JP3582483B2 - 養殖海苔の病害及び雑藻駆除用処理剤及び処理方法 - Google Patents

養殖海苔の病害及び雑藻駆除用処理剤及び処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、養殖海苔の病害や雑藻を駆除するための処理剤に関し、さらに詳しくは珪藻などの雑藻類や、赤腐れ病菌、白腐れ病菌、壺状菌などによる病害を駆除するための処理剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、養殖海苔の病害や雑藻を駆除するための処理方法や海苔用処理液としては、例えば特公昭56−12601号公報、特公昭60−31451号公報、特公昭60−31647号公報などに開示されたものがある。これらの従来技術は、いずれも海苔に付着する雑藻類や病害の防除、駆除を目的として各種有機酸や無機酸を用いて酸処理を行うものである。また、特開平9−201180号公報に開示された発明は、本出願人の先願であるが、これは、塩化ナトリウムや塩化マグネシウムなどの無機塩と酸とを用いて海水の比重を調整した処理液を用いて処理するというものである。上記のような酸を用いた従来の海苔の処理方法は、海苔に付着する雑藻類や病害の防除または駆除といった目的はある程度達成している。しかしながら、これら従来の酸処理技術のみでは必ずしも充分とはいえない場合がある。例えば、海苔表面に群生するタイプの珪藻類が多量に付着した場合には、海苔製品に一般に「はと糞」とよばれる緑色の斑点として現れる。しかし、上記したような従来の酸処理では、このような製品に影響を与えるような珪藻に対しては必ずしも十分な効果は期待できず、特に、モグリ船による処理や素通し処理などの短時間処理の場合や、海水温度の低い寒冷な地方においては、通常の酸処理では充分な効果は期待できない場合がある。そこで、病害や雑藻による被害が大きい場合には、多量の酸を使用する必要があるが、多量の酸の使用は海苔を傷めるおそれがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来の養殖海苔における病害や雑藻駆除の現状に鑑み、海苔を傷めることなく効果的に養殖海苔の病害及び雑藻を駆除しうる処理剤及び処理方法を提供せんとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、酸処理に際してサリチル酸を併用することで、養殖海苔の病害や珪藻などの雑藻を効果的に駆除することができ、しかも海苔を傷めることも少ないことを知見し、本発明を完成するに至った。
【0005】
即ち、本発明に係る養殖海苔の病害及び雑藻駆除用処理剤は、サリチル酸を0.0005重量%〜0.1重量%含有し、PHを1〜4の範囲に調整してなるものである。更に、乳酸や酢酸を併用することで、病害及び雑藻駆除効果が向上する。また、サリチル酸の代わりにサリチル酸のナトリウム塩あるいはサリチル酸エステルを用いることもできる。
【0006】
上記のような本発明に係る養殖海苔の病害及び雑藻駆除用処理剤は、海苔製品に出る前記「ハト糞」の主な原因である付着珪藻に対し充分な駆除効果を発揮する。また、使用時の処理液のPHが2.0程度でも充分な駆除効果を発揮できるため、海苔を傷めるといったおそれも少ない。
【0007】
本発明の処理剤には、前記サリチル酸の溶解助剤として、プロピレングリコール、エチレングリコール、ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、エチルアルコール、メチルアルコール及びイソプロピルアルコールなどを配合することができる。
【0008】
本発明の処理剤には、PH調整剤として乳酸及び酢酸以外の有機酸及び無機酸を配合してもよい。
【0009】
また、好ましい養殖海苔の処理方法では、サリチル酸を0.001重量%〜0.01重量%含有し、PHを1.5〜4の範囲に調整した処理液に、海苔または海苔が付着した海苔網などの養殖具を1〜20分間接触させる。
【0010】
他の好ましい養殖海苔の処理方法では、サリチル酸を0.005重量%〜0.05重量%含有し、PHを1〜2.5の範囲に調整した処理液に、海苔または海苔が付着した海苔網などの養殖具を30秒〜2分間接触させる。
【0011】
更に他の好ましい養殖海苔の処理方法では、サリチル酸を0.01重量%〜0.07重量%含有し、PHを1〜2.5の範囲に調整した処理液に、海苔または海苔が付着した海苔網などの養殖具を10秒〜30秒間接触させる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明に係る養殖海苔の病害及び雑藻駆除用処理剤は、海水などにサリチル酸、乳酸、酢酸、更にはPHを調整するための無機酸や有機酸を溶解した処理液として調製される。前記処理液に配合されるサリチル酸は、水に対する溶解度は小さく、乳酸や酢酸など他の酸と併用することで溶解性が向上するが、乳酸や酢酸などの濃度が低いと前記サリチル酸の溶解性が悪い場合がある。このような場合には、溶解助剤として、プロピレングリコール、エチレングリコール、ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、エチルアルコール、メチルアルコール及びイソプロピルアルコールなどを配合することが好ましい。この場合、処理液の調製に際しては、前記酢酸やプロピレングリコールなどの溶解助剤にサリチル酸を溶解したうえで、その他の成分と混合することが好ましい。
【0013】
また、本発明では、上記サリチル酸の代わりに、サリチル酸ナトリウム、あるいは、サリチル酸エチル、サリチル酸メチル、サリチル酸イソブチルあるいはサリチル酸n−ブチルのようなサリチル酸エステルを用いることもできる。前記サリチル酸ナトリウムの場合には、水には溶解するが、酸には溶解しないため、処理液の調製に際しては、サリチル酸ナトリウムを予め溶解させた水に酸を加えて混合することが好ましい。なお、前記乳酸及び酢酸以外に、ピルビン酸、プロピオン酸、蟻酸などをサリチル酸と併用しても、乳酸及び酢酸の場合と同様に養殖海苔の病害や雑藻の駆除効果を期待できる。
【0014】
上記のような本発明の病害及び雑藻駆除用処理剤による海苔の処理方法は特に限定されず、例えば、漬け込み処理といわれる方法では、前記処理液を船内の処理液槽などの容器に収容し、海中から引き上げた海苔、または海苔が付着した養殖具を、この処理液中に浸漬して該処理液に海苔を接触させる。この浸漬処理のような比較的長時間処理の場合に使用する処理液の濃度としては、サリチル酸が0.0005重量%〜0.03重量%、好ましくは0.001重量%〜0.01重量%の範囲となるように比較的低めの濃度に調整することが好ましい。また、乳酸や酢酸と併用する場合には、併用する乳酸や酢酸の濃度は0.01重量%〜0.1重量%、好ましくは0.03重量%〜0.1重量%の範囲とし、サリチル酸の濃度は0.001重量%〜0.01重量%、好ましくは0.001重量%〜0.005重量%の範囲とする。また、処理液への海苔の浸漬時間は、海苔の生育状態や珪藻その他の雑藻や病害の状況、処理剤に用いる酸の種類、それらの濃度、処理液のPH、更には処理時の温度にもよるが、通常の場合であれば1〜20分以内でよい。
【0015】
また、モグリ船などのように、海苔の養殖網の下に船を潜らせて、処理液に網を通しながら通過して該処理液に海苔を接触させることで比較的短時間で処理をすることもできる。このモグリ船による短時間処理の場合には、前記浸漬処理に較べて処理液の濃度を高めに設定することが好ましく、サリチル酸が0.0025重量%〜0.1重量%、好ましくは0.005重量%〜0.04重量%である。また乳酸や酢酸と併用する場合には、併用する乳酸や酢酸の濃度は0.1重量%〜1.0重量%、好ましくは0.2重量%〜1.0重量%の範囲とし、サリチル酸の濃度は0.01重量%〜0.05重量%、より好ましくは0.01重量%〜0.03重量%の範囲とする。このモグリ船などによる処理時間は30秒〜2分程度、通常の場合は40秒〜1分程度である。
【0016】
更に、一部の地域では、素通し処理といわれる方法があり、これは処理液を小型船内の処理液槽などの容器に収容し、海苔の養殖網の下に船を潜らせて処理液に海苔の養殖網を漬けながら通過することで該処理液に海苔を接触させる処理方法である。この素通し処理の場合には、更に処理液の濃度を高めに設定することが好ましく、サリチル酸が0.005重量%〜0.1重量%、好ましくは0.01重量%〜0.07重量%、また乳酸や酢酸と併用する場合には、併用する乳酸や酢酸の濃度は0.1重量%〜1.0重量%、好ましくは0.2重量%〜1.0重量%の範囲とし、サリチル酸の濃度は0.01〜0.1重量%、好ましくは0.01〜0.05重量%の範囲とする。この素通し処理による処理時間は通常10〜30秒程度である。
【0017】
上記の処理液は、塩酸、リン酸などを用いることで容易に所望のPHに調整することができる。PH調整用として用いられる酸としては、無機酸では、上記塩酸、リン酸の他、硫酸、硝酸などを用いることができる。また、有機酸では、リンゴ酸、クエン酸、フマール酸、グルコン酸、マレイン酸、マロン酸、蟻酸、酒石酸、アクリル酸、クロトン酸、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸などを挙げることができる。さらに、有機リン酸としてフィチン酸、重合リン酸としてメタリン酸、ポリリン酸などを用いることもできる。これらの酸は、単独でも、また2種以上のものを組み合わせて用いることもできる。これらの酸の使用量は、処理液のpHが、浸漬処理などの比較的長時間での処理の場合には、1.5〜4の範囲内、またモグリ船での処理や素通し処理などの比較的短時間での処理の場合には1〜2.5の範囲内となる量に調整することが好ましい。
【0018】
また、本発明の処理液には、必要に応じて栄養成分を添加することができる。添加される栄養成分としては、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硫酸アンモニウムなどのアンモニウム塩、硝酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、硫酸ナトリウムなどのナトリウム塩、硝酸カリウム、リン酸カリウム、硫酸カリウムなどのカリウム塩、グリシン、グルタミン酸、リジンなどのアミノ酸、植物性蛋白分解物、動物性蛋白分解物などの分解液などが挙げられる。これらの栄養成分は、サリチル酸と、乳酸や酢酸などの他の酸との混合時に同時に添加混合することもできるし、予めそれらのいずれかに添加しておいてもよい。更には、海水での希釈時に添加するようにしてもよい。
【0019】
【実施例】
[実験例1]
人工海水に、下記表1に示す処理剤成分を添加して混合し、各試験区の海苔用処理液を調製した。なお、処理液のPHは塩酸で2.0に調整した。これらの処理液に、珪藻が付着した塩化ビニル板を5分間浸漬して取り出した後、前記と同様の人工海水で洗滌(約20秒)したうえで、新たな人工海水に戻し、塩化ビニル板に付着している珪藻の駆除効果を判定した。珪藻の駆除効果の判定は、エリスロシン染色による珪藻の染色率を「−」〜「100%」の範囲で示し、「−」が全く効果がなく、その「%」が高いほど効果があるものとした。また、海苔葉体への影響を、エリスロシン染色による海苔葉体の染色率と検鏡により観察した芽の傷み具合で判定した。海苔葉体の染色率、および芽の傷み具合の判定は、以下のとおりである。すなわち、海苔葉体の染色率は、「−」〜「+++」の範囲で示し、「−」は全く傷みなし、「+」の数が多いほど傷みがひどいものとした。また、芽の傷み具合については、「○;傷みなし」、「△;やや傷みあり」、「×;傷みあり」とした。また、従来から市販の酸処理剤(W350;扶桑化学工業株式会社)及び塩酸のみの場合についても同様の実験を行った。結果を表1に示した。
【0020】
【表1】
Figure 0003582483
【0021】
表1の結果から明らかなように、サリチル酸、さらにはサリチル酸に乳酸を併用した処理液に海苔を浸漬処理することにより、高い珪藻駆除効果が得られた。なお、酸処理による海苔の芽傷みは、海苔の生長段階ごとの大きさや処理時の健全度合い、更には養殖地域によって比較的大きな差が見られる傾向があることから、上記芽の傷み具合の評価結果は相対的なものである。
【0022】
[実験例2]
人工海水に、下記表2に示す処理剤成分を添加して混合し、各試験区の海苔用処理液を調製した。なお、処理液のPHは塩酸で2.0に調整した。これらの処理液に、珪藻が付着した塩化ビニル板を10秒間浸漬して取り出した後、50秒放置し(合計1分)、その後、前記と同様の人工海水で洗滌(約20秒)したうえで、新たな人工海水に戻し、塩化ビニル板に付着している珪藻の駆除効果を調べた。また、海苔葉体への影響を、実験例1と同様にして判定した。結果を表2に示した。
【0023】
【表2】
Figure 0003582483
【0024】
実験例2はモグリ船による処理を想定した処理時間1分での処理であるが、表2の結果から明らかなように、サリチル酸、さらにはサリチル酸に乳酸や酢酸を併用した処理剤は、モグリ船を用いた処理と同様の短時間処理によっても、効果的に珪藻の駆除を行うことができる。
【0025】
[実験例3]
人工海水に、下記表3に示す処理剤成分を添加して混合し、各試験区の海苔用処理液を調製した。なお、処理液のPHは塩酸で調整した。これらの処理液に、珪藻が付着した塩化ビニル板を5秒間浸漬して取り出した後、10秒放置し(合計15秒)、その後、前記と同様の人工海水で洗滌(約20秒)したうえで、新たな人工海水に戻し、実験例1と同様に珪藻の駆除効果を調べた。また、海苔葉体への影響を、実験例1と同様にエリスロシン染色による海苔葉体の染色率と検鏡により観察した芽の傷み具合で判定した。また、市販の酸処理剤(Wダッシュ;扶桑化学工業株式会社)についても同様の実験を行った。結果を表3に示した。
【0026】
【表3】
Figure 0003582483
【0027】
実験例3は素通し処理を想定した処理時間15秒での処理であるが、表3の結果から明らかなように、サリチル酸、さらにはサリチル酸に乳酸を併用した処理剤は、モグリ船を用いた処理と同様の短時間処理によっても、効果的に珪藻の駆除を行うことができる。
【0028】
[実験例4]
サリチル酸ナトリウムを下記表4に示す濃度となるように人工海水に溶解した後、市販の酸処理剤(Wダッシュ、WクリーンFX;いずれも扶桑化学工業株式会社)を添加、混合して各試験区の100倍希釈処理液を調製した。これらの処理液に、珪藻が付着した塩化ビニル板を10秒間浸漬して取り出した後、50秒放置し(合計1分)、その後、前記と同様の人工海水で洗滌(約20秒)したうえで、新たな人工海水に戻し、実験例1と同様に珪藻の駆除効果を調べた。また、海苔葉体への影響を、実験例1と同様にして判定した。結果を表4に示した。
【0029】
【表4】
Figure 0003582483
【0030】
[実験例5]
サリチル酸ナトリウムを下記表5に示す濃度となるように人工海水に溶解した後、市販の酸処理剤(W350、W700;いずれも扶桑化学工業株式会社)を添加、混合して各試験区の100倍希釈処理液を調製した。これらの処理液に、珪藻が付着した塩化ビニル板を5分間浸漬して取り出した後、前記と同様の人工海水で洗滌(約20秒)したうえで、新たな人工海水に戻し、実験例1と同様に珪藻の駆除効果を調べた。また、海苔葉体への影響を、実験例1と同様にして判定した。結果を表5に示した。
【0031】
【表5】
Figure 0003582483
【0032】
表4、5の結果から明らかなように、従来からの酸処理剤にサリチル酸ナトリウムを併用することで、珪藻を効果的に駆除することができる。
【0033】
尚、実験例1、3、4及び5で使用した酸処理剤の配合は表6に示すとおりである。
【0034】
【表6】
Figure 0003582483
【0035】
[実験例6]
人工海水に、下記表7に示す処理剤成分を添加して混合し、各試験区の海苔用処理液を調製した。なお、処理液のPHは塩酸で調整した。これらの処理液に、珪藻が付着した塩化ビニル板を10秒間浸漬して取り出した後、50秒放置し(合計1分)、その後、前記と同様の人工海水で洗滌(約20秒)したうえで、新たな人工海水に戻し、実験例1と同様に珪藻の駆除効果を調べた。また、海苔葉体への影響を、実験例1と同様にして判定した。結果を表7に示した。
【0036】
【表7】
Figure 0003582483
【0037】
表7の結果から明らかなように、乳酸とサリチル酸エステル併用することで、効果的に珪藻を駆除することができる。
【0038】
[実験例7]
人工海水に、下記表8に示す処理剤成分を添加して混合し、各試験区の海苔用処理液を調製した。なお、処理液のPHは塩酸で調整した。これらの処理液(10℃)に、珪藻が付着した塩化ビニル板を10秒間浸漬して取り出した後、50秒放置し(合計1分)、その後、前記と同様の人工海水で洗滌(約20秒)したうえで、新たな人工海水に戻し、実験例1と同様に珪藻の駆除効果を調べた。更に、海苔葉体への影響を、実験例1と同様にして判定した。結果を表8に示した。
【0039】
【表8】
Figure 0003582483
【0040】
表8の結果から明らかなように、乳酸又は酢酸とサリチル酸を併用した場合には、乳酸又は酢酸とカプリル酸又はパラオキシ安息香酸エステルを併用した場合と同等又はそれ以上の珪藻駆除効果を有するとともに、海苔の傷みも少ない。
【0041】
〔実施例〕
以下の配合例1〜7に示す、養殖海苔の病害及び雑藻を駆除するための処理用製剤を調製した。各配合例の処理用製剤を海水で100倍に希釈して調整した処理液(10℃又は15℃)に、珪藻が付着した塩化ビニル板を10秒間浸漬して取り出した後、50秒放置し(合計1分)、その後、前記と同様の人工海水で洗滌(約20秒)したうえで、新たな人工海水に戻し、実験例1と同様に珪藻の駆除効果を調べた。また、海苔葉体への影響を、実験例1と同様にして判定した。結果を表9、表10に示した。
【0042】
(配合例1)
乳酸(80%溶液)40%、酢酸(90%溶液)20%、リン酸(75%溶液)10%、塩酸(35%)12%、サリチル酸1%及びプロピレングリコール17%を用い、酢酸とプロピレングリコールの混合液にサリチル酸を溶解し、これに乳酸、リン酸及び塩酸を加えて均一に混合して処理用製剤を調製した。
【0043】
(配合例2)
乳酸(80%溶液)50%、酢酸(90%溶液)15%、リン酸(75%溶液)10%、塩酸(35%)12%、サリチル酸1%及びプロピレングリコール12%を用い、酢酸とプロピレングリコールの混合液にサリチル酸を溶解し、これに乳酸、リン酸及び塩酸を加えて均一に混合して処理用製剤を調製した。
【0044】
(配合例3)
乳酸(80%溶液)60%、酢酸(90%溶液)15%、リン酸(75%溶液)10%、塩酸(35%)6%、サリチル酸1%及びプロピレングリコール8%を用い、酢酸とプロピレングリコールの混合液にサリチル酸を溶解し、これに乳酸、リン酸及び塩酸を加えて均一に混合して処理用製剤を調製した。
【0045】
(配合例4)
乳酸(80%溶液)60%、酢酸(90%溶液)20%、リン酸(75%溶液)10%、塩酸(35%溶液)6%、サリチル酸1%及びプロピレングリコール3%を用い、酢酸とプロピレングリコールの混合液にサリチル酸を溶解し、これに乳酸、リン酸及び塩酸を加えて均一に混合して処理用製剤を調製した。
【0046】
(配合例5)
乳酸(80%溶液)40%、酢酸(90%溶液)20%、リン酸(75%溶液)10%、塩酸(35%溶液)6%、サリチル酸1.5%及びプロピレングリコール22.5%を用い、酢酸とプロピレングリコールの混合液にサリチル酸を溶解し、これに乳酸、リン酸及び塩酸を加えて均一に混合して処理用製剤を調製した。
【0047】
(配合例6)
乳酸(80%溶液)50%、酢酸(90%溶液)20%、リン酸(75%溶液)10%、塩酸(35%)6%、サリチル酸1.5%及びプロピレングリコール12.5%を用い、酢酸とプロピレングリコールの混合液にサリチル酸を溶解し、これに乳酸、リン酸及び塩酸を加えて均一に混合して処理用製剤を調製した。
【0048】
(配合例7)
乳酸(80%溶液)40%、酢酸(90%溶液)15%、リン酸(75%溶液)10%、塩酸(35%)6%、サリチル酸2%及びプロピレングリコール27%を用い、酢酸とプロピレングリコールの混合液にサリチル酸を溶解し、これに乳酸、リン酸及び塩酸を加えて均一に混合して処理用製剤を調製した。
【0049】
【表9】
Figure 0003582483
【0050】
【表10】
Figure 0003582483
【0051】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、養殖海苔の処理に際して、海苔を傷めることなく、従来の酸処理に較べてより効果的に珪藻などの雑藻や病害を駆除することができる。

Claims (8)

  1. サリチル酸を0.0005重量%〜0.1重量%含有し、PHを1〜4の範囲に調整してなる養殖海苔の病害及び雑藻駆除用処理剤。
  2. 乳酸及び酢酸の少なくとも一方を配合してなる請求項1記載の養殖海苔の病害及び雑藻駆除用処理剤。
  3. サリチル酸の代わりにサリチル酸ナトリウムまたはサリチル酸エステルを用いてなる請求項1又は2記載の養殖海苔の病害及び雑藻駆除用処理剤。
  4. 前記サリチル酸の溶解助剤として、プロピレングリコール、エチレングリコール、ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、エチルアルコール、メチルアルコール及びイソプロピルアルコールよりなる群の内から選択される少なくとも1種を配合してなる請求項1〜3のいずれかに記載の養殖海苔の病害及び雑藻駆除用処理剤。
  5. PH調整剤として乳酸及び酢酸以外の有機酸及び無機酸の少なくとも1種を配合してなる請求項1〜4のいずれかに記載の養殖海苔の病害及び雑藻駆除用処理剤。
  6. サリチル酸を0.001重量%〜0.01重量%含有し、PHを1.5〜4の範囲に調整した処理液に、海苔または海苔が付着した海苔網などの養殖具を1〜20分間接触させることを特徴とする養殖海苔の処理方法。
  7. サリチル酸を0.005重量%〜0.05重量%含有し、PHを1〜2.5の範囲に調整した処理液に、海苔または海苔が付着した海苔網などの養殖具を30秒〜2分間接触させることを特徴とする養殖海苔の処理方法。
  8. サリチル酸を0.01重量%〜0.07重量%含有し、PHを1〜2.5の範囲に調整した処理液に、海苔または海苔が付着した海苔網などの養殖具を10秒〜30秒間接触させることを特徴とする養殖海苔の処理方法。
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