JP3975195B2 - 高分解能のガスゲージ近接センサ - Google Patents

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Description

本発明は、極めて小さな距離を検出するための装置及び方法、特にガス流を用いた近接検出に関する。
多くの自動化された製造プロセスは、製造工具と、加工されている製品又は材料面との間の距離を検出することを必要とする。半導体リソグラフィ等の幾つかの状況において、距離は、ナノメートルに接近する精度で測定されなければならない。
このような精度の近接センサを形成することに関する挑戦は、特にフォトリソグラフィシステムにおいて重要である。フォトリソグラフィにおいて、非侵入式であること及び微小な距離を正確に検出する能力を有することに加え、近接センサは、汚染物を導入することができないか又は、工作物面、通常半導体ウェハ、と接触することはできない。いずれかの状況の発生は、半導体品質を著しく低下させるか又は損なう。
微小な距離を測定するために種々異なる形式の近接センサが使用される。近接センサの例として、キャパシタンス及び光学ゲージがある。これらの近接センサは、フォトリソグラフィシステムにおいて使用される場合に深刻な欠点を有する。なぜならば、ウェハ上に堆積された材料の物理的特性がこれらの装置の精度に影響するからである。例えば、電荷の密度に依存するキャパシタンスゲージは、1つのタイプの材料(例えば金属)が集中させられている箇所において、偽の近接読取りを生じるおそれがある。砒化ガリウム(GaAs)及びリン化インジウム(InP)等の非導電性及び/又は感光性材料から形成された外来ウェハが使用される場合、別のクラスの問題が生じる。これらの場合、キャパシタンス及び光学ゲージは、偽の結果を提供する。
米国特許第4953388号明細書及び米国特許第4550592号明細書は、空気マイクロメータセンサを使用する、近接検出への択一的なアプローチを開示している。空気マイクロメータセンサは、ウェハ表面の電荷の密度、又は電気的、光学的及びその他の物理的特性に影響されにくい。しかしながら、現在の半導体製造は、近接はナノメートルのオーダで極めて正確に計測されることを必要とする。必要とされているものは、上記米国特許に記載されたものよりも正確なガスゲージ近接センサである。
米国特許第4953388号明細書 米国特許第4550592号明細書
したがって、本発明の課題は、精度の高いガスゲージ近接センサを提供することである。
本発明は、前の形式の近接センサの精度を著しく改良する高分解能ガスゲージ近接センサ及び方法を提供する。ガスゲージ近接センサは、測定スタンドオフと基準フタンドオフとの差を検出することによって近接を決定する。スタンドオフは、近接センサのノズルと、ノズルの下方の面との間の距離若しくはギャップである。
スタンドオフ差を決定するために、一定の質量流量を備えたガス流が、質量流量制御装置を用いて計量供給され、2つのチャネル、すなわち測定チャネル及び基準チャネルに通過させられる。本発明によれば、基準チャネル及び測定チャネルにおいて多孔質制限器が使用される。多孔質制限器は、乱流を導入せずかつ空気ノイズを低減しながら、センサの適切な作動のために必要な抵抗機能を行う。本発明の択一的な実施形態では、近接センサ内に、質量流量制御装置に続いて、近接センサが基準チャネル及び測定チャネルに分岐する前に多孔質スナッバが配置されている。多孔質スナッバはガス乱流を静め、チャネルを通じて伝播する起こりうる音響ノイズを低減し、近接センサの精度を向上させる。
各チャネルは、面の上方に位置決めされた遠位端部にプローブを有している。ガスはチャネル内を通過させられ、個々の測定面及び基準面に向かってノズルを介して放出される。基準チャネルと測定チャネルとの間のブリッジチャネルは、2つのチャネルの間の質量流量を検出し、この質量流量は、基準チャネルと測定チャネルとにおけるガス圧力の差によって誘発される。検出された質量流量は、基準スタンドオフと測定スタンドオフとの差を表している。換言すれば、ブリッジにおいて検出された質量流量は、基準チャネル内の基準プローブと基準面との基準スタンドオフと、測定チャネルにおける測定プローブと測定面との測定スタンドオフとのあらゆる差を表している。ガスゲージ近接センサは、検出された質量流量に基づき表示を提供しかつ制御動作を惹起することができる。
本発明の別の態様によれば、別のノズル形式を測定及び基準プローブとして使用することができる。これらのノズルにより、センサが種々異なるタイプの加工面に容易に適応されることができる。
本発明の別の態様によれば、ガスゲージ近接センサは、スイッチング装置に接続された測定チャネルを含むことができ、このスイッチング装置は複数の測定ブランチに接続されている。各測定ブランチは、測定ブランチを含まない装置における測定チャネルの特性と同じ特性を有している。複数の測定ブランチは、測定面のより大きな領域に亘ってスタンドオフを測定するための近接センサの能力を向上させる。
本発明の別の実施形態によれば、1つの測定チャネルを備えたガスゲージ近接センサのための方法が提供される。この方法は、ガス流を測定チャネル及び基準チャネル内に分配し、ガス流を各チャネルの横断面に亘って均一に制限するステップを含んでいる。
本発明の別の実施形態によれば、複数の測定ブランチを備えたガスゲージ近接センサのための方法が提供される。この方法は、ガス流を測定ブランチ及び基準チャネル内に分配し、ガス流を基準チャネル又は測定ブランチの横断面に亘って均一に制限し、測定ブランチを切り替えるステップを含む。付加的な方法では、測定面の微細構造をマッピングするために、複数の測定ブランチを備えたガスゲージ近接センサが使用される。
多孔質制限器、質量流量制御装置、及び/又はスナッバを使用することによって、本発明の実施形態では、ナノメートルの精度で高分解能でガス流量に基づき距離を測定することができる。本発明は、フォトリソグラフィシステム及びツールにおいて特に有利である。フォトリソグラフィシステムにおいて、リソグラフィ製造ツールの適切な幾何学的基準と半導体ウェハとの間の距離を高分解能で決定することが益々望まれている。高分解能ガス流近接検出技術を使用することにより、さらに、高分解能性能での半導体製造中にウェハに堆積されるウェハ材料及び材料の物理的パラメータから、ウェハ近接測定が独立させられる。
本発明のその他の実施形態、特徴及び利点と、本発明の様々な実施形態の構造及び動作とを、添付の図面を参照にして以下に詳細に説明する。
本発明は添付の図面に関して説明される。図面において、同一の参照符号は同一の又は機能的に類似のエレメントを表している。
ここでは本発明は特定の用途のための例としての実施形態に関して説明されているが、本発明はこの実施形態に限定されないと理解されるべきである。ここに提供された説明へのアクセスを有する当業者は、本発明の範囲内での付加的な変更、用途、及び実施形態、並びに本発明が著しく有益である付加的な分野を認識するであろう。
目次
A.ガスゲージ近接センサ
1.流量制限器
2.スナッバ
3.ノズル
B.方法
C.モデル及びシミュレーション結果
1.シミュレーションパラメータの選択
2.結果
D.結論
A.ガスゲージ近接センサ
図1Aは、本発明の実施形態によるガスゲージ近接センサ100を示している。ガスゲージ近接センサ100は、質量流量制御装置106と、中央チャネル112と、測定チャネル116と、基準チャネル118と、測定チャネル制限器120と、基準チャネル制限器122と、測定プローブ128と、基準プローブ130と、ブリッジチャネル136と、質量流量センサ138とを有している。ガス供給部102はガスを所望の圧力でガスゲージ近接センサ100内へ噴射する。
中央チャネル112はガス供給部102を質量流量制御装置106へ接続しており、次いで接合点114において終わっている。質量流量制御装置106は、ガスゲージ近接センサ100内に一定の流量を維持する。ガスは質量流量制御装置106から多孔質スナッバ110を通って排出され、チャネル112に取り付けられたアキュムレータ108を備えている。スナッバ110は、ガス供給部102によって導入されるガス乱流を低減し、その使用は選択的である。スナッバ110を出ると、ガスは中央チャネル112内を接合点114まで進む。中央チャネル112は、接合点114において終わっており、測定チャネル116と基準チャネル118とに分岐している。質量流量制御装置106は、ガスを十分に低い流量で噴射し、これにより、システムを通じて層状でかつ圧縮不能な流体流れを提供し、望ましくない空気ノイズの発生を最小限に抑制する。
測定チャネル116と基準チャネル118との間にブリッジチャネル136が接続されている。ブリッジチャネル136は接合部124において測定チャネル116に接続されている。ブリッジチャネル136は接合部126において基準チャネル118に接続されている。1つの例では、接合部114と接合部124との間の距離と、接合部114と接合部126との間の距離とは等しい。
ガスゲージ近接センサ100内の全てのチャネルは、これらのチャネル内にガスを流過させる。チャネル112,116,118及び136は、導管(チューブ、パイプ等)又は、ガス流を含みかつこのガス流をセンサ100内で案内することができるあらゆるその他の形式の構造物から形成されていることができる。チャネルは、鋭い屈曲部、凹凸又は不要な障害物を有しておらず、これらは、例えば局所的な乱流又は流れの不安定を生ぜしめることによって空気ノイズを導入する。測定チャネル116及び基準チャネル118の全長は、等しくてよく、他の実施例では等しくなくてよい。
基準チャネル118は基準プローブ130内で終わっている。同様に、測定チャネル116は測定プローブ128内で終わっている。基準プローブ130は基準面134の上方に位置決めされている。測定プローブ128は測定面132の上方に位置決めされている。フォトリソグラフィの場合、測定面132はしばしば半導体ウェハ、又はウェハを支持したステージである。基準面134は平らな金属板であることができるが、この例に限定されない。ガス供給部102から噴射されたガスは、各プローブ128,130から放出され、測定面132及び基準面134に衝突する。ノズルが測定プローブ128及び基準プローブ130に設けられている。例としてノズルは、図3A〜図3Eに関連して以下にさらに説明されている。上述のように、ノズルと、対応する測定面又は基準面との間の距離は、スタンドオフと呼ばれる。
1つの実施形態において、基準プローブ130は、既知の基準スタンドオフ142だけ離れて、定置の基準面134の上方に位置決めされている。測定プローブ128は、未知の測定スタンドオフ140だけ離れて、測定面132の上方に位置決めされている。既知の基準スタンドオフ142は、最適なスタンドオフを表す所望の一定の値に設定されている。このような装置を用いて、測定プローブ128の上流の背圧は、未知の測定スタンドオフ140の関数であり;基準プローブ130の上流の背圧は、既知の基準スタンドオフ142の関数である。スタンドオフ140及び142が等しいならば、構成は対称的であり、ブリッジが平衡させられる。その結果、ブリッジングチャネル136にはガス流が生じない。これに対して、測定スタンドオフ140と基準スタンドオフ142とが異なる場合、測定チャネル116と基準チャネル118との間の結果的な圧力差が、質量流量センサ138内にガス流を生ぜしめる。
質量流センサ138はブリッジチャネル136に沿って、有利には中心点に配置されている。質量流センサ136は、測定チャネル116と基準チャネル118との間の圧力差によって惹起されるガス流を検出する。これらの圧力差は、測定面132の垂直方向の位置の変化によって生じる。対称的なブリッジの場合、測定スタンドオフ140と基準スタンドオフ142とが等しい場合、スタンドオフは、面132,134と比較してプローブ128,130の両者に対して同じである。測定チャネルと基準チャネルとの間には圧力差が生じないので、質量流量センサ138は質量流量を検出しない。測定スタンドオフ140と基準スタンドオフ142との差は、測定チャネル116と基準チャネル118とにおける圧力差を生じる。非対称的な配列のために、適切なオフセットを導入することができる。
質量流量センサ138は、圧力の差又は不均衡によって惹起されるガス流を検出する。圧力差はガス流を生じ、ガス流の流量は、測定スタンドオフ140の独特の関数である。換言すれば、ガスゲージ100内への一定の流量を仮定すれば、測定チャネル116と基準チャネル118とにおけるガス圧力の差は、スタンドオフ140と142との大きさの差の関数である。基準スタンドオフ142が既知のスタンドオフに設定されていれば、測定チャネル116と基準チャネル118とにおけるガス圧力の差は、測定スタンドオフ140(すなわち測定面132と測定プローブ128との間のz方向での未知のスタンドオフ)のサイズの関数である。
質量流量センサ138はブリッジチャネルを通るいずれか方向でのガス流を検出する。ブリッジの構成により、チャネル116,118の圧力差が生じた場合にのみブリッジチャネル136を通るガス流が生じる。圧力不均衡が存在する場合、質量流量センサ138は結果的なガス流を検出し、適切な制御機能を開始することができる。質量流量センサ138は、検出された流れを視覚ディスプレイ又は聴覚表示によって表示することができる。択一的に、質量流量センサの代わりに、圧力差センサを使用してよい。圧力差センサは、2つのチャネルの圧力差を測定し、この圧力差は、測定スタンドオフと基準スタンドオフとの差の関数である。
制御機能は、正確なギャップ差を計算するためのものであってよい。別の実施形態においては、制御機能は測定ギャップ140の寸法を増減させることであってよい。これは、圧力差が十分にゼロに近くなるまで測定面132を測定プローブ128に対して移動させることによって行われ、圧力差は、測定面132及び基準面134からのスタンドオフの差がもはや存在しない場合にゼロに近くなる。
図1Aは、ガス乱流及びその他の空気ノイズを低減し、これにより、本発明がナノメートル精度を達成することを可能にする本発明の少なくとも3つのエレメントを示している。これらのエレメント、すなわち質量流量制御装置106と、スナッバ110と、制限器120,122とは全て、本発明の実施形態において、又は望まれる感度に応じたあらゆる組み合わせで使用されてよい。例えば、用途が極めて正確な感度を要求する場合、全てのエレメントが使用されてよい。択一的に、用途が必要とする感度がより低い場合、おそらくスナッバ110のみが必要とされ、多孔質制限器120及び122はオリフィスと置換される。その結果、本発明は、特定の用途の要求を費用対効果高く満たすための柔軟なアプローチを提供する。
本発明の別の実施形態によれば、質量流量制御装置106及び/又はスナッバ110の付加は、システムの感度を著しく向上させるために、米国特許第4953388号明細書及び米国特許第4550592号明細書に開示されたシステム内で使用されてよい。
図1Bは、本発明の実施形態によるガスゲージ近接センサ150を示している。ガスゲージ近接センサ150は、同様の作動原理を備えた、ガスゲージ近接センサ100と同じ構成部材の多くを有している。2つのセンサの相違は、ガスゲージ近接センサ150が3つの測定ブランチを有していることであり、これらの測定ブランチは、ガスゲージ近接センサ100に設けられた1つの測定チャネルに該当する。3つの測定ブランチは、説明しやすくするために示されているが、本発明は3つの測定ブランチに限定されない。2つ以上のあらゆる数の測定ブランチを使用してよい。
ガスゲージ近接センサ150は、質量流量制御装置153と、中央チャネル156と、基準チャネル158と、基準チャネル制限器166と、基準プローブ174と、ブリッジチャネル190と、質量流量センサ192とを有している。さらに、ガスゲージ近接センサ150は測定チャネル159を有している。測定チャネル159は、3つの測定ブランチ163,164及び165に分岐している。測定ブランチ163は測定ブランチ制限器167及び測定プローブ175を有している。測定ブランチ164は測定ブランチ制限器168及び測定プローブ176を有している。測定ブランチ165は測定ブランチ制限器169及び測定プローブ177を有している。最後に、ガスゲージ近接センサ150は、測定チャネルスイッチング装置160と、ブリッジチャネルスイッチング装置161と、スイッチング装置レバー162とを有している。
ガス供給部151はガスを所望の圧力でガスゲージ近接センサ150内へ噴射する。中央チャネル156はガス供給部151を質量流量制御装置153へ接続しており、次いで接合部157において終わっている。質量流量制御装置153は、ガスゲージ近接センサ150内に一定の流量を維持する。質量流量制御装置153はガスを十分に低い流量で噴射し、これにより、システムを通る層状でかつ圧縮不能な流体流れを提供し、望ましくない空気ノイズの発生を最小限に抑制する。ガスは、質量流量制御装置153から多孔質スナッバ155を通って排出され、アキュムレータ154がチャネル156に取り付けられている。スナッバ155が、ガス供給部151によって導入されるガス乱流を低減し、その使用は選択的である。スナッバ155を出ると、ガスは中央チャネル156を通って接合部157へ進む。中央チャネル156は、接合部157において終わっており、測定チャネル159と基準チャネル158とに分岐している。
測定チャネル159は測定チャネルスイッチング装置160内へ終わっている。測定チャネルスイッチング装置160は、測定チャネルスイッチング装置160にも接続された複数の測定ブランチの内の1つに測定チャネルを切り替えるために働く、スキャニング弁又はその他の形式のスイッチング装置であることができる。測定ブランチの物理的特性は、測定チャネルの物理的特性と同じである。測定チャネルスイッチング装置160はスイッチング装置レバー162によって操作される。スイッチング装置レバー162は、何れの測定ブランチ163,164又は165が測定チャネルスイッチング装置160を介して測定チャネル159に接続されるかを制御する。
ブリッジチャネル190は、基準チャネル158と、3つの測定ブランチ163,164又は165のうちの1つとの間にブリッジチャネルスイッチング装置161を介して接続されている。ブリッジチャネル190は接合部170において基準チャネル158に接続されている。ブリッジチャネル190はブリッジチャネルスイッチング装置161において終わっている。ブリッジチャネルスイッチング装置161は、ブリッジチャネルを測定ブランチの内の1つへ切り替えるために働く、スキャニング弁又はその他の形式のスイッチング装置であることができる。図1Bに示された1つの実施例において、3つのブランチ163,164及び165はそれぞれ接合部171,172及び173においてブリッジチャネルスイッチング装置161に接続されている。スイッチング装置レバー162は、いずれの測定ブランチ163,164又は165がブリッジチャネルスイッチング装置161を介してブリッジチャネルに接続されるかを制御する。スイッチングレバー162は、同じ測定ブランチが測定チャネル159及びブリッジチャネル190に接続されるように、測定チャネルスイッチング装置160及びブリッジチャネルスイッチング装置161を制御する。択一的に、2つの独立したスイッチングレバーを使用することができる。
1つの実施例において、接合部157と接合部170との間の距離、及び接合部157と接合部171,172又は173との間の距離は等しい。
ガスゲージ近接センサ150内の全てのチャネル及びブランチにはガスが流過させられる。チャネル156,158,159及び190、及びブランチ163,164及び165は、導管(チューブ、パイプ等)又は、センサ150を通ってガス流を含みかつ案内することができるあらゆるその他の形式の構造物から形成されることができる。チャネル及びブランチは、例えば局所的な乱流又は流れ不安定を生じることによって空気ノイズを導入する鋭い屈曲、凹凸又は不要な障害物を有していない。基準チャネル158の全長と、測定チャネル159と測定ブランチ163,164又は165のうちの1つとを合わせた全長とは、等しくてよいか、他の実施例では異なっていてよい。
基準チャネル158は基準プローブ174内で終わっている。同様に、測定ブランチ163,164及び165はそれぞれ測定プローブ175,176及び177内で終わっている。基準プローブ174は基準面178の上方に位置決めされている。測定プローブ175,176及び177は測定面179の上方に位置決めされている。フォトリソグラフィにおいては、測定面179はしばしば半導体ウェハ、又はウェハを支持するステージである。基準面178は平らな金属板であってよいが、この例に限定されない。ガス供給部151によって噴射されたガスは、基準プローブ174から放出され、基準面178に衝突する。同様に、ガス供給部151によって噴射されたガスは、3つの測定プローブ175,176又は177のうちの1つから放出され、測定面179に衝突する。スイッチング装置レバー162の位置が、いずれの測定プローブからガスが放出されるかを決定する。プローブ174,175,176及び177にはノズルが設けられている。例としてのノズルは、図3A〜図3Eを参照にして以下に説明される。上述のように、ノズルと、対応する測定面又は基準面との間の距離はスタンドオフと呼ばれる。
1つの実施形態では、基準プローブ174は基準面178の上方に既知の基準スタンドオフ180だけ離れて位置決めされている。測定プローブ175,176及び177は、測定面179の上方に未知の測定スタンドオフ181,182及び183だけ離れて位置決めされている。測定スタンドオフ181,182及び183は等しいか、測定面の微細構成が領域毎に変化する場合は等しくなくてよい。既知の基準スタンドオフ180は、最適なスタンドオフを表す所望の一定値に設定されている。このような配列により、使用されている測定プローブ175,176又は177の上流の背圧は、それぞれ未知の測定スタンドオフ181,182又は183との関数である;基準プローブ174の上流の背圧は、既知の基準スタンドオフ180の関数である。基準スタンドオフ180と、使用されている測定スタンドオフ181,182又は183とが等しい場合、構成は対称的であり、ブリッジは平衡されている。その結果、ブリッジチャネル174にはガス流が通過しない。これに対して、基準スタンドオフ180と、使用されている測定ブランチに対応する測定スタンドオフ181,182又は183が異なる場合、基準チャネル158と、使用されている測定ブランチ163,164又は165との間の結果的な圧力差が、ブリッジチャネル190を通るガス流を惹起する。
質量流量センサ192はブリッジチャネル190に沿って、有利には中心点に配置されている。質量流量センサ192は、基準チャネル158と、使用されている測定ブランチ163,164又は165との間の圧力差によって惹起されるガス流を検出する。これらの圧力差は、測定面179の垂直方向位置の変化の結果として生じる。対称的なブリッジの場合、基準スタンドオフ180と、使用されている測定ブランチに対応する測定スタンドオフ181,182又は183とが等しい場合、使用されている測定ブランチと基準チャネルとの間には圧力差が生じないので、質量流量センサ192は質量流量が生じていないことを検出する。基準スタンドオフ180と、使用されている測定ブランチに対応する測定スタンドオフ181,182又は183との差は、基準チャネル158と使用されている測定チャネル163,164又は165とにおける圧力差を生じる。非対称的な配列のためには適切なオフセットが導入される。
質量流量センサ192は、圧力差又は不均衡によって惹起されたガス流を検出する。圧力差はガス流を生ぜしめ、このガス流の流量は、測定スタンドオフ181m182又は183の独特の関数である。換言すれば、ガスゲージ150への一定の流量を仮定すると、測定ブランチ163,164又は165と基準チャネル158とにおけるガス圧力の差は、基準スタンドオフ180と、使用されている測定ブランチに対応する測定スタンドオフ181,182又は183との差の関数である。基準スタンドオフ180が既知のスタンドオフに設定されている場合、使用されている測定ブランチ163,164又は165と基準チャネル158とにおけるガス圧力の差は、測定スタンドオフ(すなわち、測定面179と、使用されている測定プローブ175,176又は177との間のz方向での未知のスタンドオフ)の寸法の関数である。
質量流量センサ192は、ブリッジチャネル190を通るいずれかの方向でのガス流を検出する。ブリッジの構成により、ガス流は、基準チャネル158と使用されている測定ブランチ163,164又は165との間に圧力差が生じた場合にのみブリッジチャネル190を通過する。圧力不均衡が存在する場合、質量流量センサ192は、結果的なガス流を検出し、適切な制御機能を開始することができる。質量流量センサ192は、検出された流れを視覚ディスプレイ又は聴覚表示によって表示することができる。択一的に、質量流量センサの代わりに圧力差センサが使用されてよい。圧力差センサは、基準チャネルと測定ブランチとの間の圧力差を測定し、この圧力差は、測定スタンドオフと基準スタンドオフとの差の関数である。
制御機能は、正確なギャップ差を計算することであってよい。別の実施形態では、制御機能は、測定スタンドオフ181,182又は183の寸法を増減させることであってよい。このことは、圧力差が十分にゼロに近くなるまで測定面を測定プローブに対して移動させることによって遂行され、ゼロの圧力差は、もはや測定面及び基準面178からのスタンドオフの差が存在しない場合に生じる。
図1Bは、本発明がナノメートル精度を達成することができるようにするためにガス乱流及びその他の空気ノイズを低減する、本発明の少なくとも3つのエレメントを示している。これらのエレメント、すなわち質量流量制御装置153と、スナッバ155と、制限器166,167,168及び169とは全て本発明の実施形態において又は望まれる感度に応じてあらゆる組み合わせで使用されてよい。例えば、用途が極めて正確な感度を要求する場合、全てのエレメントが使用される。択一的に、用途が必要とする感度がより低い場合には、おそらくスナッバ155のみが必要とされ、多孔質制限器166,167,168及び169はオリフィスと置換される。その結果、本発明は、特定用途の要求を費用対効果高く満たすために柔軟なアプローチを提供する。
1.流れ制限器
本発明の1つの実施形態に従い、またガスゲージ近接センサ100を引用し、測定チャネル116及び基準チャネル118は制限器120,122を有している。各制限器120,122は、それぞれの測定チャネル116及び基準チャネル118を進むガス流を制限する。測定チャネル制限器120は、接合部114と接合部124との間において測定チャネル116内に配置されている。同様に、基準チャネル制限器122は接合部114と接合部126との間において基準チャネル118内に配置されている。1つの例において、接合部114から測定チャネル制限器120までの距離と、接合部114から基準チャネル制限器122までの距離とは等しい。別の実施例では、この距離は等しくない。センサが対称的であるという固有の要求はないが、センサは、幾何学的に対称的であるならばより容易に使用することができる。
本発明の別の特徴によれば、各制限器120,122は、ポリエチレン又は焼結ステンレス鋼等の多孔質材料から成っている。図2は、多孔質材料21を有する制限器120の断面図を提供しており、この多孔質材料をガス流200が通過する。測定チャネル制限器120と基準チャネル制限器122とは実質的に同じ寸法及び透過特性を有している。制限器の長さは通常2mm〜15mmであるが、これらの長さに限定されない。測定チャネル制限器120及び基準チャネル制限器122は、チャネル116,118の断面に亘って均一にガス流を制限する。発明者は、中実の非多孔質材料に穿孔された1つのオリフィスを使用する制限器によって導入される乱流及びノイズの量と比較して、多孔質材料制限器が、ガス流における乱流及び関連した空気ノイズを著しく低減することを発見した。ガスゲージ近接センサ150内において、これらの利点を達成するために、前記特性を備えた多孔質制限器166,167,168及び169も使用される。
制限器は2つの主要な機能を果たす。第1に、制限器は、ガスゲージ近接センサ100に存在する圧力及び流れの乱れ、最も著しくは質量流量制御装置100又は音響ピックアップの源部によって生ぜしめられる乱れを軽減する。第2に、制限器は、ブリッジ内の所要の抵抗エレメントとして働く。
ガスゲージ近接センサの典型的な実施形態が示された。本発明はこの例に限定されない。この例は本明細書に限定ではなく例としてのみ示されている。(本明細書に記載された実施例の均等物、延長、変更、逸脱等を含む)択一例は、本明細書に含まれた説明に基づき当業者に明らかとなるであろう。このような択一例は本発明の範囲及び思想に含まれる。
2.スナッバ
本発明の1つの実施例によれば、ガスゲージ近接センサ100を例にとって説明すると、チャネル112はスナッバ110を有している。制限器の動作と同様に、スナッバ110は、ガス供給部102によって導入されがガス乱流を低減し、質量流量センサを、ガスゲージセンサの上流部における音響ピックアップから隔離する。スナッバ110は、アキュムレータ108と接合部114との間においてチャネル112内に配置されている。本発明の別の特徴によれば、スナッバ110は、ポリエチレン又は焼結ステンレス鋼等の多孔質材料から成っている。発明者は、多孔質材料スナッバがガス流における乱流及び関連する空気ノイズを著しく低減することを発見した。ガスゲージ近接センサ150において使用されるスナッバ155は、スナッバ110と同じ特性を有しており、同じ利益を達成するために使用される。
3.ノズル
ガスゲージ近接センサ100では、特定の用途に応じて基準プローブ130及び測定プローブ128として種々異なるタイプのノズルが使用されてよい。同様に、基準プローブ174及び測定プローブ181,182及び183のためにガスゲージ近接センサ150において、種々異なるタイプのノズルが使用されてよい。ノズルタイプの選択は特に、必要とされる設置面積(測定面積)に依存する。
ガスゲージノズル300の基本的構成は、図3Aに示したように、測定面の表面に対して平行な平らな端面を特徴とする。ノズルのジオメトリは、ゲージスタンドオフhと、内径dとによって決定される。概して、ノズル外径Dへのノズル圧力降下の依存は、Dが十分に大きいならば弱い。その他の物理的パラメータは:Q−ガスの質量流量と、Δp−ノズルにおける圧力降下とである。ガスは、密度ρと、粘度ηを特徴とする。
測定スタンドオフが変化させられた一連の試験は、異なるdを備えたノズルを使用し、かつ異なる質量流量を使用して行われた。図5は、これらの試験のためのデータ箇所をプロットしている。図5に示された一連の測定から得られたデータ箇所への適切なフィットから:
が得られる。ノズルを通る空気の質量流量は、
Qm=puπdh (2)
として書くことができ、速度υを質量流量及びノズル内径dに関して表すと、
となる。
したがって、ノズルの動作は、5つの物理的変数、ν、Δp、Q、d及びhに関して表される。方程式(3)は、2つの主要な変数Δp及びhの関係を提供し、残りの変数は通常実際のシステムにおいては一定である。この関係は、種々異なる感度を必要とする種々異なる用途のためのノズルタイプの発展を容易にする。
図3B及び3Cは、本発明の実施形態による、基準プローブ又は測定プローブとして使用されるノズル310を示している。ノズル310は、前面312と、ガスボア前側開口314と、ガスボア後側開口315とを有している。
ノズル310は、測定チャネル116及び基準チャネル118に取り付けられている。1つの実施形態では、測定プローブ128及び基準プローブ130として2つの同じノズル310が働く。原理的には、ノズルは同じである必要はない。ノズル310は測定チャネル116に取り付けられている。前面312は測定面132に対して平行であることが望ましい。測定チャネル116を通るガスは、ガスボア後側開口315を通ってノズル310に進入し、ガスボア前側開口314を通って流出する。同様に、ノズル310は基準チャネル118に取り付けられている。前面312は基準面134に対して平行である。基準チャネル118を通るガスは、ガスボア後側開口315を通ってノズル310に進入し、ガスボア前側開口314を通って流出する。ガスボア前側開口314の直径は、特定の用途に応じて異なっていてよい。1つの実施例では、ガスボア前側開口314の内径は、約0.5〜2.5mmである。多孔質流れ制限器と、プローブにおける単一のガスボアノズルとを有するガスゲージ近接センサモデルの例としての感度分析結果は、図6〜図8に関して以下にさらに説明される。
図3D及び3Eは、本発明の実施形態による、基準プローブ及び測定プローブとして使用されるシャワーヘッド形ノズル350を示している。シャワーヘッド形ノズル350は、前面355と、複数のガスボア前側開口360と、ガスボア後側開口365とを有している。複数のガスボア前側開口は、圧力を、ノズル310よりも測定面132のより広い領域に亘って分配する。シャワーヘッド形ノズルは、主に、近接測定をより広い空間領域に亘って均一に組み込むために空間的分解能を低下させるために使用される。択一的なアプローチは、多孔質フィルタを含むノズルを使用することである。
シャワーヘッド形ノズル350は、測定チャネル116及び基準チャネル118に取り付けられている。1つの実施形態において、2つの同じシャワーヘッド形ノズル350が、測定プローブ128及び基準プローブ130として働く。原理的に、ノズルは同じである必要はない。シャワーヘッド形ノズル350は測定チャネル116に取り付けられている。前面355は測定面132に対して平行である。測定チャネル116を通るガスは、ガスボア後側開口365を通ってシャワーヘッド形ノズル350に進入し、複数のガスボア前側開口360を通って流出する。同様に、シャワーヘッド形ノズル350は基準チャネル118に取り付けられている。前面355は基準面134に対して平行である。基準チャネル122を通るガスは、ガスボア後側開口365を通ってシャワーヘッド形ノズル350に進入し、複数のガスボア前側開口360を通って流出する。ノズルの使用は、説明しやすくするために、ガスゲージ近接センサ100に関して説明されている。各ノズルタイプは、ガスゲージ近接センサ150と共に使用されてもよく、その場合ノズルは、各測定ブランチプローブ及び基準チャネルプローブに取り付けられる。
種々異なる形式のノズルの典型的な実施形態が説明された。本発明はこれらの実施例に限定されない。実施例は本明細書に限定ではなく例として示されている。択一例(本明細書に記載された実施例の均等物、延長、変更、逸脱等を含む)は、本明細書に含まれた説明に基づき当業者に明らかとなるであろう。このような択一例は本発明の範囲及び思想に含まれる。
B.方法
図4に示されたプロセスは、微小な距離を検出しかつ制御動作を行うためにガス流を使用するための方法400を示している(ステップ410〜470)。便宜上、この方法400はガスゲージ近接センサ100に関して説明される。しかしながら、方法400は、必ずしもセンサ100の構造によって限定されることはなく、ガスゲージ近接センサ150又は、異なる構造を備えたセンサを用いて実施されることができる。
プロセスはステップ410において開始する。ステップ410において、オペレータ又は機械的装置が基準プローブを基準面の上方に配置する。例えば、オペレータ又は機械的な装置は、既知の基準スタンドオフ142を置いて基準プローブ130を基準面134の上方に配置する。択一的に、基準スタンドオフはセンサアセンブリ内に、すなわちセンサアセンブリの内部に配置されることができる。基準スタンドオフは特定の値に予め調節されており、この値は、一定に維持される。ステップ420において、オペレータ又は機械的装置は測定プローブを測定面の上方に配置する。例えば、オペレータ又は機械的装置は、測定ギャップ140を形成するように測定プローブ128を測定面132の上方に配置する。
ステップ430において、ガスがセンサ内へ噴射される。例えば、測定ガスは、一定の質量流量でガスゲージ近接センサ100内へ噴射される。ステップ440において、センサ内への一定のガス流量が維持される。例えば、質量流量制御装置106が一定のガス流量を維持する。ステップ450において、ガス流が測定チャネルと基準チャネルとの間で分配される。例えば、ガスゲージ近接センサ100は、測定ガスの流れを測定チャネル116と基準チャネル118との間で均一に分配させる。
ステップ460において、測定チャネル及び基準チャネル内のガス流は、チャネルの断面積に亘って均一に制限される。測定チャネル制限器120及び基準チャネル制限器122は、ガスの流れを制限し、空気ノイズを低減し、ガスゲージ近接センサ100における抵抗エレメントとして働く。
ステップ470において、ガスは基準プローブ及び測定プローブから放出される。例えば、ガスゲージ近接センサ100は、ガスを測定プローブ128及び基準プローブ130から流出させる。ステップ480において、ガスの流れは、基準チャネルと測定チャネルとを接続したブリッジチャネルを介して監視される。ステップ490において、基準チャネルと測定チャネルとの圧力差に基づき制御動作が行われる。例えば、質量流量センサ138は、測定チャネル116と基準チャネル118との質量流量を監視する。質量流量に基づき、質量流量センサ138は制御動作を開始する。このような制御動作は、検出された質量流量の表示を提供するか、検出された質量流量を示すメッセージを送信するか、又は質量流量が生じていないこと又は質量流量の一定の基準値が検出されるまで基準面に対する測定面の位置を再配置するためのサーボ制御動作を開始することを含む。
前記方法は、ガスゲージ近接センサ150等の、多数の測定ブランチを有するセンサと共に使用するのに適している。ガスゲージ近接センサ150が使用される場合、1つの測定ブランチの使用から別の測定ブランチへ切り替えることを含む付加的なステップが組み込まれる。
ガスゲージ近接センサ150の使用は、測定面の微細構成のマッピングをさらに容易にすることもできる。このマッピングは、上記方法において説明された原理によって遂行され、この場合、微細構成の測定は測定ブランチの内の1つを使用して工作物面の特定の領域において行われる。微細構成マッピングが異なる領域において望まれるならば、異なる領域の微細構成をマッピングするためにガスの流れは異なる測定ブランチへ切り替えられる。測定面を移動させる能力に存在する制限により、多数のブランチを備えた近接センサは、幾つかの例においては、1つの測定チャネルのみを備えた近接センサよりも容易に測定面の微細構成をマッピングするために使用することができる。
例えば、1つの実施形態において、微細構成をマッピングするための方法は、ガスゲージ近接センサ150等の近接センサ内にガスを噴射し、測定ブランチの内の1つを使用して一連の測定を行うことによって測定面の一領域の微細構成を測定することを含む。特定の測定ブランチによってマッピングされることができる領域のマッピングが完了すると、近接センサは異なる測定ブランチに切り替えられ、その測定ブランチによって達せられる領域のためのマッピングプロセスを繰り返す。微細構成マッピングが望まれている面が完了するまでプロセスは繰り返される。測定面は、微細構成マッピングが望まれている半導体ウェハ又はその他の測定面であってよい。
本明細書における説明から当業者に知られる上記ステップへの付加的なステップ又は改良も本発明に含まれる。
本発明は、図1〜図4に関してガスに関して説明された。1つの実施形態ではガスは空である。本発明は空気に限定されない。その他のガス又はガスの組み合わせを使用することができる。例えば、測定される面に応じて、より小さな含水率を有するガス又は不活性ガスが使用されてよい。低含水率のガス又は不活性ガスは、空気よりも、測定されている面と反応しにくい。
C.モデル化及びシミュレーション結果
発明者は、本発明の実施形態によるブリッジ構成におけるガスゲージ近接センサ(“ガスゲージ”)の動作をシミュレーションするために一次元(1−D)モデルを発展させ、そのために原型が構築された。図6は、ガスゲージ近接センサ600(“ブリッジ”600とも呼ばれる)の概略図であり、このガスゲージ近接センサの動作は一次元モデルに関して説明される。図6に示したように、ガスゲージ600は、5つの脚l1〜l5と、2つの多孔質流れ制限器630,635と、測定ノズル640と、基準ノズル645と、質量流量センサ665とを有している。脚l1は接合部114から接合部124まで延びている。脚l2は接合部114から接合部126まで延びている。脚l3は接合部124と126との間に延びている。脚l4は接合部124から測定ノズル640まで延びている。脚bl5は接合部126から基準ノズル645まで延びている。多孔質流れ制限器630が脚l1に沿って設けられている。多孔質流れ制限器635は脚l2に沿って設けられている。測定ノズル640が脚l4の端部に設けられている。基準ノズル645が脚l5の端部に設けられている。質量流量センサ665が脚l3に沿って設けられている。
ガスゲージの1−Dモデルは、ガスゲージの発展プロセスを助ける。モデルは、ガスゲージ物理的パラメータの選択を許容し、定常状態動作下でのガスゲージ性能の迅速評価を行う。
ブリッジ600の全てのガス通路は同じ直径の円形断面を有すると仮定する。ブリッジの脚における圧力降下への最も著しい寄与は、流れ制限器630,635及びノズル640,645からのものであるが、脚l1〜l5のチューブにおける粘性損失からの分配された寄与も考えられる。エルボ及び接合部114,124,126における局所的損失は、比較的小さいので無視される。
これらの仮定を用いて、ブリッジ600を通るガスの定常非圧縮性流れは、図6に示したように、以下の代数方程式のセットによって支配される:
ブリッジの接合部における流量Qを釣り合わせることにより方程式(4〜6)が得られ、ブリッジのループにおける脚における圧力降下Δpの値を釣り合わせることにより方程式(7)及び(8)が得られる。方程式(9)は、それぞれの脚における流量Qと圧力降下Δpとの関係を規定している(i=1...5)。
上部の脚l1及びl2のための圧力降下は、チューブ内の粘性損失と多孔質制限器における(やはり粘性の)損失との合計である:
この場合、l及びdはチューブの長さ及び直径であり、wは脚iにおける(横断面で平均された)速度である。層状の管流れの場合、圧力損失係数はレイノルズ数のみの関数である:
多孔質制限器における圧力損失はダーシーの法則に基づきモデル化される。これについては、A.ベジャン、「コンベクティブ・ヒート・トランスファ(Convective Heat Transfer)」、第10章、John Wiley & Sons、1984年を参照されたい。制限器630,635は、長さlのものであり、脚l1及びl2におけるチューブと同じ直径を有しており、このことは同じ平均速度wを生ぜしめる。定数μ及びKはそれぞれ、流体(空気)の粘度と、多孔質材料の透過率とである。圧力降下は質量流量Qに関して表すことができる。速度wに代入して、
となる。
ν及びρはそれぞれガス(空気)の動粘度と密度とであり、Θは多孔質材料の伝導率である。
ブリッジング脚l3における圧力降下は単純に
Δp=aQ, (15)
としてモデル化される。なぜならば、質量流量センサの実際の動作は十分な近似レベルにおいて線形だからである。係数aは実験的に決定され、質量流量計の技術的仕様と良好に一致する。
脚l4及びl5のための圧力降下は、(l1及びl2の場合と同様に)チューブにおける粘性損失と、ノズルにおける損失との合計としてモデル化される:
方程式(16)における合計の第2の成分は、ノズルにおける圧力降下のための半経験的な、相似性に基づくモデルを表している。変数uは、ウェハの表面と空気ゲージノズルの面との間の環状領域への進入時における半径方向速度の面積平均値を表している。この速度は、
として計算されることができ、この場合、Dはノズル(両ノズル640,645は同じものである)の内径(ID)であり、hはガスゲージスタンドオフである。適切な代入をすることにより、
が得られる。
10個の方程式(4〜8,13,15,18)のシステムは、流量Qに関して線形である。層流仮定の有効性は、全システムの個々の区分のためのレイノルズ数を計算することによって確認される。与えられた入力パラメータのセットについて上記方程式を数値的に解くために、MATLABプログラムを使用することができる。
1.シミュレーションパラメータの選択
シミュレーションのための主要パラメータは、ガスとして空気を用いるガスゲージ100,600の動作原型(working prototype)に適合するように選択された。主要パラメータを以下に要約する。
空気の特性:
密度 ρ=1.2003[Kg/m
粘度 μ=1.8189E-05[Kg/(ms)]
動粘度 ν=1.5157E-05[m/s]
多孔質材料の特性:
多孔質伝導率 Θ=4327E-02[kg/(sm)
流量計の応答(線形):
較正定数 a=1144E04[l/(ms)]
2.結果
シミュレーションの結果は、感度プロットに関して、質量流量とガスゲージノズルスタンドオフとの関数として(図7)及びノズルIDと多孔質制限器の長さとの関数として(図8)示されている。
特に、図7は、1.14mmの内径(ID)を有するノズルと7mmの長さの制限器とを備えたガスゲージのための質量流量とガスゲージノズルスタンドオフとに関して感度プロットを示している。プロットを形成するために、40mm〜140mmのガスゲージスタンドオフが使用され、流量は100sccm〜500sccmであった。プロットは、ガスゲージスタンドオフが小さくなると、基準スタンドオフと測定スタンドオフとの差の変化を検出するためのガスゲージの感度が高まることを示している。プロットは、ガスゲージスタンドオフがより小さくなると感度が高まるということが、大きな流量においてより顕著であることを示している。同様に、ガスゲージスタンドオフが一定である場合には、ガスゲージを通るガスの流量が増大すると感度も増大する。
図8は、測定スタンドオフが100mmで流量が200sccmである場合のノズルID及び制限器長さに関する感度プロットを示している。プロットを形成するために、0.5mm〜2.5mmのIDを備えたノズルが使用され、5mm〜15mmの長さを備えた制限器が使用された。プロットは、ノズルIDが小さくなると、基準スタンドオフと測定スタンドオフとの差の変化を検出するためのガスゲージの感度が向上することを示している。プロットはさらに、ノズルIDが小さくなると感度が向上するということが、種々異なる制限器長さにおいて比較的一定であることを示している。最後に、プロットは、両制限器の長さへのガスゲージ感度の依存が比較的小さいことを示している。
図7及び図8から分かるように、流量及びスタンドオフへの感度の依存は比較的大きい。感度は、流量に伴って(線形に)増大し、スタンドオフに伴って線形よりも速く減少する。2つの他のパラメータ(ノズルID及び制限器長さ)への感度の依存は、これらのパラメータの可変性の実用的な範囲内では著しく小さい。感度は、ノズルのIDに伴って低下し、制限器長さに伴って上昇する。データは、空力的ノイズを増大させない限り、流量を増大させることが、ガスゲージ感度を改良するために使用されることができることを示している。乱流への移行が、もちろん、使用することができる最大流量における実用的な限界である。
C.結論
以上のように本発明の様々な実施形態を説明したが、これらの実施形態は、限定としてではなく例として示されたことを理解すべきである。本発明の思想及び範囲から逸脱することなく形式及び詳細における様々な変更を行うことができることは、当業者に明らかとなるであろう。
本発明は、発明の規定の機能及び関係の性能を示す方法ステップの助けにより上に説明された。これらの方法ステップの境界は、説明の便宜のために本明細書において任意に規定された。発明の規定の機能及び関係が適切に実施される限り、択一的な境界を規定することができる。あらゆるこのような択一的な境界は、従って、請求項に記載された発明の範囲及び思想に含まれる。つまり、本発明の広さ及び範囲は、前記の典型的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、添付の請求項及びその均等物のみに基づき定義されるべきである。
本発明の実施形態によるガスゲージ近接センサの図である。
本発明の実施形態による、複数の測定ブランチを備えたガスゲージ近接センサの図である。
本発明の実施形態による、制限器の断面図を提供する図である。
ノズルの基本特性を示す図である。
本発明の実施形態による、基準プローブ又は測定プローブにおいて使用されるノズルの斜視図を示す図である。
本発明の実施形態による、図3Bに示されたノズルの断面図を示す図である。
本発明の実施形態による、基準プローブ又は測定プローブにおいて使用されるシャワーヘッド形ノズルの斜視図を示す図である。
本発明の実施形態による、図3Dに示されたノズルの断面図を示す図である。
本発明の実施形態による、極めて小さな距離を検出しかつ制御動作を行うための、ガスゲージ近接センサを使用するための方法を示すフローチャートである。
本発明の実施形態による、種々異なる寸法を備えたノズルの試験結果を示す感度プロットである。
本発明の実施形態による、ブリッジ構成におけるガスゲージ近接センサの概略図であり、ガスゲージ近接センサの動作は一次元モデルによってシミュレーションされている。
空気質量流量及びゲージのズルスタンドオフに関するシミュレーション結果を示す感度プロットである。
ノズル内径(ID)及び多孔質制限器の長さに関するシミュレーション結果を示す感度プロットである。
符号の説明
100 ガスゲージ近接センサ、 102 ガス供給部、 106 質量流量制御装置、 110 多孔質スナッバ、 112 中央チャネル、 114 接合点、 116 測定チャネル、 118 基準チャネル、 120 測定チャネル制限器、 122 基準チャネル制限器、 128 測定プローブ、 130 基準プローブ、 132 測定面、 134 基準面、 136 ブリッジチャネル、 138 質量流量センサ、 140 測定スタンドオフ、 142 基準スタンドオフ、 150 ガスゲージ近接センサ、 151 ガス供給部、 153 質量流量制御装置、 154 アキュムレータ、 155 多孔質スナッバ、 156 中央チャネル、 157 接合部、 158 基準チャネル、 159 測定チャネル、 160 測定チャネルスイッチング装置、 161 ブリッジチャネルスイッチング装置、 162 スイッチング装置レバー、 163,164,165 測定ブランチ、 166 基準チャネル制限器、 167,168,169 測定ブランチ制御器、 171,172,173 接合部、 174 基準プローブ、 175,176,177 測定プローブ、 178 基準面、 179 測定面、 180 基準スタンドオフ、 181,182,183 測定スタンドオフ、 190 ブリッジチャネル、 192 質量流量センサ、 350 シャワーヘッド形ノズル、 355 前面、 360 ガスボア前側開口、 365 ガスボア後側開口

Claims (18)

  1. 基準面スタンドオフと測定面スタンドオフとの差を検出するためのガスゲージ近接センサにおいて、
    ガスゲージ近接センサに送入されたガスを基準チャネルと測定チャネルとに分岐する接合部が設けられており、
    測定チャネルと複数の測定ブランチとに接続された第1のスイッチング装置が設けられており、該第1のスイッチング装置が、一度にガスを1つの測定ブランチへ通流させ、ガスの流れを1つの測定ブランチから別の測定ブランチへ切り替えるために使用されることができ、
    基準チャネルに沿って配置された第1の多孔質流れ制限器が設けられており、該第1の多孔質流れ制限器が、基準チャネルを通るガス流を均一に制限するようになっており、
    前記複数の測定ブランチに沿って配置された複数の測定ブランチ多孔質流れ制限器が設けられており、各測定ブランチ多孔質流れ制限器が、個々の測定ブランチを通るガス流を均一に制限するようになっており、
    基準チャネルの端部に基準プローブが設けられており、ガスが、基準プローブを通って基準チャネルから流出し、基準スタンドオフを横切り、基準面に衝突し、
    複数の測定プローブが設けられており、それぞれの測定ブランチの端部に1つの測定プローブが配置されており、ガスが、測定プローブを通って測定ブランチから流出し、測定スタンドオフを横切り、測定面に衝突し、
    ブリッジチャネルと複数の測定ブランチとに接続された第2のスイッチング装置が設けられており、該第2のスイッチング装置が、一度にガスを1つの測定ブランチへ通流させ、ガスの流れを1つの測定ブランチから別の測定ブランチへ切り替えるために使用されることができ、
    基準チャネルと前記第2のスイッチング装置との間のガス質量流量を検出するために、基準チャネルと前記第2のスイッチング装置との間に接続された質量流量センサが設けられており、基準面と測定面との間のスタンドオフの差が高い感度で検出されることができることを特徴とする、基準面スタンドオフと測定面スタンドオフとの差を検出するためのガスゲージ近接センサ。
  2. ガスの一定の質量流量を排出するために前記接合部の前に配置された質量流量制御装置が設けられている、請求項記載のセンサ。
  3. ガス乱流を低減するために前記質量流量制御装置の後に配置されたスナッバが設けられている、請求項記載のセンサ。
  4. 前記接合部の前に配置されたスナッバが設けられている、請求項記載のセンサ。
  5. 前記第1の多孔質流れ制限器と、前記測定ブランチ多孔質流れ制限器のそれぞれが、多孔質材料から形成されており、該多孔質材料が実質的に同じ透過性特性を有している、請求項記載のセンサ。
  6. 前記第1の多孔質流れ制限器と、前記それぞれの測定ブランチ流れ制限器とのための前記多孔質材料が、同じでありかつポリエチレンを含む、請求項記載のセンサ。
  7. 前記第1の多孔質流れ制限器と、前記それぞれの測定ブランチ多孔質流れ制限器のための前記多孔質材料が、同じでありかつ焼結ステンレス鋼を含む、請求項記載のセンサ。
  8. 前記基準プローブと、前記複数の測定プローブのそれぞれが、ノズルを含む、請求項記載のセンサ。
  9. 前記基準プローブと、前記複数の測定プローブのそれぞれとが、シャワーヘッド形ノズルを含む、請求項記載のセンサ。
  10. 前記質量流量センサによって検出されるガス質量流量が、測定スタンドオフと基準スタンドオフとの差をナノメートル範囲で示している、請求項記載のセンサ。
  11. 基準スタンドオフと測定スタンドオフとの差を検出する方法において、
    (a)測定チャネルと基準チャネルとにガスの流れを分配し、
    (b)ガスの流れを複数の測定ブランチの間で切り替え、ガスの流れが一度に1つの測定ブランチを流過し、
    (c)測定ブランチ及び基準チャネルの横断面に亘って実質的に均一にガスの流れを制限し、
    (d)基準面と測定面とにそれぞれ衝突するように、ガスを基準チャネル及び測定チャネルからノズルを介して排出し、
    (e)基準チャネルと測定チャネルとを接続したブリッジチャネルにおける質量流量を検出するステップを含んでおり、該質量流量が、測定スタンドオフと基準スタンドオフとの差の大きさを表していることを特徴とする、基準スタンドオフと測定スタンドオフとの差を検出する方法。
  12. 前記ステップ(e)が、基準チャネルと測定ブランチとを接続したブリッジチャネルにおける質量流量を監視するステップを含んでおり、該質量流量が、測定スタンドオフと基準スタンドオフとの差の大きさを表している、請求項11記載の方法。
  13. 前記ステップ(e)が、基準チャネルと測定ブランチとにおけるガス圧力差を監視するステップを含んでおり、該ガス圧力差が、測定スタンドオフと基準スタンドオフとの差の大きさを表している、請求項11記載の方法。
  14. さらに前記検出ステップに応答して制御動作を行うことを含む、請求項11記載の方法。
  15. さらに前記検出ステップに応答して制御動作を行うことを含む、請求項12記載の方法。
  16. さらに前記検出ステップに応答して制御動作を行うことを含む、請求項13記載の方法。
  17. 請求項1に記載のガスゲージ近接センサを用いて測定面の微細構成をマッピングする方法において、
    (a)ガスの流れを、多数の測定ブランチを有する前記ガスゲージ近接センサ内に送入し、
    (b)測定ブランチを使用して測定面の領域の微細構成をマッピングし、
    (c)測定面の一領域の前記マッピングが完了した場合、ガスの流れを前記測定ブランチから別の測定ブランチへ切り替え、
    (d)微細構成マッピングが望まれる測定面の全ての領域がマッピングされるまでステップ(a)からステップ(c)までを繰り返すことを特徴とする、測定面の微細構成をマッピングする方法。
  18. 前記測定面が半導体ウェハである、請求項17記載の方法。
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