JP3609773B2 - 養殖海苔用処理剤並びに養殖海苔用処理液及び養殖海苔の処理方法 - Google Patents

養殖海苔用処理剤並びに養殖海苔用処理液及び養殖海苔の処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は養殖海苔用処理剤並びに養殖海苔用処理液及び養殖海苔の処理方法に関し、その目的は、赤腐れ病菌、白腐れ病菌、壺状菌などの養殖海苔の病害や珪藻などの雑藻を駆除することができる養殖海苔用処理剤並びに養殖海苔用処理液及び養殖海苔の処理方法を提供することにある。
【0002】
【従来の技術】
海苔の養殖において、海苔葉体や海苔網にアオノリ、アオサ、珪藻などの雑藻や細菌類が付着すると、海苔葉体の成長や胞子の付着を妨げたり、また白腐れ病、赤腐れ病、壺状菌病などの病害が発症したりして、海苔の養殖に甚大な被害を与える。
従来、このような雑藻類を駆除して病害の発症を予防するための海苔用処理剤及び処理方法に関する技術としては、例えば、特公昭56−12601号公報、特公昭60−31451号公報、特開平9−201180号公報に記載のものが知られている。
【0003】
特公昭56−12601号公報には、炭素数1〜4の飽和脂肪族モノカルボン酸、炭素数2〜4の飽和又は不飽和ジカルボン酸、グリコール酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸のうちの一種以上の有機カルボン酸を有効成分とする海苔用処理剤が記載されている。
特公昭60−31451号公報には、海苔や海苔が付着した養殖具を、有機酸を0.3〜15重量%含み、且つpHが1.0〜4.0に調整された処理液に浸漬させることにより、雑藻、病害の駆除、予防を行う海苔の養殖方法が記載されている。
特開平9−201180号公報には、海水に無機塩類と酸とを加えて、比重を1.001〜1.060に調整し、且つpHを0.5〜3.0に調整した海苔用処理剤が記載されている。
【0004】
上記の海苔用処理剤や処理方法は、いずれも有効成分として有機酸を使用してpHを酸性域に調整した酸処理剤を使用する技術である。これらの酸処理剤は、雑藻類や病害の駆除、予防にある一定の効果が得られた。しかし、これらの酸処理剤による処理では、十分な効果が得られない場合があった。
例えば、海苔表面に群生するタイプの珪藻類(タビュラリア)が大量に付着した場合、海苔製品に一般に「ハト糞」と呼ばれる緑色の斑点が発生して、商品価値を大きく低下させた。上記したような従来の酸処理剤では、このような珪藻類に対しては、十分な効果は期待できなかった。特に、モグリ船による短時間処理の場合や海水温度の低い寒冷な地域においては、十分な効果を期待することはできなかった。
【0005】
一方、上記の海苔用処理剤の他にも、特開昭62−99302号公報や特開昭63−230608号公報に開示されているようなパラオキシ安息香酸エステルを有効成分とする海苔用処理剤が知られている。特開昭62−99302号公報や特開昭63−230608号公報には、パラオキシ安息香酸エステル、これを乳化することのできる乳化剤を含有する海苔用処理剤が記載されている。
このようなパラオキシ安息香酸エステルを有効成分とする海苔用処理剤は、雑藻の駆除や病害の予防に有効であり、特に上記のような酸処理剤では十分に駆除することができなかった「ハト糞」の原因となる珪藻類も効果的に駆除することができた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開昭62−99302号公報や特開昭63−230608号公報に記載された海苔用処理剤には以下のような問題があった。
まず、通常の場合、この処理剤は、従来の酸処理剤と併用して使用するが、有効成分であるパラオキシ安息香酸エステルは安定性が悪く、時間の経過とともに酸成分により加水分解されてしまい、長期間効果を維持することができなかった。
また、有効成分であるパラオキシ安息香酸エステルは水に溶解しにくいために、乳化剤が使用されている。この乳化状態の処理剤は、粘度が高いためにポンプでの移送が困難となり、取扱い性に問題があった。また相分離が生じやすいために、頻繁に処理液を攪拌しなければならず、作業が煩雑となった。特に、養殖海苔の処理が行われる冬季には、粘度の上昇や相分離の問題はより顕著となり、取扱い性や作業性を一層悪化させた。
【0007】
本発明は、赤腐れ病菌、白腐れ病菌、壺状菌などの養殖海苔の病害や珪藻などの雑藻を駆除することができるとともに、従来の酸処理剤では駆除することができなかった「ハト糞」の原因となる珪藻類も効果的に駆除することができ、しかも有効成分の安定性が高く、長期間一定の効果を持続することができて取扱い性や作業性も良好な養殖海苔用処理剤並びに養殖海苔用処理液及び養殖海苔の処理方法を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
即ち、請求項1に係る発明は、乳酸及び/又は酢酸と、有効成分として、(c)桂皮酸、そのエステル及びその塩と、
以下の(a)及び/又は(d)の成分を含有してなることを特徴とする養殖海苔用処理剤に関する。
(a)炭素数6〜14の飽和脂肪酸、そのエステル及びその塩
(d)サリチル酸、そのエステル及びその塩
【0009】
請求項2に係る発明は、乳酸及び/又は酢酸と、有効成分として、(a)炭素数6〜14の飽和脂肪酸及びその塩と、以下の(b)〜(d)の成分のうちの少なくとも1種以上を含有してなることを特徴とする養殖海苔用処理剤に関する。
(b)安息香酸、そのエステル及びその塩
(c)桂皮酸、そのエステル及びその塩
(d)サリチル酸、そのエステル及びその塩
請求項3に係る発明は、乳酸及び/又は酢酸と、有効成分として、(a)炭素数6〜14の飽和脂肪酸、そのエステル及びその塩と、以下の(c)及び(d)の成分のうちの少なくとも1種以上を含有してなることを特徴とする養殖海苔用処理剤に関する。
(c)桂皮酸、そのエステル及びその塩
(d)サリチル酸、そのエステル及びその塩
【0010】
請求項に係る発明は、乳酸及び/又は酢酸と、有効成分として、(d)サリチル酸、そのエステル及びその塩と、以下の(b)及び/又は(c)の成分を含有してなることを特徴とする養殖海苔用処理剤に関する。
(b)安息香酸、そのエステル及びその塩
(c)桂皮酸、そのエステル及びその塩
【0011】
請求項に係る発明は、乳酸及び/又は酢酸と、有効成分として、(a)炭素数6〜14の飽和脂肪酸、そのエステル及びその塩と、(d)サリチル酸、そのエステル及びその塩と、以下の(b)及び/又は(c)の成分を含有してなることを特徴とする養殖海苔用処理剤に関する。
(b)安息香酸、そのエステル及びその塩
(c)桂皮酸、そのエステル及びその塩
【0012】
請求項に係る発明は、乳酸及び/又は酢酸と、有効成分として、少なくとも、(a)炭素数6〜14の飽和脂肪酸、そのエステル及びその塩と、(b)安息香酸、そのエステル及びその塩と、(c)桂皮酸、そのエステル及びその塩を含有してなることを特徴とする養殖海苔用処理剤に関する。
【0013】
請求項に係る発明は、溶解補助剤として、プロピレングリコール、エチレングリコール、ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、エタノール、メタノール、イソプロパノールのうちから選択された一種以上が含有されてなることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の養殖海苔用処理剤に関する。
【0014】
請求項に係る発明は、前記請求項1乃至のいずれかに記載の養殖海苔用処理剤を、水及び/又は海水で希釈してなることを特徴とする養殖海苔用処理液に関する。
請求項に係る発明は、溶解補助剤として、ポリビニルアルコール及び/又は界面活性剤を含有してなることを特徴とする請求項に記載の養殖海苔用処理液に関する。
請求項10に係る発明は、pHが1〜4に調整されてなることを特徴とする請求項8又は9に記載の養殖海苔用処理液に関する。
【0015】
請求項11に係る発明は、請求項8乃至10のいずれかに記載の養殖海苔用処理液に、海苔又は海苔が付着した海苔網などの養殖具を所要時間接触させることを特徴とする養殖海苔の処理方法に関する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る養殖海苔用処理剤並びに養殖海苔用処理液及び養殖海苔の処理方法について説明する。本発明に係る養殖海苔用処理剤(以下、単に処理剤という。)は、有効成分として、(a)炭素数6〜14の飽和脂肪酸、そのエステル及びその塩、(b)安息香酸、そのエステル及びその塩、(c)桂皮酸、そのエステル及びその塩、(d)サリチル酸、そのエステル及びその塩、の(a)〜(d)のうちの1種以上を含有する。
【0017】
(a)炭素数6〜14の飽和脂肪酸、そのエステル及びその塩
炭素数6〜14の飽和脂肪酸としては、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸等を例示することができる。
また炭素数6〜14の飽和脂肪酸のエステルとしては、前記飽和脂肪酸のグリセリンエステル、ポリグリセリンエステル、ソルビタンエステル、プロピレングリコールエステル等を例示することができ、溶解性や臭気の点でグリセリンエステルやポリグリセリンエステルを使用することが好ましい。
具体的には、カプリル酸グリセリド、モノ・ジカプリル酸ヘキサグリセリン、モノカプリル酸デカグリセリン、カプリン酸グリセリド、モノラウリン酸ヘキサグリセリン、モノラウリン酸デカグリセリン、モノラウリン酸トリグリセリン、モノラウリン酸ペンタグリセリン、ミリスチン酸グリセリド、モノミリスチン酸トリグリセリン、モノミリスチン酸ペンタグリセリン、カプロン酸アミル、カプロン酸アリル、カプロン酸イソアミル、カプロン酸エチル、カプロン酸ヘキシル、カプリル酸アリル、カプリル酸イソアリル、カプリル酸エチル、カプリル酸ヘキシル、ペラルゴン酸エチルなどを例示することができる。
また炭素数6〜14の飽和脂肪酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニム塩等を例示することができる。この中でもナトリウム塩が好ましい。
特に本発明では、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、それらのエステル及び塩を使用することが好ましく、溶解性の観点から、特に、カプリル酸、カプリル酸エステル、カプリル酸塩を使用することが好ましい。
本発明では、前記した炭素数6〜14の飽和脂肪酸、そのエステル及びその塩のうちの一種を単独で含有させることもでき、二種以上を混合して含有させることもできる。
尚、以下、特に断らない限り、炭素数6〜14の飽和脂肪酸、そのエステル及びその塩のことを、単に(a)成分という。
【0018】
(a)成分は、特に、「ハト糞」の原因となる珪藻に対して十分な防除又は駆除効果を発揮することができる。(a)成分は乳酸や酢酸などの酸成分と混合した状態で長期間保管しても病害や雑藻に対する防除又は駆除効果が低下することがない。また、使用時のpHが2.0程度であっても十分な効果を発揮することができる。
【0019】
(b)安息香酸、そのエステル及びその塩
安息香酸のエステルとしては、安息香酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸ブチル、安息香酸プロピル、安息香酸イソプロピルなどを例示することができる。また安息香酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩などを例示することができる。
特に本発明では、安息香酸ナトリウム、安息香酸アンモニウム、安息香酸エチルを使用することが好ましい。
本発明では、前記した安息香酸、そのエステル及びその塩のうちの一種を単独で含有させることもでき、二種以上を混合して含有させることもできる。
尚、以下、特に断らない限り、安息香酸、そのエステル及びその塩のことを、単に(b)成分という。
【0020】
(b)成分は、(a)成分より海苔葉体に悪影響を与えることが少ないので、(a)成分をはじめ他の有効成分と混合して使用することで、海苔葉体に悪影響を与えることなく、しかも病害や雑藻を駆除、予防する高い効果を有する処理剤を得ることができる。
【0021】
(c)桂皮酸、そのエステル及びその塩
桂皮酸のエステルとしては、桂皮酸エチル、桂皮酸メチル、桂皮酸ベンジルなどを例示することができる。桂皮酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩などを例示することができる。
特に本発明では、桂皮酸ナトリウム、桂皮酸エチル、桂皮酸メチルを使用することが好ましい。
本発明では、前記した桂皮酸、そのエステル及びその塩のうちの一種を単独で含有させることもでき、二種以上を混合して含有させることもできる。
尚、以下、特に断らない限り、桂皮酸、そのエステル及びその塩のことを、単に(c)成分という。
(c)成分は、特に壺状菌に対して、優れた駆除効果を発揮することができる。
【0022】
(d)サリチル酸、そのエステル及びその塩
サリチル酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等を例示することができる。サリチル酸の塩は、水には溶解するが酸には溶解しにくいために、処理剤調製の際には、サリチル酸の塩を水に予め溶解した後に、酸を加えて混合することが好ましい。
またサリチル酸のエステルとしては、サリチル酸メチル、サリチル酸エチル、サリチル酸イソブチル、サリチル酸n−ブチル等を例示することができる。
特に本発明では、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸エチル、サリチル酸ブチルを使用することが好ましい。
本発明では、前記したサリチル酸、そのエステル及びその塩のうちの一種を単独で含有させることもでき、二種以上を混合して含有させることもできる。
尚、以下、特に断らない限り、サリチル酸、そのエステル及びその塩のことを、単に(d)成分という。
【0023】
(d)成分は、「ハト糞」の原因である珪藻類に対して優れた駆除効果を発揮することができる。また実際に使用するときのpHが比較的高い場合であっても、十分な駆除効果を発揮することができる。さらに、海苔葉体に悪影響を与えることがなく、高い安全性を有する。
【0024】
上記した(a)〜(d)成分の四種の有効成分は、処理剤に単独で含有させることもできるが、(a)〜(d)成分のうちの二種以上の有効成分を混合して含有させることもできる。四種の中から二種を選択して含有させる場合、全ての組み合わせにおいて雑藻の駆除や病害の予防に効果があるが、その中でも好ましい組み合わせとしては、(a)成分と、(b)成分,(c)成分,(d)成分のうちから選択された一種の組み合わせが好ましい。この理由は、(a)成分は「ハト糞」と呼ばれる症状の原因である珪藻類(タビュラリア)に対する効果が高く、これに(b)成分,(c)成分,(d)成分のいずれかを加えることで、壺状菌や前述の珪藻類(タビュラリア)以外の珪藻類に対する優れた駆除効果が得られるからである。特に、(a)成分に(b)成分を加えることが好ましい。この理由は、(b)成分は海苔葉体に悪影響を与える心配が少ないので、両者を併用することで、珪藻類の高い駆除効果を維持しながら、海苔葉体に対して高い安全性を有する駆除剤を得ることができるからである。
また、(d)成分に加えて、(b)成分又は(c)成分の一方を含有させる組み合わせも好ましい。この理由は、(d)成分は(a)成分と同様に「ハト糞」と呼ばれる症状の原因の珪藻類(タビュラリア)に対する効果が高く、これに(b)成分又は(c)成分を加えることで、壺状菌や前述の珪藻類(タビュラリア)以外の珪藻類に対する優れた駆除効果が得られるからである。また(d)成分は、他の有効成分と比較して、海苔に対する影響が発生しにくく、高い安全性を有するからである。さらには、他の有効成分と比較して、処理液中の有効成分の濃度や処理温度の影響を受けにくいからである。
【0025】
また、上記四種の有効成分のうち、三種の有効成分を選択して含有させる場合、全ての組み合わせにおいて雑藻の駆除や病害の予防に効果があるが、(a)成分及び(d)成分に、(b)及び/又は(c)成分を含有させる組み合わせが好ましい。この理由は、海苔葉体に対して悪影響を与えることがなく、しかも珪藻類や壺状菌などに対する高い駆除効果を有するからである。特に好ましい組み合わせとしては、(a)成分、(b)成分及び(c)成分の組み合わせである。
さらに、四種の全てを選択して含有させた場合は、上記三種の場合に比べて、さらに高い駆除効果を得ることができる。
【0026】
上記した四種の有効成分には、必要に応じて後述するような各種添加剤や溶媒が添加されて本発明に係る養殖海苔用処理剤とされる。処理剤中の有効成分の含有量は、使用する有効成分の種類又はその組み合わせに応じて適宜調整することができるが、通常の場合、処理剤全量中、有効成分の合計の含有量が、0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%、より好ましくは0.5〜3重量%とされる。
さらに、各有効成分を単独で含有させる場合の、各有効成分の好ましい含有量は、以下のとおりである。
(a)成分の含有量は、処理剤全量中、0.1〜3重量%、好ましくは0.5〜2重量%とされる。
(b)成分の含有量は、処理剤全量中、0.1〜5重量%、好ましくは0.5〜3重量%とされる。
(c)成分の含有量は、処理剤全量中、0.1〜3重量%、好ましくは0.1〜2重量%とされる。
(d)成分の含有量は、処理剤全量中、0.1〜5重量%、好ましくは0.5〜3重量%とされる。
【0027】
さらに各有効成分を組み合わせて使用した場合の各有効成分の含有量について説明すると、(a)成分と、(b)成分,(c)成分,(d)成分のうちから選択された一種の有効成分を組み合わせて使用する場合、(a)成分の含有量は特に限定されないが、処理剤全量中、0.1〜2.5重量%、好ましくは0.5〜2.0重量%とされる。
また(a)成分に加えて(b)成分を含有させる場合、その含有量は特に限定されないが、処理剤全量中、0.1〜3.0重量%、好ましくは0.5〜2.0重量%とされる。(c)成分を含有させる場合、その含有量は特に限定されないが、処理剤全量中、0.1〜2.0重量%、好ましくは0.1〜1.0重量%とされる。(d)成分を含有させる場合、その含有量は特に限定されないが、処理剤全量中、0.1〜4重量%、好ましくは0.5〜2重量%とされる。
【0028】
また(d)成分に加えて、(b)成分又は(c)成分の一方を含有させる場合、(d)成分の含有量は特に限定されないが、処理剤全量中、0.1〜4重量%、好ましくは0.5〜2重量%とされる。また(b)成分を含有させる場合、その含有量は特に限定されないが、処理剤全量中、0.1〜3.0重量%、好ましくは0.5〜2.0重量%とされる。(c)成分を含有させる場合、その含有量は特に限定されないが、処理剤全量中、0.1〜2.0重量%、好ましくは0.1〜1.0重量%とされる。
【0029】
(a)成分、(b)成分及び(c)成分の三種を含有させる場合、(a)成分の含有量は特に限定されないが、処理剤全量中、0.1〜2.0重量%、好ましくは0.1〜1.5重量%とされる。
また(b)成分の含有量は特に限定されないが、処理剤全量中、0.1〜3.0重量%、好ましくは0.1〜2.0重量%とされる。
(c)成分の含有量は特に限定されないが、処理剤全量中、0.1〜2.0重量%、好ましくは0.1〜1.0重量%とされる。
【0030】
(a)成分、(b)成分、(c)成分及び(d)成分の四種を含有させる場合、(a)成分の含有量は特に限定されないが、処理剤全量中、0.1〜2.0重量%、好ましくは0.1〜1.0重量%とされる。
(b)成分の含有量は特に限定されないが、処理剤全量中、0.1〜3.0重量%、好ましくは0.1〜2.0重量%とされる。
(c)成分の含有量は特に限定されないが、処理剤全量中、0.1〜1.0重量%、好ましくは0.1〜0.5重量%とされる。
(d)成分の含有量は特に限定されないが、処理剤全量中、0.1〜3.0重量%、好ましくは0.1〜2.0重量%とされる。
【0031】
さらに、本発明に係る処理剤には、上述した有効成分に加えて、以下に述べる成分を適宜任意に含有させることができる。
上記した(a)〜(d)成分は、種類によっては、水に対する溶解度が小さく、十分水に溶解しない場合がある。このような場合は、ピルビン酸、プロピオン酸、ギ酸、酢酸、乳酸などの有機酸と併用することで溶解性を高めることができる。これらの有機酸を含有させる場合、単独で含有させることもでき、二種以上を混合して含有させることもできる。特にこれらの有機酸のうちで、好ましく用いられるのは、酢酸又は乳酸である。この理由は、乳酸や酢酸は、それぞれ雑藻や病害の駆除、予防効果を有するために、乳酸や酢酸を併用することで、前述の四種の有効成分の含有量を低下させることができる。しかも、より短時間での処理が可能となる。
これらの有機酸を含有させる場合、その含有量は特に限定されないが、処理剤全量中、5〜90重量%、好ましくは40〜90重量%、より好ましくは50〜80重量%とされる。この理由は、5重量%未満の含有量では、有効成分を水に溶解できない場合があり、また90重量%を超えて含有させても、効果と海苔葉体への影響のバランスや製剤のコスト面で不利であるために、いずれの場合も好ましくないからである。
【0032】
また上記した有機酸を含有しても、有機酸の濃度が低い場合は上記した(a)〜(d)成分が十分水に溶解しない場合がある。このような場合、溶解助剤を含有させることができる。溶解助剤としては、プロピレングリコール、エチレングリコール、ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、エタノール、メタノール、イソプロパノールなどを例示することができる。
このような溶解助剤を配合することで、上述の有機酸の含有量を低下させることができ、海苔に対する悪影響を低下させることができる。
溶解助剤を含有させる場合、その含有量は特に限定されないが、0〜50重量%以下、好ましくは0〜30重量%以下とされる。この理由は、50重量%を超えて含有させることより、有効成分の溶解力を有する乳酸や酢酸を多く含有させるほうが、安価で効果的な製剤が得られるからである。
【0033】
本発明に係る処理剤は、無機塩類を配合することができる。無機塩類を配合することで、特に壺状菌による病害や雑藻類の処理効果が向上するために、有効成分の含有量を低減することができる。また海苔に対する傷害を低減することができる。
用いられる無機塩類としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム塩類、鉄塩類等を例示することができる。具体的には、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸マグネシウム、硝酸アンモニウム、硝酸カルシウム、塩化鉄、硫酸鉄、硝酸鉄などを例示することができる。
尚、無機塩類を添加する場合、後述するように処理剤を希釈して得られる処理液の比重を、1.03〜1.20、更には1.03〜1.13の範囲に調整することが好ましい。この理由は、比重が1.03未満の場合、無機塩類を添加することによる効果が発揮されにくく、また比重が1.20を超える場合、比重が高くなりすぎて海苔を傷める可能性があるからである。
【0034】
以上説明した本発明に係る処理剤は、実際の海苔処理の際には、必要に応じて水又は海水等で希釈されて、本発明に係る養殖海苔用処理液(以下、単に処理液という。)として使用される。処理剤の希釈は、処理方法や有効成分の種類、或いは海水の温度等に応じて適宜調整すればよいが、通常の場合、有効成分の合計の濃度が、処理液全量中、0.001〜0.1重量%、好ましくは0.005〜0.05重量%、より好ましくは0.005〜0.03重量%、となるように、水又は海水等で希釈すればよい。
【0035】
さらに各有効成分を組み合わせて使用した場合の各有効成分の含有量について説明すると、(a)成分と、(b)成分,(c)成分,(d)成分のうちから選択された一種の有効成分を組み合わせて使用する場合、(a)成分の含有量は特に限定されないが、処理液全量中、0.001〜0.03重量%、好ましくは0.005〜0.02重量%となるように、水又は海水等で希釈すればよい。
また(a)成分に加えて(b)成分を含有させる場合、その含有量は特に限定されないが、処理液全量中、0.001〜0.03重量%、好ましくは0.005〜0.02重量%となるように、水又は海水等で希釈すればよい。(c)成分を含有させる場合、その含有量は特に限定されないが、処理液全量中、0.001〜0.02重量%、好ましくは0.001〜0.01重量%となるように、水又は海水等で希釈すればよい。(d)成分を含有させる場合、その含有量は特に限定されないが、処理液全量中、0.001〜0.04重量%、好ましくは0.005〜0.02重量%となるように、水又は海水等で希釈すればよい。
【0036】
また(d)成分に加えて、(b)成分又は(c)成分の一方を含有させる場合、(d)成分の含有量は特に限定されないが、処理液全量中、0.001〜0.04重量%、好ましくは0.005〜0.02重量%となるように、水又は海水等で希釈すればよい。また(b)成分を含有させる場合、その含有量は特に限定されないが、処理液全量中、0.001〜0.03重量%、好ましくは0.005〜0.02重量%となるように、水又は海水等で希釈すればよい。(c)成分を含有させる場合、その含有量は特に限定されないが、処理液全量中、0.001〜0.02重量%、好ましくは0.001〜0.01重量%となるように、水又は海水等で希釈すればよい。
【0037】
(a)成分、(b)成分及び(c)成分の三種を含有させる場合、(a)成分の含有量は特に限定されないが、処理液全量中、0.001〜0.02重量%、好ましくは0.001〜0.015重量%となるように、水又は海水等で希釈すればよい。
また(b)成分の含有量は特に限定されないが、処理液全量中、0.001〜0.03重量%、好ましくは0.005〜0.02重量%となるように、水又は海水等で希釈すればよい。
(c)成分の含有量は特に限定されないが、処理液全量中、0.001〜0.02重量%、好ましくは0.001〜0.01重量%となるように、水又は海水等で希釈すればよい。
【0038】
(a)成分、(b)成分、(c)成分及び(d)成分の四種を含有させる場合、(a)成分の含有量は特に限定されないが、処理液全量中、0.001〜0.02重量%、好ましくは0.001〜0.01重量%となるように、(b)成分の含有量は特に限定されないが、処理液全量中、0.001〜0.03重量%、好ましくは0.001〜0.02重量%となるように、(c)成分の含有量は特に限定されないが、処理液全量中、0.001〜0.01重量%、好ましくは0.001〜0.005重量%となるように、(d)成分の含有量は特に限定されないが、処理液全量中、0.001〜0.03重量%、好ましくは0.005〜0.02重量%となるように、水又は海水等で希釈すればよい。
【0039】
尚、上記の希釈の際に、有効成分である、(a)成分、(b)成分、(c)成分、(d)成分の種類や濃度によっては、これらの溶解性が低下して、析出する場合がある。このような場合、処理液に溶解助剤を添加することができる。溶解助剤としては、ポリビニルアルコールや界面活性剤を例示することができる。界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルアミン、アルキルジアミン、アルキルアミンEO付加物、アルキルジアミンEO付加物、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等を例示することができる。
【0040】
さらに本発明に係る処理液は、pH調整剤により所要のpHに調整することができる。用いられるpH調整剤としては、無機酸、有機酸、有機燐酸などを例示することができ、無機酸としては、塩酸、燐酸、硫酸、硝酸などを例示することができる。有機酸としては、リンゴ酸、クエン酸、フマール酸、グルコン酸、マレイン酸、マロン酸、ギ酸、酒石酸、アクリル酸、クロトン酸、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸等を例示することができる。有機燐酸としては、フィチン酸、メタリン酸、ポリリン酸などを例示することができる。
本発明に係る処理液のpHは、含有する有効成分の種類や含有量、或いは処理方法の違いによって適宜調整することができるが、1〜4程度に調整することが好ましい。また後述するモグリ船処理の場合、1〜2.5、好ましくは1.8〜2.5程度とされる。
尚、前述のpH調整剤は予め処理剤に添加しておくこともできる。
【0041】
さらに本発明に係る処理液は、必要に応じて栄養成分を添加することができる。用いられる栄養成分としては、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、燐酸アンモニウム、硫酸アンモニウムなどのアンモニウム塩、硝酸カリウム、燐酸カリウム、硫酸カリウム等のカリウム塩、硝酸ナトリウム、燐酸ナトリウム、硫酸ナトリウム等のナトリウム塩、グリシン、グルタミン酸、リジンなどのアミノ酸、植物性タンパク分解物、動物性タンパク分解物などの分解液を例示することができる。
尚、前述の栄養成分は、希釈する前の処理剤に予め添加しておくこともできる。
【0042】
以上説明した本発明に係る処理液を使用して養殖海苔を処理する方法は、処理液に、海苔又は海苔が付着した海苔網などの養殖具を所要時間接触させる従来と同様の処理方法で構わない。例えば、漬け込み処理といわれる方法では、前記処理液を船内の処理液槽などの容器に収容し、海中から引き上げた海苔又は海苔が付着した養殖具を処理液に浸漬する。この浸漬処理のような比較的長時間処理を行う場合の処理液の濃度は比較的低濃度となるように調整することが好ましい。処理液への海苔の浸漬時間は、海苔の生育状態や珪藻、その他の雑藻や病害の状況、或いは有効成分の種類、濃度、処理液のpH、更には処理時の温度等に応じて、適宜調整すれば良い。
【0043】
また、モグリ船などのように、海苔の養殖網の下に船を潜らせて、処理液に網を素通ししながら比較的短時間で処理することもできる。このモグリ船等による場合、前述した浸漬処理の場合に比べて処理液の濃度を高めに設定することが好ましい。具体的には、有効成分の濃度を、処理液中に、0.001〜0.05重量%、好ましくは0.01〜0.03重量%に調整される。モグリ船等による処理時間は30秒から2分間程度、通常の場合、40秒から1分間程度である。さらに、一部の地域では、小型の船を用いた素通し処理といわれる方法が行われている。これは処理液を船内の処理液槽等の容器に収容し、海苔の養殖網の下に船を潜らせて処理液に海苔の養殖網を浸漬しながら通過させる処理方法である。この素通し処理の場合、処理時間は5〜30秒、通常の場合、10〜20秒程度である。
【0044】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。尚、配合量は重量%である。
【0045】
<試料の調製1>
人工海水に、後記表1〜9に示す処理剤成分を添加して溶解混合し、各試験区の海苔用処理液を調製した。尚、pHは塩酸で2.0に調整した。
【0046】
<試験例1>
上記調製した各処理液に、珪藻が付着した塩化ビニル板を1分間処理して、試料の調製に使用した人工海水で洗浄(約20秒間)した後、新たな人工海水に戻し、塩化ビニル板に付着している珪藻の駆除効果を判定した。珪藻の駆除効果の判定は、エリスロシン染色による珪藻の染色率を「−」〜「100%」の範囲で示し、「−」が全く効果がなく、その%が高いほど効果があるものとした。
また海苔葉体への影響を、エリスロシン染色による海苔葉体の染色率と検鏡により観察した芽の傷み具合で判定した。海苔葉体の染色率の判定は、「−」〜「+++」の範囲で示し、「−」は全く傷みなし、「+」の数が多いほど傷みがひどいものとした。また芽の傷み具合の判定は、「○:傷みなし」、「△:やや傷みなし」、「×:傷みあり」とした。また比較例として、市販の酸処理剤(Wダッシュ;扶桑化学社製)及び塩酸のみの場合についても同様の試験を行った。結果を表1〜9に記載する。
【0047】
【表1】
Figure 0003609773
【0048】
【表2】
Figure 0003609773
【0049】
【表3】
Figure 0003609773
【0050】
【表4】
Figure 0003609773
【0051】
【表5】
Figure 0003609773
【0052】
【表6】
Figure 0003609773
【0053】
【表7】
Figure 0003609773
【0054】
【表8】
Figure 0003609773
【0055】
【表9】
Figure 0003609773
【0056】
<試料の調製2>
人工海水に、後記表10に示す処理剤成分を添加して溶解混合し、各試験区の海苔用処理液を調製した。尚、pHは塩酸又は水酸化ナトリウムで2.0に調整した。
【0057】
<試験例2>
上記調製した海苔用処理剤の壺状菌に対する駆除効果を試験した。試験方法は、まず、顕微鏡(200倍)の一視野に、壺状菌に感染した細胞が5〜10個程度認められる海苔葉体5枚を、上記調製した処理剤200mL中に所定時間浸漬した後、滅菌海水で洗浄した。洗浄後の海苔葉体を300mL通気管付きフラスコに入れ、滅菌海水を300mL添加し、10〜15℃の温度で4日間通気培養し、壺状菌感染細胞の増減を調べた。また、処理後の海苔葉体に対する障害をエリスロシンによる染色率と検鏡による細胞の傷み具合を、以下の評価基準に従って判定した。結果を表10に記載する。
<判定基準>
×;駆除効果が見られず、壺状菌感染細胞が無処理の場合と同様に増加した。
△;新たな感染細胞は殆ど見られない。
○;感染細胞が減少し、駆除効果が認められる。
◎;感染細胞が殆ど見られず、かなり駆除効果が高い。
■;駆除効果は高いが、海苔葉体の障害が若干認められる。
●;海苔葉体の障害が強く、使用に適さない。
【0058】
【表10】
Figure 0003609773
【0059】
以下、本発明に係る養殖海苔用処理液の処方例を示す。尚、配合量は重量%である。
<配合例1>
(80%)乳酸60%、(90%)酢酸7%、プロピレングリコール16.1%を混合し、そこに、安息香酸1%、カプリル酸0.4%を添加溶解後、部分ケン化型ポリビニルアルコール1%、(75%)リン酸12%、(35%)塩酸2.5%を加えて、均一に混合して処理液を調製した。
【0060】
<配合例2>
(80%)乳酸60%、(90%)酢酸9%、プロピレングリコール14.5%を混合し、そこに安息香酸1%、サリチル酸1%を添加溶解後、(75%)リン酸12%、(35%)塩酸2.5%を加えて、均一に混合して処理液を調製した。
【0061】
<配合例3>
(80%)乳酸65%、(90%)酢酸5%、プロピレングリコール11.7%を混合し、そこにカプリル酸1.3%、桂皮酸1%を添加溶解後、部分ケン化型ポリビニルアルコール2%、(75%)リン酸12%、(35%)塩酸2.5%を加えて、均一に混合して処理液を調製した。
【0062】
<配合例4>
(80%)乳酸65%、(90%)酢酸9%、プロピレングリコール16.5%を混合し、そこにカプリル酸1%、サリチル酸1%を添加溶解後、部分ケン化型ポリビニルアルコール2%、(75%)リン酸12%、(35%)塩酸2.5%を加えて、均一に混合して処理液を調製した。
【0063】
<配合例5>
(80%)乳酸60%、プロピレングリコール18.5%を混合し、そこにサリチル酸1.5%、桂皮酸0.5%を添加溶解後、(75%)リン酸12%、(35%)塩酸2.5%を加えて、均一に混合して処理液を調製した。
【0064】
<配合例6>
(80%)乳酸55%、プロピレングリコール26%を混合し、そこにカプリル酸1%、安息香酸0.5%、サリチル酸1%を添加溶解後、部分ケン化型ポリビニルアルコール2%、(75%)リン酸12%、(35%)塩酸2.5%を加えて、均一に混合して処理液を調製した。
【0065】
<配合例7>
(80%)乳酸65%、(90%)酢酸7%、プロピレングリコール10.5%を混合し、そこにカプリル酸1%、安息香酸1%、桂皮酸0.5%を添加溶解後、部分ケン化型ポリビニルアルコール1%、(75%)リン酸12%、(35%)塩酸2.5%を加えて、均一に混合して処理液を調製した。
【0066】
<配合例8>
(80%)乳酸65%、(90%)酢酸7%、プロピレングリコール10%を混合し、そこにカプリル酸1%、安息香酸1%、桂皮酸0.5%、サリチル酸0.5%を添加溶解後、部分ケン化型ポリビニルアルコール1%、(75%)リン酸12%、(35%)塩酸2.5%を加えて、均一に混合して処理液を調製した。
【0067】
<試験例3>
上記の配合例1〜8の処理液を、人工海水で100倍希釈して処理液を調製した。これに、珪藻が付着した塩化ビニル板を10秒間浸漬して取り出した後、50秒間放置して、その後前記と同じ人工海水で洗浄(20秒間)した。これを新たな人工海水に戻し、試験例1と同様の方法で珪藻の駆除効果及び海苔葉体への影響を評価した。結果を表11に記載する。
【0068】
【表11】
Figure 0003609773
【0069】
【発明の効果】
以上詳述した如く、請求項1及び2に係る発明は、赤腐れ病菌、白腐れ病菌、壺状菌などの養殖海苔の病害や珪藻などの雑藻を駆除することができるとともに、従来の酸処理剤では駆除することができなかった「ハト糞」の原因となる珪藻類も効果的に駆除することができ、しかも有効成分の安定性が高く、長期間一定の効果を持続することができて取扱い性や作業性も良好である。
【0070】
請求項3及び4に係る発明は、「ハト糞」と呼ばれる症状の原因となる珪藻類(タビュラリア)に対する駆除効果が高く、壺状菌や前述の珪藻類(タビュラリア)以外の珪藻類に対する優れた駆除効果が得られる。
請求項5及び6に係る発明は、海苔葉体に対して悪影響を与えることがなく、極めて高い安全性を有するとともに、しかも珪藻類や壺状菌などに対する高い駆除効果が得られる。
請求項に係る発明は、有効成分を溶解するための有機酸の含有量を低減することができるために、海苔に対する悪影響を低下させることができる。
【0071】
請求項8乃至10に係る発明は、赤腐れ病菌、白腐れ病菌、壺状菌などの養殖海苔の病害や珪藻などの雑藻を駆除することができるとともに、「ハト糞」の原因となる珪藻類も効果的に駆除することができる。しかも有効成分の安定性が高く、長期間一定の効果を持続することができて取扱い性や作業性も良好である。
請求項11に係る発明は、海苔の病害の予防や雑藻を駆除することができ、良好な作業性を得ることができる。

Claims (11)

  1. 乳酸及び/又は酢酸と、有効成分として、(c)桂皮酸、そのエステル及びその塩と、
    以下の(a)及び/又は(d)の成分を含有してなることを特徴とする養殖海苔用処理剤。
    (a)炭素数6〜14の飽和脂肪酸、そのエステル及びその塩
    (d)サリチル酸、そのエステル及びその塩
  2. 乳酸及び/又は酢酸と、有効成分として、(a)炭素数6〜14の飽和脂肪酸及びその塩と、以下の(b)〜(d)の成分のうちの少なくとも1種以上を含有してなることを特徴とする養殖海苔用処理剤。
    (b)安息香酸、そのエステル及びその塩
    (c)桂皮酸、そのエステル及びその塩
    (d)サリチル酸、そのエステル及びその塩
  3. 乳酸及び/又は酢酸と、有効成分として、(a)炭素数6〜14の飽和脂肪酸、そのエステル及びその塩と、以下の(c)及び(d)の成分のうちの少なくとも1種以上を含有してなることを特徴とする養殖海苔用処理剤。
    (c)桂皮酸、そのエステル及びその塩
    (d)サリチル酸、そのエステル及びその塩
  4. 乳酸及び/又は酢酸と、有効成分として、(d)サリチル酸、そのエステル及びその塩と、以下の(b)及び/又は(c)の成分を含有してなることを特徴とする養殖海苔用処理剤。
    (b)安息香酸、そのエステル及びその塩
    (c)桂皮酸、そのエステル及びその塩
  5. 乳酸及び/又は酢酸と、有効成分として、(a)炭素数6〜14の飽和脂肪酸、そのエステル及びその塩と、(d)サリチル酸、そのエステル及びその塩と、以下の(b)及び/又は(c)の成分を含有してなることを特徴とする養殖海苔用処理剤。
    (b)安息香酸、そのエステル及びその塩
    (c)桂皮酸、そのエステル及びその塩
  6. 乳酸及び/又は酢酸と、有効成分として、少なくとも、(a)炭素数6〜14の飽和脂肪酸、そのエステル及びその塩と、(b)安息香酸、そのエステル及びその塩と、(c)桂皮酸、そのエステル及びその塩を含有してなることを特徴とする養殖海苔用処理剤。
  7. 溶解補助剤として、プロピレングリコール、エチレングリコール、ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、エタノール、メタノール、イソプロパノールのうちから選択された一種以上が含有されてなることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の養殖海苔用処理剤。
  8. 前記請求項1乃至のいずれかに記載の養殖海苔用処理剤を、水及び/又は海水で希釈してなることを特徴とする養殖海苔用処理液。
  9. 溶解補助剤として、ポリビニルアルコール及び/又は界面活性剤を含有してなることを特徴とする請求項に記載の養殖海苔用処理液。
  10. pHが1〜4に調整されてなることを特徴とする請求項8又は9に記載の養殖海苔用処理液。
  11. 請求項8乃至10のいずれかに記載の養殖海苔用処理液に、海苔又は海苔が付着した海苔網などの養殖具を所要時間接触させることを特徴とする養殖海苔の処理方法。
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