JP4541655B2 - 積層体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無機物と有機物との接着性を上げるための下塗り用塗料に関する。また、本発明は、プラスチックフィルム上に無機膜を有する積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、様々な分野や用途において、無機物上に有機物を接着させたり、有機物上に無機物を接着させたりする手段が講じられている。
【0003】
無機物上に有機物を接着させる用途としては、例えば、ステンレス板などの金属板に有色樹脂塗料などを塗布し化粧性を向上させた建築材料等があげられ、また、自動車部品、光ディスク基板等の各種工業用分野においても無機物と有機物を接着して使用されている。
【0004】
しかし、一般に無機物と有機物との接着性は低く、これを解決するために、一般に下塗り用塗料にシランカップリング剤を添加して無機物と有機物の接着性を向上させるという技術があるが、このような下塗り用塗料を用いたものは、高湿環境下において有機物と下塗り用塗料からなる塗膜との接着性が低下するため、用途によっては長期間使用していると無機物と有機物が剥がれてしまう場合がある。
【0005】
一方、有機物上に無機物を接着させる用途としては、例えば、プラスチックフィルムの上にアルミニウム等の無機膜を蒸着して、プラスチックフィルムの表面に金属反射性を付与し、バックライトユニットなどのリフレクターフィルムとして使用されたり、ガスバリア性などの性能を付与し、食品、医薬品、電子部品、医療用機器などの包装材料に使用されたりしている。また、透明プラスチックフィルムの上に錫ドープ酸化インジウム(以下、「ITO」という)等をスパッタリングして導電性を付与し、導電性フィルムとしてタッチパネルなどで使用されたり、屈折率の低い無機膜を設けて反射防止性能を付与して、ディスプレイ画面などに反射防止フィルムとして使用されたりもしている(特許文献1〜3参照)。
【0006】
しかし、一般にプラスチックフィルムと無機膜の接着性は低く、これを解決するためプラスチックフィルムに易接着層が設けられたものが製造されているが、このようなプラスチックフィルムの易接着層は、プラスチックフィルムを押し出し成形した後延伸し、易接着層も一緒に形成されるため、易接着層の厚みが均一にならず厚みムラの生じたものとなっている。また、このように易接着層はムラが生じてしまうため、易接着層の厚みを薄くしたものは製造が難しい(特許文献4参照)。
【0007】
このように易接着層に厚みムラが生じていると、上記のようなリフレクターフィルムのような用途の場合は、易接着層のムラのパターンをひろってアルミニウムが蒸着されてしまい、光の反射性能が低下してしまうという問題が生じる。
【0008】
また、導電性フィルムがタッチパネルの用途で使用される場合は、易接着層の厚みムラにより外観不良や耐久性が低下してしまうという問題も生じている。
【0009】
また、反射防止フィルムの場合は、易接着層及び積層する無機膜の合計の厚みを特定のものとすることにより反射防止性能を持たせているため、易接着層はできるだけ厚みの薄いものを用いることが好ましい。しかし、上記易接着層付きプラスチックフィルムでは、上述の理由から易接着層の厚みを薄いものとすることができず、反射防止性能が低下してしまうという問題が生じている。また易接着層のムラにより積層する無機膜の厚みの制御が難しくなるため、さらに反射防止性能が低下してしまうという問題が生じている。
【0010】
また、プラスチックフィルムと無機膜の接着性を向上させるための下塗り用塗料も製造されているが、このような下塗り用塗料を用いたものは、高湿環境下においてプラスチックフィルムと易接着層との接着性が低下しやすく、用途によっては十分な接着性を得ることができないという問題がある。
【0011】
【特許文献1】
特表平8−510009号公報(発明の分野)
【特許文献2】
特開2002−240182号公報(請求項1、発明の効果)
【特許文献3】
特開平1−307701号公報(特許請求の範囲(1))
【特許文献4】
特開2002−53687号公報(請求項1)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、塗膜化した際に無機物と有機物との接着性を向上させることができる下塗り用塗料を提供することを目的とする。また、本発明は、プラスチックフィルム上に無機膜を有する積層体において、プラスチックフィルムと無機膜との接着性が良く、かつプラスチックフィルム上に各種無機膜の性能が損なわれることなく付与された積層体を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を解決する本発明の積層体は、プラスチックフィルム上に易接着層と無機膜とをこの順に有し、前記易接着層が、フルエーテル化メラミンと、カルボキシル基を1.0×10 -3 [mol/g]〜5.0×10 -3 [mol/g]、アルコール性水酸基を3.5×10 -4 [mol/g]〜6.0×10 -4 [mol/g]有し、かつガラス転位温度が20℃〜90℃であるアクリルポリオール樹脂を含んでなり、前記フルエーテル化メラミンと前記アクリルポリオール樹脂の含有比が、前記アクリルポリオール樹脂100重量部に対して、前記フルエーテルメラミンが30重量部〜50重量部である無機膜用下塗り用塗料、から形成されてなるものであることを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の積層体は、プラスチックフィルム上に易接着層と無機膜とをこの順に有し、前記易接着層は、上記下塗り用塗料から形成されてなるものであることを特徴とするものである。
【0016】
なお、上記ポリオール樹脂中のカルボキシル基及びアルコール性水酸基の含有量は、溶剤を含まない樹脂固形分100重量%とした時の値である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の下塗り用塗料、及びこれを用いた積層体の実施の形態について詳述する。
【0018】
本発明の下塗り用塗料は、無機物と有機物を接着させるため、一分子中にメチロール基を4つ以上有するメラミン誘導体と、カルボキシル基を1.0×10-3[mol/g]〜5.0×10-3[mol/g]、アルコール性水酸基を3.5×10-4[mol/g]〜6.0×10-4[mol/g]有し、かつガラス転位温度が20℃〜90℃であるポリオール樹脂を含むものである。
【0019】
本発明における一分子中にメチロール基を4つ以上有するメラミン誘導体とは、メラミンとアルデヒド類との付加物、及びこれらをアルコール類によりエーテル化して得られるメラミン誘導体のうち、一分子中にメチロール基を4つ以上有し、自己縮合性が小さいことを特徴とするものである。このようなメラミン誘導体としては、例えば、イミノメチロール化メラミン、ペンタメチロール化メラミン、テトラメチロール化メラミン、フルエーテル化メラミンがあげられ、なかでも下塗り用塗料とした時の塗料の使用可時間という観点から、フルエーテル化メラミンを用いることが好ましい。
【0020】
ここで、一分子中にメチロール基を4つ以上有するメラミン誘導体を用いる理由としては、一分子中にメチロール基を4つ以上有することにより、自己縮合反応よりもポリオール樹脂との架橋反応が優先されて、架橋密度が向上するため、特に無機物と下塗り用塗料から形成される塗膜の接着性が向上し、無機物と有機物の接着性を向上することができるからである。さらに、一分子中にメチロール基を4つ以上有するメラミン誘導体を用いることにより、塗膜化した際に強靭な塗膜を得ることができる。したがって、一分子中にメチロール基が3つ以下であるメラミン誘導体を用いた場合、ポリオール樹脂との架橋反応よりも自己縮合反応が速く進み、架橋密度が低下するため、無機物と有機物の接着性は低下し、塗膜化した際に強靭な塗膜が得られない。また、下塗り用塗料の使用可時間も短いものとなる。
【0021】
次に、本発明におけるポリオール樹脂とは、例えばアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂等の側鎖及び/又は末端に水酸基やカルボキシル基を有するものをいい、なかでも、上記一分子中にメチロール基を4つ以上有するメラミン誘導体との相溶性という観点からアクリルポリオール樹脂が好ましい。
【0022】
アクリルポリオール樹脂を構成するモノマーとしては、例えば、アルコール性水酸基を有するモノマーとして、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等、カルボキシル基を有するモノマーとして、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、2−アクリロイロキシエチルフタル酸等があげられる。
【0023】
また、その他の共重合成分として、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のエステル基を有するモノマーや、エチレン性不飽和二重結合を有する酢酸ビニル、ビニルエーテル、スチレン、(メタ)アクリロニトリル等のモノマーを加えても良い。本発明においては、特に、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート、アクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、及び2−エチルヘキシルアクリレートとの共重合体が好ましい。
【0024】
このようなポリオール樹脂は、カルボキシル基を1.0×10-3[mol/g]〜5.0×10-3[mol/g]有するものとする必要があり、高湿環境下での無機物と有機物の接着性の低下防止という観点から、ポリオール樹脂は、カルボキシル基を2.5×10-3[mol/g]〜4.0×10-3[mol/g]有するものとすることが望ましい。カルボキシル基を1.0×10-3[mol/g]以上とすることにより、一分子中にメチロール基を4つ以上有するメラミン誘導体と十分に架橋して有機物と無機物の接着性を向上させることができ、また、特に有機物と下塗り用塗料から形成される塗膜の接着性が向上するため、高湿環境下における無機物と有機物の接着性が低下するのを防止することができる。また、5.0×10-3[mol/g]以下とすることによりカルボキシル基が過剰となることはないため、高湿環境下における無機物と有機物との接着性に影響を与えることはない。
【0025】
また、このようなポリオール樹脂は、アルコール性水酸基を3.5×10-4[mol/g]〜6.0×10-4[mol/g]有するものとする必要がある。アルコール性水酸基を3.5×10-4[mol/g]以上とすることにより、比較的低温で十分に架橋反応が進み、有機物と下塗り用塗料から形成される塗膜の接着性を向上させることができる。また、アルコール性水酸基を6.0×10-4[mol/g]以下とすることにより、アルコール性水酸基が過剰となることはないため、比較的低い温度で架橋反応を完了させることができる。このように、低い温度で架橋反応を完了させることができることは、消費エネルギーを低減することができるため、経費、及び地球環境への配慮という観点から好ましい。また、例えば、反射防止フィルムなどの用途で、易接着層の形成温度を超えるほどの高熱を加えて工業的2次加工するような場合、プラスチックフィルムが易接着層の形成段階により熱収縮をしていないため、反射防止層の熱収縮に当該プラスチックフィルムが追従し、反射防止層にクラックが入るのを防止することができる。さらに、下塗り用塗料の使用可時間が短くなるのを防止する。
【0026】
また、このようなポリオール樹脂は、ガラス転位温度が20℃〜90℃のものとする必要があり、好ましくは、20℃〜60℃のものとすることが望ましい。ガラス転位温度を20℃以上とすることにより、塗膜化した際に良好な表面硬度の塗膜を得ることができ、また、ガラス転位温度を90℃以下とすることにより、有機物と下塗り用塗料から形成される塗膜の接着性が低下するのを防止することができる。
【0027】
本発明の下塗り用塗料におけるメラミン誘導体とポリオール樹脂の含有比は、、特に限定されるものではないが、前記ポリオール樹脂100重量部に対して、前記メラミン誘導体が25重量部〜70重量部であることが好ましく、さらに好ましくは30重量部〜50重量部であることが望ましい。メラミン誘導体の含有率がこの範囲よりも少ないと、無機物と下塗り用塗料から形成される塗膜の接着性が低下しやすくなり、この範囲よりも多いと有機物と下塗り用塗料から形成される塗膜の接着性が低下しやすくなる。したがって、メラミン誘導体とポリオール樹脂の含有比をこのような範囲とすることにより、有機物と無機物の接着性をより向上させることができる。
【0028】
本発明の下塗り用塗料は、塗料化するために、上述の一分子中にメチロール基を4つ以上有するメラミン誘導体とポリオール樹脂を、有機溶剤等の希釈溶媒を用いて希釈して使用することが好ましい。このような有機溶剤としては、例えば、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、ノルマルブチルアルコール、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のアルコール類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジオキサン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類などがあげられ、接着させる無機物や有機物の種類や、使用用途に応じて適宜選択することができる。また、希釈した際の塗料の粘度については、当該塗料の使用用途や塗布方法等によって異なるため、適宜、最も取り扱い性の良好な状態にして使用すればよい。
【0029】
また、本発明の下塗り用塗料には、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、必要に応じて、他の樹脂成分や、パラトルエンスルホン酸や潜在性酸発生剤などの硬化触媒、架橋剤、滑剤、着色剤、顔料、帯電防止剤、難燃剤、抗菌剤、防カビ剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、可塑剤、レベリング剤、流動調整剤、消泡剤、貯蔵安定剤等の添加剤を添加してもよい。
【0030】
このような本発明の下塗り用塗料は、無機物上、又は有機物上に塗布し、乾燥硬化させ、目的の有機物、又は無機物を積層して使用することができる。
【0031】
次に、本発明の積層体について説明する。本発明の積層体は、プラスチックフィルム上に易接着層と無機膜とをこの順に有し、前記易接着層は、上述の下塗り用塗料から形成されてなるものである。このような積層体は、前記下塗り用塗料をプラスチックフィルムの表面に塗布し、熱により乾燥、硬化させて易接着層を作製した後、その上層に目的の無機膜を積層することにより、プラスチックフィルムと無機膜との接着性を良好なものを作製することができる。
【0032】
プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリル、アセチルセルロース等の樹脂からなるものがあげられる。特に、タッチパネル用導電性フィルムや反射防止フィルムなどのような用途の場合には、光学的かつ物理的な性能に優れたポリエステルフィルムを使用することが好ましい。プラスチックフィルムの厚みは、使用用途、使用形態等によって異なるので一概にいえないが、通常2μm〜250μm程度である。
【0033】
次に、易接着層は、上記プラスチックフィルムに上述の本発明の下塗り用塗料を、従来公知のコーティング方法、例えば、バーコーター、ダイコーター、ブレードコーター、スピンコーター、ロールコーター、グラビアコーター、フローコーター、スプレー、スクリーン印刷等によって塗布した後、熱により乾燥、硬化させることにより作製することができる。
【0034】
このように本発明において易接着層は、コーティングによって作製するため、従来の易接着層付きプラスチックフィルムのように、易接着層の厚みムラによる無機膜の性能の低下を生じることはない。特に反射防止フィルムの用途である場合には、易接着層の厚みの制御が容易であるため、光反射防止性能を一定の状態に保つことが容易である。
【0035】
易接着層の厚みは、特に限定されないが、リフレクターフィルムや、タッチパネル用の導電性フィルム等の用途では0.01μm〜1μm程度である。また、反射防止フィルムの用途である場合には、反射防止層(無機膜)と易接着層の合計の厚みは、光の反射防止理論により次式を満たす厚みとすることが好ましい。d=(a+1)λ/4n
【0036】
ここで、dは反射防止層と易接着層の合計の厚み、aは0又は正の偶数、λは反射を防止しようとする光の中心波長、nは無機膜の屈折率である。反射を防止しようとする光の中心波長を可視光域とすると、λを一般的に可視光域といわれる波長の中心波長である550nmとし、無機膜として酸化珪素を用いた場合には屈折率nは1.40となり、反射防止層と易接着層の合計の厚みdは約0.1μmとなる。したがって、易接着層の厚みは0.01μm〜0.03μm程度とすることが好ましい。
【0037】
次に、易接着層の上層に設けられる無機膜としては、特に限定されるものではなく、用途、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、タッチパネル用の導電性フィルム等の用途であれば、In、Sn、Au、Al、Cu、Pt、Pd、Ag、Rhなどの金属や、酸化インジウム、酸化スズ、及びITOなどの金属酸化物等、反射防止フィルム等の用途であれば、Siの酸化物、Li、Na、Mg、Al、Ca、La、Nd、Pb等のフッ化物等があげられ、これらの金属、又は金属酸化物等を、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの真空製膜法により形成することができる。
【0038】
さらに反射防止フィルムの用途の場合は、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン等の珪素アルコキシドを加水分解して調製した酸化珪素ゾルや、ジルコニアプロポキシド、アルミニウムイソプロポキシド、チタンブトキシド、チタンイソプロポキシド等の珪素以外の金属アルコキシドを加水分解して調製した金属酸化物ゾル等を適宜選択して、ブレードコーター法、ロッドコーター法、グラビアコーター法などの塗布法により形成することもできる。
【0039】
以上のように本発明の下塗り用塗料によれば、一分子中にメチロール基を4つ以上有するメラミン誘導体と、カルボキシル基を1.0×10-3[mol/g]〜5.0×10-3[mol/g]、アルコール性水酸基を3.5×10-4[mol/g]〜6.0×10-4[mol/g]有し、かつガラス転位温度が20℃〜90℃であるポリオール樹脂を含むことにより、無機物と有機物との接着性を向上させることができる。
【0040】
また、本発明の積層体によれば、プラスチックフィルム上に易接着層と無機膜とをこの順に有し、前記易接着層は上記本発明の下塗り用塗料から形成されているため、プラスチックフィルムと無機膜との接着性が良く、かつ易接着層のムラが解消されるため、プラスチックフィルム上に積層された各種無機膜の性能が損なわれることない。
【0041】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明する。なお、本実施例において「部」、「%」は、特に示さない限り重量基準である。
【0042】
<アクリルポリオール樹脂溶液A〜Jの合成>
攪拌機、コンデンサー、温度計および窒素導入管を備えた反応容器で、下記の表1のA〜Jに示すモノマー成分100部、及び酢酸エチル25部、トルエン25部、プロピレングリコールモノエチルエーテル50部、α,α’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.2部を混合し、窒素を通じ攪拌しながら75℃に加熱した。その後、反応溶液を75℃に保ち8時間攪拌し続け反応を完結させ、アクリルポリオール樹脂溶液A’〜J’(固形分50%)を合成した。このアクリルポリオール樹脂溶液A’〜E’(固形分50%)に、プロピレングリコールモノエチルエーテル100部を加え、アクリルポリオール樹脂溶液A〜E(固形分33.3%)を得た。また、アクリルポリオール樹脂溶液F’〜J’(固形分50%)に、酢酸エチル50部、トルエン50部を加え、アクリルポリオール樹脂溶液F〜J(固形分33.3%)を得た。
【0043】
【表1】
Figure 0004541655
【0044】
なお、表1中、「EA」はエチルアクリレート、「BA」はブチルアクリレート、「2−EHA」は2−エチルヘキシルアクリレート、「MMA」はメチルメタアクリレート、「AA」はアクリル酸、「2−HEMA」は2−ヒドロキシエチルメタアクリレート、「COOH基」はカルボキシル基、「OH基」はアルコール性水酸基、「Tg」はガラス転位温度を意味する。また、上記ポリオール樹脂中のカルボキシル基及びアルコール性水酸基の含有量は、溶剤を含まない樹脂固形分100重量%とした時の値である。
【0045】
[実施例1]
<実施例1の下塗り用塗料処方>
・アクリルポリオール樹脂溶液A 2.1部
・フルエーテル化メラミン 0.3部
(ニカラックMW-30M:三和ケミカル社)
・酢酸エチル 250部
・プロピレングリコールモノエチルエーテル 250部
【0046】
<実施例1の反射防止フィルムの作製>
透明ポリエステルフィルム(ルミラーT60<厚み125μm>:東レ社)の一方の面に、上記処方の下塗り用塗料をバーコーターにて塗布し、80℃、1分で乾燥して厚み0.01μmの易接着層を形成した。次いで、その上層にテトラエトキシシランの加水分解液をブレードコーター法にて塗布し、80℃、2分で乾燥して、易接着層と反射防止層の合計の厚みが約0.1μmとなるように反射防止層を形成し、反射防止フィルム(実施例1の積層体a)を作製した。
【0047】
<実施例1の導電性フィルムの作製>
透明ポリエステルフィルム(ルミラーT60<厚み25μm>:東レ社)の一方の面に、上記反射防止フィルムと同様にして易接着層を形成し、次いでその上層に厚み約20nmのITOの導電性膜をスパッタリング法で形成し、導電性フィルム(実施例1の積層体b)を作製した。
【0048】
[実施例2]
実施例1の下塗り用塗料のアクリルポリオール樹脂溶液Aの代わりに、アクリルポリオール樹脂溶液Bを用いた以外は実施例1と同様にして、反射防止フィルム(実施例2の積層体a)、及び導電性フィルム(実施例2の積層体b)を作製した。
【0049】
[実施例3]
実施例1の下塗り用塗料のアクリルポリオール樹脂溶液Aの代わりに、アクリルポリオール樹脂溶液Cを用いた以外は実施例1と同様にして、反射防止フィルム(実施例3の積層体a)、及び導電性フィルム(実施例3の積層体b)を作製した。
【0050】
[実施例4]
実施例1の下塗り用塗料のアクリルポリオール樹脂溶液Aの代わりに、アクリルポリオール樹脂溶液Dを用いた以外は実施例1と同様にして、反射防止フィルム(実施例4の積層体a)、及び導電性フィルム(実施例4の積層体b)を作製した。
【0051】
[実施例5]
実施例1の下塗り用塗料のアクリルポリオール樹脂溶液Aの代わりに、アクリルポリオール樹脂溶液Eを用いた以外は実施例1と同様にして、反射防止フィルム(実施例の積層体a)、及び導電性フィルム(実施例の積層体b)を作製した。
【0052】
参考例2
実施例1の下塗り用塗料の代わりに、下記処方の下塗り用塗料を用いた以外は実施例1と同様にして、反射防止フィルム(参考例2の積層体a)、及び導電性フィルム(参考例2の積層体b)を作製した。
【0053】
参考例2の下塗り用塗料処方>
・アクリルポリオール樹脂溶液A 1.8部
・フルエーテル化メラミン 0.4部
(ニカラックMW−30M:三和ケミカル社)
・酢酸エチル 250部
・プロピレングリコールモノエチルエーテル 250部
【0054】
参考例3
実施例1の下塗り用塗料の代わりに、下記処方の下塗り用塗料を用いた以外は実施例1と同様にして、反射防止フィルム(参考例3の積層体a)、及び導電性フィルム(参考例3の積層体b)を作製した。
【0055】
参考例3の下塗り用塗料処方>
・アクリルポリオール樹脂溶液A 2.4部
・フルエーテル化メラミン 0.2部
(ニカラックMW−30M:三和ケミカル社)
・酢酸エチル 250部
・プロピレングリコールモノエチルエーテル 250部
【0056】
参考例1
実施例1の下塗り用塗料の代わりに、下記処方の下塗り用塗料を用いた以外は実施例1と同様にして、反射防止フィルム(参考例1の積層体a)、及び導電性フィルム(参考例1の積層体b)を作製した。
【0057】
参考例1の下塗り用塗料処方>
・アクリルポリオール樹脂溶液A 2.1部
・イミノメチロール化メラミン(固形分70%)0.4部
(ニカラックMX−706:三和ケミカル社)
・酢酸エチル 250部
・プロピレングリコールモノエチルエーテル 250部
【0058】
[比較例1]
実施例1の下塗り用塗料のアクリルポリオール樹脂溶液Aの代わりに、アクリルポリオール樹脂溶液Fを用いた以外は実施例1と同様にして、反射防止フィルム(比較例1の積層体a)、及び導電性フィルム(比較例1の積層体b)を作製した。
【0059】
[比較例2]
実施例1の下塗り用塗料のアクリルポリオール樹脂溶液Aの代わりに、アクリルポリオール樹脂溶液Gを用いた以外は実施例1と同様にして、反射防止フィルム(比較例2の積層体a)、及び導電性フィルム(比較例2の積層体b)を作製した。
【0060】
[比較例3]
実施例1の下塗り用塗料のアクリルポリオール樹脂溶液Aの代わりに、アクリルポリオール樹脂溶液Hを用いた以外は実施例1と同様にして、反射防止フィルム(比較例3の積層体a)、及び導電性フィルム(比較例3の積層体b)を作製した。
【0061】
[比較例4]
実施例1の下塗り用塗料のアクリルポリオール樹脂溶液Aの代わりに、アクリルポリオール樹脂溶液Iを用いた以外は実施例1と同様にして、反射防止フィルム(比較例4の積層体a)、及び導電性フィルム(比較例4の積層体b)を作製した。
【0062】
[比較例5]
実施例1の下塗り用塗料のアクリルポリオール樹脂溶液Aの代わりに、アクリルポリオール樹脂溶液Jを用いた以外は実施例1と同様にして、反射防止フィルム(比較例5の積層体a)、及び導電性フィルム(比較例5の積層体b)を作製した。
【0063】
[比較例6]
実施例1の下塗り用塗料の代わりに、下記処方の下塗り用塗料を用いた以外は実施例1と同様にして、反射防止フィルム(比較例6の積層体a)、及び導電性フィルム(比較例6の積層体b)を作製した。
【0064】
<比較例6の下塗り用塗料処方>
・アクリルポリオール樹脂溶液A 2.1部
・イミノ化メラミン(固形分70%) 0.4部
(ニカラックMX-708:三和ケミカル社)
・酢酸エチル 250部
・プロピレングリコールモノエチルエーテル 250部
【0065】
[比較例7]
実施例1の下塗り用塗料の代わりに、一般的な下塗り用塗料として下記処方の下塗り用塗料を用いた以外は実施例1と同様にして、反射防止フィルム(比較例7の積層体a)、及び導電性フィルム(比較例7の積層体b)を作製した。
【0066】
<比較例7の下塗り用塗料処方>
・アクリルポリオール樹脂(固形分50%) 1.4部
(アクリディックA817:大日本インキ化学工業社)
・フルエーテル化メラミン 0.3部
(ニカラックMW-30M:三和ケミカル社)
・酢酸エチル 500部
【0067】
[比較例8]
<比較例8の反射防止フィルムの作製>
易接着層の厚みが約0.04〜0.07μmの透明ポリエステルフィルム(ポリエステルフィルムの厚み約125μm)の易接着層を有する面に、テトラエトキシシランの加水分解液をブレードコーター法にて塗布し、80℃、2分で乾燥して易接着層と反射防止層の合計の厚みが約0.1μmとなるように反射防止層を形成し、反射防止フィルム(比較例8の積層体a)を作製した。
【0068】
<比較例8の導電性フィルムの作製>
易接着層の厚みが約0.04〜0.07μmの透明ポリエステルフィルム(ポリエステルフィルムの厚み約25μm)の易接着層を有する面に、厚み約20nmのITOの導電性膜をスパッタリング法で形成し、導電性フィルム(比較例8の積層体b)を作製した。
【0069】
[比較例9]
実施例1の下塗り用塗料の代わりに、下記処方の下塗り用塗料を用いた以外は実施例1と同様にして、反射防止フィルム(比較例9の積層体a)、及び導電性フィルム(比較例9の積層体b)を作製した。
【0070】
<比較例9の下塗り用塗料処方>
・アクリルポリオール樹脂(固形分50%) 2.0部
(アクリディックA817:大日本インキ化学工業社)
・イソシアネート系硬化剤(固形分60%)0.07部
(タケネートD110N:三井武田ケミカル社)
・シランカップリング剤 0.05部
(KBM403:信越シリコーン社)
・酢酸エチル 500部
【0071】
実施例、参考例及び比較例で得られた下塗り用塗料について、塗料の使用可時間について評価した。また、実施例、参考例及び比較例で得られた積層体a、bについて、プラスチックフィルムに対する無機膜の接着性、反射防止性、及び外観について評価した。評価結果を表2に示す。
【0072】
(1)下塗り用塗料の評価
実施例、参考例及び比較例の下塗り用塗料の使用可時間を評価するため、下塗り用塗料の液の状態について観察した。評価は、下塗り用塗料を作製してから24時間後に変化のなかったものを「○」、24時間後に増粘したものを「△」、3分以内にゲル化したものを「×」とした。
【0073】
(2)積層体a、bの評価
(イ)接着性の評価
実施例、参考例及び比較例の積層体a、bについて、プラスチックフィルムに対する無機膜の接着性を評価するため、JIS−K5400:1990に準じて、碁盤目テープ法による剥離試験を行った。剥離試験は積層体a、bの作製後と、60℃、90%RHの環境に200時間放置という耐湿試験後について行った。評価は共に、碁盤目部分が全く剥離しなかったものを「◎」、碁盤目部分の一部が剥離したが剥離面積が5%未満のものを「○」、剥離した面積が5%以上、30%未満のものを「△」、剥離した面積が30%以上のものを「×」とした。
【0074】
(ロ)反射防止性の評価
実施例、参考例及び比較例の積層体a(反射防止フィルム)の反射防止性を評価するため、島津分光光度計(UV−31101PC:島津製作所社)にて550nmの波長における5°の正反射率を測定した。評価は、測定値が1.0%未満であったものを「○」、1.0%以上であったものを「×」とした。
【0075】
(ハ)外観の評価
実施例、参考例及び比較例の積層体b(導電性フィルム)の外観について、三波長灯下における積層体bの無機膜の反射光を目視にて評価した。評価は、反射光のコントラストが比較的弱くぎらつきの小さいものを「○」、コントラストが強くぎらつきの大きいものを「×」とした。
【0076】
【表2】
Figure 0004541655
【0077】
表2から明らかなように、実施例1〜5および参考例2、3の下塗り用塗料は、使用可時間が24時間以上と優れたものであった。また、参考例1の下塗り用塗料は作製から24時間後に増粘はしたものの使用可能なものであった。
【0078】
また、全ての実施例および参考例の下塗り用塗料は、一分子中にメチロール基を4つ以上有するメラミン誘導体とカルボキシル基を1.0×10−3[mol/g]〜5.0×10−3[mol/g]、アルコール性水酸基を3.5×10−4[mol/g]〜6.0×10−4[mol/g]有し、かつガラス転位温度が20℃〜90℃であるアクリルポリオール樹脂を含むものであったため、積層体a、bの作製後の接着性は良い評価となった。
【0079】
さらに、実施例1〜5、参考例1の下塗り用塗料は、メラミン誘導体(フルエーテル化メラミン)アクリルポリオール樹脂の含有比が、アクリルポリオール樹脂100重量部に対して、メラミン誘導体(フルエーテル化メラミン)が30重量部〜50重量部であったため、積層体a、bの作製後の接着性は優れた評価となり、耐湿試験後の接着性についても良い評価となった。
【0080】
また、全ての実施例および参考例の積層体a(反射防止フィルム)は、易接着層にムラを生じることなく厚みの制御ができたため、反射防止性の優れたものとなった。また、全ての実施例および参考例の積層体b(導電性フィルム)についても、易接着層にムラが生じていないため、ITOの無機膜が均一に蒸着され外観不良のないものとなった。
【0081】
さらに、全ての実施例および参考例の積層体a(反射防止フィルム)について、150℃で30分間加熱し、加熱後の反射防止層を光学顕微鏡にて150倍で観察したところ、クラックは認められなかった。
【0082】
次に、比較例1の下塗り用塗料で用いたポリオール樹脂は、実施例で用いたポリオール樹脂と比べてカルボキシル基が少なく、一分子中にメチロール基を4つ以上有するメラミン誘導体との架橋が不十分であり、有機物と下塗り用塗料から形成される塗膜の接着性を向上させることができなかったため、積層体a、bの耐湿試験後の接着性は低下し低い評価となった。
【0083】
次に、比較例2の下塗り用塗料で用いたポリオール樹脂は、実施例で用いたポリオール樹脂と比べてカルボキシル基が多く過剰となってしまったため、積層体a、bの作製後の接着性は低い評価となった。そこで、過剰となったカルボキシル基をメラミン誘導体と架橋させるため、130℃、1分という条件で易接着層を作製したところ、架橋密度が上がって積層体a、bの作製後の接着性は向上したものの、未だ過剰のカルボキシル基が存在していたため、過剰となったカルボキシル基が高湿環境下における無機物と有機物に影響を与え、耐湿試験後の接着性は低下し低い評価となった。さらに当該積層体aについて、150℃で30分間加熱し、加熱後の反射防止層を光学顕微鏡にて150倍で観察したところ、クラックが認められた。
【0084】
次に、比較例3の下塗り用塗料で用いたポリオール樹脂は、実施例で用いたポリオール樹脂と比べてアルコール性水酸基が少なく、一分子中にメチロール基を4つ以上有するメラミン誘導体との架橋が不十分であり、有機物と下塗り用塗料から形成される塗膜の接着性を向上させることができなかったため、積層体a、bの作製後の接着性はあまり良い評価は得られず、耐湿試験後の接着性はさらに低下し低い評価となった。
【0085】
次に、比較例4の下塗り用塗料で用いたポリオール樹脂は、実施例で用いたポリオール樹脂と比べてアルコール性水酸基が多く過剰となってしまったため、積層体a、bの作製後の接着性は低い評価となった。そこで、過剰となったアルコール性水酸基をメラミン誘導体と架橋させるため、130℃、1分という条件で易接着層を作製したところ、架橋密度が上がって積層体a、bの作製後の接着性は向上したものの、未だ過剰のアルコール性水酸基が存在していたため、過剰となったアルコール性水酸基が高湿環境下における無機物と有機物に影響を与え、耐湿試験後の接着性が低下し低い評価となった。さらに当該積層体aについて、150℃で30分間加熱し、加熱後の反射防止層を光学顕微鏡にて150倍で観察したところ、クラックが認められた。
【0086】
次に、比較例5の下塗り用塗料で用いたポリオール樹脂は、実施例で用いたポリオール樹脂と比べてガラス転位温度が高く、有機物と下塗り用塗料から形成される塗膜の接着性が低下したため、積層体a、bの作製後の接着性はあまり良くない評価となり、耐湿試験後の接着性はさらに低下し低い評価となった。
【0087】
次に、比較例6の下塗り用塗料は、一分子中にメチロール基を4つ以上有するメラミン誘導体の代わりに、一分子中にメチロール基を3つ有するメラミン誘導体(イミノ化メラミン)を用いたため、下塗り用塗料の作製後3分でゲル化してしまい、使用可時間の極めて短いものとなった。また、実施例の下塗り用塗料と比べて、ポリオール樹脂との架橋反応よりも自己縮合反応が速く進み、架橋密度が低下したため、積層体a、bの作製後の接着性はあまり良い評価は得られず、耐湿試験後の接着性はさらに低下し低い評価となった。
【0088】
次に、比較例7の積層体a、bは、易接着層が一般的な下塗り用塗料から形成されたものであったため、積層体a、bの作製後の接着性は良好であったものの、実施例の易接着層とは異なり、ポリオール樹脂がカルボキシル基を1.0×10-3[mol/g]〜5.0×10-3[mol/g]、アルコール性水酸基を3.5×10-4[mol/g]〜6.0×10-4[mol/g]有し、かつガラス転位温度が20℃〜90℃のものではなかったため、耐湿試験後の接着性は低下し低い評価となった。
【0089】
次に、比較例8の積層体a、bは、易接着層付きプラスチックフィルムを用いたため、易接着層の厚みが実施例よりも厚く、また不均一であったため、積層体aの反射防止フィルムの反射防止性は低いものとなり、積層体bの導電性フィルムの外観も低い評価となった。
【0090】
次に、比較例9の下塗り用塗料は、シランカップリング剤を用いているため、積層体a、bの作製後の接着性は良好であったものの、シランカップリング剤が高湿環境下において無機物と有機物に影響を与えてしまい、耐湿試験後の接着性が低下し低い評価となった。
【0091】
【発明の効果】
本発明によれば、一分子中にメチロール基を4つ以上有するメラミン誘導体と、カルボキシル基を1.0×10-3[mol/g]〜5.0×10-3[mol/g]、アルコール性水酸基を3.5×10-4[mol/g]〜6.0×10-4[mol/g]有し、かつガラス転位温度が20℃〜90℃であるポリオール樹脂を含むことにより、塗膜化した際に無機物と有機物との接着性を向上することができる下塗り用塗料が得られる。
【0092】
また、本発明によれば、プラスチックフィルム上に無機膜を有する積層体において、プラスチックフィルム上に易接着層と無機膜とをこの順に有し、前記易接着層が、上記本発明の下塗り用塗料から形成されてなるものであるため、プラスチックフィルムと無機膜との接着性が良く、かつ易接着層のムラが解消されるため、プラスチックフィルム上に各種無機膜の性能が損なわれることなく付与された積層体を得ることができる。

Claims (1)

  1. プラスチックフィルム上に易接着層と無機膜とをこの順に有し、前記易接着層が、
    フルエーテル化メラミンと、カルボキシル基を1.0×10 -3 [mol/g]〜5.0×10 -3 [mol/g]、アルコール性水酸基を3.5×10 -4 [mol/g]〜6.0×10 -4 [mol/g]有し、かつガラス転位温度が20℃〜90℃であるアクリルポリオール樹脂を含んでなり、前記フルエーテル化メラミンと前記アクリルポリオール樹脂の含有比が、前記アクリルポリオール樹脂100重量部に対して、前記フルエーテルメラミンが30重量部〜50重量部である無機膜用下塗り用塗料、
    から形成されてなるものであることを特徴とする積層体。
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