JP2005304196A - ステッピングモータ - Google Patents
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Abstract
【課題】 軟磁性軸タイプCAMのロータ軸片寄せ機構を、トルクとサイズを維持したままモータ内に内蔵することで、回転精度の向上と駆動音の低減を図る。
【解決手段】 マグネットと第1のロータと第2のロータとで構成される回転軸を軸方向に片寄せする片寄せ手段を棒状部材と付勢部材とで構成し、その付勢部材を第1のロータと第2のロータとの間に配置した。
【選択図】 図2
【解決手段】 マグネットと第1のロータと第2のロータとで構成される回転軸を軸方向に片寄せする片寄せ手段を棒状部材と付勢部材とで構成し、その付勢部材を第1のロータと第2のロータとの間に配置した。
【選択図】 図2
Description
本発明は、円筒形状のステッピングモータに関するものである。
本発明は回転軸を中心とする直径を小さくし、かつ出力を高めたステッピングモータを提案(特許文献1:従来例1)している。以下、図9及び図10を用いてこの特許文献1について簡単に説明する。
図9はモータの分解斜視図、図10に該モータの側面の断面図であり、これらの図において、201は円周方向に4分割して異なる極に交互に着磁された永久磁石からなるロータ、202はロータ201の軸方向に隣り合って配置された第1のコイル、203はロータ201の軸方向に隣り合って配置された第2のコイル、204は第1のコイル203により励磁され軟磁性材料からなる第1のステータ、205は第2のコイル204により励磁され軟磁性材料からなる第2のステータである。第1のステータ204はロータ201の外周面に隙間をあけて対向する第1の外側磁極部204A,204Bとロータ201の内周面に隙間をあけて対向する第1の内側磁極部204C,204Dを備え、第2のステータ205はロータ201の外周面に隙間をあけて対向する第2の外側磁極部205A,205Bとロータ201の内周面に隙間をあけて対向する第2の内側磁極部205C,205Dを備えている。206は出力軸であり、これにロータ201が固着され、第1のステータ204の軸受け部204Eと第2のステータ205の軸受け部205Eに回転可能に保持されている。207は非磁性材料からなる連結リングであり、第1のステータ204と第2のステータ205とを所定の間隔で保持するものである。
第1のコイル202、第2のコイル203への通電方向を切り換えて、第1の外側磁極部204A,204B、第1の内側磁極部204C,204D、第2の外側磁極部205A,205B、第2の内側磁極部205C,205Dの各極性を切り換えることでロータを回転させていくものである。
このモータは、コイルに通電することにより発生した磁束が外側磁極部から対向する内側磁極部へ、あるいは、内側磁極部から対向する外側磁極部へと流れ、外側磁極部と内側磁極部の間に位置するマグネットに効率的に作用する。また、外側磁極部と内側磁極部との距離を円筒形状のマグネットの厚さ程度とすることができるため、外側磁極部と内側磁極部とで構成される磁気回路の抵抗を小さくすることができる。このように磁気回路の抵抗が小さいほど、少ない電流で多くの磁束を発生させることができ、出力が向上する。
また、本発明は上記モータを更に改良したものとして、内側磁極部を円筒形状で構成し、その内側磁極部の内径部に挿入されている出力軸を軟磁性材料で構成し、更にはステータに取り付けられ該出力軸を回転可能に保持する軸受けを非磁性材料で構成したものを提案(特許文献2:従来例2)している。この提案によれば、出力軸も磁気回路として利用できるため、モータの出力が上がる。また、その際のステータと出力軸の磁気による吸着は軸受けを非磁性材料で構成することで防いでいる。
さらに、本発明は上記従来例1のモータの回転軸を軸方向に加圧したものを提案(特許文献3:従来例3)している。以下、図11を用いてこの特許文献3について簡単に説明する。
図11はモータの側面の断面図であり、図において、301はロータを構成する円筒形状のマグネットであり、302及び303は円筒形状のコイルである。307はロータ軸となる出力軸であり、リードスクリュー部307aが形成されており、このリードスクリュー部307aは不図示のメネジと噛み合って回転によりメネジを直線移動させるものである。該出力軸307は該マグネット301の嵌合部301wに圧入により固着されており、該出力軸307と該マグネット301とでロータを構成している。318は軟磁性材料からなる第1のステータ、319は軟磁性材料からなる第2のステータである。321は第1の補助ステータ、322は第2の補助ステータである。該第1のステータ318の外筒の先端部は櫛歯形状の第1の外側磁極を形成しており、同様に該第2のステータ310の外筒の先端部は櫛歯形状の第2の外側磁極を形成している。該第1のステータ318の内筒318fと該第1の補助ステータ321とで第1の内側磁極を構成しており、該第2のステータ319の内筒319fと該第2の補助ステータ322とで第2の内側磁極を構成している。323はフレームであり、該第2のステータ319に固着されている。324は先端軸受けであり、該フレーム323の穴323aに固着されている。該出力軸307の先端部307bが該先端軸受け324の穴324bに回転可能に嵌合している。325はステータ内軸受けであり、該第1のステータ318の中空柱形状の内筒318fの先端部に取り付けられており、該出力軸307の307c部が回転可能に嵌合している。該出力軸307は該先端軸受け324と該ステータ内軸受け325とで回転可能に支持されている。326はスライド部材であり、該第1のステータ318の中空柱形状の内筒318fの内部318gに収納されている。328は蓋であり、該第1のステータ318に固着され、圧縮コイルスプリング327の片側の方向の位置規制をしている。該圧縮コイルスプリング327は該スライド部材326を介して該出力軸307の端部307dを軸方向に加圧している。該出力軸307はこの加圧により該先端軸受け324側に押しつけられ回転可能であり、かつ軸方向の位置に関して位置決めがされる。
このモータは、出力軸を軸方向に加圧する加圧手段によって出力軸のリードスクリュー部に噛み合うメネジの直線運動の移動位置は出力軸の回転方向等によるヒステリシス差が生じない安定した位置取りをする運動になる。その際、圧縮コイルスプリング327とスライド部材326からなる加圧手段はステータの中空柱形状の内筒318fの内部318gに収納されているので、モータ本体から出っ張ることがなくモータのコンパクト性を全く損なわない。
特開平9−331666号公報
特開平10−229670号公報
特開2000−287434号公報
しかしながら、上記従来例2にて提案されたものは、第1のコイルへの通電により発生する磁束が軟磁性材料の出力軸を介して第2のコイル及び第2の外側磁極部、第2の内側磁極部に影響を及ぼし、第2のコイルへの通電により発生する磁束が軟磁性材料の出力軸を介して第1のコイル及び第1の外側磁極部、第1の内側磁極部に影響を及ぼして、回転を不安定なものにしてしまう。
また、上記従来例1、従来例2、及び従来例3にて提案されているものは共にマグネットの内径とそれに対向する内側磁極部との間には所定の間隔が必要であり、それを製造時に管理することはコストアップを招く。また、ステータの形状としても円筒形状の内側磁極部と外側磁極部が必要であり、それらを一体的に構成するのは部品製造上難しい。さらに、それらを別体で製造し、後で一体的に組み立てる場合は部品点数が多くなり、コストアップを招いてしまう。
さらに、上記従来例3にて提案されているものは内側磁極部の内側に加圧手段を配置しているため、上記従来例1にて提案されているモータに比べてコイルの径方向のスペースが少なくなり、出力が低下してしまう。また、モータのさらなる小径化に対しては加圧手段の配置が困難になる。すなわち、加圧手段の最低限の大きさを確保しつつモータの外径を小さくすると、コイルの径方向の幅をさらに小さくするしかなく、出力トルクが大幅に低下してしまう。
本発明の目的は、小型化を損なうことなく、よりコストの安い高出力な軸方向の加圧手段を備えたステッピングモータを提供しようとするものである。
上記目的を達成するために、本発明は、周方向に分割して異なる極に交互に着磁された円筒形状のマグネットと、該マグネットと同心かつ該マグネットをそれぞれ軸方向の両端から挟む位置に配置される第1のコイル及び第2のコイルと、前記マグネットの外周面に対向し前記第1のコイルにより励磁される第1の外側磁極部と、前記マグネットの外周面に対向し前記第2のコイルにより励磁される第2の外側磁極部と、前記マグネットを挟んで前記第1の外側磁極部に対向して配置される第1の内側磁極部と、前記マグネットを挟んで前記第2の外側磁極部に対向して配置される第2の内側磁極部とを有し、前記第1の内側磁極部は、前記第1のコイルの内径部に挿入された状態で前記第1の外側磁極部に固定される軟磁性材料からなる第1の回転支持部材と、該第1の回転支持部材と回転可能に嵌合し、かつ前記マグネットの内径部に固定される軟磁性材料からなる第1のロータとにより構成され、前記第2の内側磁極部は、前記第2のコイルの内径部に挿入された状態で前記第2の外側磁極部に固定される軟磁性材料からなる第2の回転支持部材と、該第2の回転支持部材と回転可能に嵌合し、かつ前記マグネットの内径部に固定される軟磁性材料からなる第2のロータとにより構成され、前記マグネットと前記第1のロータと前記第2のロータとで構成される回転軸を軸方向に加圧する加圧手段を該第1のロータと該第2のロータとの間に配置したステッピングモータとするものである。
上記構成において、第1のコイル及び第2のコイルはマグネットとほぼ同径で、かつマグネットを軸方向から挟む位置に配置しているため、本発明のモータの外形寸法を小さく構成できる。
また、マグネットの内周面に固定された第1のロータの第1の外側磁極部と対向する一部分を第1の内側磁極部と呼ぶとすると、第1のコイルにより発生する磁束はマグネットの外周面に対向する第1の外側磁極部とマグネットの内周面に固定された第1のロータからなる第1の内側磁極部との間を通過するので、効果的にマグネットに作用する。その際、第1の内側磁極部はマグネットの内周面との間に空隙を設ける必要がない。同様に、マグネットの内周面に固定された第2のロータの第2の外側磁極部と対向する一部分を第2の内側磁極部と呼ぶとすると、第2のコイルにより発生する磁束はマグネットの外周面に対向する第2の外側磁極部とマグネットの内周面に固定された第2のロータからなる第2の内側磁極部との間を通過するので、効果的にマグネットに作用する。その際、第2の内側磁極部はマグネットの内周面との間に空隙を設ける必要がない。したがって、上記従来例(特開平9−331666号公報或いは特開平10−229670号公報或いは特開2000−287434号公報で提案されているもの)に比べて外側磁極部と内側磁極部の距離を小さく構成することが可能となり、これにより磁気抵抗を減少させ出力を高めることができる。
また、上記従来例(特開平9−331666号公報或いは特開平10−229670号公報或いは特開2000−287434号公報で提案されているもの)に比べて内側磁極部を軸方向に長く構成できるので、外側磁極部とマグネットを有効に利用することができ、出力を高められる。
さらに、第1の回転支持部材を軟磁性材料で形成することにより、第1のロータと共に第1の内側磁極部として作用し、第2の回転支持部材を軟磁性材料で形成することにより、第2のロータと共に第2の内側磁極部として作用して、第1のコイル及び第2のコイルにより発生する磁束が流れやすくなり、よりいっそう出力を高めることが可能となる。
第1の内側磁極部は第1のロータ及び第1の回転支持部材で構成し、第2の内側磁極部は第2のロータ及び第2の回転支持部材で構成してあるので、上記従来例(特開平9−331666号公報或いは特開平10−229670号公報或いは特開2000−287434号公報で提案されているもの)にて提案されている外側磁極部と内側磁極部を接続或いは一体的に製造する場合に比べて容易に製造でき、コストが安くなる。
また、マグネットの外径部のみの隙間を管理するだけでよいので、組み立てが容易になり、不良率も少なくなる。
さらに、マグネットは内径部に第1のロータ及び第2のロータが固定されるので、強度的に優れる。
また、加圧手段を内蔵することで、回転軸の軸方向のがたつきがなくなるので、回転精度の向上や駆動音の低減が図られる。
さらに、回転軸を軸方向に加圧する加圧手段を第1のロータと第2のロータとの間に配置したことで、モータの外径を大きくすることなく加圧手段を配置できるとともに、第1のコイルへの通電により発生する磁界の磁路及び第2のコイルへの通電により発生する磁界の磁路に影響を与えない位置に配置したことで、磁気効率をダウンさせず出力トルクを維持したまま加圧手段を配置可能となる。
以上、本発明についてその詳細を説明したが、さらに説明すれば、本発明は下記の構成によって前記課題を解決できた。
(1)周方向に分割して異なる極に交互に着磁された円筒形状のマグネットと、該マグネットと同心かつ該マグネットをそれぞれ軸方向の両端から挟む位置に配置される第1のコイル及び第2のコイルと、前記マグネットの外周面に対向し前記第1のコイルにより励磁される第1の外側磁極部と、前記マグネットの外周面に対向し前記第2のコイルにより励磁される第2の外側磁極部と、前記マグネットを挟んで前記第1の外側磁極部に対向して配置される第1の内側磁極部と、前記マグネットを挟んで前記第2の外側磁極部に対向して配置される第2の内側磁極部とを有し、前記第1の内側磁極部は、前記第1のコイルの内径部に挿入された状態で前記第1の外側磁極部に固定される軟磁性材料からなる第1の回転支持部材と、該第1の回転支持部材と回転可能に嵌合し、かつ前記マグネットの内径部に固定される軟磁性材料からなる第1のロータとにより構成され、前記第2の内側磁極部は、前記第2のコイルの内径部に挿入された状態で前記第2の外側磁極部に固定される軟磁性材料からなる第2の回転支持部材と、該第2の回転支持部材と回転可能に嵌合し、かつ前記マグネットの内径部に固定される軟磁性材料からなる第2のロータとにより構成され、前記マグネットと前記第1のロータと前記第2のロータとで構成される回転軸を軸方向に加圧する加圧手段を該第1のロータと該第2のロータとの間に配置したことを特徴とするステッピングモータ。
(2)前記第1のロータは出力軸部を備え、前記第2のロータは中央に穴部を備えた円筒形状で構成され、該第2のロータの穴部が前記第2の回転支持部材に設けられる軸部に回動可能に嵌合することを特徴とする前記(1)に記載のステッピングモータ。
(3)前記加圧手段は、前記第1のロータに当接する接触部が球面で構成される棒状部材と、該棒状部材を該第1のロータとの当接方向に付勢する付勢部材とで構成されることを特徴とする前記(1)に記載のステッピングモータ。
(4)周方向に分割して異なる極に交互に着磁された円筒形状のマグネットと、該マグネットと同心かつ該マグネットをそれぞれ軸方向の両端から挟む位置に配置される第1のコイル及び第2のコイルと、前記マグネットの外周面に対向し前記第1のコイルにより励磁される第1の外側磁極部と、前記マグネットの外周面に対向し前記第2のコイルにより励磁される第2の外側磁極部と、前記マグネットを挟んで前記第1の外側磁極部に対向して配置される第1の内側磁極部と、前記マグネットを挟んで前記第2の外側磁極部に対向して配置される第2の内側磁極部とを有し、前記第1の内側磁極部は、前記第1のコイルの内径部に挿入された状態で前記第1の外側磁極部に固定される軟磁性材料からなる第1の回転支持部材と、該第1の回転支持部材と回転可能に嵌合し、かつ前記マグネットの内径部に固定される軟磁性材料からなるロータの該第1の外側磁極部に対向する側とにより構成され、前記第2の内側磁極部は、前記第2のコイルの内径部に挿入された状態で前記第2の外側磁極部に固定される軟磁性材料からなる第2の回転支持部材と、該第2の回転支持部材と回転可能に嵌合し、かつ前記マグネットの内径部に固定される該ロータの該第2の外側磁極部に対向する側とにより構成され、前記マグネットと前記ロータとで構成される回転軸を軸方向に加圧する加圧手段を前記第1の内側磁極部と前記第2の内側磁極部との間に配置したことを特徴とするステッピングモータ。
(5)前記ロータは第1の内側磁極部を構成する側に出力軸部を備えるとともに軸中心に穴部を備え、該ロータの穴部は前記加圧手段が奥に配置されるとともに前記第2の回転支持部材に設けられる軸部が回動可能に嵌合することを特徴とする前記(4)に記載のステッピングモータ。
(6)前記加圧手段は、前記ロータに当接する接触部が球面で構成される棒状部材と、該棒状部材を該ロータとの当接方向に付勢する付勢部材とで構成されることを特徴とする前記(4)に記載のステッピングモータ。
本発明によれば、小型化を損なうことなく、よりコストの安い高出力な軸方向の加圧手段を備えたステッピングモータを提供できるものである。
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
(実施の第1の形態)
図1〜図6は本発明の実施の第1の形態に係る図であり、詳しくは、図1はステッピングモータの分解斜視図、図2は図1のステッピングモータの組立て後の軸方向の断面図、図3〜図6は図1のステッピングモータのマグネットとステータの位相関係を各動作段階毎に示す断面図である。
図1〜図6は本発明の実施の第1の形態に係る図であり、詳しくは、図1はステッピングモータの分解斜視図、図2は図1のステッピングモータの組立て後の軸方向の断面図、図3〜図6は図1のステッピングモータのマグネットとステータの位相関係を各動作段階毎に示す断面図である。
図1〜図6において、1は軟磁性材料からなる第1のステータであり、外筒及び中央に穴部1gの開いたドーナツ状の天板1fで構成されている。この第1のステータ1の外筒はその先端部に軸方向に延出する櫛歯形状の外側磁極部1a,1b,1c,1d,1eが形成され、後述のマグネット9の着磁分割数をNとすると(本実施形態ではN=10)、これらは円周方向に360/(N/2)度、すなわち72度間隔で所定の歯幅で形成されている。2は軟磁性材料からなる第2のステータであり、外筒及び中央に穴部2gの開いたドーナツ状の天板2fで構成されている。この第2のステータ2の外筒はその先端部に軸方向に延出する櫛歯形状の外側磁極部2a,2b,2c,2d,2eが形成され、これらは円周方向に360/(N/2)度、すなわち72度間隔で所定の歯幅で形成されている。
3は円筒形状の第1のコイルであり、第1のボビン4に巻き付けられている。この第1のコイルは両端が端子ピン5にからげられて導通状態になっている。第1のコイル3及び第1のボビン4はその外径が後述のマグネット9の外径とほぼ同じ寸法となっている。6は円筒形状の第2のコイルであり、第2のボビン7に巻き付けられている。この第2のコイルは両端が端子ピン8にからげられて導通状態になっている。第2のコイル6及び第2のボビン7はその外径が後述のマグネット9の外径とほぼ同じ寸法となっている。
9は円筒形状のマグネットであり、図3〜図6に示すように、その外周表面及び内周表面を円周方向にN分割して(本実施形態ではN=10分割して)S極及びN極が交互に着磁された着磁部を有する。10は第1のロータであり、図2に示すようにマグネット9に接着固定される。この第1のロータ10は円柱部10aと軸部10bとで構成される。軸部10bは後述の第1の回転支持部材によって回転可能に支持される。11は第2のロータであり、同じくマグネット9に接着固定される。第2のロータ11は円筒形状に形成され、第1穴部11aと第2穴部11bを備える。第1穴部11aは後述の第2の回転支持部材によって回転可能に支持される。第1のロータ10の軸部10bは出力軸として機能する。すなわち、軸部10bの先端に不図示のギアやレバー、スクリューねじ等を固定することで、ここより回転出力を得ることができる。
12は非磁性材料からなるスペーサーであり、第1のロータ10及び第2のロータ11がマグネット9に固定される際に、その中間に配置される。第1のロータ10の円柱部10aとスペーサー12と第2のロータ11とは図2に示すように軸方向に密着した状態でその軸方向に並置されるが、この軸方向の長さは、マグネット9の軸方向長さと略同一となる。
上記のマグネット9と第1のロータ10と第2のロータ11とスペーサー12とにより、回転軸が構成される。
13は軟磁性材料からなる第1の回転支持部材であり、第1円筒部13aとこの第1円筒部13aよりも外径の大きな第2円筒部13bで構成される。第1の回転支持部材13は第1のステータ1の穴部1gにその第1円筒部13aが挿入された状態で第2円筒部13bが天板1fに密着するように固定され、第1のロータ10の軸部10bを回転可能に支持する。また、第1のコイル3及び第1のボビン4は第1のステータ1の内側に固定され、その状態で第1の回転支持部材13の第1円筒部13aが第1のボビン4の内径部に嵌合している。すなわち、第1のコイル3の内径部には軟磁性材料からなる第1の回転支持部材13の第1円筒部13aと、同じく軟磁性材料からなる第1のロータ10の軸部10bとが挿入された状態となる。
14は軟磁性材料からなる第2の回転支持部材であり、円筒部14aと軸部14bで構成される。第2の回転支持部材14は第2のステータ2の穴部2gにその円筒部14aが挿入された状態で円筒部14aの一端と天板2fの外面が同一面になるように固定され、第2のロータ11の第1穴部11aに第2の回転支持部材14の軸部14bが嵌合することで第2のロータ11を回転可能に支持する。また、第2のコイル6及び第2のボビン7は第2のステータ2の内側に固定され、その状態で第2の回転支持部材14の円筒部14aが第2のボビン7の内径部に嵌合している。すなわち、第2のコイル6の内径部には軟磁性材料からなる第2の回転支持部材14の円筒部14aが挿入された状態となる。第1のコイル3及び第1のボビン4と第2のコイル6及び第2のボビン7は、マグネット9をそれぞれ軸方向両端から挟む位置に所定の隙間を持って配置される。
15は片寄せ棒、16は圧縮バネからなる片寄せバネであり、片寄せ棒15は一端が球面形状の第1円柱部15aと第1円柱部15aよりも外径の小さな第2円柱部15bとで構成される。片寄せ棒15の第1円柱部15aは第1のロータ10の円柱部10aに設けられる穴部10cに回動可能に嵌合して、第1円柱部15aの球面部が穴部10cの底面に当接する。片寄せバネ16は片寄せ棒15の第2円柱部15bに挿入され、一端が第1円柱部15aに当接し、他端が第2の回転支持部材14の軸部14bの端面に当接して、片寄せ棒15とともに第1のロータ10を軸方向(図2の左方向)に加圧している。この時、片寄せバネ16と片寄せ棒15の第2円柱部15bは一部が第2のロータ11の第2穴部11b内に配置される。第1のロータ10は円柱部10aがテフロン(登録商標)等からなるワッシャー17を間に挟んで第1の回転支持部材の第1円筒部13aの端面に突き当たることで、軸方向の位置が規制される。すなわち、マグネット9と第1のロータ10と第2のロータ11とスペーサー12とで構成される回転軸は、第1のロータ10と第2のロータ11との間に配置される片寄せ棒15と片寄せバネ16により軸方向(図2の左方向)に加圧されることで、軸方向に片寄せされる。
18は円筒形状の連結リングであり、この連結リング18に第1のステータ1と第2のステータ2を固定することで、第1のステータ1と第2のステータ2を所望の位置、位相で配置することができる。第1のステータ1と第2のステータ2は同一形状であって、外側磁極部1a〜1eと外側磁極部2a〜2eとが向かい合うように配置される。その際、図3〜図6に示すように、マグネット9の着磁位相と第1のステータ1の外側磁極部1a〜1eとの関係は、マグネット9の着磁位相と第2のステータ2の外側磁極2a〜2eとの関係に対して180/N度、すなわち18度ずれて配置される。また、連結リング18は非磁性材料で形成されており、第1のステータ1と第2のステータ2との間の磁気回路を分断してお互いの磁極の影響が出にくい構成となっている。
上記構成において、第1のステータ1の外側磁極部1a〜1eはマグネット9の外周面に所定の隙間をもって対向しており、第2のステータ2の外側磁極2a〜2eはマグネット9の外周面に所定の隙間をもって対向している。
第1のステータ1は第1のコイル3によって励磁され、第2のステータ2は第2のコイル6によって励磁される。第1のステータ1の外側磁極部1a〜1eと対向してマグネット9を挟む位置に第1のロータ10の円柱部10aが配置される。第1のコイル3の内径部に配置される第1のロータ10の軸部10bと第1の回転支持部材13及び第1のロータ10の円柱部10aは第1のコイル3によって第1のステータ1の外側磁極部1a〜1eとは反対の極に励磁され、第1の内側磁極部として機能する。また、第2のステータ2の外側磁極部2a〜2eと対向してマグネット9を挟む位置に第2のロータ11が配置される。第2のコイル6の内径部に配置される第2の回転支持部材14及び第2のロータ11は第2のコイル6によって第2のステータ2の外側磁極部2a〜2eとは反対の極に励磁され、第2の内側磁極部として機能する。
第1のコイル3により発生する磁束は、マグネット9の外周面に対向する第1のステータ1の外側磁極部とマグネット9の内周面に固定され第1の内側磁極部を構成する第1のロータ10の円柱部10aとの間を通過するので、効果的にマグネットに作用する。その際、第1の内側磁極部を構成する円柱部10aはマグネット9の内周面との間に空隙を設ける必要がない。同様に、第2のコイル6により発生する磁束は、マグネット9の外周面に対向する第2のステータ2の外側磁極部とマグネット9の内周面に固定され第2の内側磁極部を構成する第2のロータ11との間を通過するので、効果的に該マグネット9に作用する。その際、第2の内側磁極部を構成する第2のロータ11はマグネット9の内周面との間に空隙を設ける必要がない。したがって、上記従来例1,2,3に比べて、外側磁極部と内側磁極部の距離を小さく構成することが可能となり、これにより磁気抵抗を減少させ、出力を高めることができる。
また、第1の回転支持部材13を軟磁性材料で形成することにより、第1のロータ10と共に第1の内側磁極部として作用し、同じく第2の回転支持部材14を軟磁性材料で形成することにより、第2のロータ11と共に第2の内側磁極部として作用するので、第1のコイル3及び第2のコイル6により発生する磁束が流れやすくなり、よりいっそう出力を高めることが可能となる。
ここで、第1の回転支持部材13とマグネット9が固定される第1のロータ10との間、及び、第2の回転支持部材14とマグネット9が固定される第2のロータ11との間には吸着力が発生し、摩擦力によるトルク損失が生じたり、摺動面の耐久性を損なう可能性はあるが、マグネット9を薄くて小径の円筒形状で構成することでその吸着力は極わずかしか発生せず、磁気回路の磁気抵抗が減少することによる効率アップの方がより有効に働き、発生するトルク自体は大きくなる。また、第1の回転支持部材13、第1のロータ10、第2の回転支持部材14、第2のロータ11の表面に潤滑材の塗布、潤滑塗装(フッ素系潤滑塗装・グラファイト系潤滑塗装・二流化モリブデン系潤滑塗装)、潤滑メッキ(例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)粒子を含有した無電解ニッケルメッキやテフロン(登録商標)潤滑無電解ニッケルメッキなど)等を施すことにより、摺動面の摩擦によるトルク損失を抑制したり、摺動面の耐久性を損なうことを防いで出力トルクをアップさせることも可能である。
上記従来例2では、出力軸が軟磁性材料で構成され、軸受けは非磁性材料で構成されているが、この構成ではコイルの内径部には出力軸のみが配置されることになり、例えば出力軸の外径を大きくすることで磁束が流れやすくなるものの、コイルとの接触を避けるため、コイルと出力軸との間に所定の隙間を持たせる必要があり、その分コイルの内径に対する出力軸の外径、すなわち内側磁極部径は小さくなる。しかも実際にはコイルとステータが不用意に導通しないようにコイルはボビンに巻き回す必要があり、出力軸はボビンとの接触を避けるためにボビン内径と所定の隙間を持たせる必要があった。これに対し、本実施の第1の形態では、コイルの内径部に軟磁性材料の回転支持部材と軟磁性材料のロータを配置しており、回転支持部材はボビン内径部と嵌合しており、ロータと回転支持部材も回転嵌合してしているため、コイルの内径に対する内側磁極部の割合を増やすことが可能となり、これにより磁気回路の磁気抵抗が減少して発生トルクがアップする。或いは内側磁極部を小径化してその分コイルの占有率を増すことで、発生トルクをアップさせることも可能である。
第1のロータ10の円柱部10aの端面と第2のロータ11の端面とは向き合って配置されているが、間にスペーサー12が配置されるため、直接接触しない。また、第1のロータ10と第2のロータ11とはマグネット9を介して固定されているが、マグネット9は軟磁性材料ではないため、第1のコイル3により第1のロータ10を励磁したとしても、それにより第2のロータ11が励磁されることはない。同様に、第2のコイル6により第2のロータ11を励磁したとしても、それにより第1のロータ10が励磁されることはない。すなわち、第1のロータ10と第2のロータ11との間に磁束の行き来がないように構成されている。
第1のロータ10と第2のロータ11にはお互いに向き合う端面の中央ににそれぞれ穴部10cと第2穴部11b(図2参照)が形成されているので、第1のロータ10と第2のロータ11との間の磁気抵抗は大きくなる。しかもこの場合でも、第1のロータ10の円柱部10aと第1のステータ1の外側磁極部1a〜1eとの対向面積は小さくならず、第1のロータ10の円柱部10aと第1のステータ1の外側磁極部1a〜1eとの磁気抵抗が大きくならないようになっている。同様に、第2のロータ11と第2のステータ2の外側磁極部2a〜2eとの対向面積は小さくならず、第2のロータ11と第2ステータ2の外側磁極部2a〜2eとの磁気抵抗が大きくならないようになっている。
また、マグネット9の内径部は第1のロータ10と第2のロータ11及びスペーサー12によって埋められているので、従来例1,2,3に示されるものに比べ、マグネットの機械的強度が大きいものとなる。
また、本実施の第1の形態では第1の内側磁極部を第1のロータ10と第1の回転支持部材13で構成し、第2の内側磁極部を第2のロータ11と第2の回転支持部材14で構成して、第1のステータ1と第2のステータ2はカップ形状で外筒部分に切り欠きを設けたという単純な形状で構成されることから製造が容易であり、コストが安くなる。すなわち、ロータと回転支持部材が内側磁極部を兼ねていることで、コストを安くしている。従来例1,2,3に示される構造の場合、第1のステータ及び第2のステータはそれぞれ内側磁極部を外側磁極部と一体的に構成しなければならないが、内側磁極部を外側磁極部と同一部品で構成することは製造上難しい。例えばメタルインジェクションモールドにより成型することは可能であるがコスト高となり、プレスにより一体的に製造することは外側磁極部のみを構成する部品を製造する場合と比較して部品が小さくなればなるほど困難になる。また、内側磁極部と外側磁極部とを別々に製造してからカシメや溶接或いは接着等により一体的に固着する場合もコストが高くなる。
また、従来例1,2,3に示されるものは、マグネットの外径部と外側磁極部との隙間を精度良く保って組み立てる必要のほかに、マグネットの内径部に対向する位置にある内側磁極部もマグネットに対し所定の隙間を設けて配置する必要があり、部品精度のばらつきや組み立て精度が悪い場合にこの隙間を確保出来ず、内側磁極部がマグネットに接触してしまう等の不良が生じてしまうが、本実施形態ではマグネットの外径部のみの隙間を管理するだけで良いので、組み立てが容易になる。
さらに、上記従来例1,2,3では内側磁極部はマグネットと出力軸をつなぐ部分に接触しないように構成しなければならず、これにより内側磁極部とマグネットとが対向する軸方向の長さ(図10のL1)を十分に長く出来ないのに対し、本実施形態では図2のL2で示すように、内側磁極部とマグネットとが対向する軸方向の長さを長く確保でき、これにより外側磁極部とマグネットを有効に利用することができ、モータの出力が高まる。
また、本実施の第1の形態においても従来例1,2,3に示されるものと同様にコイルの通電により発生する磁束を直接マグネットに作用させ、モータを高出力なものにするとともに、非常に小型化可能なものとしている。つまり、このステッピングモータの外径はマグネットの外径にステータの磁極を対向させるだけの大きさがあればよく、また、ステッピングモータの長さはマグネットの長さに第1のコイルと第2のコイルの長さを加えた程度の長さがあれば良いことになる。このため、ステッピングモータの大きさはマグネットおよびコイルの外径と長さによって決まるもので、マグネット及びコイルの外径と長さをそれぞれ非常に小さくすればステッピングモータを超小型にすることができるものである。その際、マグネット及びコイルの外径と長さをそれぞれ非常に小さくすると、ステッピングモータとしての精度を維持することが難しくなるが、これはマグネットを円筒形状に形成し、この円筒形状に形成されたマグネットの外周面及び内周面に第1、第2のステータの外側磁極部及び内側磁極部を対向させるという単純な構造により、ステッピングモータの精度の問題を解決している。また、上記の説明で述べたように、さらに低コストで高出力なものになる。
また、マグネット9と第1のロータ10と第2のロータ11とスペーサー12とで構成される回転軸は、第1のロータ10と第2のロータ11との間に配置される片寄せ棒15と片寄せバネ16で構成される加圧手段により軸方向(図2の左方向)に加圧されることで、軸方向に片寄せされる。よって、回転軸の軸方向のがたつきがなくなるので、上記従来例3に示されるものと同様に回転精度の向上や駆動音の低減が図られる。しかしながら、上記従来例3にて提案されているものは内側磁極部の内側に加圧手段を配置しているため、上記従来例1にて提案されているモータに比べてコイルの径方向のスペースが少なくなり、出力が低下してしまう。また、モータのさらなる小径化に対しては加圧手段の配置が困難になる。すなわち、加圧手段の最低限の大きさを確保しつつモータの外径を小さくすると、コイルの径方向の幅をさらに小さくするしかなく、出力トルクが大幅に低下してしまう。一方、本実施形態では、モータの外径を大きくすることなく加圧手段をモータ内部に配置できるとともに、第1のコイル3への通電により発生する磁界の磁路及び第2のコイル6への通電により発生する磁界の磁路に影響を与えない位置に配置したことで、磁気効率をダウンさせず出力トルクを維持したまま加圧手段を配置可能となる。よって、さらなる小型化も容易に達成可能となる。
図3〜図6はそれぞれ(a)が図2のA−A断面図、(b)が図2のB−B断面図であり、以下にこれらを用いてモータの回転駆動方法を説明する。
図3の状態は、第1のコイル3に対して正通電することにより、第1のステータ1の外側磁極部1a〜1eをN極とし、第1のロータ10をS極とし、同時に第2のコイル6に対して逆通電することにより、第2のステータ2の外側磁極部2a〜2eをS極とし、第2のロータ11をN極とした場合を示す。これにより、マグネット9の外周表面のS極に着磁された着磁部が第1のステータ1の外側磁極部の中心に向かう回転力(図3(a)の時計方向)が発生するとともに、マグネット9の外周表面のN極に着磁された着磁部が第2のステータ2の外側磁極部の中心に向かう回転力(図3(b)の反時計方向)が発生し、図3の状態でバランスを保って静止する。
次に、図3の状態から、第1のコイル3への正通電を維持しながら、すなわち第1のステータ1の外側磁極部1a〜1eをN極とし、第1のロータ10をS極としながら、第2のコイル6への通電を正通電に切り換えると、第2のステータ2の外側磁極部2a〜2eはN極に励磁され、第2のロータ11はS極に励磁され、マグネット9は外周表面のS極に着磁された着磁部が第2のステータ2の外側磁極部の中心に向かう回転力が発生し、図中時計方向に回転を始める。そして、図4に示す状態でバランスを保って静止する。この状態は、図3の状態からマグネット7が時計方向に18.0度回転した状態である。
次に、図4の状態から、第2のコイル6への正通電を維持しながら、すなわち第2のステータ2の外側磁極部2a〜2eをN極とし、第2のロータ11をS極としながら、第1のコイル3への通電を逆通電に切り換えると、第1のステータ1の外側磁極部1a〜1eはS極に励磁され、第1のロータ10はN極に励磁され、マグネット9は外周表面のN極に着磁された着磁部が第1のステータ1の外側磁極部の中心に向かう回転力が発生し、図中時計方向に回転を始める。そして、図5に示す状態でバランスを保って静止する。この状態は、図4の状態からマグネット7が時計方向に18.0度回転した状態である。
次に、図5の状態から、第1のコイル3への逆通電を維持しながら、すなわち第1のステータ1の外側磁極部1a〜1eをS極とし、第1のロータ10をN極としながら、第2のコイル6への通電を逆通電に切り換えると、第2のステータ2の外側磁極部2a〜2eはS極に励磁され、第2のロータ11はN極に励磁され、マグネット9は外周表面のN極に着磁された着磁部が第2のステータ2の外側磁極部の中心に向かう回転力が発生し、図中時計方向に回転を始める。そして、図6に示す状態でバランスを保って静止する。この状態は図5の状態から前記マグネット7が時計方向に18.0度回転した状態である。
上記のように第1のコイル3及び第2のコイル6への通電方向を順次切り換えていくことにより、ロータの構成要素であるマグネット9は通電位相に応じた位置へと順次回転することになる。
ここで、マグネット9の外周面を周方向に分割してなる着磁層を軸方向に2つ設け、第1のステータ1と対向する一方の着磁層と、第2のステータ2と対向する他方の着磁層の位相を互いに180/N度ずらし、第1のステータ1と第2のステータ2の位相を同じものとしてもよい。
(実施の第2の形態)
図7〜図8は本発明の実施の第2の形態に係る図であり、詳しくは、図7はステッピングモータの分解斜視図、図8は図7のステッピングモータの組立て後の軸方向の断面図である。
図7〜図8は本発明の実施の第2の形態に係る図であり、詳しくは、図7はステッピングモータの分解斜視図、図8は図7のステッピングモータの組立て後の軸方向の断面図である。
図7〜図8において、本発明の実施の第1の形態と同じものについては同一符号を付して説明は省略する。
20はロータであり、図8に示すようにマグネット9に接着固定される。このロータ20は第1円筒部20a、第2円筒部20b、第1円筒部20aと第2円筒部20bとを結ぶ連結部20c、第1円筒部20aの一端面から軸方向に延伸して形成される軸部20d、及び第1円筒部20aの軸方向略中央部から連結部20cと第2円筒部20bの中心を貫いて形成される穴部20eで構成される。軸部20dは後述の第1の回転支持部材によって回転可能に支持され、穴部20eはその口元が後述の第2の回転支持部材によって回転可能に支持される。軸部20dは出力軸として機能する。すなわち、軸部20dの先端に不図示のギアやレバー、スクリューねじ等を固定することで、ここより回転出力を得ることができる。マグネット9とロータ20とにより、回転軸が構成される。
第1円筒部20a及び第2円筒部20bはその外径がマグネット9の内径と略同一でありマグネット9の内側に密着して固定され、連結部20cの外径は第1円筒部20a及び第2円筒部20bの外径よりも小さく形成される。第1円筒部20aの軸方向長さは一方の端面がマグネット9の一方の端面と同一で、他方の端面は第1のステータ1の櫛歯形状の外側磁極部の先端と同一の長さとなっており、第2円筒部20bの軸方向長さは一方の端面がマグネット9の他方の端面と同一で、他方の端面は第2のステータ2の櫛歯形状の外側磁極部の先端と同一の長さとなっている。
また、ロータ20の第1円筒部20aと連結部20cと第2円筒部20bには中央に穴部20e(図8参照)が形成されており、連結部20cは第1円筒部20aや第2円筒部20bより外径が小さいので、第1円筒部20aと第2円筒部20bとの間の磁気抵抗は大きくなる。よって、本実施の第1の形態と比べてロータを1部品で構成しているにもかかわらず、第1のコイル3により発生する磁界と第2のコイル6により発生する磁界との干渉は少なくなる。しかもこの場合でも、ロータ20の第1円筒部20aと第1のステータ1の外側磁極部1a〜1eとの対向面積は小さくならず、ロータ20の第1円筒部20aと第1のステータ1の外側磁極部1a〜1eとの磁気抵抗が大きくならないようになっている。同様に、ロータ20の第2円筒部20bと第2のステータ2の外側磁極部2a〜2eとの対向面積は小さくならず、ロータ20の第2円筒部20bと第2ステータ2の外側磁極部2a〜2eとの磁気抵抗が大きくならないようになっている。
マグネット9の内径部はロータ20の第1円筒部20aと第2円筒部20bによって埋められているので、従来例1,2,3に示されるものに比べ、マグネットの機械的強度が大きいものとなる。
第1のステータ1は第1のコイル3によって励磁され、第2のステータ2は第2のコイル6によって励磁される。第1のステータ1の外側磁極部1a〜1eと対向してマグネット9を挟む位置にロータ20の第1円筒部20aが配置される。第1のコイル3の内径部に配置されるロータ20の軸部20d及び第1の回転支持部材13とロータ20の第1円筒部20aは第1のコイル3によって第1のステータ1の外側磁極部1a〜1eとは反対の極に励磁され、第1の内側磁極部として機能する。また、第2のステータ2の外側磁極部2a〜2eと対向してマグネット9を挟む位置にロータ20の第2円筒部20bが配置される。第2のコイル6の内径部に配置される第2の回転支持部材14及びロータ20の第2円筒部20bは第2のコイル6によって第2のステータ2の外側磁極部2a〜2eとは反対の極に励磁され、第2の内側磁極部として機能する。
片寄せ棒15の第1円柱部15aはロータ20の穴部20eに回動可能に嵌合して、第1円柱部15aの球面部が穴部20eの底面に当接する。片寄せバネ16は片寄せ棒15の第2円柱部15bに挿入され、一端が第1円柱部15aに当接し、他端が第2の回転支持部材14の軸部14bの端面に当接して、片寄せ棒15とともにロータ20を軸方向(図8の左方向)に加圧している。この時、片寄せバネ16と片寄せ棒15は穴部20c内に配置され、穴部20eの口元が第2の回転支持部材14の軸部14bが挿入することでふさがれる構成となる。ロータ20は第1円筒部20aがテフロン(登録商標)等からなるワッシャー17を間に挟んで第1の回転支持部材の第1円筒部13aの端面に突き当たることで、軸方向の位置が規制される。すなわち、マグネット9とロータ20とで構成される回転軸は、第1の内側磁極部と第2の内側磁極部との間に配置される片寄せ棒15と片寄せバネ16により軸方向(図8の左方向)に加圧されることで、軸方向に片寄せされる。
よって、回転軸の軸方向のがたつきがなくなるので、上記従来例3に示されるものと同様に回転精度の向上や駆動音の低減が図られる。しかしながら、上記従来例3にて提案されているものは内側磁極部の内側に加圧手段を配置しているため、上記従来例1にて提案されているモータに比べてコイルの径方向のスペースが少なくなり、出力が低下してしまう。また、モータのさらなる小径化に対しては加圧手段の配置が困難になる。すなわち、加圧手段の最低限の大きさを確保しつつモータの外径を小さくすると、コイルの径方向の幅をさらに小さくするしかなく、出力トルクが大幅に低下してしまう。一方、本実施形態では、モータの外径を大きくすることなく加圧手段をモータ内部に配置できるとともに、第1のコイル3への通電により発生する磁界の磁路及び第2のコイル6への通電により発生する磁界の磁路に影響を与えない位置に配置したことで、磁気効率をダウンさせず出力トルクを維持したまま加圧手段を配置可能となる。よって、さらなる小型化も容易に達成可能となる。
また、本実施の第2の形態では第1の内側磁極部をロータ20の一部と第1の回転支持部材13で構成し、第2の内側磁極部をロータ20の一部と第2の回転支持部材14で構成して、第1の外側磁極部を構成する第1のステータ1と第2の外側磁極部を構成する第2のステータ2はカップ形状で外筒部分に切り欠きを設けたという単純な形状で構成されることから製造が容易であり、コストが安くなる。すなわち、ロータと回転支持部材が内側磁極部を兼ねていることで、コストを安くしているとともに、本実施の第1の形態と比べて、ロータを1部品で構成しているので、さらなるコストダウンになる。
モータの回転駆動方法については本実施の第1の形態と同様であるので説明は省略する。
(発明と実施の形態の対応)
上記実施の各形態において、マグネット9が本発明の円筒形状のマグネットに、第1のコイル3及び第2のコイル6が本発明の第1のコイル及び第2のコイルに、外側磁極部1a〜1eが本発明の第1の外側磁極部に、外側磁極部2a〜2eが本発明の第2の外側磁極部に、第1の回転支持部材13が本発明の第1の回転支持部材に、第2の回転支持部材14が本発明の第2の回転支持部材に、第1のロータ10が本発明の第1のロータに、第2のロータ11が本発明の第2のロータに、片寄せ棒15が本発明の棒状部材に、片寄せバネ16が本発明の付勢部材に、ロータ20が本発明のロータに、それぞれ相当する。そして、片寄せ棒15と片寄せバネ1とで本発明の加圧手段を構成する。また、第1の回転支持部材13と第1のロータ10或いはロータ20が本発明の第1の内側磁極部を構成し、第2の回転支持部材14と第2のロータ11或いはロータ20が本発明の第2の内側磁極部を構成する。
上記実施の各形態において、マグネット9が本発明の円筒形状のマグネットに、第1のコイル3及び第2のコイル6が本発明の第1のコイル及び第2のコイルに、外側磁極部1a〜1eが本発明の第1の外側磁極部に、外側磁極部2a〜2eが本発明の第2の外側磁極部に、第1の回転支持部材13が本発明の第1の回転支持部材に、第2の回転支持部材14が本発明の第2の回転支持部材に、第1のロータ10が本発明の第1のロータに、第2のロータ11が本発明の第2のロータに、片寄せ棒15が本発明の棒状部材に、片寄せバネ16が本発明の付勢部材に、ロータ20が本発明のロータに、それぞれ相当する。そして、片寄せ棒15と片寄せバネ1とで本発明の加圧手段を構成する。また、第1の回転支持部材13と第1のロータ10或いはロータ20が本発明の第1の内側磁極部を構成し、第2の回転支持部材14と第2のロータ11或いはロータ20が本発明の第2の内側磁極部を構成する。
以上が実施の各形態の各構成と本発明の各構成の対応関係であるが、本発明はこれら実施の形態に限定されるものではなく、請求項で示した機能、又は実施の形態がもつ機能が達成できる構成であればどのようなものであっても良いことは言うまでもない。
1 第1のステータ
2 第2のステータ
3 第1のコイル
6 第2のコイル
9 マグネット
10 第1のロータ
11 第2のロータ
13 第1の回転支持部材
14 第2の回転支持部材
15 片寄せ棒
16 片寄せバネ
20 ロータ
2 第2のステータ
3 第1のコイル
6 第2のコイル
9 マグネット
10 第1のロータ
11 第2のロータ
13 第1の回転支持部材
14 第2の回転支持部材
15 片寄せ棒
16 片寄せバネ
20 ロータ
Claims (6)
- 周方向に分割して異なる極に交互に着磁された円筒形状のマグネットと、該マグネットと同心かつ該マグネットをそれぞれ軸方向の両端から挟む位置に配置される第1のコイル及び第2のコイルと、前記マグネットの外周面に対向し前記第1のコイルにより励磁される第1の外側磁極部と、前記マグネットの外周面に対向し前記第2のコイルにより励磁される第2の外側磁極部と、前記マグネットを挟んで前記第1の外側磁極部に対向して配置される第1の内側磁極部と、前記マグネットを挟んで前記第2の外側磁極部に対向して配置される第2の内側磁極部とを有し、
前記第1の内側磁極部は、前記第1のコイルの内径部に挿入された状態で前記第1の外側磁極部に固定される軟磁性材料からなる第1の回転支持部材と、該第1の回転支持部材と回転可能に嵌合し、かつ前記マグネットの内径部に固定される軟磁性材料からなる第1のロータとにより構成され、前記第2の内側磁極部は、前記第2のコイルの内径部に挿入された状態で前記第2の外側磁極部に固定される軟磁性材料からなる第2の回転支持部材と、該第2の回転支持部材と回転可能に嵌合し、かつ前記マグネットの内径部に固定される軟磁性材料からなる第2のロータとにより構成され、
前記マグネットと前記第1のロータと前記第2のロータとで構成される回転軸を軸方向に加圧する加圧手段を該第1のロータと該第2のロータとの間に配置したことを特徴とするステッピングモータ。 - 前記第1のロータは出力軸部を備え、前記第2のロータは中央に穴部を備えた円筒形状で構成され、該第2のロータの穴部が前記第2の回転支持部材に設けられる軸部に回動可能に嵌合することを特徴とする請求項1に記載のステッピングモータ。
- 前記加圧手段は、前記第1のロータに当接する接触部が球面で構成される棒状部材と、該棒状部材を該第1のロータとの当接方向に付勢する付勢部材とで構成されることを特徴とする請求項1に記載のステッピングモータ。
- 周方向に分割して異なる極に交互に着磁された円筒形状のマグネットと、該マグネットと同心かつ該マグネットをそれぞれ軸方向の両端から挟む位置に配置される第1のコイル及び第2のコイルと、前記マグネットの外周面に対向し前記第1のコイルにより励磁される第1の外側磁極部と、前記マグネットの外周面に対向し前記第2のコイルにより励磁される第2の外側磁極部と、前記マグネットを挟んで前記第1の外側磁極部に対向して配置される第1の内側磁極部と、前記マグネットを挟んで前記第2の外側磁極部に対向して配置される第2の内側磁極部とを有し、
前記第1の内側磁極部は、前記第1のコイルの内径部に挿入された状態で前記第1の外側磁極部に固定される軟磁性材料からなる第1の回転支持部材と、該第1の回転支持部材と回転可能に嵌合し、かつ前記マグネットの内径部に固定される軟磁性材料からなるロータの該第1の外側磁極部に対向する側とにより構成され、前記第2の内側磁極部は、前記第2のコイルの内径部に挿入された状態で前記第2の外側磁極部に固定される軟磁性材料からなる第2の回転支持部材と、該第2の回転支持部材と回転可能に嵌合し、かつ前記マグネットの内径部に固定される該ロータの該第2の外側磁極部に対向する側とにより構成され、
前記マグネットと前記ロータとで構成される回転軸を軸方向に加圧する加圧手段を前記第1の内側磁極部と前記第2の内側磁極部との間に配置したことを特徴とするステッピングモータ。 - 前記ロータは第1の内側磁極部を構成する側に出力軸部を備えるとともに軸中心に穴部を備え、該ロータの穴部は前記加圧手段が奥に配置されるとともに前記第2の回転支持部材に設けられる軸部が回動可能に嵌合することを特徴とする請求項4に記載のステッピングモータ。
- 前記加圧手段は、前記ロータに当接する接触部が球面で構成される棒状部材と、該棒状部材を該ロータとの当接方向に付勢する付勢部材とで構成されることを特徴とする請求項4に記載のステッピングモータ。
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Cited By (3)
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JP2009142033A (ja) * | 2007-12-05 | 2009-06-25 | Canon Inc | 駆動装置及び該駆動装置の製造方法 |
KR20120007923A (ko) * | 2010-07-15 | 2012-01-25 | 엘지이노텍 주식회사 | 스텝핑 모터 |
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2004
- 2004-04-13 JP JP2004117760A patent/JP2005304196A/ja not_active Withdrawn
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