JP3992496B2 - リレー及びリレーの製造方法 - Google Patents

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雄宏 池田
勉 高田
茂 辻村
雅章 山崎
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、リレー及びリレーの製造方法に関するものである。
【0002】
【背景技術】
リレーの電磁部では、コアとアーマチュアとによって磁気回路が構成され、コアの外周部に設けられたコイルの励磁に応じてアーマチュアが揺動変位させるようになっている。このような電磁部では、アーマチュアの揺動変位をいかに安定させるが課題となっている。また、コアとアーマチュアとによって構成される磁気回路からの磁束の漏れをいかに抑制するかも大きな課題となっている。さらに、リレーの製造工程の簡略化および低コスト化も大きな課題となっている。
【0003】
【発明の開示】
この発明の第1の目的は、アーマチュアを高精度で安定して揺動変位させることができるとともに、漏れ磁束が減少されて効率の向上が図れるリレーを提供することである。
【0004】
また、この発明の第2の目的は、製造工程の簡略化および定コスト化が図れるリレーおよびリレーの製造方法を提供することである。
【0005】
そこで、この発明は、上記目的を達成すべく、電磁相互作用により接点を開閉を行うリレー(100)において、略L字形に屈曲されたコア(204)を有するコイル(202)と、前記コイル(202)との電磁的相互作用により所定の軸回りの揺動変位を生じるように設けられ、その揺動変位をカード(104)を介して接点部(10)に伝達して接点(103a)を開閉するアーマチュア(201)と、前記アーマチュア(201)に設けられる係止部(201a)と、所定のバネ片(205c)を有する付勢手段(205c)と、を備え、前記アーマチュアは、その両端部の外周面がコアの両端面に当接可能なように略L字形に屈曲され、前記係止部(201a)には、前記アーマチュア(201)の一方側端縁の両側2箇所を前記コア(204)の一方側端面のエッジ部(204c)に係合するように屈曲させた一対の屈曲部が設けられており、前記所定のバネ片(205c)が、前記アーマチュアの前記一対の屈曲部それぞれの外側面に当接して、前記アーマチュア(201)の前記一対の屈曲部を前記コア(204)の前記エッジ部(204c)に向けて付勢することにより、前記アーマチュア(201)は、前記一対の屈曲部それぞれの内側と前記エッジ部(204c)との当接部を軸として揺動変位可能に保持されることを特徴とする。
【0006】
これによって、略L字形のアーマチュアの一方側端縁の両側2箇所が屈曲されて係止部が形成され、その一対の屈曲部がコアの一方側端面のエッジ部に係合された状態で、所定のバネ片によってアーマチュアが揺動変位可能に保持されるようになっている。このため、従揺動軸のずれが生じることがなく、アーマチュアの係止部とコアのエッジ部との係合部をヒンジ部としてアーマチュアを高精度で安定して揺動変位させることができる。
【0007】
また、このような構成により、下端部が磁気吸着された際に、アーマチュアの一方側端部は、その外周面がコアの一方側端面に密着状態で当接するようになっている。このため、コアの一方側端面からの漏れ磁束が減少されて効率の向上が図れる。
【0008】
さらに、この発明は、上記リレー(100)の製造方法であって、前記アーマチュア(201)の他方側端部と前記コア(204)の他方側端面とを部分的に選択して当接させるための段差形状を、前記アーマチュア(201)の当接面に設けるとともに、前記段差形状を構成する逃げ凹部を、プレス成形によって形成することを特徴とする。
【0009】
これによって、アーマチュアの他方側端部とコアの他方側端面とを部分的に選択して当接させるための段差形状が、アーマチュアの当接面に設けられるため、その段差形状を構成する逃げ凹部の形成方法として、簡単な加工方法であり、しかも加工精度のよいプレス成形を採用することができる。その結果、容易にかつ所定深さに精度よく逃げ凹部を形成することができ、リレーの製造工程の簡略化および低コスト化が図れる。
【0010】
【発明の実施の形態】
<概略説明>
先ず、第1図ないし第5図を参照して、この発明の一実施例に係るリレー100の概略説明を行う。なお、第4図では、後述する表示レバー131が便宜上省略されている。
【0011】
第1図に示すように、このリレー100は、主に接点ユニット10、コイルユニット20およびケース30から成っており、常閉接点101aと常開接点102aとの間にコモン接点103aが位置する構造となっている。そして、アーマチュア201をコイル202に電圧を印加し励磁させることにより移動させ、その駆動力によりカード104を通じてコモン端子部103の可動バネ103bを移動させ、それによりコモン接点103aを常閉接点101a側から常開接点102a側へ移動させて接点の切替えが行われる。なお、接点ユニット10とコイルユニット20とは、別々に形成されて突き合わせ状に連結されて第2図ないし第4図に示す連結体CBを構成している。
【0012】
カード104およびアーマチュア201は、ヒンジバネ205(バネ部材)によって第1図の左方側(コモン接点103aが常閉接点101aに当接する方向)に付勢されている。そして、コイル202が励磁されてアーマチュア201の下端がコア204に吸引されることにより、カード104およびアーマチュア201が、ヒンジバネ205の付勢力に抗して、第1図に示す状態から第1図の右方側(コモン接点103aが常開接点102aに当接する方向)に移動される。
【0013】
このリレー100の接点切替え動作をさらに詳細に説明すると、以下の通りである。コイル202にコイル端子203を通じて電圧が印加されない状態では、第1図に示すように、コモン接点103aは常閉接点101aに接触し、常開接点102aには接触していない。このとき、コモン端子部103と常閉接点端子101とは導通状態にあり、逆にコモン端子部103と常開接点端子102とは切断状態にある。
【0014】
逆に、コイル202に電圧が印加されると、コア204からアーマチュア201にかけて生ずる磁界により、アーマチュア201がコア204の下端に引き寄せられ、そのアーマチュア201の動きがカード104を通じて可動バネ103bに伝えられコモン接点103aが常開接点102a側に引き寄せられ、コモン端子部103と常開接点端子102間が導通状態となる。逆に常閉接点101aからコモン接点103aが離れ、コモン端子部103と常閉接点端子101間は切断状態となる。
【0015】
<アーマチュアの保持構造>
この実施例に係るコイルユニット20では、第7図ないし第11図に示すように、コイル202のコア204が、L字形に屈曲されている。アーマチュア201が、その両端部の外周面がコアの両端面204a,204bに当接可能なようにL字形に屈曲されている。そして、このコア204とアーマチュア201とによって矩形環状の磁気回路が構成される。
【0016】
これに対応して、コイル202が巻回されるボビン206は、筒状形状に一体に樹脂成形されており、その中心部の貫通孔206a内に、第10図に示すように、下方からコア204が挿入されるようになっている。この装着状態において、コア204の上端部が、ボビン206の上端から所定高さだけ突出するようになっている。
【0017】
アーマチュア201の上端側端部には、その上端側端縁の左右両側2箇所が下方に屈曲されることにより、2つの係止部201aが設けられている。その両係止部201aの中間部は、ストレート部201bとなっている。これによって、第7図に示すように、アーマチュア201が、ボビン206に装着されたコア204に装着されると、係止部201aが、上端側端面204aを上方から抱え込むようにして、端面204aのエッジ部204cに係合するようになっている。
【0018】
ヒンジバネ205は、第9図に示すように、打ち抜き成形および折り曲げ形成によって一片の金属板から一体成形されており、その構成要素として、矩形板状の本体205aと、その本体205aの前端部から斜め下方に延設された復帰バネ片205bと、本体205aの後端部の左右両側から斜め下方に延設された付勢バネ片205cと、本体205aの左右両端から下方に延設された固定片205d(第1の係合部)とからなっている。
【0019】
ヒンジバネ205の復帰バネ片205bは、コモン接点103aが常閉接点101aと当接する方向へカード104およびアーマチュア201を付勢して復元させるためのものである。ここでは、カード104とアーマチュア201とは、第4図に示すように、係合部104a,201cによって互いに係合しているため、復帰バネ部205bは、カード104を付勢することによって、アーマチュア201を間接的に付勢するようになっている。
【0020】
両付勢バネ片205cは、アーマチュア201を付勢して揺動自在に保持するためのものである。
【0021】
両固定片205dは、ヒンジバネ205をボビン206に固定するためのものであり、係合孔205eがそれぞれ設けられている。これに対応して、ボビン206の上端部における左右両側面には、各固定片205dの係合孔205eと係合する係合凸部206b(第2の係合部)が設けられている。そして、ヒンジバネ205の固定は、上述のようにコア204の上端部にアーマチュア201を装着した状態で、ヒンジバネ205を上方からボビン206の上端部に装着し、両固定片205dの係合孔205eと係合凸部206bとを係合させることによって行われる。
【0022】
この装着状態において、第7図に示すように、ヒンジバネ205の両付勢バネ片205cによって、アーマチュア201の両係合部201aが、コア204のエッジ部204cに向けて付勢される。これによって、アーマチュア201が、係合部201aおよびエッジ部204cとの当接部をヒンジ部(軸)として、揺動変位自在に保持されている。そして、コイル204に励磁に応じて、下端部がコア204の下端側端面204bと近接、離反するように、アーマチュア201が揺動変位するようになっている。
【0023】
また、この装着状態において、下端部が吸引された際に、アーマチュア201の上端部は、その外周面がコア201の上端側端面204aに密着状態で当接するようになっている。
【0024】
ボビン206の背面側には、第3図、第8図および第10図に示すように、コイル202とコイル端子203との接続を行うための接続端子212が取り付けられるとともに、コイル202の通電状態を表示する表示部230(第17図参照)を、接続端子212を介してコイル端子203に接続するための接続回路213が取り付けられる。この表示部230は、コイルユニット20の上端部に設けられる。なお、表示部230の回路構成については後述する。
【0025】
<コアおよびアーマチュアの下端側当接部の構成>
第12図および第13図を参照してこの部分の説明を行う。コア204の下端側端部には、コイル202に交流信号を印加した場合等に生じるうなり等を防止して安定的にアーマチュア201を駆動するために、くま取りコイル211が装着される。そして、そのくま取りコイル211の固定は、コア204の下端側端面204bの左右両端部に保持溝204dを形成し、その保持溝204d内にくま取りコイル211を挿入し、圧着保持することにより行われる。
【0026】
ここで、コア204の下端側端面204bにおけるくま取りコイル211の内外に位置する内周極面204eと各外周極面204fとの面積比は、うなり等の除去を効果的に行えるように、適切な比率に設定する必要がある。このため、所望とする特性を得るためには、内周極面204eの大きさに対して各外周極面204fの大きさを十分に小さくする必要がある場合がある。しかしながら、外周極面204fを単純に小さくすると、それに伴って、保持溝204dの外側でくま取りコイル211を保持する保持片部(外周部分)204gのコイル211の径方向の肉厚も小さくなり、保持片部204gの機械的な保持強度が損なわれるおそれがある。
【0027】
そこで、この実施例では、第10図および第12図に示すように、各外周極面204fの外周側縁部を面取りして面取り部204hとすることにより、保持片部204gの肉厚を十分に確保しつつ、外周極面204fの小サイズ化に対応できるようになっている。
【0028】
また、コア204とアーマチュア201とが吸引された際のがたつき防止のためには、吸引された際に、コア204とアーマチュア201とが実質的に3点で当接するようにするのが好ましい。
【0029】
これに対して、この実施例では、コア204の上端側において、アーマチュア201の2つの係合部201aが左右2箇所でコア204のエッジ部204cに係合(当接)するようになっているため、コア204の下端側では、実質的に1箇所でコア204とアーマチュア201が当接するようにするのが好ましい。よって、コア204の内周極面204eおよび両外周極面204fの3つの当接面のうちのいずれか一つを選択してアーマチュア201と当接させる必要がある。
【0030】
ところで、従来では、第14図に示すように、コア204の両外周極面204fの位置を内周極面204eよりも所定の後退距離Lだけ後退させることにより、コア204の内周極面204eのみがアーマチュア201と当接するようにしていた。しかしながら、コア201の製造時に両外周極面204fの後退距離Lを正確に設定していても、くま取りコイル211の圧着時等に生じる保持片部204gの変形等により、後退距離Lの設定値にくるいが生じ、正確な設定を行うのが困難であった。このように、コア204側に段差形状を設ける場合には、切削加工等により行われるのであるが、切削加工では後退距離Lの精度が悪くなるという欠点もある。
【0031】
そこで、この実施例では、第12図に示すように、アーマチュア201の下端側におけるコア204の下端側端面204bとの対向面201dにおいて、コア204の両外周極面204fと対向する部分に、所定深さDの逃げ凹部201eをそれぞれ設け、第13図に示すように、コア204の下端側端面204bのうちの内周極面204eのみがアーマチュア201と当接するようにしてある。
【0032】
そして、この実施例では、段差形状をコア204側ではなく、アーマチュア201側に設けたため、逃げ凹部201eの形成方法として、簡単な加工方法であり、しかも加工精度のよいプレス成形(面押し)を採用することができ、これによって、容易にかつ所定深さDに精度よく逃げ凹部201eが形成されるようになっている。
【0033】
<接点ユニットの構成>
第15図を参照してこの部分の説明を行う。コモンユニット110は、前述のコモン端子部103と、コモンガード111とを備えられている。コモン端子部103は、上下に延びるコモン端子103cと、コモン端子103bの上端部に、その上端部から下方に延びるように取り付けられる可動バネ103bと、可動バネ103bの下端部に設けられるコモン接点103aとを備えて構成されている。
【0034】
コモン端子103cの長手方向の中間部は、樹脂製の基台112に埋め込まれている。基台112には、板状の複数のアークバリア113が一体に設けられている。このアークバリア113は、各コモン接点103aが隣接配置される各接点部を遮り、隣接する端子間でのアーク放電による短絡を防止するためのものである。このように、アークバリア113を基台103cに一体に設けることによって、部品点数および組立工数の削減が図れるようになっている。
【0035】
コモンガード111は、コモン端子103cの上端部に装着されるキャップ状に部材であり、その内側が複数の絶縁リブ111aによって仕切られて、各コモン端子103cの上端部が挿入される下方に開口した複数の収容空間111bが設けられている。各収容空間111b内には、コモン端子103cの上端部が嵌まり込む位置決め用の溝111cが設けられている。
【0036】
このようなコモンガード111をコモン端子103cの上端部に装着することによって、絶縁リブ111aによって隣接する端子103a間での放電による短絡が効果的に防止できるようになっている。また、絶縁リブ111aがコモン端子103c間に位置して位置決めの役目を有するとともに、各収容空間111bの位置決め用の溝111cによって、各コモン端子103cおよび各可動バネ103bの設置位置のばらつき(特に、可動バネ103bの移動方向に沿ったばらつき)が矯正できるようになっている。
【0037】
このように構成されるコモンユニット110は、第5図に示すように、接点ユニット10のベース120に組み付けられるようになっている。
【0038】
<コイルユニットの組付構造>
第16図を参照してこの部分の説明を行う。接点ユニット10の底部を構成するベース120は、接点ユニット10の底部から後方側(第16図の左方側)に延設されており、その延設された延設部121にコイルユニット110が組み付けられるようになっている。延設部121には、上下に貫通する貫通孔121aが設けられている。延設部121の下面側には、後述する固定部材221を収容する収容凹部121cが設けられている。
【0039】
コイルユニット20のボビン206の底部には、延設部121の貫通孔121aに挿入される挿入部206cが一体に設けられている。その挿入部206cには、固定部材221(くさび部材)が挿入される挿入孔206dが設けられている。
【0040】
そして、コイルユニット20の組み付けは、コイルユニット20の挿入部206cを延設部121の貫通孔121a内に上方から挿入した状態で、延設部121の下面側で挿入孔206dに固定部材221を押し込むことにより、挿入部206cが抜け止め固定され、これによって、第1図に示すように、コイルユニット20と接点ユニット10とが前後に突き合わせ状態で連結固定されるようになっている。
【0041】
この組付状態において、延設部121の上面に突設された凸部121bが、第1図に示すように、コア204の下端部に当接するようになっており、これによって、コア204のボビン206からの抜け止めが図られるようになっている。
【0042】
また、コイルユニット20の組み付けに伴って、コイルユニット20に取り付けられた接続端子212と、延設部121に取り付けられたコイル端子203とが互いに嵌合して接続されるようになっている。
【0043】
<接点操作機構の構成>
連結体CBを収容するケース30には、第1図に示すように、コモン接点103aを外部から強制的に切り替え操作するための接点操作機構401が設けられている。この接点操作機構401は、第17図および第18図に示すように、回転可能にケース30に軸支される操作レバー402と、操作レバー402に一体に設けられた可撓操作部403と、ロック構造404とを備えて構成されている。
【0044】
操作レバー402は、全体的に略板状の形状を有する樹脂成形体であり、構成要素として、略矩形板状の操作部405と、その操作部405の下端部の両側面から左右に突設された軸部406と、操作部405の下端中央から下方に突設された作用部407とを備えている。
【0045】
可撓操作部403は、操作レバー402の操作部405の略中央部に略U字形の切り込み421を設けて一体に形成されており、操作部405の上端部から片持梁状に延びた板バネ形状を有している。これによって、可撓操作部403は、その下端部が押圧されると自然状態から弾性的に撓み変形するようになっている。可撓操作部403の下端部の両面には、突起403a,403bが設けられている。一方の突起403aは、後述するロック構造404の板バネ408を押圧するためのものであり、他方の突起403bは、この可撓操作部403を押圧操作するためのものである。
【0046】
ロック構造404は、樹脂成形体であるケース30に一体に設けられた板バネ408(弾性部材)と、操作レバー402およびケース30に設けらえた第1および第2の係止部409,410とを備えている。
【0047】
ケース30の外面の端子ユニット10に背向する部分(側面部)には、操作レバー402を収容する収容凹所411が設けられている。その収容凹所411の下端部の左右両側には、操作レバー402の両軸部406を回転可能に保持する上方に開口した軸受用の凹部412が設けられいる。その各凹部412の開口部には、その凹部412に挿入された軸部406を抜け止めする突部412aが設けられている。また、収容凹所411の下端部中央には、操作レバー402の作用部407および第1の係止部409が挿入される開口部413となっている。
【0048】
ロック構造404の板バネ408は、ケース30の収容凹所411の底壁部411aに所定間隔で上下に延びる2本の切り込み422を設けてケース30に一体に形成されており、収容凹所411の中央部の上端から下方に片持梁状に延びている。この板バネ408の下端部は、カード104の第1図の左端部に当接可能な位置まで延設されている。
【0049】
ロック構造404の第1の係止部409は、操作レバー402の操作部405の下端部における左右両端に突設されている。また、第2の係止部410は、開口部413に面する収容凹所411の底壁部411aの下端縁における左右両端部によって構成されてる。
【0050】
操作レバー402は、両軸部406を収容凹所411の両凹部412内に押し込むことにってケース30の取り付けられ、これによって、第17図の矢印Aで示すように、軸部406を中心に回転可能に軸支される。この取付状態において、操作レバー402の作用部407および可撓操作部403の突起403aとケース30の板バネ408とは互いに当接可能な位置関係にある。また、操作レバー402の第1の係止部409と第2の係止部410とは、第19図に示すように、後述するように操作レバー402が強制位置Peに回転操作された際に互いに係合可能な位置関係にあり、この第1および第2の係止部409,410の係合によって、操作レバー402の矢印A方向への回転が止められるようになっている。
【0051】
そして、第17図に示す停止位置(停止姿勢)Psから、操作レバー402を矢印A方向に第19図に示す強制位置(強制状態)Peまで回転操作すると、第19図に示すように、操作レバー402の作用部407によって板バネ408が押し込まれて内方に弾性的に撓み変形する。すると、これに伴って、カード104が板バネ408の下端部によって第19図の右方へ押圧移動され、これによって、コモン接点103aが常閉接点101aから離間されて常開接点102aに当接される。なお、停止位置Psでは、操作レバー402はケース30の側面(収容凹所411の底壁部411a)とほぼ平行な状態にあり、カード104の移動方向に対して垂直に直立した姿勢にある。
【0052】
ここで、作用部407は、操作部405の下端部から板バネ408側に屈曲するようにして突設されており、この屈曲角度β(第17図参照)は、下記の条件を満たすようにして決定されている。すなわち、板バネ408の押圧力によって作用部407を介して操作レバー402に与えらえる回転トルクが、操作レバー402の回転角度θtが第17図に示す停止位置Psから所定の中間位置(中間姿勢)Pmに対応する角度範囲内にあるときには、矢印Aで示す回転方向と逆方向に作用する一方、回転角度θtが中間位置Pmから第19図に示す強制位置Peに対応する角度範囲内にあるときには、矢印Aで示す回転方向に作用するか、あるいは実質的にゼロになるように、屈曲角度βが設定されている。
【0053】
ここでは、操作レバー402が停止位置Psから中間位置Pmに対応する角度範囲内にあるときには、作用部407と板バネ408とが当接する角度α(第19図参照)が90°未満であり、これによって、板バネ408から操作レバー402に与えられる回転トルクが、矢印A方向と逆方向に作用するようになっている。また、操作レバー402が中間位置Pmから強制位置Peに対応する角度範囲内にあるときには、前記角度αが約90°になり、これによって、板バネ408から操作レバー402に与えられる回転トルクは実質的にゼロになるようになっている。
【0054】
また、操作レバー402が停止位置Psにあるときには、操作部405が収容凹所411の底壁部に当接することによって、板バネ408からの回転トルクによる矢印A方向と逆方向への回転が止められている。
【0055】
さらに、操作レバー402が強制位置Peにあるときには、板バネ408から操作レバー402に与えられる回転トルクが実質的にゼロになるとともに、互いに係合した第1および第2の係止部409,410によって操作レバー402の矢印A方向への回転が止められているため、人為的な操作が与えられない限り、そのままの状態が維持されてロック状態となるようになっている。
【0056】
また、操作レバー402が停止位置Psにある状態で、第20図に示すように、操作レバー402の可撓操作部403が矢印B方向(前記矢印Aで示す回転方向と逆方向)に押圧操作されると、その押圧力によって可撓操作部403が弾性的にケース30の内方側に撓み変形し、その突起403aによって板バネ408が押し込まれて内方に弾性的に撓み変形し、これに伴って、カード104が板バネ408の下端部によって第20図の右方へ押圧移動され、これによって、コモン接点103aが常閉接点101aから離間されて常開接点102aに当接されるようになっている。そして、可撓操作部403への押圧操作が解除され、可撓操作部403が自然状態に復帰するのに伴って、カード104およびコモン接点103aが第1図の状態に復帰するようになっている。
【0057】
このような構成により、操作レバー402を第17図に示す停止位置Psから第19図に示す強制位置Peに回転操作(フィックス操作)されると、リレー100の動作モードが、コイル202の励磁に応じてコモン接点103aが動作するニュートラルモードから、コモン接点103aが定常的に常開接点102a側に切り替えられたフィクスドモードに切り替わるようになっている。
【0058】
このフィクスドモードのニュートラルモードへの切り替えは、操作レバー402を逆回転操作して強制位置Peから停止位置Psに復帰させることによって行われる。すなわち、操作レバー402の逆回転操作に伴って、板バネ408およびカード104が第19図に示す状態から第17図に示す状態に復帰するようになっている。この逆回転操作は、実質的には操作レバー402が強制位置Peから中間位置Pmを超えるまで行えばよく、その後は、操作力を解除しても、板バネ408から操作レバー402に与えられる回転トルクにより、操作レバー402が独りでに停止位置Psまで復帰するようになっている。
【0059】
このフィクスドモードは、操作レバー402を逆回転操作しない限り解除されないため、リレー100等の導通テスト等において、このリレー100を常開接点102aがオンの状態にしたまま、テスト作業者が手を離して他の作業を行うのに適している。
【0060】
また、操作レバー402が第17図に示す停止位置Psにある状態で、第20図に示すように、可撓操作部403が矢印B方向に押圧操作(モメンタリ操作)されると、リレー100の動作モードが、ニュートラルモードから、その押圧操作が行われている期間だけ常開接点102aがオンするモメンタリモードに切り替わるようになっている。このモメンタリモードは、リレー100の常開接点102aを一時的にオンさせたい場合に適している。
【0061】
なお、この実施例では、操作レバー402に可撓操作部403を一体に設けたが、第21図に示すように、可撓操作部403を省略してもよい。
【0062】
<その他の構成>
さらに、カード104には、第1図および第2図に示すように、リレー100の動作状態を機械的に表示するための表示レバー131が付設されている。この表示レバー131は、カード104の移動に伴って、その上端部の指標部131aが、ケース30の表示窓部311の下方側で進退するようになっている。そして、その進退変位に伴って、指標部131aが表示窓部311から見え隠れすることにより、リレー100の動作状態が表示されるようになっている。
【0063】
次に、第22図を参照してコイル202の通電状態を表示する表示部230の回路構成について説明する。この第22図の回路構成では、表示部230とコイル202とが、並列に接続された状態でコイル端子203a,203b(これらを総称する場合には、参照符号を「203」とする)に接続されている。表示部230は、互いに逆方向に並列接続された発光ダイオード231,232と、その両発光ダイオード231,232と直列に接続された抵抗233とを備えている。両発光ダイオード231,232と抵抗233とは、並列に接続された状態でコイル端子203a,203bに接続されている。
【0064】
ここで、2つの発光ダイオード231,232のうちのいずれか一方は、端子203a,203b間に電流が流れ、コイル202が励磁された際に発光し、コイル202への通電を表示するためのものである。他方の発光ダイオード231,232は、コイル202の逆起電力等による逆方向電流からその一方の発光ダイオード231,232を保護するためのものである。
【0065】
例えば、端子203aが正極側とされ、端子203bが負極側とされた場合には、発光ダイオード231が表示用に用いられ、発光ダイオード232が発光ダイオード231の保護用に用いられる。すなわち、端子203a側から端子203b側に電流が流れている場合には、端子203aから供給される電流が、コイル202に流れるとともに、抵抗233および発光ダイオード231を介して端子203bに流れ、これによって、発光ダイオード231が点灯する。そして、その電流供給が遮断された場合には、コイル202によって端子203b側から端子203a側に逆起電力が発生する。しかし、その逆起電力によって生じる逆方向電流が、発光ダイオード232を介して抵抗233へ流れるようになっているため、逆起電力により発光ダイオード231が破壊されるのが防止される。
【0066】
反対に、端子203bが正極側とされ、端子203aが負極側とされた場合には、発光ダイオード232が表示用に用いられ、発光ダイオード231が保護用に用いられる。
【0067】
このように、第22図の回路構成では、互いに逆方向に並列接続された2つの発光ダイオード231,232の一方を表示用に用い、他方をその一方の発光ダイオード231,232の保護用に用いるようになっているため、コイル端子203a,203bのいずれが正極側とされても、回路構成を変更することなく、対応できるようになっている。
【0068】
次に、第23図を参照して第22図の回路構成の変形例について説明する。この第23図の回路構成では、表示部230とコイル202とが直列に接続された状態でコイル端子203a,203b間に接続されている。また、表示部230では、互いに逆方向に並列接続された2つの発光ダイオード231,232に、抵抗233が並列に接続されており、これによって、2つの発光ダイオード231,232と抵抗233とが、並列に接続された状態で、端子203a,203b間の電路に介装されている。
【0069】
この第23図の回路構成においても、端子203a,203b側のいずれが正極側とされた場合にも、2つの発光ダイオード231,232のいずれか一方が表示用として機能し、他方のその一方の発光ダイオード231,232の保護用として機能するようになっている。
【0070】
<効果>
以上のように、本実施例によれば、第7図等に示すように、L字形のアーマチュア201の上端側端縁の左右両側が屈曲されて係止部201aが形成され、その係止部201aがコア204の上端側端面204aのエッジ部204cに係合された状態で、ヒンジバネ205の付勢バネ片205cによってアーマチュア201が揺動変位可能に保持されるようになっている。このため、揺動軸のずれを生じることがなく、アーマチュア201の係止部201aとコア204のエッジ部204cとの当接部をヒンジ部としてアーマチュア201を高精度で安定して揺動変位させることができる。
【0071】
また、このような構成により、下端部が磁気吸着された際に、アーマチュア201の上端部は、その外周面がコア201の上端側端面204aに密着状態で当接するようになっているため、コア204の上端側端面204aからの漏れ磁束が減少されて効率の向上が図れる。
【0072】
さらに、第6図等に示すように、アーマチュア201を付勢して保持する機能を有するヒンジバネ205が、そのヒンジバネ205およびボビン206に設けられた固定片205dおよび係合凸部206bを互いに係合させることによりボビン206に固定されるようになっている。このため、特別な装置を用いなくともヒンジバネ205の固定を簡単に行うことができ、リレー100の製造工程の簡略化および低コスト化が図れる。
【0073】
また、第10図および第12図に示すように、コア204の下端側端面204bにおける各外周極面204fの外周側縁部を面取りして面取り部204hとすることにより、くま取りコイル211を圧着保持する保持片部204gの肉厚を十分に確保しつつ、外周極面204fの小サイズ化に対応できる。
【0074】
さらに、第16図等に示すように、コイルユニット20の挿入部206cを接点ユニット10の延設部121の貫通孔121a内に上方から挿入した状態で、延設部121の下面側で挿入孔206dに固定部材221を押し込むだけで、コイルユニット20と接点ユニット10とが連結固定されるようになっている。このため、コイルユニット20と接点ユニット10との連結固定を簡単かつ確実に行うことができ、リレー100の製造工程の簡略化および低コスト化が図れる。
【0075】
また、第12図等に示すように、コア204とアーマチュア201との当接部を選択するための段差形状をコア204側ではなく、アーマチュア204側に設けられている。このため、その段差形状を構成する逃げ凹部201eの形成方法として、簡単な加工方法であり、しかも加工精度のよいプレス成形(面押し)を採用することができ、これによって、容易にかつ所定深さDに精度よく逃げ凹部201eを形成することができ、リレー100の製造工程の簡略化および低コスト化が図れる。
【0076】
さらに、この実施例では、外部から与えられる回転操作力によりコモン接点103aを常閉接点101a側から常開接点102a側に強制的に切り替える接点操作機構401が設けられているため、リレー100やそのリレー100と接続された回路の検査等の際に便利である。
【0077】
また、操作レバー402を第17図に示す停止位置Psから第18図に示す強制位置Peに回転操作(フィックス操作)すると、コモン接点103aが定常的に常開接点102a側に切り替えられたフィクスドモードになるため、リレー100等の導通テスト等において、このリレー100を常開接点102aがオンの状態にしたまま、テスト作業者が手を離して他の作業を行うことができ、便利である。
【0078】
さらに、フィックス操作とモメンタリ操作とが、操作レバー402に対する回転操作と可撓操作部403に対する押圧操作とであり、両操作が明確に区別されているとともに判別容易である。これによって、簡単な構成により、オルタネイト操作とモメンタリ操作とを容易に判別可能な構成を実現することができる。
【0079】
また、モメンタリ操作用の可撓操作部403がオルタネイト操作用の操作レバー402の操作部405に一体に設けられており、モメンタリ操作用の専用の部品およびその部品のための取付構造を設ける必要がない。このため、部品点数および組立工数を削減できるとともに、構造の簡単化が図れる。
【0080】
さらに、操作レバー402を第19図に示す強制位置Peまで回転操作すると、板バネ408から操作レバー402に与えられる回転トルクが実質的にゼロになるとともに、操作レバー402およびケース30に設けられた第1および第2の係止部409,410が互いに係合して操作レバー402の矢印A方向への回転が止められる。これによって、操作レバー402が強制位置402にロックされるようになっているので、簡単な構成によってロック構造404を構成することができる。
【0081】
また、操作レバー402を強制位置Peから逆回転操作するだけで操作レバー402のロックを解除することができるため、操作レバー402の操作を容易に行うことができる。
【0082】
さらに、操作レバー402のロック解除の際、操作レバー402を強制位置Peからわずかに逆回転操作すれば、その後は、板バネ408から与えられる回転トルクによって操作レバー408が独りでに停止位置Psまで逆回転するようになっているため、操作レバー402の戻し忘れ等を防止することができるという利点がある。
【0083】
<接点操作機構の変形例>
ここでは、第24ないし第34図を参照して、前述の接点操作機構401の変形例について説明する。この変形例に係る接点操作機構401は、第24図等に示すように、ケース30にスライド可能に設けられた操作レバー500と、ケース30に設けられた支点部501と、ロック構造502(第34図等参照)を備えている。
【0084】
操作レバー500は、第25図および第26図に示すように、略矩形板状の形状を有する操作部503と、その操作部503の下面から下方に一体に突設された操作棒504とを備えている。操作棒504は、操作部503のスライド方向C,Dとほぼ垂直な方向に操作部503から突設されており、所定の可撓性を有している。
【0085】
ケース30の上壁部505には、第27図に示すように、操作部503をスライド可能に保持するための保持凹部505aが設けられている。保持凹部505a内の対向する左右の側壁部には、第28図および第29図に示すように、スライド方向C,Dに沿って延びる保持溝505bが設けられている。そして、この左右の保持溝505bに、第30図に示すように、操作部503の左右の両側部に設けらえたフランジ部503aが保持される。これによって、操作部503がスライド方向C,Dにスライド可能にケース30に保持される。
【0086】
ここで、操作部503の左右の両側部におけるスライド方向D下流側端部には、フランジ部503aの先端部からさらに突出する凸部503bが設けられいる。そして、この凸部503bが保持溝505bに保持されることにより、操作部503が保持溝505bから外れるのがより確実に防止されるようになっている。
【0087】
また、操作部503の上面には、第26図に示すように、マーク503cが設けられている。このマーク503cは、コモン接点103aを常閉接点101a側から常開接点102a側に強制的に切り替える際に、操作部503をスライドさせるべきスライド方向Cを示すものである。
【0088】
一方、第29図に示すように、左右の保持溝505bを構成する上下の壁部505c,505dのうちの上側の壁には、その中間部に段差部505eが設けられいる。これによって、保持溝505bの幅は、段差部505eが設けられた中間部で、スライド方向C下流側に向かって段差状に拡大されている。これに対応して、操作部503の左右のフランジ部503aの幅もその中間部で、スライド方向C下流側に向けて段差状に拡大されている。
【0089】
さらに、保持凹部505aの底壁部505fには、第27図に示すように貫通孔505gが設けられている。そして、操作レバー500の作用棒504は、第24図に示すように、貫通孔505gを介してケース30内に挿入される。
【0090】
支点部501は、第24図に示すように、ケース30の内周側の側面における接点ユニット10と対向する位置に突設されている。
【0091】
これに対応して、貫通孔505gを介してケース30内に挿入された作用棒504は、第24図に示すように、支点部501のスライド方向D下流側を通過して、その先端部504aがカード104のスライド方向C下流側端部に当接可能な位置まで延びている。支点部501は、作用棒504の中間部504bに当接可能な位置に設けられている。
【0092】
ロック構造502は、第25図に示すように操作部503の下面において作用棒504の両側に設けられる一対の凸部(ロック用係合部)511と、第27図に示すように保持凹部505aの底壁部505fに設けられる左右一対の第1凹部(ロック用係合部)512と、左右の保持溝505bを構成する上側の壁部505cの段差部(ロック用係合部)505eと、操作部503の左右の側端部(ここではフランジ部503a)におけるスライド方向D下流側のコーナ部(ロック用係合部)513と、を備えている。凸部511と第1凹部512とが互いに係合可能なように対を成しており、段差部505eとコーナ部513とが互いに係合可能なように対を成している。
【0093】
また、保持凹部505aの底壁部505fには、前記第1凹部512の他に、左右一対の第2凹部514が設けられている。なお、凸部511と、第1凹部512および第2凹部514とがどのような状況において係合するかは、後述する。
【0094】
ここで、凸部511のスライド方向C下流側および上流側側面は、第31図に示すように、凹部512,514との係合解除が容易なように、傾斜面とされている。
【0095】
このような構成において、操作レバー500の操作部503は、外部から与えられるスライド操作力によって、第24図に示すニュートラル位置と、第32図に示すフィクスド位置との間でスライド方向C,Dにスライド移動されるようになっている。
【0096】
操作部503がニュートラル位置にあるときには、作用棒504の先端部504aはカード104から離間されており、カード104は、アーマチュア201の動きに従って駆動される(ニュートラルモード)。なお、このとき、作用棒504の中間部504bは、支点部501に当接している。
【0097】
また、このとき、左右の凸部511は、第31図に示すように、左右の第2凹部514に嵌まり込んで係合している。これによって、操作部503が不用意にニュートラル位置から移動するのが防止できるようになっている。
【0098】
そして、操作部503に対して所定強度以上のスライド方向Cのスライド操作力が与えると、凸部511と第2凹部514との係合が解除されて、操作部503がスライド方向Cにスライド移動する。このとき、作用棒504の中間部504bは、支点部501によってスライド方向Cへの移動が止められているため、作用棒504が支点部501を支点としてシーソーのように回転し、作用棒504の先端部504aが作用棒504の基端部と反対方向に移動する。これに伴って、その先端部504がカード104に当接し、カード104をスライド方向Cと反対方向に押圧移動し、これによって、コモン接点103aが常閉接点101a側から常開接点102a側に強制的に切り替えられる。
【0099】
そして、操作部503が、第32図に示すフィクスド位置までスライド移動されると、第33図および第34図に示すように、操作部503の左右のコーナ部513が段差部505eと係合するとともに、左右の凸部511が左右の第1凹部512に嵌まり込んで係合する。これによって、操作部503のスライド方向Dへの移動が止められ(ロックされ)、コモン接点103aが常開接点102a側に切り替えられたままの状態に保持される(フィクスドモード)。
【0100】
ここで、コーナ部513と段差部505eが係合する原理を説明する。すなわち、操作部503がニュートラル位置からスライド方向Cに移動され、それに伴って作用棒504が支点部501を支点として回転されると、作用棒504の回転に伴って、操作部503にも操作部503を回転させようとする力が作用する。この力によって、作用部503のスライド方向D下流側端部が、第33図の矢印Eで示す方向に押し上げられ、操作部503がフィクスド位置に到達したときに、コーナ部513が段差部505eに係合するようになっている。
【0101】
この操作部503のロック状態の解除は、次にようにして行われる。すなわち、操作部503のスライド方向D下流側端部を、矢印Eが示す方向と反対方向に押し下げて、コーナ部513と段差部505eとの係合を解除し、この状態を保持しつつ、操作部503に対して所定強度以上のスライド方向Dのスライド操作力を与える。すると、凸部511と第1凹部512との係合が解除され、操作部503がフィクスド位置からニュートラル位置にスライド移動される。
【0102】
以上のように、この変形例によれば、前述の第17図等に示す接点操作機構401と同様な効果が得られるとともに、操作レバー500をスライド方式とすることにより、操作部503を前記フィクスド位置に引き出した際の操作部503のケース30からの張り出し長さを、前述の回転式の操作レバー402の場合と比較して小さくすることができ、リレー100の占有領域の省スペース化等が図れる。
【0103】
以上この発明の実施例について説明したが、この発明の範囲は上記実施例に限られるものではなく、添付された請求の範囲によって規定される。
【図面の簡単な説明】
【図1】の発明の一実施例であるリレーの断面図である。
【図2】結体の正面図である。
【図3】結体の背面図である。
【図4】結体の斜視図である。
【図5】結体の分解斜視図である。
【図6】イルユニットの斜視図である。
【図7】イルユニットの断面図である。
【図8】イルユニットの分解斜視図である。
【図9】イルユニットの分解斜視図である。
【図10】イルユニットの分解斜視図である。
【図11】ーマチュアの一部破断斜視図である。
【図12】アとアーマチュアとの下端側当接部の構成を示す断面図である。
【図13】アとアーマチュアとの下端側当接部の構成を示す断面図である。
【図14】来技術に係るコアとアーマチュアとの当接部の構成を示す断面図である。
【図15】モンユニットの構成を示す一部破断分解斜視図である。
【図16】イルユニットの組み付けの様子を示す図である。
【図17】点操作機構の構成を示す断面図である。
【図18】点操作機構の分解斜視図である。
【図19】ィクスドモードを示す断面図である。
【図20】メンタリモードを示す断面図である。
【図21】作レバーの変形例を示す斜視図である。
【図22】イルの通電状態を表示する表示部の回路構成を示す回路図である。
【図23】図22の回路構成の変形例を示す回路図である。
【図24】点操作機構の変形例を示す断面図である。
【図25】図24の変形例に係る操作レバーの側面図である。
【図26】図25の操作レバーの上面図である。
【図27】図24の変形例に係るケースの要部の構成を示す平面図である。
【図28】図27のA−A断面図である。
【図29】図27のB−B断面図である。
【図30】図24の部分拡大図である。
【図31】図24に示す状態における部分拡大断面図である。
【図32】図24の変形例に係るフィクスドモードを示す要部拡大断面図である。
【図33】図32の部分拡大図である。
【図34】図32に示す状態における部分拡大断面図である。

Claims (11)

  1. 電磁相互作用により接点を開閉を行うリレー(100)において、
    略L字形に屈曲されたコア(204)を有するコイル(202)と、
    前記コイル(202)との電磁的相互作用により所定の軸回りの揺動変位を生じるように設けられ、その揺動変位をカード(104)を介して接点部(10)に伝達して接点(103a)を開閉するアーマチュア(201)と、
    前記アーマチュア(201)に設けられる係止部(201a)と、
    所定のバネ片(205c)を有する付勢手段(205)と、
    を備え、
    前記アーマチュア(201)は、その両端部の外周面がコアの両端面に当接可能なように略L字形に屈曲され、
    前記係止部(201a)には、前記アーマチュア(201)の一方側端縁の両側2箇所を前記コア(204)の一方側端面のエッジ部(204c)に係合するように屈曲させた一対の屈曲部が設けられており、
    前記所定のバネ片(205c)が、前記アーマチュアの前記一対の屈曲部それぞれの外側面に当接して、前記アーマチュア(201)の前記一対の屈曲部を前記コア(204)の前記エッジ部(204c)に向けて付勢することにより、前記アーマチュア(201)は、前記一対の屈曲部それぞれの内側と前記エッジ部(204c)との当接部を軸として揺動変位可能に保持されることを特徴とするリレー。
  2. 請求1のリレー(100)において、
    前記付勢手段(205c)は、バネ部材(205)に設けられる前記所定のバネ片によって構成され、前記バネ部材(205)は、前記アーマチュア(201)と前記コイル(202)との電磁的相互作用の消滅時に前記アーマチュアの変位を復元するための部材であり、
    前記バネ部材(205)、および前記コイル(202)のボビン(206)に第1および第2の係合部(205d,206b)が設けられ、その第1および第2の係合部(205d,206b)は、互いに係合して前記バネ部材(205)を前記ボビン(206)に固定することを特徴とするリレー。
  3. 請求2のリレー(100)において、
    前記コア(204)の他方側端面(204b)に、くま取りコイル(211)が挿入されて圧着状態で保持される保持溝(204d)が設けられ、
    前記保持溝(204d)によって分割された前記コア(204)の他方側端面(204b)における前記くま取りコイル(211)の外周に位置する外周極面(204f)の周縁部のうちの少なくとも一部が、面取りされたことを特徴とするリレー。
  4. 請求3のリレー(100)において、
    前記コイル(202)および前記アーマチュア(201)を含むコイル部を形成する各部品の組立体と、前記接点部を形成する各部品の組立体とが、個別にユニット化されることによって、それぞれコイルユニット(20)および接点ユニット(10)として別体に構成され、突き合わせ状態で連結可能となっており、
    前記接点ユニット(10)の一部として前記接点ユニット(10)の底部から延設された延設部(121)に、上下に貫通する貫通孔(121a)が設けられ、
    固定部材挿入用の挿入孔(206d)を有し、前記貫通孔(121a)に挿入される挿入部(206c)が、前記コイルユニット(20)の底部に設けられ、
    前記コイルユニット(20)の前記挿入部(206c)が上方から前記貫通孔(121a)に挿入された状態で、前記延設部(121)の下面側で前記挿入孔(206d)に所定の固定部材(221)が挿入されて、前記挿入部(206c)が抜け止めされることにより、前記コイルユニット(20)と前記接点ユニット(10)とが連結固定されることを特徴とするリレー。
  5. 請求1のリレー(100)において、
    外部からの力学的な操作力によって前記接点部(10)の前記接点(103a)を駆動して開または閉に強制する接点操作機構(401)を、さらに備えていることを特徴とするリレー。
  6. 請求5のリレー(100)において、
    前記接点操作機構(401)は、
    前記リレー(100)の非可動部(30)に回転可能に軸支され、その回転軸の両側がそれぞれ操作部(405)および作用部(407)とされ、前記操作部(405)に対して所定の回転方向への回転操作力が与えられて所定の停止姿勢から前記回転方向に回転されるのに伴って前記作用部(407)が前記接点(103a)を押圧移動して開または閉に強制する操作レバー(402)を、備えることを特徴とするリレー。
  7. 請求6のリレー(100)において、
    前記接点操作機構(401)は、
    前記回転操作力が解除された後にも前記接点を強制した強制状態に前記操作レバー(402)をロックする一方、前記強制状態において前記回転方向と逆方向の逆回転操作力が与えられるのに応じて前記操作レバー(402)の強制状態を解除するロック構造(404)を、さらに備えることを特徴とするリレー。
  8. 請求5のリレー(100)において、
    前記接点操作機構(401)は、
    前記リレー(100)の非可動部(30)にスライド可能に設けられた操作レバー(500)と、
    前記非可動部(30)に設けられた支点部(501)と、
    を備え、
    前記操作レバー(500)は、
    前記非可動部(30)に設けられ、外部から与えられるスライド操作力を受けて前記接点(103a)の移動方向と平行なスライド方向にスライドする操作部(503)と、
    所定の可撓性を有し、前記操作部(503)から前記スライド方向とほぼ垂直な方向に突設され、その先端部が前記カード(104)に当接可能な位置まで延設された作用棒(504)と、
    を備え、
    前記支点部(501)は、前記作用棒(504)の中間部に当接可能な位置に設けられており、
    前記作用棒(504)が前記支点部(501)に当接する方向に、前記操作部(503)が前記スライド操作力を受けて前記スライド方向にスライドされると、前記作用棒(504)の前記中間部が前記支点部(501)に当接して移動が止められ、これによって前記支点部(501)を支点として前記作用棒(504)の前記先端部が前記操作部(503)と反対方向に移動し、その先端部が前記接点(103a)を押圧移動して開または閉に強制することを特徴とするリレー。
  9. 請求8のリレー(100)において、
    前記接点操作機構(401)は、
    前記スライド操作力が解除された後にも前記接点を強制した強制状態に前記操作レバー(501)の操作部(503)をロックする一方、前記強制状態において前記スライド操作力と逆方向の逆スライド操作力が与えられるのに応じて前記操作部(503)の強制状態を解除するロック構造(502)を、さらに備えることを特徴とするリレー。
  10. 請求9のリレー(100)において、
    前記ロック構造(502)は、
    前記操作部(503)および前記非可動部(30)に設けられ、互いに係合解除可能に係合して前記操作部(503)をロックする少なくとも1組の対をなすロック用係合部(511,512;513,505e)を備えることを特徴とするリレー。
  11. 請求1のリレー(100)の製造方法であって、
    前記アーマチュア(201)の他方側端部と前記コア(204)の他方側端面とを部分的に選択して当接させるための段差形状を、前記アーマチュア(201)の当接面に設けるとともに、
    前記段差形状を構成する逃げ凹部(201e)を、プレス成形によって形成することを特徴とするリレーの製造方法。
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