JP3991381B2 - 海苔の処理方法及び海苔用処理液 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、海苔の養殖に関し、詳しくは養殖の過程で発生する、海苔以外の藻類や赤腐れ病、白腐れ病等の病害を駆除もしくは予防する海苔の処理方法及び海苔用処理液に関する。
【0002】
【従来技術】
従来、この種の海苔の養殖における海苔の処理方法や海苔用処理液としては、例えば特公昭56−12601号公報には炭素数1ないし4の飽和脂肪族モノカルボン酸、炭素数2ないし4の飽和または不飽和ジカルボン酸、グリコール酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸からなる群から選ばれた有機カルボン酸の1種または2種以上を有効成分とし、これらの有機カルボン酸を0.03〜1.0%の濃度となるように海水に溶解したものを干出した藻類群落に直接散布するか、あるいはこれに浸漬することが記載されている。さらに特公昭60−31451号の海苔養殖法には、海苔を付着した海苔養殖具をシュウ酸、リンゴ酸、酒石酸、マロン酸、および安息香酸から選ばれた有機酸を海水に0.3〜5重量%溶解しPH1.0〜4.0に調整された処理液に5〜60分浸漬させることが、特公昭60−31647号の海苔養殖法には、海苔を付着した養殖具をクエン酸0.3〜5.0重量%を含み、PHが1.0〜6.0の処理液に60分以内の間浸漬することが、夫々記載されている。
また、特開昭50−10233号公報には塩化アンモニウムを0.7〜4重量%含有する溶液にアマノリを浸漬することにより、選択的に良質海苔を育成させる海苔の養殖方法が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記のような従来の殺藻剤あるいは海苔養殖法においては、あおのり、ケイソウ等の雑藻や、赤腐れ病、白腐れ病等の病害を駆除、予防するためには処理時間が5〜60分、短いものでも3〜30分と比較的長時間を要する。前記の処理は、具体的には海苔網を船上に引き上げて船内で殺藻剤を含む処理液槽に浸漬したのち、海苔網を再び海中に戻すのであるが、前記のように従来はこの処理液槽中に海苔網を5〜30分間以上も浸漬しておかなければならず、その間の待ち時間が必要となり、バッチ処理のため作業の効率は極めて悪いものであった。また、海苔の養殖時期は冬季が主であって、特に関東、東海地方の漁場は冬季になると海が荒れることがおおく、処理できる時間が限られており、また、有明海の漁場等では、潮の干満の差が大きく船の出せる時間帯が限られていることから、上記のような比較的長時間を要する従来の方法では1日に処理できる海苔網の枚数はせいぜい50枚程度が限度であって、とても処理し切れないという問題があった。さらに、海苔網の下に船を潜らせて前記のような処理液を網の下に素通ししながら処理をする、モグリ船といわれる専用の船が開発され使用されている漁場もあるが、この場合には海苔網が処理液に浸漬されている時間が僅かに30秒〜120秒と極めて短く、前記のような雑藻や病害の駆除、予防に3〜30分あるいは60分といった長時間を要する従来の殺藻剤では目的とする殺藻、病害予防効果は全く期待できないものであった。
【0004】
そこで、上記のような雑藻や病害の駆除、予防を短時間で行う方法として、特開昭59−159725号公報には、塩化水素剤およびマラカイトグリーン製剤を同時に用いる方法が提案されており、この方法によれば比較的短時間で前記の処理を行うことができる。しかしながら、ここで用いられるマラカイトグリーンは食品添加物ではなく天然食品のイメージを大切にする海苔製品に使用するには抵抗があるばかりでなく、このマラカイトグリーンは農薬としても使用されているが、人体に対する影響も否定できず、また、環境汚染といった問題も残っている。
【0005】
さらに、特開平5−139913号公報には、乳酸を含む処理液のpHをpH調整剤にて1.5〜2.0に調整した殺藻剤および海苔養殖法が開示されている。これによれば、上記他の公報にて開示された技術における問題点を解決することができるものの、乳酸だけではコストが高くなりがちで、またpHを2.0以下にまで下げるため、必ずしも広いpH域で効果が十分あがるというものではなかった。
【0006】
そこで、本発明は上記の点に鑑み、海苔の養殖において、人体および環境へ悪影響をおよぼすことなく、低コストで、広いpH領域で使用でき、人体に安全に、かつ短時間で、しかも連続作業で効率よく雑藻や病害の駆除、予防処理をすることを可能とした海苔の処理方法及び海苔用処理液を提供せんとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来技術における問題点を解決する目的で鋭意検討した結果、この目的を達成しうる新たな海苔の処理方法及び海苔用処理液を得るに至った。
即ち、本発明では海苔の養殖海域の海水と真水との混合水中の前記真水の占める割合を20〜80%とし、これに酸(ただし、蟻酸、酢酸を除く)を加えてpHを0.5〜5.0に調整して海苔用処理液とし、該海苔用処理液に海苔または海苔が付着した養殖具を浸漬することを特徴とする海苔の処理方法とする。この処理方法によれば、従来の酸を用いた処理方法で得られる効果を短時間で得ることができる。このとき真水としては、水道水、地下水、雨水、またはこれらからなる精製水の中から選ばれた1種または2種以上のものを用いることができる。
【0008】
本発明に係る酸としては、無機酸、カルボン酸、有機リン酸を用いることができる。そして、その具体的な無機酸としては、硫酸、硝酸、塩酸、リン酸の中から選ばれた1種または2種以上のものを用いることができる。またカルボン酸としては、リンゴ酸、クエン酸、乳酸、フマル酸、グルコン酸、マレイン酸、マロン酸、酒石酸、アクリル酸、クロトン酸、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸に加えて、クロル酢酸、ジクロル酢酸、トリクロル酢酸、アジピン酸、プロピオン酸、酪酸等が挙げられるが、これらの中から選ばれた1種または2種以上のものを用いることができる。さらに有機リン酸としては、フィチン酸、ホスホン酸の中から選ばれた1種または2種を用いることができる。
【0009】
これらの中でも特に好ましいのは、前記無機酸として塩酸またはリン酸を用いた場合や、前記カルボン酸としてリンゴ酸、クエン酸、乳酸、グルコン酸、酒石酸、グルタル酸の中から選ばれた1種または2種以上のものを用いた場合や、前記有機リン酸としてフィチン酸を用いた場合であり、混合酸を用いる場合にあっては、クエン酸、乳酸、グルコン酸、酒石酸、グルタル酸、塩酸、リン酸、フィチン酸のうちのいずれか1種または2種以上のものとリンゴ酸との混合酸や、乳酸、グルコン酸、酒石酸、グルタル酸、塩酸、リン酸、フィチン酸のうちのいずれか1種または2種以上のものとクエン酸との混合酸や、グルコン酸、酒石酸、グルタル酸、塩酸、リン酸、フィチン酸のうちのいずれか1種または2種以上のものと乳酸との混合酸や、グルコン酸、酒石酸、グルタル酸、塩酸、リン酸のうちのいずれか1種または2種以上のものとフィチン酸との混合酸や、塩酸とリン酸との混合酸が好ましい。
【0010】
このとき、海苔または海苔が付着した養殖具を浸漬するには、前記処理液を船内の処理液槽等の容器に収容することにより行なわれるものである。また、モグリ船等のように、海苔の養殖網の下に船を潜らせて、処理液を網の下に素通ししながら処理をすることもできる。そして、その処理液に浸漬している時間としては、海苔の成育状態や雑藻等の付着状況にもよるが、10秒〜10分以内で処理することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明で言う海水とは、通常外洋、内海を問わず、海苔の養殖できる海水であり、その性質は瀬戸内海、有明海、東京湾等の場所によって異るが、その比重は1.018〜1.025の値の範囲に含まれているものが多く、本発明ではこのような比重の海水に真水と酸とを加えて海苔用処理液として、海苔の処理に使用するものである。
そして、真水としては、塩分を含まない水全般を用いることができ、例えば、水道水、地下水、雨水、またはこれらの精製水等の中から選ばれた1種または2種以上のものを用いることができる。
【0012】
酸としては、海苔用処理液のpHを調整するpH調整剤の役割を担うものである。そのような具体的な酸は、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸等の無機酸、リンゴ酸、クエン酸、乳酸、フマル酸、グルコン酸、マレイン酸、マロン酸、酒石酸、アクリル酸、クロトン酸、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸等のカルボン酸、フィチン酸、ホスホン酸等の有機リン酸等を用いることが可能である。そして、好ましくは、カルボン酸、無機酸を用いることが望ましい。
【0013】
前記酸の中でも好ましいのは、前記無機酸としては塩酸またはリン酸であり、前記カルボン酸としてはリンゴ酸、クエン酸、乳酸、グルコン酸、酒石酸、グルタル酸の中から選ばれた1種または2種以上のものであり、前記有機リン酸としてはフィチン酸である。混合酸を用いる場合にあっては、クエン酸、乳酸、グルコン酸、酒石酸、グルタル酸、塩酸、リン酸、フィチン酸のうちのいずれか1種または2種以上のものとリンゴ酸との混合酸や、乳酸、グルコン酸、酒石酸、グルタル酸、塩酸、リン酸、フィチン酸のうちのいずれか1種または2種以上のものとクエン酸との混合酸や、グルコン酸、酒石酸、グルタル酸、塩酸、リン酸、フィチン酸のうちのいずれか1種または2種以上のものと乳酸との混合酸や、グルコン酸、酒石酸、グルタル酸、塩酸、リン酸のうちのいずれか1種または2種以上のものとフィチン酸との混合酸や、塩酸とリン酸との混合酸を用いるのが好ましい。
【0015】
また、このような海苔を処理する海苔用処理液としては、例えば比重を1.002〜1.024に調整したものであり、好ましくは比重を1.005〜1.015に調整したものを用いる。比重が1.002未満の処理液を調整することは困難であり、また比重が1.025を越える値の処理液では、従来の処理と比較して海苔以外の藻類や赤腐れ病、白腐れ病の病害との防除効果が同程度である。しかしながらこれら値は必ずしも必須条件とはならず、海苔の養殖海域の海水及び真水の混合割合によって容易に変化するため、いちがいに限定することは困難である。
【0016】
そして、この海苔用処理液に含ませる海水及び真水の混合水中、真水の量としては20%〜80%を、酸としては、処理液pHを0.5〜5.0に調整する量であれば適当量添加することができ、好ましくは無機酸としては0.005〜5.0%を、有機酸としては0.01〜5.0%を含ませることができる。
【0017】
実際の処理方法として例えば海苔網を船上に引き上げて船内で処理液槽に浸漬する場合は、12t(トン)程度の容量の水槽を有する酸処理船に真水を約8t入れ、処理海域において海水2tと酸としての酸性処理剤原液100リットルを投入し、均一に混合して海苔用処理液とする。1分程度液切りを行った海苔網を前記処理液に浸漬し、液切りをした後海水中に戻す。これにより海苔網を効率よく処理することができる。
【0018】
また、例えばモグリ船といわれる専用の船を海苔網の下に潜らせて処理液を網の下に素通ししながら処理をする場合は、処理液槽に真水を1400リットル程度入れておき、処理海域において海水約600リットルと酸としての酸性処理剤原液20リットルを投入して処理液を作り、30秒程度で酸処理を行う。酸性処理剤原液を追加投入しながら連続して処理を行った場合は海苔網からの海水の持ち込みによって真水の割合が徐々に減少するとともに比重が徐々に上昇してしまうので、本発明による効果を奏しつつ連続処理するにはある程度限界があるが、それでも30〜40枚程度連続処理することが可能である。なお、連続処理後は処理液量が減少しているため、前記モグリ船に別途真水を積載しておき、この真水を処理液槽に追加投入して処理液内の真水割合及び処理液比重を当初の値とし、再度処理を開始するのが好ましい。
【0019】
【実施例および比較例】
本発明の詳細を具体的な実施例および比較例に基づき説明する。前記実施例および比較例においては、海水及び真水の混合水中における真水の量、加える酸、酸を加えた時のpH調整値のそれぞれを変化させて海苔用処理液を作製し、該処理液に海苔を浸漬する実験を行い、赤グサレ病及び珪藻についての防除効果を調べた。
下記の表1〜5にその結果を示す。赤グサレ病への効果、珪藻類の除去効果については、−〜100%の間で示し、−が全く効果なしとし、その%の値が高い程効果があるものとした。海苔への傷害度は、エリスロシンによる染色を行い、その染色率(%)を「葉体の染色率」として各表中に記載した。葉体の染色率は−〜100%とし、−は染色しなかった海苔であり、その%の値が高い程、染色されて海苔がより傷害を受けていることを示すものである。また。検鏡により細胞の傷み具合を観察し、「細胞の傷み具合」として各表中に記載した。細胞の傷み具合は○、△、×で表し、○は傷みなし、△はやや傷み有り、×は傷み有りとした。なお、判断しにくい場合は括弧を付して記した。ただし、実施例1、6〜8、13〜15、20〜22、27〜29、34〜36、41〜43、48〜50、55、56は参考例である。
【0020】
(実験1)
実験1としては、下記表1、2に示すように、海苔の養殖海域の海水と真水との混合水のうち、真水の割合が10〜100%となるよう調整し、これに塩酸を0.034〜0.052%加えてpHを0.5〜5.0の範囲内に調整した実施例1〜7と、養殖海域の海水のみに塩酸を加えてpHを0.5〜5.0の範囲内に調整した比較例1に関し、珪藻除去効果を調べる実験を行った。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
表1、2から明らかなように実施例1〜7においては30秒〜2分程度の短時間で優れた珪藻除去効果が得られた。また、このとき細胞の傷み具合は少ないものであった。一方、比較例1においては珪藻除去に少なくとも2分以上を要した。
【0024】
(実験2)
実験2としては、下記表3、4に示すように、海苔の養殖海域の海水と真水との混合水のうち、真水の割合が10〜100%となるよう調整し、これに塩酸を0.010〜0.022%加えてpHを0.5〜5.0の範囲内に調整した実施例8〜14と、養殖海域の海水のみに塩酸を加えてpHを0.5〜5.0の範囲内に調整した比較例2に関し、赤グサレ病への防除効果を調べる実験を行った。
【0025】
【表3】
【0026】
【表4】
【0027】
表3、4から明らかなように実施例8〜14においては30秒〜3分程度の短時間で優れた防除効果が得られた。また、このとき細胞の傷み具合は少ないものであった。一方、比較例2においては3分以内の処理時間では防除効果が十分ではなかった。
【0028】
(実験3)
実験3としては、下記表5、6に示すように、海苔の養殖海域の海水と真水との混合水のうち、真水の割合が10〜100%となるよう調整し、これにリンゴ酸を0.5%加えてpHを0.5〜5.0の範囲内に調整した実施例15〜21と、養殖海域の海水のみにリンゴ酸を加えてpHを0.5〜5.0の範囲内に調整した比較例3に関し珪藻除去効果の実験を行った。
【0029】
【表5】
【0030】
【表6】
【0031】
表5、6から明らかなように実施例15〜21においては1〜2分程度で優れた珪藻除去効果を得ることができた。また、このとき細胞の傷み具合は少ないものであった。一方、比較例3においては、2分以内の処理時間ではその除去効果が十分ではなかった。
【0032】
(実験4)
実験4としては、下記表7、8に示すように、海苔の養殖海域の海水と真水との混合水のうち、真水の割合が10〜100%となるよう調整し、これにリンゴ酸を0.5%加えてpHを0.5〜5.0の範囲内に調整した実施例22〜28と、養殖海域の海水のみにリンゴ酸を加えてpHを0.5〜5.0の範囲内に調整した比較例4、および前記真水の割合を100%とし、リンゴ酸を加えなかった比較例5に関し赤グサレ病への防除効果の実験を行った。
【0033】
【表7】
【0034】
【表8】
【0035】
表7、8から明らかなように実施例22〜28においては3分以内で優れた防除効果を得ることができた。また、このとき細胞の傷み具合は少ないものであった。一方、比較例4においてもその防除効果を3分以内の短時間で優れたものとすることができたが、処理時間が1分の場合を見ると、実施例のように真水を加えた場合と比較して前記防除効果が劣ることがわかった。さらにリンゴ酸を加えなかった比較例5では10分間処理してもその防除効果が十分ではなかった。
【0036】
(実験5)
実験5としては、下記表9、10に示すように、海苔の養殖海域の海水と真水との混合水のうち、真水の割合が10〜100%となるよう調整し、これに乳酸を0.25%加えてpHを0.5〜5.0の範囲内に調整した実施例29〜35と、養殖海域の海水のみに乳酸を加えてpHを0.5〜5.0の範囲内に調整した比較例6に関し珪藻除去効果の実験を行った。
【0037】
【表9】
【0038】
【表10】
【0039】
表9、10から明らかなように実施例29〜35においては30秒〜2分程度で優れた珪藻除去効果を得ることができた。また、このとき細胞の傷み具合は少ないものであった。一方、比較例6においては、2分以内の処理時間では除去効果が十分でなかった。
【0040】
(実験6)
実験6としては、下記表11、12に示すように、海苔の養殖海域の海水と真水との混合水のうち、真水の割合が10〜100%となるよう調整し、これに乳酸を0.25%加えてpHを0.5〜5.0の範囲内に調整した実施例36〜42と、養殖海域の海水のみに乳酸を加えてpHを0.5〜5.0の範囲内に調整した比較例7に関し赤グサレ病への防除効果の実験を行った。
【0041】
【表11】
【0042】
【表12】
【0043】
表11、12から明らかなように実施例36〜42においては10秒から1分程度で優れた防除効果を得ることができた。また、このとき細胞の傷み具合は少ないものであった。一方、比較例7においては30秒程度では十分な防除効果が得られなかった。
【0044】
(実験7)
実験7としては、下記表13、14に示すように、海苔の養殖海域の海水と真水との混合水のうち、真水の割合が10〜100%となるよう調整し、これに乳酸を0.3%とリンゴ酸0.1%を加えてpHを0.5〜5.0の範囲内に調整した実施例43〜49と、養殖海域の海水のみに乳酸を0.3%とリンゴ酸0.1%を加えてpHを0.5〜5.0の範囲内に調整した比較例8に関し珪藻除去効果の実験を行った。
【0045】
【表13】
【0046】
【表14】
【0047】
表13、14から明らかなように実施例43〜49においては10秒〜2分程度で優れた珪藻除去効果を得ることができた。また、このとき細胞の傷み具合は少ないものであった。一方、比較例8においても1分程度で80〜90%程度の除去効果を得ることができるが、30秒以内では除去効果が得られないことがわかった。
【0048】
(実験8)
実験8としては、下記表15〜18に示すように、海苔の養殖海域の海水と真水との混合水のうち、真水の割合が10〜100%となるよう調整し、これにクエン酸0.2%とリンゴ酸0.1%を加えてpHを0.5〜5.0の範囲内に調整した実施例50〜56と、養殖海域の海水のみに乳酸を加えてpHを0.5〜5.0の範囲内に調整した比較例9に関し赤グサレ病への防除効果の実験を行った。
【0049】
【表15】
【0050】
【表16】
【0051】
【表17】
【0052】
【表18】
【0053】
表15〜18から明らかなように実施例50〜56においては1〜10分程度で優れた防除効果を得ることができた。また、このとき細胞の傷み具合は少ないものであった。一方、比較例9においても2分程度で70〜80%程度の防除効果が得られたものの、3分以上処理してもその防除効果を格段に上昇させることはできなかった。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の海苔の処理方法及び海苔用処理液によれば、海苔の養殖海域の海水と真水との混合水中の前記真水の占める割合を10〜100%とし、これに酸を加えてpHを0.5〜5.0に調整して海苔用処理液とし、海苔または海苔が付着した養殖具を前記海苔用処理液に浸漬するので、極めて短時間の処理で、雑藻や赤グサレ病、壺状菌病に対して駆除または予防することが可能となり、船の処理液槽で処理する場合には、短時間で済むことから、冬季の荒れた海などでは、効率良く処理することができる。また、成分も無機塩類や酸を併用しているのでpHの使用域が広く、人体への悪影響も懸念することなく取り扱うことができる。また、マカライトグリーンや農薬等を使用していないので、食品としての海苔の品質に問題はなく、消費者へ安心した海苔を提供することができる。
Claims (12)
- 海苔の養殖海域の海水と真水との混合水中の前記真水の占める割合を60〜80%とし、これに酸(ただし、蟻酸、酢酸を除く)を加えてpHを0.5〜5.0に調整して海苔用処理液とし、海苔または海苔が付着した養殖具を前記海苔用処理液に浸漬することを特徴とする海苔の処理方法。
- 前記真水が、水道水、地下水、雨水、またはこれらの精製水の中から選ばれた1種または2種以上のものである請求項1記載の海苔の処理方法。
- 前記酸が、無機酸、カルボン酸、有機リン酸の中から選ばれた1種または2種以上のものである請求項1記載の海苔の処理方法。
- 前記無機酸が、硫酸、硝酸、塩酸、リン酸の中から選ばれた1種または2種以上のものである請求項3記載の海苔の処理方法。
- 前記無機酸が塩酸またはリン酸である請求項3記載の海苔の処理方法。
- 前記カルボン酸が、リンゴ酸、クエン酸、乳酸、フマル酸、グルコン酸、マレイン酸、マロン酸、酒石酸、アクリル酸、クロトン酸、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸の中から選ばれた1種または2種以上のものである請求項3記載の海苔の処理方法。
- 前記カルボン酸が、リンゴ酸、クエン酸、乳酸、グルコン酸、酒石酸、グルタル酸の中から選ばれた1種または2種以上のものである請求項3記載の海苔の処理方法。
- 前記有機リン酸が、フィチン酸、ホスホン酸の中から選ばれた1種または2種である請求項3記載の海苔の処理方法。
- 前記有機リン酸が、フィチン酸である請求項3記載の海苔の処理方法。
- 前記酸が、塩酸、リンゴ酸、クエン酸、乳酸の中から選ばれた1種または2種以上のものである請求項3記載の海苔の処理方法。
- 前記処理液の比重が1.005〜1.015である請求項1〜10いずれか記載の海苔の処理方法。
- 海苔の養殖海域の海水と真水との混合水中の前記真水の占める割合が60〜80%であり、これに酸(ただし、蟻酸、酢酸を除く)が加えられてpHが0.5〜5.0に調整されてなっている海苔用処理液。
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