JP4028028B2 - 凹凸模様を有する無機質系化粧板及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築内装材、特に、流し台、ガスコンロ等のキッチン回りに用いられる、良好な凹凸模様を有する立体感に優れる無機質系化粧板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、表面に凹凸模様を有する化粧材としては、(1)凹凸模様やハジキ模様の絵柄を印刷した化粧材、(2)エンボスロールやエンボス型板等でエンボス加工により凹凸を付与したもの、(3)撥液剤を含有する塗料を最表面に塗工し凹凸模様を形成したものが知られている。しかしながら、前記(1)の化粧材においては、絵柄が印刷形成されているのみのために立体感に乏しく、(2)の化粧材はエンボスロールやエンボス型板に微細且つ複雑な形状の型を表現することが難しいため、得られる化粧材は比較的簡単な凹凸模様になりやすく、また少量多品種の生産には不適当であり、さらに工程が増加するため生産効率が悪い、また(3)の場合においては、ある程度の凹凸模様を形成することは可能であるが、撥液剤の添加量や塗料の塗布量により形成される凹凸模様の大きさが異なり、同様の意匠性を現出する凹凸模様を安定的に生産することが困難である、といった問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、耐熱性、耐防火性を有し、かつ良好な凹凸模様を有する意匠性に優れた、流し台、ガスコンロ等のキッチン回りに使用可能な、凹凸模様を有する無機質系化粧板およびその製造方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の解決手段は、無機質系基材の上面に、ベースコート層、電離放射線硬化性樹脂層、絵柄印刷層、凹凸模様層が順次積層された無機質系化粧板において、前記絵柄印刷層が前記電離放射線硬化性樹脂層を塗工硬化すると同時に転写により形成されるとともに、前記凹凸模様層が前記電離放射線硬化性樹脂層と異なる電離放射線硬化性樹脂により形成されていることを特徴とする凹凸模様を有する無機質系化粧板とすることである。
この構成とすることにより、化粧紙を用いることなく無機質系基材の上面に細密な絵柄印刷層を形成することができ、また絵柄印刷層を転写する電離放射線硬化性樹脂層と異なる電離放射線硬化性樹脂により表面に凹凸模様が形成可能となり、耐汚染性、耐擦傷性等の表面物性に優れるとともに深み感、立体感等の意匠性にも優れた無機質系化粧板とすることができる。さらに凹凸模様により表面が乱反射され、微細な異物等による汚れをも目立ちにくいものとする。
【0005】
凹凸模様層を形成する面の表面張力を38ダイン/cm以下とすることにより、凹凸模様が形成されやすく、また凹凸模様層を形成する樹脂を、その塗工時に溶剤量が10〜50重量%とすることにより、フローコーターにも対応可能となり、多量の電離放射線硬化性樹脂を安定して塗工できるので、凹凸の差を大きくでき、より立体感に優れた凹凸模様を有する無機質系化粧板となる。
【0006】
凹凸模様層を、その凹凸周期の平均が5〜15mmであり、凹凸の平均高さが10〜100μmとして形成することにより、立体感を有し、かつ表面の乱反射による微細な異物等の汚れをも目立ちにくい、意匠性の優れた無機質系化粧板となる。
【0007】
さらに、トップコート層を形成する樹脂がフッ素基を含有する電離放射線硬化性樹脂とすることより、化粧板表面の防汚性が向上し、乾拭きにて簡単に表面の汚れを拭き取ることが可能になる。
【0008】
電離放射線透過性を有する転写シート基材の一方の面に絵柄印刷層を積層した転写シートを準備する工程、無機質系基材の面にベースコート層を塗工する工程、前記無機質系基材のベースコート層面に電離放射線硬化性樹脂を塗工し電離放射線硬化性樹脂層を形成する工程、前記転写シートの絵柄印刷層面を前記無機質系基材の電離放射線硬化性樹脂層面に接するように載置し前記転写シートの電離放射線透過性を有する転写シート基材面より電離放射線を照射し前記電離放射線硬化性樹脂層を半硬化する工程、前記転写シートの転写シート基材を剥離することにより前記無機質系基材の電離放射線硬化性樹脂層面に絵柄印刷層を形成する工程、前記絵柄印刷層表面に溶剤量が10〜50重量%であり前記電離放射線硬化性樹脂層と異なる電離放射線硬化性樹脂を塗工し凹凸模様層を形成する工程、前記凹凸模様層を形成する電離放射線硬化性樹脂の溶剤量を5重量%以下とする工程、前記凹凸模様層面より電離放射線を照射硬化することにより前記凹凸模様層を硬化する工程からなることを特徴とする凹凸模様を有する無機質系化粧板の製造方法とすることにより、上記のような効果を有する凹凸模様を有する無機質系化粧板を容易に確実に製造できるものである。
【0009】
また、前記絵柄印刷層表面に溶剤量が10〜50重量%であり前記電離放射線硬化性樹脂層と異なる電離放射線硬化性樹脂を塗工し凹凸模様層を形成する工程において、該電離放射線硬化性樹脂をフローコーターにより塗工することにより、多量の電離放射線硬化性樹脂を安定して均一に塗工できるので、凹凸の差を大きくでき、より立体感に優れた凹凸模様を確実に製造可能とできる。
【0010】
【発明の実施の態様】
以下、本発明の具体的な実施形態を図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の無機質系化粧板の積層構成を示す断面図、図2は本発明の無機質系化粧板の製造方法の一例を説明する断面図であり、1は無機質系化粧板、2は無機質系基材、3はベースコート層、3aはシーラー層、3bはプライマー層、4は電離放射線硬化性樹脂層、5は絵柄印刷層、5aはベタインキ層、5bは絵柄インキ層、6は凹凸模様層、7は転写シート、8は転写シート基材、Rは電離放射線をそれぞれ表す。
【0011】
本発明の無機質系化粧板1の構成は図1に示すように、無機質系基材2の上面に設けられたベースコート層3面に、電離放射線硬化性樹脂層4を介して絵柄印刷層5を設け、さらにその上面に電離放射線硬化性樹脂により凹凸模様が形成された凹凸模様層6が積層された構成からなる。絵柄印刷層5はベタインキ層5aと絵柄インキ層5bで構成されており、無機質系基材2の上面に設けられたシーラー層3aとプライマー層3bからなるベースコート層3の上面に設けた電離放射線硬化性樹脂層4を塗工硬化すると同時に転写形成され、さらに該絵柄印刷層5の上面に凹凸模様を有する電離放射線硬化性樹脂よりなる意匠性に優れた凹凸模様層6を設けたことを特徴とする。
【0012】
次に、本発明の無機質系化粧板1の製造方法の一例について図面を用いて説明する。先ず、図2(イ)に示すように、電離放射線透過性を有する転写シート基材8の片面に絵柄インキ層5b及びベタインキ層5aよりなる絵柄印刷層5が設けられた転写シート7、および図2(ロ)に示すような、上面にシーラー層3aとプライマー層3bからなるベースコート層3を設けた無機質系基材2を準備する。次に、図2(ハ)に示すように、無機質系基材2上面のプライマー層3b面に電離放射線硬化性樹脂層4を塗工し、続いて図2(ニ)に示すように、該転写シート7の絵柄印刷層5を無機質系基材2の表面に設けられた電離放射線硬化性樹脂層4面に重ねあわせ、前記転写シート7の電離放射線透過性を有する転写シート基材8面より電離放射線Rを照射し、前記電離放射線硬化性樹脂層4を半硬化する。次いで、図2(ホ)に示すように、前記転写シート7の転写シート基材8を剥離し無機質系基材2の上面に絵柄印刷層5を形成する。さらに、図2(ヘ)に示すように、該絵柄印刷層5の上面に電離放射線硬化性樹脂をフローコーターにより塗工し、ついで電離放射線を照射することにより、表面に凹凸模様層6を有する無機質系化粧板1が得られる。
【0013】
本発明の無機質系化粧板1に用いられる無機質系基材2としては、一般的には珪酸カルシウム板、石綿スレート板、軽量発泡コンクリート板、中空押出セメント板等のセメント板、石膏板、石膏スラグ板等の石膏系板、パルプセメント板、石綿セメント板、木片セメント板等の繊維セメント板が挙げられる。
【0014】
ベースコート層3は、無機質系基材2からのアルカリ成分溶出の防止のため、及び前記無機質系基材2と電離放射線硬化性樹脂層4の密着性の向上を目的として設けられるものであり、その構成は任意で、前記の両方の物性を備えた樹脂組成による一層構成としてもよいことは勿論であるが、品質性能を高める方法として、アルカリ成分溶出の防止のためにポリイソシアネート系樹脂、湿気硬化型ウレタン系樹脂、スチレン−アクリル酸エステル共重合樹脂等の硬化性樹脂よりなるシーラー層3a、無機質系基材2の表面への電離放射線硬化性樹脂層4の密着性の向上を目的とするアクリルウレタン系樹脂、メタクリル酸エステル系樹脂塗料等よりなるプライマー層3bからなる2層構成とすることが望ましいものである。更に、プライマー層3bを着色、不透明にすることにより、隠蔽性を持たせ、基材上に形成される絵柄印刷層5が被貼合せ基材の色の影響を受けなくすることも可能である。
【0015】
無機質系化粧板1に絵柄印刷層5を形成するための転写シート7の構成としては、図2(イ)に示されているように、電離放射線透過性を有する転写シート基材8面に任意の絵柄印刷層5を積層構成したものである。転写シート基材8としては、使用する電離放射線を透過可能であり、かつ、硬化または半硬化した電離放射線硬化性樹脂と離型可能な材質であれば良い。電離放射線透過性を有する転写シート基材8の材質としては、電離放射線が紫外線の場合は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ビニロン等のビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリメタアクリル酸メチル、ポリメタアクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂、三酢酸セルロース、セロファン等のセルロース系樹脂等の延伸フイルム、またはシートが挙げられ、紫外線の透過性を阻害する着色料等を含まないものが好ましい。電離放射線が電子線の場合は、電子線の透過性が高いので特に制約はなく、上記の紫外線を透過するシートのみならず、紙に至るまでも使用できる。従って、印刷適性、転写時の適性を重点的にした選択が可能であり、転写シート基材8の厚みは、5〜200μmのものが好ましく用いられる。
【0016】
絵柄印刷層5としては、全面ベタ刷りのベタインキ層5aと例えば、石目、布目、天然皮革の表面柄、抽象柄等を表現する絵柄インキ層5bが付されており、絵柄印刷層5を形成するインキのビヒクルとしては、アルキッド系樹脂、ウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂等からなる汎用の樹脂が用いられ、更に必要に応じてその他の添加剤、例えば、有機又は無機系の顔料、染料、光輝性顔料等の着色剤、体質顔料、安定剤、可塑剤、溶剤等を適宜混合したものが使用できる。
【0017】
意匠面で立体感をより現出するために、絵柄印刷層5の構成にベタインキ層5aは着色顔料のみを含ませ、絵柄インキ層5bとして着色顔料による着色インキ層と光輝性顔料を添加した光輝性インキ層によって絵柄を構成することも可能であり、またベタインキ層5aに着色顔料とともに光輝性顔料を含ませることも可能である。そして、ベタインキ層5aと絵柄インキ層5bとに光輝性顔料を含有する場合は、ベタインキ層5aと絵柄インキ層5bの光輝性顔料の色調を異ならせて互いの模様と関連させることで、特殊な視覚的効果、立体感を創出することができる。
【0018】
絵柄印刷層5を転写形成することに用いられる電離放射線硬化性樹脂層4、および凹凸模様層6を形成する電離放射線硬化性樹脂層6に用いられる樹脂は、分子中に、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、又はエポキシ基等のカチオン重合性官能基を有する単量体、プレポリマー又はポリマー(以下、これらを総称して化合物と呼称する)からなる。これら単量体、プレポリマー、及びポリマーは、単体で用いるか、或いは複数種混合して用いる。尚、本明細書で(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタアクリレートの意味で用いる。
【0019】
ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーとしては、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。このプレポリマーは、通常、分子量が10000程度以下のものが用いられる。分子量が10000を超えると硬化した樹脂層の耐擦傷性、耐摩耗性、耐薬品性、耐熱性等の表面物性が不足する。上記のアクリレートとメタアクリレートは共用し得るが、電離放射線での架橋硬化速度という点ではアクリレートの方が速い為、高速度、短時間で能率よく硬化させるという目的ではアクリレートの方が有利である。
【0020】
カチオン重合性官能基を有するプレポリマーとしては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂等のエポキシ系樹脂、脂肪族系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル、ウレタン系ビニルエーテル、エステル系ビニルエーテル等のビニルエーテル系樹脂、環状エーテル化合物、スピロ化合物等のプレポリマーが挙げられる。
【0021】
ラジカル重合性不飽和基を有する単量体の例としては、(メタ)アクリレート化合物の単官能単量体として、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2エチルヘキシル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジベンジルアミノエチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンテレフタレート等が挙げられる。
【0022】
また、ラジカル重合性不飽和基を有する多官能単量体として、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノール−A−ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリンポリエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェ−ト等が挙げられる。
【0023】
カチオン重合性官能基を有する単量体は、上記カチオン重合性官能基を有するプレポリマーの単量体を用いることができる。
【0024】
電離放射線硬化性樹脂層4および凹凸模様層6を形成する電離放射線硬化性樹脂を紫外線又は可視光線で硬化させる場合には、光重合開始剤を添加する。ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合の光重合開始剤は、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、ミヒラーケトン、ジフェニルサルファイド、ジベンジルジサルファイド、ジエチルオキサイト、トリフェニルビイミダゾール、イソプロピル−N,N−ジメチルアミノベンゾエート等を単独又は混合して用いることができる。又、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル、フリールオキシスルホキソニウムジアリルヨードシル塩等を単独又は混合物として用いることができる。尚、これら光開始剤の添加量は一般に、電離放射線硬化性樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部程度である。
【0025】
本発明において用いる電離放射線Rは、電磁波または荷電粒子線のうち分子を重合、架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、可視光線、紫外線(近紫外線、真空紫外線等)X線、電子線、イオン線等がある。通常は紫外線や電子線が用いられる。紫外線源としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯の光源が使用できる。紫外線の波長としては、通常1900〜3800Åの波長域が主として用いられる。又、電子線源としては、コックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、或いは、直線型、ダイナミトロン型、高周波型灯の各種電子線加速器を用い、100〜1000KeV、好ましくは100〜300KeVのエネルギーをもつ電子を照射するものを使用できる。電離放射線の照射により、電離放射線硬化性樹脂は架橋重合反応を起こし3次元の高分子構造に変化する。
【0026】
本発明では、絵柄印刷層5が転写される電離放射線硬化性樹脂層4と、転写後に塗工・形成される凹凸模様層6を形成する電離放射線硬化性樹脂とを異なるものを用いて、その相溶性を悪くさせることにより、転写後に塗工する電離放射線硬化性樹脂が電離放射線硬化性樹脂層4にはじかれ、凹凸模様層6が形成されるものである。また、電離放射線硬化性樹脂層4は絵柄印刷層5を転写後、凹凸模様層6を形成する電離放射線硬化性樹脂の塗工前には、その面の表面張力が38ダイン/cm以下である比較的低い状態とすることにより、さらにその凹凸模様が明確に形成可能となるものである。
【0027】
また、凹凸模様層6を形成する電離放射線硬化性樹脂を、フッ素アルキル基を側鎖に有するアクリルモノマーを含有するフッ素系電離放射線硬化性樹脂塗料や、シリル基を有する含フッ素共重合体からなる電離放射線硬化性樹脂塗料等としたり、あるいはアルキル基の水素原子をすべてフッ素原子に置換したパーフロロアルキルと親水性もしくは親油性基をもつ界面活性剤等のフッ素系添加剤を含有した電離放射線硬化性樹脂塗料等とすることにより、防汚性が向上し、乾拭きにて簡単に汚れを拭き取ることができ、また、電離放射線硬化性樹脂層4にもよるが、凹凸模様をより明確にする作用を有する場合もある。
【0028】
電離放射線硬化性樹脂層4、および凹凸模様層6を形成する電離放射線硬化性樹脂の塗工方法は、グラビアコート、グラビアリバースコート、グラビアオフセットコート、スピンナーコート、ロールコート、リバースロールコート、キスコート、ホイラーコート、シルクスクリーンによるベタコート、フローコート、スプレーコート等の公知の塗工手段を用いることができ、特に、凹凸模様層6を形成する電離放射線硬化性樹脂は塗工時に溶剤を10〜50%含有することにより塗工性能が高く、フローコートによる塗工にも適しており、フローコートにて塗工することにより表面の凹凸模様がより形成されやすくなるものである。
【0029】
【実施例】
実施例1
厚さ38μmのポリエステルフイルムにウレタン系樹脂インキを用いてグラビア輪転印刷機にて所望の柄を印刷し転写シートを作製した。別途、厚さ6mmの珪酸カルシウム板にシーラー層として湿気硬化型ウレタン系樹脂塗料を10g/m2 塗布し、さらに、白色ベースコート層としてアクリルウレタン系樹脂塗料を45g/m2 (ウェット)塗工し、80℃で20分間乾燥した。次いで、該白色ベースコート層面にウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂塗料(大日本インキ化学工業(株):〔品番〕KBB−07)を塗膜厚が50〜60μm(ドライ)になるようにオーバーフローコーターで塗布し、直ちに該ウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂塗料面に上記転写シートの絵柄インキ面が対向するように載せ、80w/cmオゾンレス型紫外線ランプ2灯設置した照射装置中を13m/分の速度で通過させ紫外線照射しウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂塗料を硬化し絵柄インキ層を転写した。前記転写シートの転写シート基材を剥離後、絵柄転写面に25%の溶剤を含む溶剤型フッ素系紫外線硬化型樹脂塗料(大日本インキ化学工業(株):〔品番〕KBB−100)をオーバーフローコーターにて80g/m2 (ウェット)塗工することにより凹凸を形成し、その後赤外線照射および風乾により、塗工した溶剤型フッ素系紫外線硬化型樹脂塗料の溶剤分を揮発させ、約1%程度とした後、80w/cm紫外線ランプ2灯設置した照射装置中を13m/分の速度で通過させ紫外線照射し完全硬化させることにより、表面に防汚性を備えた凹凸模様を有する無機質系化粧板を得た。
【0030】
【発明の効果】
本発明は以上説明したように、無機質系基材の上面に、ベースコート層、電離放射線硬化性樹脂層、絵柄印刷層、凹凸模様層が順次積層された無機質系化粧板において、前記絵柄印刷層が前記電離放射線硬化性樹脂層を塗工硬化すると同時に転写により形成されることにより、化粧紙を用いることなく無機質系基材の上面に細密な絵柄印刷層を形成することができ、また絵柄印刷層を転写する電離放射線硬化性樹脂層と異なる電離放射線硬化性樹脂を用いることにより凹凸模様が形成されることとなるので、耐汚染性、耐擦傷性等の表面物性に優れるとともに深み感、立体感等の意匠性にも優れた無機質系化粧板とすることができる。さらに凹凸模様により表面が乱反射され、微細な異物等による汚れをも目立ちにくいものとする。
【0031】
さらに、電離放射線透過性を有する転写シート基材の一方の面に絵柄印刷層を積層した転写シートを準備する工程、無機質系基材の面にベースコート層を塗工する工程、前記無機質系基材のベースコート層面に電離放射線硬化性樹脂を塗工し電離放射線硬化性樹脂層を形成する工程、前記転写シートの絵柄印刷層面を前記無機質系基材の電離放射線硬化性樹脂層面に接するように載置し前記転写シートの電離放射線透過性を有する転写シート基材面より電離放射線を照射し前記電離放射線硬化性樹脂層を半硬化する工程、前記転写シートの転写シート基材を剥離することにより前記無機質系基材の電離放射線硬化性樹脂層面に絵柄印刷層を形成する工程、前記絵柄印刷層表面に溶剤量が10〜50重量%の範囲であり前記電離放射線硬化性樹脂層と異なる電離放射線硬化性樹脂を塗工、特にフローコーターにより塗工することにより、凹凸模様層を形成する工程、前記凹凸模様層を形成する電離放射線硬化性樹脂の溶剤量を5%以下とする工程、前記凹凸模様層面より電離放射線を照射硬化することにより前記凹凸模様層を硬化する工程からなることを特徴とする凹凸模様を有する無機質系化粧板の製造方法とすることにより、上記のような効果を有する凹凸模様を有する無機質系化粧板を容易に確実に製造できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の無機質系化粧板の実施例を示す断面図である。
【図2】本発明の無機質系化粧板の製造方法の一例を説明する積層断面図である。
【符号の説明】
1 無機質系化粧板
2 無機質系基材
3 ベースコート層
3a シーラー層
3b プライマー層
4 電離放射線硬化性樹脂層
5 絵柄印刷層
5a ベタインキ層
5b 絵柄インキ層
6 凹凸模様層
7 転写シート
8 転写シート基材
R 電離放射線
Claims (7)
- 無機質系基材の上面に、ベースコート層、電離放射線硬化性樹脂層、絵柄印刷層、凹凸模様層が順次積層された無機質系化粧板において、前記絵柄印刷層が前記電離放射線硬化性樹脂層を塗工硬化すると同時に転写により形成されるとともに、前記凹凸模様層が前記電離放射線硬化性樹脂層と異なる電離放射線硬化性樹脂により形成されていることを特徴とする凹凸模様を有する無機質系化粧板。
- 前記凹凸模様層を形成する面の表面張力が38ダイン/cm以下であることを特徴とする請求項1記載の凹凸模様を有する無機質系化粧板。
- 前記凹凸模様層を形成する樹脂が、その塗工時に溶剤量が10〜50重量%である電離放射線硬化性樹脂よりなることを特徴とする請求項1、2記載の凹凸模様を有する無機質系化粧板。
- 前記凹凸模様層が、その凹凸周期の平均が5〜15mmであり、凹凸の平均高さが10〜100μmであることを特徴とする請求項1〜3記載の凹凸模様を有する無機質系化粧板。
- 前記凹凸模様層を形成する樹脂がフッ素基を含有する電離放射線硬化性樹脂よりなることを特徴とする請求項1〜4記載の凹凸模様を有する無機質系化粧板。
- 電離放射線透過性を有する転写シート基材の一方の面に絵柄印刷層を積層した転写シートを準備する工程、無機質系基材の面にベースコート層を塗工する工程、前記無機質系基材のベースコート層面に電離放射線硬化性樹脂を塗工し電離放射線硬化性樹脂層を形成する工程、前記転写シートの絵柄印刷層面を前記無機質系基材の電離放射線硬化性樹脂層面に接するように載置し前記転写シートの電離放射線透過性を有する転写シート基材面より電離放射線を照射し前記電離放射線硬化性樹脂層を半硬化する工程、前記転写シートの転写シート基材を剥離することにより前記無機質系基材の電離放射線硬化性樹脂層面に絵柄印刷層を形成する工程、前記絵柄印刷層表面に溶剤量が10〜50重量%であり前記電離放射線硬化性樹脂層と異なる電離放射線硬化性樹脂を塗工し凹凸模様層を形成する工程、前記凹凸模様層を形成する電離放射線硬化性樹脂の溶剤量を5重量%以下とする工程、前記凹凸模様層面より電離放射線を照射硬化することにより前記凹凸模様層を硬化する工程からなることを特徴とする凹凸模様を有する無機質系化粧板の製造方法。
- 前記絵柄印刷層表面に溶剤量が10〜50重量%であり前記電離放射線硬化性樹脂層と異なる電離放射線硬化性樹脂を塗工し凹凸模様層を形成する工程において、該電離放射線硬化性樹脂をフローコーターにより塗工することを特徴とする請求項6記載の凹凸模様を有する無機質系化粧板の製造方法。
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