JP3992483B2 - 研磨基布の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高精度の仕上げを要求される磁気記録媒体および類似材料を製造するに際して用いられる研磨基布に関する。特にハードデイスク等の磁気記録基板の製造において、テクスチャー加工に好適に用いられる研磨基布の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年コンピューターなどの情報処理技術の発達に伴い、磁気記録媒体やシリコンウエハーに対する高精度の表面仕上げが要求されている。例えば磁気記録媒体としてハードデイスク等の磁気記録基板を製造する場合、アルミニウム、ガラス等の表面を平滑化する加工を行い、ニッケル−Pメッキ等の非磁性メッキ処理を施した後に、コバルト系合金等からなる磁性薄膜層を形成、さらに炭素質等の表面保護層で被覆したものが使用されているが、前記平滑化加工のための研磨基布に対する要求もますます高くなってきている。特にこの磁気記録基板を平滑化する加工の最後の段階では、デイスク表面に微細な溝を形成させるために砥粒を分散させたスラリーと研磨基布を用いたテクスチャー加工と呼ばれる表面加工処理が行われている。
【0003】
テクスチャー加工に使用する研磨基布としては、スラリー中の研磨砥粒の微細化や微分散化ということも有り、例えば特開平9−277175号公報では10μm以下の極細繊維や、特開平11−138407号公報では直径2μm未満の極細繊維が含まれた研磨布が提案されている。しかし、スラリーと研磨基布を用いるテキスチャー加工においては、それらの相互作用が重要であり、これらの提案ではまだ満足の得られる性能の研磨基布は得られていない。
【0004】
一方、例えば特開2000−237951号公報には、0.3dtex以下の極細繊維を含む不織布より構成され、かつ表面が親水性である研磨布が提案されている。しかし、研磨時にスラリーが研磨基布内に浸透し、特に微細な研磨砥粒ほど浸透しやすいために、有効なスラリー量が少なくなるという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は磁気記録媒体等の表面にテクスチャー加工等の精密研磨を行う際に、研磨条件の変動で基板表面に深い溝(スクラッチ)を生じない均一に研磨できる研磨基布を提供する事にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の研磨基布の製造方法は、直径2μm以下の極細繊維を含む撥水性の研磨基布の表面に、親水性を有する浸透剤の液を塗布し、一方の表面側における吸水高さが20mm/時間以上であり、その反対側における吸水高さが5mm/時間以下とすることを特徴とする。
【0007】
また、さらに繊維質基材を構成する繊維が20本以上の極細繊維が収束してなる繊維束を構成しており、該繊維束において中心から半径1/2の範囲に存在する極細繊維の平均直径d1が0.3〜10μmであり、外周部に存在する極細繊維の平均直径d2が0.05〜1μmであり、d1がd2の1.5倍以上であることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の研磨基布は、2μm以下の極細繊維を含む基布である。極細繊維を含むことによって、研磨砥粒を表面の極細繊維で保持しスクラッチ傷の少ない研磨を行うことができる。基布としては単なる繊維質基材のみから構成されていても良いが、補強のために該基布が繊維質基材とその空隙に高分子弾性体を充填してなる複合体であることが好ましい。
【0011】
本発明の基布を構成する繊維質基材としては不織布、織物、編み物などをさすが、2μm以下の極細繊維を含む上から不織布であることが最も好ましい。不織布を作成する方法は公知の方法によることが出来、特に限定されないがカード、クロスラッパー、ニードルロッカー等によるニードルパンチング不織布、流体を使用した絡合不織布などが好ましい。
【0012】
また、本発明の研磨基布は、一方の表面側における吸水高さが20mm/時間以上であり、その反対側における吸水高さが5mm/時間以下であることが必要である。本発明の研磨基布は、この両面の吸水の高さで親水性および疎水性の程度をあらわしており、該研磨基布は親水性面と疎水性面とから形成されているのである。後述する方法および条件において、研磨基布を一方の端部が水に浸かるようにして垂直に保持した場合、親水性面では吸水高さが20mm/時間以上、好ましくは40〜90mm/時間であり、一方疎水性面では、吸水高さが5mm/時間以下、好ましくは0〜2mm/時間である。この吸水高さの大きい親水性面である表面で研磨することにより、被研磨基材を均一に研磨することができる。さらに親水性面の10分後の吸水高さが、好ましくは10〜60mm、さらには20〜50mmであることが好ましい。研磨時に研磨用スラリーを投入した場合にも一度に大量のスラリーを研磨基布が吸収しないので、研磨用スラリーを有効に効率よく使用できる。
【0013】
さらに、本発明の一方の表面側における吸水高さが20mm/時間以上であり、その反対側における吸水高さが5mm/時間以下である研磨基布を用いてテキスチャー加工して得た磁気記録基板は、その表面粗さの平均値からの山頂部までの距離が、平均値から谷底部までの距離よりも小さく、記録データのより高密度化が可能である。より具体的には、本発明の磁気記録基板は、その厚さ方向の最大山頂部から平均値までの距離をRp、最大谷底部から平均値までの距離をRvとした時、Rv/Rp>1.5であり、さらに好ましくはRv/Rp>3.0である。
【0014】
また、本発明の研磨基布は、研磨表面が親水性の層を有し、その内側(裏面も含めて)は疎水性である複合構造である。このような複合構造である研磨基布を使用することにより、研磨砥粒スラリーの使用を少なくすることができる。本発明の研磨基布においては、研磨面の親水性の層の厚さは500μm以下、好ましくは400μm以下、最も好ましくは350μm以下であることが望ましい。下限は100μmであることが実用的である。また、研磨基布の研磨面の親水性は、後述する測定条件で測定した吸水速度が80秒以下、好ましくは1〜60秒、さらに好ましくは20〜50秒であることが有利である。
【0015】
本発明の表面の吸水高さが一方の側ともう一方の側で異なる研磨基布は、種々の方法で得ることができる。例えば研磨基布を撥水剤を含む液中に浸漬するか、あるいは研磨基布に撥水剤を含む液を散布して撥水性の研磨基布を得、次いでその表面に親水性を有する浸透剤の液をスプレー法あるいはグラビアロール法などの方法により、塗布することにより、表面が親水性を有し、その内部(反対側表面を含む)が疎水性である研磨基布を得る事ができる。
【0016】
撥水性を付与するための撥水剤としては、例えばフッ素系撥水剤、シリコン系撥水剤、ワックス系撥水剤が使用できる。このときJIS K−6328記載の撥水試験で、90点以上になるように処理することが好ましい。
【0017】
親水性を付与するためには、研磨基布をアニオン性、またはノニオン性の浸透剤で処理すると効果がある。具体的にはアニオン性の浸透剤としてジオクチルスルホサクシネート・ナトリウム塩、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸・ナトリウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸・ナトリウム塩、ナフタレンスルホン酸・ナトリウム塩、などであり、ノニオン性浸透剤では2級ラウリルアルコール・エトキシレート、ドデシルアルコールのエチレンオキシド付加物、エチレンオキシド付加アルキルフェニルエーテルなどである。処理量については使用する剤によって異なるが基布に対して固着量で0.01〜3重量%程度である。
【0018】
本発明に使用する繊維質基材は、直径2μm以下の極細繊維を含むことが必要であるが、より好ましくは0.5μm以下の極細繊維を含むことである。また、好ましくは、この繊維質基材が、極細繊維が収束してなる繊維束によって構成されていることである。極細繊維が繊維束である場合、研磨砥粒の把持力がより増加する。また、この場合には基布が繊維質基材と高分子弾性体から構成され、その高分子弾性体が、繊維質基材の表層部以外の基材内部では、主に繊維束の外に存在していることが好ましい。高分子重合体によって補強されることにより、繊維の脱落が抑えられているのである。
【0019】
繊維として、極細繊維の繊維束が用いられる場合には、繊維束は20本以上、さらに好ましくは50〜2000本、最も好ましくは100〜1600本の極細繊維からなることが好ましい。極細繊維が20本未満であると、外周部の繊維の本数が少なくなり、以下に説明する内部と外周部の平均直径の差異の効果が発揮されにくい傾向にある。また生産性などの面から、1本の繊維束を構成する極細繊維の繊度の合計は1〜10dtex、さらには2〜5dtexであることが好適である。
【0020】
繊維束を構成する極細繊維は、その繊維束の中心から半径1/2以内の領域に存在する中心部の極細繊維の平均直径d1は0.3〜10μm(約0.0008〜約0.94dtex)であることが好ましく、より好ましくは0.5〜2μm(約0.0024〜約0.038dtex)である。平均直径d1が0.3μm未満の場合には極細繊維の強度が低下しがちであり、複合体としての強度も低下する傾向にある。また平均直径d1が10μmを超える場合には、研磨工程時に被研磨基材を傷つけやすい傾向にある。
【0021】
また外周部に存在する極細繊維の平均直径d2は0.05〜1μm(約0.00002〜約0.0094dtex)であることが好ましく、より好ましくは0.1〜0.7μm(約0.0001〜約0.0046dtex)、最も好ましくは0.2〜0.5μm(約0.00038〜約0.0024dtex)である。平均直径d2が0.05μm未満の場合には、極細繊維の強度が低いので研磨時に極細繊維の脱落が生じる傾向にある。
【0022】
さらには繊維束を構成する極細繊維の最大直径は10μm(約0.94dtex)以下であることが好ましく、3μm(約0.1dtex)以下だともっと好ましい。また極細繊維の最小のものの直径は0.01μm(約0.000001dtex)以上であることが好ましい。極細繊維の直径が10μmを超える場合には、研磨工程時に被研磨基材を傷つけやすい傾向にある。
【0023】
なお( )内の数値(単位、dtex)は密度によって異なるため、ナイロンで換算した数値を例示した。
【0024】
また、さらに中心部の平均直径d1が外周部の平均直径d2の1.5倍以上であることが好ましい。さらにはd1がd2の2.0倍以上であることが好ましく、最も好ましくは3.0倍以上である。本発明では特にこの関係にある場合に、研磨基布の強度と精密な研磨性を高いレベルで両立している。また、繊維質基材を構成する繊維は極細繊維が収束してなる繊維束を形成しており、繊維束において中心部の極細繊維の平均直径d1が外周部の極細繊維の平均直径d2の1.5倍以上である。この関係にある場合、研磨基布の強度と精密な研磨性を両立させることができる。もし中心部の極細繊維が外周部と同様に細ければ研磨基布の強度が保ちにくい。特にハードデイスクのテクスチャー加工時のようにテープ状で使用する場合、加工時の張力により研磨基布の幅減少が生じると表面が荒れるため均一な加工が行いにくい。研磨基布の繊維質基材を構成する繊維束の中心部の極細繊維の直径が太くなっている場合には、繊維束の強度を低下させず、外周部の極細繊維の直径が細くなっているので、微細な研磨砥粒の研磨基布への付着性が向上し、また研磨屑等ノイズの原因となる微細なゴミを除去する効果が増す。
【0025】
ここで、極細繊維の繊維径は、基布断面の電子顕微鏡写真を撮り、この写真より極細繊維断面の直径を測定した。すなわち、切断面にある1つの繊維束の最長径の中点を中心とし、この中心から最外周までの距離の1/2の範囲内に存在する極細繊維を中心部の繊維、側面から観察可能な最外層の極細繊維を外周部の繊維と定義した。
【0026】
繊維質基材を構成する極細繊維を製造する方法は特に限定されないが、具体的には溶剤溶解性の異なる2種以上の繊維形成性高分子を用い公知の紡糸法で繊維を作成した後一成分を抽出除去する方法があり、紡糸後の延伸により繊維に必要な強度を与えることができる。本発明の目的に最も合致した繊維束を得るためには、例えば特開平6−257016号公報に例示されるような混合紡糸法が好ましい。極細繊維成分を構成する繊維形成性高分子としてはナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン12などのポリアミド、またはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、などを用いることができ、これらと溶剤溶解性の異なる高分子として低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、などを用いることができる。特にナイロン等のポリアミド繊維を用いた場合には、ポリエステル繊維よりモジュラスが低く、研磨時にスクラッチ傷が発生しにくく最適である。なかでもナイロン6/ポリエチレンの組み合わせが工業的に生産しやすいため好ましい。
【0027】
また、海成分となる高分子の紡糸温度におけるメルトフローインデックスを小さくする(粘度を大きくする)ことや、島成分と海成分のメルトフローインデックスの差を大きくすることが、d1/d2の比が大きい繊維束を得るためには好ましい手段である。さらには混合紡糸の際、ポリエチレングリコールを0.2〜3重量%、好ましくは0.5〜2重量%添加することも有利な手段である。
【0028】
該基布が繊維質基材とその空隙に高分子弾性体を充填してなる複合体である場合には、ここで用いる高分子弾性体の100%伸長モジュラスは、9〜40MPaであることが好ましい。高分子弾性体としてはポリウレタン樹脂、ポリウレタン・ポリウレア樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ポリスチレン・ブタジエン樹脂、ポリアクリロニトリル・ブタジエン樹脂などを用いる事が出来るが加工性、耐摩耗性、耐加水分解性等の点よりポリウレタン系樹脂が最も好ましい。
【0029】
ポリウレタン系樹脂は分子量500〜4000のポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオールなどのポリオール単独または混合物と有機ジイソシアネート、分子量500以下の低分子鎖伸長剤とを反応させたものを用いることが出来、研磨砥粒のスラリーがアルカリ性または酸性でポリウレタン樹脂の加水分解劣化を伴うような場合はエーテル系、またはカーボネート系ポリウレタンを用いると良い。
【0030】
高分子弾性体の繊維質基材に対する重量比率は10/90以上であることが好ましい。より好ましくは高分子弾性体/繊維質基材の比率は10/90〜60/40、さらに好ましくは25/75〜50/50である。高分子弾性体の比率が10%未満では補強効果が少なく加工時の寸法安定性が不足する傾向にある。高分子弾性体が60%を越える場合は研磨砥粒の付着状態が悪くなる傾向にあり、また研磨屑の除去性がわるくなる傾向にある。高分子弾性体を処理する方法は、高分子弾性体の有機溶剤溶液または水性分散液を含浸および/または塗布した後湿式凝固、あるいは乾式凝固法により付着させる事が出来るが、高分子弾性体は繊維質基材の空間を充填する形で均一に付着させる事が好ましく、また高分子弾性体を多孔質状に凝固させる事が砥粒を把持しスクラッチなどの欠点を発生させることなく研磨する上で好ましく、そのためには湿式凝固法が最も適する。高分子弾性体の有機溶剤としてはジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、などの極性溶媒の他トルエン、アセトン、メチルエチルケトンなどを用いることが出来る。
【0031】
高分子弾性体は、繊維基材を構成する繊維束間に存在する空隙に存在することが好ましい。また、さらに高分子弾性体は繊維質基材の空間に充填させるだけでなく、表面の極細繊維からなる繊維束の中にも少量充填する事が、極細繊維の脱落を抑え研磨屑の発生を減少させることができるので好ましい。そのためには、高分子弾性体やその溶剤を高分子弾性体充填後にグラビアなどで表面に小量塗布すればよい。
【0032】
また、本発明の研磨基布は、研磨面の表面を立毛処理されていることが好ましい。立毛処理した表面で研磨することにより、均一で同心円上の溝を被研磨基材に形成させる効果が一層容易に発揮され、異常傷の発生も少なくなる。研磨面の表面の立毛は、それ自体知られた方法で実施することができる。すなわち、表面が立毛した研磨基布を得るためには、例えば繊維基材に高分子弾性体を充填して得られた複合体基布の表面を起毛処理すれば良い。その際複合体基布を有機シリコーン化合物で処理して繊維の起毛効果を高めることが望ましい。この有機シリコーン化合物は、通常繊維基布の立毛処理に当たり、繊維の滑りをよくするために一般的に使用されるものであれば良い。
【0033】
本発明者らの研究によれば、有機シリコーン化合物を使用して繊維基布を起毛処理した場合、その基布に有機シリコーン化合物が残存し、その残存する有機シリコーン化合物が研磨処理の際脱落して、研磨される磁気記録媒体の表面に付着すること、この付着した有機シリコーン化合物は、媒体表面に磁気層を形成させた場合、その付着部分において磁気層が剥離する現象が起こることが判明した。
【0034】
研磨基布からの有機シリコーン化合物の脱落による障害を抑制するには、研磨基布中の有機シリコーン化合物を充分に洗浄除去し、その含有量がけい素原子として研磨基布当たり300ppm以下、好ましくは200ppm以下であることが好適である。
【0035】
有機シリコーン化合物の含有量を前記範囲となるように低減するには、起毛処理の後に、研磨基布をポリオキシエチレンアルキルエーテルを0.5〜10g/リットル、好ましくは1〜7g/リットルの濃度で含有する水溶液を使用して洗浄することが好ましいことが判明した。ここでポリオキシエチレンアルキルエーテルは、オキシエチレン鎖における繰り返し単位が2〜25でかつアルキル基の炭素数が4〜25であるものが好適に使用できる。
【0036】
本発明の研磨基布は長さ方向、幅方向で厚さが均一であることが好ましい。研磨基布の厚さは0.3〜1.2mmが好ましく、0.3mm未満では強度が不足する傾向にあり、1.2mm以上では厚く作業性が低下する傾向にある。厚さの精度は長さ方向で測定した厚さのばらつき度(CV値)が3以下であることが好ましく、さらには2以下であることが被研磨体であるデイスク等の表面平滑度をより向上させるので好ましい。厚さを最適化するため、または生産性を上げるために得られた基布をスライスするのも良い方法である。また研磨基材幅は5〜300mm、好ましくは7〜200mmのテープ状形態を有することが有利である。
【0037】
本発明の研磨基布の好ましい引張強度の範囲は10N/cm以上、さらに好ましくは25〜200N/cm、最も好ましくは50〜180N/cmであることである。引張強度が高い方が、工程での幅減少も少なく表面の荒れもなく均一な加工となる傾向にある。
【0038】
また、テクスチャー加工のようにテープ状に加工して使用する場合には、加工時の寸法変化が少ない方が好ましい。後述する測定方法でのテープ幅の減少の割合が20%以下、好ましくは15%以下、最も好ましくは6%以下であることが好ましい。ここで、幅の減少の割合は無荷重のテープの幅に対する、5N/cmの荷重をかけた時の幅の減少した長さを百分率で表した値をいう。
【0039】
次に磁気記録基板を本発明の研磨基布を使用して研磨する方法を、ハードデイスクを製造する際のテクスチャー加工にもとづいて説明する。この方法は本発明の研磨基布と研磨砥粒を分散させたスラリーによって行われる。これには通常のテクスチャー加工条件が適用でき、一例をあげると研磨砥粒を分散させたスラリーの砥粒濃度が0.1〜1重量%、研磨スラリー液の供給量が4〜15ml/分、デイスク回転数が100〜500rpm、研磨基布の供給量が1〜10ml/秒、シリンダー押しつけ圧力が49〜294kPa、研磨時間が5〜30秒である。
【0040】
ここでは研磨砥粒を分散させたスラリーと研磨基布のイオン性が同種であるか、あるいはいずれかがノニオン性であることが好ましい。例えばいずれかがアニオン性で他方がカチオン性である場合、研磨基布表面で分離が生じテクスチャー加工の安定性がそこなわれる傾向にある。
【0041】
研磨基布と共に使用する研磨砥粒スラリーは酸化アルミニウム、二酸化けい素、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、窒化けい素、単または多結晶ダイアモンド、などでありそれぞれ粒径は0.05〜0.5μm程度のものが使用される。
【0042】
さらにもう一つの本発明の磁気記録基板は、その厚さ方向の最大山頂部から平均値までの距離をRp、最大谷底部から平均値までの距離をRvとした時、Rv/Rp>1.5であり、さらに好ましくはRv/Rp>3.0である。本発明の磁気記録基板は、その表面粗さの平均値からの山頂部までの距離が、平均値から谷底部までの距離よりも小さいために、記録データのより高密度化が可能である。このような磁気記録基板は、本発明の研磨基布を用いたテキスチャー加工によって得ることができる。
【0043】
【作用】
本発明の製造方法により得られる研磨基布は、一方の表面側における吸水高さが20mm/時間以上であり、その反対側における吸水高さが5mm/時間以下である。そのため、基布内部への無駄なスラリーの浸透が防止され、研磨砥粒スラリーの使用を少なくすることができる。また、研磨砥粒の粒子が細かいほど内部へ浸透しやすいので、浸透を防止することにより、微細な研磨砥粒をより有効に活用することができる。
【0044】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらにより制限されるものではない。実施例で特段断りのない限りパーセント(%)、比率は重量%、または重量比率を示す。実施例における測定値はそれぞれ以下の方法によったものである。
【0045】
(1)極細繊維の平均直径
以下に述べる方法で極細繊維断面の直径を求めた。
【0046】
まず作成した研磨基布を試験片とし、これを水につけ十分に脱気含水させた後、株式会社日本ミクロトーム研究所製のEF−10型電子式試料冷却装置付きRM−S型ミクロトームを使用し−20℃に凍結させた状態で鋭利なナイフで切断する。ついで試料を室温にて解凍し、切断面が動かないように保ち、120℃で30分間乾燥させる。ついで日本電子デ−タム株式会社製JFC−1500型イオン・スパッタリング装置で金蒸着しJSM−6100型走査型電子顕微鏡で研磨基布表面に対して直角に切断され、かつ円形または円形に近い楕円形の繊維束断面を5本選び4000倍の倍率で切断面の写真を撮影する。この写真を用いて繊維束内の極細繊維断面の直径を測定する。
【0047】
切断面の繊維束の最長径の中点を中心としこの中心から繊維束最外周までの距離の1/2の範囲内に存在する極細繊維を中心部の極細繊維、側面から観察可能な最外層の極細繊維を外周部の極細繊維と定義し、対象極細繊維が少ない場合には全数、多い場合にはランダムに選んだ中心部の極細繊維20本、外周部の極細繊維50本、の直径を測定し1繊維束の平均をだした。さらに繊維束5本から最終的に平均値を計算し、研磨基布に用いられる繊維束の中心部の極細繊維の平均直径d1、外周部の極細繊維の平均直径d2を求めた。
【0048】
(2)100%伸長モジュラス
高分子弾性体の100%伸長モジュラスは、JIS−K6550に準じる方法で、試験片を裁断し株式会社島津製作所性島津オートグラフAGS−500Gを用い引張速度50mm/分で測定し、100%伸長時の応力を100%伸長モジュラスとした。
【0049】
(3)厚さ、および厚さのばらつき度(CV値)
研磨基布研磨基布の長さ方向に無作為に500点の厚さを測定、このデータより厚さの平均値と標準偏差を求め、下記式より標準偏差値(CV値)を求めた。
CV値(%)=(標準偏差/平均値)×100
なお厚さは百分の1まで読みとれるシックネスゲージで加重11.8kPaの条件で測定した値を用いた。
【0050】
(4)引張強度
JIS−K6550に準じる方法で、試験片を裁断し株式会社島津製作所製島津オートグラフAGS−500Gを用い引張速度50mm/分で引張強度を求めた。
【0051】
(5)幅減少率
40mm(幅方向)×150mm(長手方向)に試験片を裁断し株式会社島津製作所製島津オートグラフAGS−500Gを用い引張速度50mm/分で20N(5N/cm)の荷重がかかるまで伸長させたときの幅を測定し、幅減少率(%)を求めた。
【0052】
(6)吸水速度、および表面側親水性の層厚の測定
研磨布を温度20℃、湿度60%のデシケータに12時間以上放置し試験片とする。温度20℃、湿度60%に保たれた室内で平坦な面に静置された試験片上2cmの高さから水をマイクロピペットで15μl滴下させる。滴下後より基布に吸水し終わるまでの時間を測定、秒数でしめしたものを吸水速度とした。
【0053】
また滴下させた水滴が完全に試験片に吸い込まれた後、断面を株式会社キーエンス製VH−8000型デジタルマイクロスコープで水滴が浸透した部分の断面を観察し、水滴が浸透している部分までの層を計測する。n数10の平均値を親水層の厚さとした。
【0054】
(7)吸水高さ
研磨布を25mm(ヨコ)×250mm(タテ)にカットし試験片とし、温度20℃、湿度60%のデシケータに12時間以上放置する。ビーカーに純水を深さが5cm以上になるように入れ、作成した試験片の先端20mmが水に浸かるように試験片を垂直に固定する。1時間後、あるいは10分後に水が毛管現象により吸い上げられた高さを表と裏で測定する。3枚を測定した平均を評価対象とした。
【0055】
(8)けい素含有量測定
理学電機(株)製3080E型蛍光X線分析装置にて測定した。研磨布を100mg精秤し、測定用サンプルとした。測定されたけい素の量から重量分率(ppm)で表した。
【0056】
(9)磁気記録基板の表面平均粗さ(Ra)、ピーク値(Rp)、バレー値(Rv)
テクスチャー加工後の磁気記録基板を、表面粗さ測定器(Veeco Instrument Inc製TMS―2000)により測定し求めたチャートを元に、JIS−B0601に記載の方法で算出したものである。すなわち、測定した表面粗さが測定長さ方向xが0からLまでの区間に対して関数F(x)で表されるとき下記数式(1)により計算されるものである。
なお数式(1)において〈F(x)〉は関数F(x)のx=0〜Lにおける平均値である。
【0057】
【数1】
【0058】
また、RpおよびRvはそれぞれ表面粗さの平均値からの山頂部と谷底部との差であり、下記式で示される。
Rp=最大山頂部−平均値、Rv=平均値−最大谷底部
【0059】
[実施例1]
温度260℃で測定したメルトインデックスが90のポリエチレンを49.1部、メルトインデックスが18のナイロン6を50部、ポリエチレングリコールを0.9部、をチップで混合した。次にその混合チップをエクストルーダーに供給し、紡糸した。溶融部およびスクリュー先端温度は260℃、紡糸パックおよび紡糸口金部温度は250℃で、紡糸口金の孔径は直径0.3mmであった。さらに各混合紡糸繊維を延伸し、機械捲縮を付与した後切断した。得られた混合紡糸繊維(親糸)は、繊度6.6dtex、長さ51mmのステープルであった。次いでステープルをカードをとおしてウエブとし、ニードルパンチ処理して絡合繊維ウェブを作成した。このウェブを140℃の加熱ゾーンを通しカレンダーロールでプレスし目付670g/m2、厚さ1.9mmの繊維質基材を得た。
【0060】
一方、ポリテトラメチレングリコール/ポリブチレンアジペート(それぞれ分子量2000)=60/40、ジフェニルメタンジイソシアネート、エチレングリコールを反応させて、100%伸長モジュラスが10.8MPaのポリウレタン樹脂(高分子弾性体)を得た。このポリウレタン樹脂に、凝固調整剤、ジメチルホルムアミド(DMF)を加え、固形分15%の含浸溶液を作成した。
【0061】
次に上記繊維質基材をポリウレタン15%濃度の含浸溶液に浸漬し、ニップロールでスクイズした後、水中で湿式凝固、および脱溶剤をおこなった。得られた基材を熱風乾燥し、繊維質基材とその空隙に高分子弾性体を充填してなる複合体であるポリウレタン含浸した基材を得た。この高分子弾性体は多孔体を形成していた。この基材を85℃の熱トルエン中に浸漬−ニップの操作を繰り返し繊維中の海成分であるポリエチレンを溶解除去し極細繊維とした。得られたポリウレタン含浸極細繊維基材において、高分子弾性体としてのポリウレタン樹脂と繊維との比率(R/F)は35/65であった。元の混合紡糸繊維(親糸)は、ナイロン極細繊維のみからなる繊維束となっており、繊維束内の極細繊維断面の繊維径は、先に記載の測定法で測定した中心部の平均繊維直径が1.10μm、外周部の平均繊維直径が0.31μmであり、繊維束内の極細繊維の本数は、約650本であった。
【0062】
得られた基材の表と裏にグラビアロールでDMFを約5g/m2塗布、乾燥した。次いでこの基材にシルコートFZS(松本油脂製薬株式会社製アミノ変性シリコーン、固形分濃度20%)の1%水溶液をウェット・ピック・アップ=70%になるようにマングルで絞り、次いで乾燥させた。その後両面を400メッシュのサンドペーパーを装着した研磨機で裏表各2回研磨し起毛させ、スライスし、厚さ0.8mmの立毛基布を作成した。
【0063】
得られた立毛基布の全体を撥水処理するために、フッ素系樹脂F−90C(大日本インキ工業株式会社製)をディップし、厚さの70%のクリアランスでニップし、乾燥した。基布に対するF−90Cの固形分付着量は0.5%であった。そのときの撥水度は、JIS K−6328に記載されている撥水試験で100点であった。該撥水基布の表面にジオクチルスルフォコハク酸ナトリウムの5%メタノール溶液を70メッシュのグラビアロールで塗布し、乾燥した。この処理を2回繰返して表面親水処理された研磨基布を得た。引張強度は86.7N/cmであり、幅4.0cmの研磨基布を20Nの荷重によって引張った際の中央部の幅減少は2.1mm(幅減少率5.3%)で、研磨基布表面に荒れもなく、十分に使用時の引張に耐えるものであった。また、この研磨基布の吸水高さは10分で表26mm/10分、裏0mm/10分、1時間で表50mm/時間、裏0mm/時間と、時間と共に徐々に吸水するものだった。表面側親水性の層の厚さは315μmであった。けい素含有量は3150ppmであった。
【0064】
得られた研磨基布を4.0cm幅にスリットし、磁気記録基板であるアルミニウムハードデイスクのテクスチャー加工に使用した。研磨剤は0.1μmの多結晶ダイアモンド砥粒を含有しておりアニオン性の分散剤を含んでいるものであった。研磨剤の研磨材への浸透速度も最適で、スクラッチなどの欠点が少なかった。また、テクスチャー加工後のRv/Rp=4.0でRp<Rvであり、Raも3.2オングストロームと良好であった。
【0065】
得られた研磨基布および磁気記録基板の物性を表1に示した。
【0066】
[実施例2]
実施例1と同様に立毛基布を作成した。さらに得られた立毛基布を、松本油脂製薬株式会社製の商品名SSK−4(ポリオキシエチレンアルキルエーテル類)を4g/リットル、水酸化ナトリウムを2g/リットル含有する溶液中で、浴比を40対1とし、液流染色機で60℃40分間洗浄した。
【0067】
その後実施例1と同様に、得られた立毛基布の全体を撥水処理し、表面親水処理し、研磨基布を得た。引張強度は86.7N/cmであり、幅4.0cmの研磨基布を20Nの荷重によって引張った際の中央部の幅減少は2.0mm(幅減少率5.0%)で、研磨基布表面に荒れもなく、十分に使用時の引張に耐えるものであった。また、この研磨基布の吸水高さは10分で表24mm/10分、裏0mm/10分、1時間で表50mm/時間、裏0mm/時間と、時間と共に徐々に吸水するものだった。表面側親水性の層の厚さは315μmであった。さらに洗浄効果によりけい素含有量は30ppmと、実施例1の3150ppmより顕著に低下していた。
【0068】
得られた研磨基布で実施例1と同様にテクスチャー加工を行った。研磨剤の研磨材への浸透速度も最適で、さらにスクラッチ傷などの欠点がなく、ハードディスクのRv/Rp=4.0でRp<Rvとなり、Raは3.2オングストロームと良好であった。さらにその後、表面に磁気層を構成したハードディスクを得た。得られたハードディスクには磁気層の浮きのない良好なものであった。
【0069】
得られた研磨基布および磁気記録基板の物性を表1に示した。
【0070】
[実施例3]
サンドペーパーによる研磨を行なわなかった以外は実施例1と同様に行い、非立毛タイプの研磨基布を作成した。この研磨基布の吸水高さは10分で表20mm/10分、裏0mm/10分、1時間で表48mm/時間、裏0mm/時間と、時間と共に徐々に吸水するものだった。表面側親水性の層の厚さは320μmであった。
【0071】
得られた研磨基布を実施例1と同様にテクスチャー加工に使用した。若干スクラッチ傷が増える傾向であるものの、ハードディスクのRv/Rp=3.5でRp<Rvとなり、表面平均粗さRaは1.9オングストロームと良好であった。
得られた研磨基布および磁気記録基板の物性を表1に示した。
【0072】
[比較例1]
実施例1と同様にポリウレタン含浸極細繊維基材を得た。
得られたポリウレタン含浸極細繊維基材の表と裏にグラビアロールでDMFを約5g/m2塗布、乾燥した。処理した表面には、極細繊維束間に存在する空隙に高分子弾性体が存在していた。この高分子弾性体はDMFによって再溶解されたポリウレタンである。その後両面を320メッシュのサンドペーパーを装着した研磨機で研磨し起毛させ、1/2の厚さにスライスし、厚さ0.65mmの立毛基布を作成した。
【0073】
この研磨基布の吸水高さは1時間で表184mm/時間、裏175mm/時間だった。またこの研磨基布の20%伸長時の応力は27.1N/cm、引張強度は87.6N/cmであり、幅4.0cmの研磨基布を20Nの荷重によって引張った際の中央部の幅減少は2.0mmで、研磨基布表面に荒れもなく、十分使用時の引張に耐えうるものであった。
【0074】
得られた研磨基布を実施例1と同様にテクスチャー加工に使用した。ハードディスクの表面平均粗さこそRa=3.5オングストロームと良好であったものの、Rv/Rpは1.2という不満足な値であった。
得られた研磨基布および磁気記録基板の物性を表1に示した。
【0075】
【表1】
【0076】
[比較例2]
比較例1と同様に立毛基布を作成した。その後アニオン系浸透剤としてジオクチルスルフォネコハク酸ナトリウムの1%水溶液を用い、該立毛基布にディップし、絞り率70%になるようにニップした。次に120℃、5分間の条件で熱風乾燥し、研磨基布とした。
【0077】
この研磨基布の吸水高さは1時間で表200mm/時間、裏195mm/時間だった。またこの親水処理された研磨基布の吸水速度は5秒であった。
【0078】
このアニオン系浸透剤で処理した研磨基布を用いて比較例1と同様にテクスチャー加工を行った。研磨剤の研磨基布への浸透速度は比較例1より速くスクラッチ傷などの欠点が無く、テクスチャーの表面平均粗さRaも3.1オングストロームと良好であったものの、Rv/Rpは0.95という不満足な値であった。
得られた研磨基布および磁気記録基板の物性を表2に示した。
【0079】
[比較例3]
温度260℃で測定したメルトインデックスが90のポリエチレンを複合繊維の海成分、メルトインデックスが18のナイロン6を複合繊維の島成分とし、島成分0.056dtex、島数38本、配合比をポリエチレン(海成分):ナイロン6(島成分)=40:60で複合紡糸し、繊度5.3dtex、繊維長51mmの複合繊維を得た。実施例1の混合紡糸繊維の替わりにこの複合繊維を用いた以外は実施例1と同様に研磨基布を作成した。得られた研磨基布における繊維束の外周部の極細繊維と中心部の極細繊維の直径は双方共2.4μmとなった。また研磨基布の吸水高さは1時間で表40mm/時間、裏0mm/時間だった。
【0080】
ついで実施例1と同様にテクスチャー加工を行った。テクスチャー加工を行ったデイスクの表面粗さRaは9.5オングストロームとなり、実施例1程の均一な表面は得られなかった。得られた研磨基布および磁気記録基板の物性を表2に示した。
【0081】
[実施例4]
実施例1で用いた固形分15%のポリウレタン樹脂の含浸液の替わりに、固形分30%の含浸液を用いる以外は実施例1と同様に行い、研磨基布を作成した。この研磨基布の高分子弾性体としてのポリウレタン樹脂と繊維質基材の比率は、70/30であった。またこの研磨基布の吸水高さは表40mm/時間、裏0mm/時間だった。
【0082】
次に実施例1と同様にテクスチャー加工を行った。表面に露出したポリウレタンが多く、若干のスクラッチ傷が発生していた。しかし、テクスチャー加工されたディスクのRv/Rp=2.4でRp<Rvとなり、また表面粗さRaは4.5オングストロームと良好であった。得られた研磨基布および磁気記録基板の物性を表2に示した。
【0083】
【表2】
【0084】
【発明の効果】
本発明の製造方法により得られる研磨用基材を用いることにより、磁気記録基板等の表面粗さを小さくすることを可能にし、高性能化に対する要求に応ずることが可能となった。またスクラッチなどの発生も少なく、生産性の向上にも寄与する。
Claims (14)
- 直径2μm以下の極細繊維を含む撥水性の研磨基布の表面に、親水性を有する浸透剤の液を塗布し、一方の表面側における吸水高さが20mm/時間以上であり、その反対側における吸水高さが5mm/時間以下とすることを特徴とする研磨基布の製造方法。
- 撥水性の研磨基布が、撥水剤を含む液中に浸漬または撥水剤を含む液を散布して得られたものである請求項1記載の研磨基布の製造方法。
- 撥水剤が、フッ素系撥水剤、シリコン系撥水剤、またはワックス系撥水剤のいずれか一つである請求項2記載の研磨基布の製造方法。
- 親水性を有する浸透剤の液の塗布が、スプレー法またはグラビアロール法である請求項1記載の研磨基布の製造方法。
- 浸透剤がアニオン系またはノニオン系である請求項4記載の研磨基布の製造方法。
- 浸透剤がジオクチルスルホサクシネート・ナトリウム塩、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸・ナトリウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸・ナトリウム塩、ナフタレンスルホン酸・ナトリウム塩のいずれか一つである請求項5記載の研磨基布の製造方法。
- 該研磨基布が繊維質基材とその空隙に高分子弾性体を充填してなる複合体である請求項1〜6のいずれか1項記載の研磨基布の製造方法。
- 該繊維質基材が、不織布構造体である1〜7のいずれか1項記載の研磨基布の製造方法。
- 繊維質基材を構成する繊維が20本以上の極細繊維が収束してなる繊維束を構成しており、該繊維束において中心から半径1/2の範囲に存在する極細繊維の平均直径d1が0.3〜10μmであり、外周部に存在する極細繊維の平均直径d2が0.05〜1μmであり、d1がd2の1.5倍以上である請求項7または8記載の研磨基布の製造方法。
- 該繊維が、ポリアミドより形成された極細繊維より構成される請求項1〜9のいずれか1項に記載の研磨基布の製造方法。
- 厚さが0.3〜1.2mmであり、厚さのバラツキ度(CV値)が3以下である請求項1〜10のいずれか1項に記載の研磨基布の製造方法。
- 一方の表面側が立毛処理されている請求項1〜11のいずれか1項に記載の研磨基布の製造方法。
- 起毛処理する前に有機シリコーン処理し、起毛処理後に洗浄除去する請求項12記載の研磨基布の製造方法。
- 洗浄除去が、研磨基布をポリオキシエチレンアルキルエーテルを0.5〜10g/リットルの濃度で含有する水溶液を使用して洗浄するものである請求項13記載の研磨基布の製造方法。
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