JP4005484B2 - 画像読取装置およびこれを備えた画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、原稿画像を読み取る画像読取装置およびこれを備えた複写機等の画像形成装置に係る。特に、本発明は、画像の読み取りに生ずるズレを抑制して画質劣化の根本的な解決を図るための対策に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、スキャナなどで読み取られた画像データは、プリンタなどに転送する際、一旦メモリに蓄積してからプリンタに送られて画像形成される。しかし、通常のインクジェットプリンタでは、スキャナの読取速度はプリンタの印字速度よりも早いため、若しくは、カラー画像を読み取った場合にはデータ量が大きくなるため、上記メモリには画像形成が未完了の画像データが蓄積されていく。ここで、メモリ容量に充分な余裕がある場合には問題ないが、メモリ容量が少なく、蓄積された画像データによって該メモリの書き込み余地が少なくなった(メモリフル)場合、一旦スキャナを停止させ、上記のメモリの容量に書き込み余地ができたときにスキャンを再開するようになっている。
【0003】
ただし、このスキャンの再開(再スキャン)の時、スキャナに備えられたCCDのクロック信号と、スキャナモータのクロック信号とが非同期であるため、画像の読み取りにズレが生じ、画質劣化が起きるという問題がある。
【0004】
そこで、このような問題を解決する画像読取装置として、CCDラインセンサの周期信号を制御する手段を備え、再スキャンのとき、スキャナモータのクロック信号とCCDラインセンサのクロック信号(周期信号)とを同期させることにより、画像読み取りのズレを防止するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
また、その他の画像読取装置として、CCDラインセンサの周期信号とスキャナモータのクロック信号との位相差(差分)を求め、再スキャンのとき、その差分に近似した時間を遅延させてスキャナモータのクロック信号を出して、画像読み取りのズレを防止するようにしたものもある(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−112780号公報
【特許文献2】
特開2001−45236号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の2つの特許文献1および2に記載した画像読取装置においても、スキャナモータなどの原稿搬送手段のクロック信号(駆動信号)と、CCDラインセンサの周期信号(位相信号)とが非同期であることに変わりはなく、再読み取り動作(再スキャン)のときにだけ原稿搬送手段の駆動信号とCCDラインセンサの位相信号とを同期させたところで、ソフトの制御であるが故に遅れがちな原稿搬送手段の駆動信号がCCDラインセンサの位相信号に対し遅れることが否めず、再読み取り動作後にCCDラインセンサによる画像の読取ラインが増えるに従い原稿搬送手段の駆動信号の累積誤差が大きくなって、画像の読み取りにズレが生じ、画質劣化を根本的に解決し得るものではない。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、原稿搬送手段の駆動信号の累積誤差を最小限に抑えて画像の読み取りに生ずるズレを効果的に抑制し、画質劣化を根本的に解決することができる画像読取装置およびこれを備えた画像形成装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明では、所定周期の駆動信号に基づいて原稿を読み取り部に搬送する原稿搬送手段と、この原稿搬送手段による搬送中の原稿画像を読み取り部で所定周期の位相信号に基づいて読み取るCCDラインセンサとを備え、原稿搬送手段の駆動信号は、原稿画像の読み取り時におけるCCDラインセンサの位相信号に基づいて所定周期毎に同期される画像読取装置において、上記CCDラインセンサの位相信号と原稿搬送手段の駆動信号との信号周期の最小公倍数に相当するタイミング毎に同期させるようにしている。
【0010】
この特定事項により、原稿画像の読み取り時において、原稿搬送手段の駆動信号は、ソフトの制御であるが故にCCDラインセンサの位相信号に比して遅れがちとなるが、CCDラインセンサの位相信号と原稿搬送手段の駆動信号との信号周期の最小公倍数に相当するタイミング毎に同期させるようにしているので、CCDラインセンサの読み取りタイミングに応じて原稿搬送装置が駆動することになり、原稿搬送手段の駆動信号の累積誤差が最小限に抑えられて画像の読み取りに生ずるズレが効果的に抑制され、画質劣化を根本的に解決することが可能となる。
【0011】
また、CCDラインセンサの位相信号に基づく画像データの読み取り速度と、原稿搬送装置の駆動信号に基づく原稿画像の最小搬送速度とを異ならせている場合、例えばCCDラインセンサの位相信号に基づく画像データの読み取り速度が600DPIに、原稿搬送装置の駆動信号に基づく原稿画像の最小搬送速度が400DPIにそれぞれ設定されている場合には、原稿搬送装置が2ステップ動作する間に、CCDラインセンサは3ステップ動作させる必要がある。このため、CCDラインセンサの位相信号と原稿搬送手段の駆動信号(基本クロック)とを、例えば互いの信号発生周期の最小公倍数の周期毎に同期させるようにすれば、CCDラインセンサの位相信号と原稿搬送手段の駆動信号との同期が円滑に行え、精度良く画像を読み取ることが可能となる。
【0012】
そして、CCDラインセンサの位相信号に基づいて原稿搬送手段の駆動信号を割り込み制御させるようにしている場合には、CCDラインセンサの位相信号を基準にして原稿搬送装置の基準タイマ(駆動信号)に割り込みがかけられることになり、読み取りの精度を維持した状態で、原稿搬送装置の駆動信号の同期が取られ、読み込み中の一時停止、再読込を行う装置であっても、正確な画像の読み取りが行える。しかも、CCDラインセンサと原稿搬送装置の基準クロックが異なる装置を組み合わせることも可能となり、既存装置の流用など装置開発の時間短縮を図ることが可能となる。
【0013】
更に、上述した各解決手段のいずれか1つに記載の画像読取装置を備えていると共に、この画像読取装置によって読み取った原稿画像情報に基づいて記録媒体に対する画像形成動作を実行する画像形成部を備えた画像形成装置も本発明の技術的思想の範疇である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、本発明に係る画像読取装置をデジタル複写機に搭載した場合について説明する。
【0015】
−複写機の全体構成の説明−
図1は本形態に係る画像形成機としての複写機1の内部構成の概略を示している。この図1のように、本複写機1は、スキャナ部2、画像形成部としてのプリント部3及び原稿自動給紙部4を備えている。そして、このスキャナ部2及び原稿自動給紙部4によって本発明でいう画像読取装置が構成されている。以下、各部について説明する。
【0016】
<スキャナ部2の説明>
スキャナ部2は、透明なガラス等で成る原稿台41上に載置された原稿の画像や原稿自動給紙部4により1枚ずつ給紙される原稿の画像を読み取って画像データを作成する部分である。このスキャナ部2は、露光光源21、複数の反射鏡22,23,24、結像レンズ25、CCD(Charge Coupled Device)ラインセンサ26を備えている。
【0017】
上記露光光源21は、原稿自動給紙部4の原稿台41上に載置された原稿や原稿自動給紙部4を搬送される原稿に対して光を照射するものである。各反射鏡22,23,24は、図1に破線で光路を示すように、原稿からの反射光を一旦図中左方向に反射させた後、下方に反射させ、その後、結像レンズ25に向かうように図中右方向に反射させるようになっている。
【0018】
原稿の画像読み取り動作として、上記原稿台41上に原稿が載置された場合(「シート固定方式」として使用する場合)には、露光光源21及び反射鏡22が図1に実線で示す位置と仮想線で示す位置との間を原稿台41に沿って水平方向に走査して、原稿全体の画像を読み取ることになる。一方、原稿自動給紙部4を搬送される原稿を読み取る場合(「シート移動方式」として使用する場合)には、露光光源21及び反射鏡22が図1に実線で示す位置に固定され、後述する原稿自動給紙部4の原稿読取部42(読み取り部)を原稿が通過する際にその画像を読み取ることになる。尚、この原稿読取部42は、後述するプラテンガラス42a、原稿押え板42b、露光光源21、反射鏡22,23,24、結像レンズ25、CCDラインセンサ26により構成されている。
【0019】
上記各反射鏡22,23,24で反射されて結像レンズ25を通過した光はCCDラインセンサ26に導かれ、このCCDラインセンサ26において反射光が電気信号(原稿画像データ)に変換されるようになっている。
【0020】
<プリント部3の説明>
プリント部3は、画像形成系31と用紙搬送系32とを備えている。
【0021】
画像形成系31は、レーザスキャニングユニット31a及びドラム型の感光体31bを備えている。レーザスキャニングユニット31aは、上記CCDラインセンサ26において変換された原稿画像データに基づいたレーザ光を感光体31bの表面に照射するものである。感光体31bは、図1中に矢印で示す方向に回転し、レーザスキャニングユニット31aからのレーザ光が照射されることによってその表面に静電潜像が形成されるようになっている。
【0022】
また、感光体31bの外周囲には、上記レーザスキャニングユニット31aの他に、現像装置31c、転写チャージャ31d、図示しないクリーニング装置、除電器31e、主帯電器31fが周方向に亘って順に配設されている。現像装置31cは、感光体31bの表面に形成された静電潜像をトナーにより可視像に現像するものである。転写チャージャ31dは、感光体31bの表面に形成されたトナー像を記録媒体としての画像形成用紙5に転写するものである。クリーニング装置は、トナー転写後において感光体31bの表面に残留したトナーを除去するようになっている。除電器31eは、感光体31bの表面の残留電荷を除去するものである。主帯電器31fは、静電潜像が形成される前の感光体31bの表面を所定の電位に帯電させるようになっている。
【0023】
このため、画像形成用紙5に画像を形成する際には、主帯電器31fによって感光体31bの表面が所定の電位に帯電され、レーザスキャニングユニット31aが原稿画像データに基づいたレーザ光を感光体31bの表面に照射する。その後、現像装置31cが感光体31bの表面にトナーによる可視像を現像し、転写チャージャ31dによって、トナー像が画像形成用紙5に転写される。更に、その後、感光体31bの表面に残留したトナーはクリーニング装置によって除去されると共に、感光体31bの表面の残留電荷が除電器31eによって除去される。これにより、画像形成用紙5への画像形成動作(印字動作)の1サイクルが終了する。このサイクルが繰り返されることにより、複数枚の画像形成用紙5,5,…に対して連続的に画像形成を行うことができるようになっている。
【0024】
一方、用紙搬送系32は、用紙カセット33や用紙トレイ34に収容された画像形成用紙5,5,…を1枚ずつ搬送して上記画像形成系31による画像形成を行わせると共に、画像形成された画像形成用紙5を排紙トレイ35へ排出するものである。
【0025】
この用紙搬送系32は、主搬送路36と反転搬送路37とを備えている。主搬送路36は、一端が分岐されて用紙カセット33及び用紙トレイ34の排出側にそれぞれ対向していると共に他端が排紙トレイ35に対向している。反転搬送路37は、一端が転写チャージャ31dの配設位置よりも上流側(図中下側)で主搬送路36に繋がっていると共に、他端が転写チャージャ31dの配設位置よりも下流側(図中上側)で主搬送路36に繋がっている。
【0026】
主搬送路36の上流端(用紙カセット33や用紙トレイ34の排出側に対向する部分)には断面が半円状のピックアップローラ36a,36aが配設されている。このピックアップローラ36a,36aの直下流側には給紙ローラ36b,36bが配設されている。このピックアップローラ36a及び給紙ローラ36bの回転により、用紙カセット33または用紙トレイ34に収容されている画像形成用紙5,5,…を1枚ずつ間欠的に主搬送路36に給紙できるようになっている。
【0027】
この主搬送路36における転写チャージャ31dの配設位置よりも上流側には、画像形成用紙5の通過を検知するためのレジスト検知スイッチ36c及びレジストローラ36d,36dがそれぞれ配設されている。このレジストローラ36d,36dは、感光体31b表面のトナー像と画像形成用紙5との位置合わせを行いながら画像形成用紙5を搬送するものである。主搬送路36における転写チャージャ31dの配設位置よりも下流側には、画像形成用紙5に転写されたトナー像を加熱により定着させるための一対の定着ローラ36e,36e及び画像形成用紙5が定着ローラ36e,36eを通過したことを検知するための定着検知スイッチ36fがそれぞれ配設されている。主搬送路36の下流端には、画像形成用紙5を排紙トレイ35に排紙するための一対の排紙ローラ36g,36g及び画像形成用紙5の排紙を検知するための排紙検知スイッチ36hがそれぞれ配設されている。
【0028】
主搬送路36に対する反転搬送路37の上流端の接続位置には分岐爪38が配設されている。この分岐爪38は、図1に実線で示す第1位置と仮想線で示す第2位置との間で水平軸回りに回動自在となっている。この分岐爪38が第1位置にあるときには画像形成用紙5が排紙トレイ35へ排紙され、第2位置にあるときには画像形成用紙5が反転搬送路37へ供給されるようになっている。反転搬送路37の複数箇所には搬送ローラ37a,37a,…が配設されており、画像形成用紙5が反転搬送路37に供給された場合には、これら搬送ローラ37a,37a,…によって画像形成用紙5が搬送され、レジストローラ36dの上流側で画像形成用紙5が反転されて再び転写チャージャ31dに向かって主搬送路36を搬送されるようになっている。つまり、画像形成用紙5の裏面に対して画像形成が行えるようになっている。
【0029】
<原稿自動給紙部4の説明>
次に、原稿自動給紙部4について説明する。この原稿自動給紙部4は、所謂自動両面原稿搬送装置として構成されている。図2は、本原稿自動給紙部4及びその周辺部分を示す概略図である。この原稿自動給紙部4は、シート移動式として使用可能であって、原稿トレイ43、中間トレイ44、原稿排紙トレイ45及び各トレイ43,44,45間で原稿を搬送する原稿搬送系46を備えている。
【0030】
上記原稿搬送系46は、原稿トレイ43に載置された原稿6,6,…を、原稿読取部42を経て中間トレイ44または原稿排紙トレイ45へ搬送するための主搬送路47と、中間トレイ44上の原稿6を主搬送路47に供給するための副搬送路48とを備えている。
【0031】
主搬送路47の上流端(原稿トレイ43の排出側に対向する部分)には原稿ピックアップローラ47a及び捌きローラ47bが配設されている。捌きローラ47bの下側には捌き板47cが配設されており、原稿ピックアップローラ47aの回転に伴って原稿トレイ43上の原稿6,6,…のうちの1枚がこの捌きローラ47bと捌き板47cとの間を通過して主搬送路47に給紙されるようになっている。主搬送路47と副搬送路48との合流部分(図中A部分)には原稿6の通過を検知するための原稿入紙センサ47dが配設されている。更に、この原稿入紙センサ47dの配設位置よりも下流側には原稿搬送手段としてのPSローラ47e,47eが配設されている。このPSローラ47e,47eは、原稿6の先端とスキャナ部2の画像読み取りタイミングとを調整して原稿6を原稿読取部42に供給するものである。つまり、PSローラ47e,47eは原稿6が供給された状態でその原稿6の搬送を一旦停止し、上記タイミングを調整して原稿6を原稿読取部42に供給するようになっている。
【0032】
原稿読取部42は、プラテンガラス42aと原稿押え板42bとを備え、PSローラ47e,47eから供給された原稿6がプラテンガラス42aと原稿押え板42bとの間を通過する際に、上記露光光源21からの光がプラテンガラス42aを通過して原稿6に照射されるようになっている。この際、上記スキャナ部2による原稿画像データの取得が行われる。上記原稿押え板42bの背面(上面)にはコイルスプリング42cによる付勢力が付与されている。これにより、原稿押え板42bがプラテンガラス42aに対して所定の押圧力をもって接触しており、原稿6が原稿読取部42を通過する際にプラテンガラス42aから浮き上がることを阻止している。
【0033】
原稿読取部42の下流側には、搬送ローラ47f及び原稿排紙ローラ47gが備えられている。原稿読取部42を通過した原稿6が搬送ローラ47f及び原稿排紙ローラ47gを経て中間トレイ44または原稿排紙トレイ45へ排紙される構成となっている。尚、上記各ローラ47e,47f,47gのうち図2中で回転方向に矢印を付したものが駆動ローラであって、それに接触するローラが従動ローラとなっている。
【0034】
原稿排紙ローラ47gと中間トレイ44との間には中間トレイ揺動板44aが配設されている。この中間トレイ揺動板44aは、中間トレイ44側の端部が揺動中心とされて、図2に実線で示すポジション1と仮想線で示すポジション2との間で揺動可能となっている。中間トレイ揺動板44aがポジション1にある場合には原稿排紙ローラ47g,47gから排紙された原稿6は原稿排紙トレイ45へ回収される。一方、中間トレイ揺動板44aがポジション2にある場合には原稿排紙ローラ47g,47gから排紙された原稿6は中間トレイ44へ排出されるようになっている。この中間トレイ44への排紙時には、図2に仮想線で示すように、原稿6の端縁(図中の右端縁)が原稿排紙ローラ47g,47g間に挟持された状態となっており、この状態から原稿排紙ローラ47gが逆回転することによって原稿6が副搬送路48に供給され、この副搬送路48を経て再び主搬送路47に送り出されるようになっている。この原稿排紙ローラ47gの逆回転動作は、主搬送路47への原稿6の送り出しと画像読み取りタイミングとを調整して行われる。これにより、原稿6の裏面の画像が原稿読取部42によって読み取られるようになっている。
【0035】
また、主搬送路47の上流端(原稿トレイ43における図2中の右端近傍位置)には、原稿トレイ43上に原稿6が存在するか否かを検知するための原稿検知センサ4Aが設けられている。また、主搬送路47の下流端近傍位置であって、副搬送路48との分岐部分(図中B部分)付近には、この主搬送路47を搬送される原稿6の先端(搬送方向の下流側端縁)が通過したことを検知可能な原稿先端検知センサ4Bが設けられている。
【0036】
−複写機1の動作説明−
次に、上述の如く構成された複写機1における原稿読み取り動作を図3及び図4のフローチャートに沿って説明する。本複写機1の複写動作としては、原稿6の読取動作として「片面読み取り処理」と「両面読み取り処理」とがあり、また、画像形成用紙5への画像形成動作として「片面形成処理」と「両面形成処理」とがある。以下に、上記「片面読み取り処理」及び「両面読み取り処理」について説明する。
【0037】
先ず、ユーザから複写処理の印字要求がある場合、このユーザは原稿トレイ43上に複数枚の原稿6,6,…を載置する。その後、ユーザは、複写機1の操作パネルを操作して、印字枚数、印字倍率、用紙サイズ等の各種条件の設定を行うと共に、原稿の読み取りモード選択(片面原稿と両面原稿との選別)、印字モード選択(片面印字と両面印字との選別)を行う。以上の操作入力が完了してユーザがスタートキーを押すことにより、原稿自動給紙部4及びスキャナ部2による原稿読取処理が開始される。
【0038】
そして、上記原稿の読み取りモードとして「片面読み取り処理」が選択されている場合には、図3に示す「片面読み取り処理」が実行される。以下、この「片面読み取り処理」について説明する。
【0039】
先ず、中間トレイ揺動板44aがポジション1(図2に実線で示すポジション)にあるか否かの判定を行う(ステップS501)。このポジション1は、読み取り後のシート(以下、原稿と称する)を原稿排紙トレイ45に導くための位置である。ステップS501において中間トレイ揺動板44aがポジション1にない場合は、中間トレイ揺動板44aをポジション1に移動する(ステップS509)。このように中間トレイ揺動板44aの位置が決定した後に、原稿ピックアップローラ47aによって原稿6は搬送され(ステップS502)、上述のようにPSローラ47eで一旦停止し(ステップS503)、原稿読み取りタイミングに合わせて再搬送される(ステップS504)。搬送された原稿6の画像情報は原稿読取部42において読み取られる(ステップS505)。この時、読み取られた原稿を制御部におけるメモリに入力するか否かの判定を行う(ステップS506)。この判定は印字枚数を設定したときにシングル印字かマルチ印字かの枚数設定によって決定される。ステップS506においてメモリ入力が行われる時はマルチ印字を示し、メモリ入力を行わず読み取った原稿6の画像情報を制御部において画像処理した後にプリント部3のレーザスキャニングユニット31aに送信する時はシングル印字を示す(ステップS510)。このように画像処理が行われている間に原稿6は搬送ローラ47fを介して可逆回転可能な原稿排紙ローラ47gに搬送され原稿排紙トレイ45に導かれる(ステップS507)。そして、このような原稿自動給紙部4及びスキャナ部2の動作によって片面原稿の読み取りが終了し、次の原稿6がある場合(ステップS508でYES判定された場合)には上記動作を繰り返し、次の原稿6がない場合(ステップS508でNO判定された場合)には「片面読み取り処理」を終了する。
【0040】
このような読み取りが行われる原稿6は、片面にしか画像情報がないときと、両面に画像情報があってもユーザの読み取り要求が片面の画像情報を読み取る要求であるときである。
【0041】
一方、上記原稿の読み取りモードとして「両面読み取り処理」が選択されている場合には、図4に示す「両面読み取り処理」が実行される。以下、この「両面読み取り処理」について説明する。
【0042】
先ず、両面原稿が原稿ピックアップローラ47aによって搬送され(ステップS601)、上述のようにPSローラ47eで一旦停止しする(ステップS602)。次に、中間トレイ揺動板44aがポジション2(図2に仮想線で示すポジション)にあるか否かの判定を行う(ステップS603)。このポジション2は、読み取り後の原稿6を中間トレイ44に導くための位置である。ステップS603において、中間トレイ揺動板44aがポジション2にない場合は、中間トレイ揺動板44aを移動させ、ポジション2の状態にする(ステップS624)。このように中間トレイ揺動板44aの位置が決定した後に、原稿6は原稿読み取りタイミングに合わせて再搬送される(ステップS604)。そして、原稿読取部42において、搬送された原稿6の表面原稿の画像情報が読み取られる(ステップS605)。この時、読み取られた表面原稿の画像情報は制御部におけるメモリに入力される(ステップS606)。この時、メモリされる表面原稿の画像情報は画像処理された状態である。このように画像処理およびメモリされる間に原稿6は搬送ローラ47fを介して原稿排紙ローラ47gに搬送され中間トレイ16に導かれる(ステップS607)。中間トレイ16に導かれた原稿6は原稿搬送方向の後端(上流側端)を原稿排紙ローラ47gに挟まれた状態で一旦停止する(ステップS608)。以上のような処理により、原稿6の表面原稿の画像情報が読み取られる。なお、上記ステップS501〜S608までの一連の工程を“表面原稿読み取り用搬送工程”と称する。
【0043】
その後、原稿排紙ローラ47gが上記ステップS607における回転方向とは逆の回転を行うことによって原稿6は副搬送路48を介して搬送される(ステップS609)。搬送された原稿6はPSローラ47eで一旦停止し(ステップS610)、原稿読み取りタイミングに合わせて再搬送される(ステップS611)。そして、原稿読取部42において、搬送された原稿6の裏面の画像情報が読み取られる(ステップS612)。この時、読み取られた裏面原稿の読み取った画像情報は制御部において画像処理した後にプリント部3のレーザスキャニングユニット31aに送信される(ステップS613)。このように画像処理および送信される間に、原稿6は搬送ローラ47fを介して原稿排紙ローラ47gに搬送され中間トレイ44に導かれる(ステップS614)。中間トレイ44に導かれた原稿6は原稿搬送方向の後端を原稿排紙ローラ47gに挟まれた状態で一旦停止する(ステップS615)。以上のようにして、裏面原稿の画像情報が読み取られる。なお、上記ステップS609〜S615までの工程を“裏面原稿読み取り搬送工程”と称する。
【0044】
そして、ステップS615にて、一旦停止した原稿6は原稿排紙ローラ47gが上記ステップS614における回転方向とは逆の回転を行うことによって原稿6は副搬送路48を介して搬送される(ステップS616)。このようにして搬送された原稿6は、上記原稿入紙センサー47dによってその後端が通過したか否かの判定が行われる(ステップS617)。この時、原稿後端が通過し、さらに次の原稿がある時(ステップS618)には、次の原稿6は原稿ピックアップローラ47aによって搬送され(ステップS619)、PSローラ47eで一旦停止し(ステップS620)、読み取りタイミングが来るまで待機する。このように次の原稿6の搬送中においても表裏を読み取られた後の原稿6は搬送路48,47を搬送される。このように搬送される原稿6が入紙センサー47dを通過すると、中間トレイ揺動板44aがポジション1にあるか否かの判定を行う(ステップS621)。この時、中間トレイ揺動板44aはステップS603においてポジション2に配置された状態であるために、制御部は中間トレイ揺動板44aをポジション1に移動させる(ステップS625)。このように中間トレイ揺動板44aの位置が決定される。この間においても原稿6は搬送され、搬送ローラ47fを介して原稿排紙ローラ47gに搬送され原稿排紙トレイ45に排出される(ステップS623)。この時、上述のように一旦PSローラ47eで待機している次の原稿6は、読み取りが終了している原稿6が原稿読取部42を通過したことを確認すると(ステップS622)、再度搬送され、原稿6の読み取りが実行される。このようにして、画像情報が読み取られた原稿6が排紙される。なお、ステップS616〜 S622までの工程を“原稿の空搬送工程”と称する。このような原稿自動給紙部4及び原稿読取部42の動作によって両面原稿の読み取りが行われる。
【0045】
以上のように、両面原稿の読み取りには、“表面原稿読み取り用搬送工程”、“裏面原稿読み取り搬送工程”、および“原稿の空搬送工程”の3工程を行う必要がある。このような工程を行う理由としては、原稿読み取り用の第1、第2の工程(表面原稿読み取り用搬送工程および裏面原稿読み取り搬送工程)は当然必要であるが、“裏面原稿読み取り搬送工程”が終了した後で、中間トレイ揺動板44aの位置を移動させて原稿排紙トレイ45に原稿6を排紙すると、複数枚の原稿6,6,…を載置するときに原稿6,6,…の表裏順番が合わず頁揃えが出来ない状態となる。このような不都合を解消するために“原稿の空搬送”の工程を実行している。
【0046】
−制御部の説明−
次に、本形態の特徴とする構成として、PSローラ47eおよびCCDラインセンサ26を制御する制御部について説明する。
【0047】
上記PSローラ47eは、所定周期の駆動信号に基づいて原稿6を原稿読取部42に搬送するように構成されている一方、上記CCDラインセンサ26は、上記PSローラ47eによる搬送中の原稿画像を原稿読取部42で所定周期の位相信号に基づいて読み取るように構成されている。また、CCDラインセンサ26の位相信号に基づく画像データの読み取り速度と、PSローラ47eの駆動信号に基づく原稿画像の最小搬送量とは互いに異なっている。この場合、CCDラインセンサ26の位相信号に基づく画像データの読み取り速度、つまりCCDラインセンサ26による画像データのサポート解像度が600DPIに、PSローラ47eの駆動信号に基づく原稿画像の最小搬送量、つまりPSローラ47eによる原稿画像の搬送基本解像度をサポートする副走査解像度が400DPIにそれぞれ設定されている。
【0048】
下記表1では、CCDラインセンサ26の位相信号とPSローラ47eの駆動信号とのサポート解像度別の同期タイミングを示している。
【0049】
【表1】
上記表1から、サポート解像度が600DPIである場合には、CCDラインセンサ26の位相信号3ラインがPSローラ47eの駆動信号4ステップで同期することが判る。
【0050】
そして、上記制御部では、原稿画像の読み取り時におけるCCDラインセンサ26の位相信号に基づいてPSローラ47eの駆動信号を所定周期毎(互いの信号周期の最小公倍数に相当するタイミング毎)、つまりサポートが必要な副走査解像度はCCDラインセンサ26の位相信号3ラインのタイミング毎に同期させるように補正している。
【0051】
すなわち、図5の(a)に示すように、CCDラインセンサ26の位相信号とPSローラ47eの駆動信号とが、ズレることなく常時同期するものであれば、CCDラインセンサ26の位相信号3ラインのタイミング毎にPSローラ47eの駆動信号4ステップが一致することになる。しかし、図5の(b)に示すように、PSローラ47eの駆動信号は、ソフトの制御であるが故にCCDラインセンサ26の位相信号に対し遅れ(誤差A)が生じ、CCDラインセンサ26による画像の読取ラインが増えるに従い原稿搬送手段の駆動信号の累積誤差B(B>A)、C(C>B)が大きくなる。そこで、図5の(c)に示すように、CCDラインセンサ26の位相信号とPSローラ47eの駆動信号との信号周期の最小公倍数に相当するタイミング、つまりCCDラインセンサ26の位相信号3ラインとPSローラ47eの駆動信号4ステップとのタイミング毎に同期させるように補正すれば、CCDラインセンサ26の位相信号に対するPSローラ47eの駆動信号の遅れが最小限に抑えられることになる。この場合、PSローラ47eの駆動信号は、CCDラインセンサ26の位相信号3ラインのタイミングに基づいて割り込み制御される。
【0052】
以上のように、本実施形態では、原稿画像の読み取り時において、PSローラ47eの駆動信号は、ソフトの制御であるが故にCCDラインセンサ26の位相信号に比して遅れがちとなるが、CCDラインセンサ26の位相信号とPSローラ47eの駆動信号との信号周期の最小公倍数に相当する,CCDラインセンサ26の位相信号3ラインとPSローラ47eの駆動信号4ステップとのタイミング毎に、CCDラインセンサ26の位相信号3ラインに対しPSローラ47eの駆動信号4ステップを同期させるように補正しているので、CCDラインセンサ26の読み取りタイミングに応じてPSローラ47eが駆動することになり、PSローラ47eの駆動信号の累積誤差が最小限に抑えられて画像の読み取りに生ずるズレが効果的に抑制され、画質劣化を根本的に解決することができることになる。
【0053】
しかも、CCDラインセンサ26の位相信号3ラインのタイミングに基づいてPSローラ47eの駆動信号が割り込み制御されるので、CCDラインセンサ26の位相信号を基準にしてPSローラ47eの基準タイマ(駆動信号)に割り込みがかけられることになり、読み取りの精度を維持した状態で、PSローラ47eの駆動信号の同期が取られ、読み込み中の一時停止、再読込を行う装置であっても、正確な画像の読み取りを行うことができる。しかも、CCDラインセンサ26とPSローラ47eの基準クロックが異なる装置を組み合わせることもでき、既存装置の流用など装置開発の時間短縮を図ることができる。
【0054】
−その他の実施形態−
上述した実施形態では、デジタル複写機に本発明を適用した場合について説明した。本発明は、これに限らず、アナログ複写機やその他の画像形成装置に対しても適用可能である。また、本発明に係る画像読取装置は、画像形成装置に備えられるものに限らず、スキャナ装置等への適用も可能である。
【0055】
また、上記実施形態では、CCDラインセンサ26の位相信号に基づく画像データの読み取り速度と、PSローラ47eの駆動信号に基づく原稿画像の最小搬送量とが互いに異なっている場合について述べたが、CCDラインセンサの位相信号に基づく画像データの読み取り速度(画像データのサポート解像度)と、PSローラの駆動信号に基づく原稿画像の最小搬送量(原稿画像の搬送基本解像度をサポートする副走査解像度)とが同一である場合にその位相信号と駆動信号とを所定周期毎に同期させるようにしてもよいのはもちろんである。
【0056】
【発明の効果】
以上のように、本発明では、原稿画像の読み取り時に遅れがちとなる原稿搬送手段の駆動信号をCCDラインセンサの位相信号と信号周期の最小公倍数に相当するタイミング毎に同期させるようにすることで、原稿搬送手段の駆動信号の累積誤差を最小限に抑えて画像の読み取りに生ずるズレを効果的に抑制し、画質劣化を根本的に解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る複写機の内部構成の概略を示す図である。
【図2】原稿自動給紙部及びその周辺部分を示す概略図である。
【図3】「片面読み取り処理」の手順を示すフローチャート図である。
【図4】「両面読み取り処理」の手順を示すフローチャート図である。
【図5】(a)はCCDラインセンサの位相信号とPSローラの駆動信号とがズレることなく常時一致している場合のタイムチャート図である。
(b)はCCDラインセンサの位相信号とPSローラの駆動信号とがズレてPSローラの駆動信号の累積誤差が大きくなる場合のタイムチャート図である。
(c)はCCDラインセンサの位相信号とPSローラの駆動信号とのズレを所定周期のタイミング毎に同期させている場合のタイムチャート図である。
【符号の説明】
1 複写機(画像形成装置)
3 プリント部(画像形成部)
42 原稿読取部(読み取り部)
47e PSローラ(原稿搬送手段)
5 画像形成用紙(記録媒体)
6 原稿
Claims (4)
- 所定周期の駆動信号に基づいて原稿を読み取り部に搬送する原稿搬送手段と、この原稿搬送手段による搬送中の原稿画像を読み取り部で所定周期の位相信号に基づいて読み取るCCDラインセンサとを備え、原稿搬送手段の駆動信号は、原稿画像の読み取り時におけるCCDラインセンサの位相信号に基づいて所定周期毎に同期される画像読取装置において、
上記CCDラインセンサの位相信号と原稿搬送手段の駆動信号との信号周期の最小公倍数に相当するタイミング毎に同期させるようにしていることを特徴とする原稿読取装置。 - 上記請求項1に記載の原稿搬送装置において、CCDラインセンサの位相信号に基づく画像データの読み取り速度と、原稿搬送装置の駆動信号に基づく原稿画像の最小搬送量とは互いに異なっていることを特徴とする画像読取装置。
- 上記請求項1または請求項2に記載の原稿搬送装置において、原稿搬送手段の駆動信号は、CCDラインセンサの位相信号に基づいて割り込み制御されるようにしていることを特徴とする原稿読取装置。
- 上記請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の画像読取装置を備えていると共に、この画像読取装置によって読み取った原稿画像情報に基づいて記録媒体に対する画像形成動作を実行する画像形成部を備えていることを特徴とする画像形成装置。
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