JP3988099B2 - サスペンション制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の車両において、車体の揺れを抑えて快適な乗り心地を得るようにした、サスペンション制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の車両においては、車両と車輪との間にサスペンション装置を介装し、車輪が路面の凹凸で上下方向に振動したとき、これを吸収緩和して快適な乗り心地を得るようにしている。このために用いられるサスペンション装置は、油液を充填したシリンダ内にピストンを摺動自在に嵌挿し、このピストンの摺動によって減衰力を発生するショックアブソーバと、このショックアブソーバの外周に巻回されたコイルスプリングとを組み合わせたもので構成される。
【0003】
上記構造のうち、ショックアブソーバとして、減衰特性可変型ショックアブソーバを用い、車体の振動状態に応じて減衰特性をソフトからハードにリアルタイムに変更して乗り心地を向上させるものがある。この減衰特性可変型ショックアブソーバは、シリンダ内に摺動自在に嵌挿されたピストンによって画成されたシリンダ上下室間を連通する連通路を備え、この連通路の通路面積を変化させて、連通路を流通する油液の流動抵抗を変えることによって、車輪から車体に伝わる減衰特性を変えることができる。このため、実際的な構造としては、電子回路からなる制御回路で制御されるアクチュエータのバルブを連通路に開閉可能に設け、アクチュエータを制御することでシリンダ上下室間を流通する油液の流動抵抗(減衰特性)を変えることになる(関連技術として特開平9−254626号公報参照)。
【0004】
次に、図7に基づき、アクチュエータとして比例ソレノイドバルブを使用したサスペンション制御装置を説明する。図中1はコントローラであり、2はこのコントローラ1によって制御されるアクチュエータである。また、2Aは、一端が電源端子9およびイグニッションスイッチ(図示せず)を介して電源9A(バッテリ、オルタネータ等)に接続され、他端がコントローラ1に接続されたリレー回路である。コントローラ1とアクチュエータ2とは、コネクタ1c,1dとコネクタ2c,2dによって配線を介して接続され、コントローラ1とリレー回路2aとは、コネクタ1a,1bとコネクタ2a,2bによって配線を介して接続されている。
【0005】
コントローラ1の内部にはCPU(中央演算装置)3が設けられている。このCPU3には、出力端子3a,3bと、入力端子3cが設けられられており、出力端子3aはトランジスタ4のベースに、出力端子3bは補正回路5(補正手段)の入力端子5aに接続されている。補正回路5にはモニタ端子5bが設けられており、電流モニタ用のオペアンプ6(個別電流検出手段)の出力端子6aとともにCPU3の入力端子3cに接続されている。なお、CPU3は、このほか図示しない入力端子を介して、車体の振動状態を検出する例えば上下加速度センサ等からの検出信号を受けるようになっている。
【0006】
トランジスタ4のコレクタはコネクタ1aに接続されており、エミッタは車体に接地(車体を介して電源9A(バッテリ等)の負極側に接続)されている。補正回路5の出力端子5cにはトランジスタ7(通電電流制御手段)のベースが接続されており、このトランジスタ7のコレクタはコネクタ1bに、エミッタはコネクタ1cに接続されている。電流モニタ用のオペアンプ6の二つの入力端子6b,6c間にはシャント抵抗8が接続されており、入力端子6bはコネクタ1dに、入力端子6cは車体に接地されている。
【0007】
ここで、補正回路5、オペアンプ6、トランジスタ7及びシャント抵抗8でアクチュエータ制御手段を構成している。
【0008】
リレー回路2Aには電源端子9が設けられており、イグニッションスイッチを介して車両に搭載された電源9Aの正極側に接続されるようになっている。電源端子9にはヒューズ10を介してアクチュエータリレー11のコイル12と常開接点13の各一端が接続されている。そしてコイル12の他端はコネクタ2aに、常開接点13の他端はコネクタ2bに接続されている。
【0009】
アクチュエータ2のコネクタ2c,2dの間には、比例ソレノイドバルブ(図示せず)のバルブを駆動するためのコイル14の両端が接続されている。そしてコイル14にトランジスタ7を介して駆動電流が通電することで、駆動電流に応じてアクチュエータ2が駆動される。なお、図中15および16は、アクチュエータ2の配線の溶融、あるいは、アクチュエータ2の接続配線がほこり等により、抵抗値を持って車体に接地(短絡)した場合を模式的に示している。
【0010】
以上説明した制御回路は、四輪中のいずれか一輪に対する制御回路である。四輪自動車の場合、このほかにアクチュエータ2の制御回路(アクチュエータ制御手段)がその上流側の分岐点Bから分岐して各車輪に対応して3個あり、アクチュエータリレー11の常開接点13に接続されている。
【0011】
このように構成されたこのサスペンション制御装置の作動を説明する。イグニッションスイッチをオンにして車両が走行するとき、上下加速度センサ等の検出信号に応じてCPU3の出力端子3aに出力信号が発生し、トランジスタ4がオンになるとアクチュエータリレー11のコイル12に電流が流れ、常開接点13を閉じる。このとき補正回路5に出力がありトランジスタ7がオンとなっていれば常開接点13を通った電流が比例ソレノイドバルブのコイル14に流れるので、このコイル14に流れる駆動電流に応じて比例ソレノイド(アクチュエータ2)が作動する。
【0012】
補正回路5はCPU3の出力端子3bに生ずる指令電流によってトランジスタ7を制御し、コイル14に流れる電流を制御する。補正回路5には前述のようにモニタ端子5bがあり、トランジスタ7を制御する電流をCPU3の入力端子3cに入力するようになっている。CPU3はこの入力端子3cからの信号と、シャント抵抗8の両端に生ずる電圧により生ずるオペアンプ6(個別電流検出手段)の出力信号(アクチュエータ2を流れる実電流)を取り込み、コイル14に最適な値の一定電流が流れるように補正し、図示しない減衰特性可変型ショックアブソーバの減衰特性を最適化する。この制御は、四輪のすべてについて各々行われる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上記制御回路は車両に組み込まれるものであり、長期間に亘って使用されるものであることから、回路中の各部において配線が車体に短絡する可能性がある。図中に▲1▼ないし▲8▼で示した部位は、そのような短絡が発生する可能性があるところである。いま、▲1▼の箇所、あるいはアクチュエータリレー11の常開接点13が閉じているときに▲2▼または▲4▼の箇所で配線が車体に短絡したとすると、ヒューズ10が溶断する。これにより以降の制御は不能となる。
【0014】
アクチュエータリレー11の常開接点13が閉じているときに▲5▼の位置で配線が車体に短絡すると、トランジスタ7には過大電流が流れるとともに、やはりヒューズ10が溶断する。ヒューズ10が溶断するほどではない短絡電流のときには、補正回路5がその電流を検出してその情報をCPU3に送るから、CPU3はアクチュエータリレー11をオフにし、いわゆるフェイルセーフにする。
【0015】
このように通常の短絡(抵抗値を持たない)ではフェイルセーフが可能であるが、比例ソレノイド14の両端の▲5▼あるいは▲7▼のラインが、配線の溶融あるいはほこりを介しての短絡のように、抵抗値を持って短絡した場合には、ヒューズ10は溶断しないが、電流モニタとしてのオペアンプ6が大電流を検知してCPU3にこれを出力し、CPU3がこれを補正回路5に出力し、それに見合った大きい電流を流してしまうことになる。この結果、コントローラ1が故障する可能性があった。
【0016】
本発明はこの点に鑑みてなされたものであり、上記のような短絡が生じても、コントローラが故障することがないサスペンション制御装置を提供しようとするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本願の請求項1に係る発明は、車両の車体と各車輪との間に各々設けられ減衰特性をソフトとハードの間で変えられるようにした減衰特性可変型ショックアブソーバと、該各減衰特性可変型ショックアブソーバに対応して各々設けられ前記各減衰特性可変型ショックアブソーバの減衰特性を通電電流に応じて調整するアクチュエータと、一の電源から分岐して前記各アクチュエータに接続される配線中に各々設けられ前記各アクチュエータに流れる通電電流を制御するアクチュエータ制御手段と、を備えたサスペンション制御装置において、前記アクチュエータ制御手段を、前記アクチュエータに供給する通電電流を制御する通電電流制御手段と、前記アクチュエータの下流に設けられ前記アクチュエータを流れる通電電流を検出する個別電流検出手段と、該個別電流検出手段の検出値に基づき前記アクチュエータを流れる通電電流を補正する補正手段とから構成し、さらに、前記分岐より上流側に設けられ前記分岐より上流側の電流値を検出する電流検出手段と、前記通電電流制御手段から前記アクチュエータに出力される通電電流の加算値と前記電流検出手段が検出した前記分岐より上流側の電流値との差に応じて異常を判定する異常判定手段と、を設けたことを特徴とする。
【0018】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のサスペンション制御装置において、異常判定手段は、アクチュエータに出力される通電電流の加算値と電流検出手段が検出した前記分岐より上流側の電流値との差が所定時間継続した場合に異常と判定するものであって、さらに、通電電流の加算値と前記分岐より上流側の電流値との差が小さい場合には、前記所定時間を長くし、通電電流の加算値と前記分岐より上流側の電流値との差が大きい場合には、前記所定時間を短かくすることを特徴とする。
【0019】
このような構成とした請求項1に記載の発明においては、異常判定手段が、通電電流制御手段からアクチュエータに出力される通電電流の加算値と電流検出手段が検出した前記分岐より上流側の電流値との差に応じて異常を判定するから、通電電流の加算値と前記分岐より上流側の電流値との差がすぐに生じる。
また、請求項2に記載された発明においては、異常判定手段はアクチュエータに出力される通電電流の加算値と電流検出手段が検出した前記分岐より上流側の電流値との差が所定時間継続した場合に異常と判定し、さらに、通電電流の加算値と前記分岐より上流側の電流値との差が小さい場合には、前記所定時間を長くし、通電電流の加算値と前記分岐より上流側の電流値との差が大きい場合には、前記所定時間を短くして異常を判定する。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1について、図7と同一部分には同一の符号を付し、特徴部分を主体に説明する。なお、FRは前輪右側、FLは前輪左側、RRは後輪右側、RLは後輪左側をそれぞれ示す。図7のものと相違するところは、コントローラ1のコネクタ1bとトランジスタ7のコレクタとを直接接続せずに、その間に各車輪に対応した各アクチュエータ2を流れる通電電流の合計値を検出する電流検出手段として、前述のオペアンプ6の他に各車輪共有のオペアンプ17を接続し、この入力端子17b,17cを接続し、その間に接続したシャント抵抗18の両端間の電圧を検出するようにしたものである。ここでオペアンプ17およびシャント抵抗18で電流検出手段を構成している。なお、オペアンプ17の出力端子17aは、CPU3の他の入力端子3dに接続される。CPU3は、電源側から見て上流側のオペアンプ17と下流側のオペアンプ6の両方の出力信号を受けて各種判断をすることになる。CPU3の出力端子3aと入力端子3dとの間には、オペアンプ17からの出力信号を受けて、制御回路の異常を判定する異常判定手段3Aが設けられている。
【0021】
次に、作用を説明する。車体に振動が伝わると、車体に取付けられた図示しない加速度センサが車体の上下方向の加速度を検出する。検出された上下方向の加速度は、コントローラ1のCPU3にリアルタイムで送られる。CPU3は、この加速度信号等からアクチュエータ2のコイル14に流す電流を計算する。そしてその結果決定した値の電流がアクチュエータ2のコイル14に流れるようにトランジスタ4を制御する。この結果、電流はアクチュエータリレー11の可動接点13からシャント抵抗18、トランジスタ7、コイル14、シャント抵抗8の順に流れる。
【0022】
シャント抵抗18を流れる電流によってその両端に生ずる電圧からオペアンプ17は分岐点Bよりも上流側(負荷でアクチュエータ2のコイル14より電源側)の電流値を検知し、これをCPU3に入力する。そして、CPU3の異常判定手段3Aは、この入力信号(各コイル14を流れる通電電流の合計値(実電流))と、各アクチュエータ2への通電電流(駆動電流)の合計値との差が生じてから、所定時間継続した場合は異常と判断し、トランジスタ4をオフにしてアクチュエータリレー11のコイル12に流れる電流をゼロにする。これにより常開接点13が開くので、各コイル14への電流供給が停止する。
【0023】
各コイル14を流れる通電電流の合計値(実電流)と、各アクチュエータ2への通電電流(駆動電流)の合計値との差が生じてから、所定時間継続していない場合は、異常なしと判断され、各コイル14への電流供給は継続する。このとき、CPU3はこれを是正する信号を各補正回路5に出力する。補正回路5はこれによりトランジスタ7を制御してコイル14に流れる電流を一定値にする。
【0024】
コントローラ1とアクチュエータ2、リレー回路2Aとの間の信号はCPU3により制御されるが、この制御内容を、図2に示したフローチャート図に基いて説明する。車両のエンジンがかかりコントローラ1に電源が入ると、ステップ300の制御ソフトウェアの実行を開始する。まず、ステップ301でコントローラ1の初期設定が行われると、続くステップ302で所定の制御周期が来たか否かの判定が行われる。この時、いまだ制御周期に達していないときには前のステップ301を終了したところに戻り、再び制御周期がきているか否かの判定を行う。この結果、ステップ302で制御周期であることを判定すると、まず、前制御周期に算出されている結果に基づき、ステップ303でアクチュエータ2の駆動を行う。これとともに、ステップ304でその他の出力、たとえば表示用に設けられた発光ダイオード(図示せず)等への出力が行われる。
【0025】
次のステップ305においては、CPU3に接続された各センサからの情報およびアクチュエータ2側への出力電流をモニタし、このステップ305で読み込んだ上下加速度センサの出力値を基に、次のステップ306で車体の制振に必要な減衰力を演算するとともに、その減衰力を発生するためにアクチュエータ2に出力する電流を演算する。そしてステップ307で現在のアクチュエータ電流出力のモニタ結果から、アクチュエータ系のフェイル(図中15および16において、抵抗値を持って車体に接地した場合の異常。以下、同じ)検出フローにより、アクチュエータ系のフェイルであるか否かの判定を行う。
【0026】
次に、ステップ307のアクチュエータ系電流検出部の制御を図3に基づいて説明する。これは、図2に示すフローチャートのステップ307のアクチュエータ系電流検出部の制御の流れ(サブルーチン)である。なお、このプログラムは、メインルーチンとともにCPU3に組み込まれる。
【0027】
この制御は、まずステップ400で制御を開始し、ステップ401でアクチュエータ系にフェイルがあるか否かのチェックをする。その結果フェイルがあったときには、ステップ402でアクチュエータリレー11への通電を断って制御を終わり(ステップ403)、コントローラ1の故障を防ぐ。
【0028】
アクチュエータ系にフェイルがないときには、ステップ404により四輪の指令値(各アクチュエータ2に出力される通電電流)を加算し、その加算値と上流(電源側)の電流モニタの検出値との差が、
|(四輪指令値の加算値−上流電流モニタ検出値)|≧設定値…式(1)
の関係であるか否かを判定する(ステップ404、405)。その結果、設定値以上であると判定したときには、ステップ406でフェイルタイマ(制御の1周期)を「+1」にし、設定値以下であると判定されたときにはフェイルタイマクリアとして制御を終了する(ステップ407)。
【0029】
以下、同様の制御を繰り返えし、フェイルタイマの値(制御の周期数)が設定値以上(たとえば3回以上)であれば(ステップ408)、アクチュエータフェイルセットとして制御を終了する(ステップ409)。ステップ408においてフェイルタイマの値が設定値以下であると判定されたときには、そこで制御が終了する。なお、フェイルタイマの設定値は、アクチュエータ2に電流が継続して流れても故障しない値に設定する。
【0030】
図4,5に示すものは、制御プログラムの他の例である。この場合、トランジスタからアクチュエータ2に出力する通電電流と、アクチュエータ2に流れる電流値(実電流)の差が小さいとき(差がi1のとき)には小電流フェイルタイマをセット(前記タイマの設定値(所定値)より長い)して異常状態の判定を行い、一方、差が大きいとき(差がi2のとき)には大電流フェイルタイマをセット(前記タイマの設定値(所定値)より短い)して異常状態の判定を行うようにしている。
【0031】
作用は、まずステップ500で制御を開始し、ステップ501でアクチュエータ系にフェイルがあるか否かのチェックをする。その結果フェイルがあったときには、ステップ502でアクチュエータリレー11への通電を断って制御を終わり(ステップ503)、コントローラ1の故障を防ぐ。
【0032】
アクチュエータ系にフェイルがないときには、四輪の指令値(各アクチュエータに出力される通電電流)を加算し(ステップ504)、その加算値と上流(電源側)の電流モニタの検出値との差(電流差分値)が、
|(四輪指令値の加算値−上流電流モニタ検出値)|≧設定値i1…式(2)
の関係であるか否かを判定する(ステップ505)。その結果、設定値i1以上でないと判定したときには小電流フェイルタイマをクリアする(ステップ506)。設定値i1以上と判定されたときにはフェイルと判定し、小電流フェイルタイマ(制御の1周期)を「+1」にする(ステップ507)。
【0033】
次にステップ508において小電流フェイルタイマが設定値以上であるか否かの判断がなされ(ステップ508)、設定値以上であればアクチュエータフェイルセットとして(ステップ509)次に進み、設定値以上でないときにも次に進む。
【0034】
続くステップ510において、加算値と上流の電流モニタの検出値との差(電流差分値)が、
|(四輪指令値の加算値−上流電流モニタ検出値)|≧設定値i2…式(3)
の関係であるか否かを判定する。その結果、設定値i2以上でないと判定したときには大電流フェイルタイマをクリアする(ステップ511)。設定値i2以上と判定されたときにはフェイルと判定し、大電流フェイルタイマ(制御の1周期)を「+1」にする(ステップ512)。なお、i1<i2の関係となっている。
【0035】
大電流フェイルタイマを「+1」にした後、大電流フェイルタイマが設定値以上(たとえば3回以上)であるか否かの判断がなされ(ステップ513)、設定値以上ならアクチュエータフェイルセットとして制御が終了する(ステップ514)。
【0036】
このように、この制御では、四輪指令値の加算値を二つの領域に分けて判定するが、これは三つ以上の領域に分けるようにしてもよい。
【0037】
図6に示すものは、制御プログラムのさらに他の例である。このプログラムでは、指令値と上流の電流モニタの検出値の差(電流差分値)に対して、次の式(4)により重み付けをした後に加算処理を行うことが特徴である。すなわち、
(|(四輪指令値の加算値−上流電流モニタ検出値)|)2≧設定値i1…式(4)
が成立するように制御すれば、電流値が小さいときには誤差の加算処理結果が小さく、電流値が大きいときには、その値が大きくなる。
【0038】
順を追って説明する。まずステップ600で制御を開始し、ステップ601でアクチュエータ系にフェイルがあるか否かのチェックをする。その結果フェイルがあったときには、ステップ602でアクチュエータリレー11への通電を断って制御を終わり(ステップ603)、コントローラ1の故障を防ぐ。
【0039】
アクチュエータ系にフェイルがないときには、四輪の指令値を加算し(ステップ604)、次に電流差分値とフェイル電流加算値を設定して(ステップ605、606)、ステップ607に進む。ステップ607では、
|(四輪指令値の加算値−上流電流モニタ検出値)|≦設定値i1…式(5)
の判定を行い、設定値i1以下なら、続くステップ608に進むが、設定値i1以下でなければフェイル電流の加算値をクリアする(ステップ609)。ステップ608ではフェイル電流の加算値が設定値i2以上であるか否かの判定を行う。その結果設定値i2以上であればアクチュエータをフェイルセット(オフ)にして(ステップ610)制御を終了し、設定値i2以上でないときにはそのまま終了する。
【0040】
この制御においては、式(4)において検出結果を2乗することにより重み付けを行っているが、他の手法によって重み付けを行うようにしてもよい。
【0041】
【発明の効果】
本発明は、自動車等の車両において、車体の揺れを抑えて快適な乗り心地を得るようにしたサスペンション制御装置において、請求項1に記載された発明では、異常判定手段が、通電電流制御手段からアクチュエータに出力される通電電流の加算値と電流検出手段が検出した前記分岐より上流側の電流値との差に応じて異常を判定するから、通電電流の加算値と前記分岐より上流側の電流値との差がすぐに生じるので、迅速に異常を判定することができる。
【0042】
また、請求項2に記載された発明においては、異常判定手段はアクチュエータに出力される通電電流の加算値と電流検出手段が検出した前記分岐より上流側の電流値との差が所定時間継続した場合に異常と判定し、さらに、通電電流の加算値と前記分岐より上流側の電流値との差が小さい場合には、前記所定時間を長くし、通電電流の加算値と前記分岐より上流側の電流値との差が大きい場合には、前記所定時間を短くして異常を判定することができ、故障の発生の抑制を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す回路図である。
【図2】図1に示す回路の制御を示すフローチャートである。
【図3】図2のフローチャートのサブルーチン部分を示すフローチャートである。
【図4】図2のフローチャートのサブルーチン部分の他の例を示すフローチャートである。
【図5】図4の続き部分を示すフローチャートである。
【図6】図2のフローチャートのサブルーチン部分のさらに他の例を示すフローチャートである。
【図7】従来のサスペンション制御回路を示す回路図である。
【符号の説明】
1 コントローラ
2 アクチュエータ
3 CPU
3A 異常判定手段
4 トランジスタ
5 補正回路(補正手段)
6 オペアンプ(個別電流検出手段)
7 トランジスタ(通電電流制御手段)
8 シャント抵抗
5〜8アクチュエータ制御手段
11 アクチュエータリレー
14 コイル
17 オペアンプ(電流検出手段)
18 シャント抵抗(電流検出手段)
Claims (2)
- 車両の車体と各車輪との間に各々設けられ減衰特性をソフトとハードの間で変えられるようにした減衰特性可変型ショックアブソーバと、該各減衰特性可変型ショックアブソーバに対応して各々設けられ前記各減衰特性可変型ショックアブソーバの減衰特性を通電電流に応じて調整するアクチュエータと、一の電源から分岐して前記各アクチュエータに接続される配線中に各々設けられ前記各アクチュエータに流れる通電電流を制御するアクチュエータ制御手段と、を備えたサスペンション制御装置において、
前記アクチュエータ制御手段を、前記アクチュエータに供給する通電電流を制御する通電電流制御手段と、前記アクチュエータの下流に設けられ前記アクチュエータを流れる通電電流を検出する個別電流検出手段と、該個別電流検出手段の検出値に基づき前記アクチュエータを流れる通電電流を補正する補正手段とから構成し、さらに、前記分岐より上流側に設けられ前記分岐より上流側の電流値を検出する電流検出手段と、前記通電電流制御手段から前記アクチュエータに出力される通電電流の加算値と前記電流検出手段が検出した前記分岐より上流側の電流値との差に応じて異常を判定する異常判定手段と、を設けたことを特徴とするサスペンション制御装置。 - 異常判定手段は、アクチュエータに出力される通電電流の加算値と電流検出手段が検出した前記分岐より上流側の電流値との差が所定時間継続した場合に異常と判定するものであって、さらに、通電電流の加算値と前記分岐より上流側の電流値との差が小さい場合には、前記所定時間を長くし、通電電流の加算値と前記分岐より上流側の電流値との差が大きい場合には、前記所定時間を短かくすることを特徴とする請求項1に記載のサスペンション制御装置。
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1998
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