JP5401196B2 - 熱交換器用フィン材 - Google Patents

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Description

本発明は、エアコンデショナーなどの熱交換器用フィン材に関するものである。
エアコン(エアコンデショナー)の熱交換器は、例えば、チューブと、該チューブに取り付けられたフィン材よりなる熱交換ユニットが複数整列して設けられ、チューブ内を流れる冷媒と外気との熱交換がフィン材を介して行われるように構成されている。
このような熱交換器において高い熱交換効率を得るには、冷媒が速やかに冷却されるようにフィン材の放熱性が高いこと、また、フィン材によって画成される通風路の通風抵抗が小さいこと等が求められる。
ところが、この種の熱交換器では、冷房運転時に各フィン材に付着した凝縮水が水滴となり、フィン材の隣り合う壁面同士の間(例えば、隣接配置されるフィン材の間)で水のブリッジを形成する現象が見られると、空気の通風路が狭くなるため、通風抵抗が大きくなり、熱交換効率が低下するという問題が生じる。
この種の熱交換効率の低下を軽減するため、熱交換器では、フィン材の表面に濡れ性を付与し、凝縮水が濡れ広がるようにすべく、フィンとなる基材表面に親水化処理を施すことが行われている。
親水化処理方法としては、フィン材表面に、珪酸ナトリウム(水ガラス)を塗布して焼き付けることにより親水性被膜を形成する方法(例えば、特許文献1参照。)、樹脂に、水ガラスや、シリカ、水酸化アルミニウム、チタニアなどの無機粒子を混合した塗料を塗布することによって親水性被膜を形成する方法(例えば、特許文献2〜5参照。)などが知られている。
また、この他の方法として、アクリル樹脂やポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースなどの親水性高分子を適宜組み合わせてフィン材表面に塗布することで親水性高分子膜を形成する方法も知られている。この方法は、無機物を使用せずに有機物のみで親水性を得る方法として知られている
これらの親水化処理が施されたフィン材では、表面に付着した水が容易に濡れ広がるため、水滴が発生し難い。このため、フィン材間に水のブリッジが形成されることが少なく、通風抵抗を抑制することができる。
しかしながら、これらの親水化処理方法には、それぞれ以下に示すような問題点があった。
まず、水ガラスを用いて形成された親水性被膜は硬いため、該被膜が形成された基材をフィンの形状に加工する際、加工用金型が著しく磨耗し易いという問題がある。また、基材表面に水ガラスやシリカ等の無機粒子を混合した樹脂を塗布した場合にも、これら無機物が硬いことにより、やはり基材をフィンの形状に加工する際、加工用金型の磨耗が問題となり易い。
また、基材表面に親水性高分子膜を形成する方法では、十分な親水性を得るために、1μm以上の膜厚が必要となる場合が多く、この場合にフィン材を熱交換器に組み込んだ場合、フィン材とチューブとが1μm以上の高分子膜を介して接続されることになるため、チューブ−フィン材間の伝熱抵抗が大きくなり、熱交換器の熱交換性能に悪影響を及ぼしてしまう。
さらに、このようなフィン材では、意匠性を向上させるため、着色顔料を含有する被膜が設けられる場合がある。ここで、親水性高分子膜に着色顔料を含有させると、親水性高分子膜の透水性が高いこと等によって、その表面に付着した凝縮水に着色顔料が流出し易い問題がある。これにより、高分子膜が色落ちしてしまうとともに、結露水が着色し、その排水箇所に色を付けてしまうなどの問題も生じる。
一方、フィン材の放熱性については、主に素材の熱特性に依存する。フィン材の素材としては、一般に、アルミニウム板またはアルミニウム合金板に表面処理を施したものが使用されているが、これらのアルミニウム材自体は、熱伝導性には優れるものの、必ずしも放熱性が高い材料とはいえない。ここで、アルミニウム材の表面に、前述したような、水ガラスまたはシリカ等の無機粒子を混合した樹脂を塗布すると、未塗装のアルミニウム材に比べて放熱性の向上が見られるが、それでも放熱性が十分に高いとは言えず、より熱交換効率の高い熱交換器を得るためには、フィン材の放熱性をより一層高めることが必要と考えられる。
特公昭55−1347号公報 特公昭57−46000号公報 特公昭59−8372号公報 特公昭62−61078号公報 特開昭61−225044号公報
本発明は、これらの問題を解決するためになされたものであり、放熱性および水濡れ性に優れ、チューブ−フィン材間の伝熱抵抗が小さく抑えられるとともに、フィン形状への加工時に金型磨耗が抑えられ、また、着色した場合に色落ちが生じ難い熱交換器用フィン材を提供することを目的とする。
本発明者が、上記課題を解決すべく研究を重ねた結果、高分子と板状粒子とを所定の割合で含有する塗料を基材表面に塗布し、焼き付けることによって形成された親水性被膜は、厚さを比較的薄く抑えながら優れた水濡れ性を得ることができ、また、フィン材の熱を外部に効率よく放射できるとともに、板状粒子が比較的軟らかいため加工用金型を磨耗させ難いことを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、アルミニウムあるいはアルミニウム合金からなる基材と、この基材の表面に塗布され、高分子と板状粒子のタルクとを含有する塗料を焼き付けて得られた被膜とを有し、前記塗料におけるタルクの含有量が、高分子100重量部に対して30〜200重量部であり、前記タルクの平面部の平均径が5μm以下であることを特徴とする。
本発明において前記タルクの平面部の平均径が2〜3μmであることが好ましい。
本発明において前記高分子はポリビニルアルコール系樹脂を主成分とすることが好ましい。
本発明において前記塗料は架橋剤として有機チタン化合物を含有することが好ましい。
本発明において前記高分子はポリビニルアルコール系樹脂を含有し、前記塗料における有機チタン化合物の含有量が、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して1〜20重量部であることが好ましい。
本発明によれば、熱交換器用フィン材は、基材と、該基材の表面に高分子と板状粒子のタルクとを含有する塗膜を形成し、焼き付けることによって得られる親水性被膜とを有して構成される。
この親水性被膜は、板状粒子のタルクが水濡れ性に優れるため、これを反映して優れた水濡れ性を有する。このため本発明のフィン材では、親水性被膜の表面に水が付着したとき、該水が容易に濡れ広がり、その表面に水滴が発生し難い。これにより、隣り合うフィン材間に水のブリッジが形成されることを抑制することができる。
また、本発明の親水性被膜は、高分子と平板状粒子のタルクとの組み合わせを最適化することにより、膜厚を比較的薄くした場合でも十分な水濡れ性を得ることができる。親水性被膜の厚さを薄く設定すると、フィン材を熱交換器に組み込んだとき、フィンの基材と冷媒用管との間に介在する被膜の厚さが薄くなるので、チューブ−フィン材間の伝熱抵抗を低く抑えることができる。
また、板状粒子のタルクは、塗膜形成時に、基材表面に対して略水平方向に容易に配向するので、これによって得られる親水性被膜は、基材側から見た平面視において、板状粒子が広い面積を占めて存在した状態になっている。このため、本発明構造のフィン材は、基材の熱が該板状粒子のタルクを介して外部に効率よく放射され、高い放熱性を得ることができる。
さらに、この親水性被膜に含まれる板状粒子は、その結晶構造上軟らかいものが多い。このため、親水性被膜を形成した基材を、加工用金型を用いてフィン形状に加工する際、該加工用金型が磨耗することを抑制することができ、加工用金型の加工性能を長期間に亘って維持することができる。
本発明の熱交換器用フィン材を示す概略縦断面図である。 放熱性測定装置の構成を示す模式図である。 各実施例および各比較例で作製したフィン材の放熱性を示す特性図である。
以下、本発明の具体的な実施形態について説明する。
図1は、本発明に係る熱交換器用フィン材の実施形態を示す概略縦断面図である。
図1に示すフィン材1は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる基材2と、該基材2の表面に被覆された親水性被膜3とを有している。
基材2としては、軽量性および加工性に優れることから、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる板材が好適に用いられる。これらアルミニウム板は、脱脂処理の他、リン酸クロメート、リン酸ジルコニウム、陽極酸化等の表面処理が施されていても構わない。これらの表面処理により、その耐食性を更に高めることができる。
基材2の形状は、特に限定されず、フィン材が適用される熱交換器の形態に応じて適宜選択される。
親水性被膜3は、高分子と、板状粒子4とを含有する塗料を、基材の表面に塗布して塗膜を形成し、該塗膜を焼き付けることによって得られる被膜である。そして、塗料における板状粒子4の含有量が、高分子100重量部に対して30〜200重量部の範囲に規定されている。
ここで高分子とは、板状粒子4や必要に応じて添加される着色顔料等の粒子を、基材2の表面に保持して被膜を形成する機能を有する。
高分子としては、親水性を有するものが好ましく、具体的には、ポリビニルアルコール系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂等が挙げられ、これらの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
高分子として親水性のものを用いると、これを反映して水濡れ性に優れた親水性被膜3を得ることができる。中でもポリビニルアルコール系樹脂は親水性が高いため、これを高分子の主成分として用いる親水性被膜3は、水接触角が小さく、その表面に付着した水が容易に濡れ広がり易く、水滴が発生し難い。このため、フィン材同士の間隔が比較的狭い場合でも、これらフィン材間に水のブリッジが形成されるのを確実に抑えることができる。
ただし、ポリビニルアルコール系樹脂を高分子の主成分とする親水性被膜3は、透水性が比較的高いこと等により、後述する着色顔料を添加した場合に、その表面に付着した水に着色顔料が溶出し、僅かに色落ちを生じる可能性がある。
このため、ポリビニルアルコール系樹脂を使用する場合には、塗料に有機チタン化合物を添加するのが好ましい。有機チタン化合物はポリビニルアルコール系樹脂に架橋構造を形成するものである。これにより、親水性被膜3に緻密な網目構造が形成されることから、該被膜3中に着色顔料が確実に保持されるようになり、親水性被膜3の表面に付着した水への着色顔料の溶出を抑えることができる。
有機チタン化合物としては、例えば、チタンラクテート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)等が挙げられ、これらの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
塗料における有機チタン化合物の添加量は、ポリビニルアルコール100重量部に対して1〜20重量部であることが望ましい。有機チタン化合物の添加量が1重量部未満である場合には、色落ちを抑える効果が十分に得られない。また、有機チタン化合物の添加量が20重量部を超えると、親水性被膜3の濡れ性が若干低下する場合がある。
また、高分子の主成分として、前述の親水性高分子のうち、ポリビニルアルコール系樹脂以外の樹脂(アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂)を用いた親水性被膜3は添加した着色顔料を確実に保持することができ、その表面に付着した水への着色顔料の溶出を抑制できる。
一方、これらの樹脂を用いた場合の親水性被膜3の水濡れ性については、ポリビニルアルコール系樹脂を高分子の主成分とする被膜に比べると劣る(水接触角が大きい)が、比較的良好な水濡れ性を有する。このため、隣接するフィン材同士の間隔が比較的広い状態とされる場合であれば、これらの間に水のブリッジが形成されるのを十分に抑えることができる。
以上のような高分子は2種以上を組み合わせて用いるようにしても良い。これにより、選択する樹脂や各樹脂の配合比を変えることによって、親水性被膜3の水濡れ性や耐色落ち性を制御することができる。これにより、親水性被膜3の特性を、フィン材1の隣接部の間隔や用途に合わせて最適なものとすることができる。
本実施形態の板状粒子4は、フィン材1に水濡れ性と放熱性とを付与する機能を有する。本実施形態の板状粒子4としては、タルク、マイカ、カオリナイト、モンモリロナイト等が挙げられ、これらの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの板状粒子4は、いずれも優れた水濡れ性を有し、親水性被膜3に優れた水濡れ性を付与する。これにより、フィン材1では、親水性被膜3の表面に水が付着したとき、該水が容易に濡れ広がり、水滴が発生し難い。このため、隣り合うフィン材間に水のブリッジが形成されるのを抑制できる。
また、板状粒子4は、板状であることによって、該板状粒子4を含有する塗料を基材2表面に塗布する際に、図1に示すように基材2表面に対して略水平方向に配向し易い傾向がある。このため、この塗膜を焼き付けて得られる親水性被膜3は、基材2の表面側から見た平面視において、これら板状粒子4が広い面積を占めるように存在した状態になっている。これにより、本実施形態のフィン材1は、基材2の熱が該板状粒子4を介して外部に効率良く放射され易いので、高い放熱性を得ることができる。
前記板状粒子4は、その結晶構造上軟らかいものが多い。このため、この親水性被膜2を形成した基材1を、加工用金型を用いてフィン形状に加工する際、該加工用金型が磨耗することを抑制することができ、その加工性能を長期間に亘って維持することができる。前述の材料の中でも、タルクは硬度が極めて低く(モース硬度1)、滑性も有しているため、タルクを板状粒子4として用いることにより、加工用金型の磨耗を確実に抑えることができ、優れた放熱性も兼ね備えることができる。
本実施形態では、塗料における板状粒子4の含有量を、高分子100重量部に対して30〜200重量部の範囲とすることが好ましい。板状粒子4の含有量が30重量部未満である場合には、板状粒子4を添加する効果(水濡れ性および放熱性を高める効果)が十分に得られない。また、板状粒子4の含有量が200重量部を超えると、親水性被膜3と基材2との密着性や親水性被膜3の強度が低下し、金型による加工時に塗膜剥離、塗膜削れなどの問題が発生してしまう。さらに、板状粒子4の含有量が多いと、親水性被膜3に着色を施しても、板状粒子4の色の影響で鮮やかに発色せず、色調が変わってしまう問題も生じる。
板状粒子4の粒径は、特に限定されないが、平面部の平均径が5μm以下、最大径が10μm以下であるのが望ましく、平均径が2〜3μmであることがより望ましい。ここで、「平均径」とは、平面部における長径(最大径)と短径(最小径)との平均値、すなわち(最大径+最小径)/2の値である。
平面部での平均径が5μmを超えた場合、もしくは、最大径が10μmを超えた場合には、高分子や板状粒子4の種類および含有量によっては、親水性被膜3が形成された基材2を金型によって加工する際に板状粒子4の剥離が生じ易くなる場合がある。一方、平均径が2μmより小さい板状粒子4は、入手が難しく高価であり、汎用性に欠けるとともに、平均径が小さ過ぎる場合、板状粒子4が塗布時にフィン材1の表面に平行に配列し難くなる傾向となる。
また、板状粒子4の厚みとして0.001μm〜0.05μmの範囲のものを用いることが好ましい。
親水性被膜3は、以上のような高分子と、板状粒子4とを含有する塗料を、基材の表面に供給して塗膜を形成し、該塗膜を焼き付けることによって得られる。
塗料は、具体的には、高分子を溶解した溶液(高分子溶液)に板状粒子4を添加し、分散させることによって調製することができる。
ここで、板状粒子4は、直接、高分子溶液に添加してもよく、水や有機溶剤に予め分散させた状態で高分子溶液に添加してもよい。
板状粒子4の分散は、攪拌することで行ってもよく、シェーカーのような振動によって分散させる装置、もしくはボールミルのような粉砕を兼ねた分散装置などを用いて行っても構わない。
また、塗料には、必要に応じて着色顔料を添加してもよい。
着色顔料は、親水性被膜3に色相を付与するものである。親水性被膜3が色相を有することにより、フィン材1の意匠性が向上する。また、例えば、基材2の種類やグレード等によって親水性被膜3の色相を変えれば、その色相によって基材2の種類やグレード等を容易に判別できるという効果が得られる。
顔料として有機系、無機系の顔料を、目的とする色相に合わせて、単独もしくは複数の顔料を組み合わせて用いることができる。この着色顔料は、直接、高分子溶液に添加してもよく、水や有機溶剤に予め分散させた状態で高分子溶液に添加してもよい。
さらに、塗料には、板状粒子4の沈殿を防止する添加剤を添加しても良い。このような添加剤としては、ポリアクリル酸ナトリウム、各種界面活性剤、珪酸アルカリ金属塩等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。特に、粒径の大きい板状粒子4は、塗料中で沈殿し易く、均一に分散させるのが困難であるため、このような添加剤の添加が有効である。なお、添加剤の添加量は、親水性被膜3の性能(親水性や放熱性等)に影響がない範囲に設定することが好ましい。
塗膜の厚さは、特に限定されないが、1μm以下であることが望ましい。塗膜の厚さが1μmを超えると、これを焼き付けて得られる親水性被膜3の厚さも厚くなる。その結果、フィン材1を熱交換器に組み込んだとき、チューブとフィンの基材2とが比較的厚い被膜3を介して接続されることになり、チューブ−フィン材1間の伝熱抵抗が大きくなる。また、塗膜の厚さが薄過ぎると、親水性被膜3を設ける効果が十分に得られない。以上の観点から、塗膜の厚さは、必要な親水性が得られる厚さ範囲の下限程度に設定するのが望ましい。
焼付け条件は、塗膜に含まれる高分子の種類によって異なり、高分子の種類に応じて最適な温度・焼付け時間で焼付けを行えばよい。なお、焼付けの最適条件は、板状粒子4の種類とほとんど無関係であり、高分子の種類によって決まるものである。
以上のように、このフィン材1では、基材2の表面に、高分子と、板状粒子4とを含有する塗膜を焼き付けることによって得られる親水性被膜3が設けられている。
このような親水性被膜3は、水濡れ性に優れた板状粒子4を用いることにより、その表面に優れた水濡れ性を付与することができる。これにより、このフィン材1では、親水性被膜3の表面に水が付着したとき、該水が容易に濡れ広がるため、水滴が発生し難く、フィン材間に水のブリッジが形成されることを抑制できる。
また、この親水性被膜3は、高分子と平板状粒子4との組み合わせを最適化することにより、膜厚を比較的薄くした場合でも十分な水濡れ性を得ることができる。親水性皮膜3の厚さを薄く設定すると、フィン材1を熱交換器に組み込んだとき、フィンの基材2とチューブとの間に介在する被膜3の厚さが薄くなるので、チューブ−フィン材間の伝熱抵抗を低く抑えることができる。
また、板状粒子4は、塗膜形成時に、基材2表面に対して略水平方向に配向し、これによって得られる親水性被膜3は、基材2側から見た平面視において、板状粒子4が広い面積を占めて存在した状態になっている。このため、このフィン材1は、基材2の熱が該板状粒子4を介して外部に効率よく放射され、高い放熱性を得ることができる。
さらに、板状粒子4は、その結晶構造上軟らかいものが多い。このため、親水性被膜3を形成した基材1を、加工用金型を用いてフィン形状に加工する際、被膜中の粒子によって加工用金型が磨耗するのが抑えられる。このため、加工用金型の性能を、長期間に亘って維持することができる。
このフィン材は、親水性被膜が基材の熱を効率よく放射することができるため、放熱性に優れている。このため、フィン−大気間の伝熱が良好で、チューブ内を流れる冷媒の熱を、フィンに効率よく伝達して放熱することができる。
また、親水性被膜3が水濡れ性に優れるため、フィン(親水性被膜)の表面に付着した水が容易に濡れ広がって流れ落ち、水滴が発生し難い。このため、フィンの隣合う壁面同士の間に、水のブリッジが形成されるのが抑えられ、空気の通風路の通風抵抗を小さく抑えることができる。
これらの作用により、この熱交換器は高い熱交換効率を得ることができる。
以上、本発明の熱交換器用フィン材の実施形態について説明したが、前記熱交換器用フィン材を構成する各部は一例であって、本発明の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。
以下に、本発明の具体的試験例について説明するが、本願発明はこれらの例に限定されるものではない。
<フィン材の作製>
試験例1)
まず、ポリビニルアルコール(PVA)100重量部、板状のタルク粒子(平均粒径2μm、厚さ0.01μm)100重量部およびフタロシアニン系顔料とを混合・分散させることで塗料を調製した。なお、フタロシアニン系顔料の量は、色差計で塗膜を測定した際のb*値が−5になるように調整した。
次に、リン酸クロメート処理を施したアルミニウム板を用意し、その表面に塗料を塗布することで塗膜(厚さ5μm)を形成した。
次に、この塗膜を、温度210℃で60秒間熱処理することで焼き付け、親水性被膜(膜厚:0.7μm)を形成した。
以上の工程によりフィン材を作成した。
試験例2、3)
塗料に混合するタルク粒子の量を表1に示すように変える以外は、前記試験例1と同様にしてフィン材を作成した。
試験例4〜8)、
塗料に混合する無機粒子の種類および量を表1に示すように選定し、塗料に表1に示す有機チタン化合物を添加する以外は、前記試験例1と同様にしてフィン材を作成した。
なお、使用した有機チタン化合物は、チタンラクテート(TL)、チタンラクテートアンモニウム塩(TLアンモニウム塩)、チタンジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)(TDIPTA)のいずれかである。
試験例9、10)
塗料に混合する無機粒子の種類を表1に示すものに変える以外は、前記試験例1と同様にしてフィン材を作成した。
試験例11〜15)
塗料に混合する高分子の種類、無機粒子の種類および量、塗膜の焼き付け温度を表1に示すようにすること以外は、前記試験例1と同様にしてフィン材を作成した。
(比較例1〜比較例5)
塗料に混合する無機粒子の種類および量を表1に示すようにすること以外は、前記実施例1と同様にしてフィン材を作成した。
Figure 0005401196
<評価>
試験例および各比較例で作製したフィン材について、水濡れ性、耐色落ち性、金型磨耗性および放熱性の評価を行った。評価の条件は以下に示したとおりである。
1.水濡れ性
各フィン材を、温度40℃湿度80%の環境下で、冷却板に貼り付けることによって5℃に冷却し、その際の結露状態を目視にて観察した。この観察結果を、以下の基準に従い評価した。
◎:被膜全面に濡れが認められる。
○:被膜が全面的に濡れているが、一部に濡れない箇所が認められる。
△:被膜の大部分が濡れているが、一部に水滴が認められる。
×:水滴が多数発生している。
2.耐色落ち性
各フィン材を2000cmの寸法に裁断して得た各サンプルを、1000mlの水中に10分間浸漬した。その後、この水を10mlまで濃縮し、この濃縮水について、10mm厚のセルを用い、430nmの波長における吸光度を測定した。この測定結果を、以下に基準に従い評価した。
◎:吸光度が0.01未満
○:吸光度が0.01以上0.02未満
×:吸光度が0.02以上
3.金型磨耗性
各フィン材について、粉末高速度工具鋼(HRC60)で作成したシャーリング金型を用いて100万回切断を行った後、金型の磨耗状態を観察した。なお、金型の磨耗が進行して切断ができなくなった場合には、その時点で評価を中止した。この観察結果を、以下の基準に従い評価した。
◎:金型磨耗がほとんど認められない。
○:金型磨耗がやや認められる。
△:金型がかなり磨耗している。
×:金型磨耗の進行が早く、100万回の切断ができない。
4.放熱性
放熱性は、図2に示す放熱性測定装置を用いて評価した。
この放熱性測定装置101は、上部が開放された断熱容器102と、該断熱容器102の側壁を貫通し、その感熱部が断熱容器102の内部に挿入された熱電対103と、熱電対103によって測定された温度を記録する温度記録計104によって構成されている。
まず、フィン材1を断熱容器102の上部に載せ、該断熱容器102をオーブン内に搬入して加熱する。そして、熱電対103によって測定される温度(断熱容器内の温度)が80℃になった時点で、温度20℃の室内に断熱容器102を取り出し、その直後から、断熱容器102内の温度変化(熱電対103によって測定される温度の経時変化)を観測した。その結果を、図3に示す。
Figure 0005401196
表2に示すように、各試験例で作製したフィン材は、いずれも水濡れ性および耐色落ち性に優れ、また、金型磨耗も抑えられていた。特に、高分子としてポリビニルアルコールを用い、有機チタン化合物を添加したフィン材(試験例4〜6および8)は、特に優れた水濡れ性および耐色落ち性を得ることができた。
また、図3に示すように、各試験例で作製したフィン材は、いずれも、前述の放熱性試験において10秒間に15℃程度の割合で温度が降下しており、優れた放熱性を有していた。
これに対して、板状の無機粒子を使用していない比較例1、2、5および無機粒子の量が少ない比較例3のフィン材は、前述の放熱性試験(図2参照)において、各試験例に比べて温度降下が小さく(10秒間に10℃程度)、放熱性が劣っていた。

また、表2に示すように、このうち比較例3のフィン材は水濡れ性も不十分であり、比較例5のフィン材は水濡れ性が不十分であるとともに耐色落ち性も劣っていた。
さらに、無機粒子の量が多い比較例4のフィン材は、耐色落ち性が低いものとなっていた。この比較例4の試料は、タルクが親水性被膜の表面で固まった状態となり、金型磨耗性試験においてフィン材を切断した際、塗膜が剥離した。
1…フィン材、1A…フィン、2…基材、3…親水性被膜(被膜)、4…板状粒子。

Claims (5)

  1. アルミニウムあるいはアルミニウム合金からなる基材と、この基材の表面に塗布され、高分子と板状粒子のタルクを含有する塗料を焼き付けて得られた被膜とを有し、
    前記塗料におけるタルクの含有量が、高分子100重量部に対して30〜200重量部であり、前記タルクの平面部の平均径が5μm以下であることを特徴とする熱交換器用フィン材。
  2. 前記タルクの平面部の平均径が2〜3μmであることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器用フィン材。
  3. 前記高分子は、ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱交換器用フィン材。
  4. 前記塗料は、架橋剤として有機チタン化合物を含有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の熱交換器用フィン材。
  5. 前記高分子は、ポリビニルアルコール系樹脂を含有し、前記塗料における有機チタン化合物の含有量が、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して1〜20重量部であることを特徴とする請求項4に記載の熱交換器用フィン材。
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