JP3988122B2 - 印刷装置、印刷ヘッド機構の制御装置及び方法 - Google Patents

印刷装置、印刷ヘッド機構の制御装置及び方法 Download PDF

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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
  • Dot-Matrix Printers And Others (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリンタ等の印刷装置、特に、その印刷ヘッドの駆動部の発熱を防止する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、高精細なフルカラー印刷が可能なことからインクジェット式プリンタが広く用いられている。また、かかるインクジェット式プリンタにおいては、印刷ヘッドの駆動方式として、微細なインクドットの打ち分け等の制御が容易である等の理由から、圧電素子のたわみ振動を利用してインク滴を吐出するものが、広く普及している。このような圧電素子のたわみ振動を利用して印刷ヘッドを駆動する場合、圧電素子を駆動するパワートランジスタ(TR)の電力消費量が、通常10W〜30W程度と大きいため、後述するノズル稼働率の高い(高デューティ[duty]での)印刷処理動作を連続的に行うと、パワーTRの温度が上昇し、150℃を超えるような事態では、パワーTRの熱破壊を生じてしまう。そこで、このような不具合に対処するため、例えば、印刷ヘッドの駆動部の近傍に冷却用のファンや放熱用のヒートシンクを備え、パワーTRの熱を冷却用のファンの駆動により空冷し、或いはヒートシンクを介して放熱することで、パワーTRの温度の上昇を防止するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、例えば、冷却用のファンを用いる場合には、該ファンの駆動回路や制御回路等をプリンタに内蔵する必要が生じる結果、プリンタ自体が大型化し、また、部品点数の増加によってコスト増を招く。
【0004】
ところで、例えば、ブラック(K)、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ライトシアン(LC)、ライトマゼンタ(LM)の合計6つのノズル群で1ヘッドを構成するインクジェット式プリンタでは、各ノズル群に対して、各々インクノズル駆動用スイッチング半導体素子が取り付けられる。例えば、各色につき48個(n=48)のノズルで構成される印刷ヘッドを搭載するプリンタの場合、1チップで構成されるこのインクノズル駆動用スイッチング半導体素子には、スイッチング回路が48個組み含まれる。そして、インクジェット式プリンタの組立てに際し、各チップが、各ノズル群に対して取り付けられる。その各々を駆動しようとすると、合計288個の圧電振動子に対して駆動電圧を印加することになる。ここで、1色についてのノズル数(48ノズル)について全て吐出した場合を、ノズル稼働率100%として説明すると、6色インクについて全288ノズルからインクの吐出を行なわせる場合は、ノズル稼働率600%となる。
【0005】
しかしながら、カラーインクジェット式プリンタを用いて通常の印刷動作を実行する場合、全色のヘッドにおける全ノズルから同時にインクを吐出させる場合、即ち、ノズル稼働率が600%となるようなことは、通常、考えにくい。例えば、印刷見本としてよく用いられるトゥルーカラーのビットマップデータを印刷する場合でも、上記のノズル稼働率が130%を超えることはない。
【0006】
そこで、プリンタの組立工程において、70%程度の安全係数を見込んで、ノズル稼働率200%程度にまで耐え得るTRを選択、採用し、このTRの放熱用に、ノズル稼働率200%環境下で連続稼働可能な大きさのヒートシンクを取り付けることが考えられる。
【0007】
しかし、ホストコンピュータ側におけるプリンタドライバの設計、あるいはオペレーションシステムの構造によっては、上記のノズル稼働率200%を超えてしまう場合もある。一方、かかる異常事態に備えて、ノズル稼働率600%というような過大な負荷に耐え得るTRを選定するのでは、コストが増大する。また、放熱用に大型のヒートシンクを用いることは、実装部品の大型化を招く。
【0008】
以上により、本出願人は、プリンタ内部の温度センサからの検出信号に基づき印刷ヘッドの初期温度を求め、印刷による上記初期温度からのプリンタ各部の温度上昇を所定の印刷領域毎に予測し、予測温度が所定の閾値を超えるような場合は、印刷速度を制限する技術を提案している(特開2000−238379号公報参照)。この提案によれば、高デューティでの印刷処理動作を連続的に行っても、スループットの低下を最小限に抑制可能であるだけでなく、パワーTRの熱破壊という事態を回避することも可能である。
【0009】
しかしながら、上述した予測温度と実際の温度との間に誤差がある場合には、上記提案では、高デューティでの印刷処理動作において、必要以上に印刷速度を制限する結果となったり、或いは、パワーTRの過熱を防止できない虞れもあった。
【0010】
従って、本発明の目的は、コスト増や実装部品の大型化を招くことなく、高デューティでの印刷処理動作においても、印刷ヘッドの駆動部の発熱を有効に防止できる上に、印刷処理速度の低下を最小限に抑えられる印刷装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の一様相によれば、与えられた制御信号に基づき、供給された記録媒体に所定のイメージ情報を印刷処理する印刷ヘッド機構と、上記媒体上における所定領域での印刷が終了する毎に、その領域での印刷ヘッド機構の稼働率を検知する検知手段と、上記検知された稼働率と、与えられた稼働率閾値とを比較する比較手段と、上記稼働率が上記閾値を超えたとき、その超えた分を時間に換算し、少なくともその超えた分の時間だけ上記印刷ヘッド機構の駆動を停止させる制御手段とを備え、印刷ヘッド機構の発熱を抑制可能な印刷装置が得られる。
【0012】
上記構成によれば、記録媒体上における所定領域での印刷が終了する毎に、その領域での印刷ヘッド機構の稼働率を検知し、検知された稼働率と与えられた稼働率閾値とを比較して、稼働率が閾値を超えたとき、少なくともその超えた分に対応する時間だけ印刷ヘッド機構の駆動を停止させることとしたので、高デューティでの印刷処理動作においても、印刷処理速度の低下を最小限に抑制可能で、且つ、印刷ヘッド機構の駆動部の発熱が抑制可能な高信頼の印刷装置を実現できる。
【0013】
上記印刷装置はシリアルプリンタであり、上記媒体は印刷用紙であり、上記所定領域は上記媒体の1ラスタ分又は1頁分のいずれか一方に設定されていても良い。上記稼働率は、上記印刷ヘッド機構が上記イメージ情報を上記媒体に印刷するときのインクドットの計数値又はインク使用量から求まる上記機構の平均稼働率である。また、上記閾値は、印刷装置の外部環境の温度変化に応じて可変される。外部環境の温度変化の検知は、その外部環境の適宜箇所に設けた温度検出手段からの温度検出信号に基づいて行われる。
【0014】
上記閾値は、印刷装置の内部環境の温度変化に応じて可変されるようにしても良い。内部環境の温度変化の検知は、上記印刷ヘッド機構に設けた温度検出手段からの温度検出信号に基づいて行われる。
【0015】
上記閾値は、上記印刷ヘッド機構を駆動する駆動回路の半導体スイッチング素子の温度変化に応じて可変されるようにしても良い。半導体スイッチング素子の温度変化の検知は、上記半導体スイッチング素子に設けた温度検出手段からの温度検出信号に基づいて行われる。
【0016】
なお、上記駆動を停止させる時間は、上記印刷ヘッド機構の行送りの時間又は新たな上記媒体への印刷処理を開始するまでの待機時間より長いとき、上記停止時間と上記行送りの時間又は上記待機時間との差に相当する時間だけ、上記印刷ヘッド機構の駆動を停止させるようにしても良い。
【0017】
本発明に係る印刷ヘッド機構の制御装置は、与えられた制御信号に基づき、供給された記録媒体に所定のイメージ情報を印刷処理する印刷ヘッド機構に適用されるもので、上記媒体上における所定領域での印刷が終了する毎に、その領域での印刷ヘッド機構の稼働率を検知する検知手段と、上記検知された稼働率と、与えられた稼働率閾値とを比較する比較手段と、上記稼働率が上記閾値を超えたとき、その超えた分を時間に換算し、少なくともその超えた分の時間だけ上記印刷ヘッド機構の駆動を停止させる停止手段とを備える。
【0018】
本発明に係る印刷ヘッド機構の制御方法は、与えられた制御信号に基づき、供給された記録媒体に所定のイメージ情報を印刷処理する印刷ヘッド機構に適用されるもので、上記媒体上における所定領域での印刷が終了する毎に、その領域での印刷ヘッド機構の稼働率を検知するステップと、上記検知された稼働率と、与えられた稼働率閾値とを比較するステップと、上記稼働率が上記閾値を超えたとき、その超えた分を時間に換算し、少なくともその超えた分の時間だけ上記印刷ヘッド機構の駆動を停止させるステップとを備える。
【0019】
本発明に係るコンピュータプログラムは、与えられた制御信号に基づき、供給された記録媒体に所定のイメージ情報を印刷処理する印刷ヘッド機構の制御プログラムにおいて、上記媒体上における所定領域での印刷が終了する毎に、その領域での印刷ヘッド機構の稼働率を検知する処理と、上記検知された稼働率と、与えられた稼働率閾値とを比較する処理と、上記稼働率が上記閾値を超えたとき、その超えた分を時間に換算し、少なくともその超えた分の時間だけ上記印刷ヘッド機構の駆動を停止させる処理とを備える印刷ヘッド機構の制御を実行する。
【0020】
また、上記課題を解決するため、本発明の他の様相によれば、印刷ヘッド駆動用電圧波形を生成するためのトランジスタの温度を監視して、温度情報を送信する温度監視部と、当該温度監視部から受信される温度情報に基づき、印刷ヘッドにおけるノズル稼働率を低減させて印刷ヘッドを駆動させることが可能な駆動制御部とを備える印刷装置が得られる。
【0021】
また、上記構成に加え、前記駆動制御部は、前記監視に係るトランジスタの温度の値と、稼働可能なノズル数の値とを対応付けて記憶する記憶手段を備え、前記温度監視部から受信される温度情報を鍵として、前記記憶手段から当該情報が表す温度の値に対応するノズル数の値を読み取り、当該値の数のノズルのみを稼働させることにより、ノズル稼働率を低減させるよう構成されていても良い。
【0022】
前記稼働可能なノズル数の値は、各色ノズル列ごとに前記記憶手段に記憶されていても良い。
【0023】
また、前記各色ノズル列ごとに前記記憶手段に記憶されている稼働可能なノズル数の値は、各色ノズル列につき同一でも良いし、各色ノズル列につき相違していても良い。
【0024】
一方、前記稼働可能なノズル数の値は、全ノズル列の総数につき前記記憶手段に記憶されており、前記駆動制御部は、各色ノズル列ごとの稼働可能なノズル数をリアルタイムに設定可能に構成されていても良い。
【0025】
更に、前記駆動制御部は、印刷ヘッドにおける過去のノズル稼働実績に基づき、現に印刷を行なう際に、前記温度情報に基づくノズル稼働率の低減の措置を実行するか否かを判断するための稼働実績評価手段を有していても良い。
【0026】
前記稼働実績評価手段は、前回に行なった印刷ヘッド駆動からの経過時間に基づいて、前記判断を実行するよう構成されていても良い。
【0027】
前記稼働実績評価手段は、過去に行なった印刷ヘッド駆動時おける累積ノズル駆動回数に基づいて、前記判断を実行するよう構成されていても良い。
【0028】
なお、印刷実行段階におけるキャリッジ走査中にノズル稼働率の低減の措置を実行することは現実的ではない。そこで、前記駆動制御部は、前記印刷ヘッドの走査停止中においてのみ、前記温度情報に基づくノズル稼働率の低減の措置を実行するよう構成されていても良い。
【0029】
また、本発明では、印刷ヘッド駆動用トランジスタの温度を監視して、温度情報を送信する温度監視部と、当該温度監視部から受信される温度情報に基づき、印刷ヘッドにおけるノズル稼働を一時停止させることが可能な駆動制御部とを備える印刷装置において、前記駆動制御部は、前記監視に係るトランジスタの温度の値及び印刷データ本来のノズル稼働率と、前記ノズルの稼働を一時停止させておく時間の値とを対応付けて記憶する記憶手段を備え、前記温度監視部から受信される温度情報とこれから実行しようとする印刷命令本来のノズル稼働率とを鍵として、前記記憶手段から当該情報が表す温度の値及び当該印刷命令本来のノズル稼働率に対応する一時停止時間の値を読み取り、当該時間だけ、ノズル稼働を一時停止させるよう構成されている印刷装置が得られる。
【0030】
更にまた、本発明では、印刷ヘッド駆動用電圧波形を生成するためのトランジスタの温度を監視して、温度情報を送信する温度監視部と、当該温度監視部から受信される温度情報に基づき、印刷ヘッドにおけるノズルの稼働率を低減させて印刷ヘッドを駆動させることが可能な駆動制御部を備え、該駆動制御部は、更に、前記監視に係るトランジスタの温度の値及び印刷データ本来のノズル稼働率と、前記ノズルの稼働を一時停止させておく時間の値とを対応付けて記憶する記憶手段を備え、前記温度監視部から受信される温度情報とこれから実行しようとする印刷命令本来のノズル稼働率とを鍵として、前記記憶手段から当該情報が表す温度の値及び当該印刷命令本来のノズル稼働率に対応する一時停止時間の値を読み取り、当該時間だけ、ノズル稼働を一時停止させることが可能に構成されている印刷装置が得られる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面により詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る印刷装置の一例としての、インクジェット式プリンタのハードウェア部分の概略構成図である。
【0032】
プリンタ本体は、図1に示すように、印刷用紙搬送機構2と、キャリッジ移動機構4と、印刷ヘッド機構6と、操作パネル8と、制御回路10とを備える。印刷用紙搬送機構2は、紙送りモータ12を駆動源として印刷用紙Pを搬送する機構である。キャリッジ移動機構4は、キャリッジモータ14を駆動源としてキャリッジ16をプラテン18の軸方向に沿って往復動させる機構である。このキャリッジ移動機構4は、プラテン18の軸と並行に架設された、キャリッジ16を摺動可能に保持する摺動軸20と、キャリッジモータ14との間に無端の駆動ベルト22が張設されるプーリ24と、キャリッジ16の原点位置を検出するための位置検出センサ26等を備える。キャリッジ16には、ブラックインク(K)用のカートリッジ28と、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ライトシアン(LC)、ライトマゼンタ(LM)の5色のインクを収納したカラーインク用カートリッジ30とが搭載可能に構成されている
印刷ヘッド11は、図示のように、キャリッジ16の下部に位置しており、合計6個のアクチュエータ31、32〜36が形成されている。印刷ヘッド機構6は、印刷ヘッド11を駆動してインクの吐出及びドット形成を行う。制御回路10は、操作パネル8からの指令に基づいて、上述した紙送りモータ12や、キャリッジモータ14や、印刷ヘッド11等を制御するもので、CPU42、PROM44、RAM46、イメージ(展開用)バッファ48等を内蔵する。尚、上述した印刷用紙搬送機構2は、図2に記載の給紙機構9に、制御回路10は、図2に記載の演算処理部19に、夫々対応している。
【0033】
図2は、本発明の一実施形態に係る印刷装置の一例としてのインクジェット式プリンタを含む印刷システムの概略的な構成を示すブロック図である。
【0034】
この印刷システムは、図2に示すように、ホスト装置1と、このホスト装置1の制御下において所定の印刷処理動作を実行するためのプリンタ本体3とから構成される。ホスト装置1は、プリンタ制御用のプログラムモジュールとして組込まれたプリンタドライバ5と、プリンタインタフェース回路(プリンタI/F回路)7とを備える。一方、プリンタ本体3は、給紙機構9と、印刷ヘッド11と、印刷ヘッド駆動回路13と、サーミスタ15と、ホストインタフェース回路(ホストI/F回路)17と、プリンタ本体3の内部CPUである演算処理部19とを備える。そして、この演算処理部19は、給紙機構制御部21と、ヘッド駆動回路制御部23と、ドット計数部25と、(ノズル)稼働率閾値テーブル保持部27と、(ノズル)稼働率閾値選定部29と、(ノズル)稼働率比較判定部31との各機能ブロックにより示される諸機能を備える。
【0035】
ホスト装置1において、プリンタドライバ5は、例えば、印刷データの生成や、生成した印刷データのプリンタへの転送順序の決定等の処理動作を行う。プリンタI/F回路7は、ホストI/F回路17を通じてプリンタドライバ5と演算処理部19との間で行われる印刷処理のための各種情報の授受を媒介する。
【0036】
プリンタ本体3において、ホストI/F回路17は、上述した内容から明らかなように、プリンタI/F回路7を通じて演算処理部19とプリンタドライバ5との間で行われる印刷処理のための各種情報の授受を媒介する。
【0037】
給紙機構9は、給紙トレイ側の1対の給紙ローラ及び排紙トレイ側の1対の排紙ローラ(いずれも図示しない)を備える。給紙機構9は、給紙機構制御部21の制御下で、上記1対の給紙ローラが回転して、給紙トレイから取込んだ印刷用紙(図示しない)をプラテン(図示しない)に沿って印刷ヘッド11の正面に搬送すると共に、印刷ヘッド11において印刷処理が施された後の上記印刷用紙を、上記1対の排紙ローラの回転により排紙トレイ上に排出する。なお、印刷用紙の有無を検出するために、例えば接触式の用紙検出センサ(図示しない)を上述した印刷用紙の移動経路(図示しない)における印刷ヘッド11の手前の位置に配置して、該用紙検出センサからの検出信号を給紙機構制御部21に出力する構成も採用される。
【0038】
印刷ヘッド11は、演算処理部19から印刷ヘッド駆動回路13への制御信号に基づき、印刷用紙にイメージ情報を印刷するものである。本実施形態では、印刷ヘッド11には、フルカラー静止画像情報のフォトプリントに対応して、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)及びK(ブラック)、LC(ライトシアン)、LM(ライトマゼンタ)の6色のインクで印刷処理が行える印刷ヘッドが用いられる。この印刷ヘッドは、例えば、48個のインク吐出ノズルを備えており、上記各色のインクカートリッジから個別に供給される上記各色のインクが上記各々のインク吐出ノズルから吐出される。これらのインク吐出ノズルには、電圧印加により体積が可変することでインク噴射の駆動力を生じる圧電素子(図示しない)が夫々設けられる。これらの圧電素子には、プリンタ本体3の駆動電源(図示しない)からヘッド駆動回路制御部23の制御下に置かれる印刷ヘッド駆動回路13を通じて所定の波形を有する駆動電圧が印加される。
【0039】
印刷ヘッド駆動回路13は、半導体スイッチング素子として上記駆動電源によりバイアスされるNPN形パワーTRとPNP形パワーTRとを各々1個ずつ備える。これらのパワーTRが、ヘッド駆動回路制御部23からの制御信号によりスイッチング動作し、上述した所定の波形を有する駆動電圧を上記各圧電素子に印加することで上記各圧電素子を駆動/停止する。
【0040】
本実施形態では、サーミスタ15は、プリンタ本体3の内部環境温度を検出するために上記各々のパワーTRが備える放熱器(ヒートシンク)に取り付けられ、それらヒートシンクの温度変化に応じた検出信号を稼働率閾値選定部29に出力する。なお、上記サーミスタ15以外に、プリンタ本体3には、上述したインク吐出ノズルからのインク吐出の安定化のために印刷ヘッド11に備えられるサーミスタも存在する。
【0041】
次に、演算処理部19において、給紙機構制御部21は、例えば上述した接触式の用紙検出センサ(図示しない)からの検出信号と、ノズル稼働率閾値と印刷ヘッド11の実際の稼働率の平均値(平均稼働率)との比較結果に基づく稼働率比較判定部31からの通知とに基づき、上記1対の給紙ローラ(図示しない)等の駆動を制御する。これにより、1枚の印刷用紙(単票)への印刷処理に際しての紙送りの速度や、複数枚の印刷用紙への連続した印刷処理に際しての紙送りの速度や、所謂連続紙への連続した印刷処理に際しての紙送りの速度及び複数枚の印刷用紙への連続した印刷処理に際しての各々の印刷用紙同士の間に生じる紙送りの待ち時間等が適宜な値に制御される。なお、紙送りの速度や、待ち時間や、用紙検出センサによる印刷用紙の検出等に係る情報は、ホスト装置1からのイメージ情報が、印刷ヘッド11により印刷用紙に高品質で印刷処理されるよう、給紙機構制御部21からヘッド駆動回路制御部23に対し適宜通知されるだけでなく、ドット計数部25にも通知される。
【0042】
ドット計数部25は、印刷用紙上における所定領域での印刷処理が終了する毎に、その領域での印刷ヘッド11の平均稼働率を検知するためのものである。即ち、給紙機構制御部21からの上記諸情報の通知に基づいて、印刷ヘッド11が含む各インク吐出ノズルから印刷用紙に噴射されるインクのドット数を、単頁(単票)印刷においては1ラスタ(1行)毎に、また、複数頁の印刷にあっては1ラスタ毎或いは1頁毎に、更に、所謂連続紙への印刷にあっては1ラスタ毎或いは所定のラスタ数毎に計数し、その計数結果から割出した印刷ヘッド11の平均稼働率を稼働率比較判定部31に出力する。
【0043】
ヘッド駆動回路制御部23は、給紙機構制御部21からの上記通知に基づき印刷用紙上の印刷領域(各ラスタ等)の現在位置や紙送り速度を認識し、稼働率比較判定部31からの上記通知に基づき上記パワーTRをスイッチング動作させて、上記駆動電圧を上記各圧電素子に印加することで、上記各圧電素子を制御する。これにより、ホスト装置1からのイメージ情報の印刷用紙への印刷処理が実行される。
【0044】
稼働率閾値テーブル保持部27は、印刷ヘッド11を駆動しているときの、上記内部環境温度が標準的な値(標準温度値)及びその標準温度値の近傍値を取るときと、上記内部環境温度が上記標準温度値よりも高温域に属するときと、上記標準温度値よりも低温域に属するときとに対応させて夫々異なる稼働率閾値が設定されたテーブルを保持する。
【0045】
図3に、このテーブル90を示す。上記標準温度値よりも高温域では、上述したパワーTRの熱破壊を生じない限界温度値を含む比較的高温の領域から上記標準温度値に近い比較的低温の領域まで複数の領域に分割されている。上記標準温度値には、プリンタ本体3の機種毎に決まる稼働率閾値の設計値が、高温域には、上記設計値よりも低い値に変更された稼働率閾値が、低温域には、上記設計値よりも高い値に変更された稼働率閾値が、夫々設定される。高温域に属する上記複数に分割された各領域に設定される稼働率閾値は、高温になるほど低い値になる。
【0046】
上記内部環境温度値自体は、上記パワーTR自体の駆動時の温度値よりも、通常20℃程度低い値を示すので、上記標準温度値は、例えば100℃よりも20℃低い80℃に、それより高温域に属する温度領域の上限値は、例えばパワーTRの熱破壊を生じる温度である150℃よりも20℃低い130℃に、夫々設定される。
【0047】
上記プリンタ本体3が、例えばフォトプリンタである場合には、その平均稼働率は160%であり、この160%が上記プリンタ本体3の稼働率閾値として上記標準温度値(80℃)に対応させて上記テ−ブルに設定される。また、上記プリンタ本体3が、例えばモノクロのテキストを印字するためのプリンタである場合には、その平均稼働率は、110〜120%であり、この110〜120%が上記プリンタ本体3の稼働率閾値として上記標準温度値(80℃)に対応させて上記テーブル90に設定される。
【0048】
ここで、稼働率閾値が100%とは、例えば印刷ヘッド11が上述したように48個のインク吐出ノズルを有するとすれば、インク1色につきノズル48個全部を常に使って印刷している状態を指す。フォトプリンタとしての上記プリンタ本体3が、そのプリンタ本来の用途であるフォトプリント動作を行っているときは、平均稼働率が160%であるから、上記内部環境温度が130℃に達することはなく(つまり、パワーTRの温度が150℃に達することはなく)、従って、後述するように、プリンタ本体3がプリント動作中に停止することはない。同様に、モノクロのテキストを印字するためのプリンタとしての上記プリンタ本体3が、そのプリンタ本来の用途である印字動作を行っているときは、平均稼働率が110〜120%であるから、上記内部環境温度が130℃に達することはなく(つまり、パワーTRの温度が150℃に達することはなく)、従ってプリンタ本体3が上記プリント動作中に停止することはない。
【0049】
稼働率閾値選定部29は、サーミスタ15からの温度検出信号に基づき上記内部環境温度値を把握すると共に、内部環境温度値が上記標準温度値(80℃)に等しいか、又は上記標準温度値の近傍値(例えば100℃前後の値)であるか否かをチェックする。このチェックの結果、上記検出温度値(内部環境温度値)が上記標準温度値でも上記近傍値でもなければ、上記温度検出信号に応じた稼働率閾値を新たな稼働率閾値として稼働率閾値テーブル保持部27から選定し、その新たな稼働率閾値を稼働率比較判定部31に出力する。
【0050】
例えば、上記フォトプリンタにおいて、真冬の早朝のように、外部環境温度(プリンタ本体3外部の温度、つまり、プリンタ本体3を設置した室内の温度)が低いこと等に起因して、上記検出された内部環境温度値が上記標準温度値より低い場合には、稼働率閾値選定部29は、上記稼働率閾値(160%)よりも高い値(例えば170%)を、新たな稼働率閾値として稼働率閾値テーブル保持部27から選定し、稼働率比較判定部31に出力する。一方、真夏の午後のように、外部環境温度が高いこと等に起因して、上記内部環境温度の検出値が上記標準温度値より高い場合には、稼働率閾値選定部29は、上記稼働率閾値(160%)よりも低い値(例えば140%)を、新たな稼働率閾値として稼働率閾値テーブル保持部27から選定し、稼働率比較判定部31に出力する。
【0051】
ところで、外部環境温度が真冬の早朝のような比較的低温のときと、真夏の午後のような比較的高温のときとを比較すると、前者の方が後者よりも上記標準温度値との間の差分が大きいから、温度値だけから判断すれば、内部環境温度値がより低い場合には、より高い場合と比較して稼働率閾値を大きく設定することができる。しかし、前者の方が後者よりもインクの粘度が大きいから、インク吐出の安定化を図り印刷画像の画質低下を防止するには、上記各圧電素子に印加する駆動電圧を後者よりも高く設定することにより上記各圧電素子の駆動エネルギー(電流)を増大させなければならず、それにより必然的に内部環境温度が上昇する。よって、前者の稼働率閾値を、後者の稼働率閾値と同一に設定したとしても、前者の方が後者よりも内部環境温度が高くなり、最悪の場合には、上記パワーTRのP/N接合が損傷する虞れもある。従って、望ましくは、稼働率閾値選定部29が稼働率閾値を選定するに当り、単に内部環境温度値を把握するだけでなく、上記各圧電素子に印加する駆動電圧値をも考慮に入れる必要がある。この場合、稼働率閾値テーブル保持部27には、内部環境温度値だけでなく、上記駆動電圧値をも各稼働率閾値に対応させたテーブルを保持させる必要があるのは勿論である。
【0052】
稼働率比較判定部31は、1ラスタ、1頁或いは所定のラスタ数の印刷処理が終了する毎にドット計数部25が割出した印刷ヘッド11の平均稼働率と、稼働率閾値選定部29が稼働率閾値テーブル保持部27から選定した稼働率閾値とを比較する。そして、この比較の結果、上記平均稼働率が上記稼働率閾値を超えたとき、その超えた分を時間に換算し、算出した時間を印刷ヘッド11の休止時間とする。例えば、上記プリンタ本体3が、モノクロのテキストを印字するためのプリンタであって、平均的な書類(通常のテキストデータ)を印字しているときには、印刷ヘッド11の平均稼働率は上述した稼働率閾値(平均稼働率)である110〜120%を超えることはない。しかし、ときとして、印刷ヘッド11の平均稼働率が上記稼働率閾値を超えるような画像がイメージデータとして存在することもあるので、その場合には、上記平均稼働率が上記稼働率閾値を超えることになる。
【0053】
ここで、1ラスタを印字するのに0.5秒要するとして、仮に、上記平均稼働率が上記稼働率閾値を超えた分が10%であったとすれば、稼働率比較判定部31は、0.5秒の10%である0.05秒を印刷ヘッド11の休止時間とする。
【0054】
稼働率比較判定部31は、また、上記休止時間と、印刷ヘッド11の行送りの時間、又は新たな印刷用紙への印刷処理を開始するまでの待機時間とを比較し、上記休止時間の方が上記行送りの時間、又は上記待機時間よりも長ければ、上記休止時間と上記行送りの時間又は上記待機時間との差分に相当する時間だけ、印刷ヘッド11の駆動を停止すべく、ヘッド駆動回路制御部23に通知する。上記休止時間の方が上記行送りの時間又は上記待機時間よりも短ければ、上記休止時間が上記行送りの時間又は上記待機時間に含まれることになるので、稼働率比較判定部31は、上記通知を行わない。
【0055】
図4は、図2に記載の演算処理部19が含む各機能ブロックの処理動作の一例を示すフローチャートである。図4に記載のフローチャートは、ドット計数部25が印刷ヘッド11の各インク吐出ノズルから印刷用紙に噴射されるインクのドット数を1頁毎に計数して、その計数結果から割出した平均稼働率を稼働率比較判定部31に出力するときのものである。
【0056】
図4において、まず、稼働率比較判定部31が、ドット計数部25が割出した直前の頁における平均稼働率を読込み(ステップS41)、稼働率閾値選定部29を通じて稼働率閾値テーブル保持部27から読出した稼働率閾値と比較する(ステップS42)。この比較の結果、平均稼働率の方が稼働率閾値よりも大きければ、平均稼働率と稼働率閾値との差分から換算した時間を印刷ヘッド11の休止時間とする。そして、この休止時間が紙送りのための待ち時間よりも長ければ、この休止時間が経過した時点で印刷ヘッド11の駆動を再開する(ステップS43、S44)。しかし、休止時間が紙送りのための待ち時間よりも短かったり、或いは、上記休止時間よりも長い時間である用紙切れによる給紙トレイへの用紙の補給時間や、ホスト装置1からのイメージデータ待ちの時間と重なったりした場合には、上記休止時間が経過し、更にそれらの時間が経過した後に印刷ヘッド11の駆動を再開する(ステップS43、S44)。なお、ステップS42で、上記とは逆に稼働率閾値の方が平均稼働率よりも大きければ、直ちに印刷ヘッド11の駆動を再開する(ステップS44)。
【0057】
図5は、図2に記載の稼働率閾値選定部29による稼働率閾値選定に際しての処理動作を示すフローチャートである。図5において、まず、サーミスタ15からの温度検出信号を読込んで上述した内部環境温度値を把握し(ステップS51)、次いで、その温度値が上述した標準温度値に等しいか、又は上記標準温度値の近傍値であるか否かをチェックする。このチェックの結果、上記(内部環境の)検出温度値が上記標準温度値か又は上記近傍値であれば、稼働率閾値テーブル保持部27を参照して(ステップS52)上記標準温度値に対応する稼働率閾値(例えばプリンタ本体3がフォトプリンタである場合には160%)を選定し(ステップS53)、稼働率閾値比較判定部31に出力する。一方、上記チェックの結果、上記検出温度値が上記標準温度値でも上記近傍値でもなければ、稼働率閾値テーブル保持部27から上記温度検出信号に応じた新たな稼働率閾値を選定し(ステップS53)、その新たな稼働率閾値を稼働率比較判定部31に出力する。
【0058】
なお、上記テーブル90が、稼働率閾値の設計値及びその変更値を、印刷ヘッド11を駆動しているときに想定し得る上記内部環境の温度変化(つまり、上記各々のパワーTRが備える放熱器の温度変化)に応じて設定されたものではなく、上記各圧電素子に印加される駆動電圧の波形別に設定された構成の場合には、稼働率閾値選定部29は、上記温度検出信号に応じた上記駆動電圧波形を計算する。そして、その計算結果を元に、稼働率閾値テーブル保持部27を参照して稼働率閾値テーブル保持部27から新たな稼働率閾値を選定する(ステップS52、S53)。ここで、上記内部環境温度値により上記各圧電素子に印加される駆動電圧の波形が異なる理由は、上記各圧電素子の電気的特性がそれら素子自体の温度に応じて変動するのに加えて、上記各インク吐出ノズルから噴射される各インクの粘度も温度により変動するので、それら素子の温度によって上記駆動電圧を最適化するためである。
【0059】
図6は、図2に記載の演算処理部19が含む各機能ブロックの処理動作の別の一例を示すフローチャートである。図6に記載のフローチャートは、ドット計数部25が印刷ヘッド11の各インク吐出ノズルから印刷用紙に噴射されるインクのドット数を1ラスタ毎に計数して、その計数結果から割出した平均稼働率を稼働率比較判定部31に出力するときのものである。よって、図6のステップS61〜ステップS64で示す処理の流れは、ステップS61でドット計数部25が割出す平均稼働率、ステップS62で稼働率比較判定部31が稼働率閾値と比較する平均稼働率、ステップS63で稼働率閾値との差分が演算される平均稼働率が、頁単位ではなく、ラスタ単位で求めたものである点で、図4で示した処理の流れと相違する。その他の点については、図4で示した処理の流れと同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0060】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、これは本発明の説明のための例示であって、本発明の範囲をこの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、他の種々の形態でも実施することが可能である。例えば、外部環境温度、即ち、上記プリンタ本体3を設置した室内の温度を検出して所定の信号を出力する温度測定装置を上記室内の適宜箇所に備え、稼働率閾値選定部29が、上記室内の検出温度値に見合った稼働率閾値を新たな稼働率閾値として上記テーブル90から選定し、それを稼働率閾値比較判定部31に出力するようにしても良い。
【0061】
この場合、上記標準温度値を始めとする温度値(温度領域)は、上述した内部環境温度を検出するときの温度値(温度領域)とは当然に異なったものになる。
【0062】
また、上記パワーTR自体の温度を検出するために、上記サーミスタ15をパワーTRに備え付けて、パワーTRの温度変化に応じた検出信号を稼働率閾値選定部29に出力するようにし、上記テーブル90に、パワーTRの温度が標準温度値及びその近傍値を取るときと、上記標準温度値よりも高温域に属するときと、低温域に属するときとに対応させて夫々異なる稼働率閾値が設定されたテーブルを採用すると共に、稼働率閾値選定部29が、上記パワーTRの検出温度値に見合った稼働率閾値を新たな稼働率閾値として上記テーブルから選定し、それを稼働率閾値比較判定部31に出力するようにしても良い。この場合、上述した内部環境温度を検出するのと異なって、パワーTR自体の温度を直接検出するために、上記標準温度値は100℃か又はその近傍値、限界温度値は150℃の近傍値であって150℃未満の値に設定される。
【0063】
なお、上述した実施形態では、ドット計数部25が、単頁(単票)印刷においては1ラスタ(1行)毎に、また、複数頁の印刷にあっては1ラスタ毎或いは1頁毎に、更に、所謂連続紙への印刷にあっては所定のラスタ数毎に各インク吐出ノズルから印刷用紙に噴射されるインクのドット数を計数し、その計数結果から印刷ヘッド11の平均稼働率を割出していたが、インクのドット数ではなくインク使用量から印刷ヘッド11の平均稼働率を割出すようにしても良い。
【0064】
また、上述した印刷ヘッド11の平均稼働率の割出しや、平均稼働率と稼働率閾値との比較や、平均稼働率が稼働率閾値を超えた分に対応する印刷ヘッド11の休止時間の算定等の処理を、プリンタ本体3の演算処理部19側ではなく、ホスト装置1側で行うようにしても差支えない。
【0065】
更には、印刷ヘッド11が主走査を1回行う毎に、所定時間印刷ヘッド11を待機させることで、上述したパワーTRが過熱状態になるのを防止するようにしても良い。
【0066】
以下、本発明の第2の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態の印刷装置やホスト装置を含む印刷システムの基本的構成は、図1に示した第1の実施形態のものと略同様であるので、その説明を省略する。本実施形態においては、上述したサーミスタ15の電気抵抗値は、伝送路を介して温度監視部に入力され、本発明における温度情報として用いられる。
【0067】
図7は、本発明の第2の実施形態において、この温度情報を用いた制御を実行するための機能の概要を表すブロック図である。これら各機能は、例えば、上述した制御回路10のPROM44、RAM46、CPU42等により実現される。以下、この温度情報を用いて、どのような処理の流れに従って温度制御を行なうかを説明するためのフローチャートや、その処理の際に用いられる温度と制御項目の内容とを対応付けて記録するテーブルを表した各図(図8乃至図17)をも参照しながら、各機能について説明する。
【0068】
図8は、パワーTRの過熱に際して、いわばドット間引きを行なって印刷を継続する場合の、基本的な処理の流れを表している。まず、図1に示した制御回路10が印刷命令を受信すると(ステップS101)、サーミスタ15による温度の検出が行なわれる。図7において、温度監視部61は、上述のサーミスタ15によってもたらされる温度情報を管理する機能ブロックであって、駆動制御部62からの温度情報の問い合わせに応じて、そのときのパワーTRの温度を検出して報告する(ステップS102)。
【0069】
制御内容管理部65は、温度と制御項目の内容とを対応付けて記憶している。それらの対応情報は、例えばハードウエアとしてのPROM44に、図14に示すテーブル100のような形式で記録されている。制御内容管理部65は、温度監視部61に報告された温度を鍵情報として、テーブル100から対応するノズル数を読み出す(ステップS103)。例えば、報告されたパワーTRの温度が85℃であった場合、ノズル数144が導き出される。この場合には、全部で288個あるノズルのうち半分の144ノズルを用いて、以降の印刷を行う。そのために、以降のイメージバッファに対するビットマップ展開に際しては、ノズル数が144(1色につき24ノズル)であるヘッドを仮想して処理を行なう(ステップS104,S105)。この場合は、例えば、1段おきにノズルを用いるようにすればよい。
【0070】
また、例えば、報告されたパワーTRの温度が65℃であった場合、ノズル数240が導き出される。この場合には、6色全部で288個あるノズルのうち240ノズルを用いて、以降の印刷を行う。この場合は、1色ごとに48ノズルあるうち、例えば、上下に4ノズルずつ除いた40ノズルを各色ごとに用いるようにすればよい。但し、この場合、各色ノズル列のすべてが40ノズルずつ使用される必要はない。例えば、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、LC(ライトシアン)、LM(ライトマゼンタ)、K(ブラック)の6色のノズル列において、例えば、それぞれ40、20、60、10、50、60ノズルを使用するというように、各色ノズル列ごとに使用するノズル数を異ならせ、合計で240ノズルを使用するようにしても良い。この場合、各色ノズル列ごとにどれだけのノズル数を使用するかを、予めメモリ(PROM44等)に準備しておくようにしても良い。或いは、その都度、リアルタイムに適宜決定するようにしても良い。
【0071】
印刷命令に含まれるデータを全て印刷し終えたら、処理を終了する(ステップS106においてNo)。
【0072】
図9は、過去のノズル稼働実績に基づき、実際にドット間引きの処理が必要か否かの評価を行なった上で、前述した処理に移行する例について説明するフローチャートを表す。この評価は、図7の駆動制御部62において点線で囲って表す機能ブロック群(稼働実績評価手段)により実行される。
【0073】
ここでは印刷命令を受信すると(ステップS201)、前回印刷を実行してからの経過時間が、時間管理部64によって調べられる(ステップS202)。もし、前回の印刷実行からかなりの時間が経過していれば、過去のノズル稼働によって生じた熱は放出済みであるはずであるから、それに配慮する必要がない。そのため、駆動回数管理部63により記憶されているノズル駆動回数の値をリセットして、通常の印刷動作を実行する(ステップS210,S211,S207)。
【0074】
これに対して、前回の印刷実行から所定の時間内に印刷命令を受信したものである場合には、過去に行なったプリントヘッド駆動時における累積ノズル駆動回数に基づいての評価が行なわれる(ステップS203)。すなわち、駆動回数管理部63が累積記録しているインク吐出の総回数が所定の値を超えているときに、初めて温度検出が行なわれ、前述と同様の処理が行なわれる(ステップS204からS207)。
【0075】
一方、駆動回数管理部63が記憶している値が小さかったときにも、通常の印刷方法、すなわち全ノズルを用いての印刷処理が実行される(ステップS211以降)。いずれの場合にも、印刷の実行によって更なる発熱が起こっている訳であるから、駆動回数管理部63において、駆動回数の累積値が加算され(ステップS208)、次の印刷実行時における判断の材料とされる。
【0076】
図10は、上記の処理に加えて、これから実行しようとする印刷において、どれだけの発熱があるかをも予測して、評価を行なう手順について説明するフローチャートを表す。すなわち、駆動回数管理部63は、印刷命令が表すビットマップデータのうち、本来どれだけのノズルがオンとされるかを調べる(ステップS304)。
【0077】
この処理において、制御内容管理部65は、図16に表すテーブル300から、検出された温度情報を第1の鍵情報として、これから実行しようとする印刷命令本来のノズル稼働率を第2の鍵情報として、実際に印刷を実行する際のノズル稼働率を低減させる度合いを決定する(ステップS304からS306)。例えば、検出されるパワーTRの温度が85℃であって、且つ前述したノズル稼働率130%の印刷見本データをこれから印刷しようとする場合、198ノズルのヘッドを仮想した画像処理を実行する(ステップS307)。
【0078】
かかる構成により、よりきめ細やかな稼働率の低減措置を実行することができる。すなわち、前述した例において、これから印刷しようとする画像の内容如何にかかわらず、一気にノズル数を半減させていたのを、少ない低減率で印刷処理を最後まで遂行することができる。
【0079】
なお、これらのノズル稼働率低減措置を実行するのは、プリンタがキャリッジを走査させている最中に行なうべきものではない。例えば、キャリッジがホームポジションに戻ってから、あるいは1ページの印刷が終了してから、その時点で改めてビットマップ展開を行なう構成とする。
【0080】
以上、ノズル稼働率を低減させてプリントヘッドを駆動する構成について説明した。以下には、検出されるパワーTRの温度に応じて、適切な時間だけプリントヘッドの駆動を停止する構成について説明する。
【0081】
図11は、かかる構成における最も基本的な手順について説明するためのフローチャートを表す。この手順では、温度監視部61から検出温度の報告を受けた駆動制御部62では、その制御内容管理部65が保持しているテーブル200(図15参照)を参照して、どれだけの時間ヘッドの駆動を停止させるかを決定する(ステップS403)。例えば、パワーTRの温度が85℃であったときには0.80秒間停止させる(ステップS404)。
【0082】
図12は、駆動制御部62が上述した稼働実績評価手段を有している場合の、処理の流れを説明するための図である。ここに、稼働実績評価手段は、プリントヘッドにおける過去のノズル稼働実績に基づき、現に印刷を行なう際に、ノズル稼働を一時停止させるか否かを判断する機能を有している。この場合、先ず、時間管理部64が前回の印刷実行から所定の時間が経過しているか否かを判断し(ステップS502)、次に、駆動回数管理部63が、ノズル駆動回数の過去における累積値について判断する(ステップS503)。
【0083】
図13は、上記の処理に加えて、これから実行しようとする印刷において、どれだけの発熱があるかをも予測した評価を行なう手順について説明するフローチャートを表す。この場合においても、駆動回数管理部63が、印刷命令が表すビットマップデータのうち、本来どれだけのノズルがオンとされるかを調べる(ステップS604)。
【0084】
この手順において、制御内容管理部65は、図17に表すテーブル400から、検出された温度の情報を第1の鍵情報として、これから実行しようとする印刷命令本来のノズル稼働率を第2の鍵情報として、実際に印刷を停止する時間を決定する(ステップS604からS606)。この場合においても、ヘッドの駆動を一時停止するのは、キャリッジの走査中に行なわないのが望ましい。
【0085】
以上、本発明の第2の実施形態について説明したが、本発明の印刷装置が有する各機能は、どのようなハードウェア構成により実現しても構わない。また、駆動回数管理部63や時間管理部64が稼働実績評価を行なう場合に、各々の判断の先後は、上記実施形態において示した順序である必要はない。
【0086】
尚、以上の第2の実施形態では、検出したパワーTRの温度に応じて、図16に示したように、非駆動ノズルを設け(ノズル稼働率を調整し)、或いは、図17に示したように、ヘッドの駆動を一定時間停止するようにしたが、検出したパワーTRの温度に応じて、非駆動ノズルを設けると共にヘッドの駆動をも一定時間停止する構成も勿論考えられる。
【0087】
次に、本発明の第3の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態においては、基本的に、第1の実施形態に関して図2に示した機能ブロックに依るものとし、また、テーブル保持部27が保持するテーブルには、第2の実施形態に関して図14乃至図17に示したテーブルも含まれるものとする。
[実施例3−1]
図18(a)及び(b)は、本発明の第3の実施形態における実施例3−1の処理動作を示すフローチャートである。図18(a)に記載のフローチャートは、ドット計数部25が印刷ヘッド11の各インク吐出ノズルから印刷用紙に噴射されるインクのドット数を直前の1頁につき計数して、その計数結果から割出した平均稼働率(Duty)を稼働率比較判定部31に出力すると共に、温度検出をも行い、検出温度に応じて印刷ヘッド11の駆動停止時間を調整するものである。
【0088】
図18(a)において、まず、ドット計数部25が直前の1頁について印刷ヘッド11の各インク吐出ノズルから印刷用紙に噴射されるインクのドット数を計数し、その計数結果からその直前頁の平均Dutyを計算する(ステップS171)。次に、稼働率比較判定部31が、ドット計数部25が割出した直前頁における平均Dutyを読込み、稼働率閾値選定部29を通じて稼働率閾値テーブル保持部27から読出した稼働率閾値(規格値データ)と比較する(ステップS172)。この比較の結果、直前頁の平均Dutyの方が規格値データよりも多いか否かを判断し(ステップS173)、直前頁の平均Dutyの方が多い場合(ステップS173でYes)、今度は、温度検出を行う。即ち、パワーTRが備える放熱器(ヒートシンク)に取り付けられたサーミスタ15が、ヒートシンクの温度変化に応じた検出信号を稼働率閾値選定部29に出力し、稼働率閾値選定部29は、このサーミスタ15からの温度検出信号を読込んで上述した内部環境温度値を把握する(ステップS174)。次いで、稼働率比較判定部31が、その温度値を上述した標準温度値(規格値データ)と比較する(ステップS175)。この比較の結果、検出温度の方が規格値データよりも高いか否かを判断し(ステップS176)、検出温度の方が規格値データよりも高い場合(ステップS176でYes)、検出温度と規格値データとの差分から換算した時間を印刷ヘッド11の休止時間とする(ステップS177)。そして、この休止時間が紙送りのための待ち時間よりも長ければ、この休止時間が経過した時点で印刷ヘッド11の駆動を再開する(ステップS178)。しかし、休止時間が紙送りのための待ち時間よりも短かったり、或いは、上記休止時間よりも長い時間である用紙切れによる給紙トレイへの用紙の補給時間や、ホスト装置1からのイメージデータ待ちの時間と重なったりした場合には、上記休止時間が経過し、更にそれらの時間が経過した後に印刷ヘッド11の駆動を再開する(ステップS178)。なお、ステップS176で、上記とは逆に標準温度値(規格値データ)の方が検出温度よりも高ければ(ステップS176でNo)、直ちに印刷ヘッド11の駆動を再開する(ステップS178)。また、上述したステップS173で、直前頁の平均Dutyが稼働率閾値(規格値データ)より多くなければ(ステップS173でNo)、同様に、直ちに印刷ヘッド11の駆動を再開する(ステップS178)。
【0089】
尚、図18(b)に記載のフローチャートのように、ドット計数部25が印刷ヘッド11の各インク吐出ノズルから印刷用紙に噴射されるインクのドット数を直前の1行につき計数して、その計数結果から割出した平均稼働率(Duty)を稼働率比較判定部31に出力すると共に、温度検出をも行い、検出温度に応じて印刷ヘッド11の駆動停止時間を調整するようにしても良い。
[実施例3−2]
図19(a)及び(b)は、本発明の第3の実施形態における実施例3−2の処理動作を示すフローチャートである。図19(a)に記載のフローチャートは、ドット計数部25が印刷ヘッド11の各インク吐出ノズルから印刷用紙に噴射されるインクのドット数を直前の1頁につき計数して、その計数結果から割出した平均稼働率(Duty)を稼働率比較判定部31に出力すると共に、温度検出をも行い、検出温度に応じて印刷ヘッド11のノズル稼働率を調整するものである。
【0090】
図19(a)において、ステップS181からS186までは、上述した実施例3−1における図18(a)に示したステップS171からS176までと全く同様である。この実施例3−2では、検出温度の方が規格値データよりも高いか否かを判断し(ステップS186)、検出温度の方が規格値データよりも高い場合(ステップS186でYes)には、検出温度と規格値データとの差分から換算したノズル数だけ非駆動ノズル数に設定する(ステップS187)。そのために、以降のイメージバッファに対するビットマップ展開に際しては、設定された非駆動ノズル数を減じた残余のノズル数のヘッドを仮想して処理を行なう(ステップS188)。そして、印刷を再開し(ステップS189)、処理を終了する。
【0091】
尚、図19(b)に記載のフローチャートのように、ドット計数部25が印刷ヘッド11の各インク吐出ノズルから印刷用紙に噴射されるインクのドット数を直前の1行につき計数して、その計数結果から割出した平均稼働率(Duty)を稼働率比較判定部31に出力すると共に、温度検出をも行い、検出温度に応じて印刷ヘッド11のノズル稼働率を、図19(a)に記載したのと同様に、調整するようにしても良い。
[実施例3−3]
図20(a)及び(b)は、本発明の第3の実施形態における実施例3−3の処理動作を示すフローチャートである。図20(a)に記載のフローチャートでは、上述した実施例3−1における図18(a)に示した場合と同様に、直前頁の平均稼働率(Duty)が規格値データよりも多い場合に温度検出を行うが、検出温度に応じて所定のテーブルから予め定められた停止時間を取得し、この停止時間だけ印刷ヘッド11の駆動を停止するものである。
【0092】
図20(a)において、ステップS191からS194までは、上述した実施例3−1における図18(a)に示したステップS171からS174までと全く同様である。この実施例3−3では、温度検出を行ったら(ステップS194)、その検出温度に応じた停止時間をテーブル200(図15参照)から取得し(ステップS195)、その停止時間だけ印刷ヘッド11の駆動を停止する(ステップS196)。この時間経過により、印刷ヘッド11のパワーTRも十分に放熱されるので、印刷を再開し(ステップS197)、処理を終了する。
【0093】
尚、図20(b)に記載のフローチャートのように、インクのドット数を直前の1行につき計数して、直前行の平均稼働率(Duty)が規格値データよりも多い場合に温度検出を行い、検出温度に応じて所定のテーブルから予め定められた停止時間を取得し、この停止時間だけ印刷ヘッド11の駆動を停止するようにしても良い。
[実施例3−4]
図21(a)及び(b)は、本発明の第3の実施形態における実施例3−4の処理動作を示すフローチャートである。図21(a)に記載のフローチャートでは、上述した実施例3−3における図20(a)に示した場合と同様に、直前頁の平均稼働率(Duty)が規格値データよりも多い場合に温度検出を行うが、検出温度に応じて所定のテーブルから予め定められたノズル数を取得し、このノズル数に合わせて印刷ヘッド11のノズル稼働率を調整するものである。
【0094】
図21(a)において、ステップS201からS204までは、上述した実施例3−3における図20(a)に示したステップS191からS194までと全く同様である。この実施例3−4では、温度検出を行ったら(ステップS204)、その検出温度に応じたノズル数をテーブル100(図14参照)から取得し(ステップS205)、以後のイメージバッファに対するビットマップ展開に際しては、テーブル100から取得したノズル数のヘッドを仮想して処理を行なう(ステップS206)。これにより、以後の印刷ヘッド11のパワーTRの発熱が抑制されるので、印刷を再開し(ステップS207)、処理を終了する。
【0095】
尚、図21(b)に記載のフローチャートのように、インクのドット数を直前の1行につき計数して、直前行の平均稼働率(Duty)が規格値データよりも多い場合に温度検出を行い、検出温度に応じて所定のテーブルから予め定められたノズル数を取得し、このノズル数に合わせて印刷ヘッド11のノズル稼働率を調整するようにしても良い。
[実施例3−5]
図22(a)及び(b)は、本発明の第3の実施形態における実施例3−5の処理動作を示すフローチャートである。図22(a)に記載のフローチャートでは、上述した実施例3−4における図21(a)に示した場合と同様に、直前頁の平均稼働率(Duty)と規格値データとを比較するが、直前頁の平均稼働率(Duty)が多い場合に、まず今回頁のノズル稼働率を調査した上で温度検出を行い、今回頁のノズル稼働率と検出温度の双方に応じて所定のテーブルから予め定められたノズル数を取得し、このノズル数に合わせて印刷ヘッド11のノズル稼働率を調整するものである。
【0096】
図22(a)において、ステップS211からS213までは、上述した実施例3−4における図21(a)に示したステップS201からS203までと全く同様である。この実施例3−5では、直前頁の平均稼働率(Duty)が規格値データよりも多い場合に(ステップS213においてYes)、今回頁のノズル稼働率を調査する(ステップS214)。その上で温度検出を行い(ステップS215)、今回頁のノズル稼働率と検出温度の双方に応じたノズル数をテーブル300(図16参照)から取得し(ステップS216)、以後のイメージバッファに対するビットマップ展開に際しては、テーブル300から取得したノズル数のヘッドを仮想して処理を行なう(ステップS217)。尚、ここでは、第2の実施形態に関して図16に示したテーブル300を参照するが、図16のテーブル300における「印刷データ本来のノズル稼働率」は、「今回頁のノズル稼働率」と読み替えるものとする。これにより、以後の印刷ヘッド11のパワーTRの発熱が抑制されるので、印刷を再開し(ステップS218)、処理を終了する。
【0097】
尚、図22(b)に記載のフローチャートのように、インクのドット数を直前の1行につき計数して、直前行の平均稼働率(Duty)が規格値データよりも多い場合に、まず今回行のノズル稼働率を調査した上で温度検出を行い、今回行のノズル稼働率と検出温度の双方に応じて所定のテーブルから予め定められたノズル数を取得し、このノズル数に合わせて印刷ヘッド11のノズル稼働率を調整するようにしても良い。
[実施例3−6]
図23(a)及び(b)は、本発明の第3の実施形態における実施例3−6の処理動作を示すフローチャートである。図23(a)に記載のフローチャートでは、上述した実施例3−5における図22(a)に示した場合と同様に、直前頁の平均稼働率(Duty)と規格値データとを比較し直前頁の平均稼働率(Duty)が多い場合に、まず今回頁のノズル稼働率を調査した上で温度検出を行うが、今回頁のノズル稼働率と検出温度の双方に応じて所定のテーブルから予め定められた停止時間を取得し、この停止時間だけ印刷ヘッド11の駆動を停止するものである。
【0098】
図23(a)において、ステップS221からS225までは、上述した実施例3−5における図22(a)に示したステップS211からS215までと全く同様である。この実施例3−6では、今回頁のノズル稼働率を調査した上で(ステップS224)、温度検出を行い(ステップS225)、今回頁のノズル稼働率と検出温度の双方に応じた停止時間をテーブル400(図17参照)から取得し(ステップS226)、その停止時間だけ印刷ヘッド11の駆動を停止する(ステップS227)。尚、ここでは、第2の実施形態に関して図17に示したテーブル400を参照するが、図17のテーブル400における「印刷データ本来のノズル稼働率」は、「今回頁のノズル稼働率」と読み替えるものとする。この時間経過により、印刷ヘッド11のパワーTRも十分に放熱されるので、印刷を再開し(ステップS228)、処理を終了する。
【0099】
尚、図23(b)に記載のフローチャートのように、インクのドット数を直前の1行につき計数して、直前行の平均稼働率(Duty)が規格値データよりも多い場合に、まず今回行のノズル稼働率を調査した上で温度検出を行い、今回行のノズル稼働率と検出温度の双方に応じて所定のテーブルから予め定められた停止時間を取得し、この停止時間だけ印刷ヘッド11の駆動を停止するようにしても良い。
[実施例3−7]
図24(a)及び(b)は、本発明の第3の実施形態における実施例3−7の処理動作を示すフローチャートである。図24(a)に記載のフローチャートでは、まず、ホストコンピュータ等のホスト装置1(図2参照)から印刷命令を受信した場合に、前の印刷命令を受信してから一定時間が経過していない場合に、上述した実施例3−4における図21(a)に示した場合と略同様の処理を行うものである。
【0100】
図24(a)において、まず、ホストコンピュータ等のホスト装置1(図2参照)から印刷命令を受信すると(ステップS231)、前の印刷命令を受信してから一定時間が経過しているか否かを判断する(ステップS232)。ここで、一定時間が経過していれば(ステップS232でYes)、印刷ヘッド11のパワーTRも既に十分に放熱されているので、通常のイメージバッファ展開を行って(ステップS233)、印刷を実行する(ステップS234)。一方、前の印刷命令を受信してから一定時間が経過していなければ(ステップS232でNo)、上述した実施例3−4における図20(a)に示した場合と全く同様の処理を行う。即ち、ドット計数部25が直前の1頁について平均Dutyを計算し(ステップS235)、稼働率比較判定部31が、直前頁の平均Dutyを読込み、稼働率閾値選定部29を通じて稼働率閾値テーブル保持部27から読出した稼働率閾値(規格値データ)と比較する(ステップS236)。この比較の結果、直前頁の平均Dutyの方が規格値データよりも多いか否かを判断し(ステップS237)、直前頁の平均Dutyの方が多い場合(ステップS237でYes)、今度は、温度検出を行う。即ち、パワーTRが備える放熱器(ヒートシンク)に取り付けられたサーミスタ15が、ヒートシンクの温度変化に応じた検出信号を稼働率閾値選定部29に出力し、稼働率閾値選定部29は、このサーミスタ15からの温度検出信号を読込んで上述した内部環境温度値を把握する(ステップS238)。この温度検出を行ったら、その検出温度に応じたノズル数をテーブル100(図14参照)から取得し(ステップS239)、以後のイメージバッファに対するビットマップ展開に際しては、テーブル100(図14参照)から取得したノズル数のヘッドを仮想して処理を行なう(ステップS240)。これにより、以後の印刷ヘッド11のパワーTRの発熱が抑制されるので、印刷を実行し(ステップS234)、次の印刷データが無くなるまで、ステップS235からの処理を繰り返し(ステップS241でYes)、次の印刷データが無くなれば(ステップS241でNo)、処理を終了する。
【0101】
尚、図24(b)に記載のフローチャートのように、ステップS235からの処理を、直前行の平均稼働率(Duty)が規格値データよりも多い場合に温度検出を行い、検出温度に応じてノズル数(ノズル稼働率)を調整するようにしても良い。
[実施例3−8]
図25(a)及び(b)は、本発明の第3の実施形態における実施例3−8の処理動作を示すフローチャートである。図25(a)に記載のフローチャートでは、上述した実施例3−7における図24(a)に示した場合と同様に、まず、ホストコンピュータ等のホスト装置1(図2参照)から印刷命令を受信した場合に、前の印刷命令を受信してから一定時間が経過しているか否かを判断し、この一定時間が経過していない場合に、パワーTRの発熱防止のための制御を行うが、図23(a)に示した場合では、ノズル数(ノズル稼働率)を調整したのに対し、実施例3−8では、一定時間、印刷ヘッド11の駆動を停止するものである。
【0102】
図25(a)において、ステップS242からS249までは、上述した実施例3−7における図24(a)に示したステップS231からS238までと全く同様である。この実施例3−8では、直前頁の平均Dutyと規格値データとを比較し(ステップS247)、直前頁の平均Dutyの方が多い場合(ステップS248でYes)、温度検出を行い(ステップS249)、この検出温度に応じた停止時間をテーブル200(図15参照)から取得し(ステップS250)、その停止時間だけ印刷ヘッド11の駆動を停止する(ステップS251)。これにより、以後の印刷ヘッド11のパワーTRの発熱が抑制されるので、印刷を実行し(ステップS245)、次の印刷データが無くなるまで、ステップS246からの処理を繰り返し(ステップS252でYes)、次の印刷データが無くなれば(ステップS252でNo)、処理を終了する。
【0103】
尚、図25(b)に記載のフローチャートのように、ステップS245からの処理を、直前行の平均稼働率(Duty)が規格値データよりも多い場合に温度検出を行い、検出温度に応じた一定時間、印刷ヘッド11の駆動を停止するようにしても良い。
[実施例3−9]
図26(a)及び(b)は、本発明の第3の実施形態における実施例3−9の処理動作を示すフローチャートである。図26(a)に記載のフローチャートでは、上述した実施例3−8における図25(a)に示した場合と同様に、まず、ホストコンピュータ等のホスト装置1(図2参照)から印刷命令を受信した場合に、前の印刷命令を受信してから一定時間が経過しているか否かを判断し、この一定時間が経過していない場合に、直前頁の平均稼働率(Duty)と規格値データとを比較するが、直前頁の平均稼働率(Duty)が多い場合に、まず今回頁のノズル稼働率を調査した上で温度検出を行い、今回頁のノズル稼働率と検出温度の双方に応じて所定のテーブルから予め定められた停止時間を取得し、この停止時間だけ印刷ヘッド11の駆動を停止するものである。
【0104】
図26(a)において、ステップS253からS259までは、上述した実施例3−8における図25(a)に示したステップS242からS248までと全く同様である。この実施例3−9では、直前頁の平均稼働率(Duty)が規格値データよりも多い場合に(ステップS259においてYes)、今回頁のノズル稼働率を調査する(ステップS260)。その上で温度検出を行い(ステップS261)、今回頁のノズル稼働率と検出温度の双方に応じた停止時間をテーブル400(図17参照)から取得し(ステップS262)、その停止時間だけ印刷ヘッド11の駆動を停止する(ステップS263)。ここでも、図17のテーブル400における「印刷データ本来のノズル稼働率」は、「今回頁のノズル稼働率」と読み替えるものとする。この時間経過により、印刷ヘッド11のパワーTRも十分に放熱されるので、印刷を実行し(ステップS256)、次の印刷データが無くなるまで、ステップS257からの処理を繰り返し(ステップS264でYes)、次の印刷データが無くなれば(ステップS264でNo)、処理を終了する。
【0105】
尚、図26(b)に記載のフローチャートのように、ステップS256からの処理を、直前行の平均稼働率(Duty)が規格値データよりも多い場合に、今回行のノズル稼働率を調査すると共に温度検出を行い、今回行のノズル稼働率と検出温度の双方に応じて、印刷ヘッド11の駆動を停止するようにしても良い。[実施例3−10]
図27は、本発明の第3の実施形態における実施例3−10の処理動作を示すフローチャートである。図27に記載のフローチャートでは、直前頁の平均稼働率(Duty)を計算した後、まず、上述したサーミスタ15とは別に、インク吐出安定化のために印刷ヘッド11に備えられた他のサーミスタにより環境温度を検出し、この環境温度を考慮した規格値データと直前頁の平均稼働率(Duty)とを比較した制御を行うものである。
【0106】
図27において、直前頁の平均稼働率(Duty)を計算した(ステップS265)後、上記した他のサーミスタにより環境温度を検出する(ステップS266)。そして、この環境温度を考慮した規格値データと直前頁の平均稼働率(Duty)とを比較し(ステップS267)、直前頁の平均稼働率(Duty)の方が多いか否かを判断し(ステップS268)、直前頁の平均稼働率(Duty)が規格値データよりも多い場合に(ステップS268においてYes)、今度は、サーミスタ15によりパワーTR(放熱器)の温度を検出する(ステップS269)。このサーミスタ15による検出温度を規格値データと比較し(ステップS270)、検出温度の方が高い場合に(ステップS271でYes)、検出温度と規格値データとの差分から換算した時間を印刷ヘッド11の休止時間とする(ステップS272)。この時間経過により、印刷ヘッド11のパワーTRも十分に放熱されるので、印刷を再開し(ステップS273)、処理を終了する。
【0107】
ここで、上記環境温度を考慮した規格値データの一例を図28のテーブル500に示す。図28のテーブル500から明らかなように、印刷ヘッドの環境温度が高ければ、これに応じてパワーTRの温度も高くなっていることが多いので、その分Dutyの閾値が低くなるように設定されている。例えば、環境温度が40℃であれば、Dutyの閾値は100%として比較を行う。
【0108】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、高デューティでの印刷処理動作においても、印刷処理速度の低下を最小限に抑制可能で、且つ、印刷ヘッド機構の駆動部の発熱が抑制可能な高信頼の印刷装置を提供することができる。
【0109】
また、本発明の印刷装置では、温度監視部がトランジスタの温度を監視して、その情報を駆動制御部に渡し、これを利用して印刷ヘッドにおけるノズル稼働率を低減させて印刷ヘッドを駆動させることが可能となった。また、前記の情報を利用して、ヘッドの駆動停止を行なわせる際にも、致命的エラーとして印刷を停止させるのではなく、様々な選択肢のなかから最も適切と考えられる停止時間を選択しうるようになった。これら、きめ細やかなヘッドの駆動制御による熱対策が施されたことにより、発熱の危険から実装部品を守ることができるため、部品選択や設計の自由度が増した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る印刷装置の一例としてのシリアルプリンタの機械部分の概略構成図。
【図2】本発明の実施形態に係る印刷装置の一例としてのシリアルプリンタを含むプリンタシステムの概略的な全体構成を示すブロック図。
【図3】本発明の実施形態に係る印刷装置における稼働率閾値テーブル保持部が保持するテーブル90を示す図。
【図4】図2に記載の演算処理部が含む各機能ブロックの処理動作の一例を示すフローチャート。
【図5】図2に記載の稼働率閾値選定部による稼働率閾値選定に際しての処理動作を示すフローチャート。
【図6】図2に記載の演算処理部が含む各機能ブロックの処理動作の別の一例を示すフローチャート。
【図7】本発明の第2の実施形態における制御機能の内容を表すブロック図。
【図8】温度情報に基づき、ノズル稼働率を低減させて印刷ヘッドを駆動させる手順を表す図。
【図9】印刷ヘッドにおける過去のノズル稼働実績に基づく評価を行なってから、制御を実行する手順について説明するための図。
【図10】印刷実行しようとするデータの内容をも制御内容選択判断の材料として制御を実行する手順について説明するための図。
【図11】温度情報に基づき、ヘッド駆動停止時間を選択して適用する制御を行なう場合の手順を表す図。
【図12】印刷ヘッドにおける過去のノズル稼働実績に基づく評価を行なってから、制御を実行する手順について説明するための図。
【図13】印刷実行しようとするデータの内容をも制御内容選択判断の材料として制御を実行する手順について説明するための図。
【図14】制御内容管理部が保持している制御項目についての対応情報の一例を表す図。(図8及び図9に表す手順に対応)
【図15】制御内容管理部が保持している制御項目についての対応情報の一例を表す図。(図11及び図12に表す手順に対応)
【図16】制御内容管理部が保持している制御項目についての対応情報の一例を表す図。(図10に表す手順に対応)
【図17】制御内容管理部が保持している制御項目についての対応情報の一例を表す図。(図13に表す手順に対応)
【図18】本発明の第3の実施形態における実施例3−1の処理動作を示すフローチャート。
【図19】本発明の第3の実施形態における実施例3−2の処理動作を示すフローチャート。
【図20】本発明の第3の実施形態における実施例3−3の処理動作を示すフローチャート。
【図21】本発明の第3の実施形態における実施例3−4の処理動作を示すフローチャート。
【図22】本発明の第3の実施形態における実施例3−5の処理動作を示すフローチャート。
【図23】本発明の第3の実施形態における実施例3−6の処理動作を示すフローチャート。
【図24】本発明の第3の実施形態における実施例3−7の処理動作を示すフローチャート。
【図25】本発明の第3の実施形態における実施例3−8の処理動作を示すフローチャート。
【図26】本発明の第3の実施形態における実施例3−9の処理動作を示すフローチャート。
【図27】本発明の第3の実施形態における実施例3−10の処理動作を示すフローチャート。
【図28】環境温度を考慮した規格値データのテーブル500を示す図。
【符号の説明】
1 ホスト装置(ホストコンピュータ)
3 シリアルプリンタ(プリンタ)本体
5 プリンタドライバ
7 プリンタインタフェース回路(プリンタI/F回路)
9 給紙機構
11 印刷ヘッド
13 印刷ヘッド駆動回路
15 サーミスタ
17 ホストインタフェース回路(ホストI/F回路)
19 演算処理部(シリアルプリンタ本体3の内部CPU)
21 給紙機構制御部
23 ヘッド駆動回路制御部
25 ドット計数部
27 稼働率閾値テーブル保持部
29 稼働率閾値選定部
31 稼働率比較判定部

Claims (23)

  1. 与えられた制御信号に基づき、供給された記録媒体に所定のイメージ情報を印刷処理する印刷ヘッド機構と、前記記録媒体上における所定領域での印刷が終了する毎に、該所定領域での前記印刷ヘッド機構の稼働率を検知する検知手段と、前記検知された稼働率と、与えられた稼働率閾値とを比較する比較手段と、前記稼働率が前記稼働率閾値を超えたとき、その超えた分を時間に換算し、少なくともその超えた分の時間だけ前記印刷ヘッド機構の駆動を停止させる制御手段と、を備え、印刷ヘッド機構の発熱を抑制可能なことを特徴とする印刷装置。
  2. 請求項1記載の印刷装置において、該印刷装置がシリアルプリンタであり、前記記録媒体が印刷用紙であり、前記所定領域が前記記録媒体の1ラスタ分又は1頁分であることを特徴とする印刷装置。
  3. 請求項1記載の印刷装置において、前記稼働率は、前記印刷ヘッド機構が前記イメージ情報を前記記録媒体に印刷するときのインクドットの計数値又はインク使用量から求まる前記印刷ヘッド機構の平均稼働率であることを特徴とする印刷装置。
  4. 請求項1記載の印刷装置において、前記稼働率閾値が、該印刷装置の外部環境の温度変化に応じて可変されることを特徴とする印刷装置。
  5. 請求項4記載の印刷装置において、前記外部環境の温度変化の検知が、該外部環境の適宜箇所に設けた温度検出手段からの温度検出信号に基づいて行われることを特徴とする印刷装置。
  6. 請求項1記載の印刷装置において、前記稼働率閾値が、該印刷装置の内部環境の温度変化に応じて可変されることを特徴とする印刷装置。
  7. 請求項6記載の印刷装置において、前記内部環境の温度変化の検知が、前記印刷ヘッド機構に設けた温度検出手段からの温度検出信号に基づいて行われることを特徴とする印刷装置。
  8. 請求項1記載の印刷装置において、前記稼働率閾値が、前記印刷ヘッド機構を駆動する駆動回路の半導体スイッチング素子の温度変化に応じて可変されることを特徴とする印刷装置。
  9. 請求項8記載の印刷装置において、前記半導体スイッチング素子の温度変化の検知が、前記半導体スイッチング素子に設けた温度検出手段からの温度検出信号に基づいて行われることを特徴とする印刷装置。
  10. 請求項1記載の印刷装置において、前記駆動を停止させる時間が、前記印刷ヘッド機構の行送りの時間又は新たな前記記録媒体への印刷処理を開始するまでの待機時間より長いとき、前記停止時間と前記行送りの時間又は前記待機時間との差に相当する時間だけ、前記印刷ヘッド機構の駆動を停止させることを特徴とする印刷装置。
  11. 与えられた制御信号に基づき、供給された記録媒体に所定のイメージ情報を印刷処理する印刷ヘッド機構の制御装置において、前記記録媒体上における所定領域での印刷が終了する毎に、該所定領域での印刷ヘッド機構の稼働率を検知する検知手段と、前記検知された稼働率と、与えられた稼働率閾値とを比較する比較手段と、前記稼働率が前記稼働率閾値を超えたとき、その超えた分を時間に換算し、少なくともその超えた分の時間だけ前記印刷ヘッド機構の駆動を停止させる停止手段と、を備え、印刷ヘッド機構の発熱を抑制可能なことを特徴とする印刷ヘッド機構の制御装置。
  12. 与えられた制御信号に基づき、供給された記録媒体に所定のイメージ情報を印刷処理する印刷ヘッド機構の制御方法において、前記記録媒体上における所定領域での印刷が終了する毎に、該所定領域での印刷ヘッド機構の稼働率を検知するステップと、前記検知された稼働率と、与えられた稼働率閾値とを比較するステップと、前記稼働率が前記稼働率閾値を超えたとき、その超えた分を時間に換算し、少なくともその超えた分の時間だけ前記印刷ヘッド機構の駆動を停止させるステップと、を備え、印刷ヘッド機構の発熱を抑制可能なことを特徴とする印刷ヘッド機構の制御方法。
  13. 与えられた制御信号に基づき、供給された記録媒体に所定のイメージ情報を印刷処理する印刷ヘッド機構を制御するためのコンピュータプログラムにおいて、前記記録媒体上における所定領域での印刷が終了する毎に、該所定領域での印刷ヘッド機構の稼働率を検知する処理と、前記検知された稼働率と、与えられた稼働率閾値とを比較する処理と、前記稼働率が前記稼働率閾値を超えたとき、その超えた分を時間に換算し、少なくともその超えた分の時間だけ前記印刷ヘッド機構の駆動を停止させる処理と、を含み、印刷ヘッド機構の発熱を抑制可能なことを特徴とする印刷ヘッド機構を制御するためのコンピュータプログラム。
  14. 印刷ヘッド駆動用電圧波形を生成するためのトランジスタの温度を監視して、温度情報を送信する温度監視部と、当該温度監視部から受信される温度情報に基づき、印刷ヘッドにおけるノズル稼働率を低減させて印刷ヘッドを駆動させることが可能な駆動制御部とを備え、前記駆動制御部は、前記監視に係るトランジスタの温度の値及び印刷データ本来のノズル稼働率と、稼働可能なノズル数の値とを対応付けて記憶する記憶手段を備え、前記温度監視部から受信される温度情報とこれから実行しようとする印刷命令本来のノズル稼働率とを鍵として、前記記憶手段から当該情報が表す温度の値及び当該印刷命令本来のノズル稼働率に対応するノズル数の値を読み取り、当該値の数のノズルのみを稼働させることにより、ノズル稼働率を低減させるよう構成されていることを特徴とする印刷装置。
  15. 印刷ヘッド駆動用電圧波形を生成するためのトランジスタの温度を監視して、温度情報を送信する温度監視部と、当該温度監視部から受信される温度情報に基づき、印刷ヘッドにおけるノズル稼働率を低減させて印刷ヘッドを駆動させることが可能な駆動制御部とを備え、前記駆動制御部は、印刷ヘッドにおける過去のノズル稼働実績に基づき、現に印刷を行なう際に、前記温度情報に基づくノズル稼働率の低減の措置を実行するか否かを判断するための稼働実績評価手段を有していることを特徴とする印刷装置。
  16. 請求項15記載の印刷装置において、前記稼働実績評価手段は、前回に行なった印刷ヘッド駆動からの経過時間に基づいて、前記判断を実行するよう構成されていることを特徴とする印刷装置。
  17. 請求項15記載の印刷装置において、前記稼働実績評価手段は、過去に行なった印刷ヘッド駆動時おける累積ノズル駆動回数に基づいて、前記判断を実行するよう構成されていることを特徴とする印刷装置。
  18. 印刷ヘッド駆動用トランジスタの温度を監視して、温度情報を送信する温度監視部と、当該温度監視部から受信される温度情報に基づき、印刷ヘッドにおけるノズル稼働を一時停止させることが可能な駆動制御部とを備える印刷装置において、前記駆動制御部は、前記監視に係るトランジスタの温度の値及び印刷データ本来のノズル稼働率と、前記ノズルの稼働を一時停止させておく時間の値とを対応付けて記憶する記憶手段を備え、前記温度監視部から受信される温度情報とこれから実行しようとする印刷命令本来のノズル稼働率とを鍵として、前記記憶手段から当該情報が表す温度の値及び当該印刷命令本来のノズル稼働率に対応する一時停止時間の値を読み取り、当該時間だけ、ノズル稼働を一時停止させるよう構成されていることを特徴とする印刷装置。
  19. 請求項18記載の印刷装置において、前記駆動制御部は、印刷ヘッドにおける過去のノズル稼働実績に基づき、現に印刷を行なう際に、前記温度監視部から受信される温度情報とこれから実行しようとする印刷命令本来のノズル稼働率とを鍵として、前記記憶手段から当該情報が表す温度の値及び当該印刷命令本来のノズル稼働率に対応する一時停止時間の値を読み取り、当該時間だけ、ノズル稼働を一時停止させる措置を実行するか否かを判断するための稼働実績評価手段を有していることを特徴とする印刷装置。
  20. 請求項19記載の印刷装置において、前記稼働実績評価手段は、前回に行なった印刷ヘッド駆動からの経過時間に基づいて、前記判断を実行するよう構成されていることを特徴とする印刷装置。
  21. 請求項19記載の印刷装置において、前記稼働実績評価手段は、過去に行なった印刷ヘッド駆動時おける累積ノズル駆動回数に基づいて、前記判断を実行するよう構成されていることを特徴とする印刷装置。
  22. 請求項18記載の印刷装置において、前記駆動制御部は、前記印刷ヘッドの走査中においては、前記ノズル稼働を一時停止させる措置を行なわせないよう構成されていることを特徴とする印刷装置。
  23. 印刷ヘッド駆動用電圧波形を生成するためのトランジスタの温度を監視して、温度情報を送信する温度監視部と、当該温度監視部から受信される温度情報に基づき、印刷ヘッドにおけるノズルの稼働率を低減させて印刷ヘッドを駆動させることが可能な駆動制御部を備え、該駆動制御部は、更に、前記監視に係るトランジスタの温度の値及び印刷データ本来のノズル稼働率と、前記ノズルの稼働を一時停止させておく時間の値とを対応付けて記憶する記憶手段を備え、前記温度監視部から受信される温度情報とこれから実行しようとする印刷命令本来のノズル稼働率とを鍵として、前記記憶手段から当該情報が表す温度の値及び当該印刷命令本来のノズル稼働率に対応する一時停止時間の値を読み取り、当該時間だけ、ノズル稼働を一時停止させるよう構成されていることを特徴とする印刷装置。
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