JP2004346445A - 紡機における玉揚げ停止時の運転方法及び玉揚げ時の糸切断方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】太番手の糸の場合でも、糸をカッタ部又はエッジ部と対応する位置で切断することを可能にできる紡機における玉揚げ停止時の運転方法を提供する。
【解決手段】紡機はスピンドル駆動系及びドラフト装置がリフティング駆動系と独立して駆動可能に構成されている。玉揚げ停止時に管糸に傾斜巻を形成する際、撚数を変更せずにリングレールの降下途中からフロントローラの回転速度を低下させ、前記傾斜巻を構成する糸が水平方向と成す角度が大きくなるように運転を行う。玉揚げ装置による玉揚げ時に、管糸から把持部に至る糸がカッタ部に対して大きな角度で当接する状態となり、糸がカッタ部で切断される。
【選択図】 図1
【解決手段】紡機はスピンドル駆動系及びドラフト装置がリフティング駆動系と独立して駆動可能に構成されている。玉揚げ停止時に管糸に傾斜巻を形成する際、撚数を変更せずにリングレールの降下途中からフロントローラの回転速度を低下させ、前記傾斜巻を構成する糸が水平方向と成す角度が大きくなるように運転を行う。玉揚げ装置による玉揚げ時に、管糸から把持部に至る糸がカッタ部に対して大きな角度で当接する状態となり、糸がカッタ部で切断される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リング精紡機、リング撚糸機等の紡機における玉揚げ停止時の運転方法及び玉揚げ時の糸切断方法に関する。詳しくはスピンドルに尻糸切断部を備え、玉揚げ装置により管糸が抜き上げられたスピンドルに空ボビンが挿入された後の機台再起動時に、自動的に糸の巻き取りが行われる紡機における玉揚げ停止時の運転方法及び玉揚げ時の糸切断方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
トラベラを介して糸の巻き取りを行うリング精紡機、リング撚糸機等の紡機においては、満管時に管替作業を自動的に行い、管替後の再起動時に糸を空ボビンに自動的に巻き取ることができるように、ローラパートに連なる糸がトラベラに通ったままスピンドルに接続していることが要求される。この要求を満たすため、従来、スピンドル基部に尻糸切断部と、その下方に尻糸巻部を設け、満管後、リングレールを急降下させて傾斜巻を行った後、尻糸巻部に糸を巻付け、満管糸の引き抜き時に尻糸巻部から満管糸に連なる糸(尻糸)を尻糸切断部で切断していた(例えば、特許文献1参照)。なお、ローラパートとはリング精紡機ではドラフト装置を意味し、リング撚糸機では糸を供給する複数組のローラ部を意味する。
【0003】
また、満管停止時には、本願明細書の図9に示すように、リングレールが時刻t0から所定の位置まで上昇されてトップバンチ巻動作が開始される。このときスピンドルは緩速回転となり、スピンドルの回転速度がV1に保たれている。トップバンチ巻が巻かれた後、リングレールが急降下されて、管糸の周面に傾斜巻が形成される。そして、尻糸巻開始位置L0に達した後、通常の巻取り時の昇降速度より遅い低速の一定速度で尻糸巻終了位置L1まで上昇される。尻糸巻終了後、リングレールが一次上昇位置L3まで上昇された後、停止される。
【0004】
ところが、この切断方法では、尻糸巻部に巻き付けられた尻糸が玉揚げ後に尻糸巻部に残り、玉揚げを繰り返すたびに残糸の量が増加し、残糸処理を頻繁に行う必要がある。また、尻糸の巻付け長さが長いため、残糸を除去し難いという問題がある。
【0005】
前記の問題を解消するため、トラベラから管糸に連なる糸を開閉可能な把持部で把持し、玉揚げ装置による管糸の抜き上げ動作により、前記把持部から管糸に連なる糸をカッタで切断する尻糸切断方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
特許文献2に記載の方法では、尻糸切断部としてスピンドル基部から上方に延びるブレードに対して昇降可能に設けた特別な尻糸切断部材を使用している。本願明細書の図10(b)に示すように、尻糸切断部材51はボビンBが嵌挿されるボビン嵌挿部51aと、ボビン嵌挿部51aより下側に設けられたカッタ部51bを備えている。そして、玉揚げ停止時に、トラベラを経て管糸に連なる糸が尻糸切断部材51と前記スピンドル基部との当接部以下の位置を通る状態でリングレールを停止させ、前記当接部より少し下の位置に約1巻以下に糸が巻かれた状態でスピンドルを停止させる。その状態から、本願明細書の図10(a)に示すように、玉揚げ装置52により管糸53が抜き上げられ、抜き上げ途中まで尻糸切断部材51が管糸53と共に上昇され、管糸53からリングレール55のトラベラ56に連なる糸Yが尻糸切断部材51とスピンドル基部54との間に導かれる。
【0007】
その後、尻糸切断部材51の上昇が規制手段によって規制され、本願明細書の図10(b)に示すように、管糸53から離脱した尻糸切断部材51がスピンドル基部54と当接する位置まで下降する。そして、管糸53からリングレール55のトラベラ56に連なる糸Yが尻糸切断部材51とスピンドル基部54との間に把持され、さらに管糸53が上昇することによりカッタ部51bで糸Yが切断される。
【0008】
また、スピンドルの下部に設けられた固定のアンダーワインディングカラーと、その下方で昇降可能に設けられたスリーブとでトラベラから管糸に連なる糸を把持し、カッタを使用せずに玉揚げ途中で管糸から把持部に連なる糸をエッジ部に当接させて引き千切る方法も開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開平9−302535号公報(明細書の段落[0019],[0020]、図2,3)
【特許文献2】
特開2002−173837号公報(明細書の段落[0021]〜[0028]、図1〜図3)
【特許文献3】
特開平10−317233号公報(明細書の段落[0009]、[0014]、図1,2,9)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、太番手の糸では単糸強力が強く、糸がカッタ部やエッジ部と対応する位置で切断されずに引き千切られ、カッタ部51bやエッジ部で切断される場合に比較して切断糸端が長くなる。切断糸端が長くなると、巻き取り時にスピンドルを回転するのに必要な消費電力(動力消費)が増加するとともに、風綿飛散の原因となる。
【0011】
また、太番手の糸の紡出あるいは撚糸において大径の管糸を使用する場合は、図10(c)に示すように、傾斜巻53aを構成する糸のボビンに対する巻付け角度(水平面と成す角度)が細番手の場合に比較して小さくなる。前記巻付け角度が小さな状態で、特許文献2の方法を実施すると、糸Yが尻糸切断部材51とスピンドル基部54とで把持された状態から管糸53がさらに上昇する過程で、管糸53から把持部に至る糸Yがボビン嵌挿部51aやスピンドルに巻き付く場合がある。その場合、糸Yはカッタ部51bによってより切断され難くなって引き千切られる。カッタ部51bの径を大きくすれば、糸Yはカッタ部51bと当接する位置で切断可能となるが、巻き取り運転中の消費電力が増大する。
【0012】
また、特許文献3に開示された方法のように、管糸を引き抜く際に、糸をエッジ部に当接させて引き千切る場合も、太番手の糸で管糸が大径の場合は、把持部から管糸に連なる糸のエッジ部と成す角度が小さくなる。その結果、糸がエッジ部で引き千切られず糸端が長くなり、前記と同様な問題が生じる。
【0013】
本発明は前記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その第1の目的は太番手の糸の場合でも、糸をカッタ部又はエッジ部と対応する位置で切断することを可能にする紡機における玉揚げ停止時の運転方法を提供することにある。また、第2の目的は、太番手の糸の場合でも、糸をカッタ部又はエッジ部と対応する位置で切断することができる紡機における玉揚げ時の糸切断方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記第1の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、スピンドルに尻糸切断部を備え、玉揚げ装置により管糸が抜き上げられたスピンドルに空ボビンが挿入された後の機台再起動時に、自動的に糸の巻き取りが行われる紡機における玉揚げ停止時の運転方法である。紡機はスピンドル駆動系及びローラパートがリフティング駆動系と独立して駆動可能に構成されている。玉揚げ停止時に管糸に傾斜巻を形成する際、撚数を変更せずにリングレールの降下途中からフロントローラの回転速度を低下させ、前記傾斜巻を構成する糸が水平方向と成す角度が大きくなるように運転を行う。ここで、ローラパートとはリング精紡機ではドラフト装置を意味し、リング撚糸機では糸を供給する複数組のローラ部を意味する。
【0015】
この発明では、玉揚げ停止時に管糸に傾斜巻を形成する際、リングレールの降下途中からフロントローラの回転速度が低下するため、リングレールの降下速度に対して、糸の送出速度が低下する状態になる。従って、傾斜巻を構成する糸のボビンに対する巻付け角度(水平面と成す角度)が、フロントローラの回転速度が低下する前に比較して大きくなるとともに、傾斜巻を構成する糸の長さが短くなる。その結果、玉揚げ装置による玉揚げ時に、管糸から把持部に至る糸がカッタ部やエッジ部に対して大きな角度で当接する状態となり、糸がカッタ部やエッジ部で切断される。また、傾斜巻が形成される際、撚数は変更されないため、糸質は一定に保持される。
【0016】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記尻糸切断部は、ボビンが嵌挿されるボビン嵌挿部と、該ボビン嵌挿部より下側に設けられたカッタ部とを備え、かつ前記スピンドル基部より上方に延びるブレードに沿って所定範囲で昇降可能に設けられた尻糸切断部材で構成されている。該尻糸切断部材は前記スピンドル基部との間でトラベラから管糸に連なる糸を把持可能に構成されている。玉揚げ停止時にトラベラを経て太番手の糸の大径管糸に連なる糸が尻糸切断部材と前記スピンドル基部との当接部以下の位置を通る状態でリングレールを停止させ、尻糸切断部材とスピンドル基部との当接部以下の位置に糸が1巻以下巻かれた状態でスピンドルを停止させるように、リフティング駆動系及びスピンドル駆動系が駆動制御される。
【0017】
この発明では、ボビンが嵌挿されるボビン嵌挿部と、該ボビン嵌挿部より下側に設けられたカッタ部とを備えた尻糸切断部材が使用され、尻糸切断部材とスピンドル基部との当接部以下の位置に糸が1巻以下巻かれた状態でスピンドルが停止される。従って、玉揚げ装置により管糸が抜き上げられると、抜き上げ途中で管糸からトラベラに連なる糸が尻糸切断部材とスピンドル基部との間に導かれ、その後、尻糸切断部材は上昇が規制されて管糸から離脱して下降し、管糸から離脱した尻糸切断部材とスピンドル基部との間に前記糸が把持される。その状態で、さらに管糸が玉揚げ装置により上昇移動されると糸がカッタ部により切断される。従って、尻糸巻部に1巻より多く(通常、2〜3巻)巻き付けられた尻糸が玉揚げ後に尻糸巻部に残り、玉揚げを繰り返すたびに残糸の量が増加し、残糸処理を頻繁に行う必要がある従来装置と異なり、尻糸処理の手間が無くなる。
【0018】
また、玉揚げ停止時に管糸に傾斜巻を形成する際、リングレールの降下途中から、リングレールの降下速度に対して糸の送出速度が低下する状態になるため、玉揚げ停止時に傾斜巻を構成する糸の長さが短くなる。その結果、糸が尻糸切断部材とスピンドル基部とで把持された状態から管糸がさらに上昇する過程で、管糸から把持部に至る糸がボビン嵌挿部やスピンドルに巻き付くことが抑制され、管糸に連なる糸がカッタ部と当接する箇所以外で切断され難くなる。
【0019】
前記第2の目的を達成するため、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の紡機における玉揚げ停止時の運転方法で停止された後、前記玉揚げ装置により玉揚げを開始する。玉揚げ装置により管糸を抜き上げ、抜き上げ途中まで前記尻糸切断部材を管糸と共に上昇させ、該尻糸切断部材と前記スピンドル基部との間に管糸からトラベラに連なる糸を導く。その後、尻糸切断部材の上昇を規制手段で規制して、管糸から離脱した尻糸切断部材と前記スピンドル基部との間で前記糸を把持し、さらに管糸を玉揚げ装置で上昇させて糸を切断する。
【0020】
太番手の糸の紡出又は撚糸においては、傾斜巻を構成する糸のボビンに対する巻付け角度(水平面と成す角度)が小さくなるため、玉揚げ装置により管糸が上昇される際に糸がカッタ部に当たる角度が小さくなり、カッタ部と対応する位置においてより切断され難くなる。また、傾斜巻を構成する糸の長さが長くなるため、糸が尻糸切断部材とスピンドル基部とで把持された状態から管糸がさらに上昇する過程で、管糸から把持部に至る糸がボビン嵌挿部やスピンドルに巻き付き易くなる。しかし、この発明では、リングレールの降下途中から、リングレールの降下速度に対して糸の送出速度が低下する状態になるため、傾斜巻を構成する糸のボビンに対する巻付け角度(水平面と成す角度)が、フロントローラの回転速度が低下する前に比較して大きくなるとともに、その長さが短くなる。従って、玉揚げ装置による玉揚げ時に、管糸から把持部に至る糸がカッタ部やエッジ部に対して大きな角度で当接する状態となり、糸がカッタ部やエッジ部で切断される。また、糸が尻糸切断部材とスピンドル基部とで把持された状態から管糸がさらに上昇する過程で、管糸から把持部に至る糸がボビン嵌挿部やスピンドルに巻き付くことが抑制され、管糸に連なる糸がカッタ部と当接する箇所以外で切断され難くなる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をリング精紡機に具体化した一実施の形態を図1〜図7に従って説明する。図1はスピンドル回転速度、フロントローラ回転速度、リングレール位置の玉揚げ停止時の経時変化を示すグラフであり、図2は尻糸切断部材及びスピンドル基部の概略斜視図である。図3はリング精紡機の概略構成図である。図4(a)はスピンドルの一部破断模式側面図、(b)は尻糸切断部材の取付け状態を示す断面図である。図5及び図6は玉揚げ時の作用を説明する概略側面図であり、図7は精紡機と玉揚げ装置の関係を示す概略図である。
【0022】
図3に示すように、リフティング駆動系とドラフト装置及びスピンドル駆動系とはそれぞれ独立に駆動制御される。ローラパートとしてのドラフト装置を構成するフロントローラ1の回転軸2は、主モータMにより回転駆動されるドライビングシャフト3との間に配設された歯車列(図示せず)を介して回転駆動されるようになっている。スピンドル4はドライビングシャフト3に固定されたチンプーリ5との間に巻き掛けられたスピンドルテープ(図示せず)を介して回転駆動されるようになっている。即ち、スピンドル駆動系がローラパートと作動連結されている。フロントローラ1及びスピンドル4の回転数比は紡出条件(撚数)に対応して設定されている。
【0023】
主モータMにはインバータ6を介して駆動される可変速モータが使用されている。回転軸2に一体回転可能に固定された歯車2aの近傍にはフロントローラ1の回転に対応してパルス信号を出力するセンサS1が配設されている。
【0024】
リフティング装置はラインシャフト7を介してリングレール8及びラペットアングル9を昇降動させるようになっている。ラペットアングル9にはスネルワイヤ10aを備えたラペット10が取付けられており、フロントローラ1から送り出された糸Yがリング8a上を摺動するトラベラ11にスネルワイヤ10aを経て導かれるようになっている。
【0025】
リフティング装置は、特開平7−300728号公報に開示された装置と基本的に同じ構成である。ラインシャフト7は精紡機機台の長手方向に沿って配設され、所定間隔でねじ歯車12(図3では1個のみ図示)が一体回転可能に嵌着されている。リングレール8は複数のポーカピラー13(図3では1本のみ図示)により支持されている。ポーカピラー13は上下方向に移動可能に機台フレーム(図示せず)に支承されるとともに、その下部側にスクリュー部13aが形成されている。スクリュー部13aは機台フレームの所定高さ位置に回転可能に支持されたナット体14に螺合している。ナット体14の外周にはねじ歯車12と噛合するねじ歯車(図示せず)が一体に形成されている。ラペットアングル9も同様な昇降機構でリングレール8と同期して昇降可能となっている。
【0026】
ラインシャフト7はサーボモータ15の駆動軸に歯車列(図示せず)を介して連結され、回転速度及び回転方向が自由に変更可能となっている。サーボモータ15は制御装置16によりサーボドライバ17を介して駆動制御される。サーボモータ15にはロータリエンコーダ18が装備されている。
【0027】
図4(a)に示すように、スピンドル4はスピンドルレール19に固定されたボルスタ20に軸受21を介して回転可能に支持されている。スピンドル4はブレード部22と、ブレード部22の下側中心部に固着されたスピンドル軸4aとを備え、スピンドル軸4aがボルスタ20に回転可能に支持されている。ブレード部22はスピンドル基部22bを除いた部分がアルミニウム又はアルミニウム合金製で、樹脂製のスピンドル基部22bがブレード22aの下部に嵌合固定されている。スピンドル軸4aはブレード部22にインサート成形されている。
【0028】
スピンドル基部22bより上方に延びるブレード22aには、把持部材としての尻糸切断部材23が昇降可能に設けられている。図4(b)に示すように、尻糸切断部材23はボビンBが嵌挿されるボビン嵌挿部24と、ボビン嵌挿部24より下側に設けられたカッタ部25とを備えている。カッタ部25は円環状の刃体25aを別体とし、刃体25aを固定する複数の係止凸部25bを備えている。この実施の形態では刃体25aの先端の径がボビンBの下端の外径より大きく形成されている。
【0029】
ボビン嵌挿部24は円筒状に形成されるとともに、内側にコイルばね26を収容する凹部24aが形成されている。尻糸切断部材23は常には下端部がスピンドル基部22bと当接してスピンドル基部22bとの間で尻糸を把持可能に構成されている。
【0030】
ブレード22aには、尻糸切断部材23がスピンドル基部22bに当接した状態において、その下部がボビン嵌挿部24の上端と対向する位置にストッパとしてのカラー27が固定されている。カラー27の外径は凹部24aの内径より若干小さく形成され、尻糸切断部材23はカラー27に沿って摺動する。ボビン嵌挿部24はその外径が上側ほど小さくなるように形成されている。
【0031】
コイルばね26は、下端が凹部24aの下端に当接し、上端がカラー27の下端に当接する状態で凹部24a内に収容されている。コイルばね26は、尻糸切断部材23を常にスピンドル基部22b側に付勢するばねを構成する。また、コイルばね26は、尻糸切断部材23とブレード22aとの間に設けられ、玉揚げ時に尻糸切断部材23がスピンドル基部22bと当接する位置より所定高さ以上に上昇するのを規制する規制手段を構成する。
【0032】
図4(b)及び図2に示すように、尻糸切断部材23の下端部及び該下端部に対向するスピンドル基部22bの上端部には、互いに係合可能な複数の凸部28a,28b及び凹部29a,29bが径方向に延びるように設けられている。従って、尻糸切断部材23の下端部及びスピンドル基部22bの上端部は、互いに噛合する複数の歯を備えた構成となっている。凸部28a,28bの高さ及び凹部29a,29bの深さは2mm程度が好ましい。
【0033】
尻糸切断部材23の下端部はスピンドル4を回転中心とし、頂点が前記下端部外周を含みスピンドル4と直交する面より上方に位置する仮想円錐の斜面の一部を構成するように形成されている。スピンドル基部22bの上端部もスピンドル4を回転中心とし、頂点が前記下端部外周を含みスピンドル4と直交する面より上方に位置する仮想円錐の斜面の一部を構成するように形成されている。
【0034】
スピンドル基部22bの各凸部28bのブレード22a側の端面30はスピンドル4を回転中心とした下向きの仮想円錐の斜面を構成する曲面となるように形成されている。尻糸切断部材23の各凹部29aのブレード22a側には、端面30と当接可能で、スピンドルを回転中心とした仮想円錐の斜面を構成する曲面31aを有する壁31が形成されている。端面30及び壁31が尻糸切断部材23のスピンドル基部22bに対する同心を確保する調心手段を構成する。
【0035】
ボビン嵌挿部24の下部外周面には環状の溝32が形成され、溝32内には一部が溝32の外に突出する状態でゴムリング33が収容されている。ゴムリング33はボビン嵌挿部24とボビンBとの嵌合力を高めるための嵌合力増強手段を構成する。
【0036】
図7に示すように、リング精紡機には公知の全錘一斉式の玉揚げ装置(管替装置)34が装備されている。玉揚げ装置34はボビン把持装置35aを備えたドッフィングバー35が昇降されて、スピンドルレール19の下方に配置されたボビン搬送装置36上の空ボビンEと、スピンドル4上の管糸37とを交換する。交換作業の際、スピンドルレール19の前方に配置された中間ぺッグ38に空ボビンEを一時、挿入するようになっている。
【0037】
制御装置16は、CPU(中央処理装置)39、プログラムメモリ40、作業用メモリ41及び入力装置42を備えている。CPU39はプログラムメモリ40に記憶された所定のプログラムデータに基づいて動作し、図示しないインタフェース及び駆動回路を介して主モータM及びサーボモータ15を制御する。
【0038】
プログラムメモリ40は読出し専用メモリ(ROM)よりなり、前記プログラムデータと、その実行に必要な各種データとが記憶されている。プログラムデータとしては巻き取り運転中の主モータM及びサーボモータ15の制御プログラム、玉揚げ停止後の玉揚げ作業(管替え作業)時の玉揚げ装置の制御プログラム及び主モータMの制御プログラムがある。各種データとしては紡出糸番手及び紡出運転時のスピンドル回転数等の紡出条件と、満管までのリングレール8のチェイス回数との対応データがある。
【0039】
作業用メモリ41は読出し及び書替え可能なメモリ(RAM)よりなり、入力装置42により入力されたデータやCPU39における演算処理結果等を一時記憶する。作業用メモリ41はバックアップ電源(図示せず)を備えている。
【0040】
入力装置42は紡出糸番手、紡出運転時のスピンドル回転数、紡出長、リフト長、チェイス長等の紡出条件データの入力に使用される。
CPU39はインタフェースを介してセンサS1及びロータリエンコーダ18と接続されている。CPU39はセンサS1からの出力信号に基づいて紡出量を演算する。CPU39はロータリエンコーダ18の出力信号に基づいてリングレール8の移動方向及び位置を認識し、その値に基づいてリングレール8が紡出条件に対応した所定の昇降運動を行うようにサーボモータ15を制御する。
【0041】
CPU39は、傾斜巻形成時にロータリエンコーダ18の出力信号に基づいて、リングレール8が所定の位置まで下降した時点からフロントローラ1の回転速度を低下させるように主モータMを制御する。前記フロントローラ1の回転速度を低速に変更する開始時期を決定する所定位置の高さは、予め紡出条件に対応して試験により求めて設定される。
【0042】
次に前記のように構成された装置の作用を説明する。紡機の運転に先立って、まず、紡出糸番手、紡出運転時のスピンドル回転数、紡出長、リフト長、チェイス長等の紡出条件データが入力装置42により入力される。ボビンBはその下部が尻糸切断部材23のボビン嵌挿部24に嵌合され、上部が係止部材に係合された状態でスピンドル4に一体回転可能に装着される。
【0043】
制御装置16は入力装置42により入力されて作業用メモリ41に記憶された紡出条件に従って、サーボモータ15を主モータMと同期して駆動制御する。サーボモータ15が駆動されると歯車列を介してラインシャフト7が回転され、リングレール8及びラペットアングル9等が上昇又は下降される。また、フロントローラ1から送出された糸Yはスネルワイヤ10a及びトラベラ11を経てボビンBに巻き取られる。
【0044】
紡出が継続されて満管停止時期になると、図5(a)に示すように、トップバンチ巻43が形成された後、リングレール8が急降下されて、スピンドル4に装着されている管糸(満ボビン)37に傾斜巻(胴巻)37aが形成される。その後、リングレール8は、トラベラ11を経て管糸37に連なる糸Yが尻糸切断部材23とスピンドル基部22bとの当接部以下の位置を通る状態で停止する。そして、尻糸切断部材23とスピンドル基部22bとの当接部より少し下側の位置に約1巻の糸が巻かれた状態となるようにブレーキが掛けられてスピンドル4が停止され、図5(b)に示す状態となる。
【0045】
次に図6(a)に示すように、ラペット10が玉揚げに支障とならない退避位置に配置され、玉揚げ装置34により管糸(満ボビン)37が抜き上げられる。抜き上げ途中まで尻糸切断部材23が管糸37と共に上昇され、尻糸切断部材23とスピンドル基部22bとの間に管糸37からトラベラ11に連なる糸Yが導かれる。スピンドル基部22bに巻かれた状態の糸Yは、管糸37と共に尻糸切断部材23が上昇すると、ブレード22aの外面に沿って移動する。管糸37と共に上昇する尻糸切断部材23が所定の高さに達すると、コイルばね26の付勢力により尻糸切断部材23が管糸37から離脱する。そして、尻糸切断部材23がスピンドル基部22bと当接する位置まで下降し、管糸37からトラベラ11に連なる糸Yが尻糸切断部材23とスピンドル基部22bとの間に把持される。
【0046】
管糸37は上昇を継続しているため、糸Yが刃体25aに緊張状態で圧接されて切断され、図6(b)に示す状態となる。さらに、玉揚げ装置34の作動が継続され、管糸37が玉揚げされて図6(c)に示す状態となる。その後、空のボビンBがスピンドル4に挿入され、ラペット10が巻取り位置へと回動配置された後、機台が再起動される。トラベラ11に連なる糸Yの端部は次の玉揚げまで、尻糸切断部材23とスピンドル基部22bとの間に把持される。そして、尻糸切断部材23とスピンドル基部22bとの間に把持された尻糸は、次回の玉揚げの際に管糸37に連なってスピンドル4から離脱する。
【0047】
太番手の糸の紡出において大径の管糸37を使用する場合は、傾斜巻37aを構成する糸YのボビンBに対する巻付け角度(水平面と成す角度)が小さくなるため、そのまま管糸37が上昇されると傾斜巻37aの下側の糸Yがスピンドル4に巻き付く場合がある。その状態で管糸37が抜き上げられると、糸Yはカッタ部25があってもカッタ部25で切断されずにカッタ部25より上方で引き千切られて糸端が長くなる。
【0048】
しかし、この実施の形態では、図1に示すように、玉揚げ停止時には、トップバンチ巻43を形成する前からフロントローラ1及びスピンドル4の回転速度が同期して低減され、トップバンチ巻43の形成が完了するまでに、スピンドル4の回転速度がV1に低下される。そして、リングレール8の降下途中から、傾斜巻37aを構成する糸Yの水平方向と成す角度が大きくなるように、フロントローラ1及びスピンドル4の回転速度がさらに低下され、スピンドル4の回転速度がV2に低下されるように主モータMが制御される。従って、撚数が変更されずに、リングレール8の降下途中から、リングレール8の降下速度は変わらずに糸Yの送出速度がより低下する状態になり、傾斜巻37aを構成する糸YのボビンBに対する巻付け角度が、フロントローラ1の回転速度が低下する前に比較して大きくなるとともに、その長さが短くなる。
【0049】
図1において、二点鎖線の部分はフロントローラ1の回転速度を低下させない場合のフロントローラ1及びスピンドル4の回転速度変化を示し、実線がフロントローラ1の回転速度を低下させる場合のフロントローラ1及びスピンドル4の回転速度変化を示す。なお、図1はリングレール8の位置変化と、フロントローラ1及びスピンドル4の回転速度の変化の傾向を示すものであり、フロントローラ1及びスピンドル4の回転速度の比は実際の比と異なる状態で図示している。また、リングレール8の昇降量も実際の値を反映していない。
【0050】
以上の結果、玉揚げ装置34による玉揚げ時に、管糸37から把持部に至る糸Yがカッタ部25に対して大きな角度で当接する状態となり、糸Yがカッタ部25で確実に切断される。また、傾斜巻37aを構成する糸Yの長さが短くなるため、糸Yが尻糸切断部材23とスピンドル基部22bとで把持された状態から管糸37がさらに上昇する過程で、管糸37から把持部に至る糸Yがボビン嵌挿部24やスピンドル4に巻き付くことが抑制される。そして、管糸37に連なる糸Yがカッタ部25と当接する箇所以外で切断され難くなる。また、傾斜巻37aが形成される際、撚数は変更されないため、糸質は一定に保持される。
【0051】
この実施の形態では以下の効果を有する。
(1) 玉揚げ停止時に管糸37に傾斜巻37aを形成する際、撚数を変更せずにリングレール8の降下途中からフロントローラ1の回転速度を低下させ、傾斜巻37aを構成する糸Yが水平方向と成す角度が大きくなるように運転を行う。従って、傾斜巻37aを構成する糸YのボビンBに対する巻付け角度(水平面と成す角度)が、フロントローラ1の回転速度が低下する前に比較して大きくなるとともに、傾斜巻37aを構成する糸Yの長さが短くなる。そして、玉揚げ装置34による玉揚げ時に、管糸37から把持部に至る糸Yがカッタ部25に対して大きな角度で当接する状態となり、糸Yが糸端が短い状態と成るようにカッタ部25で切断される。その結果、巻き取り時にスピンドル4を回転するのに必要な消費電力(動力消費)の増大や、風綿飛散の増加を防止できる。また、傾斜巻37aが形成される際、撚数は変更されないため、糸質は一定に保持される。
【0052】
(2) ボビンBが嵌挿されるボビン嵌挿部24と、ボビン嵌挿部24より下側に設けられたカッタ部25とを備えた尻糸切断部材23が使用され、尻糸切断部材23とスピンドル基部22bとの当接部以下の位置に糸Yが1巻以下巻かれた状態でスピンドル4が停止される。従って、尻糸巻部に1巻より多く(通常、2〜3巻)巻き付けられた尻糸が玉揚げ後に尻糸巻部に残り、玉揚げを繰り返すたびに残糸の量が増加して残糸処理を頻繁に行う必要がある従来装置と異なり、尻糸処理の手間が無くなる。
【0053】
(3) 糸Yは、尻糸切断部材23の下端部及び該下端部に対向するスピンドル基部22bの上端部に径方向に延びるように設けられた複数の凸部28a,28b及び凹部29a,29bにより屈曲された状態で把持される。従って、尻糸切断部材23をスピンドル基部22b側に押圧する力が玉揚げ装置34の動作に支障を与えない程小さくても、糸Yを確実に把持できる。
【0054】
(4) 尻糸切断部材23の下端部となる凸部28aの下面及び凹部29aの底面は、それぞれスピンドル4を回転中心とし、頂点が前記下端部外周を含みスピンドル4と直交する面より上方に位置する仮想円錐の斜面の一部を構成するように形成されている。スピンドル4に1巻以内で巻き付いた状態の糸Yに、把持部から糸を引き抜く方向の力が作用した場合、糸Yには半径方向かつ外側へ向かう力が作用する。その際、把持面となる凸部28aの下面や凹部29aの底面が下方へ傾斜している場合は、糸Yの把持が水平面で行われる場合に比較して、凸部28a及び凹部29aのエッジにおいて糸Yに加わる抵抗が大きくなり、糸が引き出され難くなる。その結果、糸Yの把持に必要な尻糸切断部材23の押圧力を把持面が水平の場合に比較して小さくできる。
【0055】
(5) 尻糸切断部材23のスピンドル基部22bに対する同心を確保する調心手段を備えている。従って、調心手段の作用により、尻糸切断部材23がスピンドル4と同心状で回転されるため、回転中に振動が生じ難くなり、高速回転の場合も安定して回転できる。
【0056】
(6) スピンドル駆動系及びフロントローラ1は1個のモータで駆動されるため、撚数を一定に保持した状態でフロントローラ1の回転速度を変更するのが容易になる。
【0057】
実施の形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
〇 尻糸切断部材23はスピンドル基部22bと対向する面に凸部28a及び凹部29aを形成したり、カッタ部25として刃体25aを別体とした構成に限らない。例えば、図8に示すように、尻糸切断部材23としてボビン嵌挿部24の下端に円板状の刃部24bを一体に形成してもよい。刃部24bの外形は円形に限らず、鋸歯状であってもよい。
【0058】
〇 ドラフト装置及びスピンドル駆動系は、フロントローラ1の回転速度が変更されても撚数が一定に保持される構成であればよく、共通のドライビングシャフト3で駆動される構成に限らない。例えば、ドラフト装置とスピンドル駆動系とがそれぞれ別のモータで駆動される構成であっても、フロントローラ1の送出速度とスピンドル4の巻取り速度とが一定の比で駆動される構成であればよい。この場合、撚数の変更を伴う紡出条件の変更が容易になる。
【0059】
○ スピンドル基部22b及び尻糸切断部材23の両者を金属製としてもよい。
○ 凸部28a,28bの先端面及び凹部29a,29bの底面は外側に向かって下降傾斜する形状に限らず、水平であってもよい。しかし、把持した糸Yを引き抜く力が作用した場合、下降傾斜する形状の方が糸の引き抜きに対する抵抗が大きくなり、糸が引き出され難くなる。
【0060】
○ 嵌合力増強手段はゴムリング33に限らず、板状又は線状のばね材を使用してもよい。ばね材は完全なリング状に限らず、一部が切り欠かれたリング状としてもよい。また、ボビン嵌挿部24の外面に形成した凹部内に、ばね材を円弧部が突出するように収容してもよい。また、ばねで付勢されたボタンを設けてもよい。
【0061】
〇 玉揚げ停止時にスピンドル基部と共同して、トラベラ11から管糸37に連なる糸Yを把持可能な把持部材は、尻糸切断部材23のように玉揚げ時に管糸37と一体的に上昇した後、下降して糸Yを把持する構成に限らない。例えば、特許文献3に記載されたもののように、スピンドルの下部に設けられた固定のアンダーワインディングカラーと、その下方で昇降するスリーブとでトラベラから管糸に連なる糸を把持する構成としてもよい。また、カッタ部25を設ける代わりに、エッジ部を設けて、管糸37の玉揚げ時に糸Yをエッジ部に当接させて引き千切るようにしてもよい。
【0062】
○ スピンドル4の駆動方式は、スピンドル4をチンプーリ5に巻き掛けられるスピンドルテープで駆動する構成に代えて、タンゼンシャルベルトにより駆動する構成としてもよい。また、各錘毎にモータを設ける、所謂単錘駆動方式であってもよい。
【0063】
〇 リング精紡機に限らずリング撚糸機に適用してもよい。
前記実施の形態から把握できる発明(技術的思想)について、以下に記載する。
【0064】
(1) 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、スピンドル駆動系及びローラパートは1個のモータで駆動される。
(2) 請求項2に記載の発明において、前記尻糸切断部材の下端部及び該下端部に対向する前記スピンドル基部の上端部に、互いに係合可能な複数の凸部及び凹部が設けられている。
【0065】
【発明の効果】
以上、詳述したように、請求項1及び請求項2に記載の発明によれば、太番手の糸の場合でも、糸をカッタ部又はエッジ部と対応する位置で切断することを可能にできる。また、請求項3に記載の発明によれば、太番手の糸の場合でも、糸をカッタ部又はエッジ部と対応する位置で切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スピンドル回転速度、フロントボトムローラ回転速度、リングレール位置の玉揚げ停止時の経時変化を示すグラフ。
【図2】尻糸切断部材及びスピンドル基部の概略斜視図。
【図3】リング精紡機の概略構成図。
【図4】(a)はスピンドルの一部破断模式側面図、(b)は尻糸切断部材の取付け状態を示す断面図。
【図5】(a),(b)は一実施の形態の玉揚げ時の作用を説明する概略側面図。
【図6】(a)〜(c)は同じく概略側面図。
【図7】精紡機と玉揚げ装置の関係を示す概略図。
【図8】別の実施の形態の尻糸切断部材の断面図。
【図9】従来の玉揚げ停止時のリングレール等の経時変化を示すグラフ。
【図10】(a),(b)は従来技術を示す概略側面図、(c)は太番手で大径管糸の場合の概略側面図。
【符号の説明】
B…ボビン、E…空ボビン、Y…糸、1…フロントローラ、4…スピンドル、8…リングレール、11…トラベラ、22a…ブレード、22b…スピンドル基部、23…尻糸切断部を構成する尻糸切断部材、24…ボビン嵌挿部、25…カッタ部、34…玉揚げ装置、37…管糸、37a…傾斜巻。
【発明の属する技術分野】
本発明は、リング精紡機、リング撚糸機等の紡機における玉揚げ停止時の運転方法及び玉揚げ時の糸切断方法に関する。詳しくはスピンドルに尻糸切断部を備え、玉揚げ装置により管糸が抜き上げられたスピンドルに空ボビンが挿入された後の機台再起動時に、自動的に糸の巻き取りが行われる紡機における玉揚げ停止時の運転方法及び玉揚げ時の糸切断方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
トラベラを介して糸の巻き取りを行うリング精紡機、リング撚糸機等の紡機においては、満管時に管替作業を自動的に行い、管替後の再起動時に糸を空ボビンに自動的に巻き取ることができるように、ローラパートに連なる糸がトラベラに通ったままスピンドルに接続していることが要求される。この要求を満たすため、従来、スピンドル基部に尻糸切断部と、その下方に尻糸巻部を設け、満管後、リングレールを急降下させて傾斜巻を行った後、尻糸巻部に糸を巻付け、満管糸の引き抜き時に尻糸巻部から満管糸に連なる糸(尻糸)を尻糸切断部で切断していた(例えば、特許文献1参照)。なお、ローラパートとはリング精紡機ではドラフト装置を意味し、リング撚糸機では糸を供給する複数組のローラ部を意味する。
【0003】
また、満管停止時には、本願明細書の図9に示すように、リングレールが時刻t0から所定の位置まで上昇されてトップバンチ巻動作が開始される。このときスピンドルは緩速回転となり、スピンドルの回転速度がV1に保たれている。トップバンチ巻が巻かれた後、リングレールが急降下されて、管糸の周面に傾斜巻が形成される。そして、尻糸巻開始位置L0に達した後、通常の巻取り時の昇降速度より遅い低速の一定速度で尻糸巻終了位置L1まで上昇される。尻糸巻終了後、リングレールが一次上昇位置L3まで上昇された後、停止される。
【0004】
ところが、この切断方法では、尻糸巻部に巻き付けられた尻糸が玉揚げ後に尻糸巻部に残り、玉揚げを繰り返すたびに残糸の量が増加し、残糸処理を頻繁に行う必要がある。また、尻糸の巻付け長さが長いため、残糸を除去し難いという問題がある。
【0005】
前記の問題を解消するため、トラベラから管糸に連なる糸を開閉可能な把持部で把持し、玉揚げ装置による管糸の抜き上げ動作により、前記把持部から管糸に連なる糸をカッタで切断する尻糸切断方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
特許文献2に記載の方法では、尻糸切断部としてスピンドル基部から上方に延びるブレードに対して昇降可能に設けた特別な尻糸切断部材を使用している。本願明細書の図10(b)に示すように、尻糸切断部材51はボビンBが嵌挿されるボビン嵌挿部51aと、ボビン嵌挿部51aより下側に設けられたカッタ部51bを備えている。そして、玉揚げ停止時に、トラベラを経て管糸に連なる糸が尻糸切断部材51と前記スピンドル基部との当接部以下の位置を通る状態でリングレールを停止させ、前記当接部より少し下の位置に約1巻以下に糸が巻かれた状態でスピンドルを停止させる。その状態から、本願明細書の図10(a)に示すように、玉揚げ装置52により管糸53が抜き上げられ、抜き上げ途中まで尻糸切断部材51が管糸53と共に上昇され、管糸53からリングレール55のトラベラ56に連なる糸Yが尻糸切断部材51とスピンドル基部54との間に導かれる。
【0007】
その後、尻糸切断部材51の上昇が規制手段によって規制され、本願明細書の図10(b)に示すように、管糸53から離脱した尻糸切断部材51がスピンドル基部54と当接する位置まで下降する。そして、管糸53からリングレール55のトラベラ56に連なる糸Yが尻糸切断部材51とスピンドル基部54との間に把持され、さらに管糸53が上昇することによりカッタ部51bで糸Yが切断される。
【0008】
また、スピンドルの下部に設けられた固定のアンダーワインディングカラーと、その下方で昇降可能に設けられたスリーブとでトラベラから管糸に連なる糸を把持し、カッタを使用せずに玉揚げ途中で管糸から把持部に連なる糸をエッジ部に当接させて引き千切る方法も開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開平9−302535号公報(明細書の段落[0019],[0020]、図2,3)
【特許文献2】
特開2002−173837号公報(明細書の段落[0021]〜[0028]、図1〜図3)
【特許文献3】
特開平10−317233号公報(明細書の段落[0009]、[0014]、図1,2,9)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、太番手の糸では単糸強力が強く、糸がカッタ部やエッジ部と対応する位置で切断されずに引き千切られ、カッタ部51bやエッジ部で切断される場合に比較して切断糸端が長くなる。切断糸端が長くなると、巻き取り時にスピンドルを回転するのに必要な消費電力(動力消費)が増加するとともに、風綿飛散の原因となる。
【0011】
また、太番手の糸の紡出あるいは撚糸において大径の管糸を使用する場合は、図10(c)に示すように、傾斜巻53aを構成する糸のボビンに対する巻付け角度(水平面と成す角度)が細番手の場合に比較して小さくなる。前記巻付け角度が小さな状態で、特許文献2の方法を実施すると、糸Yが尻糸切断部材51とスピンドル基部54とで把持された状態から管糸53がさらに上昇する過程で、管糸53から把持部に至る糸Yがボビン嵌挿部51aやスピンドルに巻き付く場合がある。その場合、糸Yはカッタ部51bによってより切断され難くなって引き千切られる。カッタ部51bの径を大きくすれば、糸Yはカッタ部51bと当接する位置で切断可能となるが、巻き取り運転中の消費電力が増大する。
【0012】
また、特許文献3に開示された方法のように、管糸を引き抜く際に、糸をエッジ部に当接させて引き千切る場合も、太番手の糸で管糸が大径の場合は、把持部から管糸に連なる糸のエッジ部と成す角度が小さくなる。その結果、糸がエッジ部で引き千切られず糸端が長くなり、前記と同様な問題が生じる。
【0013】
本発明は前記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その第1の目的は太番手の糸の場合でも、糸をカッタ部又はエッジ部と対応する位置で切断することを可能にする紡機における玉揚げ停止時の運転方法を提供することにある。また、第2の目的は、太番手の糸の場合でも、糸をカッタ部又はエッジ部と対応する位置で切断することができる紡機における玉揚げ時の糸切断方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記第1の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、スピンドルに尻糸切断部を備え、玉揚げ装置により管糸が抜き上げられたスピンドルに空ボビンが挿入された後の機台再起動時に、自動的に糸の巻き取りが行われる紡機における玉揚げ停止時の運転方法である。紡機はスピンドル駆動系及びローラパートがリフティング駆動系と独立して駆動可能に構成されている。玉揚げ停止時に管糸に傾斜巻を形成する際、撚数を変更せずにリングレールの降下途中からフロントローラの回転速度を低下させ、前記傾斜巻を構成する糸が水平方向と成す角度が大きくなるように運転を行う。ここで、ローラパートとはリング精紡機ではドラフト装置を意味し、リング撚糸機では糸を供給する複数組のローラ部を意味する。
【0015】
この発明では、玉揚げ停止時に管糸に傾斜巻を形成する際、リングレールの降下途中からフロントローラの回転速度が低下するため、リングレールの降下速度に対して、糸の送出速度が低下する状態になる。従って、傾斜巻を構成する糸のボビンに対する巻付け角度(水平面と成す角度)が、フロントローラの回転速度が低下する前に比較して大きくなるとともに、傾斜巻を構成する糸の長さが短くなる。その結果、玉揚げ装置による玉揚げ時に、管糸から把持部に至る糸がカッタ部やエッジ部に対して大きな角度で当接する状態となり、糸がカッタ部やエッジ部で切断される。また、傾斜巻が形成される際、撚数は変更されないため、糸質は一定に保持される。
【0016】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記尻糸切断部は、ボビンが嵌挿されるボビン嵌挿部と、該ボビン嵌挿部より下側に設けられたカッタ部とを備え、かつ前記スピンドル基部より上方に延びるブレードに沿って所定範囲で昇降可能に設けられた尻糸切断部材で構成されている。該尻糸切断部材は前記スピンドル基部との間でトラベラから管糸に連なる糸を把持可能に構成されている。玉揚げ停止時にトラベラを経て太番手の糸の大径管糸に連なる糸が尻糸切断部材と前記スピンドル基部との当接部以下の位置を通る状態でリングレールを停止させ、尻糸切断部材とスピンドル基部との当接部以下の位置に糸が1巻以下巻かれた状態でスピンドルを停止させるように、リフティング駆動系及びスピンドル駆動系が駆動制御される。
【0017】
この発明では、ボビンが嵌挿されるボビン嵌挿部と、該ボビン嵌挿部より下側に設けられたカッタ部とを備えた尻糸切断部材が使用され、尻糸切断部材とスピンドル基部との当接部以下の位置に糸が1巻以下巻かれた状態でスピンドルが停止される。従って、玉揚げ装置により管糸が抜き上げられると、抜き上げ途中で管糸からトラベラに連なる糸が尻糸切断部材とスピンドル基部との間に導かれ、その後、尻糸切断部材は上昇が規制されて管糸から離脱して下降し、管糸から離脱した尻糸切断部材とスピンドル基部との間に前記糸が把持される。その状態で、さらに管糸が玉揚げ装置により上昇移動されると糸がカッタ部により切断される。従って、尻糸巻部に1巻より多く(通常、2〜3巻)巻き付けられた尻糸が玉揚げ後に尻糸巻部に残り、玉揚げを繰り返すたびに残糸の量が増加し、残糸処理を頻繁に行う必要がある従来装置と異なり、尻糸処理の手間が無くなる。
【0018】
また、玉揚げ停止時に管糸に傾斜巻を形成する際、リングレールの降下途中から、リングレールの降下速度に対して糸の送出速度が低下する状態になるため、玉揚げ停止時に傾斜巻を構成する糸の長さが短くなる。その結果、糸が尻糸切断部材とスピンドル基部とで把持された状態から管糸がさらに上昇する過程で、管糸から把持部に至る糸がボビン嵌挿部やスピンドルに巻き付くことが抑制され、管糸に連なる糸がカッタ部と当接する箇所以外で切断され難くなる。
【0019】
前記第2の目的を達成するため、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の紡機における玉揚げ停止時の運転方法で停止された後、前記玉揚げ装置により玉揚げを開始する。玉揚げ装置により管糸を抜き上げ、抜き上げ途中まで前記尻糸切断部材を管糸と共に上昇させ、該尻糸切断部材と前記スピンドル基部との間に管糸からトラベラに連なる糸を導く。その後、尻糸切断部材の上昇を規制手段で規制して、管糸から離脱した尻糸切断部材と前記スピンドル基部との間で前記糸を把持し、さらに管糸を玉揚げ装置で上昇させて糸を切断する。
【0020】
太番手の糸の紡出又は撚糸においては、傾斜巻を構成する糸のボビンに対する巻付け角度(水平面と成す角度)が小さくなるため、玉揚げ装置により管糸が上昇される際に糸がカッタ部に当たる角度が小さくなり、カッタ部と対応する位置においてより切断され難くなる。また、傾斜巻を構成する糸の長さが長くなるため、糸が尻糸切断部材とスピンドル基部とで把持された状態から管糸がさらに上昇する過程で、管糸から把持部に至る糸がボビン嵌挿部やスピンドルに巻き付き易くなる。しかし、この発明では、リングレールの降下途中から、リングレールの降下速度に対して糸の送出速度が低下する状態になるため、傾斜巻を構成する糸のボビンに対する巻付け角度(水平面と成す角度)が、フロントローラの回転速度が低下する前に比較して大きくなるとともに、その長さが短くなる。従って、玉揚げ装置による玉揚げ時に、管糸から把持部に至る糸がカッタ部やエッジ部に対して大きな角度で当接する状態となり、糸がカッタ部やエッジ部で切断される。また、糸が尻糸切断部材とスピンドル基部とで把持された状態から管糸がさらに上昇する過程で、管糸から把持部に至る糸がボビン嵌挿部やスピンドルに巻き付くことが抑制され、管糸に連なる糸がカッタ部と当接する箇所以外で切断され難くなる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をリング精紡機に具体化した一実施の形態を図1〜図7に従って説明する。図1はスピンドル回転速度、フロントローラ回転速度、リングレール位置の玉揚げ停止時の経時変化を示すグラフであり、図2は尻糸切断部材及びスピンドル基部の概略斜視図である。図3はリング精紡機の概略構成図である。図4(a)はスピンドルの一部破断模式側面図、(b)は尻糸切断部材の取付け状態を示す断面図である。図5及び図6は玉揚げ時の作用を説明する概略側面図であり、図7は精紡機と玉揚げ装置の関係を示す概略図である。
【0022】
図3に示すように、リフティング駆動系とドラフト装置及びスピンドル駆動系とはそれぞれ独立に駆動制御される。ローラパートとしてのドラフト装置を構成するフロントローラ1の回転軸2は、主モータMにより回転駆動されるドライビングシャフト3との間に配設された歯車列(図示せず)を介して回転駆動されるようになっている。スピンドル4はドライビングシャフト3に固定されたチンプーリ5との間に巻き掛けられたスピンドルテープ(図示せず)を介して回転駆動されるようになっている。即ち、スピンドル駆動系がローラパートと作動連結されている。フロントローラ1及びスピンドル4の回転数比は紡出条件(撚数)に対応して設定されている。
【0023】
主モータMにはインバータ6を介して駆動される可変速モータが使用されている。回転軸2に一体回転可能に固定された歯車2aの近傍にはフロントローラ1の回転に対応してパルス信号を出力するセンサS1が配設されている。
【0024】
リフティング装置はラインシャフト7を介してリングレール8及びラペットアングル9を昇降動させるようになっている。ラペットアングル9にはスネルワイヤ10aを備えたラペット10が取付けられており、フロントローラ1から送り出された糸Yがリング8a上を摺動するトラベラ11にスネルワイヤ10aを経て導かれるようになっている。
【0025】
リフティング装置は、特開平7−300728号公報に開示された装置と基本的に同じ構成である。ラインシャフト7は精紡機機台の長手方向に沿って配設され、所定間隔でねじ歯車12(図3では1個のみ図示)が一体回転可能に嵌着されている。リングレール8は複数のポーカピラー13(図3では1本のみ図示)により支持されている。ポーカピラー13は上下方向に移動可能に機台フレーム(図示せず)に支承されるとともに、その下部側にスクリュー部13aが形成されている。スクリュー部13aは機台フレームの所定高さ位置に回転可能に支持されたナット体14に螺合している。ナット体14の外周にはねじ歯車12と噛合するねじ歯車(図示せず)が一体に形成されている。ラペットアングル9も同様な昇降機構でリングレール8と同期して昇降可能となっている。
【0026】
ラインシャフト7はサーボモータ15の駆動軸に歯車列(図示せず)を介して連結され、回転速度及び回転方向が自由に変更可能となっている。サーボモータ15は制御装置16によりサーボドライバ17を介して駆動制御される。サーボモータ15にはロータリエンコーダ18が装備されている。
【0027】
図4(a)に示すように、スピンドル4はスピンドルレール19に固定されたボルスタ20に軸受21を介して回転可能に支持されている。スピンドル4はブレード部22と、ブレード部22の下側中心部に固着されたスピンドル軸4aとを備え、スピンドル軸4aがボルスタ20に回転可能に支持されている。ブレード部22はスピンドル基部22bを除いた部分がアルミニウム又はアルミニウム合金製で、樹脂製のスピンドル基部22bがブレード22aの下部に嵌合固定されている。スピンドル軸4aはブレード部22にインサート成形されている。
【0028】
スピンドル基部22bより上方に延びるブレード22aには、把持部材としての尻糸切断部材23が昇降可能に設けられている。図4(b)に示すように、尻糸切断部材23はボビンBが嵌挿されるボビン嵌挿部24と、ボビン嵌挿部24より下側に設けられたカッタ部25とを備えている。カッタ部25は円環状の刃体25aを別体とし、刃体25aを固定する複数の係止凸部25bを備えている。この実施の形態では刃体25aの先端の径がボビンBの下端の外径より大きく形成されている。
【0029】
ボビン嵌挿部24は円筒状に形成されるとともに、内側にコイルばね26を収容する凹部24aが形成されている。尻糸切断部材23は常には下端部がスピンドル基部22bと当接してスピンドル基部22bとの間で尻糸を把持可能に構成されている。
【0030】
ブレード22aには、尻糸切断部材23がスピンドル基部22bに当接した状態において、その下部がボビン嵌挿部24の上端と対向する位置にストッパとしてのカラー27が固定されている。カラー27の外径は凹部24aの内径より若干小さく形成され、尻糸切断部材23はカラー27に沿って摺動する。ボビン嵌挿部24はその外径が上側ほど小さくなるように形成されている。
【0031】
コイルばね26は、下端が凹部24aの下端に当接し、上端がカラー27の下端に当接する状態で凹部24a内に収容されている。コイルばね26は、尻糸切断部材23を常にスピンドル基部22b側に付勢するばねを構成する。また、コイルばね26は、尻糸切断部材23とブレード22aとの間に設けられ、玉揚げ時に尻糸切断部材23がスピンドル基部22bと当接する位置より所定高さ以上に上昇するのを規制する規制手段を構成する。
【0032】
図4(b)及び図2に示すように、尻糸切断部材23の下端部及び該下端部に対向するスピンドル基部22bの上端部には、互いに係合可能な複数の凸部28a,28b及び凹部29a,29bが径方向に延びるように設けられている。従って、尻糸切断部材23の下端部及びスピンドル基部22bの上端部は、互いに噛合する複数の歯を備えた構成となっている。凸部28a,28bの高さ及び凹部29a,29bの深さは2mm程度が好ましい。
【0033】
尻糸切断部材23の下端部はスピンドル4を回転中心とし、頂点が前記下端部外周を含みスピンドル4と直交する面より上方に位置する仮想円錐の斜面の一部を構成するように形成されている。スピンドル基部22bの上端部もスピンドル4を回転中心とし、頂点が前記下端部外周を含みスピンドル4と直交する面より上方に位置する仮想円錐の斜面の一部を構成するように形成されている。
【0034】
スピンドル基部22bの各凸部28bのブレード22a側の端面30はスピンドル4を回転中心とした下向きの仮想円錐の斜面を構成する曲面となるように形成されている。尻糸切断部材23の各凹部29aのブレード22a側には、端面30と当接可能で、スピンドルを回転中心とした仮想円錐の斜面を構成する曲面31aを有する壁31が形成されている。端面30及び壁31が尻糸切断部材23のスピンドル基部22bに対する同心を確保する調心手段を構成する。
【0035】
ボビン嵌挿部24の下部外周面には環状の溝32が形成され、溝32内には一部が溝32の外に突出する状態でゴムリング33が収容されている。ゴムリング33はボビン嵌挿部24とボビンBとの嵌合力を高めるための嵌合力増強手段を構成する。
【0036】
図7に示すように、リング精紡機には公知の全錘一斉式の玉揚げ装置(管替装置)34が装備されている。玉揚げ装置34はボビン把持装置35aを備えたドッフィングバー35が昇降されて、スピンドルレール19の下方に配置されたボビン搬送装置36上の空ボビンEと、スピンドル4上の管糸37とを交換する。交換作業の際、スピンドルレール19の前方に配置された中間ぺッグ38に空ボビンEを一時、挿入するようになっている。
【0037】
制御装置16は、CPU(中央処理装置)39、プログラムメモリ40、作業用メモリ41及び入力装置42を備えている。CPU39はプログラムメモリ40に記憶された所定のプログラムデータに基づいて動作し、図示しないインタフェース及び駆動回路を介して主モータM及びサーボモータ15を制御する。
【0038】
プログラムメモリ40は読出し専用メモリ(ROM)よりなり、前記プログラムデータと、その実行に必要な各種データとが記憶されている。プログラムデータとしては巻き取り運転中の主モータM及びサーボモータ15の制御プログラム、玉揚げ停止後の玉揚げ作業(管替え作業)時の玉揚げ装置の制御プログラム及び主モータMの制御プログラムがある。各種データとしては紡出糸番手及び紡出運転時のスピンドル回転数等の紡出条件と、満管までのリングレール8のチェイス回数との対応データがある。
【0039】
作業用メモリ41は読出し及び書替え可能なメモリ(RAM)よりなり、入力装置42により入力されたデータやCPU39における演算処理結果等を一時記憶する。作業用メモリ41はバックアップ電源(図示せず)を備えている。
【0040】
入力装置42は紡出糸番手、紡出運転時のスピンドル回転数、紡出長、リフト長、チェイス長等の紡出条件データの入力に使用される。
CPU39はインタフェースを介してセンサS1及びロータリエンコーダ18と接続されている。CPU39はセンサS1からの出力信号に基づいて紡出量を演算する。CPU39はロータリエンコーダ18の出力信号に基づいてリングレール8の移動方向及び位置を認識し、その値に基づいてリングレール8が紡出条件に対応した所定の昇降運動を行うようにサーボモータ15を制御する。
【0041】
CPU39は、傾斜巻形成時にロータリエンコーダ18の出力信号に基づいて、リングレール8が所定の位置まで下降した時点からフロントローラ1の回転速度を低下させるように主モータMを制御する。前記フロントローラ1の回転速度を低速に変更する開始時期を決定する所定位置の高さは、予め紡出条件に対応して試験により求めて設定される。
【0042】
次に前記のように構成された装置の作用を説明する。紡機の運転に先立って、まず、紡出糸番手、紡出運転時のスピンドル回転数、紡出長、リフト長、チェイス長等の紡出条件データが入力装置42により入力される。ボビンBはその下部が尻糸切断部材23のボビン嵌挿部24に嵌合され、上部が係止部材に係合された状態でスピンドル4に一体回転可能に装着される。
【0043】
制御装置16は入力装置42により入力されて作業用メモリ41に記憶された紡出条件に従って、サーボモータ15を主モータMと同期して駆動制御する。サーボモータ15が駆動されると歯車列を介してラインシャフト7が回転され、リングレール8及びラペットアングル9等が上昇又は下降される。また、フロントローラ1から送出された糸Yはスネルワイヤ10a及びトラベラ11を経てボビンBに巻き取られる。
【0044】
紡出が継続されて満管停止時期になると、図5(a)に示すように、トップバンチ巻43が形成された後、リングレール8が急降下されて、スピンドル4に装着されている管糸(満ボビン)37に傾斜巻(胴巻)37aが形成される。その後、リングレール8は、トラベラ11を経て管糸37に連なる糸Yが尻糸切断部材23とスピンドル基部22bとの当接部以下の位置を通る状態で停止する。そして、尻糸切断部材23とスピンドル基部22bとの当接部より少し下側の位置に約1巻の糸が巻かれた状態となるようにブレーキが掛けられてスピンドル4が停止され、図5(b)に示す状態となる。
【0045】
次に図6(a)に示すように、ラペット10が玉揚げに支障とならない退避位置に配置され、玉揚げ装置34により管糸(満ボビン)37が抜き上げられる。抜き上げ途中まで尻糸切断部材23が管糸37と共に上昇され、尻糸切断部材23とスピンドル基部22bとの間に管糸37からトラベラ11に連なる糸Yが導かれる。スピンドル基部22bに巻かれた状態の糸Yは、管糸37と共に尻糸切断部材23が上昇すると、ブレード22aの外面に沿って移動する。管糸37と共に上昇する尻糸切断部材23が所定の高さに達すると、コイルばね26の付勢力により尻糸切断部材23が管糸37から離脱する。そして、尻糸切断部材23がスピンドル基部22bと当接する位置まで下降し、管糸37からトラベラ11に連なる糸Yが尻糸切断部材23とスピンドル基部22bとの間に把持される。
【0046】
管糸37は上昇を継続しているため、糸Yが刃体25aに緊張状態で圧接されて切断され、図6(b)に示す状態となる。さらに、玉揚げ装置34の作動が継続され、管糸37が玉揚げされて図6(c)に示す状態となる。その後、空のボビンBがスピンドル4に挿入され、ラペット10が巻取り位置へと回動配置された後、機台が再起動される。トラベラ11に連なる糸Yの端部は次の玉揚げまで、尻糸切断部材23とスピンドル基部22bとの間に把持される。そして、尻糸切断部材23とスピンドル基部22bとの間に把持された尻糸は、次回の玉揚げの際に管糸37に連なってスピンドル4から離脱する。
【0047】
太番手の糸の紡出において大径の管糸37を使用する場合は、傾斜巻37aを構成する糸YのボビンBに対する巻付け角度(水平面と成す角度)が小さくなるため、そのまま管糸37が上昇されると傾斜巻37aの下側の糸Yがスピンドル4に巻き付く場合がある。その状態で管糸37が抜き上げられると、糸Yはカッタ部25があってもカッタ部25で切断されずにカッタ部25より上方で引き千切られて糸端が長くなる。
【0048】
しかし、この実施の形態では、図1に示すように、玉揚げ停止時には、トップバンチ巻43を形成する前からフロントローラ1及びスピンドル4の回転速度が同期して低減され、トップバンチ巻43の形成が完了するまでに、スピンドル4の回転速度がV1に低下される。そして、リングレール8の降下途中から、傾斜巻37aを構成する糸Yの水平方向と成す角度が大きくなるように、フロントローラ1及びスピンドル4の回転速度がさらに低下され、スピンドル4の回転速度がV2に低下されるように主モータMが制御される。従って、撚数が変更されずに、リングレール8の降下途中から、リングレール8の降下速度は変わらずに糸Yの送出速度がより低下する状態になり、傾斜巻37aを構成する糸YのボビンBに対する巻付け角度が、フロントローラ1の回転速度が低下する前に比較して大きくなるとともに、その長さが短くなる。
【0049】
図1において、二点鎖線の部分はフロントローラ1の回転速度を低下させない場合のフロントローラ1及びスピンドル4の回転速度変化を示し、実線がフロントローラ1の回転速度を低下させる場合のフロントローラ1及びスピンドル4の回転速度変化を示す。なお、図1はリングレール8の位置変化と、フロントローラ1及びスピンドル4の回転速度の変化の傾向を示すものであり、フロントローラ1及びスピンドル4の回転速度の比は実際の比と異なる状態で図示している。また、リングレール8の昇降量も実際の値を反映していない。
【0050】
以上の結果、玉揚げ装置34による玉揚げ時に、管糸37から把持部に至る糸Yがカッタ部25に対して大きな角度で当接する状態となり、糸Yがカッタ部25で確実に切断される。また、傾斜巻37aを構成する糸Yの長さが短くなるため、糸Yが尻糸切断部材23とスピンドル基部22bとで把持された状態から管糸37がさらに上昇する過程で、管糸37から把持部に至る糸Yがボビン嵌挿部24やスピンドル4に巻き付くことが抑制される。そして、管糸37に連なる糸Yがカッタ部25と当接する箇所以外で切断され難くなる。また、傾斜巻37aが形成される際、撚数は変更されないため、糸質は一定に保持される。
【0051】
この実施の形態では以下の効果を有する。
(1) 玉揚げ停止時に管糸37に傾斜巻37aを形成する際、撚数を変更せずにリングレール8の降下途中からフロントローラ1の回転速度を低下させ、傾斜巻37aを構成する糸Yが水平方向と成す角度が大きくなるように運転を行う。従って、傾斜巻37aを構成する糸YのボビンBに対する巻付け角度(水平面と成す角度)が、フロントローラ1の回転速度が低下する前に比較して大きくなるとともに、傾斜巻37aを構成する糸Yの長さが短くなる。そして、玉揚げ装置34による玉揚げ時に、管糸37から把持部に至る糸Yがカッタ部25に対して大きな角度で当接する状態となり、糸Yが糸端が短い状態と成るようにカッタ部25で切断される。その結果、巻き取り時にスピンドル4を回転するのに必要な消費電力(動力消費)の増大や、風綿飛散の増加を防止できる。また、傾斜巻37aが形成される際、撚数は変更されないため、糸質は一定に保持される。
【0052】
(2) ボビンBが嵌挿されるボビン嵌挿部24と、ボビン嵌挿部24より下側に設けられたカッタ部25とを備えた尻糸切断部材23が使用され、尻糸切断部材23とスピンドル基部22bとの当接部以下の位置に糸Yが1巻以下巻かれた状態でスピンドル4が停止される。従って、尻糸巻部に1巻より多く(通常、2〜3巻)巻き付けられた尻糸が玉揚げ後に尻糸巻部に残り、玉揚げを繰り返すたびに残糸の量が増加して残糸処理を頻繁に行う必要がある従来装置と異なり、尻糸処理の手間が無くなる。
【0053】
(3) 糸Yは、尻糸切断部材23の下端部及び該下端部に対向するスピンドル基部22bの上端部に径方向に延びるように設けられた複数の凸部28a,28b及び凹部29a,29bにより屈曲された状態で把持される。従って、尻糸切断部材23をスピンドル基部22b側に押圧する力が玉揚げ装置34の動作に支障を与えない程小さくても、糸Yを確実に把持できる。
【0054】
(4) 尻糸切断部材23の下端部となる凸部28aの下面及び凹部29aの底面は、それぞれスピンドル4を回転中心とし、頂点が前記下端部外周を含みスピンドル4と直交する面より上方に位置する仮想円錐の斜面の一部を構成するように形成されている。スピンドル4に1巻以内で巻き付いた状態の糸Yに、把持部から糸を引き抜く方向の力が作用した場合、糸Yには半径方向かつ外側へ向かう力が作用する。その際、把持面となる凸部28aの下面や凹部29aの底面が下方へ傾斜している場合は、糸Yの把持が水平面で行われる場合に比較して、凸部28a及び凹部29aのエッジにおいて糸Yに加わる抵抗が大きくなり、糸が引き出され難くなる。その結果、糸Yの把持に必要な尻糸切断部材23の押圧力を把持面が水平の場合に比較して小さくできる。
【0055】
(5) 尻糸切断部材23のスピンドル基部22bに対する同心を確保する調心手段を備えている。従って、調心手段の作用により、尻糸切断部材23がスピンドル4と同心状で回転されるため、回転中に振動が生じ難くなり、高速回転の場合も安定して回転できる。
【0056】
(6) スピンドル駆動系及びフロントローラ1は1個のモータで駆動されるため、撚数を一定に保持した状態でフロントローラ1の回転速度を変更するのが容易になる。
【0057】
実施の形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
〇 尻糸切断部材23はスピンドル基部22bと対向する面に凸部28a及び凹部29aを形成したり、カッタ部25として刃体25aを別体とした構成に限らない。例えば、図8に示すように、尻糸切断部材23としてボビン嵌挿部24の下端に円板状の刃部24bを一体に形成してもよい。刃部24bの外形は円形に限らず、鋸歯状であってもよい。
【0058】
〇 ドラフト装置及びスピンドル駆動系は、フロントローラ1の回転速度が変更されても撚数が一定に保持される構成であればよく、共通のドライビングシャフト3で駆動される構成に限らない。例えば、ドラフト装置とスピンドル駆動系とがそれぞれ別のモータで駆動される構成であっても、フロントローラ1の送出速度とスピンドル4の巻取り速度とが一定の比で駆動される構成であればよい。この場合、撚数の変更を伴う紡出条件の変更が容易になる。
【0059】
○ スピンドル基部22b及び尻糸切断部材23の両者を金属製としてもよい。
○ 凸部28a,28bの先端面及び凹部29a,29bの底面は外側に向かって下降傾斜する形状に限らず、水平であってもよい。しかし、把持した糸Yを引き抜く力が作用した場合、下降傾斜する形状の方が糸の引き抜きに対する抵抗が大きくなり、糸が引き出され難くなる。
【0060】
○ 嵌合力増強手段はゴムリング33に限らず、板状又は線状のばね材を使用してもよい。ばね材は完全なリング状に限らず、一部が切り欠かれたリング状としてもよい。また、ボビン嵌挿部24の外面に形成した凹部内に、ばね材を円弧部が突出するように収容してもよい。また、ばねで付勢されたボタンを設けてもよい。
【0061】
〇 玉揚げ停止時にスピンドル基部と共同して、トラベラ11から管糸37に連なる糸Yを把持可能な把持部材は、尻糸切断部材23のように玉揚げ時に管糸37と一体的に上昇した後、下降して糸Yを把持する構成に限らない。例えば、特許文献3に記載されたもののように、スピンドルの下部に設けられた固定のアンダーワインディングカラーと、その下方で昇降するスリーブとでトラベラから管糸に連なる糸を把持する構成としてもよい。また、カッタ部25を設ける代わりに、エッジ部を設けて、管糸37の玉揚げ時に糸Yをエッジ部に当接させて引き千切るようにしてもよい。
【0062】
○ スピンドル4の駆動方式は、スピンドル4をチンプーリ5に巻き掛けられるスピンドルテープで駆動する構成に代えて、タンゼンシャルベルトにより駆動する構成としてもよい。また、各錘毎にモータを設ける、所謂単錘駆動方式であってもよい。
【0063】
〇 リング精紡機に限らずリング撚糸機に適用してもよい。
前記実施の形態から把握できる発明(技術的思想)について、以下に記載する。
【0064】
(1) 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、スピンドル駆動系及びローラパートは1個のモータで駆動される。
(2) 請求項2に記載の発明において、前記尻糸切断部材の下端部及び該下端部に対向する前記スピンドル基部の上端部に、互いに係合可能な複数の凸部及び凹部が設けられている。
【0065】
【発明の効果】
以上、詳述したように、請求項1及び請求項2に記載の発明によれば、太番手の糸の場合でも、糸をカッタ部又はエッジ部と対応する位置で切断することを可能にできる。また、請求項3に記載の発明によれば、太番手の糸の場合でも、糸をカッタ部又はエッジ部と対応する位置で切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スピンドル回転速度、フロントボトムローラ回転速度、リングレール位置の玉揚げ停止時の経時変化を示すグラフ。
【図2】尻糸切断部材及びスピンドル基部の概略斜視図。
【図3】リング精紡機の概略構成図。
【図4】(a)はスピンドルの一部破断模式側面図、(b)は尻糸切断部材の取付け状態を示す断面図。
【図5】(a),(b)は一実施の形態の玉揚げ時の作用を説明する概略側面図。
【図6】(a)〜(c)は同じく概略側面図。
【図7】精紡機と玉揚げ装置の関係を示す概略図。
【図8】別の実施の形態の尻糸切断部材の断面図。
【図9】従来の玉揚げ停止時のリングレール等の経時変化を示すグラフ。
【図10】(a),(b)は従来技術を示す概略側面図、(c)は太番手で大径管糸の場合の概略側面図。
【符号の説明】
B…ボビン、E…空ボビン、Y…糸、1…フロントローラ、4…スピンドル、8…リングレール、11…トラベラ、22a…ブレード、22b…スピンドル基部、23…尻糸切断部を構成する尻糸切断部材、24…ボビン嵌挿部、25…カッタ部、34…玉揚げ装置、37…管糸、37a…傾斜巻。
Claims (3)
- スピンドルに尻糸切断部を備え、スピンドル駆動系及びローラパートがリフティング駆動系と独立して駆動可能に構成され、玉揚げ装置により管糸が抜き上げられたスピンドルに空ボビンが挿入された後の機台再起動時に、自動的に糸の巻き取りが行われる紡機において、
玉揚げ停止時に管糸に傾斜巻を形成する際、撚数を変更せずにリングレールの降下途中からフロントローラの回転速度を低下させ、前記傾斜巻を構成する糸が水平方向と成す角度が大きくなるように運転を行う紡機における玉揚げ停止時の運転方法。 - 前記尻糸切断部は、ボビンが嵌挿されるボビン嵌挿部と、該ボビン嵌挿部より下側に設けられたカッタ部とを備え、かつ前記スピンドル基部より上方に延びるブレードに沿って所定範囲で昇降可能に設けられた尻糸切断部材で構成され、該尻糸切断部材は前記スピンドル基部との間でトラベラから管糸に連なる糸を把持可能に構成されており、玉揚げ停止時にトラベラを経て管糸に連なる糸が尻糸切断部材と前記スピンドル基部との当接部以下の位置を通る状態でリングレールを停止させ、尻糸切断部材とスピンドル基部との当接部以下の位置に糸が1巻以下巻かれた状態でスピンドルを停止させるように、リフティング駆動系及びスピンドル駆動系が駆動制御される請求項1に記載の紡機における玉揚げ停止時の運転方法。
- 請求項2に記載の紡機における玉揚げ停止時の運転方法で停止された後、前記玉揚げ装置により玉揚げを開始し、玉揚げ装置により管糸を抜き上げ、抜き上げ途中まで前記尻糸切断部材を管糸と共に上昇させ、該尻糸切断部材と前記スピンドル基部との間に管糸からトラベラに連なる糸を導き、その後、尻糸切断部材の上昇を規制手段で規制して、管糸から離脱した尻糸切断部材と前記スピンドル基部との間で前記糸を把持し、さらに管糸を玉揚げ装置で上昇させて糸を切断する紡機における玉揚げ時の糸切断方法。
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