JP3984356B2 - 防汚性に優れた化粧板及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築内装材、特に、流し台、ガスコンロ等のキッチン回りに用いられる、良好な防汚性を有する化粧板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、流し台、ガスコンロ等のキッチン回りに用いられる化粧板としては、例えば、珪酸カルシウム板、石綿スレート板、セメントスレート板等の無機質系基材に、印刷模様が形成された化粧紙を貼着する方法、直接無機質系基材に絵柄模様を印刷する方法、又は転写シートを用いて無機質系基材面に絵柄模様を転写する方法等によって絵柄模様を設けた後、該絵柄模様層の上から透明塗料を塗装し、トップコート層としたものが知られているが、流し台やガスコンロ等のキッチン回りに用いられた場合、油煙、又は醤油、ソース、カレー等の調味料が飛散し回りの壁面に付着し汚れやすく、しかも付着した汚れがとれにくいという欠点があった。
【0003】
上記の欠点を解決するために、無機質系基材の表面に絵柄模様を転写する方法等により絵柄模様を設けた後、トップコート層用透明塗料として、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂を用いたものが表面硬度、摩耗性、耐擦傷性等の表面物性に優れたものとして利用されている。しかし、前記トップコート層として、従来用いられてきた熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂では、表面に汚れが付着した場合に、濡れ雑巾や洗剤で汚れを落とすことは可能であったが、最も簡便な拭き取り法である乾拭きでは汚れが落ちず防汚性に劣るといった問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、流し台、ガスコンロ等のキッチン回りに用いられる、耐熱性、防火性を有し、且つ、繰り返しの拭き取りにおいても、乾拭きで簡単に付着した汚れを除去できる防汚性に優れた化粧板およびその製造方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の解決手段は、基材の上面に、ベースコート層、電離放射線硬化性樹脂層、絵柄印刷層、トップコート層が順次積層された化粧板において、前記絵柄印刷層が前記電離放射線硬化性樹脂を塗工硬化すると同時に転写により形成され、前記トップコート層がシロキサン結合を有する化合物を添加したフッ素基を含有する電離放射線硬化性樹脂により形成してなることを特徴とする化粧板とすることである。
このような構成とすることにより、印刷紙を用いることなく基材の上面に細密を絵柄印刷層を形成することができ、さらに、絵柄印刷層の上面にシロキサン結合を有する化合物を添加したフッ素基を含有する電離放射線硬化性樹脂によりトップコート層が形成されているため、耐擦傷性、耐汚染性等の表面物性に優れ、乾拭きにて簡単に汚れを拭き取ることが可能となる。
【0006】
また、前記トップコート層を形成する電離放射線硬化性樹脂に添加したシロキサン結合を有する化合物が反応性シロキサンオリゴマーよりなることを特徴とするものである。こうすることにより、撥液成分が樹脂と反応硬化するため防汚性能の持続性を向上させることができる。即ち、乾拭きによる汚れの拭き取り回数が増大し、長期に渡り防汚性を維持することが可能となる。
【0007】
さらに、基材を無機質系基材からなるものとすることにより、不燃性を有する化粧板となり、その用途が拡大されるものである。
【0008】
電離放射線透過性を有する転写シート基材の一方の面に絵柄印刷層を積層した転写シートを準備する工程、無機質系基材の面にベースコート層を塗装する工程、前記無機質系基材のベースコート層面に電離放射線硬化性樹脂を塗装する工程、前記転写シートの絵柄印刷層面を前記無機質系基材の電離放射線硬化性樹脂層面に接するように載置し前記転写シートの電離放射線透過性を有する転写シート基材面より電離放射線を照射し前記電離放射線硬化性樹脂を半硬化する工程、前記転写シートの転写シート基材を剥離することにより前記無機質系基材の電離放射線硬化性樹脂層面に絵柄印刷層を形成する工程、前記絵柄印刷層表面にフッ素基を含有する電離放射線硬化性樹脂を塗工し電離放射線を照射することによりトップコート層を形成する工程からなることを特徴とする防汚性に優れた無機質系化粧板の製造方法とすることにより、上記のような効果を有する防汚性に優れた化粧板が容易に確実に製造できるものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施形態を図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の防汚性に優れた化粧板の実施例を示す積層断面図、図2は本発明の防汚性に優れた化粧板の製造方法の一例を説明する積層断面図であり、1は化粧板、2は基材、3はベースコート層、3aはシーラー層、3bはプライマー層、4は電離放射線硬化性樹脂層、5は絵柄印刷層、5aはベタインキ層、5bは絵柄インキ層、6はトップコート層、7は転写シート、8は転写シート基材、Rは電離放射線をそれぞれ表す。
【0010】
本発明の化粧板1の構成は図1に示すように、基材2の上面に設けられたベースコート層3面に、電離放射線硬化性樹脂層4を介して絵柄印刷層5を設け、さらにその上面にフッ素基を含有する電離放射線硬化性樹脂により形成したトップコート層6が積層された構成からなる。絵柄印刷層5はベタインキ層5aと絵柄インキ層5bで構成されており、基材2の上面に設けられたシーラー層3aとプライマー層3bからなるベースコート層3の上面に設けた電離放射線硬化性樹脂層4を塗工硬化すると同時に転写形成され、さらに該絵柄印刷層5の上面にシロキサン結合を有する化合物を添加したフッ素基を含有する電離放射線硬化性樹脂よりなる防汚性に優れたトップコート層6を設けたことを特徴とする。
【0011】
次に、本発明の化粧板1の製造方法の一例について図面を用いて説明する。先ず、図2(イ)に示すように、電離放射線透過性を有する転写シート基材8の片面に絵柄インキ層5b及びベタインキ層5aよりなる絵柄印刷層5が設けられた転写シート7を準備する。次に、図2(ロ)に示すような、基材2の上面にシーラー層3aとプライマー層3bからなるベースコート層3を設けた。次に、図2(ハ)に示すように、基材2の上面のプライマー層3b面に電離放射線硬化性樹脂4を塗工し、続いて図2(ニ)に示すように、該転写シート7の絵柄印刷層5を基材2の表面に設けられた電離放射線硬化性樹脂4面に重ねあわせ、前記転写シート7の電離放射線透過性を有する転写シート基材8面より電離放射線Rを照射し、前記電離放射線硬化性樹脂4を硬化する。次いで、図2(ホ)に示すように、前記転写シート7の転写シート基材8を剥離し基材2の上面に絵柄印刷層5を設ける。さらに、図2(ヘ)に示すように、該絵柄印刷層5を含む基材2の上面にシロキサン結合を有する化合物を添加した電離放射線硬化性樹脂を塗工し、電離放射線Rを照射することにより、表面に防汚性に優れたトップコート層6を有する化粧板1が得られる。
【0012】
本発明の化粧板1に用いられる基材2としては、木、合板、パーティクルボード、MDF等の木質系基材、珪酸カルシウム板、石綿スレート板、軽量発泡コンクリート板、中空押出セメント板等のセメント板、石膏板、石膏スラグ板等の石膏系板、パルプセメント板、石綿セメント板、木片セメント板等の繊維セメント板等の無機質系基材、磨鋼板、亜鉛メッキ鋼板、アルミニューム板等の金属系基材を用いることができる。
【0013】
ベースコート層3は、基材2が無機質系基材の場合は、基材2からのアルカリ成分溶出の防止、木質系基材の場合は基材への電離放射線硬化性樹脂の吸い込みの防止、また金属系基材の場合は基材2の防錆等のため、および前記基材2と電離放射線硬化性樹脂層4の密着性の向上を目的として設けられるものであり、その構成は任意で、前記の両方の物性を備えた樹脂組成による一層構成としてもよいことは勿論であるが、品質性能を高める方法として、例えばアルカリ成分溶出の防止のためにポリイソシアネート系樹脂、湿気硬化型ウレタン系樹脂、スチレン−アクリル酸エステル共重合樹脂等の硬化性樹脂よりなるシーラー層3a、無機質系基材2の表面への電離放射線硬化性樹脂層4の密着性の向上を目的とするアクリルウレタン系樹脂、メタクリル酸エステル系樹脂塗料等よりなるプライマー層3bからなる2層構成とすることが望ましいものである。更に、プライマー層3bを着色、不透明にすることにより、隠蔽性を持たせ、基材上に形成される絵柄印刷層5が被貼合せ基材の色の影響を受けなくすることが可能である。
【0014】
化粧板1に絵柄印刷層4を形成するための転写シート7の構成としては、図2(イ)に示されているように、電離放射線透過性を有する転写シート基材8面に任意の絵柄印刷層5を積層構成したものである。転写シート基材8としては、使用する電離放射線を透過可能であり、かつ、硬化または半硬化した電離放射線硬化性樹脂と離型可能な材質であれば良い。電離放射線透過性を有する転写シート基材8の材質としては、電離放射線が紫外線の場合は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ビニロン等のビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリメタアクリル酸メチル、ポリメタアクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂、三酢酸セルロース、セロファン等のセルロース系樹脂等の延伸フイルム、またはシートが挙げられ、紫外線の透過性を阻害する着色料等を含まないものが好ましい。電離放射線が電子線の場合は、電子線の透過性が高いので特に制約はなく、上記の紫外線を透過するシートのみならず、紙に至るまでも使用できる。従って、印刷適性、転写時の適性を重点的にした選択が可能であり、転写シート基材8の厚みは、5〜200μmのものが好ましく用いられる。
【0015】
絵柄印刷層5としては、全面ベタ刷りのベタインキ層5aと例えば、石目、布目、天然皮革の表面柄、抽象柄等を表現する絵柄インキ層5bが付されており、絵柄印刷層5を形成するインキのビヒクルとしては、アルキッド系樹脂、ウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂等からなる汎用の樹脂が用いられ、更に必要に応じてその他の添加剤、例えば、有機又は無機系の顔料、染料、光輝性顔料等の着色剤、体質顔料、安定剤、可塑剤、溶剤等を適宜混合したものが使用できる。
【0016】
意匠面で立体感をより現出するために、絵柄印刷層5の構成にベタインキ層5aは着色顔料のみを含ませ、絵柄インキ層5bとして着色顔料による着色インキ層と光輝性顔料を添加した光輝性インキ層によって絵柄を構成することも可能であり、またベタインキ層5aに着色顔料とともに光輝性顔料を含ませることも可能である。そして、ベタインキ層5aと絵柄インキ層5bとに光輝性顔料を含有する場合は、ベタインキ層5aと絵柄インキ層5bの光輝性顔料の色調を異ならせて互いの模様と関連させることで、特殊な視覚的効果、立体感を創成することが出来る。
【0017】
絵柄印刷層5を転写形成することに用いられる電離放射線硬化性樹脂層4、およびトップコート層6を形成するのに用いられる樹脂は、分子中に、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、又はエポキシ基等のカチオン重合性官能基を有する単量体、プレポリマー又はポリマーからなり、これら単量体、プレポリマー、及びポリマーは、単体で用いるか、或いは複数種混合して用いられる。尚、本明細書で(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタアクリレートの意味で用いる。
【0018】
ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーとしては、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、シリコン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、フッ素(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。このプレポリマーは、通常、分子量が10000程度以下のものが用いられる。分子量が10000を超えると硬化した樹脂層の耐擦傷性、耐摩耗性、耐薬品性、耐熱性等の表面物性が不足する。上記のアクリレートとメタアクリレートは共用し得るが、電離放射線での架橋硬化速度という点ではアクリレートの方が速い為、高速度、短時間で能率よく硬化させるという目的ではアクリレートの方が有利である。
【0019】
カチオン重合性官能基を有するプレポリマーとしては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂等のエポキシ系樹脂、脂肪族系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル、ウレタン系ビニルエーテル、エステル系ビニルエーテル等のビニルエーテル系樹脂、環状エーテル化合物、スピロ化合物等のプレポリマーが挙げられる。
【0020】
ラジカル重合性不飽和基を有する単量体の例としては、(メタ)アクリレート化合物の単官能単量体として、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2エチルヘキシル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジベンジルアミノエチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンテレフタレート等が挙げられる。
【0021】
また、ラジカル重合性不飽和基を有する多官能単量体として、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノール−A−ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリンポリエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェ−ト等が挙げられる。
【0022】
カチオン重合性官能基を有する単量体は、上記カチオン重合性官能基を有するプレポリマーの単量体を用いることができる。
【0023】
絵柄印刷層5を転写形成することに用いられる電離放射線硬化性樹脂4及びトップコート層6を形成する電離放射線硬化性樹脂を紫外線又は可視光線で硬化させる場合には、光重合開始剤を添加する。ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合の光重合開始剤は、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、ミヒラーケトン、ジフェニルサルファイド、ジベンジルジサルファイド、ジエチルオキサイト、トリフェニルビイミダゾール、イソプロピル−N,N−ジメチルアミノベンゾエート等を単独又は混合して用いることができる。又、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル、フリールオキシスルホキソニウムジアリルヨードシル塩等を単独又は混合物として用いることができる。尚、これら光開始剤の添加量は一般に、電離放射線硬化性樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部程度である。
【0024】
本発明において用いる電離放射線は、電磁波または荷電粒子線のうち分子を重合、架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、可視光線、紫外線(近紫外線、真空紫外線等)X線、電子線、イオン線等がある。通常は紫外線や電子線が用いられる。紫外線源としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯の光源が使用できる。紫外線の波長としては、通常1900〜3800Åの波長域が主として用いられる。又、電子線源としては、コックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、或いは、直線型、ダイナミトロン型、高周波型灯の各種電子線加速器を用い、100〜1000KeV、好ましくは100〜300KeVのエネルギーをもつ電子を照射するものを使用できる。電離放射線の照射により、電離放射線硬化性樹脂は架橋重合反応を起こし3次元の高分子構造に変化する。
【0025】
本発明ではトップコート層6を形成する電離放射線硬化性樹脂をフッ素アルキル基を側鎖に有するアクリルモノマーを含有するフッ素系電離放射線硬化性樹脂塗料や、シリル基を有する含フッ素共重合体からなる電離放射線硬化性樹脂塗料等としたり、あるいはアルキル基の水素原子がすべてフッ素原子に置換したパーフロロアルキルと親水性基もしくは親油性基をもつ界面活性剤等のフッ素系添加剤を含有した電離放射線硬化性樹脂塗料等とすることにより、防汚性を向上させ、簡単に汚れを拭き取ることを可能とすることができる。
【0026】
さらに、トップコート層6をフッ素基を含有する電離放射線硬化性樹脂にシロキサン結合を有する化合物を添加して形成することにより、表面の防汚性、乾拭き性を向上させることができる。シロキサン結合を有する化合物としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等の直鎖状分子構造よりなるシリコーンオイル、または、末端部分に化学的に活性な有機官能基を持つことを特徴とし官能基の配置によって、片末端タイプ、両末端タイプからなる反応性シロキサンオリゴマーが用いられるが、なかでも、反応性のあるジメチルシロキサン低重合体である反応性シロキサンオリゴマーが通常のシリコーンオイルに比べて低分子量であることから、有機ポリマー(電離放射線硬化性樹脂)との相溶性が良く、また官能基の反応性にも優れており、しかも、末端部分にだけ官能基をもつため、反応が制御しやすく、設計どおりの変性構造を得やすく、さらに、有機ポリマーとの間にできた結合は一般に安定であるため、分離、滲み出し等の心配が少ないことから、耐汚染性、耐熱性、耐摩耗性などのシリコーン特有の性質が有効に長期的に発揮され、乾拭きによる防汚性に優れるものとなり好ましく用いられるものである。
【0027】
また、反応性シロキサンオリゴマーは、少量の添加で樹脂表面を改質し、表面防汚性の向上に有効である。反応性シロキサンオリゴマー添加量としては、樹脂固形分に対して0.5〜5.0重量部の添加で樹脂表面は改質され、電離放射線硬化性樹脂表面は撥水撥油化、防汚化、非粘着化され、化粧板表面の表面硬度、摩耗性、防汚性が向上し、乾拭きにて簡単に汚れを拭き取ることができる防汚性に優れた化粧板とすることができる。
【0028】
電離放射線硬化性樹脂の塗工方法は、グラビアコート、グラビアリバースコート、グラビアオフセットコート、スピンナーコート、ロールコート、リバースロールコート、キスコート、ホイラーコート、シルクスクリーンによるベタコート、フローコート、スプレーコート等の公知の塗工手段を用いることができ、塗膜厚としては30〜100μmが好ましいものである。また、必要に応じて顔料や染料等を加えて着色してもよい。
【0029】
実施例1
厚さ38μmのポリエステルフイルムにウレタン系樹脂インキを用いてグラビア輪転印刷機にて所望の柄を印刷し転写シートを作製した。別途、厚さ6mmの珪酸カルシウム板にシーラー層として湿気硬化型ウレタン系樹脂塗料を30g/m2 (ウエット)塗布し、さらに、白色プライマー層としてアクリルウレタン系樹脂塗料を100g/m2 (ウエット)塗工し、80℃で20分間乾燥した。次いで、該白色プライマー層面にウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂塗料を塗膜厚が50〜60μm(ドライ)になるようにオーバーフローコーターで塗布し、直ちに該ウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂塗料面に上記転写シートの絵柄インキ面が対向するように載せ、80w/cmオゾン型紫外線ランプ2灯設置した照射装置中を13m/分の速度で通過させ紫外線照射しウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂塗料を硬化し絵柄インキ層を転写した。前記転写シートの転写シート基材を剥離後、絵柄転写面に溶剤型フッ素系紫外線硬化型樹脂塗料にシロキサン結合を有する化合物としてシリコーンオイルを1重量部添加した透明塗料を70〜80g/m2 (ウエット)になるようにオーバーフローコーターで塗布し、80w/cmのオゾン型紫外線ランプ5灯設置した照射装置中を13m/分の速度で通過させ紫外線照射し完全硬化させることにより、表面に防汚性に優れた無機質系化粧板を得た。
【0030】
実施例2
転写シートの転写シート基材を剥離後、絵柄転写面に塗工する溶剤型フッ素系紫外線硬化型樹脂塗料にシロキサン結合を有する化合物として反応性シロキサンオリゴマーを1重量部添加したとした以外は実施例1と同様にして防汚性に優れた無機質系化粧板を得た。
【0031】
比較例1
転写シートの転写シート基材を剥離後、絵柄転写面に塗工する塗料を溶剤型フッ素系紫外線硬化型樹脂塗料とした以外は実施例1と同様にして無機質系化粧板を得た。
【0032】
試験方法
上記実施例1、2および比較例1の各化粧板の塗膜の表面に油性黒マジックインキにより0.5×5cmの線を引き、20℃で24時間放置後、乾いたガーゼで拭き取り塗膜面の汚れの残り度合いを観察し、塗膜面の汚れが拭き取りにくくなるまで繰り返し、その回数を表1に示す。
【0033】
【表1】
Figure 0003984356
【0034】
【発明の効果】
本発明は以上説明したように、基材の上面に、ベースコート層、電離放射線硬化性樹脂層、絵柄印刷層、トップコート層が順次積層された化粧板において、前記絵柄印刷層が前記電離放射線硬化性樹脂層を塗工硬化すると同時に転写により形成されることにより、化粧紙を用いることなく基材の上面に細密な絵柄印刷層が電離放射線硬化性樹脂層を介して形成され、さらに、絵柄印刷層の上面にシロキサン結合を有する化合物を添加した電離放射線硬化性樹脂によりトップコート層が形成されているため、耐擦傷性、耐汚染性等の表面物性に優れ、乾拭きにて簡単に汚れを拭き取ることができる無機質系化粧板とすることができる。
【0035】
また、トップコート層を形成する電離放射線硬化性樹脂に添加したシロキサン結合を有する化合物を反応性シロキサンオリゴマーとすることで、撥液成分が樹脂と反応硬化するため防汚性能の持続性を向上させることができる。即ち、乾拭きによる汚れの拭き取り回数が増大し、長期に渡り防汚性を維持することが可能となる。
【0036】
さらに、電離放射線透過性を有する転写シート基材の一方の面に絵柄印刷層を積層した転写シートを準備する工程、無機質系基材の面にベースコート層を塗装する工程、前記無機質系基材のベースコート層面に電離放射線硬化性樹脂を塗装する工程、前記転写シートの絵柄印刷層面を前記無機質系基材の電離放射線硬化性樹脂層面に接するように載置し前記転写シートの電離放射線透過性を有する転写シート基材面より電離放射線を照射し前記電離放射線硬化性樹脂を半硬化する工程、前記転写シートの転写シート基材を剥離することにより前記無機質系基材の電離放射線硬化性樹脂層面に絵柄印刷層を形成する工程、前記絵柄印刷層表面にシロキサン結合を有する化合物を添加した電離放射線硬化性樹脂を塗工し、電離放射線を照射硬化することによりトップコート層を形成する工程からなることを特徴とする防汚性に優れた化粧板の製造方法とすることにより、上記のような効果を有する化粧板を容易に確実に製造できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧板の実施例を示す断面図である。
【図2】本発明の化粧板の製造方法の一例を説明する積層断面図である。
【符号の説明】
1 化粧板
2 基材
3 ベースコート層
3a シーラー層
3b プライマー層
4 電離放射線硬化性樹脂層
5 絵柄印刷層
5a ベタインキ層
5b 絵柄インキ層
6 トップコート層
7 転写シート
8 転写シート基材
R 電離放射線

Claims (4)

  1. 基材の上面に、ベースコート層、電離放射線硬化性樹脂層、絵柄印刷層、トップコート層が順次積層された化粧板において、前記絵柄印刷層が前記電離放射線硬化性樹脂を塗工硬化すると同時に転写により形成され、前記トップコート層がシロキサン結合を有する化合物を添加したフッ素基を含有する電離放射線硬化性樹脂により形成してなることを特徴とする防汚性に優れた化粧板。
  2. 前記トップコート層を形成する電離放射線硬化性樹脂に添加したシロキサン結合を有する化合物が反応性シロキサンオリゴマーよりなることを特徴とする請求項1に記載の防汚性に優れた化粧板。
  3. 前記基材が無機質系基材からなることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の防汚性に優れた化粧板。
  4. 電離放射線透過性を有する転写シート基材の一方の面に絵柄印刷層を積層した転写シートを準備する工程、無機質系基材の面にベースコート層を塗装する工程、前記無機質系基材のベースコート層面に電離放射線硬化性樹脂を塗装する工程、前記転写シートの絵柄印刷層面を前記無機質系基材の電離放射線硬化性樹脂層面に接するように載置し前記転写シートの電離放射線透過性を有する転写シート基材面より電離放射線を照射し前記電離放射線硬化性樹脂を半硬化する工程、前記転写シートの転写シート基材を剥離することにより前記無機質系基材の電離放射線硬化性樹脂層面に絵柄印刷層を形成する工程、前記絵柄印刷層表面にシロキサン結合を有する化合物を添加した電離放射線硬化性樹脂を塗工し、電離放射線を照射硬化することによりトップコート層を形成する工程からなることを特徴とする防汚性に優れた化粧板の製造方法。
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