JP4001550B2 - フッ化ニオブ酸カリウム結晶の製造方法およびフッ化ニオブ酸カリウム結晶 - Google Patents

フッ化ニオブ酸カリウム結晶の製造方法およびフッ化ニオブ酸カリウム結晶 Download PDF

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Description

[発明の背景]
発 明 の 分 野
本発明は、原料コストおよび原料溶解操作の面で有利でありながら、大粒径かつ高品位のフッ化ニオブ酸カリウム結晶を高い収率で製造することができる、フッ化ニオブ酸カリウム結晶の製造方法およびフッ化ニオブ酸カリウム結晶に関するものである。
背 景 技 術
フッ化ニオブ酸カリウムは、ニオブ粉末の製造原料として用いられるものである。このニオブ粉末は、鋼中の炭素を安定化し、粒間腐食を防ぐ効果があるので鉄鋼添加材として使用されており、これが最大の用途である。また、高圧ナトリウムランプのランプ発光部に付随する導電管としてニオブ合金が実用化されており、さらに超伝導材料や超合金の添加元素などにも利用されている。また、ニオブ粉末はコンデンサへの利用が実用化されつつある。
ところで、タンタルおよびニオブを含む溶液からフッ化タンタル酸カリウム結晶(KTaF)およびオキシフッ化ニオブ酸カリウム結晶(KNbOF・HO)を得る方法として、分別晶析法(マリニャーク法)が知られている(ゼリクマン、ア、エヌ他著;「ニオブとタンタル」第61〜64頁;日ソ通信社発行を参照)。この方法によれば、まず、タンタルおよびニオブを含む原料液を、KNbOFが晶析しない濃度まで希釈した後、塩化カリウム等を添加してKTaFを晶析して濾過する。そして、濾過により得られた残液を濃縮してKNbOF・HOを粗結晶として晶析させる。次に、この粗結晶を1〜2重量%フッ酸溶液に溶解させて再結晶させて、オキシフッ化ニオブ酸カリウム結晶(KNbOF・HO)を得る。しかしながら、タンタルおよびニオブを含む原料液からすべてのタンタルをKTaF結晶として除去することは困難なため、KNbOF・HO粗結晶中にはタンタルが混入しており、再結晶してもタンタルを低減することは困難である。ただし、タンタル混入の問題はタンタルを含まず、ニオブを含む原料液を使用すれば解決する。
しかしながら、この再結晶において、1〜2重量%という低いフッ酸濃度では、フッ化ニオブ酸カリウムよりも、オキシフッ化ニオブ酸カリウム(KNbOF・HO)が晶出されてしまう。これは、タンタルの場合には起こり得ない問題であり、ニオブ特有の問題である。このため、この結晶をフッ化ニオブ酸カリウム結晶として得るために、12〜15重量%という高濃度のフッ酸溶液を介する再結晶をさらに行う必要がある(ゼリクマン、ア、エヌ他著;「ニオブとタンタル」第107頁;日ソ通信社発行を参照)。これは、オキシフッ化ニオブ酸カリウムは酸素を多量に含んでおり、ニオブ粉末の製造原料として不適なためである。
上記文献「ニオブとタンタル」には、また、7重量%以上の高濃度のフッ酸であればフッ化ニオブ酸カリウム(KNbF)の方がオキシフッ化ニオブ酸カリウム(KNbOF・HO)よりも安定であることが記載されている。そして、この点に着目して、再結晶をしないで、高いフッ酸濃度のニオブ液にカリウム系電解質を添加して、1回でフッ化ニオブ酸カリウム結晶を得ることも考えられる。
しかしながら、本発明者らの知見によれば、この方法に基づいたとしても、少なくともフッ酸濃度30%までは、結晶中にX線回折により例えばKNb11Oと同定される、別の種類のオキシフッ化ニオブ酸カリウムが存在してしまうことが今般判明した。このため、この方法によっても、十分に高品位のフッ化ニオブ酸カリウムを得るのは困難である。
このように、ニオブ液からの合成により得られる結晶は、使用するフッ酸濃度の高低に係わらず、フッ化ニオブ酸カリウム(すなわちKNbF)以外にも、1種またはそれ以上の種類のオキシフッ化ニオブ酸カリウム(すなわちKNb11O、KNbF、KNbOFおよび/またはKNbOF・HO等)を少量ないし多量に含有しがちであり、オキシフッ化ニオブ酸カリウム結晶のみが析出してしまうことも多い。
[発明の概要]
本発明者らは、今般、オキシフッ化ニオブ酸カリウムを含有しうる粗結晶を析出させる第一工程と、少なくとも12重量%のフッ酸溶液を用いて再結晶を行う第二工程とを組み合わせて行うことにより、溶媒抽出により得られた安価なニオブ液を原料として用いることができ、かつ副生物のない高品位なフッ化ニオブ酸カリウム結晶を製造できることを知見した。すなわち、原料コストおよび原料溶解操作の面で有利でありながら、高い収率でフッ化ニオブ酸カリウム結晶を製造できることを知見した。しかも、再結晶の際の温度および降温速度を制御することにより、結晶析出量が多く、かつ、結晶の粒径も十分大きいフッ化ニオブ酸カリウム結晶が得られるとの知見も得た。
したがって、本発明は、原料コストおよび原料溶解操作の面で有利でありながら、大粒径かつ高品位のフッ化ニオブ酸カリウム結晶を高い収率で製造することができる、フッ化タンタル酸カリウムの製造方法、およびフッ化タンタル酸カリウム結晶を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、(a)ニオブを含有する原料液にカリウム系電解質を添加して、粗オキシフッ化ニオブ酸カリウム結晶および/または粗フッ化ニオブ酸カリウム結晶を析出させて、該粗結晶を濾別する第一工程と、
(b)フッ酸を12〜35重量%含有する水溶液からなる再結晶溶媒を50℃以上に昇温した後、前記粗結晶を該再結晶溶媒に溶解し、20℃/h未満の降温速度で40℃以下に降温することにより、フッ化ニオブ酸カリウム結晶を析出させる第二工程とを含んでなる、フッ化ニオブ酸カリウム結晶の製造方法を提供する。
また、本発明は、フッ化ニオブ酸カリウムから実質的になる結晶であって、
篩分析により測定された、粒径0.5mm以上の結晶の含有率が30重量%以上であることを特徴とする、フッ化ニオブ酸カリウム結晶を提供する。
[発明の具体的説明]
以下、本発明のフッ化ニオブ酸カリウム結晶の製造方法およびフッ化ニオブ酸カリウム結晶について具体的に説明する。
フッ化ニオブ酸カリウム結晶の製造方法
図1に、本発明のフッ化ニオブ酸カリウム結晶の製造工程を示す。図1に示されるように、本発明においては、ニオブを含有する原料液に、(a)粗オキシフッ化ニオブ酸カリウム結晶および/または粗フッ化ニオブ酸カリウム結晶の合成を行う第一工程と、(b)再結晶を行う第二工程とを施すことにより、フッ化ニオブ酸カリウム結晶が製造される。
原料液
本発明の製造方法においては、原料液として、ニオブを含有する液を用いる。ニオブ液としては、公知の種々の方法により製造されたものを用いればよく、溶媒も特に限定されない。例えば、広く工業的に行われているタンタル/ニオブの溶媒抽出工程で得られる、精製されたニオブ水溶液を用いることができる。また、不純物の少ないニオブ含有スクラップ等をフッ酸にて溶解後、濾過した溶媒抽出を経ていない水溶液を用いることもできる。
原料液中のニオブの濃度は、特に限定されないが、60〜400g/Lとするのが好ましく、より好ましくは100〜300g/Lである。この範囲内であると、単位操作当たりの結晶析出量を多くして収率を高めることができるとともに、結晶析出後の攪拌および濾過がしやすいという利点がある。また、ニオブ液中のニオブの純度は99%以上(例えば99.9〜99.99%程度)であれば十分であり、それより高い純度とする必要はないが、高純度のニオブ原料を用いてもよいのは勿論である。ただし、不純物のうちタンタルについては本発明の製造方法によっても低減できないため、特に高純度のフッ化ニオブ酸カリウム結晶を製造する場合には、溶媒抽出等によりタンタルを十分低減したニオブ液を含む原料液を使用するのが望ましい。
本発明の好ましい態様によれば、このニオブ液が水および/またはフッ酸を含んでなる。すなわち、ニオブ濃度が高すぎる場合には水を添加して希釈することができ、また、フッ化ニオブ酸カリウム結晶を合成するためのフッ素供給源としてフッ酸を添加することができる。なお、フッ酸の代わりに、後述するカリウム系電解質としてのフッ化カリウムをフッ素供給源とすることもでき、その場合にはフッ酸を必ずしも含有させる必要はない。
原料液中にフッ酸を含有させる場合においては、原料液中におけるフッ酸濃度としては、35重量%以下とするのが好ましく、より好ましくは30重量%以下、さらに好ましくは25重量%以下である。この範囲であると、原料液中のニオブ濃度およびカリウム系電解質の添加量が適切であれば、十分高い収率が得られるとともに、製造装置が浸食されにくく、原料液の取り扱いも容易になり設備面および作業面での負担も軽減される。なお、フッ酸含有原料液中においてニオブは、HNbOFおよび/またはHNbFの形態で存在するものと考えられる。
(a)第一工程(粗結晶生成工程)
本発明の第一工程においては、上記原料液に、所定のカリウム系電解質を添加して、粗オキシフッ化ニオブ酸カリウム結晶および/または粗フッ化ニオブ酸カリウム結晶を析出させる。すなわち、前述したように、ニオブは、類似した性質を有するタンタルと比べ、フッ化物塩(すなわちKNbF)よりもオキシフッ化物塩(例えばKNb11O)を生成する傾向が強いが、本発明の第一工程においては、このオキシフッ化物塩を生成する場合であっても構わない。
本発明に用いるカリウム系電解質としては、カリウムイオンを供給することができる電解質であれば特に限定されない。カリウム系電解質の好ましい例としては、塩化カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、フッ化カリウム、およびこれらの組合せが挙げられる。これらの中でも、塩化カリウムが取り扱いが容易で低価格である点で好ましい。また、フッ化カリウムを使用すれば、フッ酸の添加量を最小限にし、あるいはフッ酸を添加することなく、フッ化ニオブ酸カリウム結晶を合成することができるので、設備面および作業面での負担が軽減されるという利点がある。
なお、塩化カリウムを添加した場合には、以下の反応が起こり、粗オキシフッ化ニオブ酸カリウムKNb11Oが主として生成するものと考えられるが、これに限定されない。
2HNbFO+HF+3KCl→KNb11O+3HCl
および/または
NbF+2KCl→KNbF+2HCl
本発明において、カリウム系電解質は、固形状のまま添加してもよいし、溶液の形で添加してもよいが、固形状のまま添加するのが液量、ひいては排水を少なくすることができる点で好ましい。添加するカリウム系電解質の量は、カリウムのニオブに対するモル比で2〜10であるのが好ましく、より好ましくは2〜7である。カリウム系電解質の量が少なすぎると、フッ化ニオブ酸カリウムの結晶化率が低下してしまい、収率が低下してしまうことから好ましくない。また、カリウム系電解質の量が多すぎると、結晶の生成に寄与しない過剰のカリウム系電解質が多くなり、コスト的にも不利になるため好ましくない。
本発明の好ましい態様によれば、カリウム系電解質を添加する際の原料液の温度が30〜70℃であり、粗結晶を濾別する際の原料液の温度が30℃未満であるのが好ましい。これにより、電解質添加時と濾過時との溶解度の差を大きくして、粗結晶をより一層多く析出させることができる。なお、カリウム系電解質を添加する際の原料液の温度を30〜70℃としたのは、30℃未満では濾別温度との差が小さいため結晶が成長せず、粒子が細かく、濾過に時間がかかるという点、および70℃を越えたのでは加熱するコストが増大するとともに、結晶が大きくなりすぎて、第二工程において再結晶溶媒に溶解するのに時間がかかるという点を考慮したためである。一方、結晶を濾別する際の原料液の温度を30℃未満としたのは、この温度であると濾液中に残留するニオブ濃度を低くして、ニオブの損失をほとんど無くすことができる点を考慮したためである。しかしながら、カリウム系電解質を添加する際の原料液の温度が30℃未満になり若干濾過に時間がかかったり、粗結晶濾別時の原料液の温度が30℃より高くなり、若干ニオブ収率が低下する場合もあるが、いずれも常温にて実施すれば加熱設備および冷却設備が不要になるため、常温で実施してもよい。
本発明の第一工程においては、得られた結晶含有液を濾過して、粗結晶を濾別する。こうして得られた粗結晶は、上述したように、フッ化ニオブ酸カリウム以外にもオキシフッ化ニオブ酸カリウムを少量ないし多量に含有する結晶であるか、または、オキシフッ化ニオブ酸カリウムのみから実質的になる結晶である。
本発明の好ましい態様によれば、このような粗結晶(すなわち、粗オキシフッ化ニオブ酸カリウム結晶、または粗オキシフッ化ニオブ酸カリウム結晶および粗フッ化ニオブ酸カリウム結晶の混合物)におけるK/Nbのモル比が1.0〜5.0である。これにより、Kの不足による再結晶時析出量が少なくなるのを防止するとともに、Kの過剰により再結晶時溶解度が低下して、結晶析出量が少なくなるのを防止して、充分な結晶析出量を得ることができる。
本発明の製造方法においては、得られた粗結晶を次の(b)第二工程に付することにより、再結晶操作を行う。
(b)第二工程(再結晶生成工程)
本発明の第二工程においては、フッ酸を12〜35重量%含有する水溶液からなる再結晶溶媒を50℃以上に昇温した後、前記粗結晶を該再結晶溶媒に溶解し、20℃/h未満の降温速度で40℃以下に降温することにより、フッ化ニオブ酸カリウム結晶を析出させる。
本発明に用いる再結晶溶媒は、フッ酸を含有する水溶液である。再結晶溶媒中のフッ酸濃度は、12〜35重量%であり、より好ましくは16〜30重量%である。この範囲内であると、オキシフッ化ニオブ酸カリウムを含有しないフッ化ニオブ酸カリウム結晶が得られやすいとともに、製造装置が浸食されにくく、原料液の取り扱いも容易になり設備面および作業面での負担も軽減される。
また、本発明に用いる再結晶溶媒は、フッ酸の他に、さらに塩酸を含有するものであってもよい。再結晶溶媒がフッ酸のみならず塩酸をも含有すると、全温度範囲でフッ化ニオブ酸カリウムの溶解度が大きくなるが、比較的高温である粗結晶を溶解する温度においてその程度が大きく、比較的低温である降温終了温度においては少ししか変わらないため、再結晶溶媒が塩酸を含まない場合に比べてフッ化ニオブ酸カリウム結晶の析出量を増加させることができる。再結晶溶媒中の塩酸濃度としては、フッ化ニオブ酸カリウムの溶解度およびコストの点から1〜10重量%であるのが好ましく、より好ましくは2〜6重量%である。
本発明の第二工程においては、この再結晶溶媒を、50℃以上、好ましくは50〜70℃、より好ましくは60〜70℃、に昇温した後、(a)第一工程で得られた粗結晶を溶解させる。昇温温度が50℃未満では、降温工程において析出する結晶量が少なくなり、収率が低下するので好ましくない。また、温度が高すぎると、設備面での負担および操業コストをかさむため好ましくない。なお、粗結晶の溶解は、昇温した温度を維持しながら行うのが好ましいが、これに限定されず、例えば、昇温を溶解時の目標温度よりも若干高くして、溶解時は自然放冷して、溶解終了時に目標温度を保つようにする構成としてもよい。
また、粗結晶の溶解量は、特に限定されないが、溶解後の濃度が、溶解液の温度、再結晶溶媒のフッ酸濃度および(存在する場合には)塩酸濃度によって定まるフッ化ニオブ酸カリウムの溶解度よりわずかに低くなるようにするのが好ましい。溶解量が多すぎると不溶解分が多く残り、微小結晶の析出や、不純な粗フッ化ニオブ酸カリウム結晶が混入する原因となる。一方、溶解量が少ないと結晶析出量が少なくなる。
本発明の第二工程においては、粗フッ化ニオブ酸カリウム結晶が溶解された得られた溶液を降温して、フッ化ニオブ酸カリウム結晶を析出させる。この際の降温温度としては、40℃以下、好ましくは30℃以下、とする。降温温度が40℃を超えると、十分な量の結晶が析出せず、収率が低下することから好ましくない。
ここで、上記降温工程は、20℃/h未満の降温速度で行うことが必要であり、好ましくは10℃/h未満、さらに好ましくは6℃/h未満である。このような範囲内であると、フッ化ニオブ酸カリウム結晶の粒径を十分に大きくすることができる。これは、結晶成長速度が微粒結晶の発生速度よりも大きいためであると考えられる。ただし、上記降温速度は、降温の開始から終了までほぼ一定速度である必要はなく、上記降温速度の範囲内であれば降温速度が途中で変化してもよい。
本発明の好ましい態様によれば、粗フッ化ニオブ酸カリウムが溶解された再結晶溶媒中に残存する微粒子を、降温に先立って除去する工程をさらに有してなることができる。これにより、微粒子に起因する微小結晶の析出を防止して、結晶をより一層大きくすることができる。微粒子を除去する方法としては、特に限定されず、公知の種々の方法を採用すればよいが、例えば、メッシュフィルターにより除去する構成とするのが、簡便に行える点から好ましい。ただし、微粒子を除去する工程では溶解液の温度が低下して、溶解度に余裕がない場合結晶が析出してしまうことがあるため、粗フッ化ニオブ酸カリウムの溶解量を微粒子を除去する工程がない場合に比べて若干減らすか、あるいは溶解温度を若干上げることが望ましい。
このようにして、結晶が析出した液は、濾過されることによって、結晶と濾液とに分離される。こうして得られた結晶が、本発明の目的とするフッ化ニオブ酸カリウム結晶である。
(c)任意工程
本発明の好ましい態様によれば、上記(b)工程において析出させたフッ化ニオブ酸カリウム結晶を、カリウム系電解質の水溶液にて洗浄し、その後乾燥する。これにより、フッ化ニオブ酸カリウム結晶に付着した不純物を除去して、より高品位のフッ化ニオブ酸カリウム結晶を得ることができる。ここで、洗浄液としては、水ではなくカリウム系電解質の水溶液を用いる。洗浄液として水を用いないのは、水で洗浄するとフッ化ニオブ酸カリウム結晶の表面が水に溶解して、その部分にオキシフッ化ニオブ酸カリウム結晶が析出するおそれがあるからである。これに対し、カリウム系電解質の水溶液で洗浄すると、このような問題がなく、オキシフッ化ニオブ酸カリウムを実質的に含まない高品位のフッ化ニオブ酸カリウム結晶を得ることができる。なお、フッ化タンタル酸カリウム結晶の場合には、水で洗浄しても、オキシフッ化タンタル酸カリウム結晶の析出は起こらないことから、上記問題はフッ化ニオブ酸カリウム結晶に特有の問題であると言える。
上記洗浄液に用いるカリウム系電解質としては、カリウムイオンを供給するが、フッ化ニオブ酸カリウムに対して反応性を有しないものであれば特に限定されず、塩化カリウムやフッ化カリウム等が好ましく例示される。また、洗浄液中におけるカリウム系電解質の濃度は、特に限定されないが、50g/L以上であるのが好ましく、より好ましくは75g/L以上、さらに好ましくは100g/L以上である。
本発明の好ましい態様によれば、上記(b)工程により得られたフッ化ニオブ酸カリウム結晶を、目開き3.35〜6.7mmの篩を通過させる工程をさらに行ってもよい。これにより、大きすぎる粒径のフッ化ニオブ酸カリウム結晶を実質的に無くして、適度に大きい粒径を有するフッ化ニオブ酸カリウム結晶からなる、均質な製品を得ることができる。篩上については、軽く粉砕し再度篩を通過させれば損失を防ぐことができる。
本発明の好ましい態様によれば、(b)工程において、フッ化ニオブ酸カリウム結晶が析出した溶液の上澄み液および/またはフッ化ニオブ酸カリウム結晶が析出した溶液から前記結晶を濾別して得られた溶液を、再結晶溶媒の一部または全部として循環させる工程をさらに行うことができる。また、本発明の別の好ましい態様によれば、(b)工程の濾過によって得られた濾液を原料液の一部または全部として循環させる工程をさらに有する構成としてもよい。これらの態様によれば、貴重なニオブ資源を全く損失させることなく有効活用することができる。さらに、濾液がフッ酸を含むため、濾液を循環しない場合に比べて、フッ酸添加量を大幅に低減することができる。
フッ化ニオブ酸カリウム結晶
このような本発明の製造方法により得られるフッ化ニオブ酸カリウム結晶は、フッ化ニオブ酸カリウムから実質的になる結晶であり、篩分析により測定された、粒径0.5mm以上の結晶の含有率が30重量%以上、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、最も好ましくは80重量%以上、と大粒径のものである。このように粒径が大きいと、フッ化ニオブ酸カリウム結晶粉末をナトリウム還元装置内の加熱炉に入れた際に、溶解炉中で吹き上がって装置内を汚染したり、損失したりするのを防止することができ、取り扱い性が大幅に向上するという利点がある。また、フッ化ニオブ酸カリウム結晶の純度はその結晶の大きさに支配され、一般に結晶の大きなものが純度が高いとされている点も、粒径が大きいことによる利点であると考えられる。
本発明の好ましい態様によれば、フッ化ニオブ酸カリウム結晶は、篩分析により測定された、粒径0.045mm未満の結晶の含有率が10重量%以下であるのが好ましく、より好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは3重量%以下、最も好ましくは1重量%以下である。これにより、還元炉への定量供給がしやすくなるとともに、粉塵が発生しにくくなるという利点がある。
本発明の好ましい態様によれば、フッ化ニオブ酸カリウム結晶は、篩分析により測定された、粒径4mm以上の結晶の含有率が1重量%以下であるのが好ましく、より好ましくは0.5重量%以下、さらに好ましくは0.1重量%以下、最も好ましくは実質的に0である。これにより、還元炉への定量供給がしやすくなるとともに、結晶粒子の中心部まで十分に還元させやすいという利点がある。
[実 施 例]
以下の実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1:粗結晶の合成(第一工程)
原料液の組成および合成条件を適宜変化させながら、粗オキシフッ化ニオブ酸カリウム結晶および/または粗フッ化ニオブ酸カリウム結晶の析出を、合成例1〜25として行った。表1に、各合成例1〜25における、原料液の組成および合成条件を示す。
各合成例1〜25において、原料液としてニオブ液(ICP発光分光法により測定したニオブ濃度;295g/L、溶媒;非常に希薄なフッ酸水溶液)、55重量%のフッ酸、および純水を表1に示される量混合して、原料液1000mLを得た。こうして得られた原料液を、表1に示される条件に従い、室温(23〜27℃であり、表中RTと略す)にて、あるいは60℃に昇温させて、沈殿剤として塩化カリウムを添加して反応させた。その後、60℃に昇温させた場合には室温にまで放冷し、そうではない場合には室温のまま、沈殿を十分に析出させた。得られた沈殿含有液を濾過して、粗結晶を得た。
こうして得られた粗結晶をPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製の容器に入れて、定温乾燥機にて120℃で約15時間乾燥を行い、X線回折計によりX線回折パターンを測定し、得られた粗結晶の組成の同定を行った。さらに、残液中のニオブ含有量をIPC発光分光法により測定し、原料液中のニオブ含有量を基準として、下記式に従い収率を算出した。
収率(%)=100−[(残液中のニオブ量)/(原料液中のニオブ量)]×100
これらの結果を表1に示す。
Figure 0004001550
[ここで、X線回折パターンの評価基準は次の通りである;
◎:主ピークが認められる、○:ピークが明白に認められる、△:ピークがわずかに認められる、×:ピークが認められない、?:KNb11O以外のオキシフッ化ニオブ酸カリウムらしきピークが認められる。]
表1から次のようなことが分かる。合成例1〜25の結果から、第一工程により得られた粗結晶は、原料液の組成および合成条件によって、オキシフッ化ニオブ酸カリウムおよびフッ化ニオブ酸カリウムのいずれか一方であったり、あるいはこれらの両方を含んでいることができる。また、合成例1〜15と、合成例16〜25との比較から、本発明の第一工程を、好適条件の範囲内(すなわち、原料液のニオブ濃度;60〜200g/L、フッ酸濃度;10〜35重量%、カリウム系電解質の添加量;カリウムのニオブに対するモル比で2〜10)で行うことにより、90%以上、より具体的には94%以上という高い収率で粗結晶を得ることができる。また、合成例25から、フッ酸濃度が低くても、K/Nbモル比(表1では、粗結晶におけるモル比ではなく、カリウム系電解質のKと原料液のNbのモル比を意味する)が高くなるようにすれば、高い収率で粗結晶が得られることが分かる。ただし、上記好適条件の範囲外であっても、好適条件の範囲内の収率よりも合成例25を除いて低いとは言え、50%以上の収率が実現されており、本発明の範囲に包含されることは言うまでもない。
実施例2:再結晶によるフッ化ニオブ酸カリウム結晶の合成I(第二工程)
再結晶溶媒中のフッ酸濃度、および粗結晶の溶解量を適宜変化させながら、フッ化ニオブ酸カリウム結晶の析出を、再結晶例1〜7として行った。表2に、各再結晶例1〜7における、再結晶溶媒中のフッ酸濃度、および粗結晶の溶解量を示す。
再結晶に用いる粗結晶として、全体の操業スケールを大きくしたこと以外は実施例1の合成例2と同様の条件で合成された粗結晶を用意した。次に、各再結晶例1〜7について、55重量%のフッ酸、および純水を、表2に示される量混合して、再結晶溶媒を得た。この再結晶溶媒を60℃に昇温させ、この温度を保持しながら、上記粗結晶(合成品)を表2に示される量溶解させた。この溶解液を5℃/hの降温速度で室温まで降温させて、フッ化ニオブ酸カリウム結晶を析出させた。この結晶含有液を濾過して、結晶を濾別し、さらに100g/Lの塩化カリウム水溶液により洗浄し、本発明の目的とするフッ化ニオブ酸カリウム結晶を得た。得られた結晶の湿量基準の重量を測定した後、この結晶をPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製の容器に入れ定温乾燥器にて120℃で約15時間乾燥させて、乾量基準の重量を測定した。さらに、得られた結晶について、X線回折計によりX線回折パターンを測定し、得られた結晶の組成の同定を行った。これらの結果を表2に示す。
Figure 0004001550
[ここで、X線回折パターンの評価基準は次の通りである;
◎:主ピークが認められる、○:ピークが明白に認められる、△:ピークがわずかに認められる、×:ピークが認められない。]
表2から分かるように、フッ酸濃度が好適範囲としての16重量%以上である再結晶例1〜4においては、得られる再結晶が本発明の目的とするフッ化ニオブ酸カリウム結晶であったのに対し、フッ酸濃度が好適範囲外としての16重量%未満である再結晶例5〜7の場合においては、得られる再結晶がオキシフッ化ニオブ酸カリウム結晶を主成分として含有するものであった。
また、全体の操業スケールを大きくしたことこと以外は実施例1における合成例7、8、11、15、16、19および23と同様の条件で合成された各粗結晶を使用して、上記再結晶例2と同様の条件で再結晶させた結晶についても、X線回折パターンを測定した。その結果、これらの結晶の組成はいずれもKNbF、すなわちフッ化ニオブ酸カリウムであると同定された。
実施例3:再結晶によるフッ化ニオブ酸カリウム結晶の合成II(第二工程)
実施例2で用いたものとは異なるタイプの粗結晶として、X線回折パターンでKNb11OおよびKNbFのいずれの主ピークも認められないが、KNb11O以外のオキシフッ化ニオブ酸カリウムらしきピークが認められるものについても、実施例2と同様にして、再結晶を行った。すなわち、上記粗結晶を用いて、再結晶溶媒中のフッ酸濃度を適宜変化させながら、フッ化ニオブ酸カリウム結晶の析出を、再結晶例8〜14として行った。表3に、各再結晶例8〜14における、再結晶溶媒中のフッ酸濃度を示す。
再結晶に用いる粗結晶として、全体の操業スケールを大きくしたこと以外は実施例1の合成例25と同様の条件で合成された粗結晶を用意した。この粗結晶のX線回折パターン結果は、表1から分かるように、KNb11OおよびKNbFのいずれの主ピークも認められないが、KNb11O以外のオキシフッ化ニオブ酸カリウムらしきピークが認められるものである(ここで、X線回折分析のためのICDDカードにはKNbOFおよびKNbOF・HOのいずれの組成も存在しないため、この「オキシフッ化ニオブ酸カリウムらしきピーク」がこれらの組成であると同定するのは困難である点に留意されたい)。そして、この粗結晶を用いること以外は、実施例2と同様にして、再結晶を行った。得られた結晶について、X線回折計によりX線回折パターンを測定し、得られた結晶の組成の同定を行った。これらの結果を表3に示す。
Figure 0004001550
[ここで、X線回折パターンの評価基準は次の通りである;
◎:主ピークが認められる、○:ピークが明白に認められる、△:ピークがわずかに認められる、×:ピークが認められない。]
表3から分かるように、フッ酸濃度が12重量%以上である再結晶例8〜13においては、得られる再結晶が本発明の目的とするフッ化ニオブ酸カリウム結晶であったのに対し、フッ酸濃度が12重量%未満である再結晶例14の場合においては、得られる再結晶がオキシフッ化ニオブ酸カリウム結晶を主成分として含有するものであった。
さらに、実施例1〜3の結果から、次のようなことが分かる。すなわち、再結晶に用いる粗結晶としては、KNb11Oの組成を含むオキシフッ化ニオブ酸カリウム結晶(実施例2で使用した粗結晶;合成例2)の方が、該組成を含まないオキシフッ化ニオブ酸カリウム結晶(実施例3で使用した粗結晶;合成例25)よりも第一工程における好適条件範囲が広いと考えられる。しかしながら、実施例3の結果から分かるように、KNb11Oの組成を含まないオキシフッ化ニオブ酸カリウムであっても、本発明の目的とする高品位なフッ化ニオブ酸カリウム結晶(KNbF)を十分に得ることができる。しかも、この場合は、再結晶溶媒フッ酸濃度12重量%という低濃度においてもフッ化ニオブ酸カリウム結晶を得ることができる。
実施例4:第二工程における洗浄工程の影響
第二工程において、濾別により得られたフッ化ニオブ酸カリウム結晶の洗浄条件を適宜変化させて行い、洗浄工程が結晶の組成に及ぼす影響を調べた。表4に、使用した洗浄剤の組成を示す。また、洗浄を行わない場合についても同様にして調べた。
まず、4倍量の再結晶溶媒および粗結晶を用い、乾燥を行わなかったこと以外は実施例2の再結晶例2と同様の条件でフッ化ニオブ酸カリウム結晶を作製した。次に、得られた結晶(湿潤状態)200gを表3に示される各洗浄剤100mLにより洗浄した後、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製の容器に入れ定温乾燥器にて120℃で約15時間乾燥させた。得られた結晶について、X線回折計によりX線回折パターンを測定し、得られた結晶の組成の同定を行った。これらの結果を表4に示す。
Figure 0004001550
[ここで、X線回折パターンの評価基準は次の通りである;
◎:主ピークが認められる、○:ピークが明白に認められる、△:ピークがわずかに認められる、×:ピークが認められない。]
表4から分かるように、純水で洗浄を行った場合にはオキシフッ化ニオブ酸カリウムが副生してしまうが、塩化カリウム水溶液(好ましくは50g/L以上の濃度のもの)で洗浄を行った場合には、オキシフッ化ニオブ酸カリウムを副生させることなく、フッ化ニオブ酸カリウムのみを得ることができる。
また、洗浄を行わない場合には、オキシフッ化ニオブ酸カリウムが副生しないが、この場合には、乾燥時にフッ化水素蒸気が発生して乾燥器を傷めるおそれがあるので好ましくない。
したがって、濾別されたフッ化ニオブ酸カリウム結晶を、KCl水溶液(好ましくは50g/L以上の濃度のもの)で洗浄するのが好ましいことが分かる。
実施例5:第二工程における降温速度の影響
第二工程において、結晶析出時の降温速度を適宜変化させて行い、降温速度が結晶の粒径に及ぼす影響を調べた。表5に各降温速度を示す。
具体的には、結晶析出時の降温速度を表5に示される速度としたこと以外は実施例2の再結晶例2と同様の条件で、フッ化ニオブ酸カリウム結晶を作製した。次に、各降温速度で得られた結晶について、篩分析によって粒度分布を調べた。まず、得られたフッ化ニオブ酸カリウム結晶を目開き4.00mmの篩にかけ、篩上に残留した結晶の重量を測定した。次いで、篩目を通過した結晶を目開き1.70mmの篩にかけ、篩上に残留した結晶の重量を測定した。以下同様にして、目開き0.35mmの篩、および目開き0.045mmの篩についても、順次篩操作を行った。各篩により振り分けられた結晶の重量をそれぞれ測定し、0.045mm未満、0.045〜0.35mm、0.35〜0.50mm、0.50〜1.70mm、1.70〜4.00mm、および4.00以上、の5種類の粒度範囲における分布を重量%で算出した。結果を表5に示す。
Figure 0004001550
表5から次のようなことが分かる。すなわち、降温速度が20℃/h未満である場合(具体的には5℃/hおよび15℃/h)には、粒径0.50mm以上の結晶の含有量が50%以上(15℃/hの場合には80%以上)であり、これは大粒径の結晶が多く得られたことを意味する。これに対し、降温速度が20℃/h以上である場合(具体的には30℃/時間)には、粒径0.50mm以上の結晶の含有率が10重量%台であり、これは大粒径の結晶が多く得られなかったことを意味する。
実施例6:組成分析
上記実施例1〜5において得られた粗結晶および再結晶(フッ化ニオブ酸カリウム結晶)の一部について、主成分の組成を分析した。具体的には、KおよびNbについては、結晶をフッ酸および王水で溶解させた後、ICP発光分光分析法により、Fについては、アルカリ溶融したものを温湯で抽出後、フッ素イオン電極法により、それぞれ測定した。これらの結果を表6に示す。
Figure 0004001550
表6から次のようなことが分かる。合成例2により得られた粗結晶は、オキシフッ化ニオブ酸カリウムの組成が大きく反映されていることが分かる。再結晶例2および3により得られた結晶は、フッ化ニオブ酸カリウムの組成とほぼ一致することが分かる。再結晶例6および7により得られた結晶は、オキシフッ化ニオブ酸カリウムの組成が大きく反映されていることが分かる。このように、これらの分析結果は、上記各実施例におけるX線回折パターンにより同定された結晶の組成を支持するものであることが分かる。
実施例7:再結晶溶媒が塩酸をさらに含有する場合における、再結晶によるフッ化ニオブ酸カリウム結晶の合成III(第二工程)
再結晶溶媒中のフッ酸濃度および塩酸濃度、および粗結晶の溶解量を適宜変化させながら、フッ化ニオブ酸カリウム結晶の析出を、再結晶例15〜20として行った。表7に、各再結晶例15〜20における、再結晶溶媒中のフッ酸濃度および塩酸濃度、ならびに粗結晶の溶解量を示す。
再結晶に用いる粗結晶として、全体の操業スケールを大きくしたこと以外は実施例1の合成例2と同様の条件で合成された粗結晶を用意した。次に、各再結晶例15〜20について、フッ酸、塩酸、および純水を所定量混合して、表7に示される濃度の再結晶溶媒を得た。この再結晶溶媒を60℃に昇温させ、この温度を保持しながら、上記粗結晶(合成品)を表7に示される量溶解させた。この溶解液を5℃/hの降温速度で室温まで降温させて、フッ化ニオブ酸カリウム結晶を析出させた。この結晶含有液を濾過して、結晶を濾別し、さらに100g/Lの塩化カリウム水溶液により洗浄し、本発明の目的とするフッ化ニオブ酸カリウム結晶を得た。得られた結晶の湿量基準の重量を測定した後、この結晶をPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製の容器に入れ定温乾燥器にて120℃で約15時間乾燥させて、乾量基準の重量を測定した。さらに、得られた結晶について、X線回折計によりX線回折パターンを測定し、得られた結晶の組成の同定を行った。これらの結果を表7に示す。
Figure 0004001550
[ここで、X線回折パターンの評価基準は次の通りである;
◎:主ピークが認められる、○:ピークが明白に認められる、△:ピークがわずかに認められる、×:ピークが認められない。]
表7から分かるように、本実施例7で使用した再結晶溶媒は、前述の実施例2の再結晶例1〜4で使用した再結晶溶媒と同様のフッ酸濃度を有し、なおかつ塩酸をさらに含有するものである。具体的には、再結晶溶媒の配合および使用量は、塩酸を含有することを除けば、本実施例7の再結晶例15〜17が実施例2の再結晶例1と一致し、再結晶例18が再結晶例2と一致し、再結晶例19が再結晶例3と一致し、再結晶例20が再結晶例4と一致する。このように本実施例7および実施例2の結果を対応する各再結晶例ごとに比較することにより、以下のことが分かる。すなわち、再結晶溶媒にフッ酸のみならず塩酸を含有させることにより、60℃における溶解度が大きくなり、粗結晶(合成品)をより多く溶解させることができた。事実、前述の実施例2の再結晶例1〜4では、本実施例7と同量の粗結晶を溶解させることはできなかった。そして、このように多くの粗結晶を再結晶溶媒に溶解させた結果、再結晶品産出量を大幅に増加させることができた。しかも、得られた再結晶品は、オキシフッ化ニオブ酸カリウム結晶を含有しない、高品位のフッ化ニオブ酸カリウム結晶であると確認された。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の製造方法における、フッ化ニオブ酸カリウムの製造工程の一例を示す図である。

Claims (13)

  1. (a)ニオブを含有する原料液に塩化カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、およびフッ化カリウムからなる群から選択される少なくとも1種のカリウム系電解質を添加して、粗オキシフッ化ニオブ酸カリウム結晶および/または粗フッ化ニオブ酸カリウム結晶を析出させて、該粗結晶を濾別する第一工程と、
    (b)フッ酸を12〜35重量%含有する水溶液からなる再結晶溶媒を50℃以上に昇温した後、前記粗結晶を該再結晶溶媒に溶解し、20℃/h未満の降温速度で40℃以下に降温することにより、フッ化ニオブ酸カリウム結晶を析出させる第二工程とを含んでなる、フッ化ニオブ酸カリウム結晶の製造方法。
  2. 前記再結晶溶媒が、さらに塩酸を1〜10重量%含有する、請求項1に記載のフッ化ニオブ酸カリウム結晶の製造方法。
  3. 前記粗オキシフッ化ニオブ酸カリウム結晶が、X線回折によって化学式K3Nb211Oと同定される物質を含んでなる、請求項1または2に記載のフッ化ニオブ酸カリウム結晶の製造方法。
  4. 前記粗結晶におけるK/Nbのモル比が1.0〜5.0である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフッ化ニオブ酸カリウム結晶の製造方法。
  5. 前記ニオブを含有する原料液が、ニオブを60〜400g/L、フッ酸を35重量%以下含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のフッ化ニオブ酸カリウム結晶の製造方法。
  6. 前記カリウム系電解質の添加量が、カリウムのニオブに対するモル比で2〜10である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のフッ化ニオブ酸カリウム結晶の製造方法。
  7. 前記再結晶溶媒がフッ酸を16〜30重量%含有する水溶液からなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載のフッ化ニオブ酸カリウムの製造方法。
  8. 前記(b)工程において、前記フッ化ニオブ酸カリウム結晶が析出した溶液の上澄み液および/または前記フッ化ニオブ酸カリウム結晶が析出した溶液から前記結晶を濾別して得られた溶液を、前記再結晶溶媒の一部または全部として循環させる工程をさらに有してなる、請求項1〜7のいずれか一項に記載のフッ化ニオブ酸カリウムの製造方法。
  9. 前記(b)工程において析出させたフッ化ニオブ酸カリウム結晶を、カリウム系電解質の水溶液にて洗浄し、その後乾燥する、請求項1〜8のいずれか一項に記載のフッ化ニオブ酸カリウム結晶の製造方法。
  10. 前記第二工程により得られたフッ化ニオブ酸カリウム結晶を、目開き3.35〜6.7mmの篩を通過させる工程をさらに含んでなる、請求項1〜9のいずれか一項に記載のフッ化ニオブ酸カリウム結晶の製造方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載のフッ化ニオブ酸カリウム結晶の製造方法により製造された、フッ化ニオブ酸カリウムからなる結晶であって、篩分析により測定された、粒0.5mm以上の結晶の含有率が30重量%以上であることを特徴とする、フッ化ニオブ酸カリウム結晶。
  12. 篩分析により測定された、粒径0.045mm未満の結晶の含有率が10重量%以下である、請求項11に記載のフッ化ニオブ酸カリウム結晶。
  13. 篩分析により測定された、粒径4mm以上の結晶の含有率が1重量%以下である、請求項11または12に記載のフッ化ニオブ酸カリウム結晶。
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