JP4007527B2 - 遊技機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ遊技などを行う遊技機に係わり、詳しくは、制御基板の視認性及び耐ノイズ性等の向上を図った遊技機に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、遊技場のパチンコ機等の遊技機は、遊技島と呼ばれる設備の両面又は片面に複数並べて設けられ、この遊技島内に保有され循環する遊技球により運用される。この遊技島内には、遊枝球が循環するために長い循環経路が形成されていて、その経路を遊技球が転動することで摩擦等により遊技球が帯電したり、また循環経路内に設けられる球磨き装置等で研磨されることで同じく遊技球が帯電しやすくなっている。
一方、遊技機には、遊技盤の役物等にモーターやソレノイドといった電気的駆動源がたくさん設けられており、これらの電気的駆動源を作動させることで遊技が行えるようになっているが、これら電気的駆動源も静電気や電磁波などのノイズを発生させる原因となっている。
【0003】
ところで、この種の遊技機は、前記電気的駆動源等の動作を制御する制御回路が形成された制御基板を一つ又は複数備えており、この制御基板は後述するように基板収納部材内に封印されて収納された制御ユニットとして設けられているが、この制御ユニット内の制御基板が、前述した遊技球の静電気や電気的駆動源から発生するノイズによる影響を受けないように、対策する必要がある。
そして従来、この対策としては、制御基板を収納する前記基板収納部材を導電性を有する材料(例えば、金属)により構成し、これにより制御基板全体を導電体で覆ってシールドすることが行われていた。或いは、前記基板収納部材は合成樹脂等により構成するが、この基板収納部材内における制御基板の両面側に、例えば金属製のプレートを配設して、制御基板の前後両面を覆ってシールドすることが行われていた。
なお、導電性を有する金属等の通常の材料は、材料自体が透視不可能であるために、上記導電性の基板収納部材やプレートには、通常大きな開口部や多数の穴が整列状態に設けられ、内部の実装部品などが部分的に目視できるようになっている。
【0004】
また、最近不正者が夜間に遊技店に侵入して、遊技制御プログラム等を記憶する制御基板上のROM等を交換したり、その他不正部品を取付けて一部の不正行為者のみが不正な利益を得られるような不正改造を遊技機に施し、遊技店が損害を受けるといった被害が発生している。このため、このような不正行為が行われないように、前記制御ユニットの基板収納部材にはワンウェイネジで固定する等の封印が施され開封されたかどうかが容易に識別できるような対策がほどこされている。
またなお、前述のノイズや静電気等の影響を受け難くする対策としては、制御上の工夫が行われる場合もある。すなわち、例えばCPU等の暴走に対応するために、例えば2ms毎のリセット等を行って遊技制御が実行されている。しかし、このような制御上のノイズ対策だけでは十分ではなく、物理的に制御基板を前述の静電気や電磁波などから遮蔽する必要があり、そのために、基板収納部材を金属製にするなどの前述の対策が実行されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の遊技機にあっては、制御基板の視認性の面で、以下のような問題点があった。
すなわち、制御基板が金属製のプレート等でかなりの部分を覆われているため、制御ユニット(基板収納部材)を開封しなければ、制御基板の表裏を含めたすべて(実装部品や回路パターン等)が目視できなかった。このため、不正者により制御基板の実装部品などが不正部品と交換されたり、基板収納部材内に不正部品が装着されたりした場合に、遊技店の店員などが保守点検時等に確認作業を行つてもその発見が難しく、長期間不正改造されたことに気づかずに被害が拡大する恐れがあった。
【0006】
というのは、不正者の中には、封印をしたまま基板収納部材の上蓋と下蓋との重なる部分から無理やり部品交換を行ったり、また封印部分を破壊したことが容易に判別できないように細工をして不正改造を行ったりするものがいる。
ところが、封印を遊技店側の判断で破壊してしまうと遊技機としての使用が許可されなくなる場合もあるため、遊技店の店員などが行う保守点検時等の確認作業は、通常、制御ユニットを開封しないで行うからである。
つまり、制御ユニットは封印を破らずに確認作業をしなければならず、制御基板を丸裸にして確認作業を行うことができないので、金属製のプレートなどで見えにくい部分はいつまでも確認できず、上述した不正が長期間発見できないことがあった。また、同様の理由から、上記制御基板の確認作業は、非常にめんどうで時間がかかるものとなっていた。
【0007】
なお、導電性部材を使用せずに制御ユニットを形成することも考えられるが、単に制御ユニットからシールドを取り除くだけでは、GND(グランド、すなわちアース面のこと)としての機能が弱くなり、また前述のノイズに極端に弱くなってしまう。
【0008】
また、できるだけ、大きくGNDを取ることがノイズ等の対策として有効であると考えられ、そのためには、例えば大きな導電性部材を新たに設けるという対処方法がある。しかし、大きな導電性部材を新たに設けることは設置スペース等の問題が生じる。すなわち、大きな導電性部材を新たに設けるスペースを確保するには、その他の部材との配置スペースも考慮する必要があり、設計上も大変で、コスト高になるおそれがある。また、大きな導電性部材を新たに設けるとなると、その分だけ、遊技機の重量が増えたり、あるいは導電性部材の取り外し等で制御ユニットの点検等の作業性が悪化してしまったり(例えば、特殊な作業が必要になったりする)、さらには制御ユニットの取り付け作業が複雑になって手間がかかったりと、単に新部品を追加するだけでは上記問題点を解決できなかった。
【0009】
そこで本発明は、制御ユニットの中身(すなわち、制御基板)がよく見えるとともに、特殊な作業をすることなく、ノイズ等に強い遊技機を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的達成のため、請求項1記載の発明による遊技機は、遊技盤を前面側から着脱可能に収納する導電性の遊技盤収納部材と、
遊技に係わる制御を行う制御ユニットと、
制御ユニットを前記遊技盤の裏面側に着脱可能に取り付けるための取付ベースと、を備えた遊技機において、
前記制御ユニットは、前記制御を実行する制御回路が形成された制御基板と、該制御基板を収納する透明な制御基板収納部材と、当該制御ユニットを前記取付ベースに取り付けた場合に、前記制御基板のアース電極と取付ベースとを導通状態にする導通補助部材とを含み、前記制御基板収納部材は上下、左右、及び前後から制御基板が視認可能となる構成とされ、
前記取付ベースは、導電性を有する材質により形成するとともに、該取付ベースから外方に延在するコ字状の嵌合固定部を一体に形成し、且つ、該嵌合固定部を遊技盤の嵌合部に対して外方からスライドさせるようにして嵌合した状態で前記取付ベースが遊技盤裏面側に固定され、
前記遊技盤収納部材は、
前記取付ベースが固定された状態で遊技盤を前面側から収納し、前記遊技盤の嵌合部の前面側に位置する取付ベースの嵌合固定部を、導電性の遊技盤固定部材により前記遊技盤の嵌合部の前面側に対して押圧して、前記遊技盤の嵌合部の裏面側に位置する取付ベースの嵌合固定部を当該遊技盤収納部材に圧接することで遊技盤を固定し、
前記遊技盤を前記遊技盤収納部材に収納し、前記取付ベースの嵌合固定部を前記遊技盤固定部材によって押圧してロックすることにより、前記制御基板のアース電極と遊技盤収納部材とが導通状態となる構成であることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
前提となる技術
図1〜図4は本発明を適用した遊技機の前提となる技術を示している。なお、以下に説明する遊技機は、その裏面側の構成、特に制御ユニットの取付ベースおよび遊技盤の収納の構成に特徴を有し、その正面構成については特に限定されないものであるため、その正面構成についての図示を省略する。
【0012】
A.遊技機の全体構成
図1は遊技機裏側の全体を示す図である。図1において、1は遊技機であり、遊技機1には遊技媒体貸出装置としてのカード式玉貸機(以下、単に玉貸機という)2が併設されている。遊技機1にカード式玉貸機2を併設したパチンコ装置は、いわゆるCR機(カードリーディング機)と称される。
【0013】
遊技機1は、前面側に設けられた額縁状の前面枠(図示省略)と、この前面枠に対して(詳しくは、前面枠に取付けられた金属フレーム3の遊技盤収納部4に対して)着脱自在に取り付けられ、前面側に遊技領域の形成された遊技盤(図1では図示省略)と、この遊技盤の前面側に配置されるガラスを支持する樹脂製のガラス枠(図示省略)とを有している。
ここで、前面枠は遊技機1を設置している木製の機枠5に対して開閉可能に支持され、ガラス枠は前面枠に開閉可能に支持されている。
また遊技盤は、発射された遊技球を上方から落下させつつアウトあるいはセーフの判定を行う領域であり、入賞口に球が入って有効にセーフとなる場合は所定数の賞品球が排出される。
遊技盤における遊技領域はパチンコ球を用いて遊技を行うものであれば、例えばいわゆる「第1種」に属するもの、あるいは図柄表示装置を備えた「第3種」に属するもの、あるいは他の機種等であってもよく、任意の構成をとり得る。
【0014】
遊技機1における裏機構の主要な部品としては、貯留タンク(上タンク)11、誘導路12、ターミナル基盤(外部端子基盤)13、半端センサユニット14、排出ユニット15、排出発射制御ユニット16、役物制御ユニット17、役物中継基盤18、発射ユニット19、カードユニット接続基板20、セーフユニット21、裏機構盤の基枠体22(裏メカベース)、及び音制御ユニット23がある。なお、役物制御ユニット17、役物中継基盤18、及び音制御ユニット23は、この場合遊技盤の裏側に取り付けられている。
【0015】
基枠体22は、合成樹脂製の一体成型品から形成され、遊技機1の前面枠の裏側に固定された金属フレーム3に取り付けられている。そして、この基枠体22の上に各種の部品、例えば貯留タンク11、誘導路12、ターミナル基盤13、半端センサユニット14、排出ユニット15、排出発射制御ユニット16、カードユニット接続基板20、セーフユニット21などが取り付けられており(例えば、ワンタッチの保持部材によって固定される)、これらの各種部品と基枠体22とを総称する概念として裏機構盤24と称している。
【0016】
金属フレーム3は矩形状をなし、前述したように遊技盤を着脱可能に収納固定する遊技盤収納部4が形成されている。また、金属フレーム3は金属製であり、そのため導電性がある。遊技盤収納部4には図2に示すように、複数の遊技盤固定器具51〜54が配置され、それらの複数の遊技盤固定器具51〜54によって遊技盤を固定するようになっている(詳細は後述)。
ここで、額縁状の前面枠、ガラス枠、各種ユニット部品(例えば、貯留タンク11、誘導路12、ターミナル基盤13、半端センサユニット14、排出ユニット15、排出発射制御ユニット16、カードユニット接続基板20、セーフユニット21等)と基枠体22とを含む裏機構盤24、および金属フレーム3は、全体として枠体ユニットを構成し、枠体ユニットは遊技機1の本体枠に相当する。したがって、遊技機1は遊技盤(その裏側に配置される役物制御ユニット17、役物中継基盤18、音制御ユニット23等を含む)、枠体ユニットおよび機枠5の3つに区分されることになる。そして、機枠5に対して枠体ユニットが開閉可能に支持され、枠体ユニットに遊技盤が着脱交換可能に固定される構成となる。
【0017】
貯留タンク11は排出される前の球を予め貯留しておくもので、この貯留タンク11の球数の不足は補給センサ(図示略)によって検出され、不足のときは島設備から球が補給される。貯留タンク11内の球は誘導路12により誘導され、排出ユニット15によって排出される。誘導路12に賞球排出あるいは球貸し排出のための球が有るかどうかは半端センサユニット14によって検出される。
ターミナル基盤13はAC電源の入力や遊技店のホールコンピュータ(管理装置:図示略)との間における信号の授受などについての中継を行うもので、リレー部およびコネクタ部(ホールコンピュータとの接続を行う)に区分されており、両者はケーブルにて接続されている。
【0018】
排出発射制御ユニット16は遊技機1の枠体ユニット側(ここでは基枠体22)に取付けられ、球の排出や発射等に必要な各種電気部品の制御を行うもので、所定のケース内にこの制御機能を実現する回路基板が収納されて構成されている。
発射ユニット19は、遊技機1の前面下部に設けられた発射操作ノブ(図示省略)の操作に応じて、球を発射するための機構である。カードユニット接続基板20はカード式玉貸機2から延出するケーブル32を遊技機1に接続するためのもので、ケーブル32の端部にあるコネクタを受ける装着部材(例えば、メス型のコネクタ)を備えている。
【0019】
遊技盤の裏面側には、入賞球が流下可能な空間が形成されて入賞球を集合させる入賞球集合部材33が設けられており、この入賞球集合部材33は、例えば透明の樹脂製(ABS樹脂等)で、遊技盤の各入賞口に入ったセーフ球(入賞球)を導く機能を有している。そして、この入賞球集合部材33によって導かれたセーフ球は下方の入賞球集合棚34によって集められ、次いで、入賞球流下樋35を通ってセーフユニット21に導かれるようになっている。入賞球集合棚34は基枠体22に形成され、合成樹脂部材により成形されている。また、入賞球集合樋35も同様に基枠体22に形成され、合成樹脂部材により成形されている。
【0020】
セーフユニット21は、入賞球集合樋35の流下端部に設けられており、入賞球集合樋35を流下してくるセーフ球をセーフセンサ21aにより1個ずつ検出し、セーフ球に対応した賞球排出が行われる毎に、検出したセーフ球を1個ずつ排出するものである。
また、遊技盤の裏面側にはアウト球流下樋(図示省略)が設けられており、このアウト球流下樋は、遊技領域下部のアウト口(図示省略)に流入した球(アウト球)を流下させて、球排出口36から遊技機1の外部に排出する(すなわち、アウト球を遊技機1の裏面側へ流下案内する)ようになっている。なお、球排出口36は、セーフユニット21から排出された球も同様に外部に排出するようになっている。
また、音制御ユニット23は、遊技機1の前面等に配設されたスピーカ(図示略)より、遊技状態に応じて各種効果音を適宜出力する制御を行うものであり、役物制御ユニット17の制御基板とケーブル接続されて、遊技状態を示す信号などの授受が行われるようになっている。
なおこの音制御ユニット23は、この場合後述の取付ベース71の下部に装着されるようになっている(図2参照)。
【0021】
B.遊技盤の収納構成
次に図2により、遊技盤を収納する構成について説明する。
図2は遊技盤の組み立て分解図である。図2において符号41で示すものが、遊技盤である。本例の遊技盤41は、図3に示すように比較的小型に形成されたセンター役物42(TV表示器を有する特別図柄表示装置のこと、以下同様)が遊技領域の略中央に配置される構成の遊技盤である。遊技盤41は、木製のベニア部材43を基盤として備え、ベニア部材43の前面(遊技領域の内外)に各種の入賞具やセンター役物42等を搭載した構成になっている。
【0022】
金属フレーム3の裏面側には、裏機構盤24が取り付けられるようになっている。詳しくは、裏機構盤24の一部を構成する樹脂製の基枠体22がビスにより金属フレーム3の裏面側に固定され、その基枠体22に各種部品が取り付けられるようになっている。
また、金属フレーム3には、図2の手前から紙面に向って左側に遊技盤41の一側部を係止するための複数の遊技盤固定器具51、52が取り付けられ、右側に遊技盤41の他側部を固定するための複数の遊技盤固定器具53、54が取り付けられるようになっている。なお、各遊技盤固定器具51〜54は金属フレーム3に対してビス止め固定される。
【0023】
ここで、金属フレーム3は遊技盤41を収納固定する導電性の遊技盤収納部材を構成する。また、遊技盤固定器具51〜54は遊技盤41を金属フレーム3(遊技盤収納部材)に収納固定したとき遊技盤41に接した状態で配置される導電性の固定部(後述の金属製の固定部61、62)と金属フレーム3(遊技盤収納部材)とを導通させる導電性の遊技盤固定部材を構成する。
一方、金属フレーム3の下方部には遊技盤載置台としての機能を有する樹脂製のフレームボード55がビスにより取り付け固定されるようになっており、フレームボード55には詳細な説明は略すが、金属製の発射レールや発射装置を取り付ける発射装置取付部等が形成されている。
【0024】
遊技盤41は、その両側面に金属製の固定部61、62がビス63(図3参照)等の止着手段(あるいは釘でもよい)によって止着されている。固定部61、62は金属製であるため、導電性を有している。金属製の固定部61、62は、遊技盤41を金属フレーム3(遊技盤収納部材)に収納固定したとき、遊技盤41に接した状態で配置される導電性の固定部を構成する。また、固定部62は、遊技盤41の側面に止着される導電性の部材に相当する。固定部62には、図3に示すように、取付ベース71の方向(すなわち、取付ベース71が取り付けられる遊技盤41の裏面中央方向)に延出する延出部62aが形成されており、取付ベース71を遊技盤41の裏面側に固定した際には、延出部62aを介して金属製の固定部62と取付ベース71とが導通状態になる構成になっている。
【0025】
遊技盤41の図2中左側には遊技盤41の一側部を係止するための複数の遊技盤固定器具51、52がそれぞれ係合する係合部64、65が形成されている。遊技盤41を金属フレーム3の遊技盤収納部4に収納固定するには、遊技盤41の一側部の係合部64、65を遊技盤固定器具51、52にそれぞれ係合し(このとき、遊技盤41の下端部はフレームボード55に支持される)、次いで、遊技盤41を回動して全体を遊技盤収納部4に収納し、遊技盤41の他側部の固定部62を遊技盤固定器具53、54によってロックする。
【0026】
C.遊技盤裏側の構成
次に図3により、遊技盤裏側の構成について説明する。
図3において、遊技盤41の裏側には、前述した入賞球集合部材33が設けられており、センター役物42の後方はこの入賞球集合部材33の裏面よりも突出させて形成されている。また、入賞球集合部材33の背面側であって、遊技機1の前面から見てセンター役物の右側の位置には、役物制御ユニット17が配置される構成になっている。さらに、センター役物42の後部側には、役物中継基盤18が搭載されている。
【0027】
役物制御ユニット17は、遊技盤41に配設されている各種スイッチ、ソレノイド、ランプ等の電気部品(電気式役物)を電気的に制御するもので、この役物制御(遊技制御)を行う制御回路が形成された制御基板44(図4に示す)が、ケース45(制御基板収納部材)内に収納された構成となっている。役物制御ユニット17は、遊技に係わる制御を行う制御ユニットに相当する。
ケース45は、透明な合成樹脂などのクリア部材よりなり、制御基板44の周囲全体を覆う状態で設けられているが、制御基板44の全体が、ケース45の外側のどの方向(少なくとも、上下、左右、及び前後)からでも、はっきり透視可能となっている。
また後述するように、役物制御ユニット17は、取付ベース71を介して遊技盤41の裏面側に着脱可能に取付けられている。
【0028】
上記取付ベース71は、役物制御ユニット17を遊技盤41の裏面側に着脱可能に取付けるための部材である。取付ベース71は、導電性を有する材質により形成されており、具体的には金属又は導電性樹脂等の導電性を有する樹脂よりなる。ここで、導電性樹脂とは、樹脂に例えばカーボンを加えて導電性を高めた材料である。そして、取付ベース71に帯電した静電気等は、空中放電等により放出することが可能になっている。因みに、取付ベース71は遊技機1を設置している島設備自体のGND金属等に対して、導通するような配線処理を予め施しておくことも可能であり、この場合、取付ベース71に帯電した静電気等をより速やかにGNDに放出することが可能になる。
取付ベース71は入賞球集合部材33の背面側に重合して設けられ、かつ役物制御ユニット17を遊技盤41の裏面側から取り付けることが可能な構成になっている。そして、役物制御ユニット17を取付ベース71に取り付けた際には、制御基板44のアース電極と導通状態となる。
【0029】
取付ベース71は、その裏面側(遊技機1の前面側)に設けられた突起(図示省略)を、遊技盤41のベニア部材43に形成された位置決め穴48,49に係合させることにより位置決めされ、その周縁部に複数設けられた貫通孔72に挿通した釘をベニア部材43に打込むことによって、遊技盤41の所定位置に固定されている。
また、役物制御ユニット17は排出発射制御ユニット16等とケーブルで接続されている他、役物中継基盤18とフラットケーブルを介して接続されている(図1参照)。
【0030】
またなお、役物中継基盤18は、遊技盤41に配置されている各種役物と役物制御ユニット17との間におけるケーブルの接続中継を行うもので、中継基板ボックス18dの内部に、リレー基板18aと、コネクタ基板18bと、中継基板18cとが設けられた構成となっている。
ちなみに、遊技盤41は前面枠(即ち遊技機の本体枠)を残して新しいものに交換できるが、役物制御ユニット17は取付ベース71を介して遊技盤41と一体化された状態にてメーカーより出荷すれば、遊技店での遊技盤41の交換時に役物制御ユニット17を着脱する必要がないように構成することができる。
【0031】
D.役物制御ユニットの取付け構造
次に、役物制御ユニット17の取付け構造等の詳細について、図3および図4を参照して説明する。
図3に示すように、取付ベース71の表面側(遊技機1の裏面側)の上部には、円柱状の突起からなる止着部73が設けられており、この止着部73の端面には後述の止着部材74に対応する止着穴が形成されている。また、取付ベース71の表面側下部には、突片受け部75が形成されている。
さらに、取付ベース71の図中手前から見て左側の下端部には、前述した固定部62の延出部62aが当接可能な当接部71aが形成されている。したがって、取付ベース71を遊技盤41の裏面側に固定した際には、延出部62aが当接部71aに接触して金属製の固定部62と取付ベース71とが導通状態になり、そのためさらに、遊技盤41を遊技盤固定器具51〜54により金属フレーム3(遊技盤収納部材)に圧接固定した際には、金属フレーム3と取付ベース71とが導通状態になる。このように、固定部62の延出部62aおよび取付ベース71の当接部71aを介して固定部62と取付ベース71が導通状態とすることにより、簡単な構造で、かつ取付ベース71を遊技盤41に取り付けるだけで、取付ベース71と導電性の固定部62とを導通状態にすることができ、導通状態にするための作業が簡単で済む。
【0032】
役物制御ユニット17は、図4に示すように所要の電子部品81等を配設した平板状の制御基板44を、前述のケース45(制御基板収納部材)内に収納した構成になっている。このケース45は、蓋部材45aと底部材45bとよりなり、前述したようにクリア部材で形成されることより、制御基板44の全体が外部からはっきり視認できるようになっている。例えば、透明樹脂製の底部材45bを通して、制御基板44の裏面を視認でき、また蓋部材45aを通して、制御基板44の表面やこの表面に搭載した電子部品81等を視認できる。これにより、第3者機関や遊技店の従業員が役物制御を行う回路を定期的に点検する際に、検査をしやすくすることができる。
【0033】
ケース45の底部材45b内の所定位置には、制御基板44を支持固定するための突起82が設けられており、この突起82には貫通孔が形成されるとともに、貫通孔の基端側(取付ベース71側、すなわち底部材45bの底面側)は拡径に形成されている。突起82の貫通孔には導通補助部材83が挿入され、導通補助部材83にはねじ溝が形成されている。導通補助部材83は導電性を有するとともに、段差のある円筒形状に形成され、導通補助部材83の基端側(取付ベース71側、すなわち底部材45bの底面側)は拡径し、突起82の貫通孔に挿入されたときに、制御基板44側には抜けないようになっているとともに、所定長さだけケース45の底部材45bから取付ベース71側に突出する構成となっている。すなわち、導通補助部材83は、その基端側が平面に形成されて取付ベース71側に臨むように突出し、この導通補助部材82を介して制御基板44のアース電極(又はアース電極に導通した制御基板44上の回路導体)と取付ベース71とが導通状態となることが可能になっている。
制御基板44のアース電極のある所定位置にビス84を挿通し、突起82の貫通孔に挿入されている導通補助部材83に捩じ込むことにより、制御基板44が突起82に挿入された導通補助部材82に締結されて固定支持されるとともに、導通補助部材82が面接触で取付ベース17に圧接されるようになる。したがって、役物制御ユニット17と取付ベース71が組み付けられた際に、導通補助部材82は制御基板44のアース電極と取付ベース17とを導通状態にする機能を有している。
【0034】
また、図3に示すように、ケース45の上端部には突片76が設けられており、この突片76には止着部材74が挿通している。止着部材74は、その頭部から伸びる軸の先端側に挿入端部(ロック部)が形成され、ワンタッチの簡単な手作業で止着が可能な周知の取付具である。すなわち、この止着部材74は、その頭部を押圧しつつ、取付ベース71の表面側に形成された止着部73に対して押し込むと、挿入端部が拡径して前記止着部73にワンタッチで係止し、容易に離脱しないようになるものであり、逆に止着部材74の挿入端部を引張ることで、挿入端部を縮径させて前記止着部73から容易に離脱できるものである。
【0035】
ケース45の上部および下部には、複数(ここでは4個)のかしめ部材77がそれぞれ設けられており、これらのかしめ部材77はケース45の蓋部材45aおよび底部材45bを相互に固定して、ケース45を開くことができないように封印するためのものである。例えば、無理にケース45を開く場合(例えば、内部の制御基板44に対して不正改造をするような場合)には、かしめ部材77を切断工具で切断しなければならず、これにより、ケース45を開いたかどうかが分かるようになっている。
【0036】
次に、上記役物制御ユニット17を遊技盤41の裏面側に取付ける作業、および遊技盤41を金属フレーム3に収納固定する作業について説明する。
(a)取付ベース71を遊技盤41に固定する作業
最初に、取付ベース71を遊技盤41のベニア部材43に固定する作業から行う。この作業では、まず取付ベース71の裏面側(遊技機1の前面側)に設けられた突起(図示省略)を、遊技盤41のベニア部材43に形成された位置決め穴48,49に係合して位置決めする。このとき、導電性の取付ベース71に形成されている当接部71aと、遊技盤41に止着されている金属製の固定部62の延出部62aとが当接する。
次いで、取付ベース71の周縁部に複数設けられた貫通孔72に釘を挿通してベニア部材43に打込むことによって、取付ベース71を遊技盤41の所定位置に固定する。これにより、取付ベース71が遊技盤41の裏面側の所定位置に固定されるが、このとき取付ベース71の当接部71aが固定部62の延出部62aに圧接された状態となり、導電性の取付ベース71と金属製の固定部62とが導通状態になる。
【0037】
(b)取付ベース71に役物制御ユニット17を取り付ける作業
次いで、取付ベース72に対して役物制御ユニット17を取り付けることになる。
この場合、役物制御ユニット17では、制御基板44のアース電極のある所定位置にビス84を挿通し、突起82の貫通孔に挿入されている導通補助部材83に捩じ込むことにより、制御基板44が突起82に挿入された導通補助部材82に締結されて固定支持されるとともに、導通補助部材82の平面に形成された基端側が取付ベース71側に突出した状態となっている。
この状態から、役物制御ユニット17のケース45に形成された突片(図示略)を、取付ベース71の突片受け部75にはめ込んで係止させつつ、役物制御ユニット17の裏面側を、取付ベース71の表面側(遊技機1の裏面側)に重ねるようにして接合する。
【0038】
そして、ケース45に設けられた前述の止着部材74を押込んで、その挿入端部を取付ベース71の止着部73の止着穴に挿入する。これにより、役物制御ユニット17が、止着部材74の係止作用により、取付ベース46に重ね合わせた状態で固定され、かつ同時に、前記導通補助部材82の平面に形成された基端側が取付ベース71の表面に所定の圧力で接触(すなわち、圧接)する(図4参照)。これにより、制御基板44のアース電極(又はこのアース電極と導通状態にある制御基板44上の回路導体)はビス84および導通補助部材82を介して取付ベース71に確実に導通する。
【0039】
(c)遊技盤41を金属フレーム3に収納固定する作業
次いで、遊技盤41を金属フレーム3に収納固定する作業に移る。
遊技盤41を金属フレーム3の遊技盤収納部4に収納固定するには、まず遊技盤41の一側部の係合部64、65を遊技盤固定器具51、52にそれぞれ係合する。このとき、遊技盤41の下端部はフレームボード55に支持させる。次いで、遊技盤41を回動して全体を遊技盤収納部4に収納し、遊技盤41の他側部の固定部62を遊技盤固定器具53、54によって側方から押圧してロックする。これにより、遊技盤41が金属フレーム3の遊技盤収納部4に収納固定される。この状態は図4のように示される。なお、図4は遊技機1の一部(特に、遊技機1を正面から見てその右側)を上方から見た断面図であり、紙面における手前側が、この場合遊技機1の前面側であり、また紙面における上方が、この場合遊技機1の裏面側である。また、遊技盤41の前面側には遊技領域が形成されている。
【0040】
このように、遊技盤41に役物制御ユニット17を取り付けると、役物制御ユニット17の制御基板44のアース電極と、遊技盤41に止着された金属製の固定部62とが取付ベース71を介して導通状態になる。また、遊技盤41を金属フレーム3に収納固定すると、制御基板44のアース電極と導通状態になった金属製の固定部62が同じく金属製の遊技盤固定器具53を介して金属フレーム3と導通状態になり、結局、制御基板44のアース電極が金属フレーム3と導通状態になる。
すなわち、図4に示すように、遊技盤41が金属フレーム3に収納固定された状態では、金属フレーム3、遊技盤固定器具53、金属製の固定部62、固定部62の延出部62a、取付ベース71の当接部71a、取付ベース71、導通補助部材83、ビス84、制御基板44のアース電極という経路で、制御基板44のアース電極が最終的に金属フレーム3と導通状態になる。
【0041】
なお、以上と逆の手順により、遊技盤41を金属フレーム3の遊技盤収納部4から取り外したり、あるいは役物制御ユニット17を取付ベース71(すなわち、遊技盤1)から取り外す作業が行われる。
また、役物制御ユニット17を取付ベース71に取り付けた状態で、遊技盤41だけを交換したり、あるいは遊技盤41は金属フレーム3の遊技盤収納部4に収納固定したまま、役物制御ユニット17だけを点検のために、取付ベース71から取り外すような作業も行われる(作業手順は上述と逆になるので、説明は略す)。
【0042】
以上説明した本発明の前提となる技術による遊技機1では、役物制御ユニット17の制御基板44を収納するケース45をクリア部材により構成するとともに、役物制御ユニット17を取り付ける取付ベース71を導電性を有する材質により形成し、かつ遊技盤41に導電性の固定部62を止着し、さらに役物制御ユニット17を取付ベース71に取り付けた際に、制御基板44のアース電極と取付ベース71とを導通状態にする導通補助部材83を設け、遊技盤41を導電性の金属フレーム3に対して導電性の遊技盤固定器具53により圧接固定することにより、制御基板44のアース電極(又はアース電極に導通する回路導体)と金属フレーム3とが導通状態となるように構成している。
このため、以下のような各種効果が得られる。
【0043】
(1)役物制御ユニット17(以下、適宜、制御ユニット17という)を取り外した状態(すなわち、ユニット単体の状態)で、この制御ユニット17のケース45(制御基板収納部材)を開封することなく(封印のかしめが付加されている場合には、例えば封印のかしめ部材77を切断すること無く)、役物制御ユニット17内の制御基板44のすべてが丸見え状態になり、基板44上に載ってる電子部品(CPU等)の全てがはっきり視認でき不正者による部品交換等による不正が発見しやすくなり、不正行為を抑止するとともに、不正行為が行われた場合にすぐに発見して遊技店の被害を最小限にすることが可能になる。
(2)特に、本例の場合には、取付ベース71を導電性を有する材質で構成して大きくGNDを取ることを可能にするという点を重視して役物制御ユニット17の視界を遮るような材質を使用し、かつ取付ベース71が役物制御ユニット17の外部に位置しているので、役物制御ユニット17を遊技機1(取付ベース71)から取り外せば、制御基板44が表側および裏側から丸見え状態の役物制御ユニット17だけとなるので、遊技店の店員等による制御基板44の不正改造の確認作業をより簡単に行うことができる。
また、遊技機1に役物制御ユニット17を装着した状態でも制御基板44の表面が遊技機裏面側から丸見え状態となり、係員が保守点検時に制御ユニット17のチェックを行いやすい。
【0044】
(3)遊技盤41が金属フレーム3に収納固定されている状態では、役物制御ユニット17のケース45を取付ベース71に固定するだけで、遊技盤41に止着された導電性の固定部62と役物制御ユニット17の制御基板44のアース電極とが必然的に導通状態となるので、制御基板44のアース電極が取付ベース71を介して表面積の大きな固定部62および金属フレーム3と導通するようになるので、ノイズや静電気によって制御基板44のCPU等が暴走する(或いは誤動作する)ことを信頼性高く防止することが可能になる。
すなわち、ユニット外部からの電磁波などのノイズの入射や磁界の影響は、導電性の取付ベース71のみならず、固定部62および金属フレーム3により効果的に遮断されることになり、また制御基板44の静電気等が取付ベース71のみならず固定部62や金属フレーム3からも放電されることにより、制御基板44の回路の誤動作や暴走が防止される。
なお、遊技盤上のモーター、ソレノイド等の各種電気的駆動源などで発生する電磁波や、球の静電気などによるノイズ(或いは、不正な遊技者が送信する不正電波等)は、通常遊技機1の前面側から役物制御ユニット17などの制御ユニット内に入射してくるので、導電性の取付ベース71、固定部62および金属フレーム3が制御ユニットの裏面側(遊技機1の前面側)のみに配置されている構成であっても、これらノイズの入射を効果的に遮断することができる。
【0045】
(4)できるだけ、大きくGNDを取ることがノイズ等の対策として有効であるため、従来は大きな導電性部材を新たに設けるという対処方法があり、これにはスペースの問題、設計が大変、コスト高、遊技機重量の増加、導電性部材の取り外し等による制御ユニットの点検等の作業性の悪化という欠点があったが、これに対して本例では、遊技盤41側で特殊な作業が必要でなく、時間も手間もかからずに、できるだけ、大きくGNDを取るという対策を簡単に行うことができ、ノイズ等の対策として極めて簡単、低コストに上記従来の問題点を解消することができる。
すなわち、取付ベース71を介して制御基板44のアース電極と遊技盤41に止着された導電性の固定部62とを導通状態にした遊技盤41を、金属フレーム3に収納固定するだけで、言換えれば役物制御ユニット17を取り付けた遊技盤41を単に金属フレーム3に取り付けるという作業だけで、制御基板44のアース電極(GND)が大きな表面積を持つ導電性の固定部62および金属フレーム3と導通するので、電気的な接続作業や導通させる作業をすることなく、簡単にノイズや静電気に対する防御を強力にすることができる。
【0046】
(5)本例のように、遊技機1が遊技盤41と本体枠とに分離可能な構成である場合には、遊技店にて遊技機1の本体枠を遊技店に残して、遊技盤だけを新しいものに交換する際(例えば、新機種にする際)に、遊技盤とそれに対応する制御ユニットも交換する必要がある。ところが、制御ユニットが遊技盤に取り付けられるタイプのものである場合には、遊技盤を交換するという行為だけで新機種になるが、機種を変えるときに、制御基板44のアース電極(GND)と大きな表面積を持つ金属フレーム3と導通状態にするための取り付け、取り外し作業をする必要がないので、新機種の遊技盤交換の際の作業時間、手間を大幅に削減することができる(すなわち、制御ユニットに関連する作業を省くことができる)。
(6)また、機種を変えるときに、遊技領域や制御ユニットだけを変更した製造を行う場合には、取付ベース71、導電性の固定部62および金属フレーム3がノイズ等を防止する機能を持つ独立したユニットとなり、これらは機種が変っても仕様は共通に使えるので、遊技領域や制御ユニット17だけの交換で済み、取付ベース71、固定部62および金属フレーム3は機種が変わってもそのまま共通に使用できるので、機種を変える場合の交換部品点数が少なく交換作業が容易になり、コスト削減になる。
【0047】
(7)制御ユニット17には、制御基板44のアース電極(又はアース電極に導通する回路導体)に導通するとともに取付ベース71側に臨む導通補助部材83を設け、導通補助部材83を介して取付ベース71と制御基板44のアース電極とを導通可能な構成としているので、導通補助部材83を介して取付ベース71と制御基板44上の所定のアース電極(又は回路導体)とを面接触で確実に接触させることができる。したがって、アース電極と取付ベース71との間のインピーダンス(抵抗値)を低いものにすることができ、取付ベース71によるノイズ等の障害防止の効果を一層高めることが期待できる。
取付ベース71と制御ユニット17とをビス等で固定する必要なしに、確実な接触を実現できるので、制御ユニット17を容易に着脱することができる構成(例えば、ドライバー等の工具を用いないで着脱可能な構成、あるいは手でワンタッチで着脱可能な構成)であっても、接触の強度を高めることが可能となり、制御ユニット17の着脱作業の迅速化にも効果的である。
また、役物制御ユニット17と導電性の取付ベース71が組み付けられたときに、制御ユニット17に設けられた導通補助部材83により、取付ベース71と制御基板44のアース電極との接続が自動的に(作業者が意識することなく)行われる。このため、例えば接続用の別部品(例えば、ケーブルとコネクタなど)を取付けて上記接続作業を別個に行うような構成と比較して、組立て作業が容易になるとともに、部品点数が少なくなり、低コストが実現できる。
【0048】
実施の形態
次に、図5〜図7により本発明の実施の形態について説明する。
本実施の形態は、導電性の固定部に関連する部分の構造に特徴を有するもので、他の構成は先に説明した前提となる技術と同様である。そこで、前提となる技術と同様の構成要素には同符合を用いて説明を省略し、以下特徴部分を中心に説明する。
図5において符号91で示すものが、本実施の形態の遊技盤である。この遊技盤91も、木製のベニア部材92を基盤として備え、ベニア部材92の前面(遊技領域の内外)に各種の入賞具やセンター役物42等を搭載した構成になっている(図6参照)。
遊技盤91は、その両側面に金属製の固定部が設けられておらず、本実施の形態では遊技盤91の図5中左側前面には遊技盤91の一側部を係止するための複数の遊技盤固定器具51、52がそれぞれ係合する凹部状の係合部93、94が形成されている。また、図6に示すように、遊技盤91の図6中左側面には遊技盤91の他側部を後述の取付ベースの複数の固定部がそれぞれ嵌合するための嵌合部95、96が形成されている。
【0049】
次に、遊技盤裏側の構成について説明すると、図6において、符号101で示すものが、本実施の形態の取付ベースである。取付ベース101も導電性を有する材質により形成され、制御基板44のアース電極(図示省略)と導通状態になる構成とされている。取付ベース101の図中左側部には、前述した遊技盤91の嵌合部95、96に対してそれぞれ嵌合する嵌合固定部102、103が形成されており、これらの嵌合固定部102、103は、導電性を有する材質により取付ベース101と一体に形成されている。嵌合固定部102、103は取付ベース101から外方に延在するコの字状に形成され、遊技盤91の嵌合部95、96に対して外方からスライドさせるようにして位置決めした後、嵌合した状態にして最後に嵌合固定部102、103に形成されたビス穴102a、103aにそれぞれビス(図示略)を挿入して遊技盤91に捩じ込んで固定される(実際には、この作業は取付ベース101を遊技盤91の裏面側に取り付ける作業(前提となる技術と同様)と同時に行われる)。なお、取付ベース101およびその嵌合固定部102、103以外の役物制御ユニット17等の構成は前提となる技術と同様である。
取付ベース101の嵌合固定部102、103を遊技盤91の嵌合部95、96にそれぞれ嵌合した状態は、図5のように示される。
【0050】
遊技盤91を金属フレーム3に収納固定するには、まず遊技盤91の一側部の係合部93、94を遊技盤固定器具51、52にそれぞれ係合し、このとき、遊技盤91の下端部はフレームボード55に支持させる。次いで、遊技盤91を回動して全体を遊技盤収納部4に収納し、遊技盤91の他側部の嵌合部95、96に嵌合している取付ベース101の嵌合固定部102、103をそれぞれ遊技盤固定器具104、105によって押圧してロックする。この場合の遊技盤固定器具104、105は第1の実施の形態と異なり、遊技盤91の前面から押え付けるタイプのものである。これにより、遊技盤91が金属フレーム3の遊技盤収納部4に収納固定される。この状態は図7のように示される(断面方向は前提となる技術と同様)。
【0051】
したがって、本実施の形態では遊技盤91に取付ベース101を取り付け、その後、役物制御ユニット17を取り付けると、役物制御ユニット17の制御基板44のアース電極と、遊技盤91に嵌合する取付ベース101の嵌合固定部102、103とが導通状態になる。また、遊技盤91を金属フレーム3に収納固定すると、制御基板44のアース電極と導通状態になった取付ベース101の嵌合固定部102、103が金属製の遊技盤固定器具104、105を介して金属フレーム3と導通状態になり、結局、制御基板44のアース電極が金属フレーム3と導通状態になる。
すなわち、図7に示すように、遊技盤91が金属フレーム3に収納固定された状態では、金属フレーム3、遊技盤固定器具104、取付ベース101の嵌合固定部102、取付ベース101、導通補助部材83、ビス84、制御基板44のアース電極という経路で、制御基板44のアース電極が最終的に金属フレーム3と導通状態になる。
【0052】
なお、以上と逆の手順により、遊技盤91を金属フレーム3の遊技盤収納部4から取り外したり、あるいは役物制御ユニット17を取付ベース101(すなわち、遊技盤91)から取り外す作業が行われる。
また、役物制御ユニット17を取付ベース101に取り付けた状態で、遊技盤91だけを交換したり、あるいは遊技盤91は金属フレーム3の遊技盤収納部4に収納固定したまま、役物制御ユニット17だけを点検のために、取付ベース101から取り外すような作業も行われる(作業手順は上述と逆になるので、説明は略す)。
【0053】
このように、本実施の形態では遊技盤91の両側面に金属製の固定部61、62を設ける必要がなく、取付ベース101の形状を変更して嵌合固定部102、103を設ければ済む。したがって、前提となる技術と同様の効果の他に、以下の効果が得られる。
すなわち、取付ベース101と遊技盤91の嵌合部95、96に嵌合する嵌合固定部102、103が一体形成されているので、取付ベース101が遊技盤91を金属フレーム3(遊技盤収納部材)に収納固定したとき遊技盤91に接した状態で配置される導電性の固定部(すなわち、嵌合固定部102、103)と遊技盤91上で確実に導通状態になり、この間の接触不良は全く生じない。そのため、制御基板44のアース電極を嵌合固定部102、103と遊技盤91上で確実に導通状態にして接触不良の可能性を極めて少なくすることができる。
【0054】
また、取付ベース101は、その嵌合固定部102、103により位置決め等がしっかりとなされているので、嵌合固定部102、103が金属フレーム3(遊技盤収納部材)に固定される遊技盤固定器具104、105の位置に対してずれたりしないで、遊技盤固定器具104、105による遊技盤91の固定を確実に行うことができる。
さらに、遊技盤固定器具104、105によって遊技盤91を固定するときの嵌合固定部102、103は、遊技盤91の側面の全てにわたって金属製の部材を配置する構成でなく、遊技盤固定器具104、105によって遊技盤91を押圧する箇所のみに配置すればよく、遊技盤91を金属フレーム3(遊技盤収納部材)に収納固定したとき遊技盤91に接した状態で配置される導電性の固定部の必要量が少なくコストが低減する。また、取付ベース101を遊技盤91の裏面側に取り付けるだけで、嵌合固定部102、103の位置決めが行われるので、遊技盤固定器具104、105と対応するように、わざわざ嵌合固定部102、103の位置決めを行う必要がなく、位置決めの作業工程が少なくなる。
【0055】
なお、本発明は上記実施の形態の態様に限られず、以下のように、各種の変形,応用があり得る。
(a)例えば、取付ベースに制御ユニットを取り付ける場合に、制御基板のアース電極が導電性の固定部と遊技盤上で確実に導通状態になることを確保しつつ、取付ベースに対して制御ユニットが単なる係止状態で取付けられるようにしてもよい。このようにすれば、取付ベースから制御ユニットを容易に取り外し、制御ユニット全体を丸裸にして容易に制御基板の確認作業ができるようになる。
(b)前述のかしめ部材の代りに、開封識別シール(ケースを開放すると、その旨が判明できるようなシール)を用いてもよい。
(c)本発明の導通補助部材は必ずしも上記実施の形態のような構造に設けられている必要はなく、所定の接触状態が得られる構成であれば、例えば可撓性を有する部材で導通補助部材を構成したり、あるいは取付ベースの側に設けられるようにしてもよい。また、導通補助部材は制御ユニットと取付ベースの間に別体で挟み込むような構成にしてもよい。例えば、取付ベース(あるいは制御ユニット)の一面に円形凹部状の窪みを形成し、そこに薄い厚さの円筒形の導通補助部材を別体として挟み込み、制御ユニットと取付ベースの所定の接触状態を得るようにしてもよい。
(d)上記実施の形態では遊技盤収納部材を金属フレームで構成しているが、遊技盤収納部材は導電性を有していれば、金属に限るものではなく、例えば導電性の樹脂により形成した樹脂フレームで構成してもよい。
(e)上記実施の形態では、導電性の固定部を遊技盤の側部に設ける構成としているが、導電性の固定部は遊技盤が遊技盤収納部材に収納固定されたときに該遊技盤に接した状態で配置されるとともに、遊技盤固定部材によって遊技盤収納部材と導通し、かつ取付ベースと導通状態になることが可能な構成であればよいので、遊技盤の側部に設ける構成に限定されるものではない。例えば、遊技盤固定部材と接した状態で固定されるならば、遊技領域の障害にならない範囲内で遊技盤前面に設けてもよい。
(f)上記前提となる技術では、導電性の固定部が取付ベースの方向に延出する延出部を有し、この延出部を介して固定部と取付ベースとを導通状態にする構成となっているが、これに限らず、例えば取付ベースから固定部の方向に延出するようにしてもよい(すなわち、取付ベースが延出部を有する構成)。
(g)本発明の制御ユニットは、遊技に係わる制御を行うものであればよいので、役物制御ユニットだけでなく、例えば遊技盤裏面側に設けられる音制御ユニットやその他の制御ユニットであっても、本発明を適用できる。
(h)遊技盤固定部材は、遊技盤を圧接して着脱可能に収納固定するとともに、遊技盤を遊技盤収納部材に収納固定したとき該遊技盤に接した状態で配置される導電性の固定部と該遊技盤収納部材とを導通させる機能を有するものであればよいので、固定部の圧接形態(例えば、横側から押す、前側から押圧する、係止する等に限らない)はどのようなものでもよく、また、どのような形状でもよい。
(i)パチンコ機に限らず、アレンジボール機やスロットマシン等にも、本発明は適用可能である。
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)制御ユニットを取り外した状態で、この制御ユニットの制御基板収納部材を開封することなく、制御ユニット内の制御基板のすべてが丸見え状態になり、基板上に載ってる電子部品の全てがはっきり視認でき不正者による部品交換等による不正が発見しやすくなり、不正行為を抑止するとともに、不正行為が行われた場合にすぐに発見して遊技店の被害を最小限にすることが可能になる。
(2)特に、本発明の場合には、取付ベースを導電性を有する材質で構成して大きくGNDを取ることを可能にするという点を重視して役物制御ユニットの視界を遮るような材質を使用し、かつ取付ベースが役物制御ユニットの外部に位置しているので、制御ユニットを遊技機から取り外せば、制御基板が表側および裏側から丸見え状態の制御ユニットだけとなるので、遊技店の店員等による制御基板の不正改造の確認作業をより簡単に行うことができる。
また、遊技機に制御ユニットを装着した状態でも制御基板の表面が遊技機裏面側から丸見え状態となり、係員が保守点検時に制御ユニットのチェックを行いやすい。
(3)また、取付ベースの導電性のコ字状の嵌合固定部は、導電性を有する材質により取付ベースと一体に形成することにより、以下の効果が得られる。
すなわち、取付ベースが遊技盤を遊技盤収納部材に収納固定したとき遊技盤に接した状態で配置される導電性の嵌合固定部と遊技盤上で確実に導通状態になり、この間の接触不良は全く生じない。そのため、制御基板のアース電極を嵌合固定部と遊技盤上で確実に導通状態にして接触不良の可能性を極めて少なくすることができる。
また、取付ベースは、一体化された嵌合固定部により位置決め等がしっかりとなされているので、嵌合固定部が遊技盤収納部材に固定される遊技盤固定部材の位置に対してずれたりしないで、遊技盤固定部材による遊技盤の固定を確実に行うことができる。
さらに、遊技盤固定部材によって遊技盤を固定するときの固定部(実施の形態では、係合部93、94、嵌合部95、96)は、遊技盤の側面の全てにわたって金属製の部材を配置する構成でなく、遊技盤固定部材によって遊技盤を押圧する箇所のみに配置すればよく、遊技盤を遊技盤収納部材に収納固定したとき遊技盤に接した状態で配置される導電性の固定部の必要量が少なくコストが低減する。また、取付ベースを遊技盤の裏面側に取り付けるだけで、固定部の位置決めが行われるので、遊技盤固定部材と対応するように、わざわざ固定部の位置決めを行う必要がなく、位置決めの作業工程が少なくなる。
また、導通補助部材を介して取付ベースと制御基板上の所定のアース電極とを面接触で確実に接触させることができる。したがって、アース電極と取付ベースとの間のインピーダンスを低いものにすることができ、取付ベースによるノイズ等の障害防止の効果を一層高めることが期待できる。
取付ベースと制御ユニットとをビス等で固定する必要なしに、確実な接触を実現できるので、制御ユニットを容易に着脱することができる構成であっても、接触の強度を高めることが可能となり、制御ユニット17の着脱作業の迅速化にも効果的である。
また、制御ユニットと導電性の取付ベースが組み付けられたときに、制御ユニットに設けられた導通補助部材により、取付ベースと制御基板のアース電極との接続が自動的に行われる。このため、例えば接続用の別部品を取付けて上記接続作業を別個に行うような構成と比較して、組立て作業が容易になるとともに、部品点数が少なくなり、低コストが実現できる。
(4)本発明のように、遊技機が遊技盤と本体枠とに分離可能な構成である場合には、遊技店にて遊技機の本体枠を遊技店に残して、遊技盤だけを新しいものに交換する際に、遊技盤とそれに対応する制御ユニットも交換する必要がある。ところが、制御ユニットが遊技盤に取り付けられるタイプのものである場合には、遊技盤を交換するという行為だけで新機種になるが、機種を変えるときに、制御基板のアース電極(GND)と大きな表面積を持つ遊技盤収納部材と導通状態にするための取り付け、取り外し作業をする必要がないので、新機種の遊技盤交換の際の作業時間、手間を大幅に削減することができる。
(5)また、機種を変えるときに、遊技領域や制御ユニットだけを変更した製造を行う場合には、取付ベース、固定部(実施の形態では、係合部93、94、嵌合部95、96)および遊技盤収納部材がノイズ等を防止する機能を持つ独立したユニットとなり、これらは機種が変っても仕様は共通に使えるので、遊技領域や制御ユニットだけの交換で済み、取付ベース、固定部および遊技盤収納部材は機種が変わってもそのまま共通に使用できるので、機種を変える場合の交換部品点数が少なく交換作業が容易になり、コスト削減になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】遊技機の裏面構成を示す図である。
【図2】遊技盤の取り付け構造を示す分解斜視図である。
【図3】遊技盤の裏面構成を示す図である。
【図4】取付ベースの取付構造を説明する断面図である。
【図5】遊技盤の取り付け構造を示す分解斜視図である。
【図6】遊技盤の裏面構成を示す図である。
【図7】取付ベースの取付構造を説明する断面図である。
【符号の説明】
1 遊技機
3 金属フレーム(遊技盤収納部材)
17 役物制御ユニット(制御ユニット)
22 基枠体
44 制御基板
45 ケース(制御基板収納部材)
51〜54、104、105 遊技盤固定器具(遊技盤固定部材)
61、62 固定部
71、101 取付ベース
82 導通補助部材
102、103 嵌合固定部(固定部)
Claims (1)
- 遊技盤を前面側から着脱可能に収納する導電性の遊技盤収納部材と、
遊技に係わる制御を行う制御ユニットと、
制御ユニットを前記遊技盤の裏面側に着脱可能に取り付けるための取付ベースと、を備えた遊技機において、
前記制御ユニットは、前記制御を実行する制御回路が形成された制御基板と、該制御基板を収納する透明な制御基板収納部材と、当該制御ユニットを前記取付ベースに取り付けた場合に、前記制御基板のアース電極と取付ベースとを導通状態にする導通補助部材とを含み、前記制御基板収納部材は上下、左右、及び前後から制御基板が視認可能となる構成とされ、
前記取付ベースは、導電性を有する材質により形成するとともに、該取付ベースから外方に延在するコ字状の嵌合固定部を一体に形成し、且つ、該嵌合固定部を遊技盤の嵌合部に対して外方からスライドさせるようにして嵌合した状態で前記取付ベースが遊技盤裏面側に固定され、
前記遊技盤収納部材は、
前記取付ベースが固定された状態で遊技盤を前面側から収納し、前記遊技盤の嵌合部の前面側に位置する取付ベースの嵌合固定部を、導電性の遊技盤固定部材により前記遊技盤の嵌合部の前面側に対して押圧して、前記遊技盤の嵌合部の裏面側に位置する取付ベースの嵌合固定部を当該遊技盤収納部材に圧接することで遊技盤を固定し、
前記遊技盤を前記遊技盤収納部材に収納し、前記取付ベースの嵌合固定部を前記遊技盤固定部材によって押圧してロックすることにより、前記制御基板のアース電極と遊技盤収納部材とが導通状態となる構成であることを特徴とする遊技機。
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