JP4003920B2 - 圧電磁器組成物、圧電磁器焼結体および電子部品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィルタ、レゾネータ等の電子部品に用いられる圧電磁器組成物に関し、特に、鉛不含のニオブ酸系圧電磁器組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、フィルタやレゾネータ等の電子部品に用いられる圧電磁器組成物として、一般にPbTiO3(PT系)やPbTiO3−PbZrO3(PZT系)等の鉛(Pb)を含む圧電磁器組成物が用いられてきた。このような圧電磁気組成物は、通常、他の電子部品用セラミックス組成物と同様に、バインダ等を用いてセラミックス顆粒に造粒し、造粒されたセラミックス顆粒を所定の寸法および形状を有する金型等でセラミックス成形体に成形し、そして得られたセラミックス成形体を所定温度で焼成することによってセラミックス焼結体に形成される。更に、このようにして形成されたセラミックス焼結体に最終仕上げを施して目的とする圧電磁気焼結体が得られる。
【0003】
前記のようなPbを含む圧電磁器組成物は比較的高い圧電特性を有しているが、近年の環境上の問題によりPbを含まない、Pb不含の圧電磁器組成物の要求が高まってきている。また、従来のPbを含む圧電磁器組成物では、その製造過程や、この圧電組成物を焼結して目的とする圧電磁器焼結体に形成する過程でPb系酸化物が蒸発し易く、環境上好ましくない。
【0004】
このような観点から、Pb系の圧電磁器組成物に代わるPb不含の組成物として、これまでに、BaTiO3、NaNbO3、Na0.5Bi0.5TiO3、Sr1-xBaxNb26、Sr2-xCaxNaNbO15等をはじめとする各種のPb不含の圧電磁器組成物が提案されている。これらのPbを含まない圧電磁器組成物のうち、比較的高い圧電特性の発現が期待されるものとして、NaNbO3、Sr1-xBaxNb26、Sr1-xCaxNaNb515等がある。これらの圧電磁器組成物の開発例としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0005】
特開平9−165262号公報では、一般式xNa(Nb1-aTaa)O3−yK(Nb1-aTaa)O3−zM(Nb1-aTaa26(ただし、Mは少なくとも1種のアルカリ土類金属、かつx+y+2z=1)で表される圧電磁器組成物が提案されている。この公報によれば、この一般式中のa、b、xおよびyを0.0≦a≦0.5、0.2≦x≦0.98、0.0≦y≦0.78、0.01≦z≦0.4の範囲とすることによって、周波数定数を大きくすると共に、機械的品質係数を大きくし、なおかつ電気機械結合係数を向上させた圧電磁器組成物を提供できることが開示されている。
【0006】
特開平10−297969号公報では、一般式(1−y)(Ba1-xSrx)Nb26−yNaNbO3で表され、かつxが0≦x≦1、yが0.15≦y<1/3の範囲にある磁器成分を圧電磁器組成物の主成分とするもので、好ましくは、副成分として、Mn、Cr、W、Si、Mo、Ni、Co、Sn、Mg、Sb、Ti、ZrおよびFeの各酸化物からなる群から選ばれた少なくとも1種を、それぞれ、MnO2 、Cr23、WO3、SiO2、MoO3、NiO、Co23、SnO2、MgO、Sb23、TiO2、ZrO2およびFe23に換算して、全量で5重量%以下含む圧電磁器組成物が提案されている。この公報によれば、このような圧電磁器組成物によって、鉛を含まず、圧電特性をある程度向上させることが可能な圧電セラミック素子の材料を提供できることが開示されている。
【0007】
特開平11−240759号公報では、一般式Sr2NaNb515で表わされるタングステンブロンズ型複合酸化物からなり、Nbの一部をVおよび/またはTaで置換した結晶粒子を主体とする圧電磁器組成物が提案されている。この圧電磁器組成物では、Srの一部がMg、CaおよびBaのうち少なくとも1種で置換されると共に、Naの一部がKで置換されていることが望ましく、より望ましくは、原子比による組成式を、(Sr2-aa )x (Na1-bb)y(Nb5-cc)O15と表わしたとき、0.10≦a≦0.65、0.20≦b≦0.80、0<c≦0.10、0.96≦x≦1.04、0.80≦y≦1.20を満足するものである。また、AはMg、CaおよびBaのうち少なくとも1種である。この公報によれば、このような圧電磁器組成物によって、キュリー温度が150℃以上と高く、80pC/N以上の実用レベルの圧電歪み定数(d33)を有する非鉛系の圧電磁器を実現することが可能なことが開示されている。
【0008】
しかしながら、これらのPb不含の圧電磁器組成物から得られた焼結体の圧電特性(電気機械結合係数)は、前記のPbを含む圧電磁器組成物から得られた焼結体の圧電特性と比べて、なお充分なものとはいえなかった。そこで、例えば、電気機械結合係数がより一層向上された圧電磁器焼結体を実現できる圧電磁器組成物が要求されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前記したような問題点に鑑み、Pbを含むことなく、より高い電気機械結合係数を有する圧電磁器焼結体が得られる圧電磁器組成物を提供することにある。
また、本発明の他の課題は、Pbを含まない圧電磁器組成物を焼結して得られる圧電磁器焼結体、およびこの圧電磁器焼結体を用いた電子部品を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために本発明者等が鋭意検討した結果、まず、Pbを含まずに比較的高い圧電特性を有するニオブ酸ナトリウムと、これに所定のペロブスカイト型酸化物および所定のタングステンブロンズ型酸化物を含むことにより、一段と高い圧電特性が得られる圧電磁器組成物を具現化できることを見出した。
【0011】
すなわち、本発明に係る圧電磁器組成物は、式(A)で示される組成物と、前記組成物に対して1質量%以下の二酸化マンガンを含む酸化物とを含有し、残部が不可避的不純物からなる圧電磁気組成物であり、前記組成物において、M 1 、M 2 は、それぞれ互いに独立してMg、Ca、SrおよびBaからなる群から選択される1種または2種以上の金属元素であることを特徴とする。(請求項1) ここで、前記の「不可避的不純物」とは、本発明に係る圧電磁器組成物の原料中に不可避的に存在する不純物、またはその製造過程等で不可避的に混入された不純物を意味し、本発明の目的効果を阻害しない範囲の量が含まれる。また、式(A)において、一般式M1TiO3は、ペロブスカイト型酸化物であり、一般式M2Nb26 は、タングステンブロンズ型酸化物である。
【0012】
【化1】
xM 1 TiO 3 −yM 2 Nb 2 6 −(1−x−y)NaNbO 3 (A)
0.005≦x≦0.08
0.005≦y≦0.1
【0013】
のように構成すれば、Pbを含まないペロブスカイト型酸化物およびタングステンブロンズ型酸化物にニオブ酸ナトリウムを添加した圧電磁器組成物において、これら添加物の相乗効果が充分に発現されてより高い電気機械結合係数を発揮できる圧電磁器組成物が具現化される。例えば、後記するように、径方向振動の電気機械結合係数が17%以上の圧電磁器組成物が得られる。また、このように構成すれば、圧電磁器組成物を仮焼結して圧電磁器焼結体を形成する際に焼結性がより高められ、緻密性がより向上された圧電磁器焼結体が具現化される。

【0016】
更に、本発明に係る圧電磁器焼結体は、このように構成された圧電磁器組成物を焼結することによって得られる。(請求項6)
そして、このような圧電磁器焼結体を電子部品に適用すれば、一段と優れた圧電特性を有する電子部品を提供することができる。(請求項7)
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく限りにおいて適宜に変更することが可能である。
本発明に係る圧電磁器組成物は、ニオブ酸ナトリウムを主成分とし、一般式M1TiO3(式中、M1は1種または2種以上の二価の金属元素である。)で表されるペロブスカイト型酸化物と、一般式M2Nb26(式中、M2はM1と同一であっても異なってもよく、そして1種または2種以上の二価の金属元素である。)で表されるタングステンブロンズ型酸化物とを含むものである。
【0018】
本発明者等は、このような効果を発現し得る各種のペロブスカイト型酸化物およびタングステンブロンズ型酸化物を、ニオブ酸ナトリウムに適宜に水準振りして添加し、各種の圧電磁器組成物を作製した。そして、これら各種の圧電磁器組成物の圧電特性(径方向振動の電気機械結合係数(kr))等について評価し、比較的高い電気機械結合係数を有する圧電磁器組成物を具現化するための知見を得た。以下に、この知見に基づいて決定された本発明の条件について説明する。
【0019】
《圧電磁器組成物の組成》
本発明に係る圧電磁器組成物は、ペロブスカイト型酸化物をモル分率で0.005〜0.08含み、タングステンブロンズ型酸化物をモル分率で0.005〜0.1含み、残部がニオブ酸ナトリウムと不可避的不純物で構成される。すなわち、本発明に係る圧電磁器組成物の組成を下記の一般式(A)で表すとき、xが0.005〜0.08かつyが0.005〜0.1であることが好ましい。更に好ましくは、xが0.006〜0.07かつyが0.006〜0.09である。
xM1TiO3―yM2Nb26―(1−x−y)NaNbO3…(A)
ただし、M1は1種または2種以上の二価の金属元素であり、M2はM1と同一であっても異なってもよく、そして1種または2種以上の二価の金属元素であり、x、yは各々対応する酸化物のモル分率である。
なお、前記一般式(A)は、本発明に係る圧電磁器組成物を化学量論的組成で示しているが、この化学両論的組成の比が±5%の範囲内でずれた圧電磁器組成物に対しても本発明の効果を得ることができる。
【0020】
すなわち、本発明に係る圧電磁器組成物の組成が前記一般式(A)で表されるとき、xが0.005未満であると、この圧電磁器組成物の焼結性が低下して結晶構造の緻密性が阻害されるため、電気機械結合係数が向上する効果が発現されない。また、このxが0.08を超えると電気機械結合係数が低下する。そして、このxが0.006〜0.07の範囲内にあれば、焼結性が更に向上した圧電磁器組成物が得られるようになり、一段と高い電気機械結合係数を有する圧電磁器組成物が具現化される。したがって、本発明にあっては、ペロブスカイト型酸化物のモル分率を0.005〜0.08とすることが好ましく、より好ましくは、0.06〜0.07の範囲内とする。
【0021】
また、本発明に係る圧電磁器組成物の組成が前記一般式(A)で表されるとき、yが0.005未満であると、この圧電磁器組成物の焼結性が低下して結晶構造の緻密性が阻害されるため、電気機械結合係数が向上する効果が発現されない。また、このyが0.1を超えると電気機械結合係数が低下する。そして、このyが0.006〜0.09の範囲内にあれば、焼結性が更に向上された圧電磁器組成物が得られるようになり、一層高い電気機械結合係数を有する圧電磁器組成物が具現化される。したがって、本発明にあっては、ペロブスカイト型酸化物のモル分率を0.005〜0.1とすることが好ましい。
【0022】
《焼結助剤》
また、本発明にあっては、焼結助剤として遷移金属または希土類金属の酸化物を1質量%以下添加してもよい。このような焼結助剤を1質量%以下添加すると焼結性が向上されて、より緻密で電気機械結合係数の高い圧電磁器組成物が得られるようになる。そして、この焼結助剤として二酸化マンガンを用いれば、更に焼結性を高めることができて、より一層緻密で電気機械結合係数が一段と高い圧電磁器組成物が得られる。
【0023】
本発明に係る圧電磁器組成物は、前記ニオブ酸ナトリウム、ペロブスカイト型酸化物およびタングステンブロンズ型酸化物の出発原料として、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、ニオブ酸化物(Nb25)、チタン酸化物(TiO2)、および対応するアルカリ土類金属を含む炭酸塩を所定の比率で混合し、また、必要に応じて前記した構成を有する焼結助剤を所定量添加してこれらが均一となるように充分に混合し、その後、所定の温度で仮焼成することによって得られる。
【0024】
そして、このように構成される本発明の圧電磁器組成物を焼結することによって、電気機械結合性に優れた圧電磁器焼結体が得られる。らに、この圧電磁器焼結体をセラミックフィルタや、セラミックレゾネータ等の電子部品に適用すれば、優れた圧電性を備えたものとなる。
【0025】
また、このような本発明に係る仮焼成後の圧電磁気組成物は、電子部品用セラミックス組成物と同様に所定の平均粒径、例えば平均粒径0.5〜5.0μmを有する粉末状である。この圧電磁気組成物に、例えば(変性)ポリビニルアルコール等を含むバインダを添加して、従来公知の方法、例えば噴霧造粒、オシレーティング押出し造粒によりセラミックス顆粒へと造粒される。次に、このセラミックス顆粒を、金型等を用いて成形体に成形し、更に、この成形体を所定温度、例えば1200〜1400℃で所定時間焼成することによりセラミックス焼結体が得られる。そして、このようにして得られたセラミックス焼結体に研磨等の最終仕上げ加工を施すことによりセラミックレゾネータ等の電子部品が得られる。
【0026】
【実施例】
次に、本発明を実施例と比較例とを用いてより詳細に説明する。
まず、出発原料として、本発明に係る圧電磁器組成物に対応する金属を含む炭酸塩または酸化物である、SrCO3、BaCO3、Na2CO3、Li2CO3、K2CO3、Nb23、MnCO3を用いて各々秤量し、その所定量をボールミルに投入して5時間、湿式混合を行なった。その後、このようにして得られた混合物を1100℃程度に加熱して、2時間、仮焼成を施し、続いてボールミルで15時間程度粉砕して圧電磁器組成物の粉末を得た。
【0027】
引き続き、この圧電磁器組成物の粉末に40MPaの圧力を加えて直径17mmの円柱状の圧電磁器組成物を作製した後、この圧電磁器組成物に400MPaの圧力を加えてCIP(冷間等方加工プレス)処理を施し、更に1325℃で4時間、焼成を施してバルク状の圧電磁器焼結体を得た。このようにして得られた本発明の条件を満足する実施例1〜11の各試験片と本発明の条件を満足しない比較例1〜6の各試験片の組成を表1に示す。
【0028】
【表1】
Figure 0004003920
【0029】
表1に示す各試験片で、本発明の条件を満足する実施例のうち、実施例1〜5は、ニオブ酸ナトリウム(NaNbO3)をモル分率で0.87〜0.99含み、ペロブスカイト型酸化物としてBaTiO3をモル分率で0.005〜0.08含み、そしてタングステンブロンズ型酸化物として(Ba0.52Sr0.28Ca0.2)Nb26をモル分率で0.005〜0.05含んでなるものである。また、実施例6〜11は、ニオブ酸ナトリウム(NaNbO3)をモル分率で0.82〜0.945含み、ペロブスカイト型酸化物としてSrTiO3をモル分率で0.005〜0.08含み、そしてタングステンブロンズ型酸化物として(Ba0.52Sr0.28Ca0.2)Nb26をモル分率で0.05〜0.1含んでなるものである。なお、実施例1〜11の圧電磁器組成物は、いずれも焼結助剤として二酸化マンガンをMnO2換算で0.31質量%含む。
【0030】
また、表1中、本発明の条件を満足しない比較例のうち、比較例1はニオブ酸ナトリウム単独からなり、比較例2はニオブ酸ナトリウムをモル分率で0.9含み、タングステンブロンズ型酸化物として(Ba0.52Sr0.28Ca0.2)Nb26をモル分率で0.1含んでなる。更に、比較例3は、ニオブ酸ナトリウムをモル分率で0.83含み、ペロブスカイト型酸化物としてBaTiO3をモル分率で0.12含み、タングステンブロンズ型酸化物として(Ba0.52Sr0.28Ca0.2)Nb26をモル分率で0.05含んでなる。そして、比較例4〜6は、ニオブ酸ナトリウムをモル分率で0.76〜0.83含み、ペロブスカイト型酸化物としてSrTiO3をモル分率で0.08〜0.12含み、タングステンブロンズ型酸化物として(Ba0.52Sr0.28Ca0.2)Nb26をモル分率で0.05〜0.12含んでなる。なお、比較例1〜6の圧電磁器組成物は、いずれも焼結助剤として二酸化マンガンをMnO2換算で0.31質量%含む。
【0031】
その後、このバルク状の圧電磁器焼結体に、スライス加工、ラップ加工等を施して直径13.0mm、厚さ0.6mmの円板状の圧電磁器焼結体を作製した。このようにして得られた円板状の圧電磁器焼結体の試験片の両面に市販のAgペーストを通常の方法で印刷して焼き付けた。その後、この試験片をシリコーンオイル中、7kV/mmの印加電圧にて分極処理し、その後、径方向振動の電気機械結合係数(kr)と比誘電率(ε)とを測定した。なお、径方向振動の電気機械結合係数(kr)はHewlett−Packard社製のインピーダンスアナライザ4194Aを用いて測定し、EMAS−6100に準じて求めた。また、比誘電率(ε)はLCRメータ4284Aを用いて測定した。表2に、実施例1〜11の試験片と比較例1〜6の試験片で得られた各測定結果を示す。
【0032】
【表2】
Figure 0004003920
【0033】
表2より、各試験片の径方向振動の電機機械結合係数(kr)は、本発明の条件を満足する実施例1〜11では17.4〜18.2%と比較的高いのに対し、本発明の条件を満足しない比較例1〜6では11.7〜16.8%と比較的低くなっていることがわかる。このように、本発明に係る実施例1〜11はいずれもkrが17%以上の電気機械結合係数を有している。
【0034】
更に、表2より、本発明の条件を満足する実施例1〜11の比誘電率εは318〜678と比較的高く、フィルタやレゾネータに好適な値となっている。一方、本発明の条件を満足しない比較例1〜6では141〜730と比較的幅広いレンジでばらついている。
【0035】
そして、このような高い圧電特性を有している実施例1〜11では、密度ρが4.50〜4.59と比較的高くなって緻密化されており、そのため機械的に強い焼結体が得られる。一方、本発明の条件を満足しない比較例1〜6の密度ρは4.40〜4.58と比較的幅広いレンジでばらついている。
【0036】
このように本発明の条件を満足する実施例1〜11は、比較的高い電気機械結合係数(径方向振動kr)を発現すると共に密度ρも比較的高く、また比誘電率も実用上充分な大きさとなっている。このため、本発明の条件を満足する実施例1〜11はレゾネータやフィルタ等の電子部品に好適な圧電磁器組成物となる。
【0037】
図1は、実施例1〜11および比較例1〜6についての3成分系の組成図を示したものである。図1で、本発明の条件を示す範囲はハッチングで示した領域であり、実施例1〜11の組成の位置をそれぞれP1〜P11で示し、また、比較例1〜6の組成の位置をそれぞれR1〜R6で示している。この斜線で示した領域では比較的良好な圧電定数が得られた。
【0038】
【発明の効果】
以上説明した通りに構成すれば本発明は以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係る請求項1〜3によれば、主成分たるニオブ酸ナトリウムに、副成分たるペロブスカイト型酸化物およびタングステンブロンズ型酸化物を適切な量で添加した圧電磁器組成物としたので、これら副成分の効果を可及的に相乗させることができ、より高い電気機械結合係数が得られる圧電磁器組成物を提供することができる。
【0039】
また、請求項4または5によれば、このような圧電磁器組成物から圧電磁器焼結体を形成する際に焼結性がより高められ、より緻密な圧電磁器焼結体を提供することができる。
更に、請求項6によれば径方向振動の電気機械結合係数(kr)が17%以上の圧電磁器焼結体を提供することができる。
そして、本発明に係る請求項7によれば、このような圧電磁器焼結体を電子部品に適用することにより、一段と優れた圧電特性を有する電子部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の条件を満足する実施例1〜11および本発明の条件を満足しない比較例1〜6の3成分系の組成図である。
【符号の説明】
P1〜11:それぞれ本発明の条件を満足する実施例1〜11の3成分系の組成を示す位置である。
R1〜6:それぞれ本発明の条件を満足しない比較例1〜6の3成分系の組成を示す位置である。

Claims (3)

  1. 式(A)で示される組成物と、前記組成物に対して1質量%以下の二酸化マンガンを含む酸化物とを含有し、残部が不可避的不純物からなる圧電磁気組成物であり、
    前記組成物において、M 1 、M 2 は、それぞれ互いに独立してMg、Ca、SrおよびBaからなる群から選択される1種または2種以上の金属元素であることを特徴とする圧電磁気組成物。
    Figure 0004003920
  2. 請求項に記載の圧電磁器組成物を焼成して得られた圧電磁器焼結体。
  3. 請求項に記載の圧電磁器焼結体を含む電子部品。
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