JP3726804B2 - 回路遮断器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、通電電路に過大電流が流れたときに電磁駆動部の固定鉄心に可動鉄心を吸引させてラッチを解除し、接点を強制開極する回路遮断器に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の回路遮断器の電磁引外し装置として、可動鉄心が固定鉄心から離れた位置にあって、ねじりコイルばねによりラッチする方向に付勢する構造がある。
【0003】
【特許文献1】
特開昭58−131626号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来例では可動鉄心と固定鉄心とが完全に分離されており、また、ねじりコイルばねにより可動鉄心をラッチ方向に付勢しているので、電磁引外し装置自体の配設スペースが必要であるという問題があった。また、可動鉄心と固定鉄心とが完全に分離されているので、可動鉄心の吸引力が弱くなるという問題があった。
本発明は、かかる事由に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、小型化が図れる回路遮断器を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する請求項1の発明は、一端部には一対の電線挿入孔が形成されるとともに他端部には端面と両側面に亘るように開口した差込部が形成された器体と、該器体の一端に配設され前記電線挿入孔から挿入された電線の芯線を鎖錠ばねで端子板に押し付けて接続する2極の速結端子と、前記器体の他端内部に収納配設されて前記差込部から差込まれた導電バーを挟み込む2極の刃受ばねと、該各極の刃受ばねと前記速結端子との間の通電電路に介在する固定接点及び可動接点と、該可動接点を前記固定接点に接離させる開閉機構と、前記器体の上面に形成された窓孔に操作部を臨ませ、前記開閉機構を介して前記可動接点を前記固定接点に接離させるハンドルと、前記通電電路に過電流が流れたときに発熱して変位し前記開閉機構を介して前記可動接点を前記固定接点から強制開極させる2組のバイメタルと、両側片の先端を磁極面とした固定鉄心及び該固定鉄心の磁極面に対向配置されるとともに前記固定鉄心に板ばねで支持された可動鉄心を有し、前記通電電路に短絡電流が流れたときに前記固定鉄心の磁極面に発生する磁力で吸引される前記可動鉄心により前記開閉機構を介して前記可動接点を前記固定接点から強制開極させる2組の電磁駆動部とを備え、前記2組のバイメタルは、前記器体の幅方向を幅方向として器体の一端部及び他端部間方向に一部が重なるように並設され、前記2組の電磁駆動部は前記2組のバイメタルと共に前記器体の一端部及び他端部間方向に並設されていることを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下本発明を図1乃至図14に示す実施形態により説明する。
【0007】
本実施形態の回路遮断器は、図1に示すように両側の合成樹脂製の第1側ケース1Aと第2側ケース1Bを重ね合わせ結合して構成される器体1内に、器体1の幅方向に並設された2つの固定接点2A,2Bと、これら各固定接点2A,2Bに接離(接触・開離)自在に対向する可動接点3A,3Bを固着した2つの可動接触子4A,4Bと、これらの2つの可動接触子4A,4Bを駆動する開閉機構5とを備え、ハンドル6のオンオフ操作により開閉機構5を介して各可動接点3A,3Bを各固定接点2A,2Bに接離させる構成となっており、各固定接点2A,2B及び各可動接触子4A,4Bを、器体1の高さ方向に上下に配設するとともに両可動接触子4A,4Bの内、高さ方向で2つの固定接点2A,2B間に介在する一方の可動接触子4Bと、他方の可動接触子4Aの可動接点3Aが接離する固定接点2Aとを、各固定接点2A,2Bから各可動接点3A,3Bが開離した状態で器体1の幅方向から見て交差しない高さ位置に配設してある。
【0008】
器体1の一端内部には両ケース1A,1B間に挟み込むように、合成樹脂材料から成形された隔壁部材(以下中間ケースと称する)7を配設しており、第1側ケース1Aの側壁(外壁)内側の凹部8と中間ケース7の縦壁部35とで構成される区画内に固定接点2Aを一端に設けた固定側電路構成たる端子ブロック10Aを収納し、中間ケース7の第2側ケース1B側に設けた凹部9と第2側ケース1Bの側壁(外壁)とで構成される区画内に下側の固定接点2Bを一端に設けた固定側電路構成たる端子ブロック10Bを収納してある。
【0009】
可動接触子4A,4Bを開閉駆動する開閉機構5は、ラッチ部材たる作動板43と、クロスバー40と、作動板43の一端を係止する段状の係止部57を備えた第1引き外し板41と、第2引き外し板42と、ハンドル6と、コ字状リンク44等から成り、これらに加えて過電流検出時に開閉機構5を駆動する2つのバイメタル45,46、更に短絡電流が流れたときに開閉機構5を駆動する図2及び図3に示す電磁駆動部47,48が付加されて共通部品を構成する。これら電磁駆動部47,48が本発明の回路遮断器の電磁引外し装置である。
【0010】
電磁駆動部47は、図2に示すように磁性鉄板を逆Lに折り曲げてその垂直片の両側端を直角に折り曲げて水平断面がコ字状となった固定鉄心74と、可動鉄心58と、可動鉄心58を固定鉄心74の両端磁極面に回動自在に対向支持し且つ回動時の復帰手段である板ばね73とで構成されており、固定鉄心74と直角に一体形成されている水平な平板75を導電板71の外横片71aと内横片71bとの間に挿入して、平板75の両側縁の中央部の切欠溝75aに外横片71aの両側縁の中央部より垂下させた逆T状片76を係合させることにより固定鉄心74が図示するように導電板71に固持される。
【0011】
可動鉄心58は固定鉄心74側の面に突出させ突起58b,58bを、板ばね73の中央片73aの上端部に形成した孔73b,73bに挿入してかしめ固定することで板ばね73に回動自在に支持される。板ばね73は中央片73aの両側方に折り曲げ形成した両側片73c,73cを固定鉄心74の両側片74a,74aの外面に沿わせるように配置して両側片73c,73cの先端に内向きに突出させた係止片73d,73dを、固定鉄心74の外側角部に形成した凹部74b,74bに係止させることにより固定鉄心74に固持される。
【0012】
ここで固定鉄心74は両側片74a、74aの端面を両側片74a、74aの端面を可動鉄心58の回動中心点側の端部から可動鉄心58の自由端側の端部にかけて徐々に連結片たる垂直片に近づくように傾斜した傾斜面74c、74cとしてある。固定鉄心74の両側片74a,74aの傾斜面74c、74cからなる磁極面は板ばね73の中央片73aと、両側片73c,73cとの間を介して可動鉄心58に対向し、短絡電流のような過大な電流が導電板71に流れたときに固定鉄心74の両側片74a,74aの磁極面に発生する磁力により可動鉄心58を吸引して可動鉄心58を磁極面の端部と接触している部位(図では下端縁)を回動中心として回動させて、可動鉄心58の自由端側端面に突設してある駆動部58aを移動させるのである。
【0013】
尚導電板71の外横片71aの挿通孔72より平板75の中央に設けた螺子孔78に調整螺子77を螺入させ、その先端をバイメタル45の上端逆L字状部の横片に内横片71bを介して対向させ、調整螺子77を螺進させることで内横片71bを撓ませることにより、バイメタル45の下端の初期位置を調整することができるようになっている(図4参照)。
【0014】
導電板71の垂直片71cの下端には後述する共通端子T1を溶着固定し、またバイメタル45の下端よりやや上方の板面には可動接触子4Aに一端が溶着された編組線79の他端が溶着され、共通端子T1、導電板71,バイメタル45,編組線79,可動接触子4Aとが電気的に接続されている。
【0015】
一方電磁駆動部48を固持する可動接触子4Bは図8に示すように後端部を外片としてU字状に折り返して、後端部に平行する内横片80を形成し、この内横片80の先端上部の段面にバイメタル46の下端L字状折部の横片を載置して溶着固定しバイメタル46を垂立させている。
【0016】
電磁駆動部48は、図3に示すように前記の電磁駆動部47のものと同形状に形成された、固定鉄心74、板ばね73及び可動鉄心58から構成され、固定鉄心74に一体に形成された平板75を可動接触子4Bの後端部と内横片80との間に挿入して、平板75の両側縁の中央部の切欠溝75aに可動接触子4Bの後端部の両側縁の中央部より垂立させたT状片76を係合させることにより固定鉄心74が可動接触子4Bの後端部に図示するように固持される。
【0017】
可動鉄心58は固定鉄心74側の面に突出させ突起(図示せず)を、板ばね73の中央片73aの上端部に形成した孔73b,73bに挿入してかしめ固定することで板ばね73に回動自在に保持され、板ばね73は中央片73aの両側方に折り曲げ形成した両側片73c,73cを固定鉄心74の両側片74a,74aの外面に沿わせるように配置して両側片73c,73cの先端に内向きに突設した係止片(図示せず)を、固定鉄心74の外側角部に形成した凹部74b,74bに係止させることにより固定鉄心74に固持される。
【0018】
固定鉄心74の両側片74a,74aの端面である傾斜面74cからなる磁極面は板ばね73の中央片73aと、両側片73c,73cとの隙間を介して可動鉄心58に対向し、短絡電流のような過大な電流が可動接触子7Bに流れたときに固定鉄心74の両側片74a,74aの磁極面に発生する磁力で可動鉄心58を吸引して上述と同様に回動させ、可動鉄心58の自由端側端面に突設してある駆動部58aを移動させるのである。
【0019】
可動接触子4Bの後端部に設けた挿通孔(図示せず)より平板75の中央に設けた螺子孔78に調整螺子77を下方から螺入させて、その先端をバイメタル46の下端L字状部の横片に内横片80を介して対向させ、調整螺子77を螺進させることで内片横80を撓ませることにより、バイメタル46の上端位置を調整することができるようになっている(図4参照)。
【0020】
バイメタル46の上端よりやや下方の板面には後述するスライド部材83内の上述の選択端子T2に一端を溶着した編組線82の他端を溶着してあり、選択端子T2、バイメタル46、可動接触子4Bを電気的に接続している。
【0021】
さて器体1の他端内部には、異なる位置(上下方向)に各々配設された3本の導電バー(図示せず)の内の最下段の導電バーを差込接続する1つの共通端子T1を収納配置する収納部90と、残りの2本の導電バーの内の1本を選択して差込接続する1つの選択端子T2を2本の導電バーに対応した少なくとも2つの位置間で移動自在に配設する内方収納部200を設けてある。
【0022】
共通端子T1及び選択端子T2はともに略コ字状で、並行する両側片の先部が違いに近接した後、先端にかけて拡開した刃受ばねから構成され、先端拡開により導電バーの差込を容易とし、また中間の近接部位で導電バーを挟み込むようになっている。
【0023】
内方収納部200には、残りの2本の導電バーに各々対応する2つの位置で選択端子T2を位置決めする位置決め手段として、第1側ケース1Aの内方収納部200を構成する区画の端部壁面に断面略半円状の突起97を第1側ケース1Aの幅方向に設けてある。
【0024】
前記器体1の内方収納部200の天井部に当たる壁には、選択端子T2が上段、中段の2本の導電バーの内のどちらに対応する位置にあるのか表示する表示手段として、内方収納部200内に連通する通孔201を設け、この通孔201から選択端子T2を収納したスライド部材83の上部に形成せる円柱状の表示部202が通孔201に臨んで外部から視認できるか、通孔201から離れた位置にあって外部から視認できないかにより選択端子T2の位置を知ることができるようになっている。また通孔201を介してスライド部材83を外部から押し操作して下方移動させることも可能としている。この通孔201は両側ケース1A、1Bの上面側壁に設けた半円の切欠孔201aが突き合わせられて形成される円形の孔からなる。
【0025】
スライド部材83は合成樹脂成形品からなる器体1の両端方向に対応する両両端面が開口した枠体状に形成されたもので、選択端子T2を構成する刃受ばねを一端開口から挿入して他端開口より刃受ばねの先端部を突出させるようにして選択端子T2を保持しており、選択端子T2はこのスライド部材83と共に内方収納部200内を上下方向に移動自在に配置される。
【0026】
内方収納部200の両側壁を構成する両側ケース1A,1Bの側壁の内面にはスライド部材83の両側部に形成したスライド突起203を上下移動自在に係合する上下方向のガイド溝204を2条の並行する突起205間に形成しており、内方収納部200はこの両側壁のガイド溝204,204にスライド部材83の両側のスライド突起203を係合した状態でスライド部材83とともに選択端子T2を上下方向にスライド移動自在に収納保持している。
【0027】
スライド部材83は第1側ケース1Aの側部より図1に示すように図において下方に延びた脚片83aを一体に延出形成するとともに、脚片83aの下端部のには外向きに突出した突出部206を形成してある。
【0028】
この突出部206は内方収納部200の側壁を構成する第1側ケース1Aの側壁の外側に第1側ケース1Aの底面から上方向に形成されたガイド溝(図示せず)の上端底部に内方収納部200と連通するように開口した挿通孔208からガイド溝(図示せず)内に挿入されて脚片208とともにガイド溝(図示せず)内を上下方向にスライド自在に位置される。
【0029】
而して突出部206が内方収納部200内の選択端子T2の上下移動させる操作部を構成し、器体1外部からこの突起部206を持って或いはドライバ等で押し上げたり、押し下げることにより、内方収納部200内のスライド部材83を、スライド突起203とガイド溝204とによるガイドにより上又は下へ移動させ、スライド部材83に装着された選択端子T2を上方向又は下方向へ移動させることができるのである。
【0030】
ここで突出部206がスライド溝(図示せず)の下端部にある位置が、中段の導電バーに選択端子T2が対応する位置で、突出部206がスライド溝(図示せず)の上部にある位置が上段の導電バーに選択端子T2が対応する位置となるように、脚片83aの長さ及びスライド溝(図示せず)を構成しており、前記突出部206の操作により選択端子T2の位置を上段の導電バー或いは中段の導電バーに対応させることができるのである。
【0031】
前記の操作によってスライド部材83が移動する際、位置決め突起97をスライド部材83の先端上部或いは先端下部がその弾性と位置決め突起97のアール面とにより乗り越え、移動後は位置決め突起97に枠部83の先端下部或いは先端上部が当たって、選択端子T2の位置を保持するようになっている。
【0032】
また器体1の他端部には、両側ケース1A,1Bの端壁と側壁にかけて形成したL字状の切欠溝を突き合わせることにより端面及び側面が開口した導電バー差込用の差込部209a〜209cを上、中、下の三段に配設された3本の導電バーに対応するように形成しており、上段、中段の差込部209a,209bは内方収納部200内に、最下段の差込部209cは収納部90内に連通してある。
【0033】
尚共通端子T1は、後述する電磁駆動部47を固定保持する導電板71に機械的に一体的に連結され且つ電気的に接続され、選択端子T2は編組線82を介して後述するバイメタル46に電気的に接続される。
【0034】
さてこれら共通端子T1、選択端子T2に開閉機構5を通じて電気的に接続される端子ブロック10A,10Bの内、端子ブロック10Aはコ状に折り曲げられた端子板11と、該端子板11の下片の一端より上方に一体延出され、該延出片11aの上端から延出片11aに対して直角に折り曲げて端子板11に対して外向きに一体延出された固定接触子12Aと、該固定接触子12Aの一端上面にかしめ固定された固定接点2Aと、端子板11の下片上に載置されて端子板11内に収納される略ム字状の鎖錠ばね13Aとで構成され、前記第1側ケース1Aの凹部8の下向き傾斜した底面上に端子板11の下片を乗せ、凹部8の一端の立ち上がり壁8aに沿うように延出片11aを配置し、立ち上がり壁8aの上端を越えて固定接触子12Aを凹部8の外へ導出して立ち上がり壁8aと、第1側ケース1Aの底部より立ち上がった隔壁14との間に凹部8の底部と同様に傾斜させて一体形成した固定接点配置部15上に固定接触子12Aの先部を配置することにより、端子ブロック10Aは凹部8内に配設される。固定接点配置部15には固定接触子12Aの下面側に突出した固定接点2Aの下端を逃がす凹部15aが形成されている。端子板11は上片の他端から上向きにT字片11bを一体に延出形成しており、このT字片11bの上端の側方突出部の片側先端を第1側ケース1Aの内側面に形成してある凸平部22の上端面に載置する。また端子板11の側片の側面には鎖錠ばね13Aの押さえ片13b内に挿入され、鎖錠ばね13Aのがたつきを防止する突起23を一体に形成してある。
【0035】
鎖錠ばね13Aと端子板11は導体接続部たる速結端子を構成するもので、第1側ケース1Aに中間ケース7を重ね合わせたときに、第1側ケース1Aの他端部の縦壁部に形成した断面が半円状の斜め下向き溝160と、図5に示すように中間ケース7の対向壁面に形成した同様な形状の斜め下向き溝160とで形成される斜め下向き電線挿入孔16Aを介して外部より挿入された電線(図示せず)の芯線が端子板11の上片と鎖錠ばね13Aの鎖錠片13aの上端と押さえ片13bの上端との間に圧入され、鎖錠片13a先端により電線の引き抜き方向に対して芯線を鎖錠し且つ、押さえ片13bの上端面で芯線を端子板11の上片に押し付けることにより、電気的に芯線を接続すると共に、機械的に保持するようになっている。
【0036】
この電線鎖錠を解除するのが解除ハンドル17でこの解除ハンドル17は下部側面に設けた回動軸18が第1側ケース1Aの内側面の凸平部22に設けた軸孔20に回動自在に軸支され且つ中間ケース7の縦壁部35の壁面に突出させている軸36を下部他側面に設けた凹部37に回動自在に軸支してあり、図14において、器体1の外側に露出する操作部17aを手動操作して反時計方向に回動させたときに下端に設けた駆動突起19が鎖錠ばね13Aの鎖錠片13aの一側端の先部を押して鎖錠片13aを撓ませ、芯線に対する鎖錠を解除することができるようになっている。図1中21は解除ハンドル17を常時時計方向に回動付勢する復帰ばねである。
【0037】
一方端子ブロック10Bは、基本的に端子ブロック10Aと同様に端子板11と、鎖錠ばね13Bと、固定接触子12Bとで構成されているが、端子ブロック10Aの端子板11とは異なり、端子ブロック10Bの端子板11はその下片の一端より下向きに延出片11cを延出形成し、その延出片11cの先端より器体1の底部と平行するようにして固定接触子12Bを延出形成し、また端子板11の側片の一端部から直角に延出した奥片11dを形成してある。
【0038】
鎖錠ばね13Bは、鎖錠ばね13Aと同じ構造のものであって、端子板11の下片上に載置され、端子板11の側片より突出させた突起23が押さえ片13b内に挿入されようになっている。
【0039】
この端子ブロック10Bは中間ケース7の凹部9の底部を構成し器体1の底部に略平行に延出形成された横壁部24上に端子板11の下片を載置するともに、凹部9の一端部の縦壁25に奥片11dを沿わせるとともに縦壁25の下端と、横壁部24の一端部との間に形成された切欠27に端子板11の一端を嵌めて延出片11cを凹部9外に出すようになっており、中間ケース7を第1側ケース1A側に重ね合わせときに、固定接触子12Bの先部、つまり固定接点2Bを設けた下面が第1側ケース1Aの底部のリブ26,26上に載置されるようになっている。
【0040】
固定接点2Bは中間ケース7の横壁部24及び後述する膨出部30及び両ケース1A,1Bの側壁間で構成される空間で両ケース1A,1B間に跨って配置される。尚リブ26,26間の凹所は固定接触子12Bの先部にかしめ固定された固定接点2Bの固定接触子12Bの下面側に突出した下端部の逃げとなる。
【0041】
また端子板11の上片の他端部より情報に延出形成されたT字片11bの上端の側方突出部の先端は中間ケース7の壁面に形成してある凸平部22’の上端面に載置される。
【0042】
端子ブロック10Bの鎖錠ばね13Bと端子板11は端子ブロック10Aの場合と同様に導体接続部たる速結端子を構成し、第2側ケース1Bに中間ケース7を重ね合わせたときに、中間ケース7の凹部9の他端部の縦壁部に設けられた断面半円状の斜め下向き溝160とこの斜め下向き溝160と同様に第2側ケース1Bの他端部の縦壁に設けられた斜め下向き溝160とで形成される電線挿入孔16Bから電線が挿入されるとその芯線を鎖錠ばね13Bの鎖錠片13aで鎖錠し、押さえ片13bで芯線を端子板11の上片に押し付けて電線を電気的に接続するともに機械的に鎖錠するようになっている。
【0043】
この電線鎖錠を解除するのが解除ハンドル17’で、この解除ハンドル17’は前記の解除ハンドル17と同様に下部側面に設けた回動軸18が中間ケース7の凸平部22’に設けた軸孔20に回動自在に軸支され且つ第2側ケース1Bの内側壁面に突出させている軸38を側面に形成してある凹部37に回動自在に軸支し、器体1の外側に露出する操作部17aを手動操作して回動させたときに下端に設けた駆動突起19が鎖錠ばね13Bの鎖錠片13aの一側端の先部を押して鎖錠片13aを撓ませて鎖錠状態を解除することができるようになっている。図1中21’は解除ハンドル17’を常時時計方向に回動付勢する復帰ばねである。
【0044】
中間ケース7は図5に示すように両ケース1A,1Bの側壁に略平行する縦壁部35に対して第2側ケース1B側へ突出して第2側ケース1Bの側壁内面に当接する膨出部30を形成し、この膨出部30下面より垂下させた壁が前記縦壁25であり、第2側ケース1B側に面する側壁、底壁31、一端部の縦壁32及び天井壁33とで囲まれた凹所34を第1側ケース1A側に設けてある。そして第1側ケース1A側に中間ケース7を突き合わせときに第1側ケース1A側に組み付けてある端子ブロック10Aの固定接触子12Aの先端側部が凹所34の底壁31の段面31a上に載置され、また天井壁33が第1側ケース1Aの内側面より突出している横壁29の下面に沿うよう配置される。段面31aには固定接触子12Aにかしめ固定されている固定接点2Aの下端部を逃がす溝31bを形成してある。また縦壁32には固定接点2Aに対応する可動接触子4Aの自由端を凹所34内に挿入するための開口部39を形成してある。
【0045】
ハンドル6は、操作部6aと回動部6bとハンドル軸6cとで構成され、回動部6bの両側面の中央に突出したハンドル軸6cを第1側ケース1Aの内側面に形成された軸孔49と、第2側ケース1Bの内側面に形成された軸孔49とにそれぞれ回動自在に挿入して両ケース1A,1B間に保持され、操作部6aは、両ケース1A,1Bの重ね合わせ結合した状態で構成される器体1の上面に開口する窓孔50に臨むようになっている。またハンドル軸6cにはねじりばね51が装着され、該ねじりばね51により、ハンドル6はオン操作位置において、オフ操作方向に付勢されている。
【0046】
回動部6bの下端に図14に示すように設けた軸孔52にはリンク44の上側軸44aを回動自在に挿入して、リンク44を介して作動板43と連結されている。
【0047】
作動板43は中央両側に設けた軸受け孔43aにリンク44の下側軸44bを貫挿させることによりリンク44を介してハンドル6と連結され、器体1内に上下移動自在に配置される。
【0048】
クロスバー40は上部の両側面に突出させた軸40aを両ケース1A,1Bの内側面に形成した軸孔52、52に挿入して両ケース1A,1B間に枢支されるもので、図6に示すように軸40aよりやや下方の第1側ケース1A側の側部には可動接触子4Aの側部を横方向から嵌める切溝54を、また下部の第2側ケース1B側の側部には可動接触子4Bを横方向から嵌める切溝55を夫々設けてある。そして可動接点側端面には、中間ケース7及び両ケース1A,1Bの側壁の内面に突設してある止片130…を、各可動接点3A,3Bが各固定接点2A,2Bから開離した状態で係入してその底部に当接する凹溝131を幅方向に形成してある。
【0049】
ここで可動接触子4Aは剛体の導電金属板から構成され、クロスバー40の切溝54に側方から挿入されるとともに、図6に示すように切溝54の後ろに設けた凹み部54aにおいて、後部下面と凹み部54aの底部との間に圧縮配置される接圧用のコイルばね53により後部が上方に付勢されるようになっており、クロスバー40が軸40aを中心として回動したときに可動接触子4Aは切溝54の開口縁を中心として回動し、自由端にかしめ固定した可動接点3Aを対応する固定接点2Aに対して開離・接触させるようになっている。
【0050】
また可動接触子4Bは導電性ばね薄板材からなり、クロスバー40が図14において反時計方向に回動したときには下方に押されて撓み、この撓んだ状態からクロスバー40が時計方向に回動したときには復帰し、その撓みと、復帰とで、先端にかしめ固定した可動接点3Bを固定接点2Bに対して接触・開離させるようになっている。
【0051】
クロスバー40の下端部は、該下端部と、第1側ケース1Aの底部より垂立させた壁63との間で圧縮配置されたコイルばね62により押されて図14において時計方向の回動力が付勢される。
【0052】
第1引き外し板41は軸部41aと、この軸部41aの上部に突出する突出部41bと、軸部41aの第2側ケース1B側寄りに軸部41aと直交する面を有する側片部41cとこの側片部41cの上端より一端に一体延出された腕片41dとからなり、軸部41aの両端を両ケース1A,1Bの内側面に設けられた軸孔56、56に挿入して両ケース1A,1B間で回動自在に支持されるもので、突出部41bの上端部には作動板43の一端(図14では右端)が係脱する係止部57を、また腕片41dの先端上部には電磁駆動部47の可動鉄心58の駆動部58aに押し駆動される受け部88を夫々形成している。また側片部41cの下部の第2側ケース1B側面には、第2の引き外し板42の下端部端面に設けた対向部42aにより押し動かされる受け部59を形成し、この受け部59の側面には、軸部41aに環部を嵌めるねじりばね60の両端を係止する係止部61を設けてある。また側片部41cの下部の第1側ケース1A側面には、電磁駆動部47を固定保持する導電板71から垂下されたバイメタル45の下端に対向し、バイメタル45の湾曲変位時に押される第1駆動部69を設けてある。
【0053】
第2引き外し板42は中央部の軸孔42bに第1側ケース1Aに内側面に第1側ケース1Aの上側近傍から底部近傍にかけて一体形成された隔壁たる分離壁65の端面の中央部に設けられた軸体66を挿入して両ケース1A,1B間で回動自在に枢支されるもので、上述の対向部42aの反対側の下部端面には図3に示す電磁駆動部48の可動鉄心58の駆動部58aに押し駆動される受け部68を設けてある。また第2引き外し板42の上端の第1側ケース1A側の側面には電磁駆動部48を固持する可動接触子4Bの後端部から垂立させたバイメタル46の上端に対向し、バイメタル46の湾曲変位時に押される第2駆動部70を設けてある。
【0054】
薄板金属材からなる導電板71は図2に示すように逆L状に折り曲げられて形成されたもので、その外横片71aに電磁駆動部47を固持し、外横片71aの先端よりU状に折り返して外横片71aに平行させた内横片71bの先端下部の段面にバイメタル45の上端逆L状部の横片を溶着固定してバイメタル45を垂下させてある。
【0055】
而して本実施形態の回路遮断器を組み立てるに当たっては、まず第1側ケース1Aの凹部8に端子ブロック10Aを収納するとともに解除ハンドル17を復帰ばね21と共に定位置に組み込む。
【0056】
またハンドル6を所定位置にねじりばね51とともに組み込み、更に図14に示すよう器体1の他端底部に設けた収納部90に共通端子T1を収納し、導電板71の縦片71cを第1側ケース1Aの隔壁91、92間のL状の隙間に沿わせるように配置するともに隔壁92の上横壁部92aの上面に並行するように外横片71aを配置し、第1側ケース1Aの側平内面に形成した分離壁65の左側壁面(図14において)に電磁駆動部47及びバイメタル45を配置する。このとき導電板71の外横片71aと、内横片71bのU字状屈曲部内に第1側ケース1Aの内側面より突出してある半円状のリブ103が嵌まって位置決めする。
【0057】
そしてクロスバー40を、切溝54に可動接触子4Aを嵌め込みとともにコイルばね53を凹み部54a内に収納して第1側ケース1Aの所定位置に回動自在に配置する。また作動板43をリンク44でハンドル6と連結させて配設する。
【0058】
更に分離壁65と隔壁92との間の空間に電磁駆動部48及びバイメタル46を収納するとともに、スライド部材83と共に選択端子T2を、第2側ケース1Bと突き合わせたときに構成される内方収納部200に対応する第1側ケース1Aの内側の区画(この収納位置は、上段或いは中段の導電バーの何れに対応する位置でもよい)に収納する。またスライド部材83の脚片83aを挿通孔208を介して第1側ケース1Aの側壁の外側面に形成せるスライド溝(図示せず)に入れて突出部206を外部に露出させる。
【0059】
更に可動接触子4Bの中央部の斜め上向きの傾斜部位を、第1側ケース1Aの底部よりやや上方に位置する分離壁65の下端より第1側ケース1Aの他端部方向へ底部に平行し、更にこの平行部より上向きに傾斜して延出された隔壁95と第1側ケース1Aの底部との間に配置して、可動接触子4Bの自由端側を隔壁14の切欠部14aを介して固定接触子12Bが配置される空間に配設する。
【0060】
このとき隔壁95の平行部の下面と第1側ケース1Aの底部とに夫々突設したリブ96…で可動接触子4Bの後端部を挟んで固定する。またこのとき後端部と内横片80とのU字状屈曲部内に第1側ケース1Aの内側面より突出した半円状のリブ103’が嵌まり、位置決めされる。
【0061】
更に第1引き外し板41をねじりばね60とともに定位置に回動自在に配置し、また更に第2引き外し板41を定位置に回動自在に配置する。
【0062】
このようにして図14に示すように中間ケース7及びこの中間ケース7の凹部9内に収納する端子ブロック10B、解除ハンドル17’及びその復帰ばね21’以外を第1側ケース1A側に配置、組み付けた後に、端子ブロック10B、解除ハンドル17’及び復帰ばね21’を凹部9に組み付けた中間ケース7を第1側ケース1A側に重ねるように配設する。
【0063】
ここで中間ケース7を第1側ケース1A側の定位置に配設すると、可動接触子4Aの自由端側が縦壁32の開口部39を介して凹所34内に配置されるとともに、端子ブロック10Aに設けられた固定接触子12Aの先端側部が底壁31の段面31a上に載置されることになるとともに軸36が解除ハンドル17の凹部37に嵌まることになる。
【0064】
一方端子ブロック10Bに設けられた固定接触子12Bが第1側ケース1Aの底部上のリブ26上に載置される。また中間ケース7の端部に形成せる下向き段部の下面が第1側ケース1Aの端部壁に形成した平坦面上に載置される。
【0065】
この状態で第2側ケース1Bを第1側ケース1A側に重ね合わせて結合するのである。このとき第1側ケース1Aから第2側ケース1B側へ一体突出させた両端上下の4カ所の弾性係止片100…の先端の爪状の引掛係止部101が第2側ケース1B側に対応して設けた突起状の被引掛部102に係止されて第1側ケース1Aと第2側ケース1Bとが結合固定されて器体1を構成することになる(図13〜図11等参照)。この第1側ケース1Aと1Bの結合固定を外す場合には、第2側ケース1Bに各被引掛部102…に対応させて開口した各解除孔150よりドライバ151を挿入して対応する各弾性係止片100…の引掛係止部101を上方へ押圧して、被引掛部102との引掛状態を外すことにより、第1側ケース1Aから第2側ケース1Bを外すことができる。
【0066】
第2側ケース1Bを被着することにより第2側ケース1Bの内側面に設けてある軸孔52,56にクロスバー40の軸40a、第1引き外し板41の軸部41aが回動自在に挿入される。
【0067】
また各バイメタル45,46に対応する調整螺子77,77’の頭部は図12に示すように器体1の上面に開口する開口部104,図13に示すように底部に開口する開口部105に夫々臨むことになり、組立後の動作試験時に最適な動作点が得られるように開口部104,105を介して調整螺子77,77’を螺進させてバイメタル45,46の初期位置を図4(a)から同図(b)に示すように調整し、その調整後に、上蓋106,下蓋106’をその弾性を利用して器体1の夫々の部位に嵌め込んで開口部104,105を被蔽する。
【0068】
ここでバイメタル45,46は器体1の幅方向を幅方向として器体1の長手方向に一部が重なるように並設され、器体1の幅方向の寸法のコンパクト化を図っている。また変位方向を互いに外側方向に設定しているため変位しない初期位置が予め分かり、各バイメタル45,46が変位しても初期位置以上に近接することがないので、各バイメタル45,46の配設作業を容易としている。
【0069】
つまり同一方向に変位するのであれば、その変位量を調べて配設する必要があり、各バイメタル45,46の配設作業が煩わしくなるのが、実施形態ではそのような煩わしさがない。
【0070】
またバイメタル45,46の間に隔壁である分離壁65が存在するため両バイメタル45,46間の間隔を狭くすることができ、器体1内に収納せれる開閉機構5や接点部の配設スペースを十分に取れるようにしてある。更に各バイメタル45,46に接続される編組線79,82を器体1の上下方向から引き回すので、編組線79,82の引き回し作業を容易としている。
【0071】
而して器体1の他端内部の内方収納部200及び収納部90には選択端子T2、共通端子T1が夫々収納され、またこれら端子T1,T2に対応するように器体1の一端部には器体1の端面と両側面とに亘るように開口した差込部209a〜209cが形成されることになる。
【0072】
更に器体1の一端部には斜め上向きに開口した一対の電線挿入孔16A、16Bが並行形成される。
【0073】
更にこの電線挿入孔16A、16Bの下方の端面には両ケース1A,1Bの側壁と中間ケース7とで分割された2つの区画の内下側の区画に配置される固定接点2Bと可動接点3Aとの開閉により発生するガスを排気する排気孔109及び器体取付用係止孔112が開口し、更に器体1の他端部上面には、上側の区画に配置される配置される固定接点2Aと可動接点3Aとの開閉により発生するガスを斜め上方に排気する排気孔110が開口する。
【0074】
これら両排気孔109,110は上下に分離し、且つ器体1外部に臨む方向が互いに離れる角度となるため、強制開極時に発生するアークの排出方向が互いに異なり、両極のアークが混じり合うことによる極間短絡を防止することができる。ここで排気孔110は内部の中間ケース7の先端立ち上がりリブ113、解除レバー17,17’の側面に突出したリブ114,114及びケース1A,1Bの排気孔110の開口に臨む横突出壁115により排気ガスが斜め上方へ導かれるため、下方の排気孔109より排気される排気ガスとは交わり難くなっている。
【0075】
而して電線挿入孔16A,16Bに夫々負荷側の電線を挿入して各端子ブロック10A,10Bに接続し、下段の導電バーを差込部209cを介して幅方向に共通端子T1に差込接続し、上段又は中段の導電バーを差込部209a又は209bを介して選択端子T2に幅方向に差込接続すれば電路に本実施形態を用いた回路遮断器を挿入することができることになる。
【0076】
次に本実施形態を用いた回路遮断器の動作を図15乃至図20により説明する。
【0077】
図15はオフ状態を示しており、このオフ状態ではハンドル6の操作部6aが開口部50より倒立露出した状態にあり、作動板43の一端と第1引き外し板41との係合状態は外れた状態にある。そしてコイルばね62によりクロスバー40は図において時計方向に回動するように付勢されており、クロスバー40の切溝54に貫挿されている可動接触子4Aが自由端を上方に移動させた状態にあり、また切溝55に貫挿させた可動接触子4Bはそのばね弾性力により自由端を上方に移動させた状態にあり、夫々の自由端に設けてある可動接点3A,3Bが対応する固定接点2A,2Bから開離した状態にある。
【0078】
この状態でハンドル6の操作部6aを時計方向に回動操作すると、リンク44の上側軸44aが下方向に押し動かされてリンク44は下側軸44bにより作動板43を押し下げる。この作動板43の押し下げにより作動板43の一端(図において右端)が第1引き外し板41の係止部57に当たり、その位置を回動中心として作動板43は反時計方向に回動し、作動板43の他端(左端)が図16に示すようにクロスバー40の上端に設けてある突起部84に当たり、クロスバー40を反時計方向にばね付勢に抗して回動させる。
【0079】
この回動によりクロスバー40の切溝55に貫挿された可動接触子4Bが自由端を下向きに移動させる方向に撓むことになり、自由端の可動接点3Bを固定接点2Bに接触させる。また切溝54に貫挿された可動接触子4Aが反時計方向に回動してその自由端の可動接点3Aを固定接点3Bに接触させる。この接触は可動接点3Bが固定接点2Bに接触するよりも遅れるようなっている。
【0080】
ここで可動接触子4Bはそれ自体の弾性で接圧を得ているため接圧用のばね手段が不要であり、また編組線を用いて電路接続を行う必要がないため、部品を組み込む作業や編組線接続作業が不要で、生産性を向上させている。
【0081】
そしてハンドル6を更に時計方向に回動させると、リンク44の下側軸44bの位置とハンドル6の回動中心を結ぶ線より上側軸44aが図17に示すように左方向に移動し、この状態でハンドル6のねじりばね51、クロスバー44を付勢するコイルスばね62、更に可動接触子4Bのばね力等が均衡して作動板43の一端と第1引き外し板41の係止部57とのラッチ状態が保持され、図17のオン状態が維持される。図18は引き外し板41,42を外した状態で前記オン状態を示す。
【0082】
さてオン状態でハンドル6の操作部6aを反時計方向に回動させると、リンク44の上側軸44aの位置が、ハンドル6の回動中心と、下側軸44bを結ぶ線を右方向に越えて上方へ移動するため作動板43の左端と第1引き外し板41の係止部57とのラッチ状態が解かれ、クロスバー40はコイルばね62の付勢力で時計方向に回動するとともに、ハンドル6がねじりばね51の付勢力でオフ側に急速に回動復帰する。クロスバー40の時計方向への回動により可動接触子4Aが時計方向に回動して自由端を上方へ移動させ可動接点3Aを固定接点2Aより開離させる。また可動接触子4Bが下向きの押し下げが無くなって、そのばね力で元の状態に復帰することになり、自由端の可動接点3Bを固定接点2Bより開離する。この開離は前記可動接点3Aが固定接点2Aから開離するよりも遅れる。この遅れは後述する強制開極時も同様である。
【0083】
ここで前記のように両極の接点部の開閉に前記のように遅れを持たせているため接点開閉時に生じるアークは剛体側の可動接触子4Aのみとなり、ばね材からなる可動接触子3Bのアークによる消耗を防止できる。
【0084】
また両極の接点部で生じるアークは夫々の配置区画内で発生し、また排気孔109,110の排気方向が異なるためアークによる極間短絡が防止できる。
【0085】
更に接点部の開離時に回動するクロスバー40の先端面の幅方向に形成した凹溝131に両ケース1A,1B及び中間ケース7に形成した止片130…が係入して凹溝131の底部に当接するため、一方の区画で発生したアークが器体1の奥側のクロスバー40側から回りこんで他の区画へ入り込む恐れを無くして、器体1内部でのアークによる極間短絡を防止する。
【0086】
また上側の固定接触子12Aの固定接点2A近傍の空間を中間ケース7の膨出部30によって両ケース1A,1Bの側壁間までの広い空間とし、また下側の固定接触子12Bの固定接点2B近傍の空間を両ケース1A,1Bの側壁間までの広い空間としているため、各接点部の開離時に発生するアークによるガス圧を小さくすることができ、ガス圧による両ケース1A,1Bのひびや破損を防止することができる。
【0087】
また中間ケース7が水酸化Mgを含む樹脂材料で成形されているため、接点部開離時に発生するカーボンを酸化してカーボンによる絶縁劣化を防止することができる。
【0088】
さて図17に示す前記オン状態において、負荷に過電流が流れると、バイメタル45,46は過電流により発熱して湾曲変位することになる。ここで上方から垂下したバイメタル45は下端が図において左方向に移動するように変位し、また垂立したバイメタル46は上端が右方向に移動するように変位し、図18に示すようにバイメタル45の下端は第1引き外し板41の第1駆動部69を左方向に押し、バイメタル46の上端は第2引き外し板42の第2駆動部70を右方向に押す。つまり両バイメタル45,46の自由端は互いに離れる方向に変位する。この変位により第1、2引き外し板41、42は時計方向に回動するが、このとき第2引き外し板42の対向部42aが第1引き外し板41の受け部59を押して第1引き外し板41に時計方向の回動力を与える。
【0089】
ここでバイメタル45,46の通電方向が互いに逆方向となっているため、大電流が流れたときに、両バイメタル45,46には互いに離れる方向の磁力が発生する。そのためバイメタル45,46の湾曲変位を素早くすることができ、その結果強制開極をより速くすることができる。この動作は後述する短絡電流による強制開極時にも有効となる。
【0090】
さて第1引き外し板41が時計方向に回動すると、係止部57と作動板43の一端(右端)とのラッチ状態が解除され、作動板43はリンク44の下側軸44bを中心として時計方向に回動することになる。そのため作動板43の他端(左端)によるクロスバー40の規制が無くなり、クロスバー40はコイルばねのばね力により時計方向に回動し、図19に示すように可動接触子4A,4Bをオフ状態に復帰させ、可動接点3A,3Bを固定接点2A,2Bから夫々開離させる。
【0091】
その後電路遮断によりバイメタル45,46は元の状態に戻り、第1引き外し板41はねじりばね60の付勢により元の位置へ回動復帰し、同時に第2引き外し板42の対向部42aを受け部59が押し動かして第2引き外し板42を元へ戻す。またハンドル6はねじりばね51の付勢によりオフ方向(反時計方向)に回動することになる。
【0092】
また前記オン状態において、短絡電流のような過大電流が流れると、電磁駆動部47,48の各固定鉄心74に磁力が発生して対応する各可動鉄心58を吸引して回動させる。これにより図20に示すように、電磁駆動部47の可動鉄心58の駆動部58aが第1引き外し板41の受け部89を押し、また電磁駆動部48の可動鉄心58の駆動部58aが引き外し板42の受け部68を押して夫々を時計方向に回動させる。
【0093】
過電流が流れたときと同様に第1引き外し板41が時計方向に回動すると、係止部57と作動板43の一端(右端)とのラッチ状態が解除され、作動板43はリンク44の下側軸44bを中心として時計方向に回動することになる。そのため作動板43の他端(左端)によるクロスバー40の規制が無くなり、クロスバー40はコイルばね62のばね力により時計方向に回動し、可動接触子4A,4Bをオフ状態に復帰させ、可動接点3A,3Bを固定接点2A,2Bから夫々開離させる。
【0094】
その後電路遮断により電磁駆動部47,48の各固定鉄心74に磁力が発生しなくなると、各可動鉄心58は板ばね73のばね力により元の状態に戻り、第1引き外し板41はねじりばね60の付勢により元の位置へ回動復帰し、同時に第2引き外し板44を押し動かして元へ戻す。またハンドル6はねじりばね51の付勢によりオフ方向(反時計方向)に回動することになる。
【0095】
ここで各可動鉄心58の対応する固定鉄心74に吸引される方向が互いに逆方向となるように電磁駆動部47,48を配設しているため、振動が加わっても可動鉄心58の一方が振動により、吸引される向きに、他方が反吸引する向きに動くため、第1,第2引き外し板41,42をラッチ引き外し方向に回動させる力は何れか一方の可動鉄心の動きのみによって得られるため、ねじりばね60の付勢力に抗して第1の引き外し板41を引き外す力を得ることができず、結果振動よる誤動作を防止できる。
(実施形態2)
本実施形態の電磁駆動部47(48)では可動鉄心58を固定鉄心7に回動自在に支持し且つ復帰手段である板ばね73とこれに対応する固定鉄心7側の支持構造を実施形態1と異ならせるものであり、図21に示すように板ばね73をコ字状に形成して、図において下側に配置した中央片に可動鉄心58の自由端側の内側面に形成した突起58b、58bを挿入してかしめ固定する挿入孔73b、73bを穿設し、両側片73c、73cの先端には板面に直角方向に折り曲げ形成した突片73eを形成してある。一方固定鉄心74の両側片74a、74aの上端面に上向きに突起74dを一体突設して、両側の突起74d、74dの内側面に形成した被係止部たる突起74eを、板ばね73の側片73cの突片73eに形成した係止部たる係止孔73fに挿入して係止することにより板ばね73を固持するようになっている。
【0096】
而して本実施形態の電磁引外し装置を構成する電磁駆動部47(48)の板ばね73は一端側が可動鉄心58の自由端側に固定され、他端が図22に示すように回動中心に近い固定鉄心74の上部に固定することにより、固定鉄心74と可動鉄心58とをブロック化するとともに、可動鉄心58の回動中心(図では上端縁)を確実に固定鉄心74の側片74aに当接させることができるのである。そのため振動や衝撃があっても可動鉄心58の回動中心が固定鉄心74の側片74aから外れにくく、高調波を含む負荷電流に対するうなりの軽減が図れ、突入電流による誤動作防止も容易となる。またそれに加え、板ばね73を固定鉄心74と可動鉄心58で形成される空間内に配置することで、コンパクト化を図っている。更にまた板ばね73の一端側を可動鉄心58の自由端側に固定するので、可動鉄心58を固定鉄心7側から確実に離した状態で保持することができ、振動や衝撃に対する誤動作を防止し易くしてある。
【0097】
尚実施形態1と同じその他の構成要素には同じ番号を付し説明を省略する。
【0098】
(実施形態3)
本実施形態の電磁駆動部47(48)では可動鉄心58を固定鉄心7に回動自在に支持する板ばね73とこれに対応する固定鉄心74側の支持構造を実施形態2と逆にしたものである。つまり図23に示すように板ばね73をコ字状に形成して、図において上側に配置した中央片に可動鉄心58の回動中心側の内側面に形成した突起58bを挿入してかしめ固定する挿入孔73bを穿設し、両側片73c、73cの先端には板面に直角方向に折り曲げ形成した突片73eを設けてある。一方固定鉄心74の両側片74aの下部内側面に段面を設けてこの段面に突起74eを一体突設し、板ばね73の両側の突片74eに形成した係止孔73fに突起74eを挿入して係止することにより、板ばね73を固持するようになっている。
【0099】
尚実施形態1と同じその他の構成要素には同じ番号を付し説明を省略する。
【0100】
而して本実施形態の電磁引外し装置を構成する電磁駆動部47(48)の板ばね73は一端側が可動鉄心58の回動中心側に固定され、他端が図24に示すように可動鉄心58の自由端側の固定鉄心74側に固定することにより、固定鉄心74と可動鉄心58とをブロック化するとともに、可動鉄心58の回動中心を確実に固定鉄心74の側片に当接させることができるのである。そのため振動や衝撃があっても可動鉄心58の回動中心が固定鉄心74の側片74aから外れにくく、高調波を含む負荷電流に対するうなりの軽減が図れ、突入電流による誤動作防止も容易となる。またそれに加え、板ばね73を固定鉄心74と可動鉄心58で形成される空間内に配置することで、コンパクト化を図っている。
【0101】
更に、可動鉄心58が固定鉄心74側に吸引されるときの可動鉄心58の回動中心点の浮き上がりを防止することが容易な上に、高調波を含む負荷電流に対するうなりの軽減が図れ、更に突入電流の誤動作を防止することが容易となる。
【0102】
(実施形態4)
本実施形態の電磁駆動部47(48)では可動鉄心58を固定鉄心74側に回動自在に支持する板ばね73を外側に装着したものである。つまり図25に示すように板ばね73をコ字状に形成するとともに、両側片73c、73cの基部近傍を直角に折り曲げ、図において垂立した中央片に可動鉄心58の回動中心の近傍の外側面の両側に形成した突起58b、58bを挿入してかしめ固定する挿入孔73b、73bを穿設し、両側片73c、73cの先端には回動中心側の固定鉄心74の両側片74a、74aの上面に突設した突起74eを挿入してかしめることにより固定鉄心74の上面に固定させるための係止孔73gを穿設してある。
【0103】
尚実施形態1と同じその他の構成要素には同じ番号を付し説明を省略する。
【0104】
而して本実施形態の電磁引外し装置を構成する電磁駆動部47(或いは48)の板ばね73は一端側が可動鉄心58の回動中心側に固定され、他端が図26に示すように可動鉄心58の自由端側の固定鉄心74側に固定することにより、固定鉄心74と可動鉄心58とをブロック化するとともに、可動鉄心58の回動中心を確実に固定鉄心74の側片に当接させることができるのである。そのため振動や衝撃があっても可動鉄心58の回動中心が固定鉄心74の側片74aから外れにくく、高調波を含む負荷電流に対するうなりの軽減が図れ、突入電流による誤動作防止も容易となる。
【0105】
更に、板ばね73の弾性が取り易くなり、可動鉄心58を固定鉄心7から離れる方向に確実に付勢することができる。また板ばね73の中央辺を可動鉄心58の外側面に固定しているので、可動鉄心58が固定鉄心74に吸引されるときに可動鉄心58が板ばね73の固定位置よりも外側に移動しにくくなり、可動鉄心58の初期位置の位置決め精度を向上させることができる。
(実施形態5)
本実施形態の電磁駆動部47(48)では可動鉄心58を固定鉄心74側に回動自在に支持する板ばね73を実施形態4と同様に外側に装着したものである。つまり図27に示すように使用する板ばね73は中央片の板面に対して直角な板面を持つように両側片73cを折り曲げ形成するとともに、両側片73cの基部を一旦先端方向とは反対方向に突出させた後U字状に折り返して略コ型に形成し、図において中央片に可動鉄心58の回動中心の近傍の外側面に形成した突起58b、58bを挿入してかしめ固定する挿入孔73b、73bを穿設し、両側片73c、73cの先端には回動中心側の固定鉄心74の両側片74a,74aの外側面に突設した突起74eを挿入係止して固定鉄心74の上面に固持されるための係止孔73fを夫々穿設してある。
【0106】
尚実施形態1と同じその他の構成要素には同じ番号を付し説明を省略する。
【0107】
而して本実施形態の電磁引外し装置を構成する電磁駆動部47(48)の板ばね73は一端側が可動鉄心58の回動中心側に固定され、他端が図28に示すように可動鉄心58の自由端側の固定鉄心74側に固定されることにより、固定鉄心74と可動鉄心58とをブロック化するとともに、可動鉄心58の回動中心を確実に固定鉄心74の側片74aに当接させることができるのである。そのため振動や衝撃があっても可動鉄心58の回動中心が固定鉄心74の側片74aから外れにくく、高調波を含む負荷電流に対するうなりの軽減が図れ、突入電流による誤動作防止も容易となる。
【0108】
更に、U字状の折り返しによりの板ばね73により弾性が取り易くなり、可動鉄心58を固定鉄心74から離れる方向に確実に付勢することができる。
【0109】
(実施形態6)
本実施形態の電磁駆動部47(48)では可動鉄心58を固定鉄心74側に回動自在に支持する板ばね73として図29に示すようにT字状に形成してその横片の中間部から先端部にかける部位を固定鉄心74の両側片74a、74aの外側面に沿うように横片の板面に対して直角に折り曲げて両側片73c、73cとしたものを用い、図30に示すように、横片を可動鉄心58の回動中心の軸に並行する図において可動鉄心58の上端縁に沿うように可動鉄心58の外面に沿わせ配置するとともに、両側片73c、73cを可動鉄心58の両側端面と固定鉄心74の両側片74a、74aの外面に沿わせ、該両側片74a,74aの外面の回動中心近傍の位置に突出させている突起74eを、側片73cの先部に穿設してある係止孔73fに挿入して突起74eを係止することにより固定鉄心74に固持させ、一方固定鉄心74の両側片74a、74aの中間に位置する縦片を可動鉄心58の外面に沿わせて垂下させ、可動鉄心58の自由端近傍に突設してある突起58bを縦片の先部に穿設してある挿入孔73bに挿入して突起58bをかしめることにより可動鉄心58を回動自在に保持するようなっている。
【0110】
尚実施形態1と同じその他の構成要素には同じ番号を付し説明を省略する。
【0111】
而して本実施形態の電磁引外し装置を構成する電磁駆動部47(或いは48)の板ばね73は一端側が可動鉄心58の回動中心側に固定され、固定鉄心74と可動鉄心58とをブロック化するとともに、可動鉄心58の回動中心を確実に固定鉄心74の側片74aに当接させることができるのである。そのため振動や衝撃があっても可動鉄心58の回動中心が固定鉄心74の側片74aから外れにくく、高調波を含む負荷電流に対するうなりの軽減が図れ、突入電流による誤動作防止も容易となる。
【0112】
更に、前記のようなT字状の板ばね73を用いるため板ばね73の弾性が取り易くなり、可動鉄心58を固定鉄心74から離れる方向に確実に付勢することができる。
【0113】
また固定鉄心74側に対して横片の折り曲げ先部の挿入孔230aに固定鉄心74の両側片の外面に設けた突起231aを挿入係止するだけで、板ばね73を固定鉄心74側に固持させることができるため取付作業が容易に行える。
【0114】
(実施形態7)
前記実施形態6では板ばね73はT字状で横片の折り曲げ先部を回動中心近傍の固定鉄心74の両側片の外側面に係止する構成であったが、本実施形態の板ばね73として、図31に示すようにT字状に形成するとともに、その横片の両端方向の長さを可動鉄心58の横幅に略同じ長さに形成し、更に上端から中央の縦片の下端までの長さを可動鉄心58の高さ方向の長さに形成し、横片の両端を縦片に並行するように延出し、その延出片の先部を縦片の下端のやや上の位置より更に外側方へ直角に延出して、その延出片の基部付近を直角に折り曲げて側片73cを形成したものを用い、図32に示すように可動鉄心58の自由端付近の外面中央部に突設した突起58bを縦片の下部に設けた挿入孔73bに挿入してかしめることにより可動鉄心58に固定され、また両側片73c、73cを可動鉄心58の側面に沿うようにして固定鉄心74、74の両側片74a、74aの外面に沿わせて配置し、両側片74a,74aの外面に突設してある突起74eに側片73cの係止孔73fに挿入係止することにより固定鉄心74側に固持されるようなっている。
【0115】
尚実施形態1と同じその他の構成要素には同じ番号を付し説明を省略する。
【0116】
而して本実施形態の電磁引外し装置を構成する電磁駆動部47(或いは48)の板ばね73は一端側が可動鉄心58の回動中心側に固定され、固定鉄心74と可動鉄心58とをブロック化するとともに、可動鉄心58の回動中心を確実に固定鉄心74の側片に当接させることができるのである。そのため振動や衝撃があっても可動鉄心58の回動中心が固定鉄心74の側片74aから外れにくく、高調波を含む負荷電流に対するうなりの軽減が図れ、突入電流による誤動作防止も容易となる。
【0117】
更に、前記のようなT字状の板ばね73を用いるため板ばね73の弾性が取り易くなり、可動鉄心58を固定鉄心7から離れる方向に確実に付勢することができる。
【0118】
また固定鉄心74側に対して前記の延出片の折り曲げ先部の挿入孔73fに固定鉄心74の両側片74a,74aの外面に設けた突起231aを挿入係止するだけで、板ばね73を固定鉄心74側に固持させることができるため取付作業が容易に行える。
【0119】
(実施形態8)
本実施形態は、図33に示すように固定鉄心74の連結片を含む垂直片及びこの垂直片から略直角に折曲して可動鉄心58の自由端よりも外側に延出する水平片たる平板75を有した鉄板を設け、一方板ばね73は基片と、該基片の外側縁より上方に延出形成した2条のL字状片73hと、内側片より上方に延出形成した垂直片73iとからなり、図34に示すように垂直片73iと、L字状片73hとの間に可動鉄心58の回動中心側が基片側となるように配置して、垂直片73iの先部に設けた係止孔73jに可動鉄心58の固定鉄心74の面で且つ自由端側の近傍に突設してある突起58bを内側から挿入係止し、両側のL字状片233の縦片部の上部を鉄板の平板75の両側部に設けた上下貫通で外方向に開口した凹部74fに嵌めて、各L字状片73hの横片部73kを鉄板の水平片上に載せ且つ両L字状片73h,73hの横片部73kの内側縁部に設けた切欠73lを、鉄板の水平片上に突設した突起74gに係止することにより鉄板に固持され、可動鉄心58を回動自在に保持する。
【0120】
而して本実施形態の電磁引外し装置を構成する電磁駆動部47(或いは48)の板ばね73は一端側が可動鉄心58の回動中心側に固定され、且つ固定鉄心74を一体に形成した鉄板に固持されることにより、固定鉄心74と可動鉄心58とをブロック化するとともに、可動鉄心58の回動中心を確実に固定鉄心74の側片74aに当接させることができるのである。そのため振動や衝撃があっても可動鉄心58の回動中心が固定鉄心74の側片74aから外れにくく、高調波を含む負荷電流に対するうなりの軽減が図れ、突入電流による誤動作防止も容易となる。また板ばね73の長さを十分に長くすることができ、弾性を取り易くすることができる。
【0121】
【発明の効果】
本発明は、復帰部材の薄型化が図れるとともに可動鉄心及び固定鉄心間の間隔を狭くすることができ、この電磁引外し装置自体の小型化が図れ、従って、この電磁引外し装置を組み込んだ回路遮断器の小型化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1の回路遮断器全体の分解斜視図である。
【図2】(a)は同上の一方の電磁駆動部の斜視図である。(b)は同上の一方の電磁駆動部の分解斜視図である。
【図3】(a)は同上の他方の電磁駆動部の斜視図である。(b)は同上の他方の電磁駆動部の分解斜視図である。
【図4】同上のバイメタルの調整説明図である。
【図5】同上の中間ケースの拡大斜視図である。
【図6】同上のクロスバー部位の一部省略せる拡大分解斜視図である。
【図7】同上を用いた回路遮断器の側面図である。
【図8】同上を用いた回路遮断器の背面図である。
【図9】同上を用いた回路遮断器の斜視図である。
【図10】同上の図7のA−A断面図である。
【図11】同上の図7のB−B断面図である。
【図12】同上を用いた回路遮断器の上面図である。
【図13】同上を用いた回路遮断器の下面図である。
【図14】同上の第1側ケースに対する部材組み付け状態の側面図である。
【図15】同上のオフ状態の状態説明図である。
【図16】同上のオン状態への移行途中の状態説明図である。
【図17】同上のオン状態の状態説明図である。
【図18】同上の引き外し板を外した状態で示すオン状態説明図である。
【図19】同上の過電流によるトリップ動作の状態説明図である。
【図20】同上の過大電流による瞬断状態の状態説明図である。
【図21】本発明の実施形態2の電磁駆動部の分解斜視図である。
【図22】同上の電磁駆動部の斜視図である。
【図23】本発明の実施形態3の電磁駆動部の分解斜視図である。
【図24】同上の電磁駆動部の斜視図である。
【図25】本発明の実施形態4の電磁駆動部の分解斜視図である。
【図26】同上の電磁駆動部の斜視図である。
【図27】本発明の実施形態5の電磁駆動部の分解斜視図である。
【図28】同上の電磁駆動部の斜視図である。
【図29】本発明の実施形態6の電磁駆動部の分解斜視図である。
【図30】同上の電磁駆動部の斜視図である。
【図31】本発明の実施形態7の電磁駆動部の分解斜視図である。
【図32】同上の電磁駆動部の斜視図である。
【図33】本発明の実施形態8の電磁駆動部の分解斜視図である。
【図34】同上の電磁駆動部の斜視図である。
【符号の説明】
1 器体
2A,2B 固定接点
3A,3B 可動接点
5 開閉機構
6 ハンドル
6a 操作部
11 端子板
13A,13B 鎖錠ばね
47,48 電磁駆動部
T1 共通端子
T2 選択端子
Claims (1)
- 一端部には一対の電線挿入孔が形成されるとともに他端部には端面と両側面に亘るように開口した差込部が形成された器体と、該器体の一端に配設され前記電線挿入孔から挿入された電線の芯線を鎖錠ばねで端子板に押し付けて接続する2極の速結端子と、前記器体の他端内部に収納配設されて前記差込部から差込まれた導電バーを挟み込む2極の刃受ばねと、該各極の刃受ばねと前記速結端子との間の通電電路に介在する固定接点及び可動接点と、該可動接点を前記固定接点に接離させる開閉機構と、前記器体の上面に形成された窓孔に操作部を臨ませ、前記開閉機構を介して前記可動接点を前記固定接点に接離させるハンドルと、前記通電電路に過電流が流れたときに発熱して変位し前記開閉機構を介して前記可動接点を前記固定接点から強制開極させる2組のバイメタルと、両側片の先端を磁極面とした固定鉄心及び該固定鉄心の磁極面に対向配置されるとともに前記固定鉄心に板ばねで支持された可動鉄心を有し、前記通電電路に短絡電流が流れたときに前記固定鉄心の磁極面に発生する磁力で吸引される前記可動鉄心により前記開閉機構を介して前記可動接点を前記固定接点から強制開極させる2組の電磁駆動部とを備え、前記2組のバイメタルは、前記器体の幅方向を幅方向として器体の一端部及び他端部間方向に一部が重なるように並設され、前記2組の電磁駆動部は前記2組のバイメタルと共に前記器体の一端部及び他端部間方向に並設されていることを特徴とする回路遮断器。
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