JP4001052B2 - 紡機における玉揚げ時の糸切断方法 - Google Patents

紡機における玉揚げ時の糸切断方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リング精紡機、リング撚糸機等の紡機における玉揚げ時の糸切断方法に係り、詳しくは玉揚げ装置により管糸が抜き上げられたスピンドルに空ボビンが挿入された後の機台再起動時に、自動的に糸の巻き取りが行われる紡機における玉揚げ時の糸切断方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
トラベラを介して糸の巻き取りを行うリング精紡機、リング撚糸機等の紡機においては、満管時に管替作業を自動的に行うため、管替後の再起動時に糸を空ボビンに自動的に巻き取ることができるように、ローラパートに連なる糸がトラベラに通ったままスピンドルに接続していることが要求される。この要求を満たすため、従来、スピンドル基部に尻糸切断部と、その下方に尻糸巻部を設け、満管後、リングレールを急降下させて傾斜巻を行った後、尻糸巻部に糸を巻付け、満管糸の引き抜き時に尻糸巻部から満管糸に連なる糸(尻糸)を尻糸切断部で切断していた。なお、ローラパートとはリング精紡機ではドラフト装置を意味し、リング撚糸機では糸を供給する複数組のローラ部を意味する。
【0003】
ところが、この切断方法では、尻糸巻部に巻き付けられた尻糸が玉揚げ後に尻糸巻部に残り、玉揚げを繰り返すたびに残糸の量が増加し、残糸処理を頻繁に行う必要がある。また、尻糸の巻付け長さが長いため、残糸を除去し難いという問題がある。
【0004】
前記の問題を解消するため、トラベラから管糸に連なる糸を開閉可能な把持部で把持し、玉揚げ装置による管糸の抜き上げ動作により、前記把持部から管糸に連なる糸をカッタで切断する尻糸切断方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1に記載の方法では、スピンドル基部から上方に延びるブレードに対して昇降可能に設けた特別な尻糸切断部材を使用している。本願明細書の図9(b)に示すように、尻糸切断部材51はボビンBが嵌挿されるボビン嵌挿部51aと、ボビン嵌挿部51aより下側に設けられたカッタ部51bを備えている。そして、玉揚げ停止時に、トラベラを経て管糸に連なる糸が尻糸切断部材と前記スピンドル基部との当接部以下の位置を通る状態でリングレールを停止させ、前記当接部より少し下の位置に約1巻以下に糸が巻かれた状態でスピンドルを停止させる。その状態から、本願明細書の図9(a)に示すように、玉揚げ装置52により管糸53が抜き上げられ、抜き上げ途中まで尻糸切断部材51が管糸53と共に上昇され、管糸53からリングレール55のトラベラ56に連なる糸Yが尻糸切断部材51とスピンドル基部54との間に導かれる。
【0006】
その後、尻糸切断部材51の上昇が規制手段によって規制され、本願明細書の図9(b)に示すように、管糸53から離脱した尻糸切断部材51がスピンドル基部54と当接する位置まで下降する。そして、管糸53からリングレール55のトラベラ56に連なる糸Yが尻糸切断部材51とスピンドル基部54との間に把持され、さらに管糸53が上昇することによりカッタ部51bで糸Yが切断される。
【0007】
また、スピンドルの下部に設けられた固定のアンダーワインディングカラーと、その下方で昇降可能に設けられたスリーブとでトラベラから管糸に連なる糸を把持し、カッタを使用せずに玉揚げ途中で管糸から把持部に連なる糸をエッジ部に当接させて引きちぎる方法も開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−173837号公報(明細書の段落[0021]〜[0028]、図1〜図3)
【特許文献2】
特開平10−317233号公報(明細書の段落[0009]、[0014]、図1,2,9)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
太番手の糸の紡出あるいは撚糸において大径の管糸を使用する場合は、図9(c)に示すように、傾斜巻53aを構成する糸Yのボビンに対する巻付け角度(水平面と成す角度)が細番手の場合に比較して小さくなる。前記巻付け角度が小さな状態で、特許文献1の方法を実施すると、糸Yが尻糸切断部材51とスピンドル基部54とで把持された状態から管糸53がさらに上昇する過程で、管糸53から把持部に至る糸Yがボビン嵌挿部51aやスピンドルに巻き付く場合がある。その場合、糸Yはカッタ部51bによって切断されずに引き千切られて、カッタ部51bで切断される場合に比較して切断糸端が長くなる。切断糸端が長くなると、巻き取り時にスピンドルを回転するのに必要な消費電力(動力消費)が増加するとともに、風綿飛散の原因となる。カッタ部51bの径を大きくすれば、糸Yはカッタ部51bと当接する位置で切断可能となるが、巻き取り運転中の消費電力が増大する。
【0010】
また、特許文献2に開示された方法のように、管糸を引き抜く際に、糸をエッジ部に当接させて引き千切る場合も、太番手の糸で管糸が大径の場合は、把持部から管糸に連なる糸のエッジ部と成す角度が小さくなる。その結果、糸がエッジ部で引き千切られず糸端が長くなり、前記と同様な問題が生じる。
【0011】
本発明は前記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は太番手の糸で大径の管糸を使用する場合でも、糸端が短い状態と成るように切断することができる紡機における玉揚げ時の糸切断方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、玉揚げ装置により管糸が抜き上げられたスピンドルに空ボビンが挿入された後の機台再起動時に、自動的に糸の巻き取りが行われる紡機における玉揚げ時の糸切断方法である。玉揚げ停止時に管糸に傾斜巻を形成した後、スピンドル基部と、スピンドル基部に対して昇降可能に嵌挿された把持部材とにより、トラベラから管糸に連なる糸を把持する。そして、管糸を玉揚げ装置で把持するとともにスピンドルが管糸に対して相対回転可能とした状態で同スピンドルを回転させ、管糸に形成された前記傾斜巻を管糸の上部から前記把持部材による把持位置まで真っ直ぐに延びる状態とした後、さらに管糸を玉揚げ装置で上昇させて糸を切断する。
【0013】
この発明では、玉揚げ停止時に管糸に傾斜巻が形成された後、スピンドル基部と、スピンドル基部に対して昇降可能に嵌挿された把持部材とにより、トラベラから管糸に連なる糸が把持される。そして、管糸が玉揚げ装置で把持されるとともにスピンドルが管糸に対して相対回転可能とされた状態で同スピンドルが回転され、管糸に形成された前記傾斜巻が管糸の上部から前記把持部材による把持位置まで真っ直ぐに延びる状態にされる。その後、さらに管糸が玉揚げ装置によって上昇されて糸が切断される。太番手の糸の紡出あるいは撚糸において大径の管糸を使用する場合は、傾斜巻を構成する糸のボビンに対する巻付け角度(水平面と成す角度)が小さくなるため、そのまま管糸が上昇されると傾斜巻の下側の糸がスピンドルに巻き付く場合がある。その状態で管糸が抜き上げられると、糸はカッタ部やエッジ部があってもカッタ部やエッジ部と対応する位置で切断されずにカッタ部やエッジ部より上方で引き千切られて糸端が長くなる。しかし、この発明では、トラベラから管糸に連なる糸が把持部材で把持され、傾斜巻が真っ直ぐに延びるように変更された後に、管糸が上昇されるため、糸がカッタ部やエッジ部に対して大きな角度で当接する状態となり、糸がカッタ部やエッジ部で切断される。従って、太番手の糸で大径の管糸を使用する場合でも、糸端が短い状態と成るように切断することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記把持部材は、ボビンが嵌挿されるボビン嵌挿部と、該ボビン嵌挿部より下側に設けられたカッタ部とを備えた尻糸切断部材で構成されている。前記尻糸切断部材はスピンドル基部より上方に延びるブレードに沿って昇降可能、かつスピンドル基部との間でトラベラから管糸に連なる糸を把持可能に装備されている。玉揚げ停止時にトラベラを経て管糸に連なる糸が尻糸切断部材と前記スピンドル基部との当接部以下の位置を通る状態でリングレールを停止させ、尻糸切断部材とスピンドル基部との当接部以下の位置に糸が1巻以下巻かれた状態でスピンドルを停止させる。ラペットを退避位置へ移動させた後、玉揚げ装置により管糸を抜き上げ、抜き上げ途中まで前記尻糸切断部材を管糸と共に上昇させ、該尻糸切断部材と前記スピンドル基部との間に管糸からトラベラに連なる糸を導く。その後、尻糸切断部材の上昇を規制手段で規制して、管糸から離脱した尻糸切断部材と前記スピンドル基部との間で前記糸を把持する。
【0015】
この発明では、ボビンが嵌挿されるボビン嵌挿部と、該ボビン嵌挿部より下側に設けられたカッタ部とを備えた尻糸切断部材が把持部材として使用される。尻糸切断部材とスピンドル基部との当接部以下の位置に糸が1巻以下巻かれた状態でスピンドルが停止される。次にラペットが退避位置へ移動された後、玉揚げ装置により管糸が抜き上げられ、抜き上げ途中で管糸からトラベラに連なる糸が尻糸切断部材とスピンドル基部との間に導かれる。その後、尻糸切断部材の上昇が規制手段により規制され、尻糸切断部材は管糸から離脱して下降し、管糸から離脱した尻糸切断部材とスピンドル基部との間に前記糸が把持される。その状態で、スピンドルが回転されて管糸に形成された前記傾斜巻が管糸の上部から前記把持部材による把持位置まで真っ直ぐに延びる状態にされた後、さらに管糸が玉揚げ装置により上昇移動されて糸がカッタ部で確実に切断される。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記玉揚げ装置により前記管糸をスピンドルから抜き上げた後、前記ラペットを紡出位置に復帰させることにより、スピンドルに巻き付いた状態で前記ラペットからトラベラに連なる糸を真っ直ぐにした後、再びラペットを退避位置へ移動させた状態で空ボビンをスピンドルに挿入する。
【0017】
玉揚げ装置により管糸を把持するとともにスピンドルが管糸に対して相対回転可能とした状態で、傾斜巻が真っ直ぐに延びるようにスピンドルを回転させると、ラペットからトラベラに至る糸が管糸に緩く巻き付いた状態となる。そして、その状態のまま管糸を上昇させてスピンドルから引き抜くと、ラペットからトラベラに至る糸がスピンドルに巻き付けられた状態となり、この巻き付き糸の蓄積によりスピンドルへの空ボビンの挿入が困難な状態となる。しかし、この発明では、管糸が玉揚げされた後、空ボビンがスピンドルに挿入される前に、ラペットを紡出位置に復帰させることにより糸の巻き付きが解除される。そして、再びラペットが玉揚げに支障を来さない退避位置に配置された状態で、空ボビンがスピンドルに挿入される。従って、ラペットからトラベラに至る糸が空ボビンに挟まれることを防止でき、ラペットから空ボビン(スピンドル)に至る糸がトラベラを経ない状態と成らずに、再起動時に糸の巻き取りが正常に開始される。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記玉揚げ装置により前記管糸をスピンドルから抜き上げた後、リングレールを上昇させることにより、スピンドルに巻き付いた状態で前記ラペットからトラベラに連なる糸をスピンドルへの空ボビン挿入時にボビンに挟まれない位置に移動させた状態で空ボビンをスピンドルに挿入する。
【0019】
この発明では、管糸が玉揚げされた状態で、空ボビンがスピンドルに挿入される前に、リングレールが上昇されることにより、スピンドルに巻き付いた状態で前記ラペットからトラベラに連なる糸がスピンドルへの空ボビン挿入時にボビンに挟まれない位置に移動される。その状態で空ボビンがスピンドルに挿入される。従って、ラペットからトラベラに至る糸が空ボビンに挟まれることを防止でき、ラペットから空ボビン(スピンドル)に至る糸がトラベラを経ない状態と成らずに、再起動時に糸の巻き取りが正常に開始される。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をリング精紡機に具体化した一実施の形態を図1〜図7に従って説明する。図1(a),(b)、図2(a)〜(c)及び図3(a)〜(c)は玉揚げ時の作用を説明する概略側面図、図4はリング精紡機の概略構成図である。図5(a)はスピンドルの一部破断模式側面図、(b)は尻糸切断部材の取付け状態を示す断面図、図6は尻糸切断部材及びスピンドル基部の概略斜視図である。図7は精紡機と玉揚げ装置の関係を示す概略図である。
【0021】
図4に示すように、リフティング駆動系とドラフトパート及びスピンドル駆動系とはそれぞれ独立に駆動制御される。ドラフトパートを構成するフロントローラ1の回転軸2は、主モータMにより回転駆動されるドライビングシャフト3との間に配設された歯車列(図示せず)を介して回転駆動されるようになっている。スピンドル4はドライビングシャフト3に固定されたチンプーリ5との間に巻き掛けられたスピンドルテープ(図示せず)を介して回転駆動されるようになっている。フロントローラ1及びスピンドル4の回転数比は紡出条件(撚数)に対応して設定されている。主モータMにはインバータ6を介して駆動される可変速モータが使用されている。回転軸2に一体回転可能に固定された歯車2aの近傍にはフロントローラ1の回転に対応してパルス信号を出力するセンサS1が配設されている。
【0022】
リフティング装置はラインシャフト7を介してリングレール8及びラペットアングル9を昇降動させるようになっている。ラペットアングル9にはスネルワイヤ10aを備えたラペット10が取付けられており、フロントローラ1から送り出された糸Yがリング8a上を摺動するトラベラ11にスネルワイヤ10aを経て導かれるようになっている。
【0023】
リフティング装置は、特開平7−300728号公報に開示された装置と基本的に同じ構成である。ラインシャフト7は精紡機機台の長手方向に沿って配設され、所定間隔でねじ歯車12(図4では1個のみ図示)が一体回転可能に嵌着されている。リングレール8は複数のポーカピラー13(図4では1本のみ図示)により支持されている。ポーカピラー13は上下方向に移動可能に機台フレーム(図示せず)に支承されるとともに、その下部側にスクリュー部13aが形成されている。スクリュー部13aは機台フレームの所定高さ位置に回転可能に支持されたナット体14に螺合している。ナット体14の外周にはねじ歯車12と噛合するねじ歯車(図示せず)が一体に形成されている。ラペットアングル9も同様な昇降機構でリングレール8と同期して昇降可能となっている。
【0024】
ラインシャフト7はサーボモータ15の駆動軸に歯車列(図示せず)を介して連結され、回転速度及び回転方向が自由に変更可能となっている。サーボモータ15は制御装置16によりサーボドライバ17を介して駆動制御される。サーボモータ15にはロータリエンコーダ18が装備されている。
【0025】
図5(a)に示すように、スピンドル4はスピンドルレール19に固定されたボルスタ20に軸受21を介して回転可能に支持されている。スピンドル4はブレード部22と、ブレード部22の下側中心部に固着されたスピンドル軸4aとを備え、スピンドル軸4aがボルスタ20に回転可能に支持されている。ブレード部22はスピンドル基部22bを除いた部分がアルミニウム又はアルミニウム合金製で、樹脂製のスピンドル基部22bがブレード22aの下部に嵌合固定されている。ブレード部22はアルミニウム又はアルミニウム合金製で、スピンドル軸4aはブレード部22にインサート成形されている。
【0026】
スピンドル基部22bより上方に延びるブレード22aには、把持部材としての尻糸切断部材23が昇降可能に設けられている。図5(b)に示すように、尻糸切断部材23はボビンBが嵌挿されるボビン嵌挿部24と、ボビン嵌挿部24より下側に設けられたカッタ部25とを備えている。カッタ部25は円環状の刃体25aを別体とし、刃体25aを固定する複数の係止凸部25bを備えている。この実施の形態では刃体25aの先端の径がボビンBの下端の外径より大きく形成されている。
【0027】
ボビン嵌挿部24は円筒状に形成されるとともに、内側にコイルばね26を収容する凹部24aが形成されている。尻糸切断部材23は常には下端部がスピンドル基部22bと当接してスピンドル基部22bとの間で尻糸を把持可能に構成されている。
【0028】
ブレード22aには、尻糸切断部材23がスピンドル基部22bに当接した状態において、その下部がボビン嵌挿部24の上端と対向する位置にストッパとしてのカラー27が固定されている。カラー27の外径は凹部24aの内径より若干小さく形成され、尻糸切断部材23はカラー27に沿って摺動する。ボビン嵌挿部24はその外径が上側ほど小さくなるように形成されている。
【0029】
コイルばね26は、下端が凹部24aの下端に当接し、上端がカラー27の下端に当接する状態で凹部24a内に収容されている。コイルばね26は、尻糸切断部材23を常にスピンドル基部22b側に付勢するばねを構成する。また、コイルばね26は、尻糸切断部材23とブレード22aとの間に設けられ、玉揚げ時に尻糸切断部材23がスピンドル基部22bと当接する位置より所定高さ以上に上昇するのを規制する規制手段を構成する。
【0030】
図5(b)及び図6に示すように、尻糸切断部材23の下端部及び該下端部に対向するスピンドル基部22bの上端部には、互いに係合可能な複数の凸部28a,28b及び凹部29a,29bが径方向に延びるように設けられている。従って、尻糸切断部材23の下端部及びスピンドル基部22bの上端部は、互いに噛合する複数の歯を備えた構成となっている。凸部28a,28bの高さ及び凹部29a,29bの深さは2mm程度が好ましい。
【0031】
尻糸切断部材23の下端部はスピンドル4を回転中心とし、頂点が前記下端部外周を含みスピンドル4と直交する面より上方に位置する仮想円錐の斜面の一部を構成するように形成されている。スピンドル基部22bの上端部もスピンドル4を回転中心とし、頂点が前記下端部外周を含みスピンドル4と直交する面より上方に位置する仮想円錐の斜面の一部を構成するように形成されている。
【0032】
スピンドル基部22bの各凸部28bのブレード22a側の端面30はスピンドル4を回転中心とした下向きの仮想円錐の斜面を構成する曲面となるように形成されている。尻糸切断部材23の各凹部29aのブレード22a側には、端面30と当接可能で、スピンドルを回転中心とした仮想円錐の斜面を構成する曲面31aを有する壁31が形成されている。端面30及び壁31が尻糸切断部材23のスピンドル基部22bに対する同心を確保する調心手段を構成する。
【0033】
ボビン嵌挿部24の下部外周面には環状の溝32が形成され、溝32内には一部が溝32の外に突出する状態でゴムリング33が収容されている。ゴムリング33はボビン嵌挿部24とボビンBとの嵌合力を高めるための嵌合力増強手段を構成する。
【0034】
図7(a),(b)に示すように、リング精紡機には公知の全錘一斉式の玉揚げ装置(管替装置)34が装備されている。玉揚げ装置34はボビン把持装置35aを備えたドフィングバー35を装備し、スピンドルレール19の下方に配置された搬送装置36のぺッグ36a上の空ボビンEと、スピンドル4上の管糸38とを交換する。玉揚げ作業時に、図7(a)に示すように、ドフィングバー35に装備されたボビン把持装置35aが、矢印で示す線に沿って移動し、ぺッグ36a上から抜き上げた空ボビンEを中間ぺッグ37に挿入する。次にボビン把持装置35aは、スピンドル4上の管糸38の上方と対応する位置へ移動し、管糸38を把持した後、図7(b)に矢印で示す線に沿って移動し、スピンドル4上の管糸38を抜き上げた後、搬送装置36のぺッグ36a上に挿入する。次に再び図7(a)に矢印で示す線に沿って移動し、中間ぺッグ37上の空ボビンEをスピンドル4に挿入した後、図7(b)に矢印で示す線に沿って移動してぺッグ36aの上方の待機位置に復帰する。
【0035】
制御装置16は、CPU(中央処理装置)39、プログラムメモリ40、作業用メモリ41及び入力装置42を備えている。CPU39はプログラムメモリ40に記憶された所定のプログラムデータに基づいて動作し、図示しないインタフェース及び駆動回路を介して主モータM及びサーボモータ15を制御する。
【0036】
プログラムメモリ40は読出し専用メモリ(ROM)よりなり、前記プログラムデータと、その実行に必要な各種データとが記憶されている。プログラムデータとしては巻き取り運転中の主モータM及びサーボモータ15の制御プログラム、玉揚げ停止後の玉揚げ作業(管替え作業)時の玉揚げ装置の制御プログラム及び主モータMの制御プログラムがある。各種データとしては紡出糸番手及び紡出運転時のスピンドル回転数等の紡出条件と、満管までのリングレール8のチェイス回数との対応データがある。
【0037】
作業用メモリ41は読出し及び書替え可能なメモリ(RAM)よりなり、入力装置42により入力されたデータやCPU39における演算処理結果等を一時記憶する。作業用メモリ41はバックアップ電源(図示せず)を備えている。
【0038】
入力装置42は紡出糸番手、紡出運転時のスピンドル回転数、紡出長、リフト長、チェイス長等の紡出条件データの入力に使用される。
CPU39はインタフェースを介してセンサS1及びロータリエンコーダ18と接続されている。CPU39はセンサS1からの出力信号に基づいて紡出量を演算する。CPU39はロータリエンコーダ18の出力信号に基づいてリングレール8の移動方向及び位置を認識し、その値に基づいてリングレール8が紡出条件に対応した所定の昇降運動を行うようにサーボモータ15を制御する。
【0039】
CPU39は、玉揚げ装置34からの信号に基づいて、玉揚げ作業がどの段階にあるかを認識する。そして、玉揚げ作業時に管糸38からトラベラ11に連なる糸Yが尻糸切断部材23及びスピンドル基部22bによって把持された後に、スピンドル4を低速で所定量回転させるようになっている。尻糸切断部材23が前記糸Yを把持したことの確認は、予め試験により求めた玉揚げ装置34の玉揚げ上昇時の所定位置に対応するロータリエンコーダ18の信号に基づいて行う。また、前記低速でスピンドル4を回転させる前記所定量は、予め紡出条件に対応して試験により求めて設定される。
【0040】
次に前記のように構成された装置の作用を説明する。紡機機台の運転に先立って、まず、紡出糸番手、紡出運転時のスピンドル回転数、紡出長、リフト長、チェイス長等の紡出条件データが入力装置42により入力される。ボビンBはその下部が尻糸切断部材23のボビン嵌挿部24に嵌合され、上部が係止部材に係合された状態でスピンドル4に一体回転可能に装着される。
【0041】
制御装置16は入力装置42により入力されて作業用メモリ41に記憶された紡出条件に従って、サーボモータ15を主モータMと同期して駆動制御する。サーボモータ15が駆動されると歯車列を介してラインシャフト7が回転され、リングレール8及びラペットアングル9等が上昇又は下降される。また、フロントローラ1から送出された糸Yはスネルワイヤ10a及びトラベラ11を経てボビンBに巻き取られる。
【0042】
紡出が継続されて満管停止時期になると、図1(a)に示すように、トップバンチ巻が形成された後、リングレール8が急降下されて、スピンドル4に装着されている管糸(満ボビン)38に傾斜巻(胴巻)38aが行われ。その後、リングレール8は、トラベラ11を経て管糸38に連なる糸Yが尻糸切断部材23とスピンドル基部22bとの当接部以下の位置を通る状態で停止する。そして、尻糸切断部材23とスピンドル基部22bとの当接部より少し下側の位置に約1巻の糸が巻かれた状態となるようにブレーキが掛けられてスピンドル4が停止され、図1(b)に示す状態となる。
【0043】
次に図2(a)に示すように、ラペット10が玉揚げに支障とならない退避位置に配置された後、玉揚げ装置34により管糸(満ボビン)38が抜き上げられる。抜き上げ途中まで尻糸切断部材23が管糸38と共に上昇され、尻糸切断部材23とスピンドル基部22bとの間に管糸38からトラベラ11に連なる糸Yが導かれる。スピンドル基部22bに巻かれた状態の糸Yは、管糸38と共に尻糸切断部材23が上昇すると、ブレード22aの外面に沿って移動する。管糸38と共に上昇する尻糸切断部材23が所定の高さに達すると、コイルばね26の付勢力により尻糸切断部材23が管糸38から離脱する。
【0044】
そして、図2(b)に示すように、尻糸切断部材23がスピンドル基部22bと当接する位置まで下降し、管糸38からトラベラ11に連なる糸Yが尻糸切断部材23とスピンドル基部22bとの間に把持される。尻糸切断部材23がスピンドル基部22bとの間で糸Yを把持した後、玉揚げ装置34により把持された管糸38に対してスピンドル4が相対回転可能とした状態でスピンドル4が回転される。そして、管糸38に形成された傾斜巻38aが管糸38の上部から尻糸切断部材23による把持位置まで真っ直ぐに延びる状態にされ、図2(c)に示す状態となる。このとき、ラペット10のスネルワイヤ10aからトラベラ11に至る糸Yが管糸38に緩く巻き付いた状態となる。
【0045】
その後、さらに管糸38が玉揚げ装置34により上昇移動され、糸Yがカッタ部25に対して90度に近い大きな角度で当接する状態となり、糸Yがカッタ部25で確実に切断される。さらに、玉揚げ装置34の作動が継続され、管糸38が玉揚げされて図3(a)に示す状態となる。
【0046】
次に図3(b)に示すように、ラペット10が紡出位置に復帰させられることにより、スピンドル4に対する糸Yの巻き付きが解除される。次に再びラペット10が退避位置に反転されて、図3(c)に示すように、ラペット10を経てトラベラ11に至る糸Yが真っ直ぐな状態となる。その後、空ボビンがスピンドル4に挿入される。
【0047】
太番手の糸の紡出において大径の管糸38を使用する場合は、傾斜巻38aを構成する糸YのボビンBに対する巻付け角度(水平面と成す角度)が小さくなるため、そのまま管糸38が上昇されると傾斜巻38aの下側の糸Yがスピンドル4に巻き付く場合がある。その状態で管糸38が抜き上げられると、糸Yはカッタ部25があってもカッタ部25で切断されずにカッタ部25より上方で引き千切られて糸端が長くなる。しかし、この発明では、図2(b)に示す状態からそのまま管糸38が上昇されるのではなく、傾斜巻38aが真っ直ぐに延びるように変更された後に、管糸38が上昇されるため、糸Yがカッタ部25に対して大きな角度で当接する状態となり、糸Yがカッタ部25で確実に切断される。
【0048】
図3(a)に示す状態で、即ち、ラペット10からトラベラ11に至る糸Yが緩く巻き付いた状態のスピンドル4に空ボビンを挿入すると、この巻き付き糸の蓄積によりスピンドル4への空ボビンの挿入が困難な状態となる。しかし、空ボビンがスピンドル4に挿入される前に、ラペット10を紡出位置に復帰させることにより糸Yの巻き付きが解除された後、再びラペット10が玉揚げに支障を来さない退避位置に配置された状態で、空ボビンがスピンドル4に挿入される。従って、ラペット10からトラベラ11に至る糸Yが空ボビンに挟まれることを防止でき、ラペット10から空ボビン(スピンドル4)に至る糸Yがトラベラ11を経ない状態と成らずに、再起動時に糸Yの巻き取りが正常に開始される。
【0049】
トラベラ11に連なる糸Yの端部は次の玉揚げまで、尻糸切断部材23とスピンドル基部22bとの間に把持される。そして、尻糸切断部材23とスピンドル基部22bとの間に把持された尻糸は、次回の玉揚げの際に管糸38に連なってスピンドル4から離脱する。
【0050】
この実施の形態では以下の効果を有する。
(1) 玉揚げ時に、トラベラ11から管糸38に連なる糸Yがスピンドル基部22bに対して昇降可能な尻糸切断部材23で把持された状態でスピンドル4が回転され、傾斜巻38aが管糸38の上部から尻糸切断部材23による把持位置まで真っ直ぐに延びる状態で、管糸38が上昇されて糸が切断される。従って、太番手の糸で、かつ大径の管糸38を使用する場合でも、糸Yがカッタ部25に対して大きな角度(90度に近い角度)で当接する状態となり、糸Yがカッタ部25で切断される。従って、太番手の糸で大径の管糸を使用する場合でも、カッタ部25の外径を大きくせずに、糸端が短い状態と成るように切断することができる。その結果、巻き取り時にスピンドル4を回転するのに必要な消費電力(動力消費)の増大や、風綿飛散の増加を防止できる。
【0051】
(2) カッタ部25を備えた尻糸切断部材23が、玉揚げ時に管糸38と共に上昇された後、下降することにより、管糸38からトラベラ11に連なる糸Yが尻糸切断部材23とスピンドル基部22bとの間に把持されるとともに、カッタ部25によって切断される。従って、スピンドル4に尻糸を巻き付けて把持する従来装置と異なり尻糸を複数回巻き付ける必要がなく、スピンドル基部22bに残る糸(尻糸)を少なくできる。また、尻糸切断部材23とスピンドル基部22bとの間に把持された尻糸は、次回の玉揚げの際に管糸38に連なってスピンドル4から離脱するため、尻糸除去作業を行う必要がない。
【0052】
(3) 玉揚げ装置34により管糸38をスピンドル4から抜き上げた後、ラペット10を紡出位置に復帰させることにより、スピンドル4に巻き付いた状態でラペット10からトラベラ11に連なる糸Yを真っ直ぐにした後、再びラペット10を退避位置へ移動させた状態で空ボビンをスピンドル4に挿入する。従って、ラペット10からトラベラ11に至る糸Yが空ボビンに挟まれることを防止でき、ラペット10から空ボビン(スピンドル4)に至る糸Yがトラベラ11を経ない状態と成らずに、再起動時に糸Yの巻き取りが正常に開始される。
【0053】
(4) 糸Yは、尻糸切断部材23の下端部及び該下端部に対向するスピンドル基部22bの上端部に径方向に延びるように設けられた複数の凸部28a,28b及び凹部29a,29bにより屈曲された状態で把持される。従って、尻糸切断部材23をスピンドル基部22b側に押圧する力が玉揚げ装置34の動作に支障を与えない程小さくても、糸Yを確実に把持できる。
【0054】
(5) 尻糸切断部材23の下端部となる凸部28aの下面及び凹部29aの底面は、それぞれスピンドル4を回転中心とし、頂点が前記下端部外周を含みスピンドル4と直交する面より上方に位置する仮想円錐の斜面の一部を構成するように形成されている。スピンドル4に1巻以内で巻き付いた状態の糸Yに、把持部から糸を引き抜く方向の力が作用した場合、糸Yには半径方向かつ外側へ向かう力が作用する。その際、把持面となる凸部28aの下面や凹部29aの底面が下方へ傾斜している場合は、糸Yの把持が水平面で行われる場合に比較して、凸部28a及び凹部29aのエッジにおいて糸Yに加わる抵抗が大きくなり、糸が引き出され難くなる。その結果、糸Yの把持に必要な尻糸切断部材23の押圧力を把持面が水平の場合に比較して小さくできる。
【0055】
(6) 尻糸切断部材23のスピンドル基部22bに対する同心を確保する調心手段を備えている。従って、調心手段の作用により、尻糸切断部材23がスピンドル4と同心状で回転されるため、回転中に振動が生じ難くなり、高速回転の場合も安定して回転できる。
【0056】
(7) スピンドル基部22bが樹脂製で尻糸切断部材23のスピンドル基部22bと係合する部分が金属製である。スピンドル基部22b及び尻糸切断部材23の両者を金属製とした場合は、尻糸切断部材23が管糸38から離脱して降下(落下)し、スピンドル基部22bとの間で糸Yを把持する際、細糸の場合に把持部で挟まれた衝撃により、糸Yが把持部の端部で切断される虞がある。しかし、スピンドル基部22bが樹脂製のため、細糸の場合でも糸Yが把持の衝撃により把持部の端部で切断されることを防止できる。
【0057】
(8) 尻糸切断部材23がコイルばね26により常にスピンドル基部22b側に付勢されているため、尻糸切断部材23が軽くてもトラベラ11に連なる糸Yを確実に把持できる。また、ボビン嵌挿部24がボビンBから離脱した際、尻糸切断部材23がコイルばね26により下方へ付勢されるため、尻糸切断部材23の落下途中で糸Yが切断されても、尻糸切断部材23が素早くスピンドル基部22bと当接する位置に達して糸Yを把持できる。
【0058】
実施の形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
〇 トラベラ11から管糸38に連なる糸Yが尻糸切断部材23とスピンドル基部22bとで把持された状態でスピンドル4を積極的に所定量回転させるのではなく、スピンドル4を消極的に回転させて傾斜巻38aが管糸38の上部から尻糸切断部材23による把持位置まで真っ直ぐに延びる状態としてもよい。例えば、太番手(10番手以上)の糸の場合、引き抜かれる管糸38の糸Yのテンションでスピンドル4を回転させてもよい。この場合も糸Yがカッタ部25に対して大きな角度(90度に近い角度)で当接する状態となり、糸Yがカッタ部25で切断される。また、管糸38は回転されないため、スネルワイヤ10aからトラベラ11に至る糸Yがスピンドル4に巻き付くことが回避され、空ボビン挿入前にラペット10を紡出位置へ配置した後、再び退避位置へ移動させる動作が不要になる。
【0059】
〇 玉揚げ装置34により管糸38がスピンドル4から抜き揚げられた後、空ボビンがスピンドル4に挿入される前に、スピンドル4に巻き付いた状態でラペット10からトラベラ11に連なる糸Yを空ボビンの挿入時にボビンBとスピンドル4とに挟持されない状態にする方法は前記実施の形態に限らない。例えば、リングレール8を上昇せることにより、スピンドル4に巻き付いた状態でラペット10からトラベラ11に連なる糸Yが、空ボビン挿入時にスピンドル4との間に挟まれるのを防止してもよい。リングレール8が上昇されることにより、スピンドル4に巻き付いた状態でラペット10からトラベラ11に連なる糸Yがスピンドル4への空ボビン挿入時にボビンBに挟まれない位置に移動される。この場合も、前記実施の形態のように、ラペット10を退避位置から紡出位置へ配置し、再び紡出位置に配置して、ラペット10からトラベラ11に連なる糸Yを真っ直ぐにした後、空ボビンを挿入する場合と同様に、スピンドル4への空ボビン挿入時に糸Yが空ボビンとスピンドル4に挟まれない。従って、ラペット10から空ボビン(スピンドル4)に至る糸Yがトラベラ11を経ない状態と成らずに、再起動時に糸Yの巻き取りが正常に開始される。
【0060】
〇 玉揚げ装置34による管糸38の玉揚げ途中に、尻糸切断部材23が管糸38から離脱して、離脱した尻糸切断部材23が管糸38からトラベラ11に連なる糸Yを把持する位置まで下降したことの確認は、ドフィングバー35の位置から確認する代わりに、他の方法で確認してもよい。例えば、管糸38を把持して抜き上げを開始した時点からの経過時間で確認したり、各スピンドル4毎にセンサを設けてもよい。
【0061】
〇 尻糸切断部材23はスピンドル基部22bと対向する面に凸部28a及び凹部29aを形成したり、カッタ部25として刃体25aを別体とした構成に限らず、例えば図8に示すように、尻糸切断部材23としてボビン嵌挿部24の下端に円板状の刃部24bを一体に形成してもよい。刃部24bの外形は円形に限らず、鋸歯状であってもよい。
【0062】
○ スピンドル基部22b及び尻糸切断部材23の両者を金属製としてもよい。
○ 尻糸切断部材23がスピンドル基部22bと当接する状態において、尻糸切断部材23をスピンドル基部22b側に付勢する付勢手段として、ばねに代えて磁石(マグネット)を利用してもよい。例えばスピンドル基部22bの上面に磁石を埋設し、尻糸切断部材23の底部下面に磁性材(例えば鉄)を固定する。スピンドル基部22b及び尻糸切断部材23の両側に磁石を設けたり、尻糸切断部材23側に磁石、スピンドル基部22b側に磁性材を設けてもよい。この場合、尻糸切断部材23の上昇を規制する規制手段として、ストッパとしての止め輪又はピンをブレード22aの所定位置に固定すればよい。尻糸切断部材23は管糸38と共に上昇中に止め輪又はピンと当接することにより、管糸38から離脱する。
【0063】
○ 凸部28a,28bの先端面及び凹部29a,29bの底面は外側に向かって下降傾斜する形状に限らず、水平であってもよい。しかし、把持した糸Yを引き抜く力が作用した場合、下降傾斜する形状の方が糸の引き抜きに対する抵抗が大きくなり、糸が引き出され難くなる。
【0064】
○ 嵌合力増強手段はゴムリング33に限らず、板状又は線状のばね材を使用してもよい。ばね材は完全なリング状に限らず、一部が切り欠かれたリング状としてもよい。また、ボビン嵌挿部24の外面に形成した凹部内に、ばね材を円弧部が突出するように収容してもよい。また、ばねで付勢されたボタンを設けてもよい。
【0065】
○ カッタ部25の外径をボビンBの底部外径より小さくしてもよい。この場合、玉揚げ時に管糸38からトラベラ11に連なる糸Yが、尻糸切断部材23とスピンドル基部22bとの間に把持される前に切断される虞がない。
【0066】
〇 玉揚げ停止時にスピンドル基部22bと共同して、トラベラ11から管糸38に連なる糸Yを把持可能な把持部材は、尻糸切断部材23のように玉揚げ時に管糸38と一体的に上昇した後、下降して糸Yを把持する構成に限らない。例えば、特許文献2に記載されたもののように、スピンドルの下部に設けられた固定のアンダーワインディングカラーと、その下方で昇降するスリーブとでトラベラから管糸に連なる糸を把持する構成としてもよい。また、カッタ部25を設ける代わりに、エッジ部を設けて、管糸38の玉揚げ時に糸Yをエッジ部に当接させて引き千切るようにしてもよい。
【0067】
○ スピンドル4の駆動方式は、スピンドル4をチンプーリ5に巻き掛けられるスピンドルテープで駆動する構成に代えて、タンゼンシャルベルトによる駆動する構成としてもよい。また、各錘毎にモータを設ける、所謂単錘駆動方式であってもよい。
【0068】
〇 リング精紡機に限らずリング撚糸機に適用してもよい。
前記実施の形態から把握できる発明(技術的思想)について、以下に記載する。
【0069】
(1) 請求項2に記載の発明において、前記尻糸切断部材の下端部及び該下端部に対向する前記スピンドル基部の上端部に、互いに係合可能な複数の凸部及び凹部が設けられている。
【0070】
【発明の効果】
以上、詳述したように、請求項1〜請求項4に記載の発明によれば、太番手の糸で大径の管糸を使用する場合でも、糸端が短い状態と成るように切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a),(b)は一実施の形態の玉揚げ時の作用を説明する概略側面図。
【図2】 (a)〜(c)は同じく概略側面図。
【図3】 (a)〜(c)は同じく概略側面図。
【図4】 リング精紡機の概略構成図。
【図5】 (a)はスピンドルの一部破断模式側面図、(b)は尻糸切断部材の取付け状態を示す断面図。
【図6】 尻糸切断部材及びスピンドル基部の概略斜視図。
【図7】 (a),(b)は精紡機と玉揚げ装置の関係を示す概略図。
【図8】 別の実施の形態の尻糸切断部材の断面図。
【図9】 (a),(b)は従来技術を示す概略側面図、(c)は太番手で大径管糸の場合の概略側面図。
【符号の説明】
B…ボビン、E…空ボビン、Y…糸、4…スピンドル、8…リングレール、10…ラペット、11…トラベラ、22a…ブレード、22b…スピンドル基部、23…把持部材としての尻糸切断部材、24…ボビン嵌挿部、25…カッタ部、26…規制手段としてのコイルばね、34…玉揚げ装置、38…管糸、38a…傾斜巻。

Claims (4)

  1. 玉揚げ装置により管糸が抜き上げられたスピンドルに空ボビンが挿入された後の機台再起動時に、自動的に糸の巻き取りが行われる紡機において、
    玉揚げ停止時に管糸に傾斜巻を形成した後、スピンドル基部と、スピンドル基部に対して昇降可能に嵌挿された把持部材とにより、トラベラから管糸に連なる糸を把持し、かつ管糸を玉揚げ装置で把持するとともにスピンドルが管糸に対して相対回転可能とした状態で同スピンドルを回転させ、管糸に形成された前記傾斜巻を管糸の上部から前記把持部材による把持位置まで真っ直ぐに延びる状態とした後、さらに管糸を玉揚げ装置で上昇させて糸を切断する紡機における玉揚げ時の糸切断方法。
  2. 前記把持部材は、ボビンが嵌挿されるボビン嵌挿部と、該ボビン嵌挿部より下側に設けられたカッタ部とを備えた尻糸切断部材で構成され、該尻糸切断部材はスピンドル基部より上方に延びるブレードに沿って昇降可能、かつスピンドル基部との間でトラベラから管糸に連なる糸を把持可能に装備されており、玉揚げ停止時にトラベラを経て管糸に連なる糸が尻糸切断部材と前記スピンドル基部との当接部以下の位置を通る状態でリングレールを停止させ、尻糸切断部材とスピンドル基部との当接部以下の位置に糸が1巻以下巻かれた状態でスピンドルを停止させ、ラペットを退避位置へ移動させた後、玉揚げ装置により管糸を抜き上げ、抜き上げ途中まで前記尻糸切断部材を管糸と共に上昇させ、該尻糸切断部材と前記スピンドル基部との間に管糸からトラベラに連なる糸を導き、その後、尻糸切断部材の上昇を規制手段で規制して、管糸から離脱した尻糸切断部材と前記スピンドル基部との間で前記糸を把持する請求項1に記載の紡機における糸切断方法。
  3. 前記玉揚げ装置により前記管糸をスピンドルから抜き上げた後、前記ラペットを紡出位置に復帰させることにより、スピンドルに巻き付いた状態で前記ラペットからトラベラに連なる糸を真っ直ぐにした後、再びラペットを退避位置へ移動させた状態で空ボビンをスピンドルに挿入する請求項1又は請求項2に記載の紡機における糸切断方法。
  4. 前記玉揚げ装置により前記管糸をスピンドルから抜き上げた後、リングレールを上昇させることにより、スピンドルに巻き付いた状態で前記ラペットからトラベラに連なる糸をスピンドルへの空ボビン挿入時にボビンに挟まれない位置に移動させた状態で空ボビンをスピンドルに挿入する請求項1又は請求項2に記載の紡機における糸切断方法。
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