JP4528064B2 - 研磨面加工用テープ - Google Patents

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本発明は、研磨面加工用テープに関し、さらに詳しくは高精度の仕上げを要求される磁気記録媒体及び類似材料を製造する際に用いられる、特にハードディスク表面加工用に適した研磨面加工用テープに関する。
近年コンピューターなどの情報処理技術の発達に伴い、磁気記録媒体やシリコンウエハーに対する高精度の表面仕上げが要求されている。例えば磁気記録媒体のハードディスク等を製造する場合、基盤となるアルミニウム、ガラス等の表面を平滑化する加工を行うが、それに用いる研磨面加工用テープに対する要求もますます高くなってきている。また、この平滑化加工の最後の段階で、ディスク表面に微細な溝を形成させるために砥粒を分散させたスラリーと研磨用基布を用いたテクスチャー加工と呼ばれる表面加工処理がおこなわれることが増加しており、高容量化、高密度化のために最適な研磨面加工用テープが求められている。
このような研磨面加工用テープとしては例えば特許文献1には、20本以上の極細繊維が収束してなる繊維束を用いた研磨用基布が開示されている。しかし研磨面加工用テープとして使用する場合には、一般に細長い形状に一旦巻き取り、研磨面加工用テープを引き出しながら一部分を用いて研磨する手法がとられており、この場合、研磨面加工用テープの長さ方向の張力の影響により変形が起こりやすく、十分な研磨加工性、平滑性が得られていないという問題があった。
特開2002−172555号公報
本発明の目的は、十分な加工性を有しながら、被研磨物の平滑性に優れた研磨面加工用テープおよびその製造方法を提供することである。
本発明の研磨面加工用テープは、極細繊維からなる不織布と弾性高分子から構成された繊維質基材であって、長さ方向の強度が幅方向の強度の1.3倍以上であることを特徴とする。さらには、長さ方向の強度が50N/cm以上であることや、長さ方向の破断伸度が90%以下であること、表面に立毛を有することが好ましい。
また本発明の研磨面加工用テープの製造方法は、極細繊維からなる不織布と弾性高分子から構成される繊維質基材を、湿潤状態にて縦伸び5〜30%、横収縮5〜50%となる加工を行うことを特徴とする。
本発明によれば、十分な研磨性を有しながら、被研磨物の平滑性に優れた研磨面加工用テープが提供される。
本発明の研磨面加工用テープは、極細繊維からなる不織布と弾性高分子から構成された繊維質基材である。繊維質基材を構成する繊維は不織布であり、基材中には弾性高分子を含むことが必要である。さらには不織布が極細繊維を収束してなる繊維束によって構成されていることが好ましい。繊維質基材がこのような極細繊維からなる繊維束と弾性高分子から構成されている場合には、その基材内部では主に弾性高分子が繊維束の外部に存在しており、繊維束内には弾性高分子が存在していないことが好ましい。研磨面加工用テープが柔軟になり研磨傷の発生が抑制される傾向にある。
極細繊維としてはナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン12などのポリアミド繊維、またはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル繊維などを挙げることができる。特にナイロン等のポリアミド繊維を用いた場合にはモジュラスが低く、研磨時にスクラッチ傷が発生しにくく適している。また極細繊維の繊度としては0.0001〜0.1dtexの範囲であることが好ましい。平均直径が小さい場合には極細繊維の強度が低下しがちであり、研磨時の表面強度や、繊維質基材としての強度も低下する傾向にある。また平均直径が大きすぎる場合には、研磨工程時に被研磨基材を傷つけやすい傾向にある。
繊維質基材に用いられる弾性高分子としては、ポリウレタン系樹脂、ポリウレタン・ポリウレア系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、ポリスチレン・ブタジエン系樹脂、ポリアクリロニトリル・ブタジエン系樹脂などが挙げられるが、加工性、耐摩耗性、耐加水分解性等の点よりポリウレタン系樹脂が好ましい。中でも研磨砥粒のスラリーがアルカリ性または酸性でポリウレタン系樹脂の加水分解劣化を伴うような場合には、エーテル系、またはカーボネート系ポリウレタンであることが好ましい。弾性高分子の繊維に対する重量比率は10/90〜60/40であることが好ましい。また弾性高分子は湿式凝固法などによる多孔質状であることが、砥粒を把持しスクラッチなどの欠点を発生させることなく研磨する上で好ましい。
本発明の研磨面加工用テープはこのような繊維質基材からなるものであるが、その長さ方向の強度が幅方向の強度の1.3倍以上であることを必須とする。さらには1.5〜5倍、最も好ましくは1.7〜3倍であることが好ましい。このように長さ方向の強度を高くすることによって研磨面加工用テープの使用時の長さ方向にかかる張力による形状の変形を抑えることができ安定した、均一な研磨が可能となる。
さらには長さ方向の強度が50N/cm以上であることが好ましく、さらには70〜200N/cm、最も好ましくは90〜180N/cmであることが好ましい。またその長さ方向の破断伸度は90%以下であることが好ましく、さらには85%以下、特には80%以下であることが好ましい。
また、本発明の研磨面加工用テープはその表面に立毛を有するものであることも好ましい。さらには、立毛部分の極細繊維が例えばカーボンブラックなどの無機化合物粒子を含むことも好ましい。無機化合物粒子を含有することにより、微細な研磨砥粒の研磨面加工用テープへの付着性が向上し、また無機化合物粒子と研磨砥粒との相互作用から、効果的、効率的に研磨を行うことができる。また、無機化合物粒子を含む極細繊維は、極細繊維どうしのからみ合いが減少するため、立毛面に太い繊維束状の形態が発生しにくくなり、研磨傷の発生が減少する効果がある。
本発明の研磨面加工用テープの形状は長さ方向に長いテープ状である。さらには長さ方向、幅方向で厚さが均一であることが好ましい。研磨面加工用テープの幅は5〜300mm、好ましくは7〜200mmであることが好ましい。また厚さとしては0.3〜1.2mmが好ましく、0.3mm未満では強度が不足する傾向にあり、1.2mm以上では厚く作業性が低下する傾向にある。厚さを最適化するため、または生産性を上げるために得られた基布をスライスするのも良い方法である。
また、もう一つの本発明である研磨面加工用テープの製造方法は、極細繊維からなる不織布と弾性高分子から構成される繊維質基材を、湿潤状態にて縦伸び5〜30%、横収縮5〜50%となるように加工を行う製造方法である。さらには、縦伸びは7〜20%であることが好ましく、横収縮は10〜20%であることが好ましい。このようにするためには、例えば工程途中のテープが湿潤状態である時に破断強力以下の適度な張力にコントロールすることによって達成される。
ここで用いられる繊維質基材は、従来公知の方法によって得られるものであり、例えば以下の加工によって得ることができる。
すなわち、まず極細繊維形成性繊維によって、不織布を作成する。極細繊維成形性繊維としては、例えば、溶剤溶解性の異なる2種以上の繊維形成性高分子を用い公知の紡糸法で繊維を作成した後、一成分を抽出除去する方法があり、紡糸後の延伸により繊維に必要な強度を与えることもできる。なかでもナイロン6/ポリエチレンの組み合わせが工業的に生産しやすいため好ましい。得られた繊維はニードルパンチングなどにより不織布に加工される。このとき不織布に、カレンダー加工を施し、不織布表面の平滑性と、不織布内部密度を高めることが好ましい。次に、得られた不織布に弾性高分子を充填し、その後基材中の極細繊維形成性繊維を極細化することによって、極細繊維の不織布と弾性高分子からなる繊維質基材が得られる。
本発明の製造方法では、例えば最後の極細繊維形成性繊維を極細化する工程等の基材が湿潤状態である工程で、破断強力以下の張力をかける。出来ればその後の乾燥は、張力フリーの状態で行うことが好ましい。さらにはこの湿潤状態の時の温度は60〜100℃、さらに好ましくは95〜100℃であることが好ましい。通常の幅方向と長さ方向を規制したピンテンター乾燥機を用いるのではなく、フリーの状態で乾燥させることによって、適度に幅方向の強度に対する長さ方向の強度をとることが可能となる。
さらにはこの繊維質基材の表面をサンドペーパーなどでバフがけする事によって極細繊維からなる立毛を有する繊維質基材からなる研磨面加工用テープとすることができる。
このようにして得られた本発明の研磨面加工用テープは特にハードディスク加工を行うことに最適である。さらには、磁気記録基板のテクスチャー加工や研磨面清掃用に好ましく用いられる。例えばハードディスクを製造する際のテクスチャー加工では、本発明の研磨面加工用テープと研磨砥粒を分散させたスラリーによっておこなわれる。研磨面加工用テープと共に使用される研磨砥粒スラリーは酸化アルミニウム、二酸化珪素、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、窒化珪素、単または多結晶ダイアモンド、などでありそれぞれ粒径は0.05〜0.5μm程度のものが好ましく使用される。また例えば、そのようにしてテクスチャー加工して得たハードディスクの表面を、必要に応じて水、薬剤等を加え本発明の研磨面加工用テープでブラッシングすることにより、ハードディスク表面に残存した砥粒粒子や各種破片を除去することが出来る。
以下、実施例により、本発明を更に具体的に説明する。
[実施例1]
ナイロン−6とポリエチレンをチップの状態で50:50の重量比で混合して押出機により溶融紡糸を行いポリエチレンが海成分の海島断面混合紡糸繊維を紡糸し、該繊維を延伸、捲縮、カットして8dtexとし、51mm長の短繊維を作製した。ちなみに得られた短繊維の海成分を溶解除去して極細繊維化した後の任意の繊維束の断面を電子顕微鏡写真2000倍に拡大し観察して、島成分の平均直径から算出した極細繊維の平均繊度は、0.003dtexであった。極細化する前の該短繊維をカードおよびクロスレイヤーを用いて積層し、3バーブのニードル針で1400本/cmの針密度でニードルパンチして不織布を作成した。得られた不織布は目付570g/m、厚さ2.5mm、白色であった。該不織布を150℃の乾燥機で加熱し、30℃の金属ロールで冷却ニップし固定化した。このものの目付は、560g/m、厚さ1.9mmであった。
該不織布に、ポリエーテルエステル系ポリウレタン14%濃度のジメチルホルムアミド(以下DMFと記す)溶液にシリコーン系の凝固調節剤を添加したものを含浸し、不織布表面を基材厚さの70%にスクイーズして、余分なポリウレタン樹脂を除去し、不織布1mあたりに1060g/m2となるように含浸した後、10%DMF溶液の水バスで凝固し、140℃で乾燥した。その後、80℃のトルエンでディップ、ニップを繰り返し、ポリエチレンを抽出し、短繊維を極細化し、98度の熱水中で基材中のトルエンを共沸除去した。このとき、湿潤状態の基材には縦伸び12%、横方向幅方向の幅縮み15.4%となるように張力をかけていた。その後ネット上でフリーの状態で熱風乾燥を行い基材を得た。得られた極細繊維からなる基材は、目付445g/mであった。
その後、該基材表面にDMF溶液を用いて200メッシュで2ロール塗布し、乾燥後、320メッシュのサンドペーパーで研磨し、さらに、400メッシュのサンドペーパーで逆方向から研磨し基材表面を立毛させ。表面が立毛繊維により覆われている基材を得た。該基体を3.5cmにスリットしアルミニウムハードデイスクのテクスチャー加工に適した研磨面加工用テープを得た。
得られた研磨面加工用テープの長さ方向の強度Aは143.3N/cm、伸度75%であり長さ方向に垂直な方向の強度Bは91.3N/cm、伸度143%となり、A/B=1.57となった。得られた研磨面加工用テープを用い実際にアルミニウムハードデイスクのテクスチャー加工の実施を行った。研磨剤は0.07μmの多結晶ダイアモンド砥粒を含有しておりアニオン性の分散剤をふくんでいるものを用いて実施した。テクスチャーの表面平均粗さRa=1.9Åと良好であり、ディスク面のムラもなく、スクラッチなどの欠点が非常に少ないテクスチャー加工が可能であった。
[比較例1]
トルエンにより繊維を極細化した後の工程の時に、湿潤状態の基材にできるだけ基材に張力をかけないよう基材の縦伸び3%、横方向幅方向の幅縮み5.5%となるように運転した以外は、実施例1の基材と同じ条件下にて極細繊維とポリウレタン樹脂からなる基材を作成した。
得られた研磨面加工用テープの長さ方向の強度Aは70N/cm、伸度120%であり長さ方向に垂直な方向の強度Bは60N/cm、伸度100%となり、A/B=1.17となった。得られた研磨面加工用テープを用い実際にアルミニウムハードデイスクのテクスチャー加工を行おうとしたが、加工時にテープが伸び、加工の安定度に劣るものであった。

Claims (6)

  1. 極細繊維からなる不織布と弾性高分子のみから構成された繊維質基材であって、長さ方向の強度が幅方向の強度の1.3倍以上であり、長さ方向の強度が70〜200N/cmであることを特徴とする研磨面加工用テープ。
  2. 長さ方向の強度が90〜180N/cmである請求項1記載の研磨面加工用テープ。
  3. 長さ方向の破断伸度が90%以下である請求項1または2に記載の研磨面加工用テープ。
  4. 表面に立毛を有する請求項1〜3のいずれか1項記載の研磨面加工用テープ。
  5. 研磨面加工用テープの幅が5〜300mmである請求項1〜4のいずれか1項記載の研磨面加工用テープ。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項記載の研磨面加工用テープを用いてハードディスク加工を行うことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
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