JP3991564B2 - 圧電磁器組成物及び圧電素子 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電磁器組成物及び該組成物からなる圧電素子に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来より、圧電磁器組成物は、圧電振動子、圧電共振子、圧電フィルタ及び圧電発振子等の圧電素子の材料として広く利用されている。このような圧電磁器組成物はその利用目的により種々の特性が要求されている。例えば、発振子としては、発振するために圧電磁器組成物のＱｍ値は高いこと、信頼性を保つために周波数の温度係数が平坦であることが求められている。
【０００３】
従来の圧電磁器組成物としては、特公昭４７−９１８５号公報には、ペロブスカイト構造を有する一般化学式ＡＢＯ3で表されるＰｂ｛（Ｍｎ1/3Ｎｂ2/3）ＺｒＴｉ｝Ｏ3系材料として、Ｐｂ（Ｍｎ1/3Ｎｂ2/3）Ｏ3−ＰｂＴｉＯ3−ＰｂＺｒＯ3にＭｎＯ2，ＣｏＯ，ＮｉＯの少なくとも一つ以上の酸化物を少量添加したものが開示されている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、圧電磁器組成物は、高周波化に対応するため、圧電素子の薄肉化が進んできた。これにより、薄肉化しても加工時に割れ、欠け等が発生しにくい高強度の材料の需要が大きくなっている。
【０００５】
しかしながら、化学式ＡサイトのＰｂ量が化学量論量であるＰｂ｛（Ｍｎ1/3Ｎｂ2/3）ＺｒＴｉ｝Ｏ3系材料は、Ｐｂ＝１．００ｍｏｌであるので、抗折強度が１１０〜１３０ＭＰａと低く、薄肉化するための加工中、もしくは素子に加工する際に衝撃が加わると破壊しやすい。
【０００６】
そこで本発明の目的は、薄肉化しても加工時に割れ、欠け等が発生しにくく、耐衝撃性に優れた圧電磁器組成物及び圧電素子を提供することにある。
【００１０】
【課題を解決するための手段及び作用】
前記目的を達成するため、本発明に係る圧電磁器組成物は、組成式Ｐｂa｛（Ｍｎ1/3Ｎｂ2/3）xＺｒyＴｉz｝Ｏ3＋ｂｗｔ％ＭｎＯ2＋ｃｗｔ％ＳｉＯ2で表され、ａ，ｂ，ｃ，ｘ，ｙ，ｚがそれぞれ、０．９８５≦ａ≦０．９９８，０．１５５≦ｂ≦０．５００，０．０１０≦ｃ≦０．０９０，０．０４５≦ｘ≦０．２００，０．２９０≦ｙ≦０．４２５，０．４７５≦ｚ≦０．５８０，ｘ＋ｙ＋ｚ＝１を満たすことを特徴とする。
【００１１】
以上の構成からなる圧電磁器組成物は、抗折強度が１５０ＭＰａ以上であり、圧電振動子、圧電共振子、圧電フィルタ及び圧電発振子等に必要なＱｍ値を有し、任意の共振周波数の温度係数が得られる。
【００１２】
さらに、本発明に係る圧電素子は、前記圧電磁器組成物からなる素体とその表裏面に設けた電極とを備えたことを特徴とする。
【００１３】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る圧電磁器組成物及び圧電素子の実施の形態について説明する。
【００１４】
本発明に係る圧電磁器組成物は、酸化鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、炭酸マンガン、酸化ニオブ、酸化ケイ素等からなり、ペロブスカイト構造を有する一般化学式ＡＢＯ3で表される複合酸化合物を主成分とする。
【００１５】
酸化鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、炭酸マンガン、酸化ニオブ、酸化ケイ素を、組成式Ｐｂa｛（Ｍｎ1/3Ｎｂ2/3）xＺｒyＴｉz｝Ｏ3＋ｂｗｔ％ＭｎＯ2＋ｃｗｔ％ＳｉＯ2を満たす組成比率で調合した。組成式中のａ，ｂ，ｃ，ｘ，ｙ，ｚは表１に示す値で調合した。
【００１６】
【表１】
【００１７】
この調合粉末を、ボールミルを用いて７〜１１時間湿式混合した後、脱水、乾燥し、９００〜１０００℃で２時間仮焼した。この仮焼粉末に適量のバインダを加えてボールミルを用いて１０〜１５時間、再度湿式粉砕し、脱水してプレス形成用粉末を得た。そして、このプレス形成用粉末を角板状にプレス成形し、１１００〜１２５０℃の温度で４時間大気中にて焼成し、焼結体を得た。
【００１８】
この焼結体を６．７ｍｍ×３０ｍｍ×０．２６０ｍｍの短冊状にカット後、厚みを０．２１０ｍｍに研磨し、抗折強度（ＭＰａ）を測定した。また、電気特性は、焼成により得られた焼結体を研磨し、電極を形成後、油中２．５〜３．５ｋＶ／ｍｍで分極を行ってセラミック体を得た。分極したセラミックを１５０℃で１時間枯化させた後、短冊状にカットし、両面に電極を形成した。これを、６．７ｍｍ×１．６ｍｍ×０．２１０ｍｍの素子に切り出し、厚み滑り振動モードの電気特性Ｑｍ及び−２０〜８０℃の共振周波数の温度変化率（％）ｆｒ−ＴＣを測定した。測定結果を表１に示す。なお、表１中の※印は本発明の範囲外を示す。＊は本発明の範囲内の試料のうち、後出の条件式群（１）の一部を満足しない試料である。
【００１９】
試料番号４，５は、組成式において、化学式ＡサイトＰｂaを構成する元素の総モル量ａが、化学式Ｂサイト（Ｍｎ1/3Ｎｂ2/3）xＺｒyＴｉzを構成する元素の総モル量（表１よりｘ＋ｙ＋ｚ＝）１以上あるので、抗折強度が１５０ＭＰａ未満であり本発明の範囲外であった。
【００２０】
さらに、試料番号６は、組成式において、ＳｉＯ2添加量ｃｗｔ％が０．０１０ｗｔ％未満であるので、抗折強度が１５０ＭＰａ未満となり、圧電磁器組成物としては不適切なものであった。
【００２１】
また、試料番号４，５は、化学式ＡサイトＰｂaを構成する元素の総モル量ａが０．９９８を超えていたので、抗折強度が１５０ＭＰａ未満になり、圧電磁器組成物としては不適切なものであった。
【００２２】
一方、試料番号２，３，７，８，１１，１２，１５，１６，１９，２０，２２，２４，２６は、組成式Ｐｂa｛（Ｍｎ1/3Ｎｂ2/3）xＺｒyＴｉz｝Ｏ3＋ｂｗｔ％ＭｎＯ2＋ｃｗｔ％ＳｉＯ2中のａ，ｂ，ｃ，ｘ，ｙ，ｚがそれぞれ、以下の条件式群（１）を満足している。
【００２３】
０．９８５≦ａ≦０．９９８，０．１５５≦ｂ≦０．５００，０．０１０≦ｃ≦０．０９０，０．０４５≦ｘ≦０．２００，０．２９０≦ｙ≦０．４２５，０．４７５≦ｚ≦０．５８０，ｘ＋ｙ＋ｚ＝１ …（１）
【００２４】
これらの試料番号２，３，７，８，１１，１２，１５，１６，１９，２０，２２，２４，２６は、抗折強度が１５０ＭＰａ以上あり、圧電共振子、圧電振動子、圧電フィルタ、圧電発振子に必要なＱｍ値を有している。
【００２５】
また、試料番号１は、化学式ＡサイトＰｂaを構成する元素の総モル量ａが０．９８５未満であるので、抗折強度が１５０ＭＰａと比較的低かった。
【００２６】
また、試料番号９は、ＳｉＯ2添加量ｃｗｔ％が０．０９０ｗｔ％を越えていたので、焼結温度が高くなり、焼成中にＰｂが蒸発して圧電磁器組成物の組成比率を調節しにくいが、抗折強度やＱｍ値は優れている。
【００２７】
また、試料番号１０，１３は、組成式において、ＭｎＯ2の添加量ｂｗｔ％が０．１５５ｗｔ％未満であったり、０．５００ｗｔ％を超えていたので、Ｑｍ値が低く、圧電共振子として必要な特性が得られなかった。
【００２８】
また、試料番号１８，２７は、（Ｍｎ1/3Ｎｂ2/3）xを構成する元素の総モル量ｘが０．０４５未満であったのでｆｒ−ＴＣの値が大きく、試料番号２１，２３は、（Ｍｎ1/3Ｎｂ2/3）xを構成する元素の総モル量ｘが０．２００を超えていたのでｆｒ−ＴＣの値が小さく、ともに、圧電共振子、圧電振動子、圧電フィルタ、圧電発振子として必要な特性が得られなかった。
【００２９】
また、試料番号２１，２５は、Ｚｒyを構成する元素の総モル量ｙが０．２９０未満であったのでｆｒ−ＴＣの値が小さく、試料番号１４は、Ｚｒyを構成する元素の総モル量ｙが０．４２５を超えていたのでｆｒ−ＴＣの値が大きく、ともに、圧電共振子、圧電振動子、圧電フィルタ、圧電発振子として必要な特性が得られなかった。
【００３０】
また、試料番号１４は、Ｔｉzを構成する元素の総モル量ｚが０．４７５未満であったのでｆｒ−ＴＣの値が大きく、試料番号１７，２５，２７は、Ｔｉzを構成する元素の総モル量ｚが０．５８０を超えていたのでｆｒ−ＴＣの値が小さく、ともに、圧電共振子、圧電振動子、圧電フィルタ、圧電発振子として必要な特性が得られなかった。
【００３１】
以上のことから、化学式ＡサイトＰｂaを構成する元素の総モル量ａが、化学式Ｂサイト（Ｍｎ1/3Ｎｂ2/3）xＺｒyＴｉzを構成する元素の総モル量（表１よりｘ＋ｙ＋ｚ＝）１より小さく、かつ、ＳｉＯ2添加量ｃｗｔ％を、０．０１０ｗｔ％以上０．０９０ｗｔ％以下の範囲とすることにより、抗折強度１５０ＭＰａ以上の圧電磁器組成物が得られる。
【００３２】
また、化学式ＡサイトＰｂaを構成する元素の総モル量ａは、０．９８５以上０．９９８以下であれば、抗折強度１５０ＭＰａ以上の圧電磁器組成物が得られる。
【００３３】
また、ＭｎＯ2の添加量ｂｗｔ％は、０．１５５ｗｔ％以上０．５００ｗｔ％以下であれば、Ｑｍ値が高く、圧電共振子に必要な特性が得られる。
【００３４】
また、（Ｍｎ1/3Ｎｂ2/3）xを構成する元素の総モル量ｘが０．０４５以上０．２００以下であり、かつ、Ｚｒyを構成する元素の総モル量ｙが０．２９０以上０．４２５以下であり、かつ、Ｔｉzを構成する元素の総モル量ｚが０．４７５以上０．５８０以下の範囲であれば、適切なｆｒ−ＴＣの値を有し、圧電共振子、圧電振動子、圧電フィルタ、圧電発振子として必要な特性が得られる。
【００３５】
なお、本発明に係る圧電磁器組成物及び圧電素子は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の構成に変更することができる。
【００３６】
例えば、化学式Ａサイトを僅かなＳｒ，Ｎｄ，Ｌａ，Ｂａで置換してもよい。さらに、不可避不純物として微量のＡｌ，Ｆｅ，Ｃｌ等が混入してもよい。
【００３７】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明よれば、薄肉化しても加工時に割れ、欠け等が発生しにくい圧電磁器組成物を得ることができる。特に、圧電振動子、圧電共振子、圧電フィルタ及び圧電発振子等に必要なＱｍ値を有し、任意の共振周波数の温度係数を得ることができ、圧電素子の原料として最適である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電磁器組成物及び該組成物からなる圧電素子に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来より、圧電磁器組成物は、圧電振動子、圧電共振子、圧電フィルタ及び圧電発振子等の圧電素子の材料として広く利用されている。このような圧電磁器組成物はその利用目的により種々の特性が要求されている。例えば、発振子としては、発振するために圧電磁器組成物のＱｍ値は高いこと、信頼性を保つために周波数の温度係数が平坦であることが求められている。
【０００３】
従来の圧電磁器組成物としては、特公昭４７−９１８５号公報には、ペロブスカイト構造を有する一般化学式ＡＢＯ3で表されるＰｂ｛（Ｍｎ1/3Ｎｂ2/3）ＺｒＴｉ｝Ｏ3系材料として、Ｐｂ（Ｍｎ1/3Ｎｂ2/3）Ｏ3−ＰｂＴｉＯ3−ＰｂＺｒＯ3にＭｎＯ2，ＣｏＯ，ＮｉＯの少なくとも一つ以上の酸化物を少量添加したものが開示されている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、圧電磁器組成物は、高周波化に対応するため、圧電素子の薄肉化が進んできた。これにより、薄肉化しても加工時に割れ、欠け等が発生しにくい高強度の材料の需要が大きくなっている。
【０００５】
しかしながら、化学式ＡサイトのＰｂ量が化学量論量であるＰｂ｛（Ｍｎ1/3Ｎｂ2/3）ＺｒＴｉ｝Ｏ3系材料は、Ｐｂ＝１．００ｍｏｌであるので、抗折強度が１１０〜１３０ＭＰａと低く、薄肉化するための加工中、もしくは素子に加工する際に衝撃が加わると破壊しやすい。
【０００６】
そこで本発明の目的は、薄肉化しても加工時に割れ、欠け等が発生しにくく、耐衝撃性に優れた圧電磁器組成物及び圧電素子を提供することにある。
【００１０】
【課題を解決するための手段及び作用】
前記目的を達成するため、本発明に係る圧電磁器組成物は、組成式Ｐｂa｛（Ｍｎ1/3Ｎｂ2/3）xＺｒyＴｉz｝Ｏ3＋ｂｗｔ％ＭｎＯ2＋ｃｗｔ％ＳｉＯ2で表され、ａ，ｂ，ｃ，ｘ，ｙ，ｚがそれぞれ、０．９８５≦ａ≦０．９９８，０．１５５≦ｂ≦０．５００，０．０１０≦ｃ≦０．０９０，０．０４５≦ｘ≦０．２００，０．２９０≦ｙ≦０．４２５，０．４７５≦ｚ≦０．５８０，ｘ＋ｙ＋ｚ＝１を満たすことを特徴とする。
【００１１】
以上の構成からなる圧電磁器組成物は、抗折強度が１５０ＭＰａ以上であり、圧電振動子、圧電共振子、圧電フィルタ及び圧電発振子等に必要なＱｍ値を有し、任意の共振周波数の温度係数が得られる。
【００１２】
さらに、本発明に係る圧電素子は、前記圧電磁器組成物からなる素体とその表裏面に設けた電極とを備えたことを特徴とする。
【００１３】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る圧電磁器組成物及び圧電素子の実施の形態について説明する。
【００１４】
本発明に係る圧電磁器組成物は、酸化鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、炭酸マンガン、酸化ニオブ、酸化ケイ素等からなり、ペロブスカイト構造を有する一般化学式ＡＢＯ3で表される複合酸化合物を主成分とする。
【００１５】
酸化鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、炭酸マンガン、酸化ニオブ、酸化ケイ素を、組成式Ｐｂa｛（Ｍｎ1/3Ｎｂ2/3）xＺｒyＴｉz｝Ｏ3＋ｂｗｔ％ＭｎＯ2＋ｃｗｔ％ＳｉＯ2を満たす組成比率で調合した。組成式中のａ，ｂ，ｃ，ｘ，ｙ，ｚは表１に示す値で調合した。
【００１６】
【表１】
この調合粉末を、ボールミルを用いて７〜１１時間湿式混合した後、脱水、乾燥し、９００〜１０００℃で２時間仮焼した。この仮焼粉末に適量のバインダを加えてボールミルを用いて１０〜１５時間、再度湿式粉砕し、脱水してプレス形成用粉末を得た。そして、このプレス形成用粉末を角板状にプレス成形し、１１００〜１２５０℃の温度で４時間大気中にて焼成し、焼結体を得た。
【００１８】
この焼結体を６．７ｍｍ×３０ｍｍ×０．２６０ｍｍの短冊状にカット後、厚みを０．２１０ｍｍに研磨し、抗折強度（ＭＰａ）を測定した。また、電気特性は、焼成により得られた焼結体を研磨し、電極を形成後、油中２．５〜３．５ｋＶ／ｍｍで分極を行ってセラミック体を得た。分極したセラミックを１５０℃で１時間枯化させた後、短冊状にカットし、両面に電極を形成した。これを、６．７ｍｍ×１．６ｍｍ×０．２１０ｍｍの素子に切り出し、厚み滑り振動モードの電気特性Ｑｍ及び−２０〜８０℃の共振周波数の温度変化率（％）ｆｒ−ＴＣを測定した。測定結果を表１に示す。なお、表１中の※印は本発明の範囲外を示す。＊は本発明の範囲内の試料のうち、後出の条件式群（１）の一部を満足しない試料である。
【００１９】
試料番号４，５は、組成式において、化学式ＡサイトＰｂaを構成する元素の総モル量ａが、化学式Ｂサイト（Ｍｎ1/3Ｎｂ2/3）xＺｒyＴｉzを構成する元素の総モル量（表１よりｘ＋ｙ＋ｚ＝）１以上あるので、抗折強度が１５０ＭＰａ未満であり本発明の範囲外であった。
【００２０】
さらに、試料番号６は、組成式において、ＳｉＯ2添加量ｃｗｔ％が０．０１０ｗｔ％未満であるので、抗折強度が１５０ＭＰａ未満となり、圧電磁器組成物としては不適切なものであった。
【００２１】
また、試料番号４，５は、化学式ＡサイトＰｂaを構成する元素の総モル量ａが０．９９８を超えていたので、抗折強度が１５０ＭＰａ未満になり、圧電磁器組成物としては不適切なものであった。
【００２２】
一方、試料番号２，３，７，８，１１，１２，１５，１６，１９，２０，２２，２４，２６は、組成式Ｐｂa｛（Ｍｎ1/3Ｎｂ2/3）xＺｒyＴｉz｝Ｏ3＋ｂｗｔ％ＭｎＯ2＋ｃｗｔ％ＳｉＯ2中のａ，ｂ，ｃ，ｘ，ｙ，ｚがそれぞれ、以下の条件式群（１）を満足している。
【００２３】
０．９８５≦ａ≦０．９９８，０．１５５≦ｂ≦０．５００，０．０１０≦ｃ≦０．０９０，０．０４５≦ｘ≦０．２００，０．２９０≦ｙ≦０．４２５，０．４７５≦ｚ≦０．５８０，ｘ＋ｙ＋ｚ＝１ …（１）
【００２４】
これらの試料番号２，３，７，８，１１，１２，１５，１６，１９，２０，２２，２４，２６は、抗折強度が１５０ＭＰａ以上あり、圧電共振子、圧電振動子、圧電フィルタ、圧電発振子に必要なＱｍ値を有している。
【００２５】
また、試料番号１は、化学式ＡサイトＰｂaを構成する元素の総モル量ａが０．９８５未満であるので、抗折強度が１５０ＭＰａと比較的低かった。
【００２６】
また、試料番号９は、ＳｉＯ2添加量ｃｗｔ％が０．０９０ｗｔ％を越えていたので、焼結温度が高くなり、焼成中にＰｂが蒸発して圧電磁器組成物の組成比率を調節しにくいが、抗折強度やＱｍ値は優れている。
【００２７】
また、試料番号１０，１３は、組成式において、ＭｎＯ2の添加量ｂｗｔ％が０．１５５ｗｔ％未満であったり、０．５００ｗｔ％を超えていたので、Ｑｍ値が低く、圧電共振子として必要な特性が得られなかった。
【００２８】
また、試料番号１８，２７は、（Ｍｎ1/3Ｎｂ2/3）xを構成する元素の総モル量ｘが０．０４５未満であったのでｆｒ−ＴＣの値が大きく、試料番号２１，２３は、（Ｍｎ1/3Ｎｂ2/3）xを構成する元素の総モル量ｘが０．２００を超えていたのでｆｒ−ＴＣの値が小さく、ともに、圧電共振子、圧電振動子、圧電フィルタ、圧電発振子として必要な特性が得られなかった。
【００２９】
また、試料番号２１，２５は、Ｚｒyを構成する元素の総モル量ｙが０．２９０未満であったのでｆｒ−ＴＣの値が小さく、試料番号１４は、Ｚｒyを構成する元素の総モル量ｙが０．４２５を超えていたのでｆｒ−ＴＣの値が大きく、ともに、圧電共振子、圧電振動子、圧電フィルタ、圧電発振子として必要な特性が得られなかった。
【００３０】
また、試料番号１４は、Ｔｉzを構成する元素の総モル量ｚが０．４７５未満であったのでｆｒ−ＴＣの値が大きく、試料番号１７，２５，２７は、Ｔｉzを構成する元素の総モル量ｚが０．５８０を超えていたのでｆｒ−ＴＣの値が小さく、ともに、圧電共振子、圧電振動子、圧電フィルタ、圧電発振子として必要な特性が得られなかった。
【００３１】
以上のことから、化学式ＡサイトＰｂaを構成する元素の総モル量ａが、化学式Ｂサイト（Ｍｎ1/3Ｎｂ2/3）xＺｒyＴｉzを構成する元素の総モル量（表１よりｘ＋ｙ＋ｚ＝）１より小さく、かつ、ＳｉＯ2添加量ｃｗｔ％を、０．０１０ｗｔ％以上０．０９０ｗｔ％以下の範囲とすることにより、抗折強度１５０ＭＰａ以上の圧電磁器組成物が得られる。
【００３２】
また、化学式ＡサイトＰｂaを構成する元素の総モル量ａは、０．９８５以上０．９９８以下であれば、抗折強度１５０ＭＰａ以上の圧電磁器組成物が得られる。
【００３３】
また、ＭｎＯ2の添加量ｂｗｔ％は、０．１５５ｗｔ％以上０．５００ｗｔ％以下であれば、Ｑｍ値が高く、圧電共振子に必要な特性が得られる。
【００３４】
また、（Ｍｎ1/3Ｎｂ2/3）xを構成する元素の総モル量ｘが０．０４５以上０．２００以下であり、かつ、Ｚｒyを構成する元素の総モル量ｙが０．２９０以上０．４２５以下であり、かつ、Ｔｉzを構成する元素の総モル量ｚが０．４７５以上０．５８０以下の範囲であれば、適切なｆｒ−ＴＣの値を有し、圧電共振子、圧電振動子、圧電フィルタ、圧電発振子として必要な特性が得られる。
【００３５】
なお、本発明に係る圧電磁器組成物及び圧電素子は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の構成に変更することができる。
【００３６】
例えば、化学式Ａサイトを僅かなＳｒ，Ｎｄ，Ｌａ，Ｂａで置換してもよい。さらに、不可避不純物として微量のＡｌ，Ｆｅ，Ｃｌ等が混入してもよい。
【００３７】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明よれば、薄肉化しても加工時に割れ、欠け等が発生しにくい圧電磁器組成物を得ることができる。特に、圧電振動子、圧電共振子、圧電フィルタ及び圧電発振子等に必要なＱｍ値を有し、任意の共振周波数の温度係数を得ることができ、圧電素子の原料として最適である。
Claims (2)
- 組成式Ｐｂa｛（Ｍｎ1/3Ｎｂ2/3）xＺｒyＴｉz｝Ｏ3＋ｂｗｔ％ＭｎＯ2＋ｃｗｔ％ＳｉＯ2で表され、ａ，ｂ，ｃ，ｘ，ｙ，ｚがそれぞれ、
０．９８５≦ａ≦０．９９８、
０．１５５≦ｂ≦０．５００、
０．０１０≦ｃ≦０．０９０、
０．０４５≦ｘ≦０．２００、
０．２９０≦ｙ≦０．４２５、
０．４７５≦ｚ≦０．５８０、
ｘ＋ｙ＋ｚ＝１
を満たすことを特徴とする圧電磁器組成物。 - 請求項１記載の圧電磁器組成物からなる素体とその表裏面に設けた電極とを備えたことを特徴とする圧電素子。
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