりする位相差板としては、いわゆる1/4波長板(λ/4板ともいう)が用いられる。1/2波長板(λ/2板ともいう)は、通常、直線偏光の偏光方向を変える場合に用いられる。
楕円偏光板は、スーパーツイストネマチック(STN)型液晶表示装置の液晶層の複屈折により生じた着色(青または黄)を補償(防止)して、着色のない白黒表示する場合などに有効に用いられる。さらに、三次元の屈折率を制御したものは、液晶表示装置の画面を斜め方向から見た際に生じる着色も補償(防止)することができるので好ましい。円偏光板は、例えば画像がカラー表示になる反射型液晶表示装置の画像の色調を整える場合などに有効に用いられ、また、反射防止の機能も有する。
位相差板としては、高分子素材を一軸または二軸延伸処理してなる複屈折性フィルム、液晶モノマーを配向させた後、架橋、重合させた配向フィルム、液晶ポリマーの配向フィルム、液晶ポリマーの配向層をフィルムにて支持したものなどがあげられる。位相差板の厚さも特に制限されないが、一般的には5〜200μm、好ましくは10〜100μmである。
位相差板は、例えば各種波長板や液晶層の複屈折による着色や視角等の補償を目的としたものなどの使用目的に応じた適宜な位相差を有するものであってよく、2種以上の位相差板を積層して位相差等の光学特性を制御したものなどであってもよい。
(画像処理装置用途)
本発明の偏光子、該偏光子を含む上記光学フィルム、及び上記円偏光板などの各種偏光板は、例えば、画像処理装置の光学部材として使用できる。その使用方法や配置は、従来公知の画像処理装置と同様である。
画像処理装置としては、代表的には、液晶表示装置が挙げられる。また、その他の画像処理装置としては、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ、プラズマディスプレイ(PD)およびFED(電界放出ディスプレイ:Field Emission Display)等の自発光型の装置などが挙げられる。
本発明の偏光子や偏光板等を液晶表示装置に使用する場合、該偏光子などは、例えば、液晶セルの片面又は両面、特に、少なくとも表示画面側に設けられる。
次に、本発明の実施例及び比較例を示し、本発明を更に詳述する。但し、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
(光線透過率及び偏光度の測定)
各種の光線透過率は、分光光度計(日本分光(株)製、商品名:V7000)を用いて測定した。偏光度は、この光度計で測定された平行ニコル光線透過率Tp、及び直交ニコル光線透過率Tcを、下記式に代入して求めた。
偏光度={(Tp−Tc)/(Tp+Tc)}1/2×100。
なお、平行ニコル光線透過率Tpは、同一の偏光板2枚を互いの吸収軸が平行となるように重ね合わせて得られた積層偏光板の透過率である。また、直交ニコル光線透過率Tcは、同一の偏光板2枚を互いの吸収軸が直交するように重ね合わせて得られた積層偏光板の透過率である。
(実施例1)
厚み75μmのポリビニルアルコールフィルム(クラレ社製、商品名:ビニロン#7600)を、純水にチオ尿素を溶解させた10質量%水溶液(液温30℃)中に、30秒間浸積し、PVAフィルムを膨潤させた。次に、膨潤後のPVAフィルムを、純水に有機染料(和光純薬工業製、C.I.ダイレクト・イエロー12。商品名:クリソフェニン)を溶解させた0.2質量%水溶液(液温30℃)中に、30秒間浸積し、フィルムを染色した。なお、該染料水溶液に浸積中、フィルムを一軸方向に約3倍延伸した。次に、このフィルムを、純粋にホウ酸を溶解させた4質量%水溶液(液温60℃)中に、60秒間浸積した。なお、ホウ酸水溶液に浸積中、フィルムを一軸方向に延伸し、染色浴中に於ける延伸と合わせた総延伸倍率が6倍になるように延伸した。最後に、該フィルムを、純水(液温30℃)で十分に洗浄した後、60℃にて4分間乾燥して、偏光子を得た。この偏光子の両面に、厚み80μmのトリアセチルセルロースフィルム(フジ写真フィルム社製、商品名:T80UZ)を、アセトアセチル変性ポバール接着剤(乾燥厚約60nm)を用いて貼り合せ、実施例1の偏光板を作製した。この偏光板の光線透過率及び偏光度を測定した。その結果、425nm(最大吸収波長)に於ける測定値で、偏光板の単体光線透過率は、38.8%、同偏光度は、99.97%であった。
(比較例1)
膨潤浴にチオ尿素を添加しないこと以外は、実施例1と同様にして、偏光子を作製した。また、この偏光子の両面に、実施例1と同様にしてトリアセチルセルロースフィルムを貼り合わせ、比較例1に係る偏光板を作製した。この偏光板について光線透過率及び偏光度を測定した。その結果、425nm(最大吸収波長)に於ける測定値で、この偏光板の単体光線透過率は、41.3%、同偏光度は、99.74%であった。
(実施例2)
厚み75μmのポリビニルアルコールフィルム(クラレ社製、商品名:ビニロン#7600)を、純水に尿素を溶解させた10質量%水溶液(液温30℃)中に、30秒間浸積し、PVAフィルムを膨潤させた。次に、膨潤後のPVAフィルムを、ヨウ素:ヨウ化カリウム:純水=0.18:6:100(質量比)の水溶液(液温30℃)中に、30秒間浸積し、フィルムを染色した。なお、該ヨウ素溶液に浸積中、フィルムを一軸方向に約3倍延伸した。
次に、このフィルムを、ヨウ化カリウム:ホウ酸:純水=25:9.5:100(質量比)の水溶液(液温60℃)中に、60秒間浸積した。なお、ホウ酸水溶液に浸積中、フィルムを一軸方向に延伸し、染色浴中に於ける延伸と合わせた総延伸倍率が6倍になるように延伸した。最後に、該フィルムを、純水(液温30℃)で十分に洗浄した後、60℃にて4分間乾燥して、偏光子を得た。この偏光子の両面に、厚み80μmのトリアセチルセルロースフィルム(フジ写真フィルム社製、商品名:T80UZ)を、アセトアセチル変性ポバール接着剤(乾燥厚約60nm)を用いて貼り合せ、実施例2の偏光板を作製した。この偏光板の光線透過率及び偏光度を測定した。その結果、550nm(最大吸収波長)に於ける測定値で、偏光板の単体光線透過率は、45.3%、同偏光度は、99.76%であった。
(比較例2)
膨潤浴に尿素を添加しないこと以外は、実施例2と同様にして、偏光子を作製した。また、この偏光子の両面に、実施例2と同様にしてトリアセチルセルロースフィルムを貼り合わせ、比較例2に係る偏光板を作製した。この偏光板について光線透過率及び偏光度を測定した。その結果、550nm(最大吸収波長)に於ける測定値で、偏光板の単体光線透過率は、46.3%、同偏光度は、99.50%であった。

Claims (7)

  1. 親水性ポリマーフィルムに二色性物質を染色させる工程を有し、
    染色工程の前に、尿素又はチオ尿素の少なくとも何れか一方を、親水性ポリマーフィルムに含有又は接触させることを特徴とする偏光子の製造方法。
  2. 染色工程の前に、親水性ポリマーフィルムを、尿素又はチオ尿素の少なくとも何れか一方を溶解させた膨潤液に浸漬する工程を有する請求項1に記載の偏光子の製造方法。
  3. 膨潤液が、水100質量部に対し尿素又はチオ尿素の少なくとも何れか一方を0.01〜20質量部を含む請求項2に記載の偏光子の製造方法。
  4. 染色工程の前に、尿素又はチオ尿素の少なくとも何れか一方を含有する親水性ポリマーフィルムを、膨潤液に浸積する工程を有する請求項1に記載の偏光子の製造方法。
  5. 二色性物質が、有機染料である請求項1〜4のいずれかに記載の偏光子の製造方法。
  6. 二色性物質が、ヨウ素である請求項1〜4のいずれかに記載の偏光子の製造方法。
  7. 親水性ポリマーフィルムが、ポリビニルアルコール系フィルムである請求項1〜6のいずれかに記載の偏光子の製造方法。
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