JP3974875B2 - カルボキシル基含有感光性樹脂の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物の環状カーボネート類(b)との反応による鎖延長、それに続く不飽和基含有モノカルボン酸及び/又はそのエステル類の反応による不飽和基導入及び多塩基酸無水物の反応によるカルボキシル基導入を行なうカルボキシル基含有感光性樹脂の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ノボラック型エポキシ樹脂を出発原料としたカルボキシル基含有感光性樹脂は、その優れた接着性、耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性などのため、ソルダーレジスト、エッチングレジストなど電子材料の多くの分野に広く使用されている。
しかしながら、特に、最近の電気産業、半導体産業の発展に伴って、一層の特性向上、例えば、耐熱性、強靱性、可撓性、耐水性、耐薬品性、電気絶縁性などの向上が要求され、これらを満足すべく種々の新規なカルボキシル基含有感光性樹脂が開発されている。
【0003】
これらのうち、特に耐熱性、強靱性、可撓性、耐水性、耐薬品性、電気絶縁性に優れたカルボキシル基含有感光性樹脂として、ノボラック型フェノール樹脂とアルキレンオキシドとの反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られた反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、ノボラック型フェノール樹脂とアルキレンオキシドとの反応には、オートクレーブが必要となり、オートクレーブを所有しないメーカーにとっては、前記と同じ構造を得るには、他の製造方法に依らなければならない。また、オートクレーブを用いた場合には、その後の不飽和基含有モノカルボン酸及び/又はそのエステル類の付加反応では、別の反応釜を使用する必要があり、そのため、オートクレーブから別な反応釜への移し替えを行なわねばならず、手間がかかり、製造コストが高くなるという問題がある。
【0004】
【特許文献1】
国際公開WO 02/024774 A1公報(請求の範囲)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記のような問題に鑑みなされたものであり、オートクレーブを必要とせず、簡便な方法で、耐熱性、強靭性、フレキシブル性、耐水性、耐薬品性、電気絶縁性等に優れた硬化物が得られるカルボキシル基含有感光性樹脂の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明によれば、1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物(a)と環状カーボネート類(b)との反応生成物(c)に不飽和基含有モノカルボン酸(d)及び/又はそのエステル類(e)を反応させ、得られる反応生成物(f)に多塩基酸無水物(g)を反応させることを特徴とするカルボキシル基含有感光性樹脂の製造方法が提供される。
【0007】
本発明のより具体的な好適な態様によれば、環状カーボネート類(b)がエチレンカーボネート及び/又はプロピレンカーボネートであり、1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物(a)がノボラック型フェノール樹脂及び/又はフェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物であり、不飽和基含有モノカルボン酸(d)がアクリル酸及び/又はメタクリル酸であり、そのエステル類(e)がアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルであり、多塩基酸無水物(g)が脂環式二塩基酸無水物であるカルボキシル基含有感光性樹脂の製造方法が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、前記の課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物(a)と環状カーボネート類(b)との反応生成物(c)に不飽和基含有モノカルボン酸(d)及び/又はそのエステル類(e)を反応させ、得られた反応生成物(f)に多塩基酸無水物(g)を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂の製造方法、特に1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物(a)がノボラック型フェノール樹脂及び/又はフェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物であり、環状カーボネート類(b)がエチレンカーボネート及び/又はプロピレンカーボネートであり、不飽和基含有モノカルボン酸(d)がアクリル酸及び/又はメタクリル酸であり、そのエステル類(e)がアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルであり、多塩基酸無水物(g)が脂環式二塩基酸無水物であるカルボキシル基含有感光性樹脂の製造方法が、オートクレーブを必要とせず、簡便にカルボキシル基含有感光性樹脂を製造できることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0009】
即ち、本発明のカルボキシル基含有感光性樹脂の製造方法は、1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物(a)に環状カーボネート類(b)の脱炭酸ガスを伴なう付加反応を行なうことによって、エーテル結合を介して鎖延長すると共にフェノール性水酸基を末端アルコール性水酸基に変換し、その後、不飽和基含有モノカルボン酸(d)及び/又はそのエステル類(e)、さらに多塩基酸無水物(g)を反応させて末端に不飽和基及びカルボキシル基を導入するものである。このようにフェノール性水酸基をアルコール性水酸基に変換する手段として、環状カーボネート類を用いることにより、オートクレーブは不必要であり、従って、その後の不飽和基含有モノカルボン酸及び/又はそのエステル類の反応、さらに多塩基酸無水物の反応を、同一の反応釜で行なうことができ、製造時間を短縮することが可能である。このような製造方法により、製造コストを低減でき、従って得られたカルボキシル基含有感光性樹脂を低価格で販売することが可能となる。
【0010】
以下、本発明のカルボキシル基含有感光性樹脂の製造方法について詳細に説明する。
本発明のカルボキシル基含有感光性樹脂の製造方法は、前記したように、1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物(a)と環状カーボネート類(b)との反応生成物(c)に不飽和基含有モノカルボン酸(d)及び/又はそのエステル類(e)を反応させ、得られた反応生成物(f)に多塩基酸無水物(g)を反応させて得られるが、各反応は、後述するような触媒を用い、溶媒中又は無溶媒下で容易に行なわれる。
【0011】
1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物(以下、フェノール性水酸基含有化合物という)(a)としては、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ジヒドロキシトルエン、ナフタレンジオール、t−ブチルカテコール、t−ブチルヒドロキノン、ピロガロール、フロログルシノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4´−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4´−ジヒドロキシジフェニルエーテル、フェノールフタレイン、ノボラック型フェノール樹脂、フェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物、ポリ−p−ヒドロキシスチレン、1−ナフトール又は2−ナフトールとアルデヒド類などの縮合物(すなわちナフトール型ノボラック樹脂)、1,2−、1,3−、1,4−、1,5−、1,6−、2,3−、2,6−、2,7−ジヒドロキシナフタレンとアルデヒド類との縮合物、モノナフトールと上記ジヒドロキシナフタレンとアルデヒド類との縮合物、モノ又はジヒドロキシナフタレンとキシリレングリコール類との縮合物、モノ又はジヒドロキシナフタレンとジエン化合物との付加物などを挙げることができるが、これらに限られるものではない。
【0012】
上記のようなフェノール性水酸基含有化合物(a)には、フェノール環上又はフェノール環に結合した炭化水素骨格に、ハロゲン原子、酸素、窒素、イオウ等を含む官能基、例えばハロゲン基、エーテル基、エステル基、カルボニル基、水酸基、アルデヒド基、アミノ基、アミド基、ニトリル基、ニトロ基、チオール基、チオエーテル基、その他ピリジル基やイミダゾール基などのヘテロ芳香族基を有するものを含む。
これらのフェノール性水酸基含有化合物(a)の中でも好ましいのは、1分子中に3個以上のフェノール性水酸基を有する化合物であり、より好ましくは、ノボラック型フェノール樹脂及び/又はフェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物である。
【0013】
上記フェノール性水酸基含有化合物(a)に対する環状カーボネート類(b)の付加割合は、フェノール性水酸基含有化合物(a)のフェノール性水酸基1当量当り、0.3〜10.0モルが好ましい。0.3モル未満の場合、得られるカルボキシ基含有感光性樹脂において、光硬化性が乏しくなる恐れがある。また、10.0モルより多い場合、光硬化性及び熱硬化性が乏しくなる恐れがある。
【0014】
前記フェノール性水酸基含有化合物(a)に対する環状カーボネート類(b)の付加反応は、常温〜250℃で行なうのが好ましい。反応溶媒としては、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類等が好適に用いられる。これらの有機溶剤は、単独で又は2種類以上を混合して用いることができる。
【0015】
反応触媒としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム等のアルカリ金属化合物、トリエチルアミン等の三級アミン、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、トリフェニルホスフィン等のリン化合物、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムハライド、テトラメチルアンモニウムベンゾエート、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラメチルホスホニウムハイドロオキサイド等の第4級塩基性塩化合物、ナフテン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸やオクトエン酸のリチウム、クロム、ジルコニウム、カリウム、ナトリウム等の有機酸の金属塩などが好適に用いられる。これらの触媒は、単独で又は2種類以上を混合して用いることができる。
【0016】
環状カーボネート類(b)としては、公知慣用のカーボネート化合物が使用でき、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、2,3−カーボネートプロピルメタクリレートなどが挙げられ、好ましくは5員環のエチレンカーボネート、プロピレンカーボネートが反応性、供給体制の面から好ましい。これらのカーボネート化合物は、単独で又は2種類以上を混合して用いることができる。
【0017】
上記フェノール性水酸基含有化合物(a)と環状カーボネート類(b)の反応生成物(c)に不飽和基含有モノカルボン酸(d)及び/又はそのエステル類(e)を反応させて、反応生成物(f)を得ることができるが、その際のエステル化反応における反応温度は50〜120℃が好ましく、減圧下、常圧下、加圧下のいずれでも反応を行なうことができる。このエステル化反応において、不飽和基含有モノカルボン酸(d)及び/又はそのエステル類(e)は、得られるカルボキシル基含有感光性樹脂の二重結合当量が300〜700となるような付加量とすることが望ましい。
【0018】
反応溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、オクタン、メチルイソブチルケトン、ジイソプロピルエーテル等が好適に用いられる。これらの有機溶剤は、単独で又は2種類以上を混合して用いることができる。
エステル化触媒としては、硫酸、塩酸、燐酸、フッ化ホウ素、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、カチオン交換樹脂等が適宜用いられる。エステル化反応は重合禁止剤の存在下で行なうのが好ましく、重合禁止剤としては、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、カテコール、ピロガロール等が好適に用いられる。
【0019】
前記不飽和基含有モノカルボン酸(d)の代表的なものとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、α−シアノ桂皮酸、β−スチリルアクリル酸、β−フルフリルアクリル酸などが挙げられ、またこれらのエステル類(e)としては、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチルなどが挙げられる。ここで特に好ましいのはアクリル酸及び/又はメタクリル酸、又はアクリル酸エチル及び/又はメタクリル酸メチルである。これら不飽和基含有モノカルボン酸及びこれらのエステル類は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0020】
前記反応生成物(c)と不飽和基含有モノカルボン酸(d)及び/又はそのエステル類(e)との反応生成物(f)に、多塩基酸無水物(g)を反応させて、カルボキシル基含有感光性樹脂(感光性プレポリマー)が得られるが、この反応において、多塩基酸無水物(g)の使用量は、生成するカルボキシル基含有感光性樹脂の酸価が、好ましくは20〜200mgKOH/g、より好ましくは50〜120mgKOH/gとなるような付加量である。反応は、後述する有機溶剤の存在下又は非存在下で、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、カテコール、ピロガロール等の重合禁止剤の存在下、通常、約50〜150℃で行なう。このとき必要に応じて、トリエチルアミン等の三級アミン、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、トリフェニルホスフィン等のリン化合物、ナフテン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸やオクトエン酸のリチウム、クロム、ジルコニウム、カリウム、ナトリウム等の有機酸の金属塩などを触媒として添加してもよい。これらの触媒は、単独で又は2種類以上を混合して用いることができる。
【0021】
上記多塩基酸無水物(g)としては、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水ナジック酸、3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸等の脂環式二塩基酸無水物;無水コハク酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、オクテニル無水コハク酸、ペンタドデセニル無水コハク酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸等の脂肪族又は芳香族二塩基酸無水物、あるいはビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等の脂肪族又は芳香族四塩基酸二無水物が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を使用することができる。これらの中でも、脂環式二塩基酸無水物が特に好ましい。
【0022】
前記反応生成物(f)と多塩基酸無水物(g)の付加反応において、使用する有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の酢酸エステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤などが挙げら、これらの有機溶剤は、単独で又は2種類以上の混合物として使用することができる。
【0023】
【実施例】
以下、実施例を示して本発明についてより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下において特に断りのない限り、「部」は質量部を意味するものとする。
【0024】
実施例1
ノボラック型クレゾール樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、OH当量:120)120部、トリフェニルホスフィン0.6部及びプロピレンカーボネート112部を反応釜に仕込み、撹拌しながら、150〜160℃に加熱昇温して反応を開始させ、次いで200〜220℃で約2時間反応を続けた。反応の進行とともに炭酸ガスが発生するので、系外に除去した。その後、室温まで冷却し、水酸基当量が182.2g/eq.であるノボラック型クレゾール樹脂のプロピレンカーボネート反応物を得た。これは、フェノール性水酸基1当量当りプロピレンオキシドが平均1.08モル付加しているものと同等であった。
上記反応物をトルエン120部に溶解させた後、この中にアクリル酸43.2部、パラトルエンスルホン酸1.7部及びメチルハイドロキノン0.04部を仕込み、空気を10ml/分の速度で吹き込み、撹拌しながら、100±10℃で7時間反応させた。反応により生成した水は、トルエンとの共沸混合物として、11.6部の水が留出した。その後、室温まで冷却し、得られた反応溶液を水洗し、エバポレーターにてトルエンをジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート118.1部で置換しつつ留去し、アクリレート樹脂溶液を得た。
次に、得られたアクリレート樹脂溶液332.5部及びトリフェニルホスフィン1.1部を、撹拌器、温度計及び空気吹き込み管を備えた反応器に仕込み、空気を10ml/分の速度で吹き込み、撹拌しながら、テトラヒドロフタル酸無水物60.8部を徐々に加え、95〜105℃で約6時間反応させ、冷却後、取り出した。このようにして得られたカルボキシル基含有感光性樹脂は、不揮発分70.6%、固形分酸価87.7mgKOH/gであった。
【0025】
実施例2
フェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物であるポリフェノール樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名「エピキュアーYL6065」、OH当量:98)98部、トリフェニルホスフィン0.5部及びプロピレンカーボネート112部を反応釜に仕込み、撹拌しながら、150〜160℃に加熱昇温して反応を開始させ、次いで200〜220℃で約2時間反応を続けた。反応の進行とともに炭酸ガスが発生するので、系外に除去した。その後、室温まで冷却し、水酸基当量が160.7g/eq.であるポリフェノール樹脂のプロピレンカーボネート反応物を得た。これは、フェノール性水酸基1当量当りプロピレンオキシドが平均1.08モル付加しているものと同等であった。
上記反応物をトルエン98部に溶解させた後、この中にアクリル酸36.0部、パラトルエンスルホン酸1.4部及びメチルハイドロキノン0.04部を仕込み、空気を10ml/分の速度で吹き込み、撹拌しながら、100±10℃で約7時間反応させた。反応により生成した水は、トルエンとの共沸混合物として、9.8部の水が留出した。その後、室温まで冷却し、得られた反応溶液を水洗し、エバポレーターにてトルエンをジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート109.0部で置換しつつ留去し、不揮発分63.3%のアクリレート樹脂溶液を得た。
次に、得られたアクリレート樹脂溶液296.4部及びトリフェニルホスフィン1.1部を、撹拌器、温度計、空気吹き込み管を備えた反応器に仕込み、空気を10ml/分の速度で吹き込み、撹拌しながら、テトラヒドロフタル酸無水物76.0部を徐々に加え、95〜105℃で約6時間反応させ、冷却後、取り出した。このようにして得られたカルボキシル基含有感光性樹脂は、不揮発分71.8%、固形分酸価109.6mgKOH/gであった。
なお、本実施例で得られたカルボキシル基含有感光性樹脂の赤外線吸収スペクトル(フーリエ変換赤外分光光度計FT−IRを用いて測定)を図1に示す。
【0026】
実施例3
合成例2と同ようにして得られた水酸基当量が160.7g/eq.であるポリフェノール樹脂のプロピレンカーボネート反応物160.7部をトルエン98部に溶解させた後、この中にアクリル酸43.2部、パラトルエンスルホン酸1.7部及びメチルハイドロキノン0.05部を反応釜に仕込み、空気を10ml/分の速度で吹き込み、撹拌しながら、100±10℃で7時間反応させた。反応により生成した水は、トルエンとの共沸混合物として、12.6部の水が留出した。その後、室温まで冷却し、得られた反応溶液を水洗し、エバポレーターにてトルエンをジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート113.0部で置換しつつ留去し、不揮発分63.4%のアクリレート樹脂溶液を得た。
次に、得られたアクリレート樹脂溶液304.5部及びトリフェニルホスフィン1.1部を、撹拌器、温度計、空気吹き込み管を備えた反応器に仕込み、空気を10ml/分の速度で吹き込み、撹拌しながら、テトラヒドロフタル酸無水物60.8部を徐々に加え、95〜105℃で約6時間反応させ、冷却後、取り出した。このようにして得られたカルボキシル基含有感光性樹脂は、不揮発分70.5%、固形分酸価93.1mgKOH/gであった。
なお、本実施例で得られたカルボキシル基含有感光性樹脂の赤外線吸収スペクトル(フーリエ変換赤外分光光度計FT−IRを用いて測定)を図2に示す。
【0027】
上記反応生成物は、例えば、フェノール性水酸基含有化合物にトリフェニルホスフィンの存在下、環状カーボネート類を反応させ、得られた反応生成物に硫酸の存在下、不飽和基含有モノカルボン酸又はそのエステル類を反応させ、次いで、例えば水酸化バリウムで中和し、得られた反応生成物と多塩基酸無水物とをトリフェニルホスフィンの存在下反応させることによっても得られるが、この方法によって各反応後の水洗が不必要となり、また同一の反応釜で製造できるため、さらに製造コストを下げることが可能となる。
即ち、トリフェニルホスフィンは反応後、酸素の存在で失活させることができ、例えばソルダーレジストインキ組成物中では、比較的安定な物質となる。また、硫酸を水酸化バリウムで中和することにより、硫酸バリウムとすることで、やはりソルダーレジストインキ組成物中では、安定な物質となる。
【0028】
【発明の効果】
以上のように、フェノール性水酸基をアルコール性水酸基に変換する手段として、環状カーボネート類を用いることにより、オートクレーブを必要とせず、簡便な方法で、耐熱性、強靭性、フレキシブル性、耐水性、耐薬品性、及び電気絶縁性等に優れた硬化物が得られるカルボキシル基含有感光性樹脂を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2で得られたカルボキシル基含有感光性樹脂の赤外線吸収スペクトルを示すグラフである。
【図2】実施例3で得られたカルボキシル基含有感光性樹脂の赤外線吸収スペクトルを示すグラフである。
Claims (5)
- 1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物(a)と環状カーボネート類(b)との反応生成物(c)に不飽和基含有モノカルボン酸(d)及び/又はそのエステル類(e)を反応させ、得られる反応生成物(f)に多塩基酸無水物(g)を反応させることを特徴とするカルボキシル基含有感光性樹脂の製造方法。
- 上記環状カーボネート類(b)が、エチレンカーボネート及び/又はプロピレンカーボネートであることを特徴とする請求項1に記載のカルボキシル基含有感光性樹脂の製造方法。
- 1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物(a)が、ノボラック型フェノール樹脂及び/又はフェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載のカルボキシル基含有感光性樹脂の製造方法。
- 不飽和基含有モノカルボン酸(d)がアクリル酸及び/又はメタクリル酸であり、そのエステル類(e)がアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のカルボキシル基含有感光性樹脂の製造方法。
- 多塩基酸無水物(g)が脂環式二塩基酸無水物であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のカルボキシル基含有感光性樹脂の製造方法。
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