本発明は、出力軸にリードスクリューを備えたモータに関する。
従来、リードスクリューを備えたモータとしては、特許文献1に開示される構成のステッピングモータや、特許文献2に開示される構成のリードスクリュー付きモータが公知である。
また、同じくリードスクリューを備えたモータとして、本出願人は特許文献3に開示される構成のモータを提案している。このモータの縦断面図を図6に示す。
同図において、101は周方向に分割されて異なる極に交互に着磁された円筒形状のマグネット、102はボビンに巻回される第1のコイル、103はボビンに巻回される第2のコイルである。第1のコイル102及び第2のコイル103はそれぞれマグネット101の軸方向両端に所定の隙間を持って配置される。104は外筒と内筒とで構成される第1のステータであり、外筒の先端部は複数の歯で構成され、第1の外側磁極部を形成している。105は外筒と内筒とで構成される第2のステータであり、外筒の先端部は複数の歯で構成され、第2の外側磁極部を形成している。106は第1の補助ステータであり、第1のステータ104の内筒とで第1の内側磁極部を形成している。107は第2の補助ステータであり、第2のステータ105の内筒とで第2の内側磁極部を形成している。第1の外側磁極部及び第1の内側磁極部はそれぞれマグネット101の一端側の外周面及び内周面に対向して該マグネット101の一端側を挟み込むように配置される。同様に、第2の外側磁極部及び第2の内側磁極部はそれぞれマグネット101の一端側の外周面及び内周面に対向して該マグネット101の他端側を挟み込むように配置される。第1のステータ104の外筒と内筒との間に配置される第1のコイル102に通電することで、第1のステータ104及び第1の補助ステータ106が励磁される。同様に、第2のステータ105の外筒と内筒との間に配置される第2のコイル103に通電することで、第2のステータ105及び第2の補助ステータ107が励磁される。108はマグネット101と一体に回転する出力軸であり、リードスクリュー部108aが一体で形成されている。109は第1のステータ104と第2のステータ105を保持する連結リングである。110は出力軸108の一端を先端軸受111を介して回転可能に支持するフレームである。112は第1のステータ104の内筒先端に取り付けられるステータ内軸受であり、出力軸108の他端を回転可能に支持する。113はスライド部材であり、第1のステータ104の内筒の内部に収納されている。115は蓋であり、第1のステータ104に固着されて圧縮コイルスプリング114の片側の方向の位置規制をしている。スライド部材113の端面は出力軸108の軸方向と垂直な面に対して所定の角度の傾斜面が形成されており、出力軸108はスライド部材113の押圧によりスラスト方向の力とラジアル方向の力を受ける構造になっている。
このような構成により、出力が高く、モータの外形寸法を小さいものとすることができる。更に、マグネットを薄くすることにより、第1の外側磁極部と第1の内側磁極部との間の距離、並びに第2の外側磁極部と第2の内側磁極部との間の距離を小さくすることができ、それにより磁気回路の磁気抵抗を小さくすることができ、第1のコイル及び第2のコイルに流す電流が少なくても、多くの磁束を発生させることができ、高い出力を維持できる。また、出力軸の加圧手段の端面を傾斜面にしてスラスト方向とラジアル方向の両方向同時に加圧することで、簡単な構造で作動音を抑えつつ、スラスト方向のがたつきをなくしている。
特開平6−098522号公報
特開平8−280155号公報
特開2000−287433号公報
しかしながら、上記特許文献1〜3にて提案されているものは、リードスクリューの一端を保持するフレームはモータ本体とは別体で構成され、フレームとモータ本体とは溶接や接着等により接合する必要があった。その際、リードスクリューと結合される或いは一体的に形成される出力軸に倒れが発生すると、出力及び回転精度に大幅な影響が出るため、フレームの寸法精度が厳しく、フレームとモータ本体との位置合わせを厳密に行う必要があり、部品や組み立て時のコストアップを招くものであった。
(発明の目的)
本発明の目的は、低コストのモータを提供しようとするものである。
上記目的を達成するために、本発明は、周方向に分割されて異なる極に交互に着磁された円筒形状のマグネットと、前記マグネットの内径部に固定される軟磁性材料からなるロータと、前記マグネットの外周面に対して所定の隙間をもち、その外周面に所定の角度で対向するように配置される第1の外側磁極部と、前記第1の外側磁極部とは前記マグネットの中心に対して位相が異なるとともに前記マグネットの外周面に対して所定の隙間をもち、その外周面に所定の角度で対向するように配置される第2の外側磁極部と、前記第1の外側磁極部と前記第2の外側磁極部とによって構成されるステータと、前記ロータと一体で回動するリードスクリューと、前記ロータの回転軸と平行方向に延びるアーム部と、前記アーム部の端部から垂直に折れ曲がる形状に設けられ、前記ロータから遠い側の前記リードスクリューの端部を保持する保持部とを有し、前記ステータと、前記アーム部と、前記保持部とを、同一部材で一体形成したモータとするものである。
また、上記目的を達成するために、本発明は、周方向に分割されて異なる極に交互に着磁された円筒形状の第1のマグネットと、前記第1のマグネットの内径部に固定される軟磁性材料からなる第1のロータと、前記第1のマグネットの外周面に対して所定の隙間をもって対向するように配置される第1の外側磁極部と、周方向に分割されて異なる極に交互に着磁された円筒形状の第2のマグネットと、前記第2のマグネットの内径部に固定される軟磁性材料からなる第2のロータと、前記第2のマグネットの外周面に対して所定の隙間をもって対向するように配置される第2の外側磁極部と、前記第1のロータと前記第2のロータとを連結する連結手段と、前記第1の外側磁極部と前記第2の外側磁極部とによって構成されるステータと、前記ロータと一体で回動するリードスクリューと、前記リードスクリューの回転軸と平行方向に延びるアーム部と、前記アーム部の端部から垂直に折れ曲がる形状に設けられ、前記第1のロータおよび第2のロータから遠い側の前記リードスクリューの端部を保持する保持部とを有し、前記ステータと、前記アーム部と、前記保持部とを、同一部材で一体形成したモータとするものである。
また、上記目的を達成するために、本発明は、周方向に分割されて異なる極に交互に着磁された円筒形状のマグネットと、前記マグネットの内径部に固定される軟磁性材料からなるロータと、前記マグネットの外周面に対して所定の隙間をもって対向するように配置される第1の外側磁極部を成す第1のステータと、前記第1の外側磁極部とは異なる位置で前記マグネットの外周面に対して所定の隙間をもって対向するように配置される第2の外側磁極部を成す第2のステータと、前記ロータと一体で回動するリードスクリューと、前記ロータの回転軸と平行方向に延びるアーム部と、前記アーム部の端部から垂直に折れ曲がる形状に設けられ、前記ロータから遠い側の前記リードスクリューの端部を保持する保持部とを有し、前記第1のステータと、前記アーム部と、前記保持部とを、同一部材で一体形成したモータとするものである。
本発明によれば、低コストのモータを提供できるものである。
以下の実施例1ないし実施例3に示す通りである。
図1及び図2は本発明の実施例1に係るモータを示す図であり、詳しくは、図1はモータの分解斜視図、図2はコイル及びロータ軸を通り、軸方向に平行な面での図1のモータの断面図である。
これらの図において、1は軟磁性材料から成るステータであり、第1の外側磁極部1b、第2の外側磁極部1c、第3の外側磁極部1d、第4の外側磁極部1e、第5の外側磁極部1f、第6の外側磁極部1g、前記第1の外側磁極部1b乃至第6の外側磁極部1gのそれぞれの一端を結ぶ平板部1a、及び、平板部1aの略中央に設けられる後述のリードスクリュー9の外径よりも大きな径の穴部1hを有する。また、第1の外側磁極部1b、第2の外側磁極部1c、第3の外側磁極部1d、第4の外側磁極部1e、第5の外側磁極部1f、第6の外側磁極部1gは、後述のロータ8の回転軸と平行方向に延びる櫛歯状に形成されている。さらに、ステータ1には一端が平板部1aから後述のロータ8の回転軸と平行方向に延びるアーム部1iと、平板部1aと平行でかつアーム部1iの他端から垂直に折れ曲がる保持部1jとが一体で形成されており、保持部1jに設けられる軸受取付部1kに取り付けられる後述の軸受11を介してリードスクリュー9の一端を保持する。つまり、アーム部1iと保持部1jとがリードスクリュー9の一端を保持するフレームを構成している。
本実施例1におけるステータ1は、上記特許文献1乃至3に記載されたものとは異なり、上記したように磁極部を有するステータとリードスクリューの一端を保持するフレームとが一体で形成されている。このため、第1の外側磁極部1b、第2の外側磁極部1c、第3の外側磁極部1d、第4の外側磁極部1e、第5の外側磁極部1f、第6の外側磁極部1gとリードスクリュー9との平行度が向上し、組み立てによるモータの性能のばらつきを最小限に抑えることができる。
2は第1のコイル、3は第2のコイル、4は第1のコイル2及び第2のコイル3が巻回されるボビンである。5は第1のコイル2が電気的に接続される第1の端子、6は第2のコイル3が電気的に接続される第2の端子である。ボビン4には略中央に開口部4aが設けられ、またステータ1の平板部1aに密着して取り付けられる。
第1のコイル2は第1のコイル保持部4bに固定された状態でその内周に第1の外側磁極部1bが配置され、その外周に第3の外側磁極部1d及び第4の外側磁極部1eが隣接するように固定される。そして、第1のコイル2へ通電することにより、第1の外側磁極部1bと第3の外側磁極部1d及び第4の外側磁極部1eが励磁される。この時、第1の外側磁極部1bと第3の外側磁極部1d及び第4の外側磁極部1eとはお互いに異なる極に励磁される。また、第2のコイル3は第2のコイル保持部4cに固定された状態でその内周に第2の外側磁極部1cが配置され、その外周に第5の外側磁極部1f及び第6の外側磁極部1gが隣接するように固定される。そして、第2のコイル3へ通電することにより、第2の外側磁極部1cと第5の外側磁極部1f及び第6の外側磁極部1gが励磁される。この時、第2の外側磁極部1cと第5の外側磁極部1f及び第6の外側磁極部1gとはお互いに異なる極に励磁される。
第1のコイル2と第2のコイル3とは、ステータ1の平板部1aの平面上に隣接して配置される。そのため、モータの軸方向の長さを短く構成できる。
7は永久磁石から成る円筒形状のマグネットであり、外周表面を円周方向に多分割、即ち着磁極数がnとなるよう(本実施例1では6分割、即ちn=6となるよう)S極、N極が交互に着磁されている。このマグネット7の内周面は、外周面に比べ弱い着磁分布を持つか、あるいは全く着磁されていないか、あるいは外周面と逆の極、すなわち外周面がS極の場合はその範囲の内周面はN極に着磁されているものの何れかである。
8は軟磁性材料から成るロータであり、第1円筒部8aの外周面とマグネット7の内周面とが接着や圧入等により密着固定される。ロータ8には第2円筒部8bと穴部8cとが形成されており、第2円柱部8bは、図2に示すように第1のコイル2及び第2のコイル3の間に隣接して配置される。
第1の外側磁極部1b、第2の外側磁極部1c、第3の外側磁極部1d、第4の外側磁極部1e、第5の外側磁極部1f、第6の外側磁極部1gは、マグネット7の外周面に所定の隙間をもって対向して配置される。そして、第1円筒部8aの、第1の外側磁極部1b、第3の外側磁極部1d、第4の外側磁極部1eに対向する部分、及び、第2円筒部8cの第1のコイル2の外周に隣接する部分で、第1の内側磁極部が形成される。同様に、第1円筒部8aの、第2の外側磁極部1c、第5の外側磁極部1f、第6の外側磁極部1gに対向する部分、及び、第2円筒部8cの第2のコイル3の外周に隣接する部分で、第2の内側磁極部が形成される。
マグネット7の外周面の着磁極数をnとすると、第1の外側磁極部1b、第3の外側磁極部1d、第4の外側磁極部1eの組合せは、第2の外側磁極部1c、第5の外側磁極部1f、第6の外側磁極部1gの組合せに対して、マグネット7の軸中心の対称位置に約(180/n)度位相がずれて形成されている。これにより、第1のコイル2及び第2のコイル3への通電方向を異なるタイミングで順次変えることにより、通電状態に応じた位置へマグネット7を回転していくことができ、双方向の回転が可能なステップモータとして機能させることができる。
第1のコイル2へ通電することにより、第1の外側磁極部1b及び第1の内側磁極部が励磁され、その磁極間にはマグネット7を横切る磁束が発生し、効果的にマグネット7に作用する。同様に、第2のコイル3へ通電することにより、第2の外側磁極部1c及び第2の内側磁極部が励磁され、その磁極間にはマグネット7を横切る磁束が発生し、効果的にマグネット7に作用する。ここで、マグネット7の内周面に対向して内側磁極部を成す第1円筒部8aとマグネット7の内周面との間に空隙を設ける必要がない。そのため、第1の外側磁極部1b及び第2の外側磁極部1cと第1円筒部8aとの距離を非常に小さくできる。よって、第1のコイル2と第1の外側磁極部1bと第1の内側磁極部とで形成される磁気回路、及び、第2のコイル3と第2の外側磁極部1cと第2の内側磁極部とで形成される磁気回路の磁気抵抗を小さくすることができ、モータの出力を高めることが出来る。
さらに、第1のコイル2への通電により、第3の外側磁極部部1d及び第4の外側磁極部1eも励磁され、第1の外側磁極部1bと第3の外側磁極部部1dとの磁極間及び第1の外側磁極部1bと第4の外側磁極部1eとの磁極間にも磁束が発生し、第3の外側磁極部部1dと第4の外側磁極部1eは対向するマグネット7に作用する。同様に、第2のコイル3への通電により、第5の外側磁極部1f及び第6の外側磁極部1gも励磁され、第2の外側磁極部1cと第5の外側磁極部1fとの磁極間及び第2の外側磁極部1cと第6の外側磁極部1gとの磁極間にも磁束が発生し、第5の外側磁極部部1fと第6の外側磁極部1gは対向するマグネット7に作用する。すなわち、第1の外側磁極部1bと第1の内側磁極部との磁極間に発生する磁束はマグネット7を横切って効果的に作用し、第1の外側磁極部1bと第3の外側磁極部1d及び第4の外側磁極部1eとの磁極間に発生する磁束はマグネット7に隣接して補助的に作用する。同様に、第2の外側磁極部1cと第2の内側磁極部との磁極間に発生する磁束はマグネット7を横切って効果的に作用し、第2の外側磁極部1cと第5の外側磁極部1f及び第6の外側磁極部1gとの磁極間に発生する磁束はマグネット7に隣接して補助的に作用する。これにより、少ない電流で多くの磁束を発生させることができ、モータの出力アップ、低消費電力化、コイルの小型化を達成することができる。
また、図2に示すように、マグネット7はその内径部がロータ8の第1円筒部8aによって埋められているので、上記特許文献3で提案されているものに比べ、マグネットの機械的強度が大きく、又ロータ8はマグネット7の内径部に現れるS極、N極との間の磁気抵抗を小さくするいわゆるバックメタルとして作用するので、磁気回路のパーミアンス係数は高く設定されることになり、高温下の環境で使用されても減磁による磁気的劣化も少ない。
さらに、上記特許文献3で提案されているものはマグネットの外径部と外側磁極部の隙間を精度良く保って組み立てる必要がある他に、マグネットの内径部に対向する位置にある内側磁極部をマグネットに対して所定の隙間を設けて配置する必要があり、部品精度のばらつきや組み立て精度が悪い場合にこの隙間を確保できず、内側磁極部がマグネットに接触してしまうなどの不良が生じる可能性が高いが、これに対し本実施例1では、マグネット7の外径部側のみの隙間を管理するだけでよいので、組み立てが容易になる。
9はリードスクリューであり、雄ネジ部9aが不図示の雌ネジと噛み合って回転により雌ネジを直線移動させる。また、ロータ8の穴部8cに軸部9bが圧入等により固着されて一体で回転する。9cは先端が球R形状の第1軸部、9dは同じく先端が球R形状の第2軸部である。なお、本実施例1ではリードスクリュー9とロータ8とは別体のものを一体に固定する構成としているが、これら2部品を一体で形成しても良い。別体で構成することで、リードスクリュー9には強度が強くて耐磨耗性の優れるSUS(ステンレス鋼)等の材料を使用し、ロータ8には磁気効率の良いSUY(電磁軟鉄)等の軟磁性材料を使用可能になる。一方、一体で形成した場合には、部品点数削減によるコストダウンが図れるとともに、ロータ8とリードスクリュー9の同軸位置精度が向上可能となる。
10はカバーであり、ステータ1及びボビン4に固定される。また、10aは軸保持部であり、ここにリードスクリュー9の第2軸部9dが回転可能に嵌合するとともに、先端の球R部が当接して軸方向の位置決めがなされる。
11は軸受であり、ステータ1の保持部1jに設けられる軸受取付部1kに取り付けられて、リードスクリュー9の第1軸部9cを回転可能に支持する。この軸受11は摩擦や磨耗に優れる含油メタルや液晶ポリマー等の材料を使用するのが好ましい。軸受11によりリードスクリュー9とステータ1の保持部1jとが直接接触することがないため、摩擦や磨耗の低減が図られ、より滑らかな回転が得られる。
12は板バネであり、ステータ1の保持部1jに取り付けられて、リードスクリュー9の第1軸部9cの球R形状先端部を軸方向に片寄せ付勢する。この状態で、リードスクリュー9は第2軸部9dの先端がカバー10の軸保持部10aに当接して軸方向位置が決められる。これにより、リードスクリュー9は回転時に軸方向への振れが抑制されて、雄ネジ部9aに噛み合う雌ネジの軸方向送り精度が向上する。また、板バネ12は軸受11の前記軸受取付部1kからの抜け止めも兼ねている。
ロータ8に固着されるリードスクリュー9は板バネ12によって第2軸部9dの先端がカバー10の軸保持部10aに当接するように軸方向に加圧されており、その状態ではロータ8の第2円筒部8bはステータ1の平板部1aと所定の隙間を有する(図2参照)。すなわち、軟磁性材料であるロータ8にはマグネット7が固定されているので、ロータ8に対してステータ1の平板部1aに吸着される方向に磁気吸引力が働くが、板バネ12によりロータ8はステータ1の平板部1aから離れる方向に付勢されていることで、吸着の影響を防いでいる。これにより、モータはより安定した回転が得られる。
マグネット7は第1のコイル2及び第2のコイル3と軸方向に隣接して配置されており、これら第1のコイル2と第2のコイル3とは軸方向に垂直な平面で隣接しているため、上記特許文献1〜3にて提案されているものと比べて軸方向の長さの短いモータとすることが可能となる。すなわち、第1の外側磁極部1b、第2の外側磁極部1c、第3の外側磁極部1d、第4の外側磁極部1e、第5の外側磁極部1f、第6の外側磁極部1gは同一のマグネット7の軸方向と垂直な方向の同一面においてそれぞれ異なる角度範囲に関して対向するように構成されているので、マグネット7を軸方向に関して短く構成でき(上記特許文献3に比べて約半分)、軸方向長さの短いモータとすることができる。
上記構成の大きな特徴として、マグネット7の外周面の一部分に着目すれば、マグネット7が回転することにより、マグネット7の外周面の一部分に対して第1のコイル2により励磁される第1の外側磁極部1b、第3の外側磁極部1d、第4の外側磁極部1eの磁束と、第2のコイル3により励磁される第2の外側磁極部1c、第5の外側磁極部1f、第6の外側磁極部1gの磁束とが交互に作用することになる。これらの外側磁極部がマグネット7の同じ個所に対して磁束を作用させるので、着磁のバラツキなどによる悪影響を受けず、安定した性能のモータを提供することが可能となる。
また、第1の外側磁極部1b、第2の外側磁極部1c、第3の外側磁極部1d、第4の外側磁極部1e、第5の外側磁極部1f、第6の外側磁極部1gはモータ軸に平行な方向に延出する櫛歯状に構成されているので、すべての構成部品を一方向(図1及び図2の上下方向)から組み込むことが可能となり、組み立て作業性がよい。
以上の実施例1によれば、第1の外側磁極部1b、第2の外側磁極部1c、第3の外側磁極部1d、第4の外側磁極部1e、第5の外側磁極部1f、第6の外側磁極部1gとを同一部材から構成するとともに、リードスクリュー9の一端を保持する部材(アーム部1i及び保持部1kより成るフレーム)も同一部材から構成することで、相互位置の誤差を小さく抑えることができるとともに、部品点数が少なく、構造が簡単なモータとすることができ、リードスクリュー9の回転精度を向上させることができるとともに大幅なコストダウンになる。
図3及び図4は本発明の実施例2に係るモータを示す図であり、詳しくは、図3はモータの分解斜視図、図4は2つのロータ軸及びリードスクリュー軸を通り、軸方向に平行な面での図3のモータの断面図である。
これらの図において、21は軟磁性材料から成るステータであり、第1の外側磁極部21b、第2の外側磁極部21c、第3の外側磁極部21d、前記第4の外側磁極部21e、第1の外側磁極部21b乃至第4の外側磁極部21eのそれぞれの一端を結ぶ平板部21a、及び平板部21aの略中央に設けられる後述するリードスクリュー36の外径よりも大きな径の穴部21hを有する。また、第1の外側磁極部21b、第2の外側磁極部21c、第3の外側磁極部21d、第4の外側磁極部21eは、後述のロータ29及びロータ32の回転軸と平行方向に延びる櫛歯状に形成されている。さらに、ステータ21には一端が平板部21aから後述のリードスクリュー36の回転軸と平行方向に延びるアーム部21iと、平板部21aと平行でかつアーム部21iの他端から垂直に折れ曲がる保持部21jとが一体で形成されており、保持部21jに設けられる軸受取付部21kに取り付けられる後述の軸受38を介して後述のリードスクリュー36の一端を保持する。つまり、アーム部21iと保持部21jとでリードスクリュー36の一端を保持するフレームを構成している。
本実施例2におけるステータ21は、上記特許文献1乃至3に記載されたものとは異なり、上記したように磁極部を有するステータとリードスクリューの一端を保持するフレームとが一体で形成されている。このため、第1の外側磁極部21b、第2の外側磁極部21c、第3の外側磁極部21d、第4の外側磁極部21eとリードスクリュー36との平行度が向上し、組み立てによるモータの性能のばらつきを最小限に抑えることができる。
22は第1のコイル、23は第1のコイル22が巻かれる第1のボビンであり、24は第1のコイル22が電気的に接続される第1の端子である。25は第2のコイル、26は第2のコイル25が巻かれる第2のボビンであり、27は第2のコイル25が電気的に接続される第2の端子である。第1のボビン23及び第2のボビン26はステータ21の平板部21aに密着して取り付けられる。第1のコイル22はその外周に第1の外側磁極部1b及び第2の外側磁極部1cが隣接するように固定される。そして、第1のコイル22へ通電することにより、第1の外側磁極部21bと第2の外側磁極部21cが励磁される。また、第2のコイル25はその外周に第3の外側磁極部21d及び第4の外側磁極部21eが隣接するように固定される。そして、第2のコイル25へ通電することにより、第3の外側磁極部21dと第4の外側磁極部21eが励磁される。
第1のコイル22と第2のコイル25とは、ステータ21の平板部21aの平面上に隣接して配置される。そのため、モータの軸方向の長さを短く構成できる。
28は永久磁石から成る円筒形状の第1のマグネットであり、外周表面を円周方向に多分割、即ち着磁極数がnとなるよう(本実施例2では4分割、即ちn=4となるよう)S極、N極が交互に着磁されている。この第1のマグネット28の内周面は、外周面に比べ弱い着磁分布を持つか、あるいは全く着磁されていないか、あるいは外周面と逆の極、すなわち外周面がS極の場合はその範囲の内周面はN極に着磁されているものの何れかである。
29は軟磁性材料から成る第1のロータであり、第1円柱部29aの外周面と第1のマグネット28の内周面とが接着や圧入等により密着固定される。また、第1のロータ29には第2円柱部29bと第1軸部29cと第2軸部29dとが形成されており、第2円柱部29bはその外周面に第1ギア30が接着や圧入等により密着固定される。
31は永久磁石から成る円筒形状の第2のマグネットであり、外周表面を円周方向に多分割、即ち着磁極数がnとなるよう(本実施例2では4分割、即ちn=4となるよう)S極、N極が交互に着磁されている。この第2のマグネット31の内周面は、外周面に比べ弱い着磁分布を持つか、あるいは全く着磁されていないか、あるいは外周面と逆の極、すなわち外周面がS極の場合はその範囲の内周面はN極に着磁されているものの何れかである。
32は軟磁性材料から成る第2のロータであり、第1円柱部32aの外周面と第2のマグネット31の内周面とが接着や圧入等により密着固定される。また、第2のロータ32には第2円柱部32bと第1軸部32cと第2軸部32dとが形成されており、第2円柱部32bはその外周面に第2ギア33が接着や圧入等により密着固定される。
34は軟磁性材料からなる第1の軸受であり、ステータ21に設けられる穴部21fに挿入された状態で平板部21aに密着するように固定され、第1のロータ29の第2軸部29dを回転可能に支持する。また、第1の軸受34は第1のボビン23の内径部に嵌合している。すなわち、第1のコイル22の内径部には軟磁性材料からなる第1の軸受34と、同じく軟磁性材料からなる前記第1のロータ29の第2軸部29dとが挿入された状態となる。
35は軟磁性材料からなる第2の軸受であり、ステータ21に設けられる穴部21gに挿入された状態で平板部21aに密着するように固定され、第2のロータ32の第2軸部32dを回転可能に支持する。また、第2の軸受35は第2のボビン26の内径部に嵌合している。すなわち、第2のコイル25の内径部には軟磁性材料からなる第2の軸受35と、同じく軟磁性材料からなる第2のロータ32の第2軸部32dとが挿入された状態となる。
第1の外側磁極部21b、第2の外側磁極部21cは、マグネット28の外周面に所定の隙間をもって対向して配置される。そして、第1円柱部29aの第1の外側磁極部21bと第2の外側磁極部21cに対向する部分、第2軸部29d、及び第1の軸受34で第1の内側磁極部が形成される。同様に、第3の外側磁極部21d、第4の外側磁極部21eは、マグネット31の外周面に所定の隙間をもって対向して配置される。そして、第1円柱部32aの第3の外側磁極部21dと第4の外側磁極部21eに対向する部分、第2軸部32d、及び第2の軸受35で第2の内側磁極部が形成される。
第1のコイル22へ通電することにより、第1の外側磁極部21a、第2の外側磁極部21bと第1の内側磁極部が励磁され、その磁極間には第1のマグネット28を横切る磁束が発生し、効果的に第1のマグネット28に作用する。同様に、第2のコイル25へ通電することにより、第3の外側磁極部21d、第4の外側磁極部21eと第2の内側磁極部が励磁され、その磁極間には第2のマグネット31を横切る磁束が発生し、効果的に第2のマグネット31に作用する。ここで、第1のマグネット28の内周面に対向して内側磁極部を成す第1円柱部29aと第1のマグネット28の内周面との間に空隙を設ける必要がない。そのため、第1の外側磁極部21b及び第2の外側磁極部21cと第1円柱部29aとの距離を非常に小さくできる。同様に、第2のマグネット31の内周面に対向して内側磁極部を成す第1円柱部32aと第1のマグネット31の内周面との間に空隙を設ける必要がない。そのため、第3の外側磁極部21d及び第4の外側磁極部21eと第1円柱部32aとの距離を非常に小さくできる。よって、第1のコイル22と第1の外側磁極部21b及び第2の外側磁極部21cと第1の内側磁極部とで形成される磁気回路、及び、第2のコイル25と第3の外側磁極部21d及び第4の外側磁極部21eと第2の内側磁極部とで形成される磁気回路の磁気抵抗を小さくすることができ、モータの出力を高めることが出来る。
また、第1の軸受34を軟磁性材料で形成することにより、第1のロータ29と共に第1の内側磁極部として作用し、同じく第2の軸受35を軟磁性材料で形成することにより、第2のロータ32と共に第2の内側磁極部として作用するので、第1のコイル22及び第2のコイル25により発生する磁束が流れやすくなり、よりいっそう出力を高めることが可能となる。
ここで、第1の軸受34と第1のマグネット28が固定される第1のロータ29との間、及び、第2の軸受35と第2のマグネット31が固定される第2のロータ32との間には吸着力が発生し、摩擦力によるトルク損失が生じたり、摺動面の耐久性を損なう可能性はあるが、第1のマグネット28及び第2のマグネット31を薄くて小径の円筒形状で構成することでその吸着力は極わずかしか発生せず、磁気回路の磁気抵抗が減少することによる効率アップの方がより有効に働き、発生するトルク自体は大きくなる。また、第1の軸受34、第1のロータ29、第2の軸受35、第2ロータ32の表面に潤滑材の塗布、潤滑塗装(フッ素系潤滑塗装・グラファイト系潤滑塗装・二硫化モリブデン系潤滑塗装)、潤滑メッキ(例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)粒子を含有した無電解ニッケルメッキやテフロン(商標)潤滑無電解ニッケルメッキなど)等を施すことにより、摺動面の摩擦によるトルク損失を抑制したり、摺動面の耐久性を損なうことを防いで出力トルクをアップさせることも可能である。
また、図4に示すように、第1のマグネット28及び前記第2のマグネット31はそれぞれその内径部が第1のロータ29の第1円筒部29aと第2のロータ32の第1円筒部32aによって埋められているので、上記特許文献3で提案されているものに比べ、マグネットの機械的強度が大きく、又第1のロータ29及び第2のロータ32はそれぞれ第1のマグネット28と第2のマグネット31の内径部に現れるS極、N極との間の磁気抵抗を小さくするいわゆるバックメタルとして作用するので、磁気回路のパーミアンス係数は高く設定されることになり、高温下の環境で使用されても減磁による磁気的劣化も少ない。
さらに、上記特許文献3で提案されているものはマグネットの外径部と外側磁極部の隙間を精度良く保って組み立てる必要がある他に、マグネットの内径部に対向する位置にある内側磁極部をマグネットに対して所定の隙間を設けて配置する必要があり、部品精度のばらつきや組み立て精度が悪い場合にこの隙間を確保できず、内側磁極部がマグネットに接触してしまうなどの不良が生じる可能性が高いが、これに対し本実施例2では、第1のマグネット28及び第2のマグネット31の外径部側のみの隙間を管理するだけでよいので、組み立てが容易になる。
36は連結ギアであり、ギア部36aが第1ギア30と第2ギア33とに噛み合って、連動して回転する。また、連結ギア36にリードスクリュー部36bが一体で設けられており、不図示の雌ネジと噛み合って回転により雌ネジを直線移動させる。36cはギア部36aとリードスクリュー部36bとを結ぶ円柱部、36dは第1軸部、36eは先端が球R形状の第2軸部である。なお、本実施例2では、ギア部36aとリードスクリュー部36bとを一体で形成する構成としているが、これらを別体として一体に固定する構成にしても良い。別体で構成することで、連結ギア部36aには噛み合い駆動音の静かなプラスチック等の材料を使用し、リードスクリュー部36bには強度が強くて耐磨耗性の優れるSUS等の材料を使用可能になる。一方、一体で形成した場合には、部品点数削減によるコストダウンが図れるとともに、連結ギア部36aと該リードスクリュー部36bの同軸位置精度が向上可能となる。
37はカバーであり、ステータ21に固定される。37aは第1軸保持部であり、ここに第1のロータ29の第1軸部29cが回転可能に嵌合する。37bは第2軸保持部であり、ここに第2のロータ32の第1軸部32cが回転可能に嵌合する。37cは第3軸保持部であり、ここに連結ギア36の第1軸部36dが回転可能に嵌合するとともに、軸方向の位置決めがなされる。
38は軸受であり、ステータ21の保持部21jに設けられる軸受取付部21kに取り付けられて、連結ギア36の第2軸部36eを回転可能に支持する。軸受38は摩擦や磨耗に優れる含油メタルや液晶ポリマー等の材料を使用するのが好ましい。軸受38により連結ギア36の第2軸部36eとステータ21の保持部21jとが直接接触することがないため、摩擦や磨耗の低減が図られ、より滑らかな回転が得られる。
39は板バネであり、ステータ21の保持部21jに取り付けられて、連結ギア36の第2軸部36eの球R形状先端部を軸方向に片寄せ付勢する。この状態で、連結ギア36はカバー37に当接して軸方向位置が決められる。これにより、リードスクリュー部36bは回転時に軸方向への振れが抑制されて、該リードスクリュー部36bに噛み合う雌ネジの軸方向送り精度が向上する。また、板バネ39は軸受38の軸受取付部21kからの抜け止めも兼ねている。
マグネット28及びマグネット31の外周面の着磁極数をnとすると、第1ギア30と連結ギア36と第2ギア33とが噛み合った状態で、第1のマグネット28の着磁位相とステータ21の第1の外側磁極部21b及び第2の外側磁極部21cの関係は、第2のマグネット31の着磁位相と第3の外側磁極部21d及び第4の外側磁極部21eの関係に対して約180/n度、すなわち約45度ずれて配置される。これにより、第1のコイル22及び第2のコイル25への通電方向を異なるタイミングで順次変えることにより、通電状態に応じた位置へ連結ギア36すなわちリードスクリュー部36bを回転していくことができ、双方向の回転が可能なリードスクリュー付きステップモータとして機能させることができる。
第1のマグネット28は第1のコイル22と軸方向に隣接して配置されており、第2のマグネット31は第2のコイル25と軸方向に隣接して配置されており、これら第1のコイル22と第2のコイル25とは軸方向に垂直な平面で隣接しているため、上記特許文献1〜3にて提案されているものと比べて軸方向の長さの短いモータとすることが可能となる。
また、第1の外側磁極部1b、第2の外側磁極部1c、第3の外側磁極部1d、第4の外側磁極部1eはロータ軸に平行な方向に延出する櫛歯状に構成されているので、すべての構成部品を一方向(図3及び図4の上下方向)から組み込むことが可能となり、組み立て作業性がよい。
以上の実施例2によれば、第1の外側磁極部1b、第2の外側磁極部1c、第3の外側磁極部1d、第4の外側磁極部1eとを同一部材から構成するとともに、リードスクリュー部36bを有する連結ギア36の一端を保持する部材(アーム部21i及び保持部21kより成るフレーム)も同一部材から構成することで、相互位置の誤差を小さく抑えることができるとともに、部品点数が少なく、構造が簡単なモータとすることができ、リードスクリュー(リードスクリュー部36bを有する連結ギア36)の回転精度を向上させることができるとともに大幅なコストダウンになる。
図5は本発明の実施例3に係るモータを示す図であり、詳しくは、ロータ軸を通り、軸方向に平行な面での断面図である。
図5において、41は軟磁性材料から成る第1のステータであり、後述のロータ48及びロータ49の回転軸と平行方向に延びる櫛歯状に形成されている第1の外側磁極部41aを有する。また、第1のステータ41には後述のロータ48及びロータ49の回転軸と平行方向に延びるアーム部41bと、アーム部41bの端から垂直に折れ曲がる保持部41cとが一体で形成されており、保持部41cに取り付けられる後述の軸受54を介して後述のリードスクリュー53の一端を保持する。つまり、アーム部41bと保持部41cとでリードスクリュー53の一端を保持するフレームを構成している。
本実施例3における第1のステータ41は、上記特許文献1乃至3に記載されたものとは異なり、上記したように磁極部を有するステータとリードスクリューの一端を保持するフレームとが一体で形成されている。このため、第1の外側磁極部41aとリードスクリュー53との平行度が向上し、組み立てによるモータの性能のばらつきを最小限に抑えることができる。
42は第1のコイル、43は第1のコイル42が巻回される第1のボビンである。44は軟磁性材料から成る第2のステータであり、後述のロータ48及びロータ49の回転軸と平行方向に延びる櫛歯状に形成されている第2の外側磁極部44aを有する。45は第2のコイル、46は第2のコイル45が巻回される第2のボビンである。第1のコイル42はその外周に第1の外側磁極部41aが隣接するように固定される。そして、第1のコイル42へ通電することにより、第1の外側磁極部41aが励磁される。また、第2のコイル45はその外周に第2の外側磁極部44aが隣接するように固定される。そして、第2のコイル45へ通電することにより、第2の外側磁極部44aが励磁される。
47は永久磁石から成る円筒形状のマグネットであり、外周表面を円周方向に多分割、即ち着磁極数がnとなるようS極、N極が交互に着磁されている。このマグネット47の内周面は、外周面に比べ弱い着磁分布を持つか、あるいは全く着磁されていないか、あるいは外周面と逆の極、すなわち外周面がS極の場合はその範囲の内周面はN極に着磁されているものの何れかである。
48は軟磁性材料から成る第1のロータであり、円柱部と軸部で構成され、円柱部の外周面とマグネット47の内周面とが接着や圧入等により密着固定される。49は軟磁性材料から成る第2のロータであり、円柱部と先端が球R形状の軸部で構成され、円柱部の外周面と前記マグネット47の内周面とが接着や圧入等により密着固定される。
50は非磁性材料からなるスペーサであり、第1のロータ48及び第2のロータ49が前記マグネット47に固定される際に、その中間に配置される。第1のロータ48の円柱部とスペーサ50と第2のロータ49の円柱部とは図5に示すように軸方向に密着した状態でその軸方向に並置されるが、この軸方向の長さは、マグネット47の軸方向の長さと略同一となる。
51は軟磁性材料からなる第1の軸受であり、第2のステータ44に固定され、第2のロータ49の軸部を回転可能に支持するとともに、R形状の先端が当接することで第2のロータ49の軸方向の位置規制をする。また、第1の軸受51は第2のボビン46の内径部に嵌合している。すなわち、第2のコイル45の内径部には軟磁性材料からなる第1の軸受51と、同じく軟磁性材料からなる第2のロータ49の軸部とが挿入された状態となる。
52は軟磁性材料からなる円筒形状の補助ヨークであり、第1のステータ41に固定される。その際、補助ヨーク52の内径と第1のロータ48の軸部外径との間に所定の隙間を設けてある。また、補助ヨーク52は第1のボビン43の内径部に嵌合している。すなわち、第1のコイル42の内径部には軟磁性材料からなる補助ヨーク52と、同じく軟磁性材料からなる第1のロータ48の軸部とが挿入された状態となる。
第1の外側磁極部41aはマグネット47の外周面に所定の隙間をもって対向して配置される。そして、第1のロータ48の円柱部の第1の外側磁極部41aに対向する部分、及び第1のロータ48の軸部、及び補助ヨーク52で第1の内側磁極部が形成される。同様に、第2の外側磁極部44aはマグネット47の外周面に所定の隙間をもって対向して配置される。そして、第2のロータ49の円柱部の前記第2の外側磁極部44aに対向する部分、及び第2のロータ49の軸部、及び第1の軸受51で第2の内側磁極部が形成される。
第1のコイル42へ通電することにより、第1の外側磁極部41aと第1の内側磁極部が励磁され、その磁極間にはマグネット47を横切る磁束が発生し、効果的にマグネット47に作用する。同様に、第2のコイル45へ通電することにより、第2の外側磁極部44aと第2の内側磁極部が励磁され、その磁極間にはマグネット47を横切る磁束が発生し、効果的にマグネット47に作用する。ここで、マグネット47の内周面に対向して内側磁極部を成す第1のロータ48の円柱部とマグネット47の内周面との間に空隙を設ける必要がない。そのため、第1の外側磁極部41aと第1のロータ48の円柱部との距離を非常に小さくできる。同様に、マグネット47の内周面に対向して内側磁極部を成す第2のロータ49の円柱部とマグネット47の内周面との間に空隙を設ける必要がない。そのため、第2の外側磁極部44aと第2のロータ49の円柱部との距離を非常に小さくできる。よって、第1のコイル42と第1の外側磁極部41aと第1の内側磁極部とで形成される磁気回路、及び、第2のコイル45と第2の外側磁極部44aと第2の内側磁極部とで形成される磁気回路の磁気抵抗を小さくすることができ、モータの出力を高めることが出来る。
また、補助ヨーク52を軟磁性材料で形成することにより、第1のロータ48と共に第1の内側磁極部として作用し、同じく第1の軸受51を軟磁性材料で形成することにより、第2のロータ49と共に第2の内側磁極部として作用するので、第1のコイル42及び前記第2のコイル45により発生する磁束が流れやすくなり、よりいっそう出力を高めることが可能となる。
ここで、第1の軸受51とマグネット47が固定される第2のロータ49との間には吸着力が発生し、摩擦力によるトルク損失が生じたり、摺動面の耐久性を損なう可能性はあるが、マグネット47を薄くて小径の円筒形状で構成することでその吸着力は極わずかしか発生せず、磁気回路の磁気抵抗が減少することによる効率アップの方がより有効に働き、発生するトルク自体は大きくなる。また、第1の軸受51及び第2のロータ49の表面に潤滑材の塗布、潤滑塗装(フッ素系潤滑塗装・グラファイト系潤滑塗装・二硫化モリブデン系潤滑塗装)、潤滑メッキ(例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)粒子を含有した無電解ニッケルメッキやテフロン(商標)潤滑無電解ニッケルメッキなど)等を施すことにより、摺動面の摩擦によるトルク損失を抑制したり、摺動面の耐久性を損なうことを防いで出力トルクをアップさせることも可能である。
また、図5に示すように、マグネット47は内径部が第1のロータ48の円柱部と第2のロータ49の円柱部とスペーサ50とによって埋められているので、上記特許文献3で提案されているものに比べ、マグネットの機械的強度が大きく、又第1のロータ48及び前記第2のロータ49はそれぞれマグネット47の内径部に現れるS極、N極との間の磁気抵抗を小さくするいわゆるバックメタルとして作用するので、磁気回路のパーミアンス係数は高く設定されることになり、高温下の環境で使用されても減磁による磁気的劣化も少ない。
さらに、上記特許文献3で提案されているものはマグネットの外径部と外側磁極部の隙間を精度良く保って組み立てる必要がある他に、マグネットの内径部に対向する位置にある内側磁極部をマグネットに対して所定の隙間を設けて配置する必要があり、部品精度のばらつきや組み立て精度が悪い場合にこの隙間を確保できず、内側磁極部がマグネットに接触してしまうなどの不良が生じる可能性が高いが、これに対し本実施例3では、マグネット47の外径部側のみの隙間を管理するだけでよいので、組み立てが容易になる。
53はリードスクリューであり、一端が第1のロータ48の軸部に固着されて、一体で回転する。リードスクリュー53には雄ネジが設けられており、不図示の雌ネジと噛み合って回転により雌ネジを直線移動させる。また、リードスクリュー53の他端には先端が球R形状の軸部が設けられている。なお、本実施例3ではリードスクリュー53と第1のロータ48とは別体のものを一体に固定する構成としているが、これら2部品を一体で形成しても良い。別体で構成することで、リードスクリュー53には強度が強くて耐磨耗性の優れるSUS等の材料を使用し、第1のロータ48には磁気効率の良いSUY等の軟磁性材料を使用可能になる。一方、一体で形成した場合には、部品点数削減によるコストダウンが図れるとともに、第1のロータ48とリードスクリュー53の同軸位置精度が向上可能となる。
54は第2の軸受であり、第1のステータ41の保持部41cに取り付けられて、リードスクリュー53の軸部を回転可能に支持する。第2の軸受54は摩擦や磨耗に優れる含油メタルや液晶ポリマー等の材料を使用するのが好ましい。第2の軸受54によりリードスクリュー53の軸部と第1のステータ41の保持部41cとが直接接触することがないため、摩擦や磨耗の低減が図られ、より滑らかな回転が得られる。
55は板バネであり、第1のステータ41の保持部41cに取り付けられて、リードスクリュー53の球R形状先端部を軸方向に片寄せ付勢する。この状態で、第2のロータ49の軸部先端は第1の軸受51に当接して軸方向位置が決められる。これにより、リードスクリュー53は回転時に軸方向への振れが抑制されて、雄ネジに噛み合う雌ネジの軸方向送り精度が向上する。また、板バネ55は第2の軸受54の保持部41cからの抜け止めも兼ねている。
マグネット47の外周面の着磁極数をnとすると、マグネット47の着磁位相と第1のステータ41の第1の外側磁極部41aの関係は、マグネット47の着磁位相と第2のステータ44の第2の外側磁極部44aの関係に対して約180/n度ずれて配置される。これにより、第1のコイル42及び第2のコイル45への通電方向を異なるタイミングで順次変えることにより、通電状態に応じた位置へ前記リードスクリュー53を回転していくことができ、双方向の回転が可能なリードスクリュー付きステップモータとして機能させることができる。
以上の実施例3によれば、第1の外側磁極部41aとリードスクリュー53の一端を保持する部材(アーム部41b及び保持部41cより成るフレーム)も同一部材から構成することで、相互位置の誤差を小さく抑えることができるとともに、部品点数が少なく、構造が簡単なモータとすることができ、リードスクリューの回転精度を向上させることができるとともに大幅なコストダウンになる。
以上説明したように、本発明の各実施例によれば、小型でかつ回転精度の良い、低コストのモータを提供できるものである。
本発明の実施例1に係るモータの分解斜視図である。
図1のモータのロータ軸方向に平行な面での断面図である。
本発明の実施例2に係るモータの分解斜視図である。
図3のモータのロータ軸方向に平行な面での断面図である。
本発明の実施例3に係るモータのロータ軸方向に平行な面での断面図である。
従来のステップモータの一構成例を示す縦断面図である。
符号の説明
1,21 ステータ
41 第1のステータ
44 第2のステータ
1b,41a 第1の外側磁極部
1c,44a 第2の外側磁極部
21b 第1の外側磁極部
21c 第2の外側磁極部
21d 第3の外側磁極部
21e 第4の外側磁極部
2,22,42 第1のコイル
3,25,45 第2のコイル
4 ボビン
23,43 第1のボビン
26,46 第2のボビン
7,47 マグネット
28 第1のマグネット
31 第2のマグネット
8 ロータ
29,48 第1のロータ
32,49 第2のロータ
9,53 リードスクリュー
36 連結ギア
36b リードスクリュー部
10,37 カバー
11,38 軸受
54 第2の軸受
12,39,55 板バネ