JP3993428B2 - 剥離工具及び剥離装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、電子機器製品や輸送機械,食品包装等をリサイクルするために、両面テープなど粘着剤で貼り付けられた発泡ウレタンなどを剥離する粘着部品の剥離工具及び剥離装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球環境保護が高まり、従来のように使用済みの電子機器、家庭電気製品、事務機器を廃棄せず、資源種類別に分別して資源別にマテリアルリサイクルしたり、一度使用した部品を再生処理して再使用するようになってきた。このリサイクルのため、各種機器や製品を構成している部品単位に分解処理が行われている。これらの各種機器や製品の部品にはステッカーや、振動の防止や封止等を目的とした軟弱部品が多く固定されている。
【0003】
例えば電子写真方式を用いた複写機やプリンタ等の画像形成装置においては,画像を形成させる現像部周辺の部品にトナーの漏れ防止用として、発泡ウレタンやフエルトなどの多孔性の軟弱部品に粘着層と基材及び粘着層が積層された両面粘着テープを貼り付けた粘着部品を被着体により貼り付けている。この現像部周辺の部品を再使用するためには、粘着部品の分解分別は必要不可欠となる。特に、現像部周辺の軟弱部品は、厚さの薄い発泡ウレタンが多用されている。この被着体から発泡ウレタン等を有する粘着部品を剥離するときに、現状では被着体に貼り付けた発泡ウレタン等の粘着部品を、作業者がスクレーパやペンチ等を使って手作業で剥がしている。このため剥離作業には多くの作業時間を要するとともに、作業者によってバラツキが非常に多く発生し、安定した再生処理の計画が立てにくい。また、できるだけ取り残しがないことや部品がちぎれないことが要求されるため、作業者には剥離するための熟練度も必要になるとともに多人数での分解作業が必要になってしまう。
【0004】
このため作業の効率化と安定化のために剥離作業の自動化が望まれている。この粘着部品を自動的に剥離する方法として、例えば特開平7−31940号公報や特開平11−197620号公報に示すように、高圧水ジェットによりプラスチック容器等のラベルを剥離したり、特開平10−244235号公報や特開2000−167504号公報に示すように、回転ブラシを使用してガラスビンやドラム缶等のラベルを剥離したり、特開平5−111678号公報や特開平4−341385号公報に示すようにショット材と回転ブラシにより残留糊を除去したりしている。
【0005】
また、特開平6−108021号公報や特開平11−258998号公報に示すように、加熱により粘着力が低下する粘着層を備えた両面粘着テープを使用し、剥離するときに加熱して粘着層の粘着力を低下させるようにしたり、特開平11−102956号公報に示すように、紫外線を照射することにより粘着力が低下する保護フィルムを使用し、保護フイルムを剥離するときに紫外線を照射して粘着力を低下させるようにしている。
【0006】
また、特開2000−26808号公報に示すように、合成樹脂又はゴムで形成された円形の剥離ディスクの外周に殴打力と摩擦力を発生させる複数の板状突出部を設け、この剥離ディスクを回転させてステッカーを剥離するようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この粘着部品をスクレーパを使って剥がす方法では、スクレーパが被着体に貼り付いた粘着層自体を破壊しやすく、粘着層の粘着剤が被着体表面に引き伸ばされたりして被着体に残留しやすく、粘着層を完全に除去することは困難である。
【0008】
また、高圧水ジェットを用いた方法は、大量の水を使用し、使用した水を排水するため、省資源と環境保全の点で問題が大きい。さらに、回転ブラシを使用した方法は、回転ブラシの回転により粘着部品が破断されてばらばらになり易く、剥がした部品の後処理が問題になるとともに、粘着剤の残留も多くなりやすい。また、粘着剤が回転ブラシに付着してしまい、多くの粘着部品を連続的に剥離することはできなかった。さらに、狭い溝や凹内面に貼られた粘着部品を剥離することは困難である。
【0009】
また、樹脂ケースの再使用工程で回転ブラシを使用した場合、樹脂ケースに傷が付きやすく使用することはできない。また、回転転ブラシとショット材による残留糊の除去方法は、被着体が樹脂等軟らかい材質の場合に多くの傷が付くため使用することは困難である。
【0010】
また、加熱により粘着力が低下する粘着層を備えた両面粘着テープや紫外線を照射することにより粘着力が低下する保護フィルムのように特殊な粘着剤を使用した場合、でコストが高くなるとともに、温度条件からすべての部品に使用できるとは限らないという問題がある。
【0011】
この発明はかかる短所を改善し、ウレタン発泡体やフェルト,ゴムなど両面粘着テープ等の粘着部品で貼り付けられた部品を、粘着剤が被着体に残りにくく、被着体へ傷が付くことを防ぐとともに確実に剥離することができる粘着部品の剥離工具及び剥離装置を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る粘着部品の剥離工具は、剥がし機構と巻取り機構を有し、剥がし機構は、弾性を有する材質で形成され、外周部に摩擦部材を有する剥がし回転体と、剥がし回転体を回転させる回転体駆動手段を有し、巻取り機構は巻取り回転体と、先端に円弧状に形成された凹面を有し、剥がし回転体に貼りついた粘着部品を剥離する剥離爪と、巻取り回転体を回転する回転駆動手段を有し、剥がし回転体と巻取り回転体を所定の間隔を置いて配置し、剥がし回転体を巻取り回転体方向に回転し、巻取り回転体を剥がし回転体方向に回転しながら剥がし回転体を被着体に押付け、巻取り回転体を粘着部品に押付けて巻取り回転体側に移動して剥がし回転体で被着体に付着した粘着部品を剥がし、剥がした粘着部品の厚さに応じて剥がし回転体と巻取り回転体の間隔を可変し、剥がした粘着部品の端部を剥離爪によって剥がし回転体から剥離して巻取り回転体で巻き取ることを特徴とする。
【0013】
この発明に係る粘着部品の第2の剥離工具は、剥がし機構と巻取り機構を有し、剥がし機構は、弾性を有する材質で形成され、外周部に摩擦部材を有する剥がしベルトと、剥がしベルトを巻き回した外径が小さい従動ローラを回転させるベルト駆動手段を有し、巻取り機構は巻取り回転体と、先端に円弧状に形成された凹面を有し、剥がし回転体に貼りついた粘着部品を剥離する剥離爪と、巻取り回転体を回転する回転駆動手段を有し、剥がしベルトと巻取り回転体を所定の間隔を置いて配置し、剥がしベルトを巻取り回転体方向に回転し、巻取り回転体を剥がしベルト方向に回転しながら剥がしベルトを被着体に押付け、巻取り回転体を粘着部品に押付けて巻取り回転体側に移動して剥がしベルトで被着体に付着した粘着部品を剥がし、剥がした粘着部品の厚さに応じて剥がしベルトと巻取り回転体の間隔を可変し、剥がした粘着部品の端部を剥離爪によって剥がしベルトから剥離して巻取り回転体で巻き取ることを特徴とする。
【0014】
上記巻取り回転体を片持ちで支持すると良い。
【0017】
さらに、巻取り回転体の外周面に複数の突起を設けることが望ましい。
【0020】
この発明に係る剥離装置は、上記剥離工具を使用したものであり、被着体固定手段と工具移動手段を有し、被着体固定手段は粘着部品を貼り付ける被着体を保持し、工具移動手段は剥離工具を移動するとともに剥離工具の姿勢を可変し、剥離工具を被着体に押付けて剥離工具を移動しながら、被着体に貼り付けた粘着部品を剥離することを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明の剥離工具を示し、(a)は正面図、(b)は裏面図である。剥離工具1は、プラスチックケース等の被着体に両面粘着テープ等の粘着剤で貼り付けたウレタン発泡シール部品等の粘着部品を被着体から剥離するものであり、剥がし機構2と巻取り機構3を有する。この剥がし機構2と巻取り機構3はバネ4と支持棒5を有する独立した押圧機構6で取付プレート7に取付けられている。
【0022】
剥がし機構2は、図2(a)の正面構成図と(b)の側面構成図に示すように、剥がし回転体8と回転体駆動部9を有する。剥がし回転体8は、適度な弾性をもった材質で形成され、粘着部品と接触する外周部には粘着部品を剥がしやすいように摩擦部材を有する。回転体駆動部9は、剥がしモータ10と、剥がしモータ10の回転軸に設けられたギヤ11と、剥がし回転体8の回転軸に設けられたギヤ12を有し、剥がしモータ10の回転トルクをギヤ11,12で剥がし回転体8に伝達して剥がし回転体8を回転する。
【0023】
巻取り機構3は、図2(a)に示すように、剥がし回転体8より小径に形成され、外周面に摩擦部材を有する巻取り回転体13と剥離爪14及び回転体駆動部15を有する。巻取り回転体13は、図1(b)の裏面図に示すように、巻取り機構本体16に回動自在に取付けられた支持棒17の先端部に設けられている。剥離爪14は、先端に円弧状に形成された凹面を有し、凹面が巻取り回転体13の上部に一定距離をおいて配置され、爪先端が剥がし回転体8の外周部に隣接して設けられている。この剥離爪14の爪先端部で剥がし回転体8に貼りついた粘着部品を剥離するように構成している。剥離爪14の粘着部品と接触する爪先端部表面と凹面は、粘着部品が張り付きにくい非粘着剤でコーティングしている。この非粘着剤としては一般にフッ素樹脂コーティングが用いられる。フッ素樹脂の種類としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、FEP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン)、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニールエーテル共重合体)、ETFE(テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体)などがある。回転体駆動部15は、図2(a)と(c)の側面図に示すように、巻取りモータ18と、巻取りモータ18の回転軸に設けられた駆動ローラ19と、巻取り回転体13の回転軸に設けられた従動ローラ20と、駆動ローラ19と従動ローラ20に巻き回された駆動伝達ベルト21を有する。支持棒17は巻取りモータ18と同軸に支持され、バネ等の付勢機構22により先端に取付けた巻取り回転体13と剥がし回転体8の距離が可変できるようになっている。
【0024】
この剥離工具1を有する剥離装置30は、図3の構成図に示すように、基台31に設けられた多関節ロボット32と、被着体33を固定する被着体固定台34と、剥離した粘着部品35を収納する回収装置36及び制御装置37を有する。多関節ロボット32の剥離工具1の取付部には工具押付手段38と力センサ39及び端部検出手段40を有する。回収装置36には先端にU字状の溝41を有する粘着部品外し冶具42を有する。
【0025】
この剥離作業を自動的に行う多関節ロボット32の制御装置37には、図4のブロック図に示すように、中央制御部43と操作表示部44とデータ入力部45とロボット制御部46と押付力制御部47及び剥離判定部48を有する。中央制御部43はあらかじめ格納された動作プログラムと端部検出手段40からの入力により剥離装置30全体の動作を制御する。データ入力部35は力センサ39からのデータを入力して力・トルクデータに変換する。ロボット制御部46は中央制御部43からの制御信号により多関節ロボット32を駆動制御する。押付力制御部47は力センサ39から入力して中央制御部43を介して送られる信号により工具押付手段38の押付力を制御する。剥離判定部48は、端部検出手段40の検出信号により粘着部品35の剥離状態を判定して判定結果を操作表示部44に表示する。
【0026】
この剥離装置30で被着体33に貼り付けた粘着部品35を剥離するときの動作を図5の動作工程図を参照して説明する。制御装置37は多関節ロボット32を駆動して剥離工具1を被着体33をセットして固定した保持台34に移動し、被着体33に貼り付けられた粘着部品35の端部を端部検出手段40で検出して剥離工具1を位置決めする。その後、図5(a)に示すように、剥がし回転体8を粘着部品35の端部近傍の被着体33に押付け、剥がし回転体8を反時計方向に回転させながら剥離工具1を被着体33と粘着部品35の境界部に向け移動させ、巻取り回転体13を時計方向に回転させながら粘着部品35に押付ける。剥がし回転体8が粘着部品35の端部に接触すると、粘着部品35は、剥がし回転体8から剥がし力を受け、図5(b)に示すように、粘着部品35の端部から剥がれ始める。この状態で剥がし回転体8を回転させさせながら移動させると、粘着部品35は剥がし回転体8により持ち上げられさらに剥がれる。このとき巻取り回転体13を剥がし回転体8と反対方向である時計方向に回転させながら粘着部品35に押付けているから、図5(c)に示すように、剥がれた粘着部品35を剥がし回転体8と挟むようにして粘着部品35の剥離を促進する。
【0027】
さらに、剥がし回転体8を回転させ、被着体33に押し付けながら移動させていくと、図5(d)に示すように、粘着部品35は剥がし回転体8と巻取り回転体13により引き上げながら粘着部品35の端部が剥離爪14に接するまで剥がれる。そのまま剥がし動作を継続すると、図5(e)に示すように、粘着部品35はさらに剥がされ、粘着部品35の端部は剥離爪14によって剥がし回転体8から剥離し、剥離爪14の円弧状に形成された凹面に沿って進む。このとき、剥離爪14の粘着部品35の粘着層が被着する表面を非粘着剤でコーティングしてあるから、剥がれた粘着部品35が剥離爪13に再粘着することを防止することができる。
【0028】
さらに、剥がし回転体8を回転させ、被着体33に押し付けながら移動させて剥がし動作を継続すると、図5(f)に示すように、剥がれた粘着部品35の端部は剥離爪14の凹面に沿って進み、まだ剥がれていない粘着部品35の表面に接し、剥がし動作が進行すると、図5(g)に示すように、剥がれた粘着部品35は巻取り回転体13に巻き込まれる。この剥がし動作を粘着部品35の終端部まで進行することにより、粘着部品35を巻取り回転体13に巻き取って被着体33から剥がすことができる。
【0029】
このように粘着部品35を巻取り回転体13に巻き取りながら被着体33から剥がすとき、剥離工具1の移動速度によって粘着部品35の剥がれ量が決まり、巻取り回転体13の回転速度によって粘着部品35を巻取る量が決まる。この巻取り回転体13による粘着部品35の巻取り量が粘着部品35の剥がれ量より少ないと、剥がし回転体8で剥がした粘着部品35が余ってだぶついて、きれいな巻き取り動作に移れない。また、巻取り回転体13による粘着部品35の巻取量が粘着部品35の剥がれ量より多いと、剥がした粘着部品35が巻取り回転体13により過度に引っ張られてしまい、剥がした粘着部品35が途中でちぎれる場合がある。そこで巻取り回転体13の線速度が剥離工具1の移動速度と一致するように、巻取り回転体13の回転速度を制御することにより、粘着部品を安定して剥がして巻き取ることができる。
【0030】
このように、剥がし回転体8の回転により粘着部品35を剥がしながら巻取り回転体13に順次巻き取ることにより、粘着部品35をちぎらずに確実に剥がすことができる。また、剥がした粘着部品35を巻取り回転体13に順次巻き取ることにより、剥離工具1を粘着部品35の長さに応じた移動量だけ粘着部品35に沿って移動するだけで粘着部品35を剥がすことができ、剥離工具1の移動量を粘着部品35の長さの応じて制御することができ、多関節ロボット32の制御を容易にすることができる。
【0031】
剥離工具1で被着体33に貼り付けた粘着部品35を剥がすと、多関節ロボット32により剥離工具1を回収装置36に移動する。そして図6(a)の正面図と(b)の側面図に示すように、巻取り回転体13の支持棒17側の中心を粘着部品外し冶具42のU字状の溝41に挿入し、剥離工具1を支持棒17側に移動する。このとき巻取り回転体13は支持棒17に片持ちで保持されているから、剥離工具1を支持棒17側に移動することにより、巻取り回転体13で巻き取った粘着部品35を巻取り回転体13から簡単に除去して回収装置36に回収することができる。
【0032】
上記剥離工具1は剥がし機構2に設けた剥がし回転体8により粘着部品35を剥がす場合について説明したが、回転するベルトを使用して粘着部品35を剥がすようにしても良い。この回転するベルトを使用して粘着部品35を剥がす剥離工具1aの剥がし機構2には、図7(a)の正面図(a)と裏面図(b)に示すように、剥がしベルト50を有する。剥がしベルト50は、図8(a)の正面構成図と(b)の側面構成図に示すように、剥がしモータ10の回転軸に取付けられた駆動ローラ51と剥がし機構本体52の支持棒53の先端に取付けた従動ローラ54に巻き回され、正面から見たときに駆動モータ51により反時計方向に回転する。この剥がしベルト50の表面には粘着部品35を剥がしやすいように摩擦部材が設けられている。
【0033】
この剥がしベルト50を有する剥離工具1aを使用して被着体33に貼り付けた粘着部品35を剥がすとき、剥がしベルト50を回転させながら被着体33に押付けて粘着部品35の端部に移動することにより、粘着部品35を端部から剥がし、反対方向に回転する剥がしベルト50と巻き取り回転体13の回転により、剥がした粘着部品35を巻き取り回転体13に巻き付けながら被着体33から粘着部品35を剥がすことができる。
【0034】
このように剥がし回転体8や剥がしベルト50を回転して被着体33に貼り付けられた粘着部品35の貼付け部の端部に剥離力を与えながらながら巻取り回転体13に剥がし回転体8や剥がしベルト50の回転と反対方向の回転を与えて、剥がし回転体8や剥がしベルト50と巻取り回転体13の間に剥がれた粘着部品35を引き上げ、巻取り回転体13に巻き付けながら被着体33から粘着部品35を剥がすとき、巻取り回転体13に、図9に示すように、複数の突起部55を設けると、剥がし回転体8や剥がしベルト50と巻取り回転体13の間に剥がれた粘着部品35を引き上げるとき、巻取り回転体13の引上げ力を増すことができ、粘着部品35を効率良く剥がすことができる。
【0035】
この突起部55は図9(a)に示すように、巻取り回転体13の外周面に針状の突起55aを設けたり、(b)に示すように、巻取り回転体13の外周面に、突起方向が巻取り回転体13の回転方向を向いた突起55bを設けたり、(c)に示すように、巻取り回転体13の外周面に、突起方向が巻きり回転体の回転方向を向いた爪形状の突起55cを設けたり、あるいは(d)に示すように、摩擦部材56と爪形状の突起55dをそれぞれ交互に配置すると良い。
【0036】
次に、剥剥離工具1,1aの巻取り機構3の代わりに引上げ機構を有する剥離工具1bに付いて説明する。この剥離工具1bは、図10の正面図に示すように、剥がし機構60と引上げ機構61及び剥がし機構60と引上げ機構61の上部に設けられた回収箱62を有する。剥がし機構60は、図11の構成図の(a)の正面図と(b)の側面図に示すように、剥がしベルト63と、剥がしベルト63の回転駆動機構64を有する。剥がしベルト63は適度な弾性をもった材質で形成され、粘着部品35と接触するベルト外周部に粘着部品35を剥がしやすいように摩擦部材が設けられている。回転駆動機構64は回転軸に駆動ローラ65を有する剥がしモータ66と、支持棒67の下端部に設けられた従動ローラ68と、支持棒67の上端部に設けられた回収ローラ69を有し、駆動ローラ65と従動ローラ68及び回収ローラ69に剥がしベルト63が巻き回されている。引上げ機構61は引上げベルト70と、引上げベルト70の回転駆動機構71を有する。引上げベルト70も適度な弾性をもった材質で形成され、粘着部品35と接触するベルト外周部に粘着部品35を剥がしやすいように摩擦部材が設けられている。回転駆動機構71は回転軸に駆動ローラ72を有する引上げモータ73と、支持棒74の下端部に設けられた従動ローラ75と、支持棒74の上端部に設けられた回収ローラ76を有し、駆動ローラ72と従動ローラ75及び回収ローラ76に引上げベルト70が巻き回されている。そして図10と図11(a)において、剥がしベルト63は反時計方向に回転し、引上げベルト70は時計方向に回転する。
【0037】
この剥離工具1bを多関節ロボット32に取付けて被着体33に貼り付けられた粘着部品35を剥がすときの動作を図12の動作工程図を参照して説明する。多関節ロボット32を駆動して剥離工具1bを被着体33をセットして固定した保持台34に移動し、被着体33に貼り付けられた粘着部品35の端部に剥離工具1bを位置決めする。その後、図12(a)に示すように、剥がしベルト63を粘着部品35の端部近傍の被着体33に押付け、剥がしベルト63を反時計方向に回転させながら剥離工具1bを被着体33と粘着部品35の境界部に向け移動させ、引上げベルト70を時計方向に回転させながら粘着部品35に押付ける。剥がしベルト63が粘着部品35の端部に接触すると、粘着部品35は剥がしベルト63から剥がし力を受け、図12(b)に示すように、粘着部品35の端部から剥がれ始める。この状態で剥がしベルト63を回転させさせながら移動させると、粘着部品35は剥がしベルト63により持ち上げられさらに剥がれる。このとき引上げベルト70を剥がしベルト63と反対方向である時計方向に回転させながら粘着部品35に押付けているから、図12(c)に示すように、剥がれた粘着部品35を剥がしベルト63と挟むようにして粘着部品35の剥離を促進する。
【0038】
さらに、剥がしベルト63を回転させ、被着体33に押し付けながら移動させていくと、図12(d)に示すように、粘着部品35は剥がしベルト63と引上げベルト70に挟まれて引き上げられる。そのまま剥がし動作を継続すると、図12(e)、(f)に示すように、粘着部品35はさらに剥がされ、剥がれた粘着部品35は剥がしベルト63と引上げベルト70に挟まれながら上昇する。することができる。さらに、剥がしベルト63と引上げベルト70を回転させ、被着体33に押し付けながら移動させていくと、図12(g)に示すように、剥がれた粘着部品35は回収箱62に回収される。このように剥がした粘着部品35を回収箱62に回収するので、粘着部品35を簡単にまとめて処理することができる。
【0039】
この粘着部品35を引き上げる引上げベルト70に、図13に示すように、引上げ方向に向いた複数の突起部77を設けておくと、粘着部品35の引上げ力を高めることができ、粘着部品35を効率良くはがすことができる。
【0040】
上記説明では剥がしベルト63と引上げベルト70で剥がして引上げた粘着部品35を回収箱62に回収する場合について説明したが、図14に示すように、引上げた粘着部品35を空気配管78を介してエアー吸引して回収部79に回収するようにしても良い。このように剥がした粘着部品35をエアー吸引して回収することにより、例えば電子写真方式の画像形成装置の現像部周辺の部品に、トナーの漏れ防止用として使用している発泡ウレタンやモルトプレーン、フエルトなどの多孔性の粘着部品35を剥がすときに、粘着部品35の多孔質部分に入り込んでいるトナーが飛散することを防ぎ、作業場所の周辺を汚染することを防止して作業の安全性を高めることができる。
【0041】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように、剥がし回転体や剥がしベルトで剥がした粘着部品を巻取り回転体に巻取りながら移動して粘着部品を被着体から剥がすことにより、粘着部品をちぎらずに被着体から確実に剥離することができる。
【0042】
また、剥がした粘着部品を巻取り回転体に順次巻き取ることにより、剥離工具を粘着部品の長さに応じた移動量だけ粘着部品に沿って移動するだけで粘着部品を剥がすことができ、剥離工具の移動量の制御を容易にすることができる。
【0043】
また、被着体に貼り付けた粘着部品を剥がすために剥がしベルトを使用することにより、先端部を小さくすることができ、狭い部分や奥まった部分に貼られた粘着部品を容易に剥がすことができる。
【0044】
さらに、巻取り回転体を片持ちで保持することにより、巻き取った粘着部品を容易に回収することができる。
【0045】
また、粘着部品を巻き取る巻取り機構に、剥がし回転体又は剥がしベルトに貼りついた粘着部品を剥離する剥離爪を設けることにより、剥がした粘着部品を剥がし回転体又は剥がしベルトから剥がして巻き取ることができる。
【0046】
さらに、剥がし回転体又は剥がしベルトと巻取り回転体の間隔を巻き取った粘着部品の厚さに応じて可変することにより、剥がした粘着部品を確実に巻き取ることができる。
【0047】
また、巻取り回転体の外周面に複数の突起を設けることにより、巻取り力を大きくすることができ、被着体に貼り付けた粘着部品を容易に剥がすことができる。
【0050】
また、被着体固定手段と工具移動手段を有する剥離装置を使用し、工具移動手により剥離工具を移動するとともに剥離工具の姿勢を可変し、剥離工具の剥がし回転体又は剥がしベルトを被着体に押付けて剥離工具を移動しながら、被着体に貼り付けた粘着部品を巻取りながら剥離することにより、被着体に対する剥離工具の位置決め精度や移動速度を高精度に制御することができ、被着体に貼り付けた粘着部品を安定して剥離することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の剥離工具の外観図である。
【図2】上記剥離工具の構成図である。
【図3】剥離装置の構成図である。
【図4】剥離装置の制御装置の構成を示すブロック図である。
【図5】粘着部品の剥離動作を示す動作工程図である。
【図6】剥離した粘着部品の回収動作を示す説明図である。
【図7】第2の剥離工具の外観図である。
【図8】第2の剥離工具の構成図である。
【図9】巻取り回転体の構成図である。
【図10】第3の剥離工具の外観図である。
【図11】第3の剥離工具の構成図である。
【図12】第3の剥離工具による剥離動作を示す動作工程図である。
【図13】引上げベルトの構成図である。
【図14】第4の剥離工具の構成図である。
【符号の説明】
1;剥離工具、2;剥がし機構、3;巻取り機構、6;押圧機構、
7;取付プレート、8;剥がし回転体、9;回転体駆動部、
10;剥がしモータ、13;巻取り回転体、14;剥離爪、
15;回転体駆動部、30;剥離装置、31;基台、32;多関節ロボット、
33;被着体、34;被着体固定台35;粘着部品、36;回収装置、
37;制御装置、42;粘着部品外し冶具。
Claims (5)
- 被着体から粘着部品を剥離する剥離工具であって、
剥がし機構と巻取り機構を有し、剥がし機構は、弾性を有する材質で形成され、外周部に摩擦部材を有する剥がし回転体と、剥がし回転体を回転させる回転体駆動手段を有し、巻取り機構は巻取り回転体と、先端に円弧状に形成された凹面を有し、剥がし回転体に貼りついた粘着部品を剥離する剥離爪と、巻取り回転体を回転する回転駆動手段を有し、
剥がし回転体と巻取り回転体を所定の間隔を置いて配置し、剥がし回転体を巻取り回転体方向に回転し、巻取り回転体を剥がし回転体方向に回転しながら剥がし回転体を被着体に押付け、巻取り回転体を粘着部品に押付けて巻取り回転体側に移動して剥がし回転体で被着体に付着した粘着部品を剥がし、剥がした粘着部品の厚さに応じて剥がし回転体と巻取り回転体の間隔を可変し、剥がした粘着部品の端部を剥離爪によって剥がし回転体から剥離して巻取り回転体で巻き取ることを特徴とする剥離工具。 - 被着体から粘着部品を剥離する剥離工具であって、
剥がし機構と巻取り機構を有し、剥がし機構は、弾性を有する材質で形成され、外周部に摩擦部材を有する剥がしベルトと、剥がしベルトを巻き回した外径が小さい従動ローラを回転させるベルト駆動手段を有し、巻取り機構は巻取り回転体と、先端に円弧状に形成された凹面を有し、剥がし回転体に貼りついた粘着部品を剥離する剥離爪と、巻取り回転体を回転する回転駆動手段を有し、
剥がしベルトと巻取り回転体を所定の間隔を置いて配置し、剥がしベルトを巻取り回転体方向に回転し、巻取り回転体を剥がしベルト方向に回転しながら剥がしベルトを被着体に押付け、巻取り回転体を粘着部品に押付けて巻取り回転体側に移動して剥がしベルトで被着体に付着した粘着部品を剥がし、剥がした粘着部品の厚さに応じて剥がしベルトと巻取り回転体の間隔を可変し、剥がした粘着部品の端部を剥離爪によって剥がしベルトから剥離して巻取り回転体で巻き取ることを特徴とする剥離工具。 - 上記巻取り回転体を片持ちで支持する請求項1又は2記載の剥離工具。
- 上記巻取り回転体の外周面に複数の突起を設けた請求項1乃至3のいずれかに記載の剥離工具。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載の剥離工具を使用した粘着部品の剥離装置であって、
被着体固定手段と工具移動手段を有し、被着体固定手段は粘着部品を貼り付ける被着体を保持し、工具移動手段は剥離工具を移動するとともに剥離工具の姿勢を可変し、剥離工具を被着体に押付けて剥離工具を移動しながら、被着体に貼り付けた粘着部品を剥離することを特徴とする粘着部品の隔離装置。
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