JP3996675B2 - 偏光板一体型インナータッチパネル用積層シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、偏光板一体型のインナータッチパネル用積層シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近、ディスプレイ画面を指で触ったりペンで押圧するだけで入力できる透明タッチパネル(タッチキー、タッチスイッチ)が普及している。この透明タッチパネルの用途に用いられる透明導電性シートは、基本的には導電層(殊にITO層)/高分子フィルムの層構成を有し、タッチパネルとして使用するときは、2枚の透明導電性シート(または透明導電性シートと透明導電層付きガラス)の導電層側をスペーサを介して対向配置して用いる。
【0003】
ところで通常の透明タッチパネルは、液晶表示素子の最上層の上(前面側の偏光板の上)に重ね合わせて用いる使い方をするため、透明性については留意を要するものの、光等方性については顧慮するには及ばない。そこで高分子フィルムとしては、機械的性質、表面平滑性、硬度、耐熱性、耐溶剤性、耐スクラッチ性、非透湿性、コストなどを総合考慮してポリエステルフィルム(つまり二軸延伸ポリエチレンテルタレートフィルム)を用いるのが通常であり、そのような光等方性を有しないフィルムをベースとして用いても大きな問題は生じない。しかしながら、このように透明タッチパネルを液晶表示素子の最上層の上に重ね合わせて用いる使い方をすると、視認性、コントラストなどの点で不充分であることを免かれず、最近の高度化する要求には充分には応えられなくなってきている。
【0004】
そこで視認性やコントラストを向上させるため、透明タッチパネルを液晶表示素子の偏光板の下に重ね合わせる使い方が検討されており、この方式のタッチパネル(インナータッチパネルと呼ぶことにする)は、次世代ないし第2世代のタッチパネルとして有力なものとなるであろうことが期待される。ただしこの場合は、タッチパネルを偏光板の下に組み込む関係上、透明導電性シートのベースフィルムは光等方性を有することが要求され、従来より使われているポリエステルフィルムのような光等方性を有しないフィルムは用いることができない。
【0005】
そして本出願人は、前面側の偏光板の下に重ね合わせる使い方をするタッチパネル、つまりインナータッチパネルにつき、多数の特許出願を行っている。以下に、すでに出願公開されているもののうち代表的なもの3つを引用する。
【0006】
(a) 特開平8−161116号公報:光等方性基材フィルムの少なくとも片面にノンソルベントタイプの活性エネルギー線硬化型樹脂硬化物層を設けると共に、その活性エネルギー線硬化型樹脂硬化物層上からさらに透明導電層を設けた構成を有し、かつ前記基材フィルムの屈折率と前記活性エネルギー線硬化型樹脂硬化物層の屈折率とを特定の関係を満たすようにする。
【0007】
(b) 特開平8−155988号公報:光等方性基材フィルムの両面にノンソルベントタイプの活性エネルギー線硬化型樹脂硬化物層を設けると共に、その一方の活性エネルギー線硬化型樹脂硬化物層の表面は微細で滑らかな半球状の隆起を有する凸状粗面に形成し、他方の活性エネルギー線硬化型樹脂硬化物層上にはさらに透明導電層を設ける。
【0008】
(c) 特開平9−24571号公報:光等方性基材フィルムの少なくとも片面に耐酸耐アルカリ性を有するノンソルベントタイプのアクリルエステル系活性エネルギー線硬化型樹脂硬化物層を設けると共に、その少なくとも一方の硬化物層上に透明導電層を設ける。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記インナータッチパネルを液晶表示素子に組み込むにあたっては、典型的には、前面側(入射光側)の偏光板の下に粘着剤によりインナータッチパネルを貼着固定し、さらにそれを液晶セルの前面側の電極基板に粘着剤により固定する。ところが、偏光板の素膜はもともと一軸延伸したものであるため収縮しようとする性質があること、偏光板の素膜は親水性であるため高湿条件下では不安定で動きやすいこと、貼着に用いる粘着剤は接着剤とは異なり本来動きやすい性質があることなどに起因して、打鍵回数(筆記数)が多くなったり、液晶表示素子が高温、高湿下などの悪環境条件下に置かれたりすると、前面側の偏光板が入射光側から見て凹にカールしようする力が働き、その結果、インナータッチパネルの上方側部分と下方側部分との界面において口が開くように剥離を生ずることがあり、また目立つほどの剥離にまでは至らなくても、非平坦化に基く干渉縞(ニュートンリング)を生ずることがある。
【0010】
また、偏光板は保護層/偏光素膜/保護層の構造を有するので、ある程度の厚みがあるところ、それにインナータッチパネルの厚みが加わるので、ディスプレイ面を斜め方向から見たときの視認性にもおのずから限界がある。
【0011】
本発明は、このような背景下において、打鍵回数(筆記数)が多くなったり、液晶表示素子が高温、高湿下などの悪環境条件下に置かれたりした場合であっても、前面側の偏光板のカールに基く界面剥離を生じがたく、またディスプレイ面を斜め方向から見たときの視認性も確保できる偏光板一体型インナータッチパネル用積層シートを提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の偏光板一体型インナータッチパネル用積層シートは、
液晶表示素子を構成する偏光板の下に重ね合わせる使い方をするタッチパネルをインナータッチパネルと称し、該インナータッチパネルが前記偏光板と一体になったものを偏光板一体型インナータッチパネルと称するとき、その偏光板一体型インナータッチパネルに用いる積層シートであって、
偏光素膜(2) の一方の面のみに保護層(1) 、他方の面に保護層に代えて光等方性支持層(3) が設けられ、かつその支持層(3) の偏光素膜(2) 側とは反対側の面に透明電極(4) が設けられた層構成を有することを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。なお、本明細書においては、液晶表示素子を構成する偏 光板の下に重ね合わせる使い方をするタッチパネルをインナータッチパネルと称し、該インナータッチパネルが前記偏光板と一体になったものを偏光板一体型インナータッチパネルと称することにする。
【0014】
偏光素膜(2) としては、ポリビニルアルコール/ヨウ素系、オレフィン−ビニルアルコール共重合体/ヨウ素系、ポリビニルアルコール/2色性染料系、オレフィン−ビニルアルコール共重合体/2色性染料系、オレフィン−ビニルアルコール共重合体/ポリエン系、ポリビニルアルコール/ポリエン系、ポリハロゲン化ビニル/ポリエン系、ポリアクリロニトリル/ポリエン系をはじめ、偏光能を有する種々の偏光素膜が用いられる。偏光素膜(2) の厚みは、10〜100μm 程度とすることが多い。
【0015】
保護層(1) としては、セルローストリアセテート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリ−4−メチル−ペンテン−1、フェノキシ樹脂をはじめとする任意の高分子層があげられる。後述の光等方性支持層(3) の硬化型樹脂硬化物層(3b)と同様の硬化型樹脂硬化物層も保護層(1) として用いることができる。この保護層(1) は、偏光素膜(2) よりも入射側に位置する層であるので、光等方性であってもよく、ポリエステルフィルム(二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム)のように光等方性を有しなくてもよい。保護層(1) の厚みは任意である。
【0016】
光等方性支持層(3) としては、
(イ)基材フィルム層(3a)、
(ロ)基材フィルム層(3a)の少なくとも片面に硬化型樹脂硬化物層(3b)を設けたもの、
(ハ)単層または複層の硬化型樹脂硬化物層(3b)、
などを用いることができる。光等方性支持層(3) は、硬化型樹脂硬化物層(3b)からなるか、硬化型樹脂硬化物層(3b)を含む層からなること、つまり、上記の(ロ)または(ハ)からなることが好ましい。
【0017】
ここで、基材フィルム層(3a)としては、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリアミドイミド、ノルボルネン系樹脂(アモルファスポリオレフィン)などのフィルムまたは層があげられる。基材フィルム層(3a)の厚みに限定はないが、通常は10〜250μm 、好ましくは20〜180μm とすることが多い。
【0018】
硬化型樹脂硬化物層(3b)の代表例は、エポキシアクリレート系、アクリルエステル系、ウレタンアクリレート系、シリコーンアクリレート系などの活性エネルギー線硬化型樹脂や、フェノキシエーテル型硬化性樹脂などの熱硬化性樹脂でできた硬化物層である。硬化型樹脂硬化物層(3b)の厚みに特に制限はないが、1層当り、2〜100μm 、殊に5〜50μm とすることが多い。
【0019】
光等方性支持層(3) は、レターデーション値が30nm以下(好ましくは20nm以下)、550nmでの可視光線透過率が70%以上(好ましくは80%以上)、ガラス転移点が80℃以上であることが特に望ましい。レターデーション値が30nmを越えるときには、光等方性が失われて着色や干渉光を生ずる上、光の反射量が多くなり、像の視認性が低下する。可視光線透過率が70%未満では、タッチパネルに使用したときの明るさが不足する。ガラス転移点が80℃未満の場合には、セル化プロセスの処理条件、製品の信頼性などの点で問題がある。
【0020】
光等方性支持層(3) の透明電極(4) 設置側の面には硬化型樹脂硬化物層(3b)となっていることが好ましく、その反対側の面も硬化型樹脂硬化物層(3b)となっていることが好ましい。
【0021】
基材フィルム層(3a)上に硬化型樹脂硬化物層(3b)を設置するときは、もし必要なら、基材フィルム層(3a)の表面に、コロナ放電処理、紫外線照射処理、低温プラズマ処理、酸・アルカリによる化学処理(エッチング処理や加水分解処理)、浸透剤の添加などの濡れ性向上処理を施したり、ウレタン系、ポリエステル系などのアンカーコーティング層を設けたり、無機質薄層などのアンダー層を設けたりすることができる。
【0022】
硬化型樹脂硬化物層(3b)(光等方性支持層(3) としてのみならず、保護層(1) としてこれと同様の硬化型樹脂硬化物層を用いるときもある)の形成は、コーティング法によることも可能であるが、わずかに間隙をあけて並行に配置した1対のロールの一方にシートAを供給し、他方のロールにシートBを供給し、ロールの間隙に向けてノンソルベントタイプの硬化型樹脂液を吐出すると共に、両ロールを互いに喰い込む方向に回転させて、シートAとシートBとの間にノンソルベント型の硬化型樹脂液が挟持されるようにし、そのように挟持された状態で活性エネルギー線(紫外線や電子線)照射や加熱を行って樹脂液を硬化させる方法を採用することが特に望ましい。活性エネルギー線照射後または加熱後に、必要に応じてさらに熱処理を行って、硬化の完全化を図ることもできる。
【0023】
このときシートA,Bとしては、鋳型フィルム(M) 、基材フィルム層(3a)、硬化型樹脂硬化物層(3b)/基材フィルム層(3a)、基材フィルム層(3a)/硬化型樹脂硬化物層(3b)/透明電極(4) 、偏光素膜(2) 、偏光素膜(2) /保護層(1) などの組み合わせを採用することができる。
【0024】
ここで鋳型フィルム(M) としては二軸延伸ポリエステルフィルムや二軸延伸ポリプロピレンフィルムなどが用いられ、鋳型フィルム(M) を用いたときは、爾後の適宜の段階でそれを剥離除去する。
【0025】
もし基材フィルム層(3a)の両面に硬化型樹脂硬化物層(3b), (3b)を設けるとき(あるいは偏光素膜(2) から見てその両面に同様の硬化型樹脂硬化物層が配置されるとき)は、両層の硬化収縮率、硬化条件、厚みなどに留意して、片方の硬化型樹脂硬化物層(3b)の硬化収縮率を小または大に、他方の硬化型樹脂硬化物層(3b)の硬化収縮率を大または小にする手段を講じて、片方の硬化型樹脂硬化物層(3b)が凸または凹になるように、他方の硬化型樹脂硬化物層(3b)が凹または凸になるようにわずかにカールさせることもできる。
【0026】
また、基材フィルム層(3a)の片面または両面に硬化型樹脂硬化物層(3b)を設けるとき(あるいは偏光素膜(2) から見てその両面に同様の硬化型樹脂硬化物層が配置されるとき)は、その少なくとも一方の面を微細な凹凸面に形成することもできる。このようにすると、インナータッチパネルのセル化プロセスなどにおける処理性が円滑になり、干渉縞の発生防止、打鍵性の点でも好ましいものとなるからである。先に述べた鋳型フィルム(M) として微細な凹凸面を有するものを用いれば、その凹凸が硬化型樹脂硬化物層(3b)面に転写されるので、凹凸面の形成は容易である。
【0027】
硬化型樹脂硬化物層(3b)の少なくとも一方の表面、殊に透明電極(4)設置側の表面には、無機質薄層を設けることができる。この無機質薄層は、偏光素膜の耐水性向上、耐熱性の向上、耐酸・耐アルカリ性の向上、透明電極(4)の密着性の向上などの点で有利である。無機質薄層は、通常はスパッタリング法により形成される。無機質薄層としては金属酸化物、金属窒化物、金属ホウ化物などがあげられ、2種以上の複合物であってもよい。無機質薄層の厚みは、20〜300オングストローム、殊に30〜180オングストロームが適当である。
【0028】
光等方性支持層(3) の偏光素膜(2) 側とは反対側の面には、硬化型樹脂硬化物層(3b)があるときはその上から、直接または濡れ性向上処理後あるいは介在層を介して透明電極(4) を設ける。透明電極(4) の設置は、光等方性支持層(3) を偏光素膜(2) と一体化する前の段階で行うこともできる。濡れ性向上処理とは、先に基材フィルム層(3a)に対する濡れ性向上処理として述べたような処理があげられる。介在層とは、先に述べた無機質薄層や下塗り層などである。
【0029】
透明電極(4) としては、ITO、InO2 、SnO2 、ZnO、Au、Ag、Pt、Pdなどの層があげられ、特にITOが重要である。透明電極(4) の形成は、好適にはスパッタリング法によりなされるが、真空蒸着法、イオンプレーティング法、ゾル−ゲル法、コーティング法などを採用することも可能である。
【0030】
透明電極(4) の厚みは、ITOを用いた場合を例にとると、たとえば100〜1000オングストローム、殊に150〜600オングストロームとすることが多い。
【0031】
透明電極(4) は、全面電極としたり、全面電極形成後にレジスト形成およびエッチングを行ってパターン電極としたりする。
【0032】
これにより、偏光素膜(2) の一方の面のみに保護層(1) 、他方の面に保護層に代えて光等方性支持層(3) が設けられ、かつその支持層(3) の偏光素膜(2) 側とは反対側の面に透明電極(4) が設けられた層構成を有する本発明の偏光板一体型インナータッチパネル用積層シートが得られる。なおこの基本の層構成に、無機質薄層、下塗り層、アンカーコーティング層が付加されていてもよく、また偏光素膜(2) よりも内側に位相差素膜または位相板が付加されていてもよい。
【0033】
上記(1)/(2)/(3)/(4) の層構成の偏光板一体型インナータッチパネル用積層シートを使用するときには、その(4) 側の面に相手方の透明導電性シート(ガラスを含む)を配置して、透明電極同士を対向させると共に、両シート間にドット・スペーサを介在させる。相手方の透明導電性シートとしては、上記に準じた(3)/(4) の層構成の透明導電性シートであってもよく、他の適当な透明導電性シートであってもよく、透明導電層付きのガラスであってもよい。
【0034】
【実施例】
次に実施例をあげて本発明をさらに説明する。
【0035】
実施例1
図1は本発明の偏光板一体型インナータッチパネル用積層シートの一例を示した模式断面図である。図2は図1の偏光板一体型インナータッチパネル用積層シートを用いた偏光板一体型インナータッチパネルの模式断面図である。
【0036】
基材フィルム層(3a)の一例として、ポリカーボネートを流延製膜して得た厚み100μm のフィルムを準備した。レターデーション値は8nm、550nmでの可視光線透過率は90%、ガラス転移点は135℃であった。
【0037】
硬化型樹脂硬化物層(3b)形成用の樹脂液として紫外線硬化型のエポキシアクリレート系樹脂液を準備した。鋳型フィルム(M) として、厚み125μm のポリエステルフィルム(二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム)を準備した。
【0038】
わずかに間隙をあけて並行に配置した1対のロールの一方に上記の基材フィルム層(3a)、他方に上記の鋳型フィルム(M) を供給し、ロールの間隙に向けて、上で準備した樹脂液を吐出すると共に、両ロールを互いに喰い込む方向に回転させて、基材フィルム層(3a)と鋳型フィルム(M) との間にその樹脂液が挟持されるようにし、そのように挟持された状態で積算光量が1000mJ/cm2となる条件で紫外線照射を行って樹脂液を硬化させることにより、厚み12μm の硬化型樹脂硬化物層(3b)となした。
【0039】
続いて、わずかに間隙をあけて並行に配置した1対のロールの一方に上記で得た(3a)/(3b)/(M) の層構成を有する積層フィルム、他方に上記と同じ鋳型フィルム(M) とを供給し、積層フィルムの基材フィルム(3a)側と鋳型フィルム(M) との間に上記の樹脂液が挟持されるようにし、そのように挟持された状態で積算光量が1000mJ/cm2となる条件で紫外線照射を行って樹脂液を硬化させることにより、厚み11μm の硬化型樹脂硬化物層(3b)となした。最後に温度120℃で10分間熱処理を行い、硬化の完全化を図った。これにより、(M)/(3b)/(3a)/(3b)/(M)の層構成を有する積層フィルムが得られた。この積層フィルムから鋳型フィルム(M), (M)を剥離した(3b)/(3a)/(3b)の積層フィルムのレターデーション値は8nm、表面硬度(JIS K5400、100g荷重) は3H、550nmでの可視光線透過率は89%であった。
【0040】
上記の(M)/(3b)/(3a)/(3b)/(M)の層構成の積層フィルムから片方の鋳型フィルム(M) を剥離除去して(M)/(3b)/(3a)/(3b)の積層フィルムとなしてから、その露出した(3b)の側の面に、スパッタリング法により無機質薄層(図示は省略してある)の一例としての厚み90オングストロームのSiOx(x= 1.9)層を形成させ、さらにその上からさらにITOをスパッタリングして、厚み450オングストロームの透明電極(4) を形成させた。透明電極(4) の密着性は極めて良好であった。
【0041】
このようにして得た積層フィルムから残りの鋳型フィルム(M) を剥離除去して得た(3b)/(3a)/(3b)/(4)の積層フィルムと、ポリビニルアルコール/ヨウ素系の偏光素膜(2) と、保護層(1) の一例としての厚み100μm の市販のセルローストリアセテートフィルムとを用いて、ポリビニルアルコール系接着剤を使用して偏光素膜(2) の接着を行うことにより、(1)/(2)/(3)/(4) 、さらに詳しくは(1)/(2)/(3b)/(3a)/(3b)/(4)の層構成を有する偏光板一体型インナータッチパネル用積層シートを得た。なお上記の接着に先立ち、(3b)/(3a)/(3b)/(4)の積層フィルムの(3b)面に水系ポリエステルウレタンなどによるアンカーコーティング層を形成しておいてもよい。
【0042】
ここまでの操作は主としてロール・ツウ・ロール方式で行ったが、操作は円滑であった。
【0043】
この(1)/(2)/(3)/(4) の層構成を有する偏光板一体型インナータッチパネル用積層シートと、上記における(3)/(4) (さらに詳しくは(3b)/(3a)/(3b)/(4))の積層フィルムとを用い、後者のシートの透明電極(4) 面に予めドット・スペーサ(DS)を形成してから、2枚のシートの透明電極(4) 側を対向させ、周辺側をシールして、偏光板一体型インナータッチパネルを作製した。
【0044】
これを用いて、偏光板一体型インナータッチパネル/液晶セル/下面側偏光板/反射板の構成を有する液晶表示素子を作製したところ、液晶表示素子の前面側偏光板上に透明タッチパネルを置く従来品に比し視認性が30〜40%向上し、コントラストも大幅に向上し、光透過量も向上することが判明した。また両面に硬化型樹脂硬化物層(3b), (3b)を設けた基材フィルム層(3a)からなる光等方性支持層(3) を用いたため、基材フィルム層(3a)としてポリカーボネートフィルムを用いているにもかかわらず、耐熱性、耐溶剤性、硬度、腰(剛性)、耐スクラッチ性、非透湿性が良好であった。
【0045】
この液晶表示素子Xと、前面側偏光板の下に粘着剤によりインナータッチパネルを固定するようにして作製した比較のための液晶表示素子Yとを、日光のさし込む窓際や湿気の多い環境で長期間使用する試験に供したところ、液晶表示素子Yにおいて干渉縞(ニュートンリング)を生じたり、さらには前面側偏光板がカールして口が開くように剥離を起こすようになっても、液晶表示素子Xにはそのようなトラブルは全く生じなかった。また液晶表示素子XとYとを対比すると、Xの方が明らかに斜め方向から見たときの視認性が勝っていた。
【0046】
実施例2
実施例1における(1)/(2)/(3)/(4) の層構成を有する偏光板一体型インナータッチパネル用積層シートと、透明電極(4) 付きのガラス基板とを用い、後者の基板の透明電極(4) 面に予めドット・スペーサ(DS)を形成してから、2枚のシートの透明電極(4) 側を対向させ、周辺側をシールして、偏光板一体型インナータッチパネルを作製した。この場合も実施例1と同様にすぐれた効果が得られた。
【0047】
実施例3
図3は本発明の偏光板一体型インナータッチパネル用積層シートの他の製造例を示した説明図である。
【0048】
ポリビニルアルコール/ヨウ素系の偏光素膜(2) と、保護層(1) の一例としての厚み100μm の市販のセルローストリアセテートフィルムとを、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて接着することにより、(1)/(2) の層構成の積層フィルムを得た。
【0049】
実施例1と同様にして(3a)/(3b)/(M) の層構成を有する積層フィルムを得た後、鋳型フィルムを剥離してから、その硬化型樹脂硬化物層(3b)面にITOのスパッタリングによる透明電極(4) を形成させ、(3a)/(3b)/(4) の積層フィルムを得た。
【0050】
ついで、(1)/(2) の積層フィルムと(3a)/(3b)/(4) の積層フィルムとを、イソシアネート系接着剤またはポリウレタン系接着剤を用いて接着した。これにより、両積層フィルムが合体した(1)/(2)/(ad)/(3a)/(3b)/(4)の層構成を有する偏光板一体型インナータッチパネル用積層シートが得られた。(ad)とあるのは接着剤層である。
【0051】
実施例4
図4は本発明の偏光板一体型インナータッチパネル用積層シートのさらに他の製造例を示した説明図である。
【0052】
ポリビニルアルコール/ヨウ素系の偏光素膜(2) と鋳型フィルム(M) を1対のロールに供給すると共に、両フィルム間に脂肪族ポリイソシアネートを配合した紫外線硬化型のエポキシアクリレート系樹脂液を吐出し、両ロールを互いに喰い込む方向に回転させて両フィルム間にその樹脂液が挟持されるようにし、そのように挟持された状態で積算光量が1000mJ/cm2となる条件で紫外線照射を行って樹脂液を硬化させることにより、保護層(1) の一例としての硬化型樹脂硬化物層となした。
【0053】
わずかに間隙をあけて並行に配置した1対のロールの一方に上記の(1)/(2) の積層フィルム、他方に実施例1と同様にして得た(3a)/(3b) の積層フィルムを供給し、ロールの間隙に向けて、紫外線硬化型のエポキシアクリレート系樹脂液を吐出すると共に、両ロールを互いに喰い込む方向に回転させて、基材フィルム層(3a)と鋳型フィルム(M) との間にその樹脂液が挟持されるようにし、そのように挟持された状態で積算光量が1000mJ/cm2となる条件で紫外線照射を行って樹脂液を硬化させることにより、硬化型樹脂硬化物層(3b)となした。
【0054】
これにより、(1)/(2) と(3a)/(3b) とが(3b)を接着剤として合体した(1)/(2)/(3b)/(3a)/(3b)の積層フィルムが得られたので、その(3b)面にITOのスパッタリングによる透明電極(4) を形成させ、(1)/(2)/(3b)/(3a)/(3b)/(4)の層構成を有する偏光板一体型インナータッチパネル用積層シートを得た。
【0055】
【発明の効果】
本発明の偏光板一体型インナータッチパネル用積層シートにあっては、保護層(1) /偏光素膜(2) /光等方性基材層(3) /透明電極(4) の基本の層構成を有するようにしてある。そのため、従来の前面側(入射光側)の偏光板(保護層/偏光素膜/保護層の構造を有する)の下に粘着剤によりインナータッチパネルを固定する方式と比べると、打鍵回数(筆記数)が多くなりあるいは液晶表示素子が高温、高湿下などの悪環境条件下に置かれた場合であっても、前面側の偏光板のカールに基く界面剥離を生じがたく、また偏光素膜の片方の保護層を省略してあるので、ディスプレイ面を斜め方向から見たときの視認性も確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の偏光板一体型インナータッチパネル用積層シートの一例を示した模式断面図である。
【図2】 図1の偏光板一体型インナータッチパネル用積層シートを用いた偏光板一体型インナータッチパネルの模式断面図である。
【図3】 本発明の偏光板一体型インナータッチパネル用積層シートの他の製造例を示した説明図である。
【図4】 本発明の偏光板一体型インナータッチパネル用積層シートのさらに他の製造例を示した説明図である。
【符号の説明】
(1) …保護層、
(2) …偏光素膜、
(3) …光等方性支持層、
(3a)…基材フィルム層、(3b)…硬化型樹脂硬化物層、
(4) …透明電極、
(ad)…接着剤層、
(DS)…ドット・スペース
Claims (2)
- 液晶表示素子を構成する偏光板の下に重ね合わせる使い方をするタッチパネルをインナータッチパネルと称し、該インナータッチパネルが前記偏光板と一体になったものを偏光板一体型インナータッチパネルと称するとき、その偏光板一体型インナータッチパネルに用いる積層シートであって、
偏光素膜(2) の一方の面のみに保護層(1) 、他方の面に保護層に代えて光等方性支持層(3) が設けられ、かつその支持層(3) の偏光素膜(2) 側とは反対側の面に透明電極(4) が設けられた層構成を有することを特徴とする偏光板一体型インナータッチパネル用積層シート。 - 光等方性支持層(3) が、硬化型樹脂硬化物層(3b)からなるか、硬化型樹脂硬化物層(3b)を含む層からなる請求項1記載の偏光板一体型インナータッチパネル用積層シート。
Priority Applications (1)
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