JP3979016B2 - 自動車の車体前部構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両部品を保持する保持部を有するシュラウドを備えた自動車の車体前部構造に関する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の自動車の車体前部構造はよく知られおり、例えば特開平3−208778号公報に示されているように、シュラウドにラジエータやコンデンサ等の車両部品を保持する保持部を設けておき、この保持部に予め車両部品をサブアセンブリしてユニット化し、その後、このユニット化したシュラウドをフロントサイドフレーム等の車体に組み付けるようにしている。このようにすれば、組立ラインでの作業の容易化やステーション数の低減化を図ることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように保持部を有するシュラウドを備えた車体前部構造においては、自動車の前衝突時に、バンパーレインフォースメント等の後退によりシュラウドが損傷するような衝撃力が作用したときに、シュラウドのみの損傷に止まらず、その保持部に保持された車両部品も損傷する可能性があり、改良の余地がある。
【0004】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車両部品を保持する保持部を有するシュラウドを備えた自動車の車体前部構造に対して、その構成に工夫を凝らすことによって、自動車の前衝突時にシュラウドがたとえ破損したとしても、その保持部に保持された車両部品の損傷を出来る限り防止して、リペアビリティを向上させようとすることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、この発明では、自動車の前衝突時に、シュラウドのラジエータ保持部と車体前部に締結される車体締結部(ラジエータ保持部の左側壁部と左ランプ保持部とに跨るように形成された左車体締結部、及びラジエータ保持部の右側壁部と右ランプ保持部とに跨るように形成された右車体締結部)とを切り離す切離し手段(ラジエータ保持部の左側壁部における左車体締結部近傍、及びラジエータ保持部の右側壁部における右車体締結部近傍にそれぞれ形成された、前方に突出する突起部)を備えるようにするか、又は、車体側のシュラウド締結部に前方から所定以上の荷重が作用したときに、撓み変形しながらシュラウドを後退変位させる後退変位手段を備えるようにした。
【0006】
具体的には、請求項1の発明では、車両部品を保持する保持部と、車体前部に締結される車体締結部とを有するシュラウドを備えた自動車の車体前部構造を対象とし、上記自動車の前衝突時に、上記シュラウドの保持部と車体締結部とを切り離す切離し手段を備え、上記シュラウドは、樹脂からなり、上記シュラウドの保持部は、上下に相対向して車幅方向に延びる上壁部及び下壁部と該上壁部及び下壁部の左側端部同士及び右側端部同士をそれぞれ接続する左右側壁部とを有していて枠状をなすラジエータ保持部と、該ラジエータ保持部の車幅方向両側にそれぞれ設けられた左右ランプ保持部とにより構成され、上記シュラウドの車体締結部は、上記ラジエータ保持部の左側壁部と上記左ランプ保持部とに跨るように形成された左車体締結部と、上記ラジエータ保持部の右側壁部と上記右ランプ保持部とに跨るように形成された右車体締結部とにより構成され、上記ラジエータ保持部の左側壁部における上記左車体締結部近傍、及び上記ラジエータ保持部の右側壁部における上記右車体締結部近傍に、前方に突出する突起部がそれぞれ形成されており、上記切離し手段は、上記突起部により構成されていて、該突起部の前方に配置された前方配置部材が自動車の前衝突により後退することで、該突起部に前方から所定以上の荷重が作用したときに、上記ラジエータ保持部と左右車体締結部とを切り離すように構成されているものとする。
【0007】
上記の構成により、自動車の前衝突時に、切離し手段によりシュラウドの保持部と車体締結部とが切り離されるので、車体締結部が車体に固定されて殆ど後退しなくても、保持部はそのまま後退することができ、大きな衝撃力を受けるのを防止することができる。よって、保持部に保持された車両部品の損傷を防止することができ、リペアビリティを向上させることができる。
【0008】
また、シュラウドが樹脂製であっても、ラジエータ保持部及び左右ランプ保持部の剛性を確保することができると共に、前衝突時に前方配置部材の後退により突起部に前方から所定以上の荷重が作用したときに、その突起部と車体締結部との間の部分を切断し易く構成しておくことで、ラジエータ保持部を車体締結部から容易にかつ確実に切り離すことができる。この結果、特にリペアビリティに大きな影響を及ぼすラジエータの損傷を防止することができる。
【0009】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、ラジエータ保持部に、突起部と、上壁部及び下壁部の少なくとも一方とを連結する橋渡し部が設けられているものとする。
【0010】
こうすることで、橋渡し部によりラジエータ保持部の剛性をより一層向上させることができると共に、突起部を橋渡し部の補強リブとして兼用することで、橋渡し部の強度を確保することができる。
【0011】
請求項3の発明では、車両部品を保持する保持部を有するシュラウドを備え、該シュラウドが車体側のシュラウド締結部に締結された自動車の車体前部構造を対象とし、上記シュラウド締結部の前方に配置された前方配置部材が自動車の前衝突により後退することで、該シュラウド締結部に前方から所定以上の荷重が作用したときに、撓み変形しながら上記シュラウドを後退変位させる後退変位手段を備えているものとする。
【0012】
この発明により、前衝突時に前方配置部材の後退によりシュラウド締結部に前方から所定以上の荷重が作用したときに、シュラウドが後退変位するので、シュラウド自体の損傷を防止することができると共に、その保持部に保持された車両部品の損傷を防止することができる。よって、リペアビリティをさらに向上させることができる。
【0013】
請求項4の発明では、請求項3の発明において、バンパーレインフォースメントにおける、車体のフロントサイドフレームと締結されるフランジ部に、車幅方向中央側に延出しかつ先端部にシュラウド締結部が設けられた延長部が形成され、シュラウドの前面に、前方に突出しかつ上記シュラウド締結部に締結される車体締結部が形成された突状部が設けられており、上記延長部により、後退変位手段が構成されているものとする。
【0014】
このことで、通常時の車体に対するシュラウドの支持剛性を確保することができると共に、前衝突時にはシュラウドを確実に後退変位させてシュラウド及び車両部品の損傷を防止することができる。
【0015】
請求項5の発明では、請求項4の発明において、シュラウドの保持部は、上下に相対向して車幅方向に延びる上壁部及び下壁部と該上壁部及び下壁部の左側端部同士及び右側端部同士をそれぞれ接続する左右側壁部とを有していて枠状をなすラジエータ保持部により構成され、突状部は、上記ラジエータ保持部の左右側壁部にそれぞれ設けられており、上記ラジエータ保持部に、上記突状部と、上記上壁部及び下壁部の少なくとも一方とを連結する橋渡し部が設けられているものとする。
【0016】
このことにより、ラジエータ保持部の剛性を向上させることができると共に、突状部を橋渡し部の補強リブとして兼用することで、橋渡し部の強度を確保することができる。
【0017】
請求項6の発明では、請求項1〜5のいずれか1つの発明において、前方配置部材は、車幅方向に延びるバンパーレインフォースメントであるものとする。
【0018】
こうすることで、両突起部に対し確実に荷重を入力することができて、保持部と車体締結部とを容易に切り離すことができるか、又は、シュラウド締結部に対し確実に荷重を入力することができて、シュラウドを容易に後退変位させることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る車体前部構造が適用された自動車のノーズユニットを分解した状態で示し、このノーズユニットは、主として、シュラウド1と、ラジエータ2と、該ラジエータ2に取付ブラケット28(後述の実施形態2を示す図6参照)を介して取り付けられたコンデンサ3と、左右ヘッドランプ4,4と、車幅方向に延びるバンパーレインフォースメント5と、図1では図示を省略するバンパーフェース6(図2及び図3参照)と、上記ラジエータ2の後側に取り付けられたラジエータ用ファン(図示せず)とで構成されている。
【0020】
上記シュラウド1は、ポリプロピレン等の樹脂からなっていて、上記ラジエータ2(及びコンデンサ3)を保持するラジエータ保持部11と、該ラジエータ保持部11の車幅方向両側にそれぞれ設けられかつ上記左右ヘッドランプ4,4をそれぞれ保持する左右ランプ保持部12,12とを有している。
【0021】
上記ラジエータ保持部11は、上下に相対向して車幅方向に延びる上壁部11a及び下壁部11bと該上壁部11a及び下壁部11bの左側端部同士及び右側端部同士をそれぞれ連結する左右側壁部11c,11cとを有していて、上記ラジエータ2の外形形状に対応して略矩形枠状をなしている。
【0022】
上記左ランプ保持部12は、上記ラジエータ保持部11の左側壁部11cから上下に相対向して車幅方向外側に突出する上壁部12a及び下壁部12bと、該上壁部12a及び下壁部12bの先端部同士を連結する側壁部12cとを有し、同様に、右ランプ保持部12は、上記ラジエータ保持部11の右側壁部11cから上下に相対向して車幅方向外側に突出する上壁部12a及び下壁部12bと、該上壁部12a及び下壁部12bの先端部同士を連結する側壁部12cとを有している。
【0023】
上記シュラウド1は、図2及び図3に示すように、車体の左右フロントサイドフレーム21,21(図2及び図3では1つのみ示す)のフランジ状前端部にそれぞれ設けた左右シュラウド締結部21a,21aに締結される左右車体締結部13,13を有している。この左車体締結部13は、上記ラジエータ保持部11の左側壁部11cと上記左ランプ保持部12とに跨るように形成され、右車体締結部13は、上記ラジエータ保持部11の右側壁部11cと上記右ランプ保持部12とに跨るように形成されている。
【0024】
上記左右車体締結部13,13は、上記バンパーレインフォースメント5の左右両端部におけるクラッシュ管部5a,5aの後端部にそれぞれ設けた左右フランジ部5b,5bと左右フロントサイドフレーム21,21のシュラウド締結部21a,21aとの間にそれぞれ介装されて、バンパーレインフォースメント5の左右フランジ部5b,5bと共に左右フロントサイドフレーム21,21のシュラウド締結部21a,21aにボルト及びナット(図示せず)により締結固定されている。
【0025】
上記バンパーフェース6は、上記シュラウド1のラジエータ保持部11における上壁部11aの左右両端部近傍と左右フロントフェンダ(図示せず)とに締結固定されている。
【0026】
上記ラジエータ保持部11の左側壁部11cにおける上記左車体締結部13近傍(左車体締結部13の車幅方向中央側)、及びラジエータ保持部11の右側壁部11cにおける上記右車体締結部13近傍(右車体締結部13の車幅方向中央側)には、前方に突出する左右2つの突起部14,14がそれぞれ形成されている。
【0027】
上記両突起部14,14の前方には、上記バンパーレインフォースメント5が位置しており、このバンパーレインフォースメント5が自動車の前衝突によりその左右クラッシュ管部5a,5aを潰しながら後退したときには、上記両突起部14,14に当接するようになっている。そして、上記バンパーレインフォースメント5の後退により上記各突起部14に前方から荷重が作用すると、突起部14と該突起部14近傍の車体締結部13との間の部分(図2のxxx部)が切断し易く構成されていて、所定以上の荷重が作用したときには、上記突起部14と車体締結部13との間の部分が切断して、ラジエータ保持部11と左右車体締結部13,13とが切り離されるようになっている。このことで、上記バンパーレインフォースメント5は、上記両突起部14,14の前方に配置された前方配置部材であり、各突起部14は、自動車の前衝突時に該突起部14に前方から所定以上の荷重が作用したときに、ラジエータ保持部11と左右車体締結部13,13とを切り離す切離し手段を構成していることになる。
【0028】
上記ラジエータ保持部11には、上記各突起部14と上記上壁部11aの車幅方向中央部に前方に突出するように設けたボンネットラッチ収容部11dとをそれぞれ連結する2つの上側橋渡し部11e,11eと、上記各突起部14と下壁部11bとをそれぞれ連結する2つの下側橋渡し部11f,11fとが形成されている。
【0029】
したがって、上記実施形態1では、自動車に前衝突が生じてバンパーレインフォースメント5がその左右クラッシュ管部5a,5aを潰しながら後退すると、このバンパーレインフォースメント5が、シュラウド1のラジエータ保持部11の左右側壁部11c,11cにそれぞれ設けた左右突起部14,14に当接し、この両突起部14,14に所定以上の荷重が作用すると、左突起部14と左車体締結部13との間の部分及び右突起部14と右車体締結部13との間の部分が切断して、ラジエータ保持部11と左右車体締結部13,13とが切り離される。尚、このようにラジエータ保持部11が左右車体締結部13,13から切り離されても、バンパーフェース6がシュラウド1のラジエータ保持部11における上壁部11aの左右両端部近傍と左右フロントフェンダとに締結固定されているので、切り離されたラジエータ保持部11はバンパーフェース6により支持されて落下することはない。
【0030】
上記切離しにより、左右車体締結部13,13が左右フロントサイドフレーム21,21のシュラウド締結部21a,21aにそれぞれ固定されて殆ど後退しなくても、ラジエータ保持部11はそのまま後退することができる。この結果、仮にラジエータ保持部11と左右車体締結部13,13とが切り離されなければ、ラジエータ保持部11に保持されたラジエータ2及びコンデンサ3が損傷するような大きな衝撃力がラジエータ保持部11に作用することとなるが、この実施形態1では、上記切離しにより、そのような大きな衝撃力が作用するのを防止することができる。よって、ラジエータ保持部11に保持されたラジエータ2及びコンデンサ3の損傷を防止することができ、リペアビリティを向上させることができる。
【0031】
また、シュラウド1の左車体締結部13がラジエータ保持部11の左側壁部11cと左ランプ保持部12とに跨るように形成され、右車体締結部13がラジエータ保持部11の右側壁部11cと右ランプ保持部12とに跨るように形成されているので、シュラウド1が樹脂製であっても、ラジエータ保持部11及び左右ランプ保持部12,12の剛性を確保することができる。
【0032】
さらに、シュラウド1のラジエータ保持部11に、上側橋渡し部11e,11e及び下側橋渡し部11f,11fが形成されているので、ラジエータ保持部11の剛性をより一層向上させることができると共に、その各上側橋渡し部11e及び各下側橋渡し部11fの一端を各突起部14に接続しているので、この各突起部14を各上側橋渡し部11e及び各下側橋渡し部11fの補強リブとして兼用して、各上側橋渡し部11e及び各下側橋渡し部11fの強度を確保することができる。
【0033】
尚、上記実施形態1では、左右突起部14,14の前方に配置されて自動車の前衝突時に左右突起部14,14に当接する前方配置部材は、バンパーレインフォースメント5であるが、この前方配置部材は、バンパーレインフォースメント5に限らず、両突起部14,14に対し荷重を入力することができるものであれば、どのようなものであってもよい。
【0034】
(実施形態2)
図4〜図6は本発明の実施形態2を示し(尚、図1〜図3と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する)、自動車の前衝突時にシュラウド1を後退変位させるようにしたものである。
【0035】
すなわち、この実施形態2では、左右フロントサイドフレーム21,21の前端部には、上記実施形態1のようなシュラウド締結部21a,21aが設けられておらず、バンパーレインフォースメント5の左右フランジ部5b,5bが直接的に左右フロントサイドフレーム21a,21aの前端部にそれぞれ締結されていると共に、シュラウド1の左右ランプ保持部12,12は下壁部12b及び側壁部12cを有しておらず、上壁部12aしか有していない。
【0036】
そして、上記バンパーレインフォースメント5の各フランジ部5bには、車幅方向中央側に延出しかつ先端部にシュラウド締結部5dが設けられた延長部5cが形成されている。この各延長部5cは、該延長部5cの基端側に設けられた第1折曲部5eと、先端側に設けられた第2折曲部5fとを有し、この第1及び第2折曲部5e,5f間の部分は、車幅方向中央に向かって前方に延び、第2折曲部5fよりも先端側の部分(シュラウド締結部5dが設けられた先端部)は車幅方向に延びている。一方、シュラウド1のラジエータ保持部11における左右側壁部11c,11cの前面(図5では一点鎖線で示す)には、上記実施形態1における突起部14,14と同様に、前方に突出する左右2つの突状部15,15がそれぞれ設けられ、この両突状部15,15の先端面に、上記両延長部5c,5cのシュラウド締結部5d,5dにボルト25及びナット26により締結される左右車体締結部13,13がそれぞれ形成されている。
【0037】
上記両延長部5c,5cのシュラウド締結部5d,5dの前方には、上記実施形態1と同様に、上記バンパーレインフォースメント5が位置しており、このバンパーレインフォースメント5が自動車の前衝突によりその左右クラッシュ管部5a,5aを潰しながら後退したときには、上記両延長部5c,5cのシュラウド締結部5d,5dに当接するようになっている。そして、上記バンパーレインフォースメント5の後退により上記各延長部5cのシュラウド締結部5dに前方から所定以上の荷重が作用すると、該延長部5cが第1折曲部5eを起点にして後方に撓み変形するようになっている。この各延長部5cの撓み変形により、シュラウド1が後退変位するようになっている。このことで、上記バンパーレインフォースメント5は、上記両延長部5c,5cのシュラウド締結部5d,5dの前方に配置された前方配置部材であり、各延長部5cは、自動車の前衝突時にシュラウド締結部5dに前方から所定以上の荷重が作用したときに、撓み変形しながらシュラウド1を後退変位させる後退変位手段を構成していることになる。
【0038】
尚、この実施形態2においても、上記実施形態1と同様に、ラジエータ保持部11には、上記各突状部15と、上記上壁部11aのボンネットラッチ収容部11dとをそれぞれ連結する2つの上側橋渡し部11e,11eと、各突状部15と下壁部11bとをそれぞれ連結する2つの下側橋渡し部11f,11fとが形成されている。
【0039】
したがって、上記実施形態2では、自動車に前衝突が生じてバンパーレインフォースメント5がその左右クラッシュ管部5a,5aを潰しながら後退すると、このバンパーレインフォースメント5が、その左右フランジ部5b,5bにそれぞれ設けた左右延長部5c,5cのシュラウド締結部5d,5dに当接し、この各シュラウド締結部5dに所定以上の荷重が作用すると、各延長部5cがその第1折曲部5eを起点にして後方に撓み変形し、この撓み変形により、シュラウド1が後退変位する。この結果、シュラウド1に大きな衝撃力が作用するのを防止することができ、シュラウド1自体の損傷を防止することができると共に、ラジエータ保持部11に保持されたラジエータ2及びコンデンサ3並びに左右ランプ保持部12,12にそれぞれ保持された左右ヘッドランプ4,4の損傷を防止することができる。よって、簡単な構成で、リペアビリティを上記実施形態1よりもさらに向上させることができる。
【0040】
また、バンパーレインフォースメント5の各フランジ部5bの延長部5cにより、シュラウド締結部5dと、自動車の前衝突時にシュラウド1を後退変位させる後退変位手段とが構成されているので、通常時の左右フロントサイドフレーム21,21に対するシュラウド1の支持剛性を確保することができると共に、前衝突時にはシュラウド1を確実に後退変位させてシュラウド1並びにラジエータ2、コンデンサ3及び左右ヘッドランプ4,4の損傷を防止することができる。
【0041】
さらに、上記実施形態1と同様に、シュラウド1のラジエータ保持部11に、上側橋渡し部11e,11e及び下側橋渡し部11f,11fが形成されているので、ラジエータ保持部11の剛性をより一層向上させることができると共に、その各上側橋渡し部11e及び各下側橋渡し部11fの一端を各突状部15に接続しているので、この各突状部15を各上側橋渡し部11e及び各下側橋渡し部11fの補強リブとして兼用して、各上側橋渡し部11e及び各下側橋渡し部11fの強度を確保することができる。
【0042】
尚、上記実施形態2では、バンパーレインフォースメント5の左右フランジ部5bにそれぞれ設けた左右延長部5c,5cにより、自動車の前衝突時に撓み変形しながらシュラウド1を後退変位させる後退変位手段を構成したが、この後退変位手段は、左右延長部5c,5cには限られない。
【0043】
また、両延長部5c,5cのシュラウド締結部5d,5dの前方に配置されて自動車の前衝突時にシュラウド締結部5d,5dに当接する前方配置部材は、バンパーレインフォースメント5に限らず、シュラウド締結部5d,5dに対し荷重を入力することができるものであれば、どのようなものであってもよい。
【0044】
さらに、シュラウド1は、ラジエータ保持部11及び左右ランプ保持部12,12以外にも、他の車両部品を保持する保持部を有していてもよい。
【0045】
加えて、上記実施形態1,2では、シュラウド1のラジエータ保持部11に、上側橋渡し部11e,11e及び下側橋渡し部11f,11fを形成したが、これらは必ずしも必要なものではなく、上側橋渡し部11e,11eのみ又は下側橋渡し部11f,11fのみを形成するようにしてもよい。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の自動車の車体前部構造によると、自動車の前衝突時に、シュラウドのラジエータ保持部と車体前部に締結される車体締結部(ラジエータ保持部の左側壁部と左ランプ保持部とに跨るように形成された左車体締結部、及びラジエータ保持部の右側壁部と右ランプ保持部とに跨るように形成された右車体締結部)とを切り離す切離し手段(ラジエータ保持部の左側壁部における左車体締結部近傍、及びラジエータ保持部の右側壁部における右車体締結部近傍にそれぞれ形成された、前方に突出する突起部)を備えるようにするか、又は、車体側のシュラウド締結部に前方から所定以上の荷重が作用したときに、撓み変形しながらシュラウドを後退変位させる後退変位手段を備えるようにしたことにより、保持部に保持された車両部品の損傷を防止することができ、リペアビリティの向上化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態1に係る車体前部構造が適用された自動車のノーズユニットを示す分解斜視図である。
【図2】 図1のII−II線断面図である。
【図3】 図2のIII−III線断面図である。
【図4】 実施形態2を示す図1相当図である。
【図5】 図4のV−V線断面図である。
【図6】 図5のVI−VI線断面図である。
【符号の説明】
1 シュラウド
2 ラジエータ(車両部品)
4 ヘッドランプ(車両部品)
5 バンパーレインフォースメント(前方配置部材)
5b フランジ部
5c 延長部(後退変位手段)
5d シュラウド締結部
11 ラジエータ保持部
11a 上壁部
11b 下壁部
11c 側壁部
11e 上側橋渡し部
11f 下側橋渡し部
12 ランプ保持部
13 車体締結部
14 突起部(切離し手段)
15 突状部
21 フロントサイドフレーム(車体)
Claims (6)
- 車両部品を保持する保持部と、車体前部に締結される車体締結部とを有するシュラウドを備えた自動車の車体前部構造であって、
上記自動車の前衝突時に、上記シュラウドの保持部と車体締結部とを切り離す切離し手段を備え、
上記シュラウドは、樹脂からなり、
上記シュラウドの保持部は、上下に相対向して車幅方向に延びる上壁部及び下壁部と該上壁部及び下壁部の左側端部同士及び右側端部同士をそれぞれ接続する左右側壁部とを有していて枠状をなすラジエータ保持部と、該ラジエータ保持部の車幅方向両側にそれぞれ設けられた左右ランプ保持部とにより構成され、
上記シュラウドの車体締結部は、上記ラジエータ保持部の左側壁部と上記左ランプ保持部とに跨るように形成された左車体締結部と、上記ラジエータ保持部の右側壁部と上記右ランプ保持部とに跨るように形成された右車体締結部とにより構成され、
上記ラジエータ保持部の左側壁部における上記左車体締結部近傍、及び上記ラジエータ保持部の右側壁部における上記右車体締結部近傍に、前方に突出する突起部がそれぞれ形成されており、
上記切離し手段は、上記突起部により構成されていて、該突起部の前方に配置された前方配置部材が自動車の前衝突により後退することで、該突起部に前方から所定以上の荷重が作用したときに、上記ラジエータ保持部と左右車体締結部とを切り離すように構成されていることを特徴とする自動車の車体前部構造。 - 請求項1記載の自動車の車体前部構造において、
ラジエータ保持部に、突起部と、上壁部及び下壁部の少なくとも一方とを連結する橋渡し部が設けられていることを特徴とする自動車の車体前部構造。 - 車両部品を保持する保持部を有するシュラウドを備え、該シュラウドが車体側のシュラウド締結部に締結された自動車の車体前部構造であって、
上記シュラウド締結部の前方に配置された前方配置部材が自動車の前衝突により後退することで、上記シュラウド締結部に前方から所定以上の荷重が作用したときに、撓み変形しながら上記シュラウドを後退変位させる後退変位手段を備えていることを特徴とする自動車の車体前部構造。 - 請求項3記載の自動車の車体前部構造において、
バンパーレインフォースメントにおける、車体のフロントサイドフレームと締結されるフランジ部に、車幅方向中央側に延出しかつ先端部にシュラウド締結部が設けられた延長部が形成され、
シュラウドの前面に、前方に突出しかつ上記シュラウド締結部に締結される車体締結部が形成された突状部が設けられており、
上記延長部により、後退変位手段が構成されていることを特徴とする自動車の車体前部構造。 - 請求項4記載の自動車の車体前部構造において、
シュラウドの保持部は、上下に相対向して車幅方向に延びる上壁部及び下壁部と該上壁部及び下壁部の左側端部同士及び右側端部同士をそれぞれ接続する左右側壁部とを有していて枠状をなすラジエータ保持部により構成され、
突状部は、上記ラジエータ保持部の左右側壁部にそれぞれ設けられており、
上記ラジエータ保持部に、上記突状部と、上記上壁部及び下壁部の少なくとも一方とを連結する橋渡し部が設けられていることを特徴とする自動車の車体前部構造。 - 請求項1〜5のいずれか1つに記載の自動車の車体前部構造において、
前方配置部材は、車幅方向に延びるバンパーレインフォースメントであることを特徴とする自動車の車体前部構造。
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