図1〜図7は本発明の実施例1に係る図であり、詳しくは、図1はステッピングモータの分解斜視図、図2は図1のステッピングモータの組み立て後の軸方向の断面図、図3は図1のステッピングモータのマグネットとステータの一部の関係を表す円周方向展開図、図4〜図7は図1のステッピングモータのマグネットとステータの位相関係を各動作段階毎に示す断面図である。
図1〜図7において、1は軟磁性材料からなる第1のステータであり、外筒及び中央に穴部1gの開いたドーナツ状の天板1fで構成されている。この第1のステータ1の外筒はその先端部に軸方向に延出する櫛歯形状の外側磁極部1a,1b,1c,1d,1eが形成され、後述のマグネット7の着磁分割数をNとすると(本実施例1ではN=10)、これらは円周方向に360/(N/2)度、すなわち72度間隔で所定の歯幅で形成されている。2は軟磁性材料からなる第2のステータであり、外筒及び中央に穴部2gの開いたドーナツ状の天板2fで構成されている。この第2のステータ2の外筒はその先端部に軸方向に延出する櫛歯形状の外側磁極部2a,2b,2c,2d,2eが形成され、これらは円周方向に360/(N/2)度、すなわち72度間隔で所定の歯幅で形成されている。
3は円筒形状の第1のコイルであり、第1ボビン4に巻き付けられている。この第1のコイル3及び第1ボビン4はその外径が後述のマグネット7の外径とほぼ同じ寸法となっている。5は円筒形状の第2のコイルであり、第2ボビン6に巻き付けられている。この第2のコイル5及び第2ボビン6はその外径が後述のマグネット7の外径とほぼ同じ寸法となっている。
7は円筒形状のマグネットであり、図4〜図7に示すように、その外周表面及び内周表面を円周方向にN分割して(本実施例1ではN=10分割)S極及びN極が交互に着磁された着磁部を有する。8はロータ軸であり、図2に示すようにマグネット7に接着固定される。このロータ軸8は、第1円柱部8a、第2円柱部8b、第3円柱部8c、第1軸部8d及び第2軸部8eで構成される。第1円柱部8aはマグネット7の内径部に固定され、第1円柱部8aの軸方向の長さはマグネット7の軸方向の長さと略同一となる。第2円柱部8bは第1のコイル3の内径部に挿入され、第3円柱部8cは第2のコイル5の内径部に挿入される。第1軸部8dは後述の第1軸受けによって回転可能に支持され、第2軸部8eは後述の第2軸受けによって回転可能に支持される。第1軸部8dは第2軸部8eよりも軸方向の長さが長く、出力軸として機能する。すなわち、第1軸部8dの先端に不図示のギアやレバー、スクリューねじ等を固定することで、ここより回転出力を得ることができる。
上記のマグネット7とロータ軸8とにより、ロータが構成される。
9は軟磁性材料からなる第1軸受けであり、第1円筒部9aとこの第1円筒部9aよりも外径の大きな第2円筒部9bで構成される。第1軸受け9は第1のステータ1の穴部1gにその第1円筒部9aが挿入された状態で第2円筒部9bが天板1fに密着するように固定され、ロータ軸8の第1軸部8dを回転可能に支持する。また、第1のコイル3及び第1ボビン4は第1のステータ1の内側に固定され、その状態で第1軸受け9の第1円筒部9aが第1ボビン4の内径部に嵌合している。すなわち、第1のコイル3の内径部には軟磁性材料からなる第1軸受け9の第1円筒部9aと、同じく軟磁性材料からなるロータ軸8の第1軸部8dの一部と第2円柱部8bとが挿入された状態となる。
10は軟磁性材料からなる第2軸受けであり、第1円筒部10aとこの第1円筒部10aよりも外径の大きな第2円筒部10bで構成される。第2軸受け10は第2のステータ2の穴部2gにその第1円筒部10aが挿入された状態で第2円筒部10bが天板2fに密着するように固定され、ロータ軸8の第2軸部8eを回転可能に支持する。また、第2のコイル5及び第2ボビン6は第2のステータ2の内側に固定され、その状態で第2軸受け10の第1円筒部10aが第2ボビン6の内径部に嵌合している。すなわち、第2のコイル5の内径部には軟磁性材料からなる第2軸受け10の第1円筒部10aと、同じく軟磁性材料からなるロータ軸8の第2軸部8eの一部と第3円柱部8cとが挿入された状態となる。そして、第1軸受け9の第1円筒部9aの先端がロータ軸8の第2円柱部8bの端面を受け、第2軸受け10の第1円筒部10aの先端がロータ軸8の第3円柱部8cの端面を受ける形で、前記ロータの軸方向の移動を所定量に規制する。第1のコイル3及び第1ボビン4と第2のコイル5及び第2ボビン6は、マグネット7をそれぞれ軸方向両端から挟む位置に所定の隙間を持って配置される。
11は円筒形状の連結リングであり、この連結リング11に第1のステータ1と第2のステータ2を固定することで、第1のステータ1と第2のステータ2を所望の位置、位相で配置することができる。第1のステータ1と第2のステータ2は同一形状であって、外側磁極部1a〜1eと外側磁極部2a〜2eとが対向するように配置される。その際、図4〜図7に示すように、マグネット7の着磁位相と第1のステータ1の外側磁極部1a〜1eとの関係は、マグネット7の着磁位相と第2のステータ2の外側磁極2a〜2eとの関係に対して180/N度、すなわち18度ずれて配置される。また、連結リング11は非磁性材料で形成されており、第1のステータ1と第2のステータ2との間の磁気回路を分断してお互いの磁極の影響が出にくい構成となっている。
上記構成において、第1のステータ1の外側磁極部1a〜1eはマグネット7の外周面に所定の隙間をもって対向しており、第2のステータ2の外側磁極2a〜2eはマグネット7の外周面に所定の隙間をもって対向している。
第1のステータ1の外側磁極部1a,1b,1c,1d,1eの先端及び第2のステータ2の外側磁極部2a,2b,2c,2d,2eの先端にはお互いが向き合った状態で近接する一方の角にテーパー面が形成され、このテーパー面どうしが所定の隙間(図12のKに相当)をもってこれらステータは配置されている(図3参照)。これにより、第1のステータ1と第2のステータ2の外側磁極部どうしが干渉することなく(所定の隙間を設けつつ)外側磁極部の軸方向の長さを長く形成することが可能となる。具体的には、マグネット7の軸方向長さをMとし、第1のステータ1の外側磁極部1a,1b,1c,1d,1e及び第2のステータ2の外側磁極部2a,2b,2c,2d,2eのマグネット7に対向する軸方向の長さをL1とすると、L1≧M/2(図3は、L1>M/2の関係にある)とすることが可能となる。よって、上記の従来例1及び2(図12も参照)に比べて出力を向上させることができ、その分モータの軸方向の長さを短縮することも可能となる。
第1のステータ1は第1のコイル3によって励磁され、第2のステータ2は第2のコイル5によって励磁される。第1のステータ1の外側磁極部1a〜1eと対向してマグネット7を挟む位置にロータ軸8の第1円柱部8aが配置される。ロータ軸8の第1円柱部8aの第1のコイル3側の一部、及び第1のコイル3の内径部に配置されるロータ軸8の第2円柱部8b及び第1軸部8dの第1のコイル3側の一部及び第1軸受け9の第1円筒部9aは第1のコイル3によって第1のステータ1の外側磁極部1a〜1eとは反対の極に励磁され、第1の内側磁極部として機能する。また、第2のステータ2の外側磁極部2a〜2eと対向してマグネット7を挟む位置にロータ軸8の第1円柱部8aが配置される。ロータ軸8の第1円柱部8aの第2のコイル5側の一部、及び第2のコイル5の内径部に配置されるロータ軸8の第3円柱部8c及び第2軸部8c及び第2軸受け10の第1円筒部10aは第2のコイル5によって第2のステータ2の外側磁極部2a〜2eとは反対の極に励磁され、第2の内側磁極部として機能する。
第1のコイル3により発生する磁束は、マグネット7の外周面に対向する第1のステータ1の外側磁極部とマグネット7の内周面に固定され第1の内側磁極部を構成するロータ軸8の第1円柱部8aとの間を通過するので、効果的にマグネットに作用する。その際、第1の内側磁極部を構成する第1円柱部8aはマグネット7の内周面との間に空隙を設ける必要がない。同様に、第2のコイル5により発生する磁束は、マグネット7の外周面に対向する第2のステータ2の外側磁極部とマグネット7の内周面に固定され第2の内側磁極部を構成するロータ軸8の第1円柱部8aとの間を通過するので、効果的に該マグネット7に作用する。その際、第2の内側磁極部を構成する第1円柱部8aはマグネット7の内周面との間に空隙を設ける必要がない。したがって、上記従来例1及び2に比べて、外側磁極部と内側磁極部の距離を小さく構成することが可能となり、これにより磁気抵抗を減少させ、出力を高めることができる。
また、第1軸受け9を軟磁性材料で形成することにより、ロータ軸8の第1円柱部8aの第1のコイル3側の一部及び第2円柱部8b及び第1軸部8dの第1のコイル3側の一部と共に第1の内側磁極部として作用し、同じく第2軸受け10を軟磁性材料で形成することにより、ロータ軸8の第1円柱部8aの第2のコイル5側の一部及び第3円柱部8c及び第2軸部8eと共に第2の内側磁極部として作用するので、第1のコイル3及び第2のコイル5により発生する磁束が流れやすくなり、よりいっそう出力を高めることが可能となる。
ここで、第1軸受け9とマグネット7が固定されるロータ軸8との間、及び、第2軸受け10とマグネット7が固定されるロータ軸8との間には吸着力が発生し、摩擦力によるトルク損失が生じたり、摺動面の耐久性を損なう可能性はあるが、ロータ軸8の第1軸受け9との軸方向受け部を第2円柱部8bの端面とし、ロータ軸8の第2軸受け10との軸方向受け部を第3円柱部8cの端面とすることで、マグネット7からの距離を離して吸着力を低減させているとともに、マグネット7を薄くて小径の円筒形状で構成することでその吸着力は極くわずかしか発生せず、磁気回路の磁気抵抗が減少することによる効率アップの方がより有効に働き、発生するトルク自体は大きくなる。また、第1軸受け9、ロータ軸8、第2軸受け10の表面に潤滑材の塗布、潤滑塗装(フッ素系潤滑塗装・グラファイト系潤滑塗装・二硫化モリブデン系潤滑塗装)、潤滑メッキ(例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)粒子を含有した無電解ニッケルメッキやテフロン(登録商標)潤滑無電解ニッケルメッキなど)等を施すことにより、摺動面の摩擦によるトルク損失を抑制したり、摺動面の耐久性を損なうことを防いで出力トルクをアップさせることも可能である。
上記従来例2では、出力軸が軟磁性材料で構成され、軸受けは非磁性材料で構成されているが、この構成ではコイルの内径部には出力軸のみが配置されることになり、例えば出力軸の外径を大きくすることで磁束が流れやすくなるものの、コイルとの接触を避けるため、コイルと出力軸との間に所定の隙間を持たせる必要があり、その分コイルの内径に対する出力軸の外径、すなわち内側磁極部径は小さくなる。しかも実際にはコイルとステータが不用意に導通しないようにコイルはボビンに巻き回す必要があり、出力軸はボビンとの接触を避けるためにボビン内径と所定の隙間を持たせる必要があった。これに対し、本実施例1では、コイルの内径部に軟磁性材料の軸受けと軟磁性材料のロータ軸を配置しており、軸受けはボビン内径部と嵌合しており、ロータ軸と軸受けも回転嵌合してしているため、コイルの内径に対する内側磁極部の割合を増やすことが可能となり、これにより磁気回路の磁気抵抗が減少して発生トルクがアップする。或いは内側磁極部を小径化してその分コイルの占有率を増すことで、発生トルクをアップさせることも可能である。
また、マグネット7の内径部はロータ軸8によって埋められているので、従来例1及び2に示されるものに比べ、マグネットの機械的強度が大きいものとなる。
また、本実施例1では、第1の内側磁極部をロータ軸8の一部と第1軸受け9で構成し、第2の内側磁極部をロータ軸8の一部と第2軸受け10で構成して、第1のステータ1と第2のステータ2はカップ形状で外筒部分に切り欠きを設けたという単純な形状で構成されることから製造が容易であり、コストが安くなる。すなわち、ロータ軸と軸受けが内側磁極部を兼ねていることで、コストを安くしている。これに対し従来例1及び2に示される構造の場合、第1のステータ及び第2のステータはそれぞれ内側磁極部を外側磁極部と一体的に構成しなければならないが、内側磁極部を外側磁極部と同一部品で構成することは製造上難しい。例えばメタルインジェクションモールドにより成型することは可能であるがコスト高となり、プレスにより一体的に製造することは外側磁極部のみを構成する部品を製造する場合と比較して部品が小さくなればなるほど困難になる。また、内側磁極部と外側磁極部とを別々に製造してからカシメや溶接或いは接着等により一体的に固着する場合もコストが高くなる。
また、従来例1及び2に示されるものは、マグネットの外径部と外側磁極部との隙間を精度良く保って組み立てる必要のほかに、マグネットの内径部に対向する位置にある内側磁極部もマグネットに対し所定の隙間を設けて配置する必要があり、部品精度のばらつきや組み立て精度が悪い場合にこの隙間を確保出来ず、内側磁極部がマグネットに接触してしまう等の不良が生じてしまうが、本実施例1ではマグネットの外径部のみの隙間を管理するだけで良いので、組み立てが容易になる。
さらに、上記従来例1及び2では内側磁極部はマグネットと出力軸をつなぐ部分に接触しないように構成しなければならず、これにより内側磁極部とマグネットとが対向する軸方向の長さ(図11のL0)を十分に長く出来ないのに対し、本実施例1では図2のL1で示すように、内側磁極部とマグネットとが対向する軸方向の長さを長く確保でき、これにより外側磁極部とマグネットを有効に利用することができ、モータの出力が高まる。
また、本実施例1においても、従来例1及び2に示されるものと同様にコイルの通電により発生する磁束を直接マグネットに作用させ、モータを高出力なものにするとともに、非常に小型化可能なものとしている。つまり、このステッピングモータの外径はマグネットの外径にステータの磁極を対向させるだけの大きさがあればよく、また、ステッピングモータの長さはマグネットの長さに第1のコイルと第2のコイルの長さを加えた程度の長さがあれば良いことになる。このため、ステッピングモータの大きさはマグネットおよびコイルの外径と長さによって決まるもので、マグネット及びコイルの外径と長さをそれぞれ非常に小さくすればステッピングモータを超小型にすることができるものである。その際、マグネット及びコイルの外径と長さをそれぞれ非常に小さくすると、ステッピングモータとしての精度を維持することが難しくなるが、これはマグネットを円筒形状に形成し、この円筒形状に形成されたマグネットの外周面及び内周面に第1、第2のステータの外側磁極部及び内側磁極部を対向させるという単純な構造により、ステッピングモータの精度の問題を解決している。また、上記の説明で述べたように、さらに低コストで高出力なものになる。
図4〜図7はそれぞれ(a)が図2のA−A断面図、(b)が図2のB−B断面図であり、以下にこれらを用いてモータの回転駆動方法を説明する。
図4の状態は、第1のコイル3に対して正通電することにより、第1のステータ1の外側磁極部1a〜1eをN極とし、ロータ軸8の第1円柱部8aの第1のコイル3側の一部をS極とし、同時に第2のコイル5に対して逆通電することにより、第2のステータ2の外側磁極部2a〜2eをS極とし、ロータ軸8の第1円柱部8aの第2のコイル5側の一部をN極とした場合を示す。これにより、マグネット7の外周表面のS極に着磁された着磁部が第1のステータ1の外側磁極部の中心に向かう回転力(図4(a)の時計方向)が発生するとともに、マグネット7の外周表面のN極に着磁された着磁部が第2のステータ2の外側磁極部の中心に向かう回転力(図4(b)の反時計方向)が発生し、図4の状態でバランスを保って静止する。
次に、図4の状態から、第1のコイル3への正通電を維持しながら、すなわち第1のステータ1の外側磁極部1a〜1eをN極とし、ロータ軸8の第1円柱部8aの第1のコイル3側の一部をS極としながら、第2のコイル5への通電を正通電に切り換えると、第2のステータ2の外側磁極部2a〜2eはN極に励磁され、ロータ軸8の第1円柱部8aの第2のコイル5側の一部はS極に励磁され、マグネット7は外周表面のS極に着磁された着磁部が第2のステータ2の外側磁極部の中心に向かう回転力が発生し、図中時計方向に回転を始める。そして、図5に示す状態でバランスを保って静止する。この状態は、図4の状態からマグネット7が時計方向に18.0度回転した状態である。
次に、図5の状態から、第2のコイル5への正通電を維持しながら、すなわち第2のステータ2の外側磁極部2a〜2eをN極とし、ロータ軸8の第1円柱部8aの第2のコイル5側の一部をS極としながら、第1のコイル3への通電を逆通電に切り換えると、第1のステータ1の外側磁極部1a〜1eはS極に励磁され、ロータ軸8の第1円柱部8aの第1のコイル3側の一部はN極に励磁され、マグネット7は外周表面のN極に着磁された着磁部が第1のステータ1の外側磁極部の中心に向かう回転力が発生し、図中時計方向に回転を始める。そして、図6に示す状態でバランスを保って静止する。この状態は、図5の状態からマグネット7が時計方向に18.0度回転した状態である。
次に、図6の状態から、第1のコイル3への逆通電を維持しながら、すなわち第1のステータ1の外側磁極部1a〜1eをS極とし、ロータ軸8の第1円柱部8aの第1のコイル2側の一部をN極としながら、第2のコイル5への通電を逆通電に切り換えると、第2のステータ2の外側磁極部2a〜2eはS極に励磁され、ロータ軸8の第1円柱部8aの第2のコイル5側の一部はN極に励磁され、マグネット7は外周表面のN極に着磁された着磁部が第2のステータ2の外側磁極部の中心に向かう回転力が発生し、図中時計方向に回転を始める。そして、図7に示す状態でバランスを保って静止する。この状態は図6の状態から前記マグネット7が時計方向に18.0度回転した状態である。
上記のように第1のコイル3及び第2のコイル5への通電方向を順次切り換えていくことにより、ロータの構成要素であるマグネット7は通電位相に応じた位置へと順次回転することになる。
図9は本発明の実施例3に係るステッピングモータのマグネットとステータの一部の関係を表す円周方向展開図である。ここで、上記実施例1と同じ構成要素については同一の符号を付し、その説明は省略する。
本実施例3では、上記実施例1における第1のステータ1及び第2のステータ2とマグネット7を異なる形態にしたもので、その他は同じ構成要素となる。
31は第1のステータ、32は第2のステータであり、第1のステータ31の外筒はその先端部に軸方向に延出する櫛歯形状の外側磁極部31a,31b及び不図示の31c,31d,31eが形成され、後述のマグネット37の着磁分割数をNとすると(本実施例3はN=10)、これらは円周方向に360/(N/2)度、すなわち72度間隔で所定の歯幅で形成されている。同様に、第2のステータ32の外筒はその先端部に軸方向に延出する櫛歯形状の外側磁極部32a,32b及び不図示の32c,32d,32eが形成され、これらは円周方向に360/(N/2)度、すなわち72度間隔で所定の歯幅で形成されている。37は円筒形状のマグネットであり、その外周表面及び内周表面を円周方向にN分割してS極及びN極が交互に着磁された着磁層を軸方向に2つ設け、第1のステータ31と対向する一方の着磁層と、第2のステータ32と対向する他方の着磁層の位相を互いに180/N度(本実施例では18度)ずらして形成される。第1のステータ31と第2のステータ32は軸方向に向き合って配置され、第1のステータ31と第2のステータ32の位相は360/N度(本実施例3は36度)ずらして配置される。これにより、第1のステータ31とマグネット37との位相関係と、第2のステータ32とマグネット37との位相関係は180/N度(本実施例3では18度)ずれることとなり、第1のコイル3及び第2のコイル5への通電方向を順次切り換えていくことにより、ロータの構成要素であるマグネット37は通電位相に応じた位置へと順次回転することが可能となる。
第1のステータ31と第2のステータ32の位相が360/N度ずらして配置されることにより、第1のステータ31と第2のステータ32の外側磁極部どうしが干渉することなく外側磁極部の軸方向の長さを長く形成することが可能となる。具体的には、マグネット37の軸方向の長さをMとし、第1のステータ31の外側磁極部31a〜31e及び第2のステータ32の外側磁極部32a〜32eのマグネット37に対向する軸方向の長さをL3とすると、L3=M/2とすることが可能となる。すなわち、外側磁極部の軸方向長さはマグネット7の着磁層の境界である中央部まで伸ばすことが可能となる。よって、従来例1及び2に比べて出力を向上させることができ、その分モータの軸方向長さを短縮することも可能となる。
また、従来例1及び2や上記実施例1及び2に比べて、第1のステータ31の外側磁極部と第2のステータ32の外側磁極部との距離を大きく離すことが可能となり、お互いの磁束の干渉が発生しずらくなり、回転ステップ精度が大幅に向上する。
最後に、上記各実施例における効果についてまとめて以下に説明する。
上記実施例1及び2においては、第1のステータの外側磁極部の先端及び第2のステータの外側磁極部の先端に、お互いが向き合った状態で近接する少なくとも一方の角にテーパー面を形成しているので、第1のステータ1と第2のステータ2の外側磁極部どうしが干渉することなく、各外側磁極部の軸方向長さを長く形成することができる。具体的には、第1の外側磁極部1a〜1e,21a〜21eのマグネット7の外周面に対向する軸方向の長さ及び第2の外側磁極部2a〜2e,22a〜22eのマグネット7の外周面に対向する軸方向の長さをLとし、マグネット7の軸方向の長さをMとすると、L≧M/2となるように構成している。
また、実施例3によれば、マグネット37を、その外周表面及び内周表面を円周方向にN分割してS極及びN極が交互に着磁された着磁層を軸方向に2つもち、第1の外側磁極部31a〜31eと対向する一方の着磁層と第2の外側磁極部32a〜32eと対向する他方の着磁層の位相を互いに180/N度ずらして形成し、マグネット37の外周面に対向するとともにお互いが近接して向き合うように配置される第1の外側磁極部31a〜31eと第2の外側磁極部32a〜32eの位相は360/N度ずらして配置するようにしている。このような構成により、第1の外側磁極部31a〜31eのマグネット37の外周面に対向する軸方向の長さ及び第2の外側磁極部32a〜32eのマグネット37の外周面に対向する軸方向の長さをLとし、マグネット7の軸方向の長さをMとすると、L=M/2となるように構成している。
よって、マグネットの外周面に対向する第1の外側磁極部の軸方向の長さ及び第2の外側磁極部の軸方向の長さを従来例に比べて長く構成できるので、モータの出力を高めることができる。すなわち、モータの軸方向の長さを短く構成しても出力低下の割合が少ないものとなる。
また、上記各実施例においては、マグネット7,37の内周面に固定されたロータ軸8の第1の外側磁極部と対向する一部分を第1の内側磁極部と呼ぶとすると、第1のコイルにより発生する磁束はマグネット7,37の外周面に対向する第1の外側磁極部とマグネット7,37の内周面に固定されたロータ軸8からなる第1の内側磁極部との間を通過するので、効果的にマグネットに作用する。その際、第1の内側磁極部はマグネット7,37の内周面との間に空隙を設ける必要がない。同様に、マグネット7,37の内周面に固定されたロータ軸の第2の外側磁極部と対向する一部分を第2の内側磁極部と呼ぶとすると、この第2の内側磁極部も同様に、マグネット7,37の内周面との間に空隙を設ける必要がない。したがって、上記従来例1及び2に比べて外側磁極部と内側磁極部の距離を小さく構成することが可能となり、これにより磁気抵抗を減少させ出力を高めることができる。
また、従来例1及び2に比べて内側磁極部を軸方向に長く構成できるので、外側磁極部とマグネットを有効に利用することができ、出力を高められる。さらに、第1の内側磁極部及び第2の内側磁極部はロータ軸で構成してあるので、上記従来例1及び2にて提案されている外側磁極部と内側磁極部を接続或いは一体的に製造する場合に比べて容易に製造でき、コストが安くなる。更に、マグネットの外径部のみの隙間を管理するだけでよいので、組み立てが容易になり、不良率も少なくなる。またマグネットは内径部にロータ軸が固定されるので、強度的に優れる。
(発明と実施例の対応)
上記各実施例において、マグネット7,37が本発明の円筒形状のマグネットに、第1のコイル3及び第2のコイル4が本発明の第1のコイル及び第2のコイルに、外側磁極部1a〜1e,21a〜21b,31a〜31bが本発明の第1の外側磁極部に、外側磁極部2a〜2e,22a〜22b,32a〜32bが本発明の第2の外側磁極部に、ロータ軸8が本発明の回転軸に、それぞれ相当する。
以上が各実施例の各構成と本発明の各構成の対応関係であるが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、請求項で示した機能、又は各実施例がもつ機能が達成できる構成であればどのようなものであっても良いことは言うまでもない。